JP5194944B2 - 二酸化炭素の鉱物固定システム - Google Patents

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Description

本発明は、二酸化炭素の鉱物固定システムに関する。詳細には、地球温暖化ガスの一つである炭酸ガス排出量を削減するために二酸化炭素を鉱物で固定することを可能にする二酸化炭素の鉱物固定システムに関する。
二酸化炭素の固定技術は、生物固定、化学固定、鉱物固定に大別される。さらに広義には、地中貯留や海洋隔離も含まれる。生物固定は固定量が多いが、固定速度は遅い。化学固定は固定量が少ないが、固定速度は速い。地中貯留や海洋隔離はポテンシャルが高いが、長期間のモニタリングによる環境への総合的な影響を監視する必要があり、恒久的な解決法としては難点がある。
鉱物固定は比較的新しい固定法であり、蛇紋岩に強酸を使用する方法(特許文献1)、蛇紋岩地層に二酸化炭素を注入して固定する方法(非特許文献1)等が提案されている。しかし、非特許文献1では、固定量や固定速度については十分確認されていない。
特許文献1記載の方法は、塩酸等の強酸を用いて、高温・高圧状態(300℃×3MPa)で蛇紋岩中のMgをMgClとして溶出させて、さらに高温・高圧(500℃×30MPa)にて、MgCOに置換する方式である。反応条件が高温・高圧であるため、加熱のために生じるCOが少なくない。
一方、非特許文献1では実施例が公開されているが、温度50℃以下におけるCOの固定量は、0.02g−CO/g−rock程度に留まっており、地中固定のため、蛇紋岩体の利用率は極めて低いものになる。さらに、ラボ試験装置においては、ステンレス製の容器や撹拌羽根を使用しているため、鉄の溶出による炭酸鉄(FeCO)等が生じている恐れがある。
米国特許第6,890,497号明細書 "蛇紋岩体の地化学環境を利用した原位置試験によるCO2地中鉱物固定のための基盤技術の開発",RITE成果報告書(2005,2006,2007)
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、蛇紋岩などの岩石中のマグネシウム等を比較的低温にて最大限溶出させて安定なマグネシウム炭酸塩等に転換できる、二酸化炭素の鉱物固定システムを提供することを課題とする。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討を行い、超臨界二酸化炭素試験装置を応用したシステムを構築して蛇紋岩を用いた二酸化炭素固定試験を実施し、固体中の二酸化炭素固定率と溶液中の二酸化炭素固定率をそれぞれ定量した。その結果、比較的低温において、既知の方法の約10倍量の二酸化炭素を鉱物に固定できるとの知見を得、本システムが炭酸ガス排出量の削減に有効であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)二酸化炭素を昇圧する加圧ポンプと、昇圧した二酸化炭素と鉱物とを水の存在下に加熱・加圧反応させる圧力容器と、該圧力容器から排出される流体の圧力を制御する保圧弁と、該保圧弁を流通した流体を分離する気液分離器とを備えた二酸化炭素の鉱物固定システムであって、
圧力容器に仕込んだ水の中に蛇紋石の粉砕粉を入れて混合し、その中に昇圧した二酸化炭素を導入し、該圧力容器において、温度50℃〜150℃、圧力10MPa〜30MPaの範囲で所定時間反応させることにより二酸化炭素を固定し、
前記二酸化炭素の導管、前記昇圧した二酸化炭素の導管及び前記圧力容器に、圧力が異常上昇したときに作動する安全弁を設けるとともに、
前記圧力容器を含むシステムの温度及び圧力を監視する監視手段を設け、該監視手段からの信号に応答して、前記圧力容器内の温度又は圧力が異常上昇したときに圧力容器の加熱ヒータ又は加圧ポンプの電源を自動的に遮断するようにしたことを特徴とする二酸化炭素の鉱物固定システム。
(2)前記監視手段は、予め設定された所定圧に達したときに信号を出力する圧力スイッチ及び接点付圧力計と、予め設定された所定温度に達したときに信号を出力する温度スイッチとからなる、前記(1)に記載の二酸化炭素の鉱物固定システム。
(3)前記圧力容器は、耐圧金属容器の内部に該容器部材との間に熱変形を考慮した間隙を設けて弗素樹脂容器を配置し蓋板を含む接液部を弗素樹脂で構成したものである、前記(1)又は(2)に記載の二酸化炭素の鉱物固定システム。
(4)前記圧力容器は、耐圧金属容器本体を金属容器蓋体に密着させるための部材として充填剤を含有する弗素樹脂からなる部材を用いたものである、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の二酸化炭素の鉱物固定システム。
(5)前記弗素樹脂容器の内部に回転子を配置し、マグネチックスターラーの回転が磁力によって伝達されて該回転子が回転するように構成した、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の二酸化炭素の鉱物固定システム。
(6)前記圧力容器を少なくとも2つカスケード状に接続した、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の二酸化炭素の鉱物固定システム。
(7)前記二酸化炭素をマグネシウム炭酸塩として固定する、前記(1)〜()のいずれかに記載の二酸化炭素の鉱物固定システム。
本発明に係る二酸化炭素の鉱物固定システムによれば、蛇紋岩等の岩石中のマグネシウム等を比較的低温にて最大限溶出させて安定な炭酸塩(MgCO等)に転換できるため、炭酸ガス排出量の削減に有効である。本システムは実用機へスケールアップすることが容易で、かつ、可搬型とすることが可能である。
圧力又は温度が異常上昇したときにポンプ又はヒータの電源を自動的に遮断するインターロックと、ガスの圧力が異常上昇したときに作動する安全弁を設けている。そのため、圧力に対する保護は、加圧ポンプの圧力スイッチ、容器及び導管の安全弁、容器の圧力スイッチ及び圧力計の接点による四重保護を具備している。温度に対する保護は、ヒータの温度スイッチ及び容器の温度スイッチによる二重保護を具備している。圧力容器の後流には、保圧弁と気液分離器を設けているため、流体の飛散防止及びガスと液との分離を確実に行うことができる。
圧力容器は耐圧金属容器の中に弗素樹脂容器を固定配置した構造を有し、また撹拌装置は間接磁力式であるため、腐食に対する保護も万全である。弗素樹脂製のビーカーやシートは従来、常圧にて、化学反応操作に使用されているが、弗素樹脂製の容器は圧力容器の内部に装填し加圧状態で加熱すると熱変形が大きく、長期の使用には難点があるため、使用されている例はない。本発明では、弗素樹脂容器と耐圧金属容器の部材との間に熱変形を考慮した間隙を設け、さらに、変形の著しいOリングに充填剤入り弗素樹脂を採用することによって、耐食性を確保しかつ、長期間の使用に耐えられる構造としている。このため、二酸化炭素固定試験を酸性条件下で実施しても、装置からの金属の溶け込みによる影響を防止することができる。
反応温度及び反応圧力は幅広い範囲で実施可能であるが、蛇紋岩の場合100℃×10MPaの条件下においてCO固定率が最大値となる。
本発明のシステムによる二酸化炭素固定量は、0.2g−CO/g−rock(100℃、10MPa)と、従来公知の方法に比べて約10倍である。
図1は、本発明に係る二酸化炭素の鉱物固定システムの系統図を示したものである。図1において、1は二酸化炭素ボンベ、2は二酸化炭素を昇圧する加圧ポンプ、3,5は反応用の圧力容器、4,6は気液分離器、7,8は圧力容器の周囲に配置したヒータである。
本発明のシステムでは、圧力容器を少なくとも2つカスケード状に接続するのが良い。図1に示すシステムでは、2つの圧力容器3,5を設けた例を示している。2つの圧力容器の間にはカスケード用の導管29を設け、圧力容器3で生成した液を圧力容器5に移動させて新たな反応ができるように構成している。なお、図1に示すシステムは2系統の圧力容器を設けた例であり、このような2系統の構成にすることにより、同一条件で異試料、又は異条件で同一試料の反応を比較することができるという利点がある。3系統以上にすることも可能である。
本発明のシステムでは、二酸化炭素の導管19、昇圧した二酸化炭素の導管20及び圧力容器3(5)に、圧力が異常上昇したときに作動する安全弁10,12,17(27)を設け最終保護手段としている。また、二酸化炭素を昇圧する加圧ポンプ2の電源は、二酸化炭素の圧力が異常上昇したときには、予め設定された所定圧力に達したときに信号を出力する圧力スイッチ11を設けているため、該出力信号を受信して自動的に遮断されるので、安全である。
さらに、本発明のシステムでは、圧力容器を含むシステムの温度及び圧力を監視する監視手段を設け、該監視手段からの信号に応答して、前記圧力容器内の温度又は圧力が異常上昇したときにヒータ又はポンプの電源を自動的に遮断するインターロックを設置している。前記の監視手段は、予め設定された所定圧に達したときに信号を出力する圧力スイッチ及び接点付圧力計と、予め設定された所定温度に達したときに信号を出力する温度スイッチとからなる。これにより、温度及び圧力の異常上昇を防止できる。圧力に対する保護は、圧力計が最も精度が高く、圧力スイッチは変換の誤差が入ること、安全弁は最終手段であることを考慮すると、インターロックが作動する圧力設定値は、圧力計、圧力スイッチ、安全弁の順に高くするのが良い。
図1に示す圧力容器3(圧力容器5)には、温度スイッチ14(24)と、圧力スイッチ15(25)及び接点付圧力計16(26)が設けられている。該圧力スイッチ及び接点付圧力計は、圧力容器内の圧力が異常上昇したときに信号を出力し、加圧ポンプ2の電源を自動的に遮断する。また、該温度スイッチは、圧力容器内の温度が異常上昇したときに信号を出力し、ヒータ7(8)の電源を自動的に遮断する。13(23)は圧力容器内の温度を測定する温度計(熱電対等)である。
圧力容器3(5)の周囲には、ヒータ7(8)が配置されている。該ヒータの電源は、圧力容器内の温度が異常上昇したときには、予め設定された所定温度に達したときに信号を出力する温度スイッチ14(24)の出力信号を受信して自動的に遮断される。
図1に示すシステムでは、圧力容器3(5)の後流側かつ気液分離器4(6)の上流側の導管に保圧弁18(28)を設けている。これにより、反応後の圧力容器内の流体圧力を降下させることで流体の飛散を防止し、ガスと液を確実に分離することができる。
また、二酸化炭素の導管にも減圧弁9が設けられている。これにより、加圧ポンプ入口圧力を調整することができる。
図2は、本システムに組み込まれた圧力容器の概略断面図を示したものである。以下、圧力容器3を例に説明する。
圧力容器3は、耐高温・高圧の反応器であり、本体31と蓋体32から構成される。耐食性の高い金属(SUS316が最も好ましい)からなる容器の内部に、該容器部材との間に熱変形を考慮した間隙を設けて弗素樹脂製の上部開口容器33を配置し、該容器の上部開口を弗素樹脂製の蓋板34で覆い、蓋板を含む接液部を弗素樹脂で構成したものである。弗素樹脂としては、テフロン(登録商標)が好適である。弗素樹脂容器33及び蓋板34は、装着及び脱着を可能に構成する。反応開始前には、弗素樹脂容器33を金属容器本体31との間に間隙を設けて配置する。このように配置することにより、反応中は、弗素樹脂容器33が熱膨張して金属容器本体31の内壁に接した状態になる。
また、金属容器本体31を金属容器蓋体32に密着させるため、変形の著しい部材(Oリング)35として、シリカ等の充填剤入りテフロン(登録商標)樹脂を用いるのが良い。これによって、熱変形を抑え、高温における弾性を確保することができるため、耐食性を確保しかつ、長期間の使用に耐えられる圧力容器となる。容器本体31と蓋体32は、図示しないボルト・ナット等の部材で結合される。
圧力容器3の蓋体32の開口を通じて、導管38,39を、弗素樹脂容器33の中に入れ、一方を二酸化炭素導入管38とし、ここから昇圧した二酸化炭素を容器内に導入する。他方を反応後の流体排出管39とする。これらの管も、耐食性に優れるテフロン(登録商標)樹脂製のものを用いるのが良い。
図2では図示を省略しているが、圧力容器3内の温度は蓋体32に設けた開口から熱電対等の温度計13により測定し、圧力は接点付圧力計16により測定する。測定用の熱電対等及び圧力測定用の管も、テフロン(登録商標)製又はテフロン(登録商標)被覆したものを用いるのが良い。
弗素樹脂製容器の内部には、磁力によって回転する回転子36を配置する。これにより、マグネチックスターラー等の回転駆動手段37によって磁力が伝達されて回転子が回転されることにより、容器内部の流体が撹拌される。回転子もテフロン(登録商標)製又はテフロン(登録商標)被覆したものを用いるのが良い。このように構成することにより、腐食に対する保護も万全になる。
本発明に係る二酸化炭素の鉱物固定システムにおいて用いる岩石としては、蛇紋岩が好適であり、蛇紋岩はマグネシア(MgO)分が多く硬度は2.5〜4と軟らかい。蛇紋岩を粉砕した粉砕粉を用いると、溶媒の水に対する溶解性が向上することから、二酸化炭素の固定化率も良好となる。この場合、二酸化炭素はマグネシウム炭酸塩として固定される。
反応条件としては、反応温度は幅広い範囲で実施可能であるが、好ましくは50〜150℃の範囲である、また、反応圧力は30MPa以下の加圧条件下で実施可能であるが、好ましくは10MPa〜30MPaの範囲である。固体中の二酸化炭素固定率は反応温度が高くなるほど大きくなり、溶媒中の二酸化炭素固定率は反応温度が低くなるほど大きくなる傾向がある。そのため、固体及び溶媒中への全二酸化炭素固定率を高めるためには最適温度の選択が必要である。
反応時間は特に限定されないが、通常、2〜10日間である。反応時間が短すぎると二酸化炭素固定率が不十分となり、一方、反応時間が長すぎても反応が平衡状態に達するので無意味となり、システムの運転効率が低下し、エネルギー的にも無駄が生じる。
次に、本発明の好ましい実施形態を図を参照しつつ具体的に説明する。
図1を参照すると、本発明を実施することができる二酸化炭素の鉱物固定システムの系統図が示されている。図示のシステムでは、鉱物として蛇紋石(Mg含量=2.5g/10g−rock)を使用し、固定処理の溶媒として水を使用する。二酸化炭素は、加圧ポンプ2で昇圧された後、導管を介して、圧力容器3及び/又は5に導入される。
図2に示す圧力容器3及び5としては、例えば、外径200mmΦ×高さ150mmのステンレス製の容器本体31の内部に、外径100mmΦ×高さ120mmのビーカー形のテフロン(登録商標)製容器33を配置し、この上にテフロン(登録商標)製のスペーサー34を配置し、ステンレス製の容器本体31と高さ80mmの蓋体32とを、シリカ入りテフロン(登録商標)樹脂からなるOリング35を介して、締付ける。二酸化炭素導入管38、排出管39は内径4mmΦのテフロン(登録商標)チューブを用いる。但し、これらの寸法は、二酸化炭素処理能力やスケールアップの程度に応じて、適宜変更するのが良い。
圧力容器に溶媒の水を仕込み、該溶媒の中に蛇紋岩の粉砕粉を入れて混合すると、蛇紋岩由来のMgイオンが水中に徐々に溶出する。溶媒の水は、二酸化炭素を吸収して蛇紋岩粉砕粉との反応を促進させるように機能する。蛇紋岩の粉砕粉を用いて表面積を大きくすることは、二酸化炭素との反応性を高める点で好ましい。
圧力容器において、所定の温度及び圧力下で所定時間反応させることにより、蛇紋岩中及び溶媒中に二酸化炭素が固定されるので、反応生成物を気液分離器4,6に導入して分離する。
気液分離器4及び6は、上記圧力容器3及び5によって生じた反応生成物を気体成分と液体成分に分離させるために設けられるものであって、反応生成物を連続的に処理するようになっている。気液分離器において分離された気体成分と液体成分は、それぞれ排出ラインを介して、それぞれ回収される。
次に、本発明のシステムを用いた二酸化炭素の固定例を実施例により説明する。
外径100mmΦ×高さ120mmのテフロン(登録商標)製ビーカーに、蒸留水500gと100〜500μmの大きさに粉砕した蛇紋岩10gを入れた。蛇紋岩は、表1に示す鉱物組成を有する、dunite質蛇紋岩(A)とharzburgite質蛇紋岩(B)の2種類を用いた。
二酸化炭素ボンベから加圧ポンプを介して昇圧した二酸化炭素を圧力容器に導入して溶解させた後、溶液を連続的に撹拌して平衡状態を約8日間維持した。適宜溶液のサンプルを採取しつつ、二酸化炭素の溶解、造岩鉱物の溶出、炭酸塩の生成などを確認した。実験を実施した圧力と温度の範囲は、各々1〜28MPa、25〜150℃である。
反応終了後、保圧弁により流体圧を降圧させた後、気液分離器にて溶液と固体を分離した。溶媒分離後の固体残渣を乾燥し、重量を測定した。
蛇紋岩から溶出したMg濃度の経時的な変化を図3に示す。図3において縦軸は、最大濃度(溶解度)Coを用いて無次元化した値である。温度に対するMg濃度の変化は顕著であって、無次元化による相似形は得られていない。特に、150℃の場合は2日位でMg濃度は最大値に達し、その後、MgCO等の沈殿が生じることによって、濃度は徐々に低下している。ここで、Coは10〜70mmol/Lである。MgCOの常温・常圧における溶解度は2mmol/L程度であるため、溶液中には、複雑な形態を呈する多量の炭酸塩の存在が予想された。
二酸化炭素固定量は、固体残渣中のMgCO質量と、溶液中のMg炭酸塩の和によって評価した。前者は固体残渣を分析しMgCO質量からMg質量を差引いた分をCO固定量とした。後者は溶液を約50℃にて2週間程度保持し、析出した炭酸塩を、X線回折装置(XRD)及び蛍光X線元素分析装置(EDS)により分析し、分析結果からCO固定率を求めた。
容器内圧力10MPaにおけるCO固定率f(=CO固定量/原岩量)に対する温度依存性を図4〜6に示す。図4は、固体中のCO固定率、図5は溶液中のCO固定率、図6は全CO固定率を示すグラフである。温度上昇と共に、CO及びMgCOの溶解度は低下するため、MgCOの析出量が顕著に増加するが、溶液中の炭酸塩の溶解量も低下するため、両者の和は100℃近傍でピーク値を呈した。この値は、50℃において沈殿物のCO固定量のみを定量したRITEの結果(非特許文献1参照)を大きく上回っていた。表2は、100℃、10MPaにおける析出炭酸塩の種類及び量と、CO固定率を示したものである。いずれの炭酸塩も結晶化しており、きわめて安定的にCOを固定することが出来る。
一方、容器内温度50℃における全CO固定率に対する圧力依存性を図7に示す。圧力の増加によって、CO及びMgCOの溶解度は増加するため、MgCOの析出量は僅かに低減するが、溶液中の炭酸塩の溶解量は漸近的に増加するため、両者の和はなだらかな増加を示した。圧力10MPa以上では固定率が平衡に近くなることが分かる。
二酸化炭素固定反応の平均反応速度r(=CO固定量/平均反応時間)のアレニウスプロットを図8に示した。図中には圧力依存性が補正されている。本実験範囲においては、概ね以下の近似式にて平均反応速度を整理することができる。
r=Aexp(−E/RT)p0.351
A=35.9mmmol/h,E=16,500J/mol
本実験において得られたCOの最大固定率は0.2g/g−rockであるが、蛇紋岩に含有するMg量から推算される固定率の上限値は概ね0.4g/g−rockとなるため、原岩中のMgの約半分が固定に利用されたことが明らかとなった。
以上、本発明に係る二酸化炭素の鉱物固定システムの実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形が可能である。
本発明に係る二酸化炭素の鉱物固定システムは、既知の方法よりも多量の二酸化炭素を固定することができるシステムであり、安全対策もなされているので、二酸化炭素排出量の削減のために工業的に利用することを可能にする。
本発明に係る二酸化炭素の鉱物固定システムの系統図を示したものである。 本発明に係る二酸化炭素の鉱物固定システムで用いる圧力容器の概略断面図を示したものである。 蛇紋岩から溶出したMg濃度の経時的な変化を示すグラフである。 固体中のCO固定率に対する温度依存性を示すグラフである。 溶液中のCO固定率に対する温度依存性を示すグラフである。 全CO固定率に対する温度依存性を示すグラフである。 全CO固定率に対する圧力依存性を示すグラフである。 CO固定反応の平均反応速度のアレニウスプロットである。
符号の説明
1 二酸化炭素ボンベ
2 加圧ポンプ
3 圧力容器
4 気液分離器
5 圧力容器
6 気液分離器
・ ヒータ
9 減圧弁
10 安全弁
11 圧力スイッチ
12 安全弁
13,23 温度計
14,24 温度スイッチ
15,25 圧力スイッチ
16,26 接点付圧力計
17,27 安全弁
18,28 保圧弁
31 金属容器本体
32 金属容器蓋体
33 弗素樹脂容器
34 弗素樹脂蓋板
35 Oリング
36 回転子
37 マグネチックスターラー
38 導入管
39 排出管

Claims (7)

  1. 二酸化炭素を昇圧する加圧ポンプと、昇圧した二酸化炭素と鉱物とを水の存在下に加熱・加圧反応させる圧力容器と、該圧力容器から排出される流体の圧力を制御する保圧弁と、該保圧弁を流通した流体を分離する気液分離器とを備えた二酸化炭素の鉱物固定システムであって、
    圧力容器に仕込んだ水の中に蛇紋石の粉砕粉を入れて混合し、その中に昇圧した二酸化炭素を導入し、該圧力容器において、温度50℃〜150℃、圧力10MPa〜30MPaの範囲で所定時間反応させることにより二酸化炭素を固定し、
    前記二酸化炭素の導管、前記昇圧した二酸化炭素の導管及び前記圧力容器に、圧力が異常上昇したときに作動する安全弁を設けるとともに、
    前記圧力容器を含むシステムの温度及び圧力を監視する監視手段を設け、該監視手段からの信号に応答して、前記圧力容器内の温度又は圧力が異常上昇したときに圧力容器の加熱ヒーター又は加圧ポンプの電源を自動的に遮断するようにしたことを特徴とする二酸化炭素の鉱物固定システム。
  2. 前記監視手段は、予め設定された所定圧に達したときに信号を出力する圧力スイッチ及び接点付圧力計と、予め設定された所定温度に達したときに信号を出力する温度スイッチとからなる、請求項1に記載の二酸化炭素の鉱物固定システム。
  3. 前記圧力容器は、耐圧金属容器の内部に該容器部材との間に熱変形を考慮した間隙を設けて弗素樹脂容器を配置し蓋板を含む接液部を弗素樹脂で構成したものである、請求項1又は2に記載の二酸化炭素の鉱物固定システム。
  4. 前記圧力容器は、耐圧金属容器本体を金属容器蓋体に密着させるための部材として充填剤を含有する弗素樹脂からなる部材を用いたものである、請求項1〜3のいずれかに記載の二酸化炭素の鉱物固定システム。
  5. 前記弗素樹脂容器の内部に回転子を配置し、マグネチックスターラーの回転が磁力によって伝達されて該回転子が回転するように構成した、請求項1〜4のいずれかに記載の二酸化炭素の鉱物固定システム。
  6. 前記圧力容器を少なくとも2つカスケード状に接続した、請求項1〜5のいずれかに記載の二酸化炭素の鉱物固定システム。
  7. 前記二酸化炭素をマグネシウム炭酸塩として固定する、請求項1〜のいずれかに記載の二酸化炭素の鉱物固定システム。
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