以下、本発明の実施の形態に係る半導体レーザ装置および光装置について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置を示す外観斜視図である。
図1に示すように、半導体レーザ装置500は、導電性のパッケージ本体19、給電ピン21a〜21c,24および蓋体25からなる。
パッケージ本体19内には、後述する複数の半導体レーザ素子が収容されている。パッケージ本体19内に収納された半導体レーザ素子は、蓋体25により封入されている。蓋体25には、取り出し窓25aが設けられている。取り出し窓25aは、レーザ光を透過する材料からなる。また、給電ピン24は、後述するように機械的および電気的にパッケージ本体19と接続されている。
次に、パッケージ本体19内の詳細について説明する。以下、半導体レーザ素子からのレーザ光が出射される方向を正面として説明する。
図2は図1の半導体レーザ装置500の蓋体25を外した状態を示す模式的正面図であり、図3は図1の半導体レーザ装置500の蓋体25を外した状態を示す模式的上面図である。
図2に示すように、パッケージ本体19と一体化された導電性の支持基体17上には、導電性の融着層18が形成される。導電性の融着層18は、AuSn(金錫)からなる。導電性の融着層18上には、絶縁物からなる副基板15が形成される。副基板15上には金属層16a,16bが形成される。金属層16a,16b間は、間隙16cを設けることにより電気的に絶縁されている。
金属層16a上には融着層13が形成され、金属層16b上には融着層14が形成される。融着層13,14は、導電性のAuSn(金錫)からなる。融着層13上には第1の半導体レーザ素子11が接着され、融着層14上には第2の半導体レーザ素子12が接着される。
ここで、第1の半導体レーザ素子11は、p側のパッド電極(以下、p側パッド電極と呼ぶ)11b、n型GaN(窒化ガリウム)基板11aおよびn側電極11cの順の積層構造を有する。第1の半導体レーザ素子11のp側パッド電極11bは、金属層16aと
電気的に接続されている。また、第1の実施の形態における第1の半導体レーザ素子11は、n型GaN基板11a上に形成されたGaN系半導体層を含み、約400nmの波長(発振波長)を有する。GaN系半導体層については後述する。
一方、第2の半導体レーザ素子12は、p側のパッド電極(以下、p側パッド電極と呼ぶ)12b、n型GaAs(ガリウム砒素)基板12aおよびn側電極12cの順の積層構造を有する。p側パッド電極12bは、金属層16bと電気的に接続されている。また、第1の実施の形態における第2の半導体レーザ素子12は、n型GaAs基板12a上に形成されたAlGaInP(アルミニウムガリウムインジウムリン)系半導体層を含み、約660nmの波長(発振波長)を有する。AlGaInP系半導体層については後述する。
第1の半導体レーザ素子11は、第2の半導体レーザ素子12よりも蓋体25の取り出し窓25a(図1参照)の中央部に位置するように設けられる。第1の半導体レーザ素子11の配置の詳細については後述する。
図2および図3に示すように、金属層16aは、ワイヤ22bにより給電ピン21bと電気的に接続される。この給電ピン21bは、絶縁リング20bによりパッケージ本体19と電気的に絶縁されている。金属層16bは、ワイヤ22cにより給電ピン21cと電気的に接続される。この給電ピン21cは、絶縁リング20cによりパッケージ本体19と電気的に絶縁されている。
第1の半導体レーザ素子11のn側電極11cは、ワイヤ22aにより給電ピン21aと電気的に接続される。この給電ピン21aは、絶縁リング20aによりパッケージ本体19と電気的に絶縁されている。第2の半導体レーザ素子12のn側電極12cは、ワイヤ23により支持基体17に電気的に接続されている。それにより、第2の半導体レーザ素子12のn側電極12cは、パッケージ本体19に接続された給電ピン24から給電可能な構造となっている。また、ワイヤ22a〜22c,23は、Au(金)からなる。
次に、図4は、半導体レーザ装置500の電気的配線を示す回路図である。
図4に示すように、第1の半導体レーザ素子11のp側パッド電極11bおよびn側電極11cは、パッケージ本体19と電気的に絶縁されている。第1の半導体レーザ素子11のp側パッド電極11bは給電ピン21bに接続されており、n側電極11cは給電ピン21aに接続されている。
一方、第2の半導体レーザ素子12のp側パッド電極12bは、給電ピン21cと電気的に接続されており、n側電極12cはパッケージ本体19と電気的に接続されている。
次に、図5は、図4の半導体レーザ装置500を用いた光装置の電気的配線を示す回路図である。
図5に示すように、光装置は、半導体レーザ装置500、駆動回路501、直流電源502およびスイッチ503を備える。
図5の駆動回路501には、直流電圧Vを発生する直流電源(図示せず)が内蔵されている。この直流電圧Vは、第2の半導体レーザ素子12の発振開始電圧よりも高い。また、直流電源502は、負(逆極性)の直流電圧−Vaを出力する。駆動回路501の陽極端子501aは、スイッチ503の端子503aに接続される。スイッチ503の端子503bは半導体レーザ装置500の給電ピン21cに接続され、端子503cは半導体レーザ装置500の給電ピン21bに接続される。
駆動回路501の陰極端子501bは、ノードaに接続される。ノードaは直流電源502の陽極側に接続されるとともに、半導体レーザ装置500の給電ピン24およびパッケージ本体19に接続される。また、ノードaは接地(0V)されている。直流電源502の陰極側は半導体レーザ装置500の給電ピン21aに接続される。
スイッチ503が端子503bに切り替えられることにより、第2の半導体レーザ素子12に駆動回路501に内蔵された直流電源により直流電圧Vが印加される。それにより、第2の半導体レーザ素子12から赤色レーザ光を出射することができる。
一方、スイッチ503が端子503cに切り替えられることにより、第1の半導体レーザ素子11のp側パッド電極11bに駆動回路501に内蔵された直流電源により直流電圧Vが印加されるとともに、第1の半導体レーザ素子11のn側電極11cに直流電源502の負の直流電圧−Vaが印加される。それにより、第1の半導体レーザ素子11には、駆動回路501の直流電圧と負の直流電源502の直流電圧との合計電圧V+Vaが第1の半導体レーザ素子11に印加される。それにより、第1の半導体レーザ素子11が青紫色レーザ光を出射することができる。
例えば、第1の半導体レーザ素子11の発振開始電圧が4〜6Vであり、第2の半導体レーザ素子12の発振開始電圧が2〜2.5Vである場合、直流電圧Vを2〜2.5Vに設定し、負の直流電圧−Vaを−2〜−3Vに設定するのが好ましい。
次に、第1の半導体レーザ素子11および第2の半導体レーザ素子12の具体的な構造について説明する。第1の実施の形態においては、第1の半導体レーザ素子11は青紫色レーザ光を出射する半導体レーザ素子(以下、青紫色半導体レーザ素子と呼ぶ。)であり、第2の半導体レーザ素子12は赤色レーザ光を出射する半導体レーザ素子(以下、赤色半導体レーザ素子と呼ぶ。)であるものとする。
図6は青紫色半導体レーザ素子11の構造の詳細を説明するための模式的断面図である。図6においては、矢印X,Y,Zで示すように互いに直交する3方向をX方向、Y方向およびZ方向とする。X方向およびY方向は青紫色半導体レーザ素子11のpn接合面に平行な方向である。
青紫色半導体レーザ素子11では、Ti/Pt/Auからなるn側電極11c上に、n型GaN基板11aが形成され、n型GaN基板11a上に積層構造を有するGaN系半導体層が形成される。
図6(a)に示すように、n型GaN基板11a上には、GaN系半導体層として、n−GaN層101、n−AlGaNクラッド層102、n−GaN光ガイド層103、MQW(多重量子井戸)活性層104、アンドープAlGaNキャップ層105、アンドープGaN光ガイド層106、p−AlGaNクラッド層107およびアンドープGaInNコンタクト層108が順に形成される。これら各層の形成は、例えば、MOCVD法(有機金属化学気相成長法)により行われる。
図6(b)に示すように、MQW活性層104は4つのアンドープGaInN障壁層104aと3つのアンドープGaInN井戸層104bとが、交互に積層された構造を有する。
図6(a)に示すように、例えば、n−AlGaNクラッド層102のAl組成は0.15であり、Ga組成は0.85である。n−GaN層101、n−AlGaNクラッド層102およびn−GaN光ガイド層103にはSiがドープされている。
また、アンドープGaInN障壁層104aのGa組成は0.95であり、In組成は0.05である。アンドープGaInN井戸層104bのGa組成は0.90であり、In組成は0.10である。p−AlGaNキャップ層105のAl組成は0.30であり、Ga組成は0.70である。
さらに、p−AlGaNクラッド層107のAl組成は0.15であり、Ga組成は0.85である。p−AlGaNクラッド層107にはMgがドープされている。アンドープGaInNコンタクト層108のGa組成は0.95であり、In組成は0.05である。
p−AlGaNクラッド層107には、X方向に延びるストライプ状のリッジ部Riが形成される。p−AlGaNクラッド層107のリッジ部Riは約1.5μmの幅を有する。
アンドープGaInNコンタクト層108は、p−AlGaNクラッド層107のリッジ部Riの上面に形成される。
p−AlGaNクラッド層107およびアンドープGaInNコンタクト層108の上面に、SiO2 からなる絶縁膜109が形成され、アンドープGaInNコンタクト層108上に形成された絶縁膜109がエッチングにより除去される。そして、外部に露出したアンドープGaInNコンタクト層108上にPd/Pt/Auからなるp電極110が形成される。さらに、p電極110の上面を覆うように、スパッタ法、真空蒸着法または電子ビーム蒸着法によりp側パッド電極11bが形成される。
このように、n型GaN基板11aの一面側に積層構造を有するGaN系半導体層が形成される。
この青紫色半導体レーザ素子11では、リッジ部Riの下方におけるMQW活性層104の位置に青紫色発光点が形成される。
次に、図7は赤色半導体レーザ素子12の構造の詳細を説明するための模式的断面図である。図7においても図6と同様に、X方向、Y方向およびZ方向を定義する。
本実施の形態では、赤色半導体レーザ素子12は、AuGe/Ni/Auからなるn側電極12c上にn型GaAs基板12aが形成され、n型GaAs基板12a上にAlGaInP系半導体層が形成される。このn型GaAs基板12aにはSiがドープされている。
図7(a)に示すように、n型GaAs基板12a上には、積層構造を有する半導体層として、n−GaAs層201、n−AlGaInPクラッド層202、アンドープAlGaInP光ガイド層203、MQW(多重量子井戸)活性層204、アンドープAlGaInP光ガイド層205、p−AlGaInP第1クラッド層206、p−InGaPエッチングストップ層207、p−AlGaInP第2クラッド層208およびp−GaInPコンタクト層209が順に形成される。これら各層の形成は、例えば、MOCVD法(有機金属化学気相成長法)により行われる。
図7(b)に示すように、MQW活性層204は2つのアンドープAlGaInP障壁層204aと3つのアンドープInGaP井戸層204bとが、交互に積層された構造を有する。
図7(a)に示すように、例えば、n−AlGaInPクラッド層202のAl組成は0.70であり、Ga組成は0.30であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。n−GaAs層201およびn−AlGaInPクラッド層202にはSiがドープされている。
アンドープAlGaInP光ガイド層203のAl組成は0.50であり、Ga組成は0.50であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。
また、アンドープAlGaInP障壁層204aのAl組成は0.50であり、Ga組成は0.50であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。アンドープInGaP井戸層204bのIn組成は0.50であり、Ga組成は0.50である。アンドープAlGaInP光ガイド層205のAl組成は0.50であり、Ga組成は0.50であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。
さらに、p−AlGaInP第1クラッド層206のAl組成は0.70であり、Ga組成は0.30であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。p−InGaPエッチングストップ層207のIn組成は0.50であり、Ga組成は0.50である。
なお、上記したAlGaInP系材料の組成は、一般式(Ala Gab )0.5 Inc Pd で表した時のaがAlの組成であり、bがGaの組成であり、cがInの組成であり、dがPの組成である。
p−AlGaInP第2クラッド層208のAl組成は0.70であり、Ga組成は0.30であり、In組成は0.50であり、P組成は0.50である。p−コンタクト層209は、p−GaInP層とp−GaAs層との積層構造を有する。このp−GaInPのGa組成は0.5であり、In組成は0.5である。
p−AlGaInP第1クラッド層206、p−InGaPエッチングストップ層207、p−AlGaInP第2クラッド層208およびp−コンタクト層209のp−GaInPおよびp−GaAsにはZnがドープされている。
上記において、p−InGaPエッチングストップ層207上へのp−AlGaInP第2クラッド層208の形成は、p−InGaPエッチングストップ層207の一部(中央部)にのみ行われる。そして、p−AlGaInP第2クラッド層208の上面にp−コンタクト層209が形成される。
これにより、AlGaInP系半導体層のうち、p−AlGaInP第2クラッド層208およびp−コンタクト層209により、X方向に延びるストライプ状のリッジ部Riが形成される。p−AlGaInP第2クラッド層208およびp−コンタクト層209からなるリッジ部Riは約2.5μmの幅を有する。
p−InGaPエッチングストップ層207の上面、p−AlGaInP第2クラッド層208の側面ならびにp−コンタクト層209の上面および側面に、SiO2 からなる絶縁膜210が形成され、p−コンタクト層209上に形成された絶縁膜210がエッチングにより除去される。そして、外部に露出したp−コンタクト層209上にCr/Auからなるp電極211が形成される。さらに、p電極211の上面を覆うように、スパッタ法、真空蒸着法または電子ビーム蒸着法によりp側パッド電極12bが形成される。
このように、n型GaAs基板12aの一面側に積層構造を有するAlGaInP系半導体層が形成される。
この赤色半導体レーザ素子12では、リッジ部Riの下方におけるMQW活性層204の位置に赤色発光点が形成される。
次いで、第1の半導体レーザ素子11の収差の影響を低減する方法について説明する。
図8は、第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置500を光装置の一例である光ディスクシステム用ピックアップに用いた状態を示す説明図である。
図8に示すように、半導体レーザ装置500の第1の半導体レーザ素子11から出射された青紫色レーザ光および第2の半導体レーザ素子12から出射された赤色レーザ光は、カップリングレンズ402、ビームスプリッタ403および対物レンズ404を透過して被対象物である光ディスク405にて集光される。
この場合、第1の半導体レーザ素子11により出射された青紫色レーザ光は、カップリングレンズ402および対物レンズ404のほぼ中央部を透過する。それにより、レンズによる収差(主に球面収差)による影響を最も低減させることができるので、光の利用効率が高くなるとともに青紫色レーザ光が、最小スポット径を有するように光ディスク405にて集光される。その結果、高密度記録光ディスクの記録または再生が可能となる。
一方、第2の半導体レーザ素子12により出射された赤色レーザ光は、カップリングレンズ402および対物レンズ404の周辺部を透過する。それにより、レンズによる収差(主に球面収差)による影響を受けるが、スポット径が大きいため、収差による影響がほとんどあらわれない。
以上のように、第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置500は、第1の半導体レーザ素子11のp側パッド電極11bに正の電位を発生する駆動回路501を接続し、第1の半導体レーザ素子11のn側電極11cに負の電位を発生する直流電源502を接続することにより、第1の半導体レーザ素子11の発振開始電圧よりも高い電圧を第1の半導体レーザ素子11に印加することができる。それにより、発振波長の異なる第1の半導体レーザ素子11および第2の半導体レーザ素子12をスイッチ503を用いて切り替えることにより、低い電圧を発生する駆動回路501で駆動することができる。
また、第1の半導体レーザ素子11がパッケージ本体19と絶縁されているので、パッケージ本体19に起因する寄生容量が減少し、第1の半導体レーザ素子11を高速で動作させることができる。一方、第2の半導体レーザ素子12のn側電極12cがパッケージ本体19と電気的に接続されているので、第2の半導体レーザ素子12のn側電極12cを接地するための配線を接続する必要がない。 さらに、窒化物半導体を含む材料からなる第1の半導体レーザ素子11は、第2の半導体レーザ素子12から出射される赤色レーザ光よりも発振波長が短い青紫色レーザ光を出射することができる。また、パッケージ本体19の中心部をカップリングレンズ402、ビームスプリッタ403および対物レンズ404の中心部に位置決めすることにより第2の半導体レーザ素子12よりも発振波長が短い第1の半導体レーザ素子11から出射される青紫色レーザ光がカップリングレンズ402および対物レンズ404の中央部を通過して被対象物に集光される。その結果、カップリングレンズ402および対物レンズ404による収差(主に球面収差)の影響が低減され、微小スポットの集光が可能となる。その結果、微小スポット径を有する青紫色レーザ光により光ディスクシステムにおける高密度化および大容量化を実現することができる。
また、第1の半導体レーザ素子11および第2の半導体レーザ素子12の積層構造において、発熱発生部位であるMQW活性層104,204およびリッジ部Riが、n側電極11c,12cよりもp側パッド電極11b,12bの近傍に存在する。したがって、p側パッド電極11b,12bを副基板15上の金属層16a,16b側に接着することにより、発熱発生部位からの熱をp側パッド電極11b,12bから熱伝導率の高い金属層16a,16bおよび副基板15を経由して効率よく放熱させることができる。
(第2の実施の形態)
以下、第2の実施の形態に係る半導体レーザ装置および光装置について説明する。第2の実施の形態に係る半導体レーザ装置が、第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置と異なるのは以下の点である。
図9は、第2の実施の形態に係る半導体レーザ装置を示す外観斜視図である。
図9に示す半導体レーザ装置510は、図1の半導体レーザ装置500の給電ピン21a〜21c,24に代えて給電ピン21b,21c,24を備える。
次に、第2の実施の形態に係る半導体レーザ装置510のパッケージ本体19内の詳細について説明する。以下、半導体レーザ素子からのレーザ光が出射される方向を正面として説明する。
図10は図9の半導体レーザ装置510の蓋体25を外した状態を示す模式的正面図であり、図11は図9の半導体レーザ装置510の蓋体25を外した状態を示す模式的上面図である。
図10に示す半導体レーザ装置510の副基板15上には、図2に示した半導体レーザ装置500の金属層16a,16bおよび間隙16cに代えて、金属層16が形成される。
また、図10に示す半導体レーザ装置510においては、図2に示した半導体レーザ装置500の絶縁リング20a〜20c、給電ピン21a〜21c,24およびワイヤ22a〜22c,23に代えて絶縁リング20b,20c、給電ピン21b,21c、24およびワイヤ22b,22c,23を備える。
図10および図11に示すように、第2の実施の形態に係る半導体レーザ装置510においては、金属層16は、ワイヤ22cにより給電ピン21cと電気的に接続される。この給電ピン21cは、絶縁リング20cによりパッケージ本体19と電気的に絶縁されている。
第1の半導体レーザ素子11のn側電極11cは、ワイヤ22bにより給電ピン21bと電気的に接続される。この給電ピン21bは、絶縁リング20bによりパッケージ本体19と電気的に絶縁されている。第2の半導体レーザ素子12のn側電極12cは、ワイヤ23により支持基体17に電気的に接続されている。それにより、第2の半導体レーザ素子12のn側電極12cは、パッケージ本体19に接続された給電ピン24から給電可能な構造となっている。また、ワイヤ22b,22c,23は、Au(金)からなる。なお、第1の半導体レーザ素子11および第2の半導体レーザ素子12の構造は、図6および図7に示す第1の半導体レーザ素子11および第2の半導体レーザ素子12の構造と同様である。
次に、図12は、半導体レーザ装置510の電気的配線を示す回路図である。
図12に示すように、第1の半導体レーザ素子11のp側パッド電極11bおよび第2の半導体レーザ素子12のp側パッド電極12bは、金属層16により電気的に接続されている。金属層16は、給電ピン21cに接続されている。第1の半導体レーザ素子11のn側電極11cは、パッケージ本体19と電気的に絶縁されている。第1の半導体レーザ素子11のn側電極11cは給電ピン21bに接続されている。第2の半導体レーザ素子12のn側電極12cは、パッケージ本体19に電気的に接続されている。
次に、図13は、図12の半導体レーザ装置510を用いた光装置の電気的配線を示す回路図である。
図13に示すように、光装置は、半導体レーザ装置510、駆動回路501、直流電源502およびスイッチ504を備える。
図13の駆動回路501には、直流電圧Vを発生する直流電源(図示せず)が内蔵されている。この直流電圧Vは、第2の半導体レーザ素子12の発振開始電圧よりも高い。また、直流電源502は、負(逆極性)の直流電圧−Vaを出力する。駆動回路501の陽極端子501aは、半導体レーザ装置510の給電ピン21cに接続される。駆動回路501の陰極端子501bは、ノードbに接続される。ノードbはスイッチ504の端子504aに接続されるとともに、半導体レーザ装置510の給電ピン24およびパッケージ本体19に接続される。また、ノードbは接地(0V)されている。
直流電源502の陽極側は、スイッチ504の端子504bに接続される。直流電源502の陰極側は、半導体レーザ装置510の給電ピン21bに接続される。
スイッチ504が、オフすることにより、第2の半導体レーザ素子12に駆動回路501に内蔵された直流電源により直流電圧Vが印加される。それにより、第2の半導体レーザ素子12が赤色レーザ光を出射することができる。
一方、スイッチ504が、オンすることにより、第1の半導体レーザ素子11のp側パッド電極11bに駆動回路501に内蔵された直流電源により直流電圧Vが印加されるとともに、第1の半導体レーザ素子11のn側電極11cに直流電源502の負の直流電圧−Vaが印加される。それにより、第1の半導体レーザ素子11には、駆動回路501の直流電圧と負の直流電源502の直流電圧との合計電圧V+Vaが第1の半導体レーザ素子11に印加される。それにより、第1の半導体レーザ素子11が青紫色レーザ光を出射することができる。
例えば、第1の半導体レーザ素子11の発振開始電圧が4〜6Vであり、第2の半導体レーザ素子12の発振開始電圧が2〜2.5Vである場合、直流電圧Vを2〜2.5Vに設定し、負の直流電圧−Vaを−3〜−4Vに設定するのが好ましい。
また、この場合、第1の半導体レーザ素子11に供給される電圧と負の直流電圧−Vaの絶対値との差が第2の半導体レーザ素子12に電流が流れ始める電圧(約1.7V)以下となる範囲内で第1の半導体レーザ素子11を駆動することができる。この場合、第2の半導体レーザ素子12はレーザ光を出射しない。
以上のことにより、第2の実施の形態に係る半導体レーザ装置510および光装置においては、第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置500と比較して給電ピンの本数を削減することができる。
また、低い発振開始電圧の第2の半導体レーザ素子12を駆動できる駆動回路501を用いて、高い発振開始電圧の第1の半導体レーザ素子11をスイッチ504により切り替えて駆動することができる。
(第3の実施の形態)
以下、第3の実施の形態に係る半導体レーザ装置および光装置について説明する。第3の実施の形態に係る半導体レーザ装置が、第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置と異なるのは以下の点である。
図14は、第3の実施の形態に係る半導体レーザ装置を示す外観斜視図である。
図14に示す半導体レーザ装置520は、図1の半導体レーザ装置500の給電ピン21a〜21c,24に代えて給電ピン21b,21c,24を備える。
次に、第3の実施の形態に係る半導体レーザ装置520のパッケージ本体19内の詳細について説明する。以下、半導体レーザ素子からのレーザ光が出射される方向を正面として説明する。
図15は図14の半導体レーザ装置520の蓋体25を外した状態を示す模式的正面図であり、図16は図14の半導体レーザ装置520の蓋体25を外した状態を示す模式的上面図である。
図15に示す半導体レーザ装置520においては、図2に示した半導体レーザ装置500の絶縁リング20a〜20c、給電ピン21a〜21c,24およびワイヤ22a〜22c,23に代えて絶縁リング20b,20c、給電ピン21b,21c,24およびワイヤ22b,22c,23,26を備える。
図15および図16に示すように、第3の実施の形態に係る半導体レーザ装置520においては、金属層16aは、ワイヤ22bにより給電ピン21bと電気的に接続される。この給電ピン21bは、絶縁リング20bによりパッケージ本体19と電気的に絶縁されている。金属層16bは、ワイヤ22cにより給電ピン21cと電気的に接続される。この給電ピン21cは、絶縁リング20cによりパッケージ本体19と電気的に絶縁されている。また、金属層16bは、ワイヤ26により第1の半導体レーザ素子11のn側電極11cと電気的に接続されている。第2の半導体レーザ素子12のn側電極12cは、ワイヤ23により支持基体17に電気的に接続されている。それにより、第2の半導体レーザ素子12のn側電極12cは、パッケージ本体19に接続された給電ピン24から給電可能な構造となっている。また、ワイヤ22b,22c,23,26は、Au(金)からなる。なお、第1の半導体レーザ素子11および第2の半導体レーザ素子12の構造は、図6および図7に示す第1の半導体レーザ素子11および第2の半導体レーザ素子12の構造と同様である。
次に、図17は、半導体レーザ装置520の電気的配線を示す回路図である。
図17に示すように、第1の半導体レーザ素子11のn側電極11cおよび第2の半導体レーザ素子12のp側パッド電極12bは、金属層16bにより電気的に接続されている。金属層16bは、給電ピン21cに接続されている。
第1の半導体レーザ素子11のp側パッド電極11bおよびn側電極11cは、パッケージ本体19と電気的に絶縁されている。第1の半導体レーザ素子11のp側パッド電極11bは給電ピン21bに接続されており、n側電極11cは給電ピン21cに接続されている。
一方、第2の半導体レーザ素子12のp側パッド電極12bは、金属層16bと電気的に接続されており、n側電極12cはパッケージ本体19と電気的に接続されている。
次に、図18は、図17の半導体レーザ装置520を用いた光装置の電気的配線を示す回路図である。
図18に示すように、光装置は、半導体レーザ装置520、駆動回路501、直流電源502およびスイッチ505,506を備える。
図18の駆動回路501には、直流電圧Vを発生する直流電源(図示せず)が内蔵されている。この直流電圧Vは、第2の半導体レーザ素子12の発振開始電圧よりも高い。また、直流電源502は、負(逆極性)の直流電圧−Vaを出力する。駆動回路501の陽極端子501aは、ノードcに接続される。ノードcは、スイッチ505の端子505aに接続されるとともに、半導体レーザ装置520の給電ピン21bに接続される。
駆動回路501の陰極端子501bは、ノードdに接続される。ノードdはスイッチ506の端子506bに接続されるとともに半導体レーザ装置520の給電ピン24およびパッケージ本体19に接続される。また、ノードdは接地(0V)されている。
半導体レーザ装置520の給電ピン21cは、スイッチ505の端子505bに接続されるとともに、直流電源502の陰極側に接続される。直流電源502の陽極側は、スイッチ506の端子506aに接続される。
スイッチ505がオンするとともに、スイッチ506がオフすることにより、第2の半導体レーザ素子12に駆動回路501に内蔵された直流電源により直流電圧Vが印加される。それにより、第2の半導体レーザ素子12が赤色レーザ光を出射することができる。
一方、スイッチ505がオフするとともに、スイッチ506がオンすることにより、第1の半導体レーザ素子11のp側パッド電極11bに駆動回路501に内蔵された直流電源により直流電圧Vが印加されるとともに、第1の半導体レーザ素子11のn側電極11cに直流電源502の負の直流電圧−Vaが印加される。それにより、第1の半導体レーザ素子11には、駆動回路501の直流電圧と負の直流電源502の直流電圧との合計電圧V+Vaが第1の半導体レーザ素子11に印加される。それにより、第1の半導体レーザ素子11が青紫色レーザ光を出射することができる。
例えば、第1の半導体レーザ素子11の発振開始電圧が4〜6Vであり、第2の半導体レーザ素子12の発振開始電圧が2〜2.5Vである場合、直流電圧Vを2〜2.5Vに設定し、負の直流電圧−Vaを−2〜−3Vに設定するのが好ましい。
以上のことにより、第3の実施の形態に係る半導体レーザ装置520においては、第1の半導体レーザ素子11の駆動時に第2の半導体レーザ素子12の逆方向破壊電圧を越えない範囲内において第2の半導体レーザ素子12に逆極性の電圧が印加される。そのため、第1の半導体レーザ素子11の駆動時に第2の半導体レーザ素子12に対する電圧調整が必要なくなり、完全に独立して第1の半導体レーザ素子11の駆動を行なうことができる。
また、第3の実施の形態に係る半導体レーザ装置520は、第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置500と比較して給電ピンの本数を削減することができる。
さらに、第3の実施の形態に係る半導体レーザ装置520は、低い発振開始電圧の第2の半導体レーザ素子12を駆動できる駆動回路501を用いて、高い発振開始電圧の第1の半導体レーザ素子11をスイッチ505,506により切り替えて駆動することができる。
(第4の実施の形態)
以下、第4の実施の形態に係る半導体レーザ装置および光装置について説明する。第4の実施の形態に係る半導体レーザ装置が、第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置と異なるのは以下の点である。
図19は、第4の実施の形態に係る半導体レーザ装置を示す外観斜視図である。
図19に示す半導体レーザ装置530は、第1の実施の形態に係る半導体レーザ装置500(図1参照)の外観と同様である。しかし、第4の実施の形態においては、パッケージ本体19内に後述する出力制御用のフォトダイオードが備えられている点で相違する。
次に、第4の実施の形態に係る半導体レーザ装置530のパッケージ本体19内の詳細について説明する。以下、半導体レーザ素子からのレーザ光が出射される方向を正面として説明する。
図20は図19の半導体レーザ装置530の蓋体25を外した状態を示す模式的正面図であり、図21は図19の半導体レーザ装置530の蓋体25を外した状態を示す模式的上面図である。
図20に示す半導体レーザ装置530においては、図2に示した半導体レーザ装置500のワイヤ22a〜22c,23に代えてワイヤ22b,22c,23,26,28および出力制御用のフォトダイオード27を備える。
図20および図21に示すように、第4の実施の形態に係る半導体レーザ装置530においては、金属層16aは、ワイヤ22bにより給電ピン21bと電気的に接続される。この給電ピン21bは、絶縁リング20bによりパッケージ本体19と電気的に絶縁されている。金属層16bは、ワイヤ22cにより給電ピン21cと電気的に接続される。この給電ピン21cは、絶縁リング20cによりパッケージ本体19と電気的に絶縁されている。また、金属層16bは、ワイヤ26により第1の半導体レーザ素子11のn側電極11cと電気的に接続されている。
第2の半導体レーザ素子12のn側電極12cは、ワイヤ23により支持基体17に電気的に接続されている。それにより、第2の半導体レーザ素子12のn側電極12cは、パッケージ本体19に接続された給電ピン24から給電可能な構造となっている。
また、フォトダイオード27のp側電極27aは、ワイヤ28により給電ピン21aに電気的に接続されている。給電ピン21aは、絶縁リング20aによりパッケージ本体19と電気的に絶縁されている。一方、フォトダイオード27のn側電極は、パッケージ本体19に機械的に接着されるとともに電気的にも接続されている。また、ワイヤ22b,22c,23,26,28は、Au(金)からなる。なお、第1の半導体レーザ素子11および第2の半導体レーザ素子12の構造は、図6および図7に示す第1の半導体レーザ素子11および第2の半導体レーザ素子12の構造と同様である。
次に、図22は、半導体レーザ装置530の電気的配線を示す回路図である。
図22に示す半導体レーザ装置530の回路は、図17に示す半導体レーザ装置520の回路にフォトダイオード27をさらに追加したものである。以下、図22の半導体レーザ装置530が、図17の半導体レーザ装置520と異なる点について説明する。
図22に示す半導体レーザ装置530のフォトダイオード27のp側電極27aは、給電ピン21aに接続されている。一方、フォトダイオード27のn側電極は、パッケージ本体19に接続されている。
以上のことから、第4の実施の形態に係る半導体レーザ装置530においては、フォトダイオード27を備えるので、第1の半導体レーザ素子11および第2の半導体レーザ素子12の後端面より出射される青紫色レーザ光および赤色レーザ光を受光することにより、第1の半導体レーザ素子11および第2の半導体レーザ素子12から出射される青紫色レーザ光および赤色レーザ光の出力をフィードバック制御することができる。
ここで、一般にフォトダイオードは、受光するレーザ光の発振波長が短いと感度が低下する。しかし、第1の半導体レーザ素子11をパッケージ本体19の中央部に設けるため、パッケージ本体19の中央部に設けられたフォトダイオード27に効率よく第1の半導体レーザ素子11より出射される青紫色レーザ光を照射することができる。
それにより、フォトダイオード27の光強度が増すのでフォトダイオード27に流れるモニタ電流が増加する。その結果、制御信号および雑音比の向上により、第1の半導体レーザ素子11の出力制御を正確に行なうことができる。
(第5の実施の形態)
以下、第5の実施の形態に係る半導体レーザ装置および光装置について説明する。
図23は、第5の実施の形態に係る半導体レーザ装置を示す外観斜視図である。
図23に示す半導体レーザ装置540は、図1の半導体レーザ装置500と同様に、導電性のパッケージ本体19、給電ピン21a〜21c,24および蓋体25からなる。第5の実施の形態に係る半導体レーザ装置540においては、第1の半導体レーザ素子11および第2の半導体レーザ素子12にさらに第3の半導体レーザ素子を備える。
次に、パッケージ本体19内の詳細について説明する。以下、半導体レーザ素子からのレーザ光が出射される方向を正面として説明する。
図24は図23の半導体レーザ装置540の蓋体25を外した状態を示す模式的正面図であり、図25は図23の半導体レーザ装置540の蓋体25を外した状態を示す模式的上面図である。以下、第1の実施の形態の半導体レーザ装置500と異なる点について説明する。
図24に示すように、パッケージ本体19と一体化された導電性の支持基体17上には、導電性の融着層18が形成される。導電性の融着層18は、AuSn(金錫)からなる。導電性の融着層18上には、副基板15が形成される。副基板15上には金属層16a,16b,16dが形成される。金属層16a,16b間には間隙16cが設けられ、金属層16b,16d間には間隙16eが設けられることにより電気的に絶縁されている。
金属層16a上には融着層13が形成され、金属層16b上には融着層14が形成され、金属層16d上には融着層30が形成される。融着層13,14,30は、導電性のAuSn(金錫)からなる。融着層13上には、第1の半導体レーザ素子11が接着され、融着層14上には第2の半導体レーザ素子12が接着され、融着層30上には第3の半導体レーザ素子29が接着される。
ここで、第1の半導体レーザ素子11は、第2の半導体レーザ素子12および第3の半導体レーザ素子29よりも蓋体25の取り出し窓25a(図1参照)の中心部に位置するように設けられる。
図24および図25に示すように、金属層16aは、ワイヤ22aにより給電ピン21aと電気的に接続される。この給電ピン21aは、絶縁リング20aによりパッケージ本体19と電気的に絶縁されている。また、金属層16bは、ワイヤ22cにより給電ピン21cと電気的に接続される。この給電ピン21cは、絶縁リング20cによりパッケージ本体19と電気的に絶縁されている。また、金属層16bは、ワイヤ26により第1の半導体レーザ素子11のn側電極11cと電気的に接続されている。第2の半導体レーザ素子12のn側電極12cは、ワイヤ23により支持基体17に電気的に接続されている。
第3の半導体レーザ素子29のn側電極29cは、ワイヤ31により支持基体17と電気的に接続される。金属層16dは、ワイヤ22bにより給電ピン21bに接続される。この給電ピン21bは、絶縁リング20bによりパッケージ本体19と電気的に絶縁されている。また、ワイヤ22a〜22c,23,26,31は、Au(金)からなる。
ここで、第5の実施の形態に係る第1の半導体レーザ素子11および第2の半導体レーザ素子12の構造は、図6および図7に示した第1の半導体レーザ素子11および第2の半導体レーザ素子12の構造と同様である。また、第3の半導体レーザ素子29は、p側のパッド電極(以下、p側パッド電極と呼ぶ)29b、n型GaAs(ガリウム砒素)基板29aおよびn側電極29cの順の積層構造を有する。第3の半導体レーザ素子29のp側パッド電極29bは、金属層16dと電気的に接続されている。また、第5の実施の形態における第3の半導体レーザ素子29は、n型GaAs基板29a上に形成された後述するAlGaAs系半導体層を含み、約790nmの波長(発振波長)を有する。
次に、図26は、半導体レーザ装置540の電気的配線を示す回路図である。
図26に示すように、第1の半導体レーザ素子11のp側パッド電極11bおよびn側電極11cは、パッケージ本体19と電気的に絶縁されている。第1の半導体レーザ素子11のp側パッド電極11bは給電ピン21aに接続されており、n側電極11cはワイヤ26,22cにより給電ピン21cに接続されている。第2の半導体レーザ素子12のp側パッド電極12bは、ワイヤ22cにより給電ピン21cに接続されており、第2の半導体レーザ素子12のn側電極12cはパッケージ本体19と電気的に接続されている。
また、第3の半導体レーザ素子29のp側パッド電極29bはワイヤ22bにより給電ピン21bに接続されており、第3の半導体レーザ素子29のn側電極29cはパッケージ本体19と電気的に接続されている。
次に、図27は、図26の半導体レーザ装置540を用いた光装置の電気的配線を示す回路図である。
図27に示すように、光装置は、半導体レーザ装置540、駆動回路501、直流電源502およびスイッチ507,508を備える。
図27の駆動回路501には、直流電圧Vを発生する直流電源(図示せず)が内蔵されている。この直流電圧Vは、第2の半導体レーザ素子12の発振開始電圧および第3の半導体レーザ素子29の発振開始電圧よりも高い。また、直流電源502は、負(逆極性)の直流電圧−Vaを出力する。
駆動回路501の陽極端子501aは、ノードeに接続される。ノードeは、スイッチ507の端子507aに接続されるとともに、半導体レーザ装置540の給電ピン21aに接続される。
駆動回路501の陰極端子501bは、ノードfに接続される。ノードfは、スイッチ508の端子508bに接続されるとともに、半導体レーザ装置540の給電ピン24に接続される。また、ノードfは、接地(0V)されている。
半導体レーザ装置540の給電ピン21bは、スイッチ507の端子507cに接続される。
半導体レーザ装置540の給電ピン21cは、ノードgに接続される。ノードgは、スイッチ507の端子507bに接続されるとともに、直流電源502の陰極側に接続される。直流電源502の陽極側は、スイッチ508の端子508aに接続される。
例えば、スイッチ507が端子507cに切り替えられるとともに、スイッチ508がオフすることにより、第3の半導体レーザ素子29に駆動回路501に内蔵された直流電源より直流電圧Vが印加される。それにより、第3の半導体レーザ素子29が赤外レーザ光を出射することができる。
一方、スイッチ507が端子507bに切り替えられるとともに、スイッチ508がオフすることにより、第2の半導体レーザ素子12に駆動回路501に内蔵された直流電源より直流電圧Vが印加される。それにより、第2の半導体レーザ素子12が赤色レーザ光を出射することができる。
さらに、スイッチ507が端子507bに切り替えられるとともに、スイッチ508が端子508aをオンすることにより、第1の半導体レーザ素子11のp側パッド電極11bに駆動回路501に内蔵された直流電源により直流電圧Vが印加されるとともに、第1の半導体レーザ素子11のn側電極11cに直流電源502の負の直流電圧−Vaが印加される。それにより、第1の半導体レーザ素子11には、駆動回路501の直流電圧と負の直流電源502の直流電圧との合計電圧V+Vaが第1の半導体レーザ素子11に印加される。それにより、第1の半導体レーザ素子11が青紫色レーザ光を出射することができる。
次に、第3の半導体レーザ素子29の構造について説明する。なお、第1の半導体レーザ素子11および第2の半導体レーザ素子12の構造は、図6および図7に示した第1の半導体レーザ素子11および第2の半導体レーザ素子12の構造と同じである。以下、赤外レーザ光を出射する半導体レーザ素子を赤外半導体レーザ素子と呼ぶ。
図28は赤外色半導体レーザ素子29の構造の詳細を説明するための模式的断面図である。図28においても図6および図7と同様に、X方向、Y方向およびZ方向を定義する。
第5の実施の形態において、赤外半導体レーザ素子29は、n側電極29c上にn型GaAs基板29aが形成され、n型GaAs基板29a上にAlGaAs系半導体層が形成される。このn型GaAs基板29aにはSiがドープされている。
図28(a)に示すように、n型GaAs基板29a上には、AlGaAs系半導体層として、n−GaAs層301、n−AlGaAsクラッド層302、アンドープAlGaAs光ガイド層303、MQW(多重量子井戸)活性層304、アンドープAlGaAs光ガイド層305、p−AlGaAs第1クラッド層306、p−AlGaAsエッチングストップ層307、p−AlGaAs第2クラッド層308およびp−GaAsコンタクト層309が順に形成される。これら各層の形成は、例えば、MOCVD法(有機金属化学気相成長法)により行われる。
図28(b)に示すように、MQW活性層304は2つのアンドープAlGaAs障壁層304aと3つのアンドープAlGaAs井戸層304bとが、交互に積層された構造を有する。
ここで、例えば、n−AlGaAsクラッド層302のAl組成は0.45であり、Ga組成は0.55である。n−GaAs層301およびn−AlGaAsクラッド層302にはSiがドープされている。
アンドープAlGaAs光ガイド層303のAl組成は0.35であり、Ga組成は0.65である。また、アンドープAlGaAs障壁層304aのAl組成は0.35であり、Ga組成は0.65である。アンドープAlGaAs井戸層304bのAl組成は0.10であり、Ga組成は0.90である。アンドープAlGaAs光ガイド層305のAl組成は0.35であり、Ga組成は0.65である。
さらに、p−AlGaAs第1クラッド層306のAl組成は0.45であり、Ga組成は0.55である。p−AlGaAsエッチングストップ層307のAl組成は0.70であり、Ga組成は0.30である。
p−AlGaAs第2クラッド層308のAl組成は0.45であり、Ga組成は0.55である。
p−AlGaAs第1クラッド層306、p−AlGaAsエッチングストップ層307、p−AlGaAs第2クラッド層308およびp−GaAsコンタクト層309にはZnがドープされている。
上記において、p−AlGaAsエッチングストップ層307上へのp−AlGaAs第2クラッド層308の形成は、p−AlGaAsエッチングストップ層307の一部(中央部)にのみ行われる。そして、p−AlGaAs第2クラッド層308の上面にp−GaAsコンタクト層309が形成される。
これにより、上記のAlGaAs系半導体層のうち、p−AlGaAs第2クラッド層308およびp−GaAsコンタクト層309により、X方向に延びるストライプ状のリッジ部Riが形成される。p−AlGaAs第2クラッド層308およびp−GaAsコンタクト層309からなるリッジ部Riは約2.8μmの幅を有する。
p−AlGaAsエッチングストップ層307の上面、p−AlGaAs第2クラッド層308の側面ならびにp−GaAsコンタクト層309の上面および側面に、SiNからなる絶縁膜310が形成され、p−GaAsコンタクト層309上に形成された絶縁膜310がエッチングにより除去される。そして、外部に露出したp−GaAsコンタクト層309上にCr/Auからなるp電極311が形成される。さらに、p電極311の上面を覆うように、スパッタ法、真空蒸着法または電子ビーム蒸着法によりp側パッド電極29bが形成される。
このように、n−GaAs基板29aの一面側に積層構造を有するAlGaAs系半導体層が形成される。
この赤外半導体レーザ素子29では、リッジ部Riの下方におけるMQW活性層304の位置に赤外発光点が形成される。なお、本例では、MQW活性層304が図1のpn接合面に相当する。
以上のことから、第5の実施の形態に係る半導体レーザ装置540は、第1の半導体レーザ素子11の駆動時には、第2の半導体レーザ素子12および第3の半導体レーザ素子29に逆方向の電圧が印加されて電流が流れないため、第1の半導体レーザ素子を独立して駆動することができる。
また、第1の半導体レーザ素子11、第2の半導体レーザ素子12および第3の半導体レーザ素子29を同一のパッケージ本体19に設けた場合でも、給電ピンの本数を従来の本数から増やさないようにすることができる。その結果、第1の半導体レーザ素子11、第2の半導体レーザ素子12および第3の半導体レーザ素子29から青紫色レーザ光、赤色レーザ光および赤外レーザ光を出射させることができるとともに、従来の半導体レーザ装置との互換性を維持することができる。
(請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応)
第1〜第5の実施の形態においては、n側電極11c,12c,29cが一方電極または他方電極に相当し、p側パッド電極11b,12b,29bが他方電極または一方電極に相当する。n側電極11c,12c,29cはカソードに相当し、p側パッド電極11b,12b,29bはアノードに相当する。フォトダイオード27のn側電極が一方電極または他方電極に相当し、p側電極27aが他方電極または一方電極に相当する。フォトダイオード27のn側電極はカソードに相当し、p側電極27aがアノードに相当する。
また、第1の半導体レーザ素子11が第1の半導体レーザ素子に相当し、青紫色レーザ光が第1の波長の光に相当し、第2の半導体レーザ素子12が第2の半導体レーザ素子に相当し、赤色レーザ光が第2の波長の光に相当し、第3の半導体レーザ素子29が第3の半導体レーザ素子に相当し、赤外レーザ光が第3の波長の光に相当する。
さらに、パッケージ本体19がパッケージに相当し、駆動回路501が第1の電源に相当し、直流電源502が第2の電源に相当する。
(他の実施の形態)
なお、第1〜第5の実施の形態においては、発振開始電圧が発振波長と一定の関係を有する第1の半導体レーザ素子11、第2の半導体レーザ素子12および第3の半導体レーザ素子29について説明したが、これに限定されず、本発明は発振開始電圧が発振波長と一定の関係を有さない半導体レーザ素子にも適用することができる。
また、第1〜第3および第5の実施の形態においては、駆動回路501は、直流電圧Vを発生する直流電源を内蔵しているが、これに限定されず、直流電圧に正弦波を重畳した電圧を発生する電源、または、パルス波形を重畳した電圧を発生する電源を内蔵していてもよい。
さらに、第1〜第5の実施の形態においては、第1〜第3の半導体レーザ素子11,12,29は、それぞれ、p側パッド電極が支持基体側になるように配置されているが、これに限定されず、n側電極が支持基体側になるように配置してもよい。
また、第1〜第5の実施の形態においては、第1〜第3の半導体レーザ素子11,12,29を横方向に並べて配置しているが、これに限定されず、第1〜第3の半導体レーザ素子11,12,29のうちいずれかの半導体レーザ素子の上に、他の半導体レーザ素子を積み重ねて配置してもよい。この場合、積み重ねた複数の半導体レーザ素子の各電極に異なった電圧を供給するために、半導体レーザ素子間に、それらを電気的に絶縁するための層を挿入配置してもよい。
具体的には、第1〜第4の実施の形態においては、例えば、波長の短い第1の半導体レーザ素子11の上に、絶縁層を挟んで、第2の半導体レーザ素子12を積み重ねて配置してもよい。また、第5の実施の形態においては、例えば、波長の短い第1の半導体レーザ素子11の上に、絶縁層を挟んで、第2の半導体レーザ素子12および第3の半導体レーザ素子29のうちいずれか一方を積み重ねて配置してもよいし、あるいは、第1の半導体レーザ素子11の上に、絶縁層を挟んで、第2の半導体レーザ素子12および第3の半導体レーザ素子29の両方を、横方向に並べる形で積み重ねて配置してもよい。
なお、第5の実施の形態において、波長の短い第1の半導体レーザ素子11の上に、絶縁層を挟んで、第2の半導体レーザ素子12および第3の半導体レーザ素子29の両方を、横方法に並べる形で配置する場合、第1の半導体レーザ素子11の発光点の直上近傍に第2の半導体レーザ素子12の発光点が位置するように配置してもよいし、第1の半導体レーザ素子11の発光点直上近傍に第3の半導体レーザ素子29の発光点が位置するように配置してもよい。さらに、第1の半導体レーザ素子11の発光点を挟む形で、第2の半導体レーザ素子12および第3の半導体レーザ素子29の発光点が両側に位置するように配置してもよい。また、第2の半導体レーザ素子12の発光点を挟む形で、第1の半導体レーザ素子11および第3の半導体レーザ素子29の発光点が両側に位置するように配置してもよいし、第3の半導体レーザ素子29の発光点を挟む形で、第1の半導体レーザ素子11および第2の半導体レーザ素子12の発光点が両側に位置するように配置してもよい。
また、第5の実施の形態において、第2の半導体レーザ素子12および第3の半導体レーザ素子29は、同一基板上に集積して形成されてもよい。