JP5191521B2 - タイヤ試験機に用いられる多分力計測スピンドルユニットの校正方法 - Google Patents
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Description
なお、本明細書で「荷重」と表現した際には、モーメントも含まれることとする。例えば、タイヤを走行ドラムへ押し付ける方向をz軸、タイヤ進行方向をx軸、タイヤ回転軸芯(スピンドル軸芯)方向をy軸とおくと、タイヤに作用する実荷重としては、タイヤ接地荷重Fz、タイヤ転がり抵抗力Fx(トラクティブ力)、タイヤ横力Fy(コーナーリングフォース)、z軸回りのモーメントであるセルフアライニングトルクMz、x軸回りのモーメントであるオーバーターニングモーメントMx、y軸回りのモーメントである転がり抵抗モーメントMyがある。
すなわち、特許文献2、特許文献3のスピンドルユニットにおいては、2つの多分力計測センサをスピンドル軸の軸芯方向に所定の距離を持って配備しており、特に特許文献3のスピンドルユニットにおいては、2つの多分力計測センサを剛性の高い円筒部材(スリーブ)で結合する構造となっており、多分力計測センサに作用するモーメント等を小さくでき、十分な耐荷重を得ることができる。
の結果、タイヤ試験を行った際に、2つの多分力計測センサで計測される計測荷重は、単純に外力の釣合条件からは求まらず、円筒部材及び多分力計測センサの剛性の関係により決まる撓みや撓み角の条件も、多分力計測センサの計測荷重に影響することとなる。
また、2つの多分力計測センサと円筒部材とが剛性の高い過剰な拘束状態となっていることから、特許文献2、特許文献3のスピンドルユニットのような構造は、熱の影響を受けやすいという問題がある。
このような状況を回避するための手段として、タイヤ試験に先立ち、多分力計測スピンドルユニットを校正する(校正試験を行う)ことが非常に有効である。
本発明に係る多分力計測スピンドルユニットの校正方法は、試験用のタイヤを装着可能なスピンドル軸と、該スピンドル軸が軸受部を介して回転自在に支持されるハウジングと、前記スピンドル軸の軸芯方向に沿って離れた位置に設けられると共にハウジングに固定され且つ前記スピンドル軸に作用する荷重を計測可能な2つの多分力計測センサとを備えた多分力計測スピンドルユニットを用いて、前記スピンドル軸に作用する荷重を計測する「計測工程」と、この計測工程で得られた計測荷重ベクトルとこの計測荷重ベクトルに作用する変換行列とを用いて、前記タイヤに働く実荷重ベクトルを求める「算出工程」と、を有するタイヤ試験方法に適用される校正方法であって、前記算出工程に先立って、複数の一次独立な試験条件の基で計測荷重ベクトルを計測し且つ得られた計測荷重ベクトルを基に前記変換行列を校正する「校正工程」を有していることを特徴とする。
好ましくは、前記2つの多分力計測センサは、スピンドル軸に作用する少なくとも並進3自由度の荷重を計測可能に構成されており、前記算出工程では、2つの多分力計測センサから出力される複数の出力値を基にm個の成分を有する計測荷重ベクトルを選定し、選定された計測荷重ベクトルに変換行列を作用させることで、タイヤで発生する実荷重から選定されたn個の成分(n≦m)を有する実荷重ベクトルを算出することとし、前記校正工程では、m種類の一次独立な試験条件となるように、各成分が既知とされた実荷重ベクトル、及び/又は、温度変化を多分力計測スピンドルユニットに対して与え、その上で、2つの多分力計測センサの出力値から前記計測荷重ベクトルを求め、求めた計測値ベクトルと、各成分が既知とされた実荷重ベクトルとを関係づけるような変換行列を算出し、算
出された変換行列を、前記算出工程における変換行列とするとよい。
例えば、試験用のタイヤに作用するn=2の荷重(Fx,Mz)のみを求めたい場合は、基本的には多分力計測センサの出力値fx1,fx2だけでよいことになる(Mzはfx1とfx2との線形結合で表される)。
ンドルユニットでは、一般に、多分力計測センサで計測されるmzはfx1とfx2の線形結合で表され、mxもfz1とfz2の線形結合で表される。よって、校正試験により求まった変換行列でタイヤの実荷重を算出する際には、必ずしも、モーメント成分は必要としない。また、Fyに関しても構造上fy1とfy2は独立の関係に無いことから、本発明では、多分力計測センサの出力fyをfy1+fy2としてまとめて取り扱うことにする。
12個の成分を有する計測荷重ベクトル(fx1,fx2,fz1,fz2,fy1,fy2,mx1,mx2,my1,my2,mz1,mz2)を選定し、選定された計測荷重ベクトルに変換行列を作用させることで、タイヤで発生する実荷重から選定された5個の成分を有する実荷重ベクトル(Fx,Fy,Fz,Mx,Mz)を求めることとし、前記校正工程では、12種類の一次独立な試験条件となるように、各成分が既知とされた実荷重ベクトル、及び/又は、温度変化を多分力計測スピンドルユニットに対して与え、その上で、2つの多分力計測センサの出力値から前記計測荷重ベクトルを求め、求めた計測値ベクトルと、各成分が既知とされた実荷重ベクトルとを関係づけるような変換行列(12×5行列又は5×12行列)を算出することは好ましい。
なお、本発明の最も好ましい形態は、試験用のタイヤを装着可能なスピンドル軸と、該スピンドル軸が軸受部を介して回転自在に支持されるハウジングと、前記スピンドル軸の軸芯方向に沿って離れた位置に設けられると共にハウジングに固定され且つ前記スピンドル軸に作用する荷重を計測可能な2つの多分力計測センサとを備えた多分力計測スピンドルユニットを用いて、前記スピンドル軸に作用する荷重を計測する「計測工程」と、この計測工程で得られた計測荷重ベクトルとこの計測荷重ベクトルに作用する変換行列とを用いて、前記タイヤに働く実荷重ベクトルを求める「算出工程」と、を有するタイヤ試験方法に適用される校正方法であって、前記算出工程に先立って、複数の一次独立な試験条件の基で計測荷重ベクトルを計測し且つ得られた計測荷重ベクトルを基に前記変換行列を校正する「校正工程」を有しており、前記2つの多分力計測センサは、スピンドル軸に作用する少なくとも並進3自由度の荷重を計測可能に構成されており、前記算出工程では、2つの多分力計測センサから出力される複数の出力値を基に5個の成分を有する計測荷重ベクトル(fx1,fx2,fz1,fz2,fy1+fy2)を選定し、選定された計測荷重ベクトルに変換行列Eを作用させることで、タイヤTで発生する実荷重(Fx,Fy,Fz,Mx,Mz)から選定されたn個(n≦5)の成分の実荷重ベクトルを求めることとし、前記校正工程では、5種類の一次独立な試験条件となるように、各成分が既知とされた実荷重ベクトル、及び/又は、温度変化を多分力計測スピンドルユニットに対して与え、その上で、2つの多分力計測センサの出力値から前記計測荷重ベクトルを求め、求めた計測値ベクトルと、各成分が既知とされた実荷重ベクトルとを関係づけるような変換行列E(5×n行列又はn×5行列)を算出し、算出された変換行列を前記算出工程における変換行列とすることを特徴とする。
なお、本発明の最も好ましい他の形態は、試験用のタイヤを装着可能なスピンドル軸と、該スピンドル軸が軸受部を介して回転自在に支持されるハウジングと、前記スピンドル軸の軸芯方向に沿って離れた位置に設けられると共にハウジングに固定され且つ前記スピンドル軸に作用する荷重を計測可能な2つの多分力計測センサとを備えた多分力計測スピンドルユニットを用いて、前記スピンドル軸に作用する荷重を計測する「計測工程」と、この計測工程で得られた計測荷重ベクトルとこの計測荷重ベクトルに作用する変換行列とを用いて、前記タイヤに働く実荷重ベクトルを求める「算出工程」と、を有するタイヤ試験方法に適用される校正方法であって、前記算出工程に先立って、複数の一次独立な試験条件の基で計測荷重ベクトルを計測し且つ得られた計測荷重ベクトルを基に前記変換行列を校正する「校正工程」を有しており、前記2つの多分力計測センサは、スピンドル軸に作用する少なくとも並進3自由度の荷重を計測可能であると共に、少なくともタイヤ進行方向及びタイヤ荷重方向回りのモーメントが計測可能に構成されており、前記算出工程では、2つの多分力計測センサから出力される複数の出力値を基にm個の成分を有する計測荷重ベクトルを選定し、選定された計測荷重ベクトルに変換行列を作用させることで、タイヤTで発生する実荷重から選定されたn個の成分(n≦m)を有する実荷重ベクトルを算出することとし、前記校正工程では、m種類の一次独立な試験条件となるように、各成分が既知とされた実荷重ベクトル、及び/又は、温度変化を多分力計測スピンドルユニットに対して与え、その上で、2つの多分力計測センサの出力値から前記計測荷重ベクトルを求め、求めた計測値ベクトルと、各成分が既知とされた実荷重ベクトルとを関係づけるような変換行列を算出し、算出された変換行列を前記算出工程における変換行列とすることを特徴とする。
図1に、本実施形態に係る多分力計測スピンドルユニット1の概略構造を示す。
本実施形態の多分力計測スピンドルユニット1は、走行状態にあるタイヤTの動的特性、例えば、タイヤTの転がり抵抗などを測定するタイヤ試験機2を構成するものであり、タイヤ試験機2のフレーム3に取り付けられている。
詳しくは、多分力計測スピンドルユニット1のハウジング5は二重筒構造となっており、軸芯が水平方向を向くように配備された円筒状のインナースリーブ7(内筒体)の内部に、スピンドル軸4が水平状に挿入されており、軸受部6を介してインナースリーブ7に回転自在に支持されている。インナースリーブ7は、このインナースリーブ7より径大となっている円筒状のアウタースリーブ8(外筒体)内に、同軸状に挿入されている。インナースリーブ7とアウタースリーブ8とは軸芯方向に略同尺であり、それぞれの端部が外観円盤状のロードセル9(多分力計測センサ)により互いに連結されている。このような構成を備えた多分力計測スピンドルユニット1は、そのアウタースリーブ8がタイヤ試験機2のフレーム3に取り付けられるものとなっている。
本実施形態のロードセル9は、外観が円盤状であり、中央に配備されたリング形状の着力体10を有している。着力体10の中心に設けられた開口11にはスピンドル軸4が遊嵌状態で貫通するものとなっている。着力体10の径方向外側には、リング形状の固定体12が配備されている。着力体10と固定体12とは同中心となるように配備されていて、着力体10と固定体12とは径方向に放射状に伸びる複数(4つ)の梁部材13(起歪体)により連結されている。
例えば、着力体10にx軸方向の荷重fxが作用した場合は、上下方向に伸びる起歪体13に図2(a)の紙面内での曲げ変形が発生し、その曲げ歪みが歪ゲージ51〜54で検知され計測荷重fxに換算される。計測荷重fzの場合は、左右方向に伸びる起歪体13に曲げが発生する。計測荷重fyの作用時は4つの起歪体13が図2(b)の紙面貫通方向に曲げ変形する。一方、着力体10にモーメントmxが作用した場合は、左右方向に伸びる起歪体13は捩れ、上下方向に伸びる起歪体13が紙面貫通方向に曲げ変形する。上下方向に伸びる起歪体13に貼られた67〜70の歪ゲージにより、この曲げモーメントを検知する。モーメントmzが作用した場合には、左右方向に伸びる起歪体13に曲げが発生する。モーメントmyが作用した場合には、4つ全ての起歪体13が紙面面内方向に変形する。
、スピンドル軸4→軸受部6→インナースリーブ7→ロードセル9の着力体10へと力が伝わった上で、ロードセル9の検知部14により、計測荷重が計測される(計測工程)。
次に、ロードセル9の検知部14により計測された計測荷重(計測荷重ベクトル)から、タイヤTに作用している実荷重(実荷重ベクトル)を算出する手法について述べる(算出工程)。
便宜的に、図3に示す「x−y平面内の簡略化モデル」を利用して説明を進める。
詳しくは、多分力計測スピンドルユニット1では、2つのロードセル9が剛性の高い部材(インナースリーブ7及びアウタースリーブ8)で結合されることにより、二つのロードセル9間で並進と回転が拘束された不静定すなわち過拘束状態となり、その結果、タイ
ヤT荷重が作用した際に、二つのロードセル9で観測される荷重やモーメントは、単純に外力の釣合条件からは求まらず、スリーブおよび多軸ロードセル9の剛性の関係により決まる撓みや撓み角の条件もロードセル9の計測値に影響することになる。
また、剛性の高い過剰な拘束状態となっていることから、熱の影響を受けやすいという問題がある。わずかな熱歪みが生じても、スピンドルユニット1内部には大きな内力が発生する。スピンドル軸4を支持する軸受部6が熱源となり、その熱はユニット全体に伝わり温度分布が生じる。この結果、スピンドルユニット1に歪みが生じ、その熱変形がロードセル9に強制変形力として作用して、タイヤT荷重とは関係の無い荷重が計測され誤差となって現れる。加えて、ロードセル9がモーメント出力の無い三分力計の場合には、式(2)は適用できない。
以下、本発明の特徴的な技術である「多分力計測スピンドルユニットの校正方法」について述べる。
[校正試験(1)]
まず、ロードセル9で計測される計測値と、タイヤTに作用する作用力との関係が、式(3)のように、変換行列Eにより変換されるとする。この変換行列Eの各成分を校正試験により求める。
次に、ロードセル9荷重のfyをfy1+fy2として扱った理由を説明する。
スピンドル軸4にの軸芯に沿った荷重であり、互いに分離できない値)である。タイヤ実荷重Fyはロードセル9のy方向の荷重およびインナースリーブ7の縦剛性により求まる比で、荷重分配される。式(4)および式(5)の変換行列の算出の際に、fy1とfy2を分離して取り扱うと、ロードセル9の荷重行列Xが一次独立とならずに、逆行列や疑似逆行列が求まらない。式(2)から明らかな様に、タイヤ実荷重Fyはロードセル9の計測荷重fy1+fy2で表されるために、式(3)でも和の形で扱うことができる。
本実施形態の多分力計測スピンドルユニット1は、ロードセル9のx,z方向の荷重に対して不静定な構造となっていることは前述したとおりである。それ故に、2つのロードセル9の荷重は単純な外力の釣合条件からでは求まらずに、外力とロードセル9や各部の剛性により求まる撓みや撓み角の関係をも用いて荷重を計算する必要がある。
[校正試験(2)]
次に、本実施形態における他の校正試験について述べる。
[校正試験(3)]
さらに、本実施形態における他の校正試験について述べる。
本校正試験では、ロードセル9で計測される計測値と、タイヤTに作用する作用力との関係が、式(11)のように、5×10の変換行列Eにより変換されるとする。この変換行列Eの各成分を校正試験により求める。
[校正試験(4)]
さらに、本実施形態における他の校正試験について述べる。
した荷重条件を与えたものに加えて、式(13)で表される条件を加えることにより精度が改善される。
[校正試験を行った結果]
最後に、以上述べた多分力計測スピンドルユニット1の校正方法を実施した際の結果について説明する。
この校正試験では、図6に示すような5種類の試験条件を与えて試験を行った。すなわち、校正試験においての荷重状態は、図6(a)に示すFx荷重(トラクティブ力)を付与する条件、図6(b)に示すFy荷重(タイヤT軸荷重)を付与する条件、図6(c)に示すFz荷重(車体荷重)を付与する条件があり、加えて、図6(d)に示すMxモーメントを付与する条件、図6(d)に示すMzモーメントを付与する条件がある。
図7に、タイヤTに作用する実荷重の計測精度の検証結果として、FxおよびFzに対する計測精度を示す。
図9に結果を示す。図9における○は、校正試験(2)を行った後のFx計測誤差を示したものであり、荷重に対する計測誤差がほとんど無いことが確認できる。その後、タイヤ試験を行い、その直後にFx計測誤差を計測した。その結果を●で示している。●のグラフから明らかなように、タイヤ試験終了直後に精度検証試験をしたところ、校正試験(2)を行っている故に、スピンドルユニット1内に温度分布が存在した後も、荷重に対する計測誤差がほとんど無いことがわかる。
例えば、本実施形態で示した校正式は、ロードセル9からの歪信号出力値を荷重やモーメントに換算したものを基に記述しているが、実際の荷重演算においては、ロードセル9の歪み信号を荷重やモーメントに変換する行列と、本発明によるロードセル荷重をタイヤ荷重に変換する行列Eを、あらかじめ合成して一つの行列としておくことが望ましい。このことにより、ロードセル9の歪み信号から直接タイヤ荷重を計算することが出来、計算時に発生する桁落ち誤差を低減するとともに、計算時間の短縮化が図れる。
2 タイヤ試験機
3 フレーム
4 スピンドル軸
5 ハウジング
6 軸受部
7 インナースリーブ
8 アウタースリーブ
9 ロードセル
10 着力体
11 開口
12 固定体
13 起歪体(梁部材)
14 検知部
51〜82 歪ゲージ
T タイヤ
Claims (5)
- 試験用のタイヤを装着可能なスピンドル軸と、該スピンドル軸が軸受部を介して回転自在に支持されるハウジングと、前記スピンドル軸の軸芯方向に沿って離れた位置に設けられると共にハウジングに固定され且つ前記スピンドル軸に作用する荷重を計測可能な2つの多分力計測センサとを備えた多分力計測スピンドルユニットを用いて、前記スピンドル軸に作用する荷重を計測する「計測工程」と、この計測工程で得られた計測荷重ベクトルとこの計測荷重ベクトルに作用する変換行列とを用いて、前記タイヤに働く実荷重ベクトルを求める「算出工程」と、を有するタイヤ試験方法に適用される校正方法であって、
前記算出工程に先立って、複数の一次独立な試験条件の基で計測荷重ベクトルを計測し且つ得られた計測荷重ベクトルを基に前記変換行列を校正する「校正工程」を有しており、
前記2つの多分力計測センサは、スピンドル軸に作用する少なくとも並進3自由度の荷重を計測可能に構成されており、
前記算出工程では、2つの多分力計測センサから出力される複数の出力値を基に5個の成分を有する計測荷重ベクトル(fx1,fx2,fz1,fz2,fy1+fy2)を選定し、選定された計測荷重ベクトルに変換行列Eを作用させることで、タイヤTで発生する実荷重(Fx,Fy,Fz,Mx,Mz)から選定されたn個(n≦5)の成分の実荷重ベクトルを求めることとし、
前記校正工程では、5種類の一次独立な試験条件となるように、各成分が既知とされた実荷重ベクトル、及び/又は、温度変化を多分力計測スピンドルユニットに対して与え、その上で、2つの多分力計測センサの出力値から前記計測荷重ベクトルを求め、求めた計測値ベクトルと、各成分が既知とされた実荷重ベクトルとを関係づけるような変換行列E(5×n行列又はn×5行列)を算出し、算出された変換行列を前記算出工程における変換行列とすることを特徴とする多分力計測スピンドルユニットの校正方法。 - 試験用のタイヤを装着可能なスピンドル軸と、該スピンドル軸が軸受部を介して回転自在に支持されるハウジングと、前記スピンドル軸の軸芯方向に沿って離れた位置に設けられると共にハウジングに固定され且つ前記スピンドル軸に作用する荷重を計測可能な2つの多分力計測センサとを備えた多分力計測スピンドルユニットを用いて、前記スピンドル軸に作用する荷重を計測する「計測工程」と、この計測工程で得られた計測荷重ベクトルとこの計測荷重ベクトルに作用する変換行列とを用いて、前記タイヤに働く実荷重ベクトルを求める「算出工程」と、を有するタイヤ試験方法に適用される校正方法であって、
前記算出工程に先立って、複数の一次独立な試験条件の基で計測荷重ベクトルを計測し且つ得られた計測荷重ベクトルを基に前記変換行列を校正する「校正工程」を有しており、
前記2つの多分力計測センサは、スピンドル軸に作用する少なくとも並進3自由度の荷重を計測可能であると共に、少なくともタイヤ進行方向及びタイヤ荷重方向回りのモーメントが計測可能に構成されており、
前記算出工程では、2つの多分力計測センサから出力される複数の出力値を基にm個の成分を有する計測荷重ベクトルを選定し、選定された計測荷重ベクトルに変換行列を作用させることで、タイヤTで発生する実荷重から選定されたn個の成分(n≦m)を有する実荷重ベクトルを算出することとし、
前記校正工程では、m種類の一次独立な試験条件となるように、各成分が既知とされた実荷重ベクトル、及び/又は、温度変化を多分力計測スピンドルユニットに対して与え、その上で、2つの多分力計測センサの出力値から前記計測荷重ベクトルを求め、
求めた計測値ベクトルと、各成分が既知とされた実荷重ベクトルとを関係づけるような変換行列を算出し、算出された変換行列を前記算出工程における変換行列とすることを特徴とする多分力計測スピンドルユニットの校正方法。 - 前記算出工程では、2つの多分力計測センサから出力される複数の出力値を基に9個の成分を有する計測荷重ベクトル(fx1,fx2,fz1,fz2,fy1+fy2,mx1,mx2,mz1,mz2)を選定し、選定された計測荷重ベクトルに変換行列Eを作用させることで、タイヤTで発生する実荷重から選定された5個の成分を有する実荷重ベクトル(Fx,Fy,Fz,Mx,Mz)を求めることとし、
前記校正工程では、9種類の一次独立な試験条件となるように、各成分が既知とされた実荷重ベクトル、及び/又は、温度変化を多分力計測スピンドルユニットに対して与え、その上で、2つの多分力計測センサの出力値から前記計測荷重ベクトルを求め、求めた計測値ベクトルと、各成分が既知とされた実荷重ベクトルとを関係づけるような変換行列E(9×5行列又は5×9行列)を算出することを特徴とする請求項2に記載の多分力計測スピンドルユニットの校正方法。 - 前記算出工程では、2つの多分力計測センサから出力される複数の出力値を基に10個の成分を有する計測荷重ベクトル(fx1,fx2,fz1,fz2,fy1,fy2,mx1,mx2,mz1,mz2)を選定し、選定された計測荷重ベクトルに変換行列Eを作用させることで、タイヤTで発生する実荷重から選定された5個の成分を有する実荷重ベクトル(Fx,Fy,Fz,Mx,Mz)を求めることとし、
前記校正工程では、10種類の一次独立な試験条件となるように、各成分が既知とされた実荷重ベクトル、及び/又は、温度変化を多分力計測スピンドルユニットに対して与え、その上で、2つの多分力計測センサの出力値から前記計測荷重ベクトルを求め、求めた計測値ベクトルと、各成分が既知とされた実荷重ベクトルとを関係づけるような変換行列E(10×5行列又は5×10行列)を算出することを特徴とする請求項2に記載の多分力計測スピンドルユニットの校正方法。 - 前記算出工程では、2つの多分力計測センサから出力される複数の出力値を基に12個の成分を有する計測荷重ベクトル(fx1,fx2,fz1,fz2,fy1,fy2,mx1,mx2,my1,my2,mz1,mz2)を選定し、選定された計測荷重ベクトルに変換行列Eを作用させることで、タイヤTで発生する実荷重から選定された5個の成分を有する実荷重ベクトル(Fx,Fy,Fz,Mx,Mz)を求めることとし、
前記校正工程では、12種類の一次独立な試験条件となるように、各成分が既知とされた実荷重ベクトル、及び/又は、温度変化を多分力計測スピンドルユニットに対して与え、その上で、2つの多分力計測センサの出力値から前記計測荷重ベクトルを求め、求めた計測値ベクトルと、各成分が既知とされた実荷重ベクトルとを関係づけるような変換行列E(12×5行列又は5×12行列)を算出することを特徴とする請求項2に記載の多分力計測スピンドルユニットの校正方法。
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