JP5190673B2 - エンドミルによるポケット切削方法 - Google Patents
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Description
ここで図6を用いて、円柱状空間のポケット形状における従来の仕上げ切削について説明する。まず、ポケットPoの底面には底面仕上げ取り代Rtが残されており、ポケットPoの壁面には壁面仕上げ取り代Rkが残されている。これらをエンドミルTにて切削して仕上げ形状を得る。図6(B)はポケットPoを開口側から見た平面図を示しており、図6(A)は図6(B)におけるCC断面図を示している。なお、ポケットPoの形状は円柱状に限定されるものではない。
図6(A)に示すように、従来の切削方法では、まずエンドミルTをポケット入口から所定距離L[1]挿入した位置にて、エンドミルT[1]をポケットの内壁に沿って工具回転軸TZに直交する方向に移動させて、エンドミルTの工具側面にて壁面仕上げ取り代Rk[1](図6(C)参照)を切削している。ここで距離L[1]をあまり長くすると、エンドミルTの工具側面による切削量が多くなり、切削抵抗が増大し、工具振動が発生して加工精度が低下する場合があるため、適切な距離(壁面仕上げ深さ)が設定される。
続いて、エンドミルTを更に所定距離L[2]挿入し、エンドミルT[2]をポケットの内壁に沿って工具回転軸TZに直交する方向に移動させて、エンドミルTの工具側面にて壁面仕上げ取り代Rk[2](図6(C)参照)を切削している。この作業を繰り返し、エンドミルTの先端が底面仕上げ取り代Rtに達したエンドミルT[3]の位置では、壁面仕上げ取り代Rk[3]と底面仕上げ取り代Rt[3]とを切削している。
ここで、エンドミルT[3]の位置では、底面仕上げ取り代Rtと壁面仕上げ取り代Rkとが重なる位置のコーナー取り代Cnの切削では壁面仕上げ取り代Rk[3]と底面仕上げ取り代Rt[3]とを同時に切削するため、切削抵抗が増大して工具振動が発生し、加工精度が低下する場合がある。そこで、この工具振動の発生を防止するために、従来では、コーナー取り代Cnの切削では、エンドミルTの送り速度を小さくしている。
しかし、このコーナー取り代Cnの送り速度によって切削工程全体の送り速度が小さくなることで加工時間が長くなり、加工効率が低下している。
そこで、特許文献1に記載された従来技術では、エンドミルの形状を改良することで、コーナー取り代Cnの切削においてもエンドミルの送り速度を従来よりも高い速度で送ることが可能で加工効率を向上させることができるラジアスエンドミルが提案されている。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、既存のエンドミルを用いて、切削方法を変更することで、加工精度を低下させることなく、より大きな送り速度で切削して加工効率をより向上させることができる、エンドミルによるポケット切削方法を提供することを課題とする。
請求項1に記載のエンドミルによるポケット切削方法は、略円柱状の工具の先端部中央から先端部外周へ、更に先端部外周から工具側面の後端側に向けて延びる刃が設けられて工具回転軸回りに回転するエンドミルを用いて、底面と壁面の各々に仕上げ取り代が残されたポケットを仕上げ切削する、エンドミルによるポケット切削方法である。
前記ポケットの仕上げ取り代は、前記底面に沿った底面仕上げ取り代と、前記壁面に沿った壁面仕上げ取り代と、前記底面仕上げ取り代と前記壁面仕上げ取り代とが重なる位置となるコーナー取り代とからなり、前記ポケットの底面に対して前記工具回転軸が直交するように、前記ポケットと前記エンドミルを配置し、前記エンドミルを用いて、第1の切削工程にて、前記コーナー取り代を除いた前記底面仕上げ取り代、または前記コーナー取り代を除いた前記壁面仕上げ取り代、の一方の取り代のみを先に切削する。
そして、前記第1の切削工程に続く第2の切削工程にて、前記コーナー取り代を含めて残った取り代を切削し、前記コーナー取り代を除いた前記底面仕上げ取り代と、前記コーナー取り代を除いた前記壁面仕上げ取り代と、を同時に切削することなく別々に切削する、エンドミルによるポケット切削方法である。
請求項2に記載のエンドミルによるポケット切削方法は、請求項1に記載のエンドミルによるポケット切削方法である。
前記第1の切削工程では、前記ポケットの底面の中央近傍に前記エンドミルの先端を配置し、前記ポケットの底面に対して前記エンドミルを前記工具回転軸の軸線方向に相対的に底面仕上げ深さだけ切り込んで、前記エンドミルの先端部の面に設けられた底面刃を用いて切削する切り込み切削を行い、続いて、前記切り込んだ位置から、前記ポケットに対して前記エンドミルを前記工具回転軸に直交する方向に相対的に移動させて、前記壁面仕上げ取り代を切削することなく、前記底面仕上げ深さ分の前記コーナー取り代を除いた前記底面仕上げ取り代を、前記エンドミルの工具側面に設けられた側面刃を用いて切削する底面平坦部切削を行い、前記切り込み切削と前記底面平坦部切削とを前記コーナー取り代を除いた前記底面仕上げ取り代がなくなるまで繰り返し、前記コーナー取り代を除いた前記底面仕上げ取り代のみを前記壁面仕上げ取り代よりも先に切削する。
そして、前記第2の切削工程では、前記エンドミルの先端が前記ポケットの入口部から壁面仕上げ深さだけ挿入されるように前記エンドミルと前記ポケットを配置し、前記ポケットに対して前記エンドミルを前記工具回転軸に直交する方向に且つ前記ポケットの内壁に沿って相対的に移動させて、前記ポケットにおける前記壁面仕上げ深さ分の壁面仕上げ取り代を、前記エンドミルの前記側面刃を用いて切削する壁面等高線切削を行い、前記壁面等高線切削の後、前記エンドミルの先端を更に前記壁面仕上げ深さだけ挿入して前記壁面等高線切削を行って新たに前記壁面仕上げ深さ分の壁面仕上げ取り代を切削する作業を、前記ポケットの底面に達するまで順次繰り返し、前記コーナー取り代を含めて前記壁面仕上げ取り代を切削する、エンドミルによるポケット切削方法である。
請求項3に記載のエンドミルによるポケット切削方法は、請求項1に記載のエンドミルによるポケット切削方法である。
前記第1の切削工程では、前記エンドミルの先端が前記ポケットの入口部から壁面仕上げ深さだけ挿入されるように前記エンドミルと前記ポケットを配置し、前記ポケットに対して前記エンドミルを前記工具回転軸に直交する方向に且つ前記ポケットの内壁に沿って相対的に移動させて、前記底面仕上げ取り代を切削することなく、前記ポケットにおける前記壁面仕上げ深さ分の前記コーナー取り代を除いた前記壁面仕上げ取り代を、前記エンドミルの工具側面に設けられた側面刃を用いて切削する壁面等高線切削を行い、前記壁面等高線切削の後、前記エンドミルの先端を更に前記壁面仕上げ深さだけ挿入して新たな前記壁面等高線切削を行って新たに前記壁面仕上げ深さ分の前記コーナー取り代を除いた前記壁面仕上げ取り代を切削する作業を、前記ポケットの底面に達するまで順次繰り返し、前記コーナー取り代を除いた前記壁面仕上げ取り代のみを前記底面仕上げ取り代よりも先に切削する。
そして、前記第2の切削工程では、前記ポケットの底面の中央近傍に前記エンドミルの先端を配置し、前記ポケットの底面に対して前記エンドミルを前記工具回転軸の軸線方向に相対的に底面仕上げ深さだけ切り込んで、前記エンドミルの先端部の面に設けられた底面刃を用いて切削する切り込み切削を行い、続いて、前記切り込んだ位置から、前記ポケットに対して前記エンドミルを前記工具回転軸に直交する方向に相対的に移動させて、前記底面仕上げ深さ分の前記コーナー取り代を含めた前記底面仕上げ取り代を、前記エンドミルの前記側面刃を用いて切削する底面平坦部切削を行い、前記切り込み切削と前記底面平坦部切削とを前記コーナー取り代を含めた前記底面仕上げ取り代がなくなるまで繰り返し、前記コーナー取り代を含めて前記底面仕上げ取り代を切削する、エンドミルによるポケット切削方法である。
請求項4に記載のエンドミルによるポケット切削方法は、請求項1〜3のいずれかに記載のエンドミルによるポケット切削方法であって、前記ポケットの壁面と底面の境界部の形状は、前記壁面と前記底面とを滑らかに接続する円弧形状であり、前記円弧形状に応じた曲率の湾曲部が前記先端部外周の近傍の刃に設けられているラジアスエンドミルを用いて切削する、エンドミルによるポケット切削方法である。
そして、コーナー取り代を除いた底面仕上げ取り代と、コーナー取り代を除いた壁面仕上げ取り代と、の双方の取り代を同時に切削しないことで、切削抵抗が増加することを回避する。
これにより、加工精度を低下させることなく、より大きな送り速度で切削することができる。従って、切削工程全体の送り速度をより大きくすることが可能となり、既存のエンドミルを用いて加工効率をより向上させることができる。
上記の順序で切削することで、コーナー取り代を除いた底面仕上げ取り代と、コーナー取り代を除いた壁面仕上げ取り代と、の双方の取り代を同時に切削することなく、切削抵抗が増加することを回避する。
これにより、既存のエンドミルを用いて、加工精度を低下させることなく、より大きな送り速度で切削することが可能となり、加工効率をより向上させることができる。
上記の順序で切削することで、コーナー取り代を除いた底面仕上げ取り代と、コーナー取り代を除いた壁面仕上げ取り代と、の双方の取り代を同時に切削することなく、切削抵抗が増加することを回避する。
これにより、既存のエンドミルを用いて、加工精度を低下させることなく、より大きな送り速度で切削することが可能となり、加工効率をより向上させることができる。
工作機械そのものは、以下に説明するように、既存の工作機械1を流用することができる。本発明は、後述するエンドミルTの送り方法(切削方法)に特徴がある。
エンドミルT及び工具ホルダTaは、主軸22に取り付けられている。主軸22は、主軸回転駆動モータ23により、Z軸方向に平行な主軸回転軸回りに回転する。また、ワークWはベッド10上に固定されたワークテーブル24に固定されている。
主軸回転駆動モータ23はZ軸スライドテーブル16に載置されており、Z軸駆動モータ21によって、コラム12内でZ軸方向に往復移動が可能である。
主軸回転駆動モータ23とZ軸スライドテーブル16とZ軸駆動モータ21は一体となって、コラム12に設けられたY軸駆動モータ20によって、Y軸案内レール13に沿ってY軸方向に往復移動が可能である。
また、コラム12は、X軸駆動モータ19によって、基台であるベッド10に対してX軸案内レール11に沿ってX軸方向に往復移動が可能である。
また、コラム12の上方に設けられた工具マガジン50には、種々の工具ホルダTaに取り付けられた種々の加工工具(エンドミルTを含む)が収容されている。工作機械1は、制御装置(図示省略)からの制御信号に基づいて、主軸22を工具マガジン50に隣接する工具交換位置に位置決めし、工具マガジン50内のマガジンを回転させて所望する工具ホルダTaを備えた加工工具を割り出して自動的に交換することができる。
また図2に示すように、クーラントタンク60は、ベッド10に挿入される収容部65と、排出タンク部64とが一体的に形成されている。
収容部65には、切屑を含んだクーラント液が流れ込む回収孔60Kが設けられており、クーラント液に含まれた切屑を切屑排出口66まで搬送するコンベア61の一部が収容されている。また、排出タンク部64には、切屑を切屑排出口66まで搬送するコンベア61の残りの部分と、コンベア61を駆動するコンベア駆動モータ62と、クーラント液から分離した切屑を排出する切屑排出口66と、切屑を分離したクーラント液を吸い出すポンプ63等が設けられている。
図3(A)は、先端部の底面Mtと、工具側面Msとの境界部分がほぼ直角なフラットエンドミルTの外観の例を示し、図3(B)は、先端部の底面Mtと、工具側面Msとの境界部分が円弧状に形成された湾曲部Bwを有するラジアスエンドミルTの外観の例を示している。なお、工作機械1とともにエンドミルTも既存のエンドミルTを流用することができる。
フラットエンドミルTは、略円柱状の工具の先端部中央Tcから先端部外周へ、更に先端部外周から工具側面Msの後端側に向けて延びる刃Brが設けられている。
ラジアスエンドミルTの刃Brも同様に設けられており、刃Brにおける底面Mtと工具側面Msとの境界部分には湾曲部Bwが設けられている。ラジアスエンドミルTの場合、湾曲部Bwは底面Mtに含まれるとともに工具側面Msにも含まれる。
本実施の形態の説明では、エンドミルを工具回転軸TZの軸線方向に移動させた際に対象を切削する部分を底面Mtとして、エンドミルを工具回転軸TZに直交する方向に移動させた際に対象を切削する部分を工具側面Msとしている。
また、底面Mtに設けられた刃を底面刃と記載し、工具側面Msに設けられた刃を側面刃と記載する。従って、ラジアスエンドミルの場合、湾曲部Bwの刃は、底面刃であるとともに側面刃でもある。
第1の実施の形態における、エンドミルによるポケット切削方法では、底面仕上げ取り代Rtと壁面仕上げ取り代Rkが残されたポケットPoの仕上げ切削において、まず図4(C)に示すコーナー取り代Cnを除いた底面仕上げ取り代Rtを第1の切削工程にて切削し、その後、コーナー取り代Cnを含めた壁面仕上げ取り代Rkを第2の切削工程(図5参照)にて切削する。
なお、底面仕上げ取り代RtはポケットPoの底面(ポケットPoの開口部から最も遠い面)に沿って残されている取り代であり、壁面仕上げ取り代RkはポケットPoの壁面(ポケットPoの開口部に隣接した面)に沿って残されている取り代である。また、底面仕上げ取り代Rtと壁面仕上げ取り代Rkとが重なる位置の取り代をコーナー取り代Cnとする。
以下の説明では、フラットエンドミルを用いた例で説明する。
まず、図4を用いて、コーナー取り代Cnを除いた底面仕上げ取り代Rtのみを切削する第1の切削工程について説明する。
図4(B)はポケットPoを開口方向から見た図であり、図4(A)は図4(B)におけるAA断面図である。
図4(A)に示すように、工具回転軸TZ回りに回転するエンドミルTに対して、ポケットPoの底面が工具回転軸TZに直交するように、且つポケットPoの底面の中央近傍にエンドミルTの先端が位置するように、ポケットPoとエンドミルTを配置する。
そして、ポケットPoに対してエンドミルTを工具回転軸TZの軸線方向に相対的に底面仕上げ深さS[1]だけ切り込んで、エンドミルTの先端部の面(底面刃)を用いて切削する切り込み切削を行う。
続いて、図4(B)に示すように、切り込んだ位置からエンドミルTを、ポケットPoに対して工具回転軸TZに直交する方向に相対的に移動させて(螺旋を描くように)繰り広げるように切削し、壁面仕上げ取り代Rkを切削することなく、底面仕上げ深さ分(この場合、S[1]分の深さ)の、コーナー取り代Cnを除いた底面仕上げ取り代Rtを、エンドミルTの工具側面(側面刃)を用いて切削する底面平坦部切削を行う。
図4(C)におけるハッチング部が、コーナー取り代Cnを除いた底面仕上げ取り代Rtである。なお、コーナー取り代Cnは壁面仕上げ取り代Rkとして第2の切削工程にて切削する。
続いて、図5を用いて、コーナー取り代Cnを含めた壁面仕上げ取り代Rkを切削する第2の切削工程について説明する。
図5(B)はポケットPoを開口方向から見た図であり、図5(A)は図5(B)におけるBB断面図である。
第1の切削工程の後、まず、図5(A)に示すように、エンドミルTの先端部がポケットPoの入口部から壁面仕上げ深さL[1]だけ挿入されるようにエンドミルT[1]とポケットPoを配置する。そして、エンドミルT[1]を、ポケットPoに対して工具回転軸TZに直交する方向に且つポケットPoの内壁に沿うように相対的に移動させて、ポケットPoにおける壁面仕上げ深さ分の壁面仕上げ取り代Rk[1](図5(C)参照)を、エンドミルT[1]の工具側面(側面刃)を用いて切削する壁面等高線切削を行う。
図5の例では、エンドミルT[3]の工具側面(側面刃)を用いて壁面仕上げ取り代Rk[3]を切削する壁面等高線切削にて、ポケットPoの底面(仕上げ形状の位置)に達したので、この壁面仕上げ取り代Rk[3]の切削にて第2の切削工程は終了である。
なお、壁面仕上げ深さL[n]だけエンドミルを挿入する前に、ポケットPoの底面までの距離と壁面仕上げ深さL[n]とを比較し、小さいほうの距離だけエンドミルTを挿入していけば、エンドミルTとポケットPoの底面との衝突を避けることができる。
第2の実施の形態は、第1の実施の形態に対して、底面仕上げ取り代Rtと壁面仕上げ取り代Rkの切削順序を逆にする。すなわち、第1の切削工程にて、コーナー取り代Cnを除いた壁面仕上げ取り代Rkを先に切削し、その後、第2の切削工程にて、コーナー取り代Cnを含めた底面仕上げ取り代Rtを切削する。
第1の切削工程では、まず、工具回転軸TZ回りに回転するエンドミルTに対して、ポケットPoの底面が工具回転軸TZに直交するように、且つエンドミルの先端部がポケットPoの入口部から壁面仕上げ深さL[1]だけ挿入されるように(図5(A)参照)、エンドミルT[1]とポケットPoを配置する。そして、エンドミルT[1]を、ポケットPoに対して工具回転軸TZに直交する方向に且つポケットPoの内壁に沿うように相対的に移動させて、ポケットPoにおける壁面仕上げ深さ分の壁面仕上げ取り代Rk[1](図5(C)参照)を、エンドミルT[1]の工具側面(側面刃)を用いて切削する壁面等高線切削を行う。
以下、壁面仕上げ取り代Rk[2]、壁面仕上げ取り代Rk[3](第2の実施の形態では、コーナー取り代Cnを除く)を切削し、コーナー取り代Cnを除いた壁面仕上げ取り代Rkのみを切削する。なお、コーナー取り代Cnは底面仕上げ取り代Rtとして残し、第2の切削工程にて切削する。
次に、第2の切削工程について説明する。
上記のコーナー取り代Cnを除いた壁面仕上げ取り代Rkを先行して切削した後、エンドミルTを、ポケットPoの底面の中央近傍に、ポケットPoに対して工具回転軸TZの軸線方向に相対的に底面仕上げ深さS[1]だけ切り込ませて、エンドミルTの先端部の面(底面刃)を用いて切削する切り込み切削を行う。
続いて、図4(B)に示すように、切り込ませた位置からエンドミルTを、ポケットPoに対して工具回転軸TZに直交する方向に相対的に移動させて(螺旋を描くように)繰り広げるように切削し、壁面の仕上げ形状の位置まで、エンドミルTの工具側面(側面刃)を用いて切削する底面平坦部切削を行う(第2の実施の形態では、コーナー取り代Cnも含めて切削する)。すなわち、仕上げ深さS[1]分の、コーナー取り代Cnを含めた底面仕上げ取り代Rtを切削する。
そして、底面の仕上げ形状の位置に達するまで、上記の切り込み切削と底面平坦部切削とを順次繰り返す。
そして、第2の切削工程にて、コーナー取り代Cnを含めて残った取り代を切削し、コーナー取り代Cnを除いた底面仕上げ取り代Rtと、コーナー取り代Cnを除いた壁面仕上げ取り代Rkと、を同時に切削することなく、別々に切削する。
これにより、既存のエンドミルを用いて切削方法を変更することで、切削抵抗を増加させることなく、コーナー取り代Cn部分の切削において、従来よりも高い送り速度で、且つ従来と同等以上の精度で切削することができる。
最も送り速度が小さくなるコーナー取り代Cn部分において、従来よりも高い送り速度とすることができるので、この送り速度に伴って切削工程全体の送り速度が必要以上に小さくなることがない。従って、全体の加工時間がより短くなり、加工効率を向上させることができる。
これにより、切削工程全体の送り速度が従来のように小さくなることがなく、加工効率を向上させることができる。
また、本実施の形態の説明では、ワークWに対してエンドミルTをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動させたが、エンドミルTに対してワークWをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動させる構成にすることもできる。従って、エンドミルTはワークWに対して相対的にX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動するものである。
本実施の形態にて説明したエンドミルTによるポケットPoの切削方法にて使用するエンドミルTは、図3に示すフラットエンドミルやラジアスエンドミルに限定されず、種々のエンドミルを用いることができる。
なお、ポケットの壁面と底面の境界部が滑らかな円弧形状で接続されている場合、当該円弧形状に応じた曲率の湾曲部を備えたラジアスエンドミルを用いることで、適切に円弧形状を形成することができる。
なお、ポケットPoの形状は円柱状空間に限定されるものではない。
10 ベッド
11 X軸案内レール
12 コラム
13 Y軸案内レール
16 Z軸スライドテーブル
19 X軸駆動モータ
20 Y軸駆動モータ
21 Z軸駆動モータ
22 主軸
23 主軸回転駆動モータ
24 ワークテーブル
50 工具マガジン
60 クーラントタンク
61 コンベア
62 コンベア駆動モータ
63 ポンプ
64 排出タンク部
65 収容部
66 切屑排出口
T エンドミル
TZ 工具回転軸
W ワーク
Cn コーナー取り代
Rt 底面仕上げ取り代
Rk 壁面仕上げ取り代
Po ポケット
Claims (4)
- 略円柱状の工具の先端部中央から先端部外周へ、更に先端部外周から工具側面の後端側に向けて延びる刃が設けられて工具回転軸回りに回転するエンドミルを用いて、底面と壁面の各々に仕上げ取り代が残されたポケットを仕上げ切削する、エンドミルによるポケット切削方法において、
前記ポケットの仕上げ取り代は、前記底面に沿った底面仕上げ取り代と、前記壁面に沿った壁面仕上げ取り代と、前記底面仕上げ取り代と前記壁面仕上げ取り代とが重なる位置となるコーナー取り代とからなり、
前記ポケットの底面に対して前記工具回転軸が直交するように、前記ポケットと前記エンドミルを配置し、
前記エンドミルを用いて、
第1の切削工程にて、前記コーナー取り代を除いた前記底面仕上げ取り代、または前記コーナー取り代を除いた前記壁面仕上げ取り代、の一方の取り代のみを先に切削し、
前記第1の切削工程に続く第2の切削工程にて、前記コーナー取り代を含めて残った取り代を切削し、
前記コーナー取り代を除いた前記底面仕上げ取り代と、前記コーナー取り代を除いた前記壁面仕上げ取り代と、を同時に切削することなく別々に切削する、
エンドミルによるポケット切削方法。 - 請求項1に記載のエンドミルによるポケット切削方法であって、
前記第1の切削工程では、
前記ポケットの底面の中央近傍に前記エンドミルの先端を配置し、前記ポケットの底面に対して前記エンドミルを前記工具回転軸の軸線方向に相対的に底面仕上げ深さだけ切り込んで、前記エンドミルの先端部の面に設けられた底面刃を用いて切削する切り込み切削を行い、
続いて、前記切り込んだ位置から、前記ポケットに対して前記エンドミルを前記工具回転軸に直交する方向に相対的に移動させて、前記壁面仕上げ取り代を切削することなく、前記底面仕上げ深さ分の前記コーナー取り代を除いた前記底面仕上げ取り代を、前記エンドミルの工具側面に設けられた側面刃を用いて切削する底面平坦部切削を行い、
前記切り込み切削と前記底面平坦部切削とを前記コーナー取り代を除いた前記底面仕上げ取り代がなくなるまで繰り返し、前記コーナー取り代を除いた前記底面仕上げ取り代のみを前記壁面仕上げ取り代よりも先に切削し、
前記第2の切削工程では、
前記エンドミルの先端が前記ポケットの入口部から壁面仕上げ深さだけ挿入されるように前記エンドミルと前記ポケットを配置し、
前記ポケットに対して前記エンドミルを前記工具回転軸に直交する方向に且つ前記ポケットの内壁に沿って相対的に移動させて、前記ポケットにおける前記壁面仕上げ深さ分の壁面仕上げ取り代を、前記エンドミルの前記側面刃を用いて切削する壁面等高線切削を行い、
前記壁面等高線切削の後、前記エンドミルの先端を更に前記壁面仕上げ深さだけ挿入して前記壁面等高線切削を行って新たに前記壁面仕上げ深さ分の壁面仕上げ取り代を切削する作業を、前記ポケットの底面に達するまで順次繰り返し、前記コーナー取り代を含めて前記壁面仕上げ取り代を切削する、
エンドミルによるポケット切削方法。 - 請求項1に記載のエンドミルによるポケット切削方法であって、
前記第1の切削工程では、
前記エンドミルの先端が前記ポケットの入口部から壁面仕上げ深さだけ挿入されるように前記エンドミルと前記ポケットを配置し、
前記ポケットに対して前記エンドミルを前記工具回転軸に直交する方向に且つ前記ポケットの内壁に沿って相対的に移動させて、前記底面仕上げ取り代を切削することなく、前記ポケットにおける前記壁面仕上げ深さ分の前記コーナー取り代を除いた前記壁面仕上げ取り代を、前記エンドミルの工具側面に設けられた側面刃を用いて切削する壁面等高線切削を行い、
前記壁面等高線切削の後、前記エンドミルの先端を更に前記壁面仕上げ深さだけ挿入して新たな前記壁面等高線切削を行って新たに前記壁面仕上げ深さ分の前記コーナー取り代を除いた前記壁面仕上げ取り代を切削する作業を、前記ポケットの底面に達するまで順次繰り返し、前記コーナー取り代を除いた前記壁面仕上げ取り代のみを前記底面仕上げ取り代よりも先に切削し、
前記第2の切削工程では、
前記ポケットの底面の中央近傍に前記エンドミルの先端を配置し、前記ポケットの底面に対して前記エンドミルを前記工具回転軸の軸線方向に相対的に底面仕上げ深さだけ切り込んで、前記エンドミルの先端部の面に設けられた底面刃を用いて切削する切り込み切削を行い、
続いて、前記切り込んだ位置から、前記ポケットに対して前記エンドミルを前記工具回転軸に直交する方向に相対的に移動させて、前記底面仕上げ深さ分の前記コーナー取り代を含めた前記底面仕上げ取り代を、前記エンドミルの前記側面刃を用いて切削する底面平坦部切削を行い、
前記切り込み切削と前記底面平坦部切削とを前記コーナー取り代を含めた前記底面仕上げ取り代がなくなるまで繰り返し、前記コーナー取り代を含めて前記底面仕上げ取り代を切削する、
エンドミルによるポケット切削方法。 - 請求項1〜3のいずれかに記載のエンドミルによるポケット切削方法であって、
前記ポケットの壁面と底面の境界部の形状は、前記壁面と前記底面とを滑らかに接続する円弧形状であり、
前記円弧形状に応じた曲率の湾曲部が前記先端部外周の近傍の刃に設けられているラジアスエンドミルを用いて切削する、
エンドミルによるポケット切削方法。
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