JP5189397B2 - 中空塔状構造物の解体方法 - Google Patents

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本発明は、例えば、内周面の耐火ライニング材として石綿(アスベスト)が用いられている煙突や、内周面又は耐火ライニング材にダイオキシンが付着しているような煙突などのように、内周面に有害物質が存在する中空塔状構造物の解体方法に関する。
内周面に石綿やダイオキシン等の有害物質が存在する中空塔状構造物の内部に硬化性流動物を充填して、有害物質の飛散養生を行うことにより、中空塔状構造物をワイヤーソーなどで輪切り状に切断する際、石綿やダイオキシン等の有害物質が飛散しないようにした中空塔状構造物の解体方法は、特許文献1、2等によって既に知られている。
特許文献1に記載の中空塔状構造物の解体方法は、中空塔状構造物の内部に発泡性ポリウレタン、発泡性ポリスチレン、発泡モルタル等を全充填して、発泡硬化させた後、中空塔状構造物を発泡硬化した充填物ごと輪切り状に切断する方法である。
特許文献2に記載の中空塔状構造物の解体方法は、中空塔状構造物の内部に収縮した状態のエアチューブを挿入し、このエアチューブを膨張させて中空塔状構造物の内部に同心状に固定した後、中空塔状構造物とエアチューブの間の空間に発泡剤(発泡ウレタンや発泡スチロールとなる有機系発泡材料)を充填し、発泡剤が発泡硬化した後、エアチューブを収縮させて除去し、しかる後、中空塔状構造物を発泡硬化した発泡剤ごと輪切り状に切断する方法である。
これらの解体方法は、中空塔状構造物の周囲に密閉空間を形成して、密閉空間内で中空塔状構造物を解体処理する方法や、中空塔状構造物内部の有害物質を高圧水洗浄によって先行撤去する解体方法に較べると、有害物質含有の粉塵環境下での作業が無く、有害物質の周辺への漏出の恐れが少ないなど、多くの利点を有しており、作業員に対する有害物質暴露の観点からも安全性に優れている。
しかしながら、これらの解体方法においても、幾つかの問題点が指摘されている。例えば、特許文献1、2に見られるように、中空塔状構造物の内部に充填する硬化性流動物として、発泡性ポリウレタン、発泡性ポリスチレン等の有機系発泡材料を用いた場合、発泡固化による自己発熱や切断時の火花や摩擦熱などによって発火する恐れがある。
このような不都合を回避する手段としては、有機系発泡材料に代えて、モルタル等の無機系硬化性流動物を用いることが先ず考えられる。しかし、特許文献1のように中空塔状構造物の内部に全充填する方法では、モルタル等の無機系硬化性流動物を用いると、充填物の構造物躯体に対する重量比が大きくなり過ぎ、輪切り状に切断した構造物ピースの搬出中に充填物が脱落して有害物質が飛散する可能性が大きい。
この点、特許文献2のように、中空塔状構造物とエアチューブの間の空間に充填する方法であれば、充填物による飛散養生層を必要最小限度まで薄くして、充填物の構造物躯体に対する重量比を一定以下に抑えることができる。その反面、この方法では、中空塔状構造物の内部に全充填する場合に比して、内部に空隙が生じないようにモルタル等の無機系硬化性流動物を密実に打設することが難しくなり、往々にして充填不良が生じる。そして、充填不良があると、中空塔状構造物を充填物ごと輪切り状に切断した際、充填不良箇所の有害物質が露出し、外部に飛散する可能性が大きい。
また、特許文献1、2の何れの解体方法においても、中空塔状構造物を充填物ごと輪切り状に切断する際、耐火ライニング材の切断面から有害物質が飛散する可能性がある。
特開平8−120953号公報 特開2003−343827号公報
本発明は、上記の点に留意して成されたものであって、その主たる目的とするところは、モルタル等の無機系硬化性流動物によって有害物質を被覆する適度な厚さの飛散養生層を形成するにもかかわらず、充填不良が生じても充填不良に起因する有害物質の飛散を防止できるようにした中空塔状構造物の解体方法を提供することにある。本発明の他の目的は、中空塔状構造物を輪切り状に切断する際、耐火ライニング材の切断面から有害物質が飛散しないようにすることにある。
上記の目的を達成するために本発明が講じた技術的手段は、次のとおりである。即ち、請求項1に記載の発明による中空塔状構造物の解体方法は、内周面に有害物質が存在する中空塔状構造物の内部に筒状型枠を設置し、筒状型枠と中空塔状構造物との間の空間に無機系硬化性流動物を充填し、その無機系硬化性流動物の硬化後、中空塔状構造物を筒状型枠ごと周方向に切断することを特徴としている。
請求項2に記載の発明による中空塔状構造物の解体方法は、請求項1に記載の中空塔状構造物の解体方法であって、中空塔状構造物の外部から切断予定位置に周方向に適当間隔をあけて複数の注入用孔を穿設し、これらの注入用孔から注入した浸漬固化剤を中空塔状構造物内周面の耐火ライニング材に含浸させて固化させた後、中空塔状構造物を筒状型枠ごと周方向に切断することを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、中空塔状構造物の内部に筒状型枠を設置し、筒状型枠と中空塔状構造物との間の空間に無機系硬化性流動物を充填するので、モルタル等の無機系硬化性流動物によって有害物質を被覆する適度な厚さの飛散養生層を形成することができる。また、中空塔状構造物を筒状型枠ごと周方向に切断するので、筒状型枠が飛散養生層の補強材となって、切断時における飛散養生層の剥がれ落ちを防止できる。
殊に、中空塔状構造物を筒状型枠ごと周方向に切断するので、無機系硬化性流動物の充填不良が生じても、中空塔状構造物を輪切り状に切断した際、充填不良箇所が筒状型枠で被覆されることになり、フェイルセーフの効果が発揮されるため、充填不良に起因する有害物質の飛散を防止できる。
請求項2に記載の発明によれば、上記の効果に加えて、中空塔状構造物を輪切り状に切断する際、耐火ライニング材の切断面から有害物質が飛散することを確実に防止できるという効果がある。即ち、中空塔状構造物の切断予定位置に周方向に適当間隔をあけて複数の注入用孔を穿設し、これらの注入用孔から注入した浸漬固化剤を中空塔状構造物内周面の耐火ライニング材に含浸させて固化させた後、中空塔状構造物を輪切り状に切断するので、中空塔状構造物を切断するワイヤーソーは、浸漬固化剤によってワイヤーソーの厚みよりも上下幅のあるリング状に固化された耐火ライニング材の上下幅中央部を切り進んで行くことになり、耐火ライニング材の切断面から有害物質が飛散することがない。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図6は、本発明に係る中空塔状構造物の解体方法の一例を示す。図1の(A)において、1は中空塔状構造物としての鉄筋コンクリート造の煙突であり、内周面には有害物質としての石綿による耐火ライニング材2が設けられている。
このような煙突(中空塔状構造物)1を解体するにあたり、先ず、図1の(B)に示すように、煙突1の内部に、紙ボイド、スパイラル鉄管等から成る断面円形の筒状型枠(筒状の打込み型枠)3を同心円状に設置する。
筒状型枠3の下端部は、図2の(A)に示すように、下部煙道開口4から流し込んだ型枠固定用モルタル5により固定し、以後の工程において、筒状型枠3が不測に動かないようにすると共に、筒状型枠3の内部に飛散養生用の無機系硬化性流動物が流入しないようにする。
次に、図2の(B)に示すように、煙突1の適当高さ(例えば、底から1000mm程度の高さ)の外周に切断時の冷却・養生水を受けるためのリング状の樋6を設置し、且つ、樋6に入った冷却・養生水を集めるためのタンク7を煙突1近くの地面に設置し、下部煙道開口4など煙突1最上部以外の開口を適当な蓋体8で閉塞する。
この状態で、図3の(A)に示すように、煙突1の上端から煙突1の耐火ライニング材2と筒状型枠3との間の空間にモルタル等の無機系硬化性流動物9を充填する。
しかる後、適当な時点で、例えば、無機系硬化性流動物9の硬化により飛散養生層が形成された後に、図3の(B)に示すように、煙突1の外部から切断予定位置に周方向に適当間隔をあけて複数の注入用孔10を穿ち、これらの注入用孔10から注入した浸漬固化剤11を煙突1内周面の耐火ライニング材2に含浸させて固化させる。
耐火ライニング材2が所定の上下幅(後述するワイヤーソー12の厚みよりも上下に広い幅であり、例えば10〜20mm程度)をもつリング状に固化した後、図4の(A)、(B)に示すように、ワイヤーソー12により、煙突1を筒状型枠3ごと周方向に所望長さの輪切り状に切断する。尚、この切断は、煙突1の外周面に冷却・養生水を散布しつつ行われる。切断により有害物質を含んだ冷却・養生水は煙突1外周面を伝って樋6に流入し、タンク7に集められる。煙突1の内側を伝い落ちる冷却・養生水は型枠固定用モルタル5で受け止められ、排水ポンプ(図示せず)により適宜排水され、前記タンク7に集められる。
この場合、煙突1を筒状型枠3ごと輪切り状に切断するので、筒状型枠3が無機系硬化性流動物9による飛散養生層の補強材となって、切断時における飛散養生層の剥がれ落ちを防止できる。また、煙突1を筒状型枠3ごと輪切り状に切断するので、無機系硬化性流動物9の充填不良が生じても、煙突1を輪切り状に切断した際、充填不良箇所が筒状型枠3で被覆されることになり、フェイルセーフの効果が発揮されるため、充填不良に起因する有害物質の飛散を防止できる。
しかも、図4の(B)に示すように、ワイヤーソー12は、浸漬固化剤11によってワイヤーソーの厚みよりも上下幅のあるリング状に固化された耐火ライニング材2の上下幅中央部を切り進んで行くことになり、図5の(A)、(B)に示すように、耐火ライニング材2の切断面は浸漬固化剤11が含浸し固化した状態にあるので、耐火ライニング材2の切断面から石綿等の有害物質が飛散しない。浸漬固化剤11としては、例えば、無機質系水系の商品名:アスシールSil(菊水化学工業社製)や、合成樹脂系の商品名:ARシーラー(エービーシー商会社製)等を用いることができる。
図6の(A)に示すように、切断されたピースをシート13で密封養生し、この状態で特別管理廃棄処分地に向けて搬出される。シート13としては、厚手(例えば、厚さ0.15mm程度)のポリエチレンシートを用いることが望ましい。また、密封を確実とするためにシート同士の接合部分及びシート端部は粘着テープによって接着することが望ましい。
そして、図6の(B)示すように、次の切断予定位置に対する注入用孔10の穿設、浸漬固化剤11の注入といった、図3の(B)以降の工程を繰り返して、内周面に有害物質が存在する煙突1の解体を行うのである。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上述した実施形態においては、無機系硬化性流動物9の硬化後、煙突1の切断予定位置に注入用孔10を穿設したが、無機系硬化性流動物9が未だ固まらない間に注入用孔10を穿設してもよい。また、上述した実施形態においては、煙突1を輪切り状に切断した後、次の切断予定位置に対する注入用孔10の穿設、浸漬固化剤11の注入を行っているが、最初の切断作業に先行して、全段又は複数段の切断予定位置に対する注入用孔10の穿設、浸漬固化剤11の注入を行ってもよい。
本発明に係る中空塔状構造物の解体方法を説明する横断平面図と縦断側面図である。 図1に続く横断平面図と縦断側面図である。 図2に続く横断平面図と縦断側面図である。 図3に続く一部切欠き側面図と要部拡大縦断側面図である。 図4に続く縦断側面図と要部拡大縦断側面図である。 図5に続く縦断側面図である。
符号の説明
1 中空塔状構造物(煙突)
2 耐火ライニング材
3 筒状型枠
4 下部煙道開口
5 型枠固定用モルタル
6 樋
7 タンク
8 蓋体
9 無機系硬化性流動物
10 注入用孔
11 浸漬固化剤
12 ワイヤーソー
13 シート

Claims (2)

  1. 内周面に有害物質が存在する中空塔状構造物の内部に筒状型枠を設置し、筒状型枠と中空塔状構造物との間の空間に無機系硬化性流動物を充填し、その無機系硬化性流動物の硬化後、中空塔状構造物を筒状型枠ごと周方向に切断することを特徴とする中空塔状構造物の解体方法。
  2. 請求項1に記載の中空塔状構造物の解体方法であって、中空塔状構造物の外部から切断予定位置に周方向に適当間隔をあけて複数の注入用孔を穿設し、これらの注入用孔から注入した浸漬固化剤を中空塔状構造物内周面の耐火ライニング材に含浸させて固化させた後、中空塔状構造物を筒状型枠ごと周方向に切断することを特徴とする中空塔状構造物の解体方法。
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