JP5184850B2 - 気体分離装置並びに酸素濃縮装置及びエアロバイク - Google Patents

気体分離装置並びに酸素濃縮装置及びエアロバイク Download PDF

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Description

本発明は、混合気体から特定の気体を分離する際に用いて好適な気体分離装置並びにこの気体分離装置を利用した酸素濃縮装置及びエアロバイクに関する。
従来、混合気体から特定の気体だけを分離する気体分離装置としては、プレッシャースウィング法(以下PSA法という)を用いたものが知られている。このPSA法は、混合気体を圧縮させて吸着剤の中を通し、混合気体に含まれる特定の気体をこの吸着剤に吸着させ、吸着されない気体を回収するか、或は吸着剤に吸着された気体を吸着時より低い圧力にして脱着させて回収するかするものである。本願発明に係る発明者等は、上記PSA法を利用した気体分離装置並びにこの気体分離装置を用いた酸素濃縮装置及びエアロバイクについて下記特許文献1に記載したような特許出願を行っている。
特開2007−21489号公報
上記特許文献1に記載された気体分離装置は、混合気体の一例である空気中より酸素を分離するのに、圧力変動装置の一種であるベローズを用いてその可動部である可動端板で空気を圧縮させつつ、この圧縮空気を特定の気体を吸着する能力のある吸着剤を入れた吸着筒体内を通すことによって、特定の気体を分離させている。また、吸着剤に吸着された気体を脱着させて、当該吸着剤を再生させ、気体を吸着させる能力を持続させるために、吸着筒体内を大気圧まで戻すことによって、当該吸着剤に吸着されている窒素を分離させている。この場合脱着分離した窒素は圧力変動装置を用いて外部へ排出されるものである。
また、上記特許文献1に記載されている気体分離装置は、圧力変動装置としてはベローズを用い、このベローズ内に吸着筒体を収容させ、該吸着筒体は有底円筒体状に形成されている。吸着筒体内の底部には、多孔板から成る隔板が設けられて2重底に形成されて、隔板上に乾燥剤と吸着剤が層を成して充填されている。
上記気体分離装置を用いて混合気体より気体とくに酸素は次のように分離された。まず、ベローズが最も引き伸ばされ下死点に達した状態において所定時間停止させ、その間に吸気弁及び排気弁を閉じ送気弁を開ける。この状態からベローズを押し縮めて行き内部の空気を圧縮すると、ベローズ内の空気が圧縮されつつ吸着筒体内に導かれ、多孔性の隔板を介して乾燥剤とゼオライト製の吸着剤に入り、そこで、空気中の窒素が吸着剤に吸着され酸素が分離される。分離された酸素は外部へ取り出され、或は貯留タンクへ送られ貯留される。
次に、吸着剤に吸着された窒素は次のように分離されることにより、吸着剤の再生がなされる。ベローズが上記したように圧縮されて行き上死点に達した状態において、所定時間停止させ、この間に送気弁を閉じて吸気弁及び排気弁を開ける。続いて圧縮されている(上死点にある)ベローズを引き伸ばし始める。これにより、ベローズ内が減圧になるので、空気が吸気弁を介してベローズ内に吸引される。すなわち、ベローズでは吸気が行われる。また、貯留タンク内の酸素の一部が再生弁を介して吸着筒体内へ導入され、これにより、吸着剤に吸着されていた窒素が脱着されて、吸着剤の再生が行われる。ベローズが引き伸ばされて下死点に達すると、上記したようにその動作は一時停止され、その間に吸気弁や再生弁が閉じられて、ベローズは再び圧縮動作に入ることになる。そして、吸着層から脱着された窒素は貯留タンクからの酸素と共に導管を介して外部に放出される。
このようなベローズを縮める圧縮動作と伸ばす伸張動作を繰り返すことにより、高濃度の酸素が得られるが、しかし、十分な酸素濃度と流量を得るためには、上記したようにベローズを縮めた最圧縮時の上死点時と、最も伸ばした最伸長時の下死点時において、ベローズの変位運動を一定時間停止する必要があり、時間のロスが生じる上に、このベローズの停止時間を設定するために装置の構成と制御が複雑になるという問題があった。
即ち、従来公知のものは、ベローズを直線的に等速度で変位させていたので、上死点及び下死点の近傍において負荷が大きくなる上に、上死点と下死点で吸気・排気・吸着・脱着を行うために各種弁の開閉操作を行う必要があり、そのためにベローズの動きを一定時間停止させる必要があった。
この発明者等は、上記問題点を改善すべく鋭意研究を重ねたところ、ベローズに往復運動を与える回転軸に取り付けた回転板の回転角度を検出して、この回転角度に基づいて再生弁を開くタイミングを遅らせて制御すると、ベローズを一定時間停止させなくとも、連続的に変位運動を継続させることによって、酸素濃度とその流量が上述した特許文献1に記載された従来公知のものよりも増大することを見出した。
この実験データを上記特許文献1に示した公知構成のものと比較したものが下記表1である。
Figure 0005184850
上記表1から解るように、同じ2重底の吸着筒体を用いても、従来の時間制御方式のものに比べて、回転板の角度制御方式によりベローズの変動位置を検出して再生弁の開閉操作を行うようにしたものの方が、酸素濃度及びその流量の改善が大幅に図られ、ベローズをその上死点と下死点で一定時間停止しなくとも、連続的にベローズを動作させることにより、高濃度で十分な流量のある酸素が得られることは明らかである。
本願発明者は、圧力変動装置としてのベローズを駆動する駆動手段にクランク機構を採用した場合を想定し、実際に実験装置を作り実験をしてみた。この実験装置の構成はクランク軸に連動して回転するクランクホイール或は専用回転円板からなる回転板に回転角度検出センサー、例えばロータリーエンコーダを設置してその回転角度を検出することによって、ベローズの変位位置を検出し、この検出位置によって再生弁の開閉制御を行うというものであった。
この実験装置を稼動させたところ、後述する表2に示したように当初の目論見通り、上述した従来公知のものよりも、高い濃度と流量を持つ酸素を得ることができた。
本願発明は上記した知見に基づいて成されたものであり、その目的は、圧力変動装置を連続的に動作させても特定の気体の濃度を高めその流量を多くすることができる気体分離装置並びにこの気体分離装置を用いた酸素濃縮装置及びエアロバイクを提供せんとするにある。
以下にこの発明を、2重底の吸着筒体を内蔵させた圧力変動装置の1例であるベローズと、その駆動機構としてのクランク機構を組み合わせたもので説明するが、この発明は、このものに限定されるものではなく、この発明の目的を逸脱しない範囲で、他の構成のもの、例えば圧力変動装置としてはシリンダ装置やダイヤフラム装置、駆動手段としてのボール螺子駆動機構、カム機構、制御手段としての角度制御以外のタイミング制御等を組み合わせたものに適用できる。
前記の目的を達成するために本発明に係る気体分離装置は、耐圧容器とこの耐圧容器を固定する固定部と往復動作する可動部とを備え、前記可動部の往復動作に基づいて前記耐圧容器内へ混合気体が吸入され、また、吸入された混合気体が当該耐圧容器内で圧縮されるように成した圧力変動装置と、前記耐圧容器内の前記固定部側に取り付けたところの底板と上蓋とを有する吸着筒体と、この吸着筒体内部に収容させた吸着剤によって分離された分離気体を貯留させる貯留タンクとを含み、PSA法により混合気体から特定の気体を連続的に分離する気体分離装置であって、前記吸着筒体内に気体流通性を有する隔板で仕切られた拡散室と前記吸着剤の収容室とを設け、前記拡散室に連通させて排気電磁弁を備えた第1流通管を設け、前記吸着剤の収容室に連通させて前記貯留流タンクに至る再生弁を備えた第1連通管を設け、前記耐圧容器に連通させて吸気逆止弁を備えた第2流通管を設け、さらにこの第2流通管と前記第1流通管との間を送気逆止弁を介して連通させる第3流通管を設け、前記耐圧容器の吸気時には前記可動部と前記第2流通管とを介して混合気体を吸入すると共に、前記可動部を往復動作させるように連結された回転板の回転角度を検出して前記可動部の変動位置を検出する位置検出手段を設け、この位置検出手段からの信号を制御する制御部を介して前記第1流通管の排気電磁弁と前記第1連通管の再生弁の開閉を制御することにより、前記耐圧容器内の混合気体の圧縮時には前記排気電磁弁を閉じて前記第2流通管と前記第3流通管と前記第1流通管を介して圧縮された混合気体を前記拡散室へ導き、この拡散室より前記吸着剤を介してこの吸着剤で分離された気体を前記第1連通管を介して前記貯留タンク側へ導くように構成すると共に、前記耐圧容器内への前記混合気体の吸入を行う過程の中で前記排気電磁弁を開いて排気を行いつつ前記再生弁を開いて前記貯留タンクに分離された分離気体を当該第1連通管を介して前記吸着剤の収容室へ導入させ前記拡散室より前記第1流通管を介して外部へ排気することにより、前記可動部を停止させることなく前記吸着剤の再生を行うことができるように構成したことを特徴とする。
本発明はまた、耐圧容器とこの耐圧容器を固定する固定部と往復動作する可動部とを備え、前記可動部の往復動作に基づいて前記耐圧容器内へ混合気体が吸入され、また、吸入された混合気体が当該耐圧容器内で圧縮されるように成した圧力変動装置と、前記耐圧容器内の前記固定部側に取り付けたところの底板と上蓋とを有する吸着筒体と、この吸着筒体内部に収容させた吸着剤によって分離された分離気体を貯留させる貯留タンクとを含み、PSA法により混合気体から特定の気体を連続的に分離する気体分離装置であって、前記吸着筒体内に気体流通性を有する隔板で仕切られた拡散室と前記吸着剤の収容室とを設け、前記拡散室に連通させて排気電磁弁を備えた第1流通管を設け、前記吸着剤の収容室に連通させて前記貯留タンクに至る逆止弁を有する第1連通管を設け、この第1連通管の前記逆止弁にいたる部分より分岐させて再生タンクを設け、前記耐圧容器に連通させて吸気逆止弁を備えた第2流通管を設け、さらにこの第2流通管と前記第1流通管との間を送気逆止弁を介して連通させる第3流通管を設けることにより、前記耐圧容器の吸気時には前記可動部と前記第2流通管とを介して混合気体を吸入すると共に、前記可動部を往復動作させるように連結された回転板の回転角度を検出して前記可動部の変動位置を検出する位置検出手段を設け、この位置検出手段からの信号を制御する制御部を介して前記第1流通管の排気電磁弁と前記第1連通管の再生弁の開閉を制御することにより、前記耐圧容器内の混合気体の圧縮時には前記排気電磁弁を閉じて前記第2流通管と前記第3流通管と前記第1流通管を介して圧縮された混合気体を前記拡散室へ導き、この拡散室より前記吸着剤を介してこの吸着剤で分離された気体を前記第1連通管を介して前記貯留タンクと前記再生タンクへ導くように構成すると共に、前記耐圧容器内への前記混合気体の吸入を行う過程に中で前記排気電磁弁を開いて排気を行いつつ前記再生タンクより分離気体を当該第1連通管を介して前記吸着剤の収容室へ導入させ前記拡散室より前記第1流通管を介して外部へ排気することにより、前記可動部を停止させることなく前記吸着剤の再生を行うことができるように構成したことを特徴とする。
上記いずれの場合においても本発明は、前記圧力変動装置の前記可動部の往復動作は、その上死点と下死点においてサインカーブを描くように制御されることを特徴とする。
本発明はまた、前記圧力変動装置の耐圧容器が、単数又は複数のベローズであることを特徴とする。
その際に、前記ベローズを、金属製ベローズ又は樹脂製ベローズとすることが好ましい。
本発明はさらに、前記吸着筒体には、吸着剤と前記隔板との間に乾燥剤が収容されていることを特徴とする。
本発明において、前記貯留タンクと前記第1連通管に設けた再生弁との間には、前記吸着剤の再生に用いる気体を貯留しておく再生タンクが設けられていることが好ましい。
さらに、本発明においては、前記圧力変動装置を駆動させる駆動手段が、クランク機構であり、前記位置検出手段が、前記クランク機構のクランク軸と共に回転する回転板の回転角度から前記可動部の位置を検出するものであることを特徴とする
その際に、前記可動部の位置を検出する位置検出手段が、前記回転板に設けたロータリーエンコーダであることを特徴とする
さらに、前記回転板の上死点からの回転角度が15°〜180°の範囲内である時に、前記吸着剤の再生を行うようにしたことが好ましい。
さらに、前記可動部の往復運動が1分間に3〜10回であることが好ましい
本発明はまた、前記圧力変動装置を2組備え、これら2組の圧力変動装置を交互に駆動させることを特徴とする。
本発明においては、前記混合気体が空気であると共に、前記吸着剤が前記空気中の窒素を吸着するゼオライトから成る窒素吸着剤であることを特徴とする。
そして、前記気体分離装置を用いて、酸素を濃縮させる酸素濃縮装置やこの、酸素濃縮装置を搭載したエアロバイクとすることができる。
以上説明したように本発明に係る気体分離装置並びに酸素濃縮装置及びエアロバイクによれば、可動部の位置を検出する位置検出手段を設け、この位置検出手段からの検出値に基づいて制御部を介して吸着剤による混合気体の分離と吸着剤の再生とを行なう弁を開閉するように構成したので、より高い濃度と流出量を持つ気体(例えば酸素)を分離し、濃縮することができるものである。本発明によればさらに、上記位置検出手段と2重底の吸着筒体を用いて再生と同時に吸気を行なうようにすると、より一層の気体濃度と流出量を持つ気体(例えば酸素)を得ることができるものである。
以下に本発明を気体分離装置の一例である酸素濃縮装置に実施した場合について詳細に説明するが、本発明に係る気体分離装置はこのものに限定されない。分離する気体は異なってもその原理は同じであるので、以下の酸素濃縮装置を説明すれば同時に気体分離装置を説明したことになるものである。例えば、以下に述べるように、吸着剤として窒素を吸着するゼオライトを用いて、このゼオライト内に空気を通過させることによって、高濃度酸素が得られる。また、吸着剤として酸素を吸着する活性炭、分子ふるい炭等を用いて、この吸着剤に空気を通過させることによって、高濃度窒素ガスが得られる。この場合、本発明に係る気体分離装置は窒素濃縮装置となる。また、圧力変動装置の1例であるベローズを2つ設けた場合について説明するが、ベローズを1つ又は3つ以上設けることは任意であり、その原理は数に関係なく同じである。また、本発明にかかる気体分離装置は、同じ構成の圧力変動装置を一対用いているため、指示記号の同じものは同じ部材を表わしている。したがって、指示記号の同じものは一方を説明すれば他方を説明したことになるので、記号の並記は省略する。
本発明に係る気体分離装置の一例としての酸素濃縮装置1は、図1に示すように、固定部4と可動部5の間にベローズ3を挟み、固定部4に対して可動部5を往復移動させて混合気体の吸入・圧縮を行う圧力変動装置2と、この圧力変動装置2で吸引されて圧縮された混合気体より特定の気体をPSA法を用いて吸着させる吸着剤6を内部に収容させた吸着筒体7と、この吸着筒体7で吸着されなかった気体を貯留させる貯留タンク8と、圧力変動装置2内への混合気体の吸引を行う時に、貯留タンク8側にある気体を吸着筒体7に供給して吸着剤6の再生を行う再生手段9を備えている。さらに、可動部5の位置を検出する位置検出手段10を設け、この位置検出手段10からの検出値に基づいて再生手段9の再生弁11を開き、分離された気体を吸着筒体7へ送って吸着剤6の再生を行うところにその特徴がある。本発明また、2重底の吸着筒体7を用いることにより、吸着剤6の再生と同時進行で圧力変動装置2への混合気体の吸引を行うことができるところに特徴がある。
圧力変動装置2は、とくに図2に示したように、クランクホイール或はクランク軸の上方には、所定の間隔を空けて固定部4と基台4aが設けられている。これら固定部4と基台4aは、平面略矩形平板状に形成されている。これら固定部4と基台4aの間には、当該固定部4と基台4aを間隔をあけて連結する断面円形の棒状のガイドシャフト4bがそれぞれ設けられている。指示記号5は、ガイドシャフト4bに案内されて上下動する可動部であり、固定部4と可動部5との間にベローズ3が設けられ、圧力変動装置2を構成している。ベローズ3の中には吸着筒体7が収容され、ベローズ3と共に固定部4に吸着筒体フランジ部7fを介して気密に取り付けられている。可動部5には図示してないクランク機構によって動作させられるコンロッド42が取り付けられている。
尚、圧力変動装置2の耐圧容器3(以下ベローズ3ともいう。)は、固定部4に対して可動部5を往復移動させて混合気体の吸入・圧縮を行うことができるものであれば、とくに限定されず、例えば、シリンダー装置やダイヤフラム装置等であっても良いが、ベローズであることが好ましい。ベローズ3は、その一端部に取り付けた固定端板である固定部4に対し、その他端部に取り付けた可動端板である可動部5を往復移動させることにより、間に挟んだベローズ3で空気を吸引及び圧縮するものである。ベローズ3は、可撓性を有する材質で、その耐圧力が常圧(1ata)プラス・マイナス0.5〜1気圧まで耐えられるものであればよく、例えば、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリエチレン等の樹脂製ベローズ、ニッケル、チタン、アルミニウム、青銅、丹銅、ステンレス鋼等の金属製ベローズ等が用いられるが、樹脂製ベローズが好ましく、とくにポリエチレンとポリプロピレン及びポリプロピレンとエラストマー等の他の樹脂との混合樹脂製の樹脂製ベローズが好ましい。ベローズの大きさは、とくに限定されないが、実施例のものは、内径が146mmである。クランク回転軸の回転数は3rpm〜10rpmの範囲であることが好ましく、数L/分の酸素発生量を得るためには、ベローズの内径が100mm〜200mmで長さが200mmm〜300mmであることが好ましい。
尚、ベローズ3と吸着筒体7とを一体化して脱着可能にカートリッジ式にしても良い。このように、ベローズ3と吸着筒体7とを一体化してカートリッジ式にすることで、メンテナンスや交換が容易になる。また、吸着筒体7をベローズ3内に収容することで、圧縮効率が向上するので、効率よく酸素分離とその濃縮を行える。また、ベローズ3内に収容する吸着筒体7の位置と大きさがベローズ3を圧縮した時のデッドボリュウームにちょうど収まる位置と大きさであることが好ましく、この場合、さらに酸素濃縮を効率よく行うことができる。
とくに図3に示したように、吸着筒体7内の底部には、底板7aとの間に間隔を空けて気体流通性を有する隔板7bが設けられることによって2重底に形成さている。すなわち、吸着筒体7は2重底容器として形成されている。隔板7bは、吸着剤6や乾燥剤12が通過してしまわない程度の多孔性を有するもので形成されていることが好ましい。よって、多数の小孔を設けたものであっても良い。とくに図3に示したように、隔板7b上に設けられた収容室7g内には、アルミナやシリカゲル等から成る乾燥剤12と、窒素を吸着する、例えば、ゼオライトから成る吸着剤6とが2層に収容されている。隔板7bと底板7aとの間の空間は、拡散室13として形成されている。吸着筒体7の一側内部には、その上端部を吸着筒体7の上蓋7cに取り付けられ、下端部を拡散室13に連通させて第1気体流通路7dが設けられ、この第1気体流通路7dには、第1流通管14が接続されている。この第1流通管14は吸着筒体7外に延びており、その端部には図1に示したように、開閉弁である排気電磁弁15が取り付けられている。
さらに、吸着筒体7の他側部には、図3に示したように、第2気体流通路7eが設けられ、その上端部には第2流通管16が接続され、その下端部はベローズ3側に開口されている。尚、第1気体流通路7dと第2気体流通路7eはこれを独立したパイプとしても良い。第2流通管16には、図1に示したように、空気がベローズ3内に吸引される時にのみ動作するように吸気逆止弁17が設けられている。尚、吸気逆止弁17の代わりに開閉弁である吸気電磁弁を設けるようにしても良い。第2流通管16には、第3流通管18が接続されている。この第3流通管18は、また、排気電磁弁15と吸着筒体7との間の第1流通管14に接続されている。第3流通管18には、ベローズ3からの気体が吸着筒体7の拡散室13にのみ流れるように送気逆止弁19が設けられている。尚、送気逆止弁19の代わりに開閉弁である電磁弁を設けるようにしても良い。さらに、吸着筒体7の上蓋7cには吸着剤6側に連通させて第1連通管23が取り付けられている。
図3はまた、とくに金属製のベローズ3内に吸着筒体7を取り付ける場合の取り付け構造についても示しており、ベローズ3のベローズフランジ部3aと吸着筒体フランジ部7fは、Oリング20でシールされつつ締付ボルト21で気密に接続され、両者のフランジ部3aと7fを取付ボルト22で圧力変動装置2の固定端板である固定部4に取り付けられている。
第1連通管23は、三方電磁弁等の再生弁(三方弁)11に接続されている。この再生弁11には、吸着筒体7からの気体が通る第2連通管25と、貯留容器である再生タンク26からの気体が吸着筒体7へ流れるための第3連通管27とが接続されている。第2連通管25には、吸着筒体7からの気体のみが流れるように第1逆止弁28が設けられている。第2連通管25と第3連通管27とは合流して1つの第4連通管29となり、途中で第5連通管30が分岐され、この第5連通管30は圧力計31を介して再生タンク26に接続されている。再生タンク26は、例えば、ポリプロピレン製である。第4連通管29には、吸着筒体7からの気体のみが流れるように第2逆止弁32が設けられている。第1連通管23、再生弁(三方弁)11、第3連通管27、第4連通管29、第5連通管30、及び再生タンク26によって再生手段9が構成されている。
また、第4連通管29には、第2逆止弁32を介して第6連通管35が分岐して接続されている。第6連通管35の一方には、出口流量計36、高濃度酸素ガスを取り出すための絞り弁37、酸素濃度計38が接続され、他方には貯留タンク8が接続されている。尚、第1連通管23には、さらにベローズ上部圧力計39が接続されている。また、第5連通管30には、タンク圧力計31が接続されている。尚、圧力計31、39と出口流量計36及び酸素濃度計38は酸素発生の状態を監視するためのもので、酸素分離には直接関係していない。
図1に示したように、ベローズ3は、可動部駆動機構41により往復移動される。可動部駆動機構41は、とくに限定されず、例えば、クランク機構等である。クランク機構としては、とくに限定されず、例えば、可動部5に接続されるコンロッド42と、このコンロッド42が接続されるクランクホイール43とからなる。クランクホイール43は、駆動手段により回転駆動される。駆動手段は、とくに限定されず、例えば、減速機付モータや人力であっても良い。
図1に示したように、ベローズ3、吸着筒体7、再生弁(三方弁)11、第1〜第3連通管23、25、27、第1流通管14、排気電磁弁15、第2流通管16、吸気逆止弁17、第3流通管18、及び送気逆止弁19が2組設けられ、一方のベローズ3の可動部5が上死点の位置にある時には、他方のベローズ3の可動部5が下死点の位置にある、すなわち、一方のベローズ3の可動部5と他方のベローズ3の可動部5とが互いに逆になるように構成されている。例えば、図1に示したように、2つのクランクホイール43を、同一の回転軸44に連結して、この回転軸44にタイミングプーリー45を設け、このタイミングプーリー45を図示してないタイミングベルト等によって回転駆動することにより、2つのベローズ3の可動部5を互いに逆向きに同じ速度で駆動することができる。
位置検出手段10は、各可動部5の位置を検出するもの、すなわち、ベローズ3の状態を把握するものであり、各可動部5の位置を検出することができればとくに限定されないが、例えば、図1に示したように、回転軸44にクランクホイール43とは別に取り付けた回転角度検出用の回転板46と47の回転角度を検出して各可動部5の変動位置を検出するロータリーエンコーダ48、49である。このロータリーエンコーダ48、49は、回転板46と47の回転角度を検出することができれば、とくに限定されない。尚、クランクホイール43はこれをクランクアームとすることは任意であり、クランクホイールを用いた場合には、位置検出手段10はクランクホイールに設けることができる。
具体的には、本実施の形態では、とくに図1に示したように、ベローズ3、3及び回転板46と47が2個ずつ設けられ、一方の回転板46の外周又はその近傍に1つの突起46aを取り付け、この突起46aの通過を検出するように第1のロータリーエンコーダ48を設ける。また、他方の回転板47の外周又はその近傍に、複数の突起47aを所定の間隔、例えば、15°間隔で取り付け、これら突起47aの通過を検出するように第2のロータリーエンコーダ49を設ける。これにより、クランクホイール43の回転角度を検出して2つのベローズ3の各可動部5の変動位置を検出することができる。第1と第2のロータリーエンコーダ48と49からの検出信号は制御部24に入力される。
制御部24は、図1に示すように、第1と第2のロータリーエンコーダ48と49からの検出信号に基づいて、クランクホイール43、43の回転角度を検出して2つのベローズ3の可動部5の変動位置を検出する計算機能を有する。また、制御部24は、回転板46と47の回転角度の検出値(可動部5の変動位置の検出値)に基づいて再生弁(三方弁)11及び排気電磁弁15の開閉を制御して吸着剤6の再生と吸気を圧縮し吸着剤に送り込む吸気圧縮再生機能を制御する。尚、可動部5の連続的な往復移動は動力源から可動部駆動機構41の回転軸44に連続的に回転運動を伝えることによって行う。また、この回転速度を制御することによって、可動部5がサインカーブを描くように動作させることについては前述した。
圧力変動装置2にある気体の吸気圧縮再生は、クランクホイール43、43の回転角度に基づいて再生弁(三方弁)11及び排気電磁弁15の開閉を制御することによって行うもので、例えば、可動部5が上死点(ベローズ3の圧縮)の時、とくに図4に示したように、クランクホイール43の角度を0°、可動部5が下死点(ベローズ3の伸張)の時クランクホイール43の角度を180°とする。これにより、クランクホイール43の角度が0から360°で1回転するとベローズ3が1伸縮することになり、クランクホイール43の角度が0〜180°の時に排気電磁弁15を開にして、再生工程で発生する排気に備える。一方、クランクホイール43の回転角度が0〜180°の時、同時に空気が吸気逆止弁17を介して第2流通管16からベローズ3に吸引される吸気工程が行われる。また、クランクホイール43の回転角度が180〜360°の時に排気電磁弁15を閉にして、ベローズ3内の空気を圧縮させると第2流通管16、第3流通管18、第1流通管14、及び第1気体流通路7dを介して吸着筒体7内の拡散室13に入り隔板7bから乾燥剤12及び吸着剤6を介してから、第1連通管23、第2連通管25及び第4連通管29を介して第6連通管35から高濃度酸素ガスとして取り出されると共に、貯留タンク8と第5連通管30を介しての再生タンク26等に導かれる圧縮工程が行われる。また、吸気工程中(0〜180°)にクランク角度が設定した一定角度の間再生弁(三方弁)11を開にして再生タンク26からの気体を空気とは反対方向に第3連通管27と第1連通管23を介して吸着筒体7内の吸着剤6へ流して該吸着剤6の再生を行う(再生工程を行う)。
尚、上述した従来の公知技術は再生タンク26に相当するものはなく、貯留タンク一つで再生ガスを蓄える機能と酸素の出口の流量を安定させる機能を賄っていたが、その場合には、酸素の分離条件や酸素の出口流量の変動によりその内圧も変動するため、再生工程に利用される酸素の量が安定しないという問題点があった。本発明においては、貯留容器を再生タンク26と貯留タンク8の二つに分けて第2逆止弁32によって再生タンク26の内圧を制御することにより、再生に利用される酸素の量が安定することになり、気体濃度の制御が容易になった。尚、再生弁(三方弁)11の開とは、第1連通管23と第3連通管27とが連通した状態の弁の位置であり、再生弁(三方弁)11の閉とは、第1連通管23と第2連通管25とが連通した状態の弁の位置である。
吸着剤6の再生は、高濃度酸素(70%〜90%)を分離させる時、クランクホイール43の回転角度が120°〜180°の範囲内に設定して行なうことが好ましく、とくにクランクホイール43の回転角度が150°を含む時に行うようにすることが好ましい。比較的低濃度の酸素(30%〜59%)を大量に分離させようとする時、クランクホイール43の回転角度が15°〜120°の範囲に設定して行なうことが好ましく、とくにクランクホイール43の回転角度が45°を含む時に行なうことが好ましい。吸着剤6の再生をクランクホイール43の回転角度が15°未満で行なうと、再生ガスの流入が排気ガス圧により阻害されて再生が十分に行なわれない。吸着剤6の再生をクランクホイール43の回転角度が180°を超える範囲で行なうと、再生ガスの流入が吸気と干渉し再生が十分に行なわれず、いずれの場合も乾燥剤12及び吸着剤6の寿命を縮める結果となる。
吸気圧縮再生機能は、各ベローズ3、3の可動部5、5が、とくに図5に示したように、交互に位相の反転したサインカーブを描くように往復移動している間に連続的になされるものであり、従来公知技術のもののように、ベローズの変位動作が所定時間停止させられることはない。その理由は、可動部5の上死点と下死点近傍において、当該可動部5の変動を緩やかなものにすることにより、可動部5の変動が遅くなった時に、吸気・排気・吸着・脱着用の各種弁を動作させることができるからである。そして、クランクホイール43の回転角度の検出値(可動部5の位置の検出値)に基づいて再生弁(三方弁)11及び排気電磁弁15を作動させて吸着剤6の再生をクランク角度が設定した一定角度の間に行うものである。また、制御部24は、クランクホイール43の回転数を制御する回転数制御機能を有することが好ましい。クランクホイール43の回転数は、例えば3〜10rpmであることが好ましい。クランクホイール43の回転数が3rpm未満であると、十分な量の酸素が得られず、発生した酸素は全て再生に費やされることになり利用可能な酸素は得られない。クランクホイール43の回転数が10rpmを超えると、酸素の流動に要する時間に対して、吸気工程、排気工程に費やせる時間が短くなりすぎ濃縮されない。
次に、上記に説明した酸素濃縮装置(気体分離装置)1を用いて酸素を濃縮する場合について説明する。クランクホイール43、43は、可動部駆動機構41により回転駆動されており、このクランクホイール43、43の各回転角度が回転板46、47に設置した第1と第2のロータリーエンコーダ48、49に検出され、この検出値に基づいて排気電磁弁15、15及び再生弁(三方弁)11、11の開閉が制御される。一方のクランクホイール43の回転角度が180°の時、一方のベローズ3が最も引き伸ばされた状態(可動部5が下死点で、他方のベローズ3は上死点にある。下死点にあるベローズ3には、例えば、第2流通管16を介して空気が導入されており、その内部はほぼ大気圧と同じである。この時、排気電磁弁15及び再生弁(三方弁)11が閉じられている。クランクホイール43が回転すると、可動部駆動機構41を介して下死点にあるベローズ3が押し縮められていき、このベローズ3内の空気が圧縮され、第2流通管16、第3流通管18及び第1流通管14を通って吸着筒体7内の拡散室13に導かれる。この空気は、隔板7bから乾燥剤12及び吸着剤6内に拡散されつつ入り、そこで、空気中の窒素が吸着剤6に吸着される。
この吸着剤6により窒素が分離された酸素は、第1連通管23、第2連通管25及び第4連通管29を通って一部が第6連通管35を介して酸素として取り出され、出口流量計36、絞り弁37、及び酸素濃度計38を介して外部に取り出され、残りは貯留タンク8へ貯留される。この時、再生弁(三方弁)11は第3連通管27側を閉じている。窒素が分離された気体の残りの一部は、第5連通管30を介して再生タンク26に流れてそこに貯留される。このように、貯留タンク8を設けることで、第6連通管35内の酸素の流量を平滑化することができる。また、第2連通管25に第1逆止弁28を設けると共に、第4連通管29に第2逆止弁32を設けることで、酸素を取り出した後も、再生タンク26内の酸素が残存するため、吸着剤6の再生を良好に行える。
一方のクランクホイール43の回転角度が360°(0°)になると、制御部24によりその回転角度が検出されて排気電磁弁15が自動的に開かれる。クランクホイール43の角度が0°を過ぎると、圧縮されている(縮んでいる)ベローズ3が引き伸ばされていき、当該ベローズ3内が減圧になるので、空気が吸気逆止弁17を介して第2流通管16を介してベローズ3内に吸引される。すなわち、この一方のベローズ3では吸気工程が行われる。
クランクホイール43の回転角度が120〜180°の範囲内で制御部24によりその角度が検出されて再生弁(三方弁)11が自動的に開かれる。これにより、再生タンク26内の気体は、吸着筒体7内より高圧であるので、第5連通管25と再生弁(三方弁)11と第1連通管23を介して吸着筒体7の上蓋7cより吸着剤6内を空気とは逆方向に流れる。これにより、吸着剤6に吸着されていた窒素が脱着されて当該吸着剤6の再生が行われる。この脱着された窒素は再生タンク26からの酸素と共に拡散室13、第1気体流通路7d、第1流通管14、及び排気電磁弁15を介して大気に放出される。このようにして吸着筒体7では吸着剤6の再生工程が行われる。
したがって、クランクホイール43の回転角度に応じて排気電磁弁15及び再生弁(三方弁)11の開閉制御を行って吸気工程、再生工程及び圧縮工程を自動的に行っているので、ベローズ3を連続的に往復移動させて酸素を分離濃縮させ、高濃度酸素を得ることができる。また、再生弁(三方弁)11が開いている時間が、例えば、クランクホイール43の回転角度が15°〜180°の範囲内であって150°を含むように吸着剤6の再生を行うことで、高濃度の酸素が得られる。また、クランクホイール43の回転数が3〜10rpmであると、より高濃度の酸素ガスが得られる。
さらに、図示したように、ベローズ3及び吸着筒体7等を2組設けると、一方のベローズ3で圧縮工程を行い、他方のベローズ3で吸気工程及び再生工程を行うことで、効率よく高濃度の酸素ガスを連続的に得られる。
次に、図1に示した酸素濃縮装置1を用い、装置の仕様を次のように決定して酸素を分離濃縮したところ、表2に記載したような高濃度酸素を得ることができた。
ベローズ3は、内径123mmのものと、内径146mmのものを使用した。吸着筒体7は、2重底のものと、2重底でないものとを用意した。隔板7bの上にシリカゲルを収容して乾燥剤12とした上で、この乾燥剤12の上にゼオライトからなる吸着剤6を収容した。ベローズ3の駆動手段はクランク機構を使用して、クランクホイール43を所定の回転速度で回転駆動した。位置検出手段10は、外周に突起のある回転板46、47と光電センサとからなるロータリーエンコーダ48,49を使用し、一方の回転板46で一方のベローズ3の下死点(及び他方のベローズ3の上死点)を検出し、他方の回転板47で当該回転板47の角度を15°毎に検出した。外部へ取り出される酸素は、酸素濃度計38により酸素濃度を測定した。また、第6連通管35の出口流量計36により酸素の流量(出口流量)を測定した。再生弁(三方弁)11の開放角(弁が開いている間にクランクホイール43が回転する角度、すなわち、弁が開いてからクランクホイール43がこの角度だけ進んだ点で弁が閉まる)は、15°、30°、45°の場合で60°〜180°の範囲で行った。また、クランクホイール43の回転数は、3、5、8、10rpmについて行った。その結果を表2に示した。尚、これらの表の開放角欄の数値は弁を開いた時のクランクホイール43の回転角度と閉じた時のクランクホイール43の回転角度である。したがって後者から前者を引いたものが先に定義した開放角である。
Figure 0005184850
表2の結果から解るようにクランクホイール43の回転角度が120〜180°の角度範囲で酸素の濃度が高い酸素含有ガスが得られた。また、クランクホイール43の回転角度が150°前後で酸素濃度のピークがあることが分かった。また、クランクホイールの回転数が8、10rpmで高濃度酸素ガスの流量(出口流量)が略1L/ml以上であった。従って、内径146mmの樹脂ベローズを用いた場合、開放角が120〜180°の角度範囲であって150°を含み、クランクホイールの回転数が5〜10rpmの時に吸着剤の再生を行うことで、酸素の濃度が高い酸素含有ガスが得られることがわかった。特に開放角が120〜165°、135〜180°で、クランクホイール43の回転数が8、10rpmで酸素濃度が80%以上の高濃度酸素ガスが得られた。また、足踏みペダルによりクランクホイールを回転駆動させる際のクランクホイールの回転数は約3〜10rpmであるので、本発明に係る酸素濃縮装置1を足踏みペダルの回転軸の回転駆動力を発生させるエアロバイクなどの健康器具等に最適に適用することができる。
図6と図7はさらに、樹脂製のベローズと吸着筒体とを気密に接続する場合の他の実施例を示し、図面によれば樹脂製のベローズ50は、その上端部を吸着筒体フランジ部51aと締付フランジ52の間で挟み、締付ボルト53で気密に固着した上で、両フランジ51aと52を圧力変動装置2の固定部54に取付ボルト55で固定してある。吸着筒体フランジ部51aと締付フランジ52にはベローズ50と吸着筒体51との間の気密性を保つために凹部56aと凸部56bから成る第1シール部56とOリングから成る第2シール部57が設けられている。この第1シール部56とOリングから成る第2シール部57はどちらか一つとすることもできる。
図8はさらに、樹脂製のベローズと吸着筒体とを気密に接続する場合の他の実施例を示し、互いに樹脂製のベローズ60と吸着筒体61とは共にその上端部を締付フランジ62と把持フランジ63とで挟んで締付ボルト53で固着して成り、両フランジ62と63にはベローズ60と吸着筒体61との間の気密性を保つために凹部65aと凸部65bから成るシール部65が設けられている。尚、指示記号66は、可動部としての可動端板である。
また、上記図6乃至図8に示した吸着筒体61の内部構造は、図3に示したものと同じ構造であるので、その説明を省略した。
次に、図9はベローズと吸着筒体に接続する配管系等の他の実施例を示す。図1の実施例と異なる点は、クランク機構を省略し、クランクホイールのみの表示とし、このクランクホイールに位置検出手段を設置してある点である。また、配管系統の違いとしては、再生弁(三方弁)11を取り去り第2連通管75と第3連通管76を第1連通管74に直接接続し、第3連通管76に再生のための気体を吸着筒体73に流すための第2逆止弁71bを介在させた点にある。また、制御系については、図1の実施例において再生弁11についていた制御配線は切除した。この実施例の動作は次の通りである。
クランクホイール70の回転角度が180°〜360°ではベローズ72で圧縮された気体は吸着筒体73で窒素を吸着除去され、第1連通管74を通って第3連通管76に流入するが、第3連通管76にはこの方向の流れを阻止する方向の第2逆止弁71bが介在するためにこの流れは阻止される。第2連通管75に入った流れは、この第2連通管75に介在する第1逆止弁71aがこの流れに対して順方向の逆止弁なので、ここを通過し第4連通管77を通過して再生タンク79及び貯留タンク80に流入する。この状況は図1の場合と全く同じであり、すなわち、酸素濃縮工程が行われる。
クランクホイール70の回転角度が0°〜180°では、吸気工程については、吸気にかかわる配管系統、すなわち、第2連通管75、吸気逆止弁81および送気逆止弁82は図1と全く同じであり、図1の場合と全く同じく吸気工程が行われる。再生工程については、再生タンク79に貯留された気体および酸素濃縮工程の状態にあるもう一方のベローズ72から第2連通管75を経由した気体が第3連通管76さらに第1連通管74を介して吸着筒体73に流入し第1流通管83を経由して流出しようとする。しかし、排気電磁弁84が閉じている状態では気体は流出できないので吸着筒体73内に気体の流入は起こらない。すなわち、再生工程には入れず待機状態にとどまる。次に、クランクホイール70が再生のために設定された回転角度に達すると制御配線に電気が流れて排気電磁弁84が第1流通管83を通して流出(排気)するので、第3連通管76さらに第1連通管74を介して吸着筒体73に再生のための気体が流れ込んで再生工程がなされる。
このように図9においても、図1と同様に窒素吸着・吸気・再生工程が行われて酸素が濃縮される。図9の酸素濃縮装置の製造コストは図1のものと比較すると、高価な三方弁が安価な逆止弁に置換えられたこと、制御配線が一系列減ったこと、したがって、制御装置も一系列分が不用になったことから、全体としてより安価に製造することができる利点がある。
図10はさらに別の簡略化した配管系統の実施例を示す。この実施例も図1の実施例と異なる点は、クランク機構を省略し、クランクホイールのみの表示とし、このクランクホイールに位置検出手段を設置してある点である。図9における再生タンク79、第2逆止弁71bおよび第3連通管76が省略されている。図面によれば、排気電磁弁85が開いて再生工程にある時は、再生のための気体は全て酸素濃縮工程(窒素吸着工程)にある他方側の吸着筒体86からの酸素の濃縮された気体の一部を直接に渡り管87を介して再生工程にある吸着筒体86に供給して再生工程を行う。再生流量調節用のオリフィス88は再生に送られる流量を適当に調節するめのものである。すなわち、貯留タンク89に分配される分と再生に分配される分の配分を行っている。尚、再生タンクがないため再生のための気体の流れは再生タンクのある場合ほど均一ではないと思われるが、酸素発生性能には実用上の差は認められなかった。但し、オリフィス径の調節が適当でないと所期の性能が得られず、オリフィス径の調節が難しい難点がある。しかし、部品点数および配管本数が減少する経済メリットが大きい。
尚、当分野の通常の知識を有する者であれば、図1の再生弁(三方弁11)を2個の通常の電磁弁(二方弁)に置き換えることが出来る。即ち、再生弁(三方弁)11を取り去って第3連通管91及び第2連通管90にそれぞれ電磁弁1個を介在させれば良い。また、図9での第1及び第2逆止弁71a、71bに代えて電磁弁(二方弁)を用いることが出来る。さらに、図1、図9、図10の各逆止弁に代えて電磁弁と逆止弁のクラッキング圧(図1の第1逆止弁28の場合の0.1気圧)に対応する圧損を持つオリフィス或は絞り弁を組み合わせて使うことができる。
図11はさらに簡略化された配管系統の他の実施例を示す。この実施例も図1の実施例と異なる点は、クランク機構を省略し、クランクホイールのみの表示とし、このクランクホイールに位置検出手段を設置してある点である。図11では第1連通管95にそれぞれオリフィス96、99を介在させ、この第1連通管95を貯留タンク97につながっている第4連通管98に直接接続している。この場合、貯留タンク97は図10における貯留タンク89の役割もはたしている。すなわち、酸素濃縮工程にある他方の側からの気体は他方のオリフィス99から一方のオリフィス96を経由して一方の再生工程に供給されるが、この時適宜に貯留タンク97からも一方のオリフィス99を通って再生工程に供給される。この点では図10の場合より再生に供給される流れは均一であると思われるが、図10の場合と同様にオリフィス径の調整が適当でない場合には所期の性能が得られない。
尚、以上のいずれの実施例においても、オリフィスの替わりに流量の調節をしやすい絞り弁を使用しても良いことは勿論である。
図12は、本発明に係る気体分離装置を酸素濃縮装置として使用し、有酸素運動を行うことのできる健康器具であるエアロバイクに実施した例を示す図である。このエアロバイク100は、足踏みペダルの回転軸の回転駆動力を利用し、タイミングベルト、歯車やチェーン等の公知の駆動力伝達手段によって、酸素濃縮装置101の2つのベローズ102(一方のみ表示)を駆動させて高濃度酸素ガスを得るものである。すなわち、エアロバイク100には、図12に示すように、一対の足踏みペダル103がペダル回転軸104を介してバイク本体105に回転可能に設けられている。バイク本体105は、平面略T字状に形成され、先端部の両端下部に移動が容易に行えるようにキャスター109が設けられている。また、バイク本体105には椅子106が設けられている。
ペダル回転軸104には第1歯車107が設けられ、この第1歯車107に第2歯車108が噛合されている。第2歯車108には、チェーン128が掛け渡されている。チェーン128は、自転車の多段変速ギヤと同じ構造の多段変速ギヤ例えば6段変速ギヤ110に掛け渡されており、ハンドル123等に設けられたレバー(図示せず)等の操作によりギヤ比を可変することができるようになっている。6段変速ギヤ110を回転可能に支持するギヤ回転軸111には、第3歯車112が設けられ、この第3歯車112に従動歯車113が設けられている。従動歯車113を回転可能に支持する回転軸114の両端部に2つのクランクホイール115がそれぞれ設けられており、従動歯車113が回転することによって2つのクランクホイール115が回転駆動されるようになっている。
クランクホイール115の上方には、所定の間隔をあけて2つの固定部116と基台117が設けられている。これら固定部116基台117は、略矩形平板状に形成されている。これら固定部116と基台117の間には、これら固定部116と基台117を間隔をあけて連結する断面円形の棒状のガイドシャフト118がそれぞれ設けられている。指示記号119は、ガイドシャフト118に案内されて上下動する可動部であり、固定部116と可動部119との間にベローズ120が設けられ、圧力変動装置121を構成している。
また、バイク本体105には、ハンドル123が設けられている。また、バイク本体105には、可撓性パイプ124を介して酸素マスク125が接続されている。可撓性パイプ124は、バイク本体105内に設けられた酸素を貯留する貯留タンク126に接続されている。貯留タンク126には、酸素濃縮装置127で得られた酸素が貯留されるようになっており、利用者がエアロバイク100を使用すると、クランクホイール115を介してベローズ120を伸縮させて濃縮された高酸素が得られ、この酸素が貯留タンク126から可撓性パイプ124を介して酸素マスク125に導かれ、この酸素マスク125を装着してエアロバイク100を使用する使用者に有酸素運動を行わせることができるようになっている。尚、酸素は、酸素マスクによらずとも、図示してないカニューラによって、使用者へ供給することができ、さらに使用者の顔近くに噴出口を設けるという手段によっても使用者に供給することができる。
以上説明したように本発明に係る気体分離装置は、可動部の位置を検出する位置検出手段を設け、この位置検出手段からの検出値に基づいて吸着剤の再生を混合気体の吸引中の任意の設定した可動部の変動範囲内に行うようにした制御部を設け、圧力変動装置の可動部を連続的に往復移動させて特定の気体の濃度を高くすることができる。また、この気体分離装置は、空気を混合ガスとして吸引させる時には濃縮された酸素が得られるので、酸素療法に用いる酸素濃縮装置として用いることができ、さらに、美容・健康機器に用いる酸素濃縮装置、運動機器等に用いる酸素濃縮装置、災害時の緊急用酸素濃縮装置、とくに有酸素運動を行なうエアロバイクとして用いることができる。
本発明に係る気体分離装置の一例を示す概略構成図である。 本発明に係る気体分離装置の圧力変動装置を概略的に説明するための説明図である。 本発明に係る気体分離装置に用いる2重底の吸着筒体の部分を示す断面図である。 本発明に係る気体分離装置の回転板の回転角度に対する各種弁の開閉制御を説明する説明図である。 本発明に係る気体分離装置の圧力変動装置の動作を説明する説明図である。 本発明に係る気体分離装置に用いる2重底の吸着筒体の部分の他の実施例を示す断面図である。 図6に示した吸着筒体の取付構造を示す拡大断面図である。 本発明に係る気体分離装置に用いる2重底の吸着筒体の部分のさらに他の実施例を示す断面図である。 本発明に係る気体分離装置の配管系等の他の実施例を説明する概略構成図である。 本発明に係る気体分離装置の配管系等のさらに他の実施例を説明する概略構成図である。 本発明に係る気体分離装置の配管系等のさらに他の実施例を説明する概略構成図である。 本発明に係る気体分離装置をエアロバイクに実施した場合の概略構成図で、(a)は側面図、(b)は平面図である。
1 気体分離装置(酸素濃縮装置)
2 圧力変動装置
3 ベローズ
4 固定部
5 可動部
6 吸着剤
7 吸着筒体
7a 底板
7b 隔板
7c 上蓋
7d 第1気体流通路
7e 第2気体流通路
8 貯留タンク
9 再生手段
10 位置検出手段
11 再生弁
12 乾燥剤
13 拡散室
26 再生タンク
41 可動部駆動機構
43 クランクホイール
46 回転板
47 回転板
48 第1ロータリーエンコーダ
49 第2ロータリーエンコーダ
50 ベローズ
60 ベローズ
70 クランクホイール
100 エアロバイク
101 酸素濃縮装置

Claims (15)

  1. 耐圧容器とこの耐圧容器を固定する固定部と往復動作する可動部とを備え、前記可動部の往復動作に基づいて前記耐圧容器内へ混合気体が吸入され、また、吸入された混合気体が当該耐圧容器内で圧縮されるように成した圧力変動装置と、前記耐圧容器内の前記固定部側に取り付けたところの底板と上蓋とを有する吸着筒体と、この吸着筒体内部に収容させた吸着剤によって分離された分離気体を貯留させる貯留タンクとを含み、PSA法により混合気体から特定の気体を連続的に分離する気体分離装置であって、
    前記吸着筒体内に気体流通性を有する隔板で仕切られた拡散室と前記吸着剤の収容室とを設け、前記拡散室に連通させて排気電磁弁を備えた第1流通管を設け、前記吸着剤の収容室に連通させて前記貯留流タンクに至る再生弁を備えた第1連通管を設け、前記耐圧容器に連通させて吸気逆止弁を備えた第2流通管を設け、さらにこの第2流通管と前記第1流通管との間を送気逆止弁を介して連通させる第3流通管を設け、前記耐圧容器の吸気時には前記可動部と前記第2流通管とを介して混合気体を吸入すると共に、前記可動部を往復動作させるように連結された回転板の回転角度を検出して前記可動部の変動位置を検出する位置検出手段を設け、この位置検出手段からの信号を制御する制御部を介して前記第1流通管の排気電磁弁と前記第1連通管の再生弁の開閉を制御することにより、前記耐圧容器内の混合気体の圧縮時には前記排気電磁弁を閉じて前記第2流通管と前記第3流通管と前記第1流通管を介して圧縮された混合気体を前記拡散室へ導き、この拡散室より前記吸着剤を介してこの吸着剤で分離された気体を前記第1連通管を介して前記貯留タンク側へ導くように構成すると共に、前記耐圧容器内への前記混合気体の吸入を行う過程の中で前記排気電磁弁を開いて排気を行いつつ前記再生弁を開いて前記貯留タンクに分離された分離気体を当該第1連通管を介して前記吸着剤の収容室へ導入させ前記拡散室より前記第1流通管を介して外部へ排気することにより、前記可動部を停止させることなく前記吸着剤の再生を行うことができるように構成したことを特徴とする、気体分離装置。
  2. 耐圧容器とこの耐圧容器を固定する固定部と往復動作する可動部とを備え、前記可動部の往復動作に基づいて前記耐圧容器内へ混合気体が吸入され、また、吸入された混合気体が当該耐圧容器内で圧縮されるように成した圧力変動装置と、前記耐圧容器内の前記固定部側に取り付けたところの底板と上蓋とを有する吸着筒体と、この吸着筒体内部に収容させた吸着剤によって分離された分離気体を貯留させる貯留タンクとを含み、PSA法により混合気体から特定の気体を連続的に分離する気体分離装置であって、
    前記吸着筒体内に気体流通性を有する隔板で仕切られた拡散室と前記吸着剤の収容室とを設け、前記拡散室に連通させて排気電磁弁を備えた第1流通管を設け、前記吸着剤の収容室に連通させて前記貯留タンクに至る逆止弁を有する第1連通管を設け、この第1連通管の前記逆止弁にいたる部分より分岐させて再生タンクを設け、前記耐圧容器に連通させて吸気逆止弁を備えた第2流通管を設け、さらにこの第2流通管と前記第1流通管との間を送気逆止弁を介して連通させる第3流通管を設けることにより、前記耐圧容器の吸気時には前記可動部と前記第2流通管とを介して混合気体を吸入すると共に、
    前記可動部を往復動作させるように連結された回転板の回転角度を検出して前記可動部の変動位置を検出する位置検出手段を設け、この位置検出手段からの信号を制御する制御部を介して前記第1流通管の排気電磁弁と前記第1連通管の再生弁の開閉を制御することにより、前記耐圧容器内の混合気体の圧縮時には前記排気電磁弁を閉じて前記第2流通管と前記第3流通管と前記第1流通管を介して圧縮された混合気体を前記拡散室へ導き、この拡散室より前記吸着剤を介してこの吸着剤で分離された気体を前記第1連通管を介して前記貯留タンクと前記再生タンクへ導くように構成すると共に、前記耐圧容器内への前記混合気体の吸入を行う過程に中で前記排気電磁弁を開いて排気を行いつつ前記再生タンクより分離気体を当該第1連通管を介して前記吸着剤の収容室へ導入させ前記拡散室より前記第1流通管を介して外部へ排気することにより、前記可動部を停止させることなく前記吸着剤の再生を行うことができるように構成したことを特徴とする、気体分離装置。
  3. 前記圧力変動装置の前記可動部の往復動作は、その上死点と下死点においてサインカーブを描くように制御されることを特徴とする、請求項1〜2のいずれか1項に記載の気体分離装置。
  4. 前記圧力変動装置の耐圧容器が、単数又は複数のベローズであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の気体分離装置。
  5. 前記ベローズが、金属製ベローズ又は樹脂製ベローズであることを特徴とする、請求項4に記載の気体分離装置。
  6. 前記吸着筒体には、吸着剤と前記隔板との間に乾燥剤が収容されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の、気体分離装置。
  7. 前記貯留タンクと前記第1連通管に設けた再生弁との間には、前記吸着剤の再生に用いる気体を貯留しておく再生タンクが設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の気体分離装置。
  8. 前記圧力変動装置を駆動させる駆動手段が、クランク機構であり、
    前記位置検出手段が、前記クランク機構のクランク軸と共に回転する回転板の回転角度から前記可動部の位置を検出するものであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の気体分離装置。
  9. 前記可動部の位置を検出する位置検出手段が、前記回転板に設けたロータリーエンコーダであることを特徴とする、請求項8に記載の気体分離装置。
  10. 前記回転板の上死点からの回転角度が15°〜180°の範囲内である時に、前記吸着剤の再生を行うようにしたことを特徴とする、請求項9に記載の気体分離装置。
  11. 前記可動部の往復運動が1分間に3〜10回であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の気体分離装置。
  12. 前記圧力変動装置を2組備え、これら2組の圧力変動装置を交互に駆動させることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の気体分離装置。
  13. 前記混合気体が空気であると共に、前記吸着剤が前記空気中の窒素を吸着するゼオライトから成る窒素吸着剤であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の気体分離装置。
  14. 前記請求項1〜13のいずれか1項に記載の気体分離装置を用いて、酸素を濃縮させることを特徴とする、酸素濃縮装置。
  15. 前記請求項14に記載の酸素濃縮装置を搭載したことを特徴とする、エアロバイク。
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