JP2006296830A - 酸素濃縮器 - Google Patents

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謙史 西村
Toshiyuki Nishimoto
敏行 西本
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敦 海老名
Hideki Kobayashi
英樹 小林
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Abstract

【課題】 在宅酸素療法に使用する静粛で低消費電力の圧力変動吸着型酸素濃縮器を提供する。
【解決手段】 酸素よりも窒素を選択的に吸着し得る吸着剤を充填した少なくとも1個の吸着筒と該吸着筒に空気を加圧供給及び/または減圧排気する為の空気圧縮機と切り替えバルブを有する圧力変動型の酸素濃縮器において、該空気圧縮機の圧縮空気吐出口側から、圧力センサ、コントロールバルブを介して、該切り替えバルブが、接続されることを特徴とする酸素濃縮器。
【選択図】図1

Description

本発明は空気中から酸素を分離濃縮する酸素濃縮器、特に医療用として在宅で行なわれる酸素吸入療法に使用する圧力変動吸着型の酸素濃縮器に関する。
在宅酸素療法に使用する医療用の酸素濃縮器は、空気を原料としてその中に含まれる約21%の酸素を40%や90%前後に濃縮して使用するものである。その方法としては、酸素を選択的に透過する酸素富化膜を使用する膜型の酸素濃縮器と、ゼオライト等の窒素を選択的に吸着する吸着剤を用い、これを充填した吸着筒に原料である空気を加えて窒素を吸着分離する圧力変動吸着型の酸素濃縮器がある。前者の酸素濃縮器で濃縮される酸素濃度は約40%で後者が約90%である。現在では,後者が主流となっており、本発明は、後者に関するものである。
かかる圧力変動吸着型酸素濃縮器は、5A型ゼオライトや13X型ゼオライト、或はSiO/Al比が2.0〜3.0であるX型ゼオライトでそのAlO四面体単位の少なくとも88%以上がLiカチオンと会合している高性能のLiゼオライト等を1筒、2筒、或は更に多数の吸着筒に充填し、コンプレッサを用いて大気を加圧供給し窒素を吸着させ、酸素を分離すると共に、流路を切り替え、大気圧迄で圧力を減圧して吸着した窒素を脱着させるPSA(Pressure Swing Adsorption)方式や、吸着筒を真空状態まで減圧することで脱着再生効率を上げたVPSA(Vacuum Pressure Swing Adsorption)方式の各種装置が市場に供給されている。
特開2000−176019号公報
在宅酸素療法に用いられる酸素濃縮器に求められる基本性能は、酸素濃縮性能の他に、特に在宅医療用として求められる要件として、省エネ性、装置信頼性他がある。これは、次の理由によるものである。
在宅酸素療法で使用する酸素濃縮器は、装置自体の費用の大部分は健康保険負担となり患者負担は少ないものの、運転費用は患者負担であり、患者は一日24時間連続運転して使用するため、電気代は大きな負担となり、消費電力の小さい装置が必須要件となっている。また、在宅酸素療法で使用する酸素濃縮器は、長期に渡って、安定した性能を発揮することが要求される一方で、一年中停止することなく24時間運転という、苛酷な条件下で使用される為、信頼性の高い装置であることが必須要件となっている。
次にこれらの酸素濃縮器に求められている2つの要件について従来技術では、以下のような態様となっている。
(1)低消費電力性について
酸素濃縮器における主たる電力消費部は、空気圧縮機であるので、この部分の効率化が低消費電力化を実現する為に、多大な効果がある。特に高効率を実現する為の装置構成として、従来から一般的に使用されている往復動型ピストン方式の代わりに、効率の高い回転型スクロール方式やヘリカル方式の空気圧縮機を使用し、駆動する為の電動機に対しては、交流用誘導電動機よりも効率の高い直流電動機を使用することが一般的になりつつある。特開2000−176019号公報に記載の如く、スクロール方式の圧縮機と直流用ブラッシュレス電動機を使用する装置構成が、公知の技術である。
(2)装置信頼性について
医療用酸素濃縮器に使用さる装置構成要素は、衛生面の配慮から、機械油を使用していない部品を使用する.主要構成部品である空気圧縮機についても、オイルレスのドライ摺動方式のコンプレッサを使用している為、一般的に空気圧縮機の長寿命化が酸素濃縮器の信頼性向上の最重要技術となっている。
酸素濃縮器に使用されるピストン方式の長寿命化技術としては、ピストンとシリンダ間のシール材質を耐磨耗性の良好な材料に変更する方法や、シール材自体の厚みを厚くすることで許容摩耗量を引き上げ、寿命を延長化する方法が一般的である。しかしながら、これらの対策技術では、機械摺動抵抗の増大を招き、一方の重要要件である省エネ性を犠牲にすることが多い。
本発明は、上記のように在宅酸素療法に使用する低消費電力でかつ装置信頼性の高い酸素濃縮器を提供するものである。そこで本発明者は、かかる課題に対して鋭意検討した結果、以下の酸素濃縮器を見出した。
すなわち本発明は、酸素よりも窒素を選択的に吸着し得る吸着剤を充填した少なくとも1個の吸着筒と該吸着筒に空気を加圧供給及び/または減圧排気する為の空気圧縮機と切り替えバルブを有する圧力変動型の酸素濃縮器において、該空気圧縮機の圧縮空気吐出口と該切り替えバルブが、コントロールバルブ(以下、CVとも記す。)を介して接続されることを特徴とする酸素濃縮器を提供するものである。
酸素よりも窒素を選択的に吸着し得る吸着剤を充填した少なくとも1個の吸着筒と該吸着筒に空気を加圧供給及び/または減圧排気する為の空気圧縮機と切り替えバルブを有する圧力変動型の酸素濃縮器において、該空気圧縮機の圧縮空気吐出口側から、圧力センサー、コントロールバルブを介して、該切り替えバルブを、接続し構成することにより、低消費電力でかつ装置信頼性の高い酸素濃縮器を提供することができる。
吸脱着プロセスの圧力変動の影響をコンプレッサが受けやすい為、吐出圧力を一定に制御することによりコンプレッサの耐久性は向上し、また圧力変動に伴う唸り音などの騒音を低減することが可能となる。
同部に背圧弁を挿入することにより同様の効果を実現することが出来る。背圧弁の場合はコンプレッサの吐出圧力は1設定値しか取れず、容量制御には対応することは出来ないが、コントロールバルブを採用することにより、コンプレッサの吐出側圧力の設定は任意に行うことが可能となり容量制御に対応可能となる。
本発明の医療用酸素濃縮装置の概略図を図1に示す。
かかる酸素濃縮装置は、酸素よりも窒素を選択的に吸着する吸着剤として5A型ゼオライトを充填した吸着筒にコンプレッサにより加圧空気を供給し、酸素濃度90%の酸素濃縮ガスを取り出し、加湿器を経由して使用者である呼吸器疾患患者に、例えば3L/minの流量で供給する2筒式の圧力変動吸着型酸素濃縮装置である。
空気圧縮機は圧縮比が1.5〜3.0の範囲にあり、かつ、排除容積が50cc/rev以下の範囲を有するスクロール型の空気圧縮機である。該空気圧縮機を駆動する電動機が5,000rpm以下で運転することができる能力を有するブラッシュレスDC電動機であり、これをインバータにより制御することにより任意に回転数を変更できるようになっている。
空気圧縮機と吸脱着の流路を切替えるための切り替えバルブとの間には、空気圧縮機の吐出圧力を検知し、信号として出力する圧力センサーと、その信号を元に、吐出側圧力を一定にすることように制御ができるコントロールバルブ(CV)が挿入されている。
従来の構成の様に、直流用ブラッシュレス電動機にて駆動する空気圧縮機と切り替えバルブ間を配管で直接接続した構成では、バルブ切り替えによる空気圧縮機出側での圧力変動が大きく、その負荷変動周期に併せて電動機の回転数も変動する為、常に一定負荷、一定回転数で稼動する空気圧縮機に比べて効率が悪く消費電力も高くなるだけではなく、空気圧縮機内部で使用される摺動シール材の摩耗も早く、結果として寿命が短くなる。しかしながら、本発明における構成では、空気圧縮機と切り替えバルブ間に設置されたコントロールバルブの上流側、即ち、空気圧縮機の吐出圧力は常に一定の圧力に維持される為、空気圧縮機の負荷は常に一定となる。その結果、電動機は一定回転数で運転することができるので、電動機自体の効率が良いことに加え、インバータの負荷も軽減される。同時に、摺動シール材も常に一定負荷条件で使用される為、経時的な摩耗量を最小化できる為、長期に渡って空気圧縮機の性能を維持できることを見出した。
また、本発明は、特開2005−66072号公報に記載されるバッファタンクと併用し、コントロールバルブと切り替え弁の間に設置する構成とすることも好ましい。更に、コントロールバルブは、酸素濃縮機の流量設定に応じたプロセス負荷に応じて、各流量設定モードに適切な目標値に変更して制御することが望ましい。
空気圧縮機の吐出側圧力は、該空気圧縮機の圧縮動作による空気の脈動の為、ハンチングが大きく、制御の安定性確保が困難な場合がある。このような場合には、圧力センサの出力値に対し、平均化処理等を行い、センサの出力感度を鈍化させることが望ましい。
圧力センサからの出力値に対するコントロールバルブの制御方法については、プロセスの特徴に応じて、PI制御やPID制御を適宜選択し、設計することが望ましい。
以下、93%の酸素濃度で、5L/分の流量を実現する酸素濃縮器の実施例及び比較例について説明する。
[実施例1]
直径70mm、長さ400mmの吸着筒に5A型ゼオライトを密度0.8で充填したものを2本と、流量70L/分が得られる性能を有するスクロール型のコンプレッサ(図4の(a)で示す)と切り替え弁の間に、コントロールバルブ、その上流に圧力センサを、図1のフローシートのように接続し動作させ、運転開始から10時間後のデータと、15,000時間後のデータを測定する。尚、スクロールコンプレッサは、直流用ブラッシュレス電動機によりインバータにて一定回転数指令で運転し、実回転数をタコメータにて測定した。
[比較例1]
直径70mm、長さ400mmの吸着筒に5A型ゼオライトを密度0.8で充填したものを2本と、流量70L/分が得られる性能を有するスクロール型のコンプレッサ(図4の(a)で示す)を内径8mmの配管で直接切り替え弁まで接続し、動作させる。その他の条件は、実施例1と同じ条件である。
上記実施例の結果を表1に示す。実施例1と比較例1との性能差は、非常に大きく、直流用ブラッシュレス電動機にて駆動する空気圧縮機と切り替えバルブ間にコントロールバルブを設置するとにより、負荷変動に起因する電動機の回転数変動は、大幅に改善されていることがわかる。その結果、運転開始後10時間経過時の消費電力でも、実施例1が改善されていることが分かる。また、運転開始後、15000時間経過時のデータでは、比較例1が摺動シール材の摩耗に起因する流量低下により、酸素濃度が大幅に低下しているのに対し、実施例1では、流量低下量も少なく、酸素濃度の低下率も極めて少なく、長期に渡って安定した性能を維持できていることが分かる。
Figure 2006296830
本発明の2筒式酸素濃縮器の概略構成図。 従来方式の2筒式酸素濃縮器の概略構成図。

Claims (2)

  1. 酸素よりも窒素を選択的に吸着し得る吸着剤を充填した少なくとも1個の吸着筒と、該吸着筒に空気を加圧供給及び/または減圧排気する為の空気圧縮機と、給排気の流路を切替える切り替えバルブとを有する圧力変動型の酸素濃縮器において、該空気圧縮機の圧縮空気吐出口側と該吸着筒を接続する導管の途中に、圧力センサーおよびコントロールバルブを備えることを特徴とする酸素濃縮器。
  2. 該圧力センサーが該空気圧縮機の吐出圧力を検知し、その検知信号を元に、吐出側圧力を一定にすることように、該コントロールバルブを制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項1記載の酸素濃縮器。
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