この発明は、混合気体から特定の気体を分離する際に用いて好適な気体分離装置並びにこの気体分離装置を利用した酸素濃縮装置に関する。
従来、混合気体から特定の気体だけを分離する気体分離装置としては、プレッシャースウィング法(以下PSA法という)を用いた下記する特許文献に記載されたものが公知である。
特開平10−113527号公開特許公報
特開2000−37458号公開特許公報
この従来公知のPSA法は、混合気体を空気圧縮手段を用いて圧縮させて吸着剤の中を通し、特定の気体をこの吸着剤に吸着させ、吸着されない気体を回収するか、或は吸着剤に吸着された気体を吸着時より低い圧力にして脱着させて回収するかするものである。
この場合、例えば空気中より酸素を分離するに当っては、ダイアフラムポンプ等のコンプレッサーを用いて圧縮させた空気を、ゼオライトのような窒素を吸着する能力のある吸着剤を入れた吸着筒体内を通すことによって、酸素を分離濃縮させ、吸着剤に吸着されている窒素等は、吸着筒体内の圧力を下げるか、更に減圧し大気圧まで戻すことによって脱着させ、排気する構成となっている。
近年、在宅、病院、施設等で酸素療法のため酸素濃縮装置を用いる患者や利用者が増えて来ている。この酸素濃縮装置として、PSA法を用いたものが公知であるが、その空気圧縮手段としては、上述したダイアフラムポンプ等のコンプレッサーを用いている。
上述した酸素療法に使用するPSA法を用いた酸素濃縮装置は、空気圧縮用のダイアフラムポンプ等のコンプレッサーが高価なことから、製作コストが高くつき、装置が嵩張り、重量がある上に、ダイアフラムポンプ等のコンプレッサーから発生する音がうるさく、消費電力も比較的大きいという問題点があった。
また、この従来公知の酸素濃縮装置は、上述したコンプレッサーを駆動させるために電気を必要とすることから、例えば地震の発生により電気が止まると、酸素を濃縮させることができないことになり、使用者にとっての不安が大きいものであった。
この発明の目的は、小型かつ軽量で製作コストが安価で済み、騒音が発生せず、人力でも駆動できる、混合気体から特定の気体を分離する気体分離装置並びにこの気体分離装置の原理を用いた酸素濃縮装置を提供せんとするにある。
以下にこの発明の実施例を、酸素療法に用いる酸素濃縮装置に実施した場合について説明するが、この発明は酸素療法に用いる酸素濃縮装置以外にも、上述したように、混合気体から特定の気体を分離する気体分離装置、並びに美容・健康機器(ダイエット、疲労回復、不摂生、並びにストレス解消)、並びに運動機器等に用いる酸素濃縮装置としても用いることができる。
上述した目的を達成するためにこの発明は、PSA法を用いて混合気体より特定の気体を分離させるものであって、内部に混合気体より特定の気体を吸着させる吸着剤を収容させた吸着筒体と、この吸着筒体で分離された気体を貯留させる貯留容器と、前記吸着筒体と連通している圧力変動装置とを含み、この圧力変動装置を動作させて前記吸着剤を介して前記混合気体の吸着分離と脱着を行うように構成すると共に、前記圧力変動装置にベローズ駆動機構により駆動されるベローズを用い、前記吸着筒体の口径を前記ベローズの口径と同じ、若しくはベローズ内に収納できる口径として、前記ベローズの固定側へ取り付けるように成すと共に、前記吸着筒体の内部を多孔板で仕切ることにより拡散部を設け、前記ベローズの内外に設けた気体流通制御手段を用いて前記拡散部と前記多孔板と前記吸着剤を介して気体の流通を行うように構成したことを特徴とする、気体分離装置。
その際に本発明は、前記圧力変動装置を、ベローズとこのベローズを収容させたシリンダとで構成することができる。
本発明はさらに、前記ベローズを、圧力1kg/cm
2
〜−0・5kg/cm
2
で駆動させることができる。
本発明はまた、前記気体流通制御手段を、前記吸着筒体の前記吸着剤側に取り付けられた連通管と、送気電磁弁と発生酸素電磁弁を有し前記拡散部と前記貯留容器との間を連通させるために設けた導管と、前記連通管から分岐されると共に排気逆止弁を有する第1連通管と、前記連通管から分岐され脱着絞り弁と脱着電磁弁を介して前記導管の前記発生酸素電磁弁と前記貯留容器との間に接続された第2連通管と、吸気電磁弁を有し前記導管の前記送気電磁弁と前記発生酸素電磁弁との間に接続されつつ前記ベローズの可動端側に取り付けられた吸気管とで構成することができる。
本発明はまた、前記気体流通制御手段を、並列に接続させた逆止弁と再生絞り弁を有し前記吸着筒体の前記吸着剤側と前記貯留容器との間に設けた連通管と、排気電磁弁を有し前記拡散部に接続された第1導管と、吸気電磁弁を有し前記ベローズの可動端側に取り付けられた吸気管と、前記第1導管と前記吸気管との間に送気電磁弁を介して接続された第2導管とで構成することができる。
本発明はさらに、前記圧力変動装置を、ベローズと、このベローズを収容させたシリンダとで構成し、前記気体流通制御手段を、吸気逆止弁を有し前記吸着筒体を介して前記ベローズと連通させた吸気管と、オリフィスを有し前記吸着筒体の前記吸着剤側と前記貯留容器との間に設けた連通管と、吸着電磁弁を有し前記吸気管と前記拡散部との間に設けた吸着管と、逆止弁を有し前記シリンダ側に取り付けた排気管とを含んで構成することができる。
本発明は、前記吸着筒体に、水分吸着剤層を設けることが好ましい。
本発明はまた、ベローズとシリンダからなる圧力変動装置を一対設け、互いの前記気体流通制御手段の前記吸着管と前記連通管と前記排気管とを減圧弁を介して減圧管で連通させることができる。
本発明は、前記ベローズ駆動機構を、ボールネジ、ラックとピニオン等からなる直線駆動型アクチュエータ、クランク装置、或は板カムを用いたもので構成することができる。
そして本発明に係る気体分離装置は、前記混合気体を空気とし、酸素の分離濃縮できる酸素濃縮装置とすることができる。
この発明は、PSA法を用いて混合気体より特定の気体を分離するのに、多孔板で仕切った拡散部を有する吸着筒体と連通させたベローズのような圧力変動装置を用い、この圧力変動装置で気体の圧縮や減圧を行うようにしたので、装置の小型、軽量化を図り、安価で消費電力も少なく、しかも騒音も少ない気体分離装置を提供できるという効果を奏し得る。
また、圧力変動装置としてベローズを用いた場合には、高い加圧は必要ではなく、1kg/cm2G以下の僅かな加圧、或はー0.5kg/cm2G程度の僅かな減圧で足りるので、大きな駆動力を必要としないことから、人力で容易にベローズを駆動させることもできるものである。
したがって、この発明に係る気体分離装置の原理を用いて、在宅、病院、施設等で酸素療法を行っている患者や利用者が用いている酸素濃縮装置に実施すると、従来公知のものに比べて小型、軽量化が図れ、かつ安価で消費電力も少なく、騒音も少ない上に、人力でも駆動させることもでき停電の際にも安心であることから、その利便性が増大するものである。
以下にこの発明を酸素濃縮装置に実施した場合について詳細に説明するが、この酸素濃縮装置は、上述したように、広く混合気体より特定の気体を分離する気体分離装置の構成を利用したものである。したがって、分離する気体は異なってもその原理は同じであるので、以下の酸素濃縮装置を説明すれば同時に気体分離装置を説明したことになるものである。例えば、吸着剤として窒素を吸着するゼオライトを用いて、このゼオライトに空気を通過させることによって、酸素リッチガスが得られる。また、吸着剤として酸素を吸着する活性炭、分子ふるい炭等を用いて、この吸着剤に空気を通過させることによって、窒素リッチガスが得られる。この場合、本発明に係る気体分離装置は窒素濃縮装置となる。
図面によれば、図1において、指示記号1で示したものは圧力変動装置の1例としてのベローズであり、このベローズ1の下端部側には、口径を同じくした吸着筒体2が直接取り付けられている。ベローズ1は例えばポリプロピレン製であるが、他にもテフロン(登録商標)、ポリエチレン製、ニッケル、チタン、アルミニウム、青銅、丹銅、ステンレス鋼製等で、基本的に可撓性を有する材質であればよく、その材料及び構成に限定はない。その耐圧力は常圧(1ata)プラス・マイナス0.5〜1気圧まで耐えれば良い。さらに、圧力変動装置としてはシリンダ装置を用いても良い。なお、ベローズ1としては、高圧に耐え得るものを用いて良い。また、ベローズと吸着筒体とを一体化して脱着可能にカートリッジ式にしてもよい。このように、ベローズと吸着筒体とを一体化してカートリッジ式にすることで、簡単にメンテナンスや交換等を行える。また、吸着筒体をベローズ内に収容することで、圧縮効率が向上するので、効率よく酸素濃縮を行える。また、ベローズ内に収容する吸着筒体の位置がデッドボリュウームを含む位置であることが好ましく、この場合、さらに酸素濃縮を効率よく行うことができる。
吸着筒体2内部には、例えばゼオライトから成る吸着剤2aが収容されている。この吸着筒体2には、連通管3が取り付けられており、この連通管3は貯留容器4に接続されている。この連通管3の途中には、例えば逆止弁5と減圧弁6とから成る通気制御手段7が設置されている。尚、指示記号2bで示されたものは、アルミナやシリカゲル等から成る水分吸着剤である。
貯留容器4は、実施例ではベローズであり、その上部のベローズ端板8aに重り8が載置されている。尚、この重り8は、貯留容器4の中の気体の圧力を保つためのもので、圧力を保つことができれば、必ずしも重り8に限らず、その他にも、つるべ式、バネ式、電気制御方式のものが考えられる。また、この貯留容器4は、ベローズに限定されない。シリンダ、或はアキュームレーターその他のものであっても良い。さらには単なる容器や、タンクであっても良い。この場合には容器やタンク内の気体の圧力はある程度変動するが、実用上は支障がない。貯留容器4の底部には、気体取出管9が接続されている。
ベローズ1の上部には、例えば吸排気弁から成る気体の吸排気手段10が取り付けられると共に、ベローズ駆動機構11が設置されている。尚、通気制御手段7と吸排気手段10としては、先に説明した減圧弁や逆止弁、及び吸排気弁のような弁装置のほかに、開閉扉体や開閉蓋体、オリフィスとニードル、或は絞り装置等を用いて構成しても良い。吸排気手段10は、ベローズ駆動機構11により、機械的あるいは電子的にその開閉を制御される。
このベローズ駆動機構11は、例えば図2に示したような構成である。図面によれば、ベローズ1のベローズ端板1aの上部中央部には、ボールネジ12が立設されており、このボールネジ12にナット部13aをネジ着させてハウジング13が取り付けられている。つまり、ハウジング13にナット部13aが設けられている。このハウジング13には、一側部に回り止め部材14,14が取り付けられ、この回り止め部材14,14は、回り止めロッド15を挿通固定させることにより、ハウジング13の回転を阻止している。ハウジング13には、さらに、例えば回転数検出機構16a付きの駆動モータ16が取り付けられており、この駆動モータ16の回転軸16bに取り付けた駆動プーリ17に懸架したタイミングベルト18は、ハウジング13のナット部13aに同軸に取り付けた従動プーリ19に懸架されている。尚、ボールネジはこれをラックとし、このラックをピニオンで軸方向へ摺動させるという公知構成の駆動機構でベローズを駆動させることができる。公知構成なので図示は省略する。
尚、駆動プーリ17と従動プーリ19とタイミングベルト18から成る駆動力伝達手段Aは、これをスプロケットとチェーン、ギア式、摩擦車等、種々の公知構成の駆動力伝達手段に代えても良い。
したがって、ハウジング13又はハウジング13に取り付けてある駆動モータ16を固定しておけば、駆動モータ16の回転は、タイミングベルト18を介してハウジング13のナット部13aに伝達され、ナット部13aが回転することによって、ボールネジ12がベローズ端板1aと共に上下動してベローズ1の伸縮を行う構成となっている。
図3と図4は、ベローズ駆動機構11の他の実施例を示す。この図3のものは、ベローズ駆動機構11をクランク装置で構成したものであり、図面によれば、指示記号20で示したものは、ベローズ21のベローズ端板21aに取り付けた伸縮用ロッドであり、この伸縮用ロッド20には、連結ロッド22の一端が旋回可能に連結されている。この連結ロッド22の自由端側には回転軸23に取り付けられたクランク棒24の自由端側が枢着されている。回転軸23は駆動モータ25に減速機26を介して連結されている。
したがって、駆動モータ25が回転すると、この回転駆動力は回転軸23、クランク棒24、連結ロッド22を介して伸縮用ロッド20の往復動作に変換され、ベローズ21の伸縮動作を行わせるものである。尚。指示記号27は回転軸23の回転角度検出機構であり、これによりベローズ21の位置情報を知ることができる。
次に、上述したこの発明に係る酸素濃縮装置を用いて酸素を分離濃縮する場合について、図1の本願発明を概略的に示す図面と、図2に示したベローズ駆動機構11と、図5のタイミングチャートを用いて説明する。
まず、ベローズ1が最も引き伸ばされた状態(上死点)において、該ベローズ1内には、例えば吸排気弁から成る吸排気手段10を介して空気が導入されており、その内部はほぼ大気圧と同じである。
次いで、ベローズ駆動機構11を用いてベローズ1を圧縮して行くと、該ベローズ1は上死点から下死点に向かって押し縮められて行き、図5のタイミングチャート(e)図に示したように、B点に達した時に(b)図に示したように吸排気手段10が閉じられ、ベローズ1内の空気は圧縮されて圧力が上昇して行く。次いで(e)図に示したようにベローズ1がC点に達してベローズ1内の圧力が所定の圧力(所定の圧力は実施例毎に任意に設定される。)を越えると、(c)図に示したように、通気制御手段7の逆止弁5が自動的に開いて、圧縮された空気は吸着筒体2内を通る。その際に吸着剤によって窒素が吸着され、残った酸素が連通管3、逆止弁5を介して貯留容器4内へ送り込まれる。
尚、ベローズ1が押し縮めを開始するA点で吸排気手段10を閉じずに、(b)図に示したようにB点で閉じる理由は、吸着過程で送り込む気体体積よりも、脱着で引き抜く気体体積を大きく取らないと、所定の減圧が得られないために、吸着過程で送り込む気体量を減らし、相対的に脱着時に引き抜く気体体積を増すためである。即ち、(b)図のA点、B点間で加圧空気の送入量の調節を行っているわけである。したがって、ベローズ1の押し縮めの始めの時点ではなく、終わりに近い時点で吸排気手段10を開くタイミングを早めても良い。即ち、(b)図のD点を早い時間の方へ移動することで加圧空気の送入量を調節しても良い。
貯留容器4は、実施例ではベローズであり重り8によって始めは押し縮められた状態にあり、吸着に必要な圧力を保っている。逆止弁5は、ベローズ1の圧力が貯留容器4内の圧力より高まると、自動的に開く構成であり、上述したようにベローズ1内の圧力が貯留容器4内の圧力より高まると、自動的に開いてベローズ1内の空気を吸着筒体2と連通管3を通して貯留容器4内へ送る構成である。
ベローズ1がさらに押し縮められてベローズ端板位置が、(a)図のEに示した下死点到達直前に、(b)図のDに示したように、吸排気手段10が開かれ、加圧された空気が放出されてベローズ1内の圧力が(e)図のEに示したように、急速に低下し大気圧となる。
ベローズ1がさらに押し縮められて(a)図のE点(下死点)に達すると、吸排気手段10が閉じられ、ベローズ1はベローズ駆動機構11を介して引き伸ばされる方向へ動き始める。すると、ベローズ1内の圧力は低下し始め、(e)図に示したように、F点で所定の圧力(この所定の圧力は実施毎に任意に設定される。)以下になると、減圧弁6が開いて貯留容器4内の酸素がベローズ1内の圧力が所定の圧力(減圧)を維持する程度に吸着筒体2内を通過し、吸着剤2aに吸着していた窒素を脱着しながらベローズ1内へ流れ込み、以後ベローズ1内の圧力は所定の圧力を維持しつつ、ベローズ駆動機構11により、ベローズ1が最も引き伸ばされた(a)図の上死点Gに至り、吸着剤に吸着されている窒素の脱着が行われる。
次いで、ベローズ1は再び押し縮める方向へ動き、(b)図のGに示したように、吸排気手段10を開いて、ベローズ1内の窒素過多の混合気体が外部へ排出させる。ベローズ1が押し縮められて(a)図の下死点Hに達すると、(b)図のベローズ1は再び引き伸ばされ、開いている吸排気手段10を介して空気を吸い込み、上死点I(一巡してAに対応)に達し、以後始めから(a)図に示したように、吸着過程、脱着過程、排気過程、吸気過程を繰り返し、空気より酸素を分離濃縮することができるものである。なお、以上に述べた吸排気手段の開閉タイミング、逆止弁及び減圧弁の圧力設定は必要に応じ適宜に変更することができる。すなわち、例えば、はじめに吸排気手段を閉じるタイミングはB点ではなくA点であってもよく、また、次にE点少し前(D点)で短時間開くタイミングもE点直後であってもよい。また、通気制御手段7としての逆止弁5及び減圧弁6は、電磁弁に替え、電磁弁を制御手段からの信号で適宜に開閉するようにしてもよい。また、さらには、通気制御手段として、絞り弁、オリフィス単独あるいは逆止弁などと組み合わせても目的を達することができる。
尚、排気過程と吸気過程(G点からI点まで)では、加圧または減圧を行わないので、負荷のかからないベローズ1の押し縮め、引き伸ばしの速度を早めに短時間で済ませることで、単位時間当たりの酸素発生量を増すことができる。
吸着筒体2がベローズ1と接続される側にアルミナやシリカゲル等の水分吸着剤を充填すると、空気中に含まれている水分がこのアルミナやシリカゲルに吸着されて、吸着剤による気体の吸着能力が水分によって減殺されてしまうことを防止できる。
この吸着筒体2内を通る空気の圧力は、特に限定されないが、たとえば、1.7〜1.1ataであることが好ましい。この圧力の調整は前記の逆止弁の圧力設定、またその代替手段としての電磁弁のタイミング、絞り弁、オリフィスの開度の調節によって実施できる。すなわち吸着の圧力を上げるには逆止弁、減圧弁の場合は差圧設定を大きくし、電磁弁では開くタイミングを遅らせ、絞り弁、オリフィスでは開度を小さくする。吸着過程の圧力が1.1ataのように大気圧に近い場合には、脱着過程の圧力はできるだけ低い圧力(減圧)で行うことが好ましく、特に限定するものではないが、0.7〜0.3ataが好ましい。より圧力を低くするためには、減圧弁6またはその代替手段としての逆止弁あるいはオリフィスの差圧が大きくなるように設定(減圧弁、逆止弁では圧力(差)の設定を大きくする。絞り弁、オリフィスでは開度を小さくする)を行えばよい。
また、気体の吸脱着を行うベローズの数は、以上の説明では1本のものを示したが、複数本にすることは任意である。複数本の場合とくに、一方の脱着過程の時間帯に他方の吸着過程(酸素を分離している過程)の時間帯が隙間なく重なるようにここの位相(タイミング)を調節することによって、間断なく酸素を発生させることができる。
図6は他の実施例を示す。図面によれば圧力変動装置としてのベローズ30は連通筒体31を介して吸着筒体32に接続されている。そして、この連通筒体31にベローズ30の吸排気手段33が取り付けられている。さらに、その他の実施例として、図示を省略するが、吸排気手段33を吸着筒体32へ取り付けることもできる。
このように構成してもこの発明の目的は達成できる。
次に、図1に示した酸素濃縮装置と、図2や図3と図4に示したベローズ駆動機構11と、図5のタイミングチャートを用い、装置の仕様を次のように決定して酸素を分離濃縮したところ、1分間当たり以下に記載したような濃度を持つ酸素を得ることができた。
(1)ベローズは、ポリプロピレン製の長さ20cm、直径12cmのものを2本使用すると共に、吸着筒体は、直径をベローズと同じ12cmとし、長さは10cmとした。共に1.25〜0.75ataの圧力に耐えるものとした。そして、吸着筒体の長さ7cm分にゼオライトを充填し、残った3cmにシリカゲルを充填した。ベローズ駆動機構に用いる駆動モータには、20Wのものを各ベローズ駆動用に1台ずつ合計で2台用いた。吸脱着切換時間は5秒毎とし、吸着過程の圧力1.25ata(大気圧プラス0.25気圧)、脱着過程の圧力0.75ata(大気圧マイナス0.25気圧)において酸素の回収率50%とした場合、濃度95%の酸素を1分当たり1,126ml得ることができた。
(2)(1)と同じ条件で酸素の回収率を90%とした場合、濃度90%の酸素を1分当たり2,026ml得ることができた。
(3)吸脱着切換時間を6秒とし、酸素の回収率50%として他の条件は(1)と同じにした場合、濃度73%の酸素を1分当たり2,476ml得ることができた。
上記(1)(2)(3)のいずれの場合においても、駆動モータの消費電力は、電動モータ2台で37W(蛍光灯1灯分)であった。また、小型の電動モータで足りることから、騒音も少なく、かつ、安価に製造することができた。
図7は、ベローズ駆動機構の他の実施例を模式的に示すもので、図面によれば、この実施例のベローズ駆動機構35は、ベローズ36の上部のベローズ端板36aにその下端部を取り付けたピストン杆37と、このピストン杆37の上端部に一端部を連結させた連接棒38と、この連接棒38の他端部を連結させたはずみ車39とから成るものである。このはずみ車39を、図示してない電動モータ或は人力による足踏ペダル等で回転させることにより、ベローズ36の圧縮・伸長を行うものである。勿論、この実施例は模式的なものであるので、はずみ車39を回転させる駆動手段の構成については、さまざまな公知構成のものを用いることができる。尚、指示記号34で示したものは、ベローズ36の吸排気手段であり、指示記号36bで示したものは吸着筒体である。
このように構成しても、ベローズ36を駆動でき、かつ人力を用いたベローズ駆動機構を構成し易いという利点がある。
図8は、ベローズ駆動機構のさらに他の実施例を模式的に示すもので、図面によれば、この実施例のベローズ駆動機構40は、ベローズ41と、このベローズ41のベローズ端板41aにその外周を当接させた円盤状の板カム42とで構成されている。この板カム42を電動モータや人力による足踏みペダルで回転させてベローズ41を上下動させ、圧縮、伸長を行うるものである。尚、指示記号43で示したものは、ベローズ41の吸排気手段であり、指示記号41bで示したものは吸着筒体である。
このように構成してもこの発明の目的は達成でき、かつ、人力を用いた駆動機構を構成し易いという利点がある。
図9は、ベローズ駆動機構のさらに他の実施例を模式的に示すもので、図面によれば、この実施例によるベローズ駆動機構45は、ベローズ46と、このベローズ46の上部に取り付けたピストン杆47と、このピストン杆47の上端部に連結した足踏み乃至手押し用の押圧部材48で構成されており、押圧部材48を足や手を用いて上下動させることにより、ピストン杆47を介して、人力でベローズ46を駆動させることができるものである。尚、指示記号46aで示したものは吸着筒体であり、指示記号49で示したものは、ベローズ46の吸排気手段である。
このように構成すると、停電時や外出時その他の理由で電気が使えない場合にも、ベローズ46を人力で駆動できるという利点がある。
図10乃至図14は、この発明に係る酸素濃縮装置を健康機器に実施した場合を説明する説明図である。図面によれば、図10乃至図11は、ルームランナーに実施した場合を示し、ルームランナー50の運動ベルト51を回転させる回転軸52の回転駆動力を、歯車やチェーンとスプロケット等から成る公知構成の駆動力伝達手段53を介してベローズ54のベローズ駆動機構55へ伝達して当該ベローズ54を駆動するもので、利用者がルームランナー50を使用すると、回転軸52の回転によりベローズ駆動機構55を駆動させて酸素濃縮装置56で濃縮された酸素が得られ、この濃縮された酸素は貯留容器57より可撓性パイプ58を介して酸素マスク59に導かれ、この酸素マスク59を装着してルームランナー50を使用する使用者に有酸素運動を行わせることができるものである。また、尚、指示記号54aで示したものは吸着筒体である。さらに、指示記号56aで示したものは、ベローズ54の吸排気手段であり、指示記号56bで示したものは、通気制御手段である。
尚、濃縮された酸素は、酸素マスクによらずとも、図示してないカニューラによって、使用者へ供給することができ、さらに使用者の顔近くに噴出口を設けるという手段によっても使用者に供給できる。
図12乃至図13は、この発明に係る酸素濃縮装置をエアロバイク等の健康機器に実施した場合を示す。図面によれば、エアロバイク60の足踏みペダル61の回転軸62の回転駆動力を利用し、歯車やチェーンとスプロケット等の公知の駆動力伝達手段66によって、酸素濃縮装置63のベローズ64のベローズ駆動機構65を駆動させて濃縮された酸素を得るものである。尚、指示記号64aで示したものは吸着筒体である。さらに、指示記号67で示したものは、酸素の貯留容器であり、指示記号68で示したものは、ベローズ64の吸排気手段である。指示記号69で示したものは、通気制御手段である。さらに、このエアロバイク60で濃縮された酸素を使用者へ供給する手段については、図10乃至図11のところで説明した場合と同じであるので説明を省略する。
図14は、この発明に係る酸素濃縮装置を足踏み健康器へ実施した場合を示す。図面によれば足踏み健康器70の左右のステップ71,71の下部に酸素濃縮装置72,72のベローズ73,73のベローズ駆動機構74,74を設け、ステップ71,71を足で踏んで上下動させる時にベローズ駆動機構74,74を動作させて酸素を濃縮させ、貯留容器75へ貯留させるものである。尚、指示記号73aで示したものは吸着筒体である。さらに、指示記号76,76で示したものは、通気制御手段であり、ベローズ73,73の吸排気手段は、図示してないがベローズ駆動機構74,74内に設けられている。
この実施例の場合、左右のステップ71,71のバランスを取るために左右一対のベローズ73,73と、ベローズ駆動機構74,74を設置したものを用いたが、一組だけであっても良い。尚、濃縮された酸素を使用者へ供給する手段については、図10乃至図11のところで説明した通りであるので説明を省略する。
以上、図10乃至図14のように実施すると、使用者に有酸素運動を行わせることができ、これにより疲労回復、ダイエットを始めとする健康増進に役立てることができる。
図15は第2の気体分離装置の一例を示す図である。第2の気体分離装置は、図15に示すように、吸着剤101を収容した吸着筒体102と、この吸着筒体102で吸着されなかった気体を排気させる排気手段103と、混合気体を吸着筒体102に導くと共に吸着筒体102内を減圧して吸着剤101に吸着された気体を脱着させる圧力変動装置と、吸着剤から脱着された気体を貯留する貯留容器105とを備えたことに特徴がある。
圧力変動装置としては、特に限定されず、例えば、ベローズ104等である。ベローズ104内に吸着筒体102が収容されている。吸着筒体102は、有底筒体状、例えば、有底円筒体状に形成されている。吸着筒体102は、ベローズ104内の圧力変動が吸着筒体102内に影響が及ぼさないようにベローズ104内に収容されている。具体的には、吸着筒体102は、ベローズ104の固定側のベローズ端板104aにその開口部が閉塞されるようにベローズ104内に収容されている。この吸着筒体102の開口部には、連通管107が接続されている。
連通管107は分岐され、一方の第1連通管108には、排気手段103としての排気逆止弁109が設けられている。他方の第2連通管110には、脱着絞り弁111が設けられている。第2連通管110は、開閉弁である脱着電磁弁112を介して貯留容器105(例えば、ベローズ等)に接続されている。脱着絞り弁111は、逆止弁機能を有しているものが好ましい。貯留容器105には、酸素取出絞り弁131を有する酸素取出管132が接続されている。
吸着筒体102内の底部には、多孔板121が設けられて2重底に形成さている。多孔板121の孔は、吸着剤101が通らない径で形成されていることが好ましい。この多孔板121上の吸着筒体102内が、酸素を吸着する吸着剤101、例えば、活性炭、分子ふるい炭等が収容されて酸素吸着層122として形成されている。この多孔板121と底部との間の空間は、拡散部123として形成されている。この拡散部123には、導管113が接続されている。この導管113は、多孔板121及び固定側のベローズ端板104aを介してベローズ104外に延びている。この第2導管113は、開閉弁である送気電磁弁114及び開閉弁である発生酸素電磁弁115を介して貯留容器105に接続されている。
また、ベローズ104には、吸気管116が接続されている。吸気管116は、送気電磁弁114と発生酸素電磁弁115との間の導管113を介してから、開閉弁である吸気電磁弁117が設けられている。
以上説明したように、吸着筒体102の吸着剤101側に取り付けられた連通管107と、送気電磁弁114と発生酸素電磁弁115を有し拡散部123と貯留容器105との間を連通させるために設けた導管113と、連通管107から分岐されると共に排気逆止弁109を有する第1連通管108と、連通管107から分岐され脱着絞り弁111と脱着電磁弁を112介して導管113の発生酸素電磁弁115と貯留容器105との間に接続された第2連通管110と、吸気電磁弁117を有し導管113の送気電磁弁114と発生酸素電磁弁115との間に接続されつつベローズ104の可動端側に取り付けられた吸気管116とで、この実施例10に係る気体流通制御手段が構成されている。
次にこの気体分離装置100を用いて酸素を濃縮する場合について説明する。
まず、ベローズ104が最も引き伸ばされた状態において、ベローズ104内には、例えば、吸気電磁弁117を介して空気が導入されており、その内部はほぼ大気圧と同じである(図15(a)参照。)。このように、ベローズ104内に空気が導入されているときに、吸気電磁弁117、発生酸素電磁弁115及び脱着電磁弁112を閉じると共に、送気電磁弁114を開ける。
この状態において、ベローズ駆動機構によりベローズ104を押し縮めて圧縮する。すると、ベローズ104内の空気が、送気電磁弁114を介して吸着筒体102内の拡散部123に導かれる。この空気は、多孔板121から酸素吸着層122内に拡散されつつ入り、そこで、空気中の酸素が吸着剤101に吸着される(吸着過程)。酸素が分離された気体は、排気逆止弁109を介して大気に放出される。
次に、圧縮されている(縮んでいる)ベローズ104を引き伸ばすことにより(図15(b)参照。)、ベローズ104内が減圧になって吸着剤101に吸着されている酸素が脱着される(脱着過程)。このとき、吸気電磁弁117及び発生酸素電磁弁115を閉じると共に送気電磁弁114を開ける。これにより、吸着剤101から脱着された酸素がベローズ104内に至る。また、脱着電磁弁112を開けて、貯留容器105内の少量の酸素を脱着電磁弁112を介して酸素吸着層122内に供給することにより、吸着剤101(例えば活性炭)の粒子間に気体の流れができるので、吸着剤101からの酸素の脱着が促進される。
そして、吸気電磁弁117、送気電磁弁114及び脱着電磁弁112を閉じると共に、発生酸素電磁弁115を開けた状態で、ベローズ104を押し縮めて圧縮する(図15(c)参照。)。これにより、ベローズ104内の酸素が貯留容器105へ流れる(貯留過程)。次に、吸気電磁弁を117開けると共に、送気電磁弁114、発生酸素電磁弁115及び脱着電磁弁112を閉じた状態でベローズ104を引き伸ばす(図15(d)参照。)。これにより、ベローズ104内が減圧になるので、空気が吸気電磁弁117を介してベローズ104内に吸引される(吸気過程)。
これら4つの過程を順次行うことにより、アルゴンを含まない高濃度の酸素を得ることができる。すなわち、吸着剤として窒素を吸着する例えばゼオライトを用いる場合には、ゼオライトで空気中の窒素のみを選択的に吸着して酸素リッチガスが得られるが、この酸素リッチガス中には、空気中のアルゴンが含まれているので、酸素リッチガス中の酸素濃度は95%以上の高濃度とすることができなかった。このため、吸着剤として酸素を吸着する吸着剤101として例えば活性炭を用いて、この活性炭に空気中の酸素を吸着させてからこの活性炭の酸素を脱着させることにより、アルゴンを含まない高濃度の酸素を得ることができる。
また、このアルゴンを含まない高濃度の酸素を、さらに窒素を吸着する吸着剤を用いてPSA法でさらに処理することにより、一層窒素を含まないと共にアルゴンを含まない高濃度の酸素を得ることができる。
図16は第3の気体分離装置の一例を示す図である。第3の気体分離装置は、図16に示すように、吸着剤201を収容した吸着筒体202と、この吸着筒体202で吸着されなかった気体を貯留させる貯留容器205と、混合気体を吸引してから吸着筒体202に導く圧力変動装置とを備え、貯留容器205内の気体で吸着剤201を再生するときに、圧力変動装置内への混合気体の吸引を行うように構成したことに特徴がある。
圧力変動装置としては、特に限定されず、例えば、ベローズ204等である。ベローズ204内に吸着筒体202が収容されている。吸着筒体102は、有底筒体状、例えば、有底円筒体状に形成されている。吸着筒体202は、ベローズ204内の圧力変動が吸着筒体202内に影響が及ぼさないようにベローズ202内に収容されている。具体的には、吸着筒体202は、ベローズ204の固定側のベローズ端板204aにその開口部が閉塞されるようにベローズ204内に収容されている。この吸着筒体102の開口部には、連通管207が接続されている。
連通管207は、逆止弁208及び再生絞り弁209を有する通気制御手段203を介して貯留容器205(例えば、ベローズ等)に接続されている。再生絞り弁209は、逆止弁機能を有しており、気体が貯留容器205から吸着筒体202へは流れるが、その逆方向には流れないようになっている。貯留容器205には、酸素取出絞り弁231を有する酸素取出管232が接続されている。
吸着筒体202内の底部には、多孔板221が設けられて2重底に形成さている。多孔板221の孔は、吸着剤201が通らない径で形成されていることが好ましい。この多孔板221上の吸着筒体202内が、窒素を吸着する吸着剤201、例えば、ゼオライト等が収容されて吸着層222として形成されている。この多孔板221と底部との間の空間は、拡散部223として形成されている。この拡散部223には、第1導管210が接続されている。この第1導管210は、多孔板221及び固定側のベローズ端板204aを介してベローズ204外に延びている。この第1導管210は、開閉弁である排気電磁弁211が設けられている。
また、ベローズ204には、吸気管212が接続されている。吸気管212は、開閉弁である吸気電磁弁213が設けられている。この吸気電磁弁213よりベローズ204側の吸気管212と、排気電磁弁211よりベローズ204側の第1導管210とには、第2導管214が接続されている。この第2導管214には、開閉弁である送気電磁弁215が設けられている。
以上説明したように、並列に接続させた逆止弁208と再生絞り弁209を有し前記吸着筒体202の前記吸着剤201側と前記貯留容器205との間に設けた連通管207と、排気電磁弁211を有し前記拡散部223に接続された第1導管210と、吸気電磁弁213を有し前記ベローズ204の可動端側に取り付けられた吸気管212と、前記第1導管210と前記吸気管212との間に送気電磁弁215を介して接続された第2導管214とで、この実施例11に係る気体流通制御手段が構成されている。
次にこの気体分離装置200を用いて酸素を濃縮する場合について説明する。
まず、ベローズ204が最も引き伸ばされた状態において、ベローズ204内には、例えば、吸気電磁弁213を介して空気が導入されており、その内部はほぼ大気圧と同じである(図16(a)参照。)。このように、ベローズ204内に空気が導入されているときに、吸気電磁弁213及び排気電磁弁211を閉じると共に、送気電磁弁215を開ける。この状態において、ベローズ204を押し縮めて圧縮する。
すると、ベローズ204内の空気が、送気電磁弁215を通って吸着筒体202内の拡散部223に導かれる。この空気は、多孔板221から吸着層222内に拡散されつつ入り、そこで、空気中の窒素が吸着剤201に吸着される。窒素が分離された気体は、気体の圧力によって通気制御手段203の逆止弁208を自動的に開いて、逆止弁208を介して貯留容器205へ流れる。この逆止弁208はリリース弁機能を有するものが好ましく、これにより、貯留容器205へ流れる方向であっても一定の圧力になるまでは逆止弁205が開かず気体の流れが阻止されている。その結果、逆止弁205を開いて貯留容器205へ流れるには、吸着筒体202内が加圧状態になることになる。
次に、吸着剤201の再生を行う場合には、送気電磁弁215を閉じると共に、吸気電磁弁213及び排気電磁弁211を開ける。この状態において、圧縮されている(縮んでいる)ベローズ204を引き伸ばす(図16(b)参照。)。これにより、ベローズ204内が減圧になるので、空気が吸気電磁弁213を介してベローズ204内に吸引される。すなわち、ベローズ204では吸気過程が行われる。
このとき、貯留容器205内の気体が再生絞り弁209を介して吸着筒体202内を空気とは逆方向に流れる。これにより、吸着剤201に吸着されていた窒素が脱着されて、吸着剤201の再生が行われる。この窒素が貯留容器205からの気体と共に、排気電磁弁211を介して外部に放出される。すなわち、吸着筒体202では吸着剤201の再生過程が行われる。
したがって、吸気過程と再生過程とを同時に行うので、効率よく酸素リッチガスが得られることになる。すなわち、吸着剤201の再生を行った後にベローズ内に空気を吸引する吸気を行う場合に比して、1サイクル時間を短くすることができる。また、一定時間内でより多量の酸素リッチガスが得られる。
図17は第4の気体分離装置の一例を示す図である。第4の気体分離装置は、図17に示すように、ベローズ301を2つ設けて一層効率よく酸素リッチガスを得るようにしたものである。
ベローズ301を2つ設けた気体分離装置としては、特に限定されないが、例えば、ベローズ301がシリンダ305内に収容されていることが好ましい。シリンダ305内には、ピストン306が移動可能に設けられている。このピストン306で区画されたシリンダ305内が気密状態に保持されていると共に、ベローズ301が収容されている。
ベローズ301は、シリンダ305の先端部を固定側のベローズ端板として形成されていると共に、ピストン306を移動側のベローズ端板として形成されてなるものである。ベローズ301内には、多孔板321を有する2重底の吸着筒体302が収容されている。多孔板321上に吸着剤303としての例えばゼオライトが収容されて吸着層322として形成されていると共に、多孔板の下方は拡散部323として形成されている。
また、ピストン306には、ピストンロッド307が接続され、このピストンロッド307がシリンダ305を貫通する箇所には例えば、Oリング(図示せず)等が用いられて、ピストンロッド307が延びるシリンダ室(ピストン下室308ということがある。)内が気密状態に保持されるようになっている。
このベローズ301を収容したシリンダ305・ピストン306が2つ設けられており、便宜上、一方が第1ベローズ301及び第1シリンダ305等とし、他方が第2ベローズ301及び第2シリンダ305等とする。第1ベローズ301の固定側のベローズ端板及び第2ベローズ301の固定側のベローズ端板には、第1連通管331a及び第2連通管331bがそれぞれ接続されている。第1連通管331a及び第2連通管331bには、第1オリフィス332a及び第2オリフィス332bがそれぞれ設けられている。第1オリフィス332a及び第2オリフィス332bは、気体が通過する際の抵抗であり、吸着筒体302内を加圧状態に保持する働きをするものである。第1連通管331a及び第2連通管331bは、貯留容器310に接続されている。貯留容器310には、酸素取出絞り弁311を有する酸素取出管312が接続されている。
第1シリンダ305のピストン下室308には、第1排気逆止弁333aを有する第1排気管334aが接続されている。第2シリンダ305のピストン下室308には、第2排気逆止弁333bを有する第2排気管334bが接続されている。また、第1ベローズ301には、第1吸気逆止弁335aを有する第1吸気管336aが接続されている。第2ベローズ301には、第2吸気逆止弁335bを有する第2吸気管336bが接続されている。
第1吸気逆止弁335aより第1ベローズ301側の第1吸気管336aには、第1吸着電磁弁337aを有する第1吸着管338aが接続されている。第2吸気逆止弁335bより第2ベローズ301側の第2吸気管336bには、第2吸着電磁弁337bを有する第2吸着管338bが接続されている。第1吸着管338a及び第2吸着管338bは、第1吸着筒体302の拡散部323及び第2ベローズ302の拡散部323にそれぞれ接続されている。
第1吸着電磁弁337aより第1吸着筒体302側の第1吸着管338aには、第1減圧電磁弁339aを有する第1減圧管340aが接続されている。第2吸着電磁弁337bより第2吸着筒体302側の第2吸着管338bには、第2減圧電磁弁339bを有する第2減圧管340bが接続されている。第1減圧管340aは、第2排気逆止弁333bより第2ピストン306側の第2排気管334bに接続されている。第2減圧管340bは、第1排気逆止弁333aより第1ピストン306側の第1排気管334aに接続されている。
以上説明したように、圧力変動装置をベローズ301とシリンダ305で構成した場合には、吸気逆止弁335aを有し吸着筒体302を介してベローズ301と連通させた吸気管336aと、オリフィス332aを有し吸着筒体302の吸着剤303側と貯留容器310との間に設けた連通管331aと、吸着電磁弁337aを有し吸気管336aと拡散部323との間に設けた吸着管338aと、逆止弁333aを有しシリンダ305側に取り付けた排気管334aとを含んで、この実施例12に係る気体流通制御手段が構成されている。
また、圧力変動装置を一対のベローズ301とシリンダ305で構成した場合には、上記段落[0097]で述べた気体流通制御手段に加えて互いの吸着管338aと連通管331aと排気管338aとを減圧電磁弁339aを介して減圧管340aで連通させて、この実施例12に係る気体流通制御手段を構成するものである。
次にこの気体分離装置300を用いて酸素を濃縮する場合について説明する。
まず、第1ベローズ301が最も引き伸ばされた状態において、第1ベローズ301内には、例えば、第1吸気逆止弁335aを介して空気が導入されており、その内部はほぼ大気圧と同じである(図17(a)参照。)。このように、第1ベローズ301内に空気が導入されているときに、第1減圧電磁弁339aを閉じると共に、第1吸着電磁弁337a(及び第2減圧電磁弁339b)を開ける。この状態において、第1ピストンロッド307を介して第1ベローズ301を押し縮めて圧縮する。すると、第1ベローズ301内の空気が、第1吸着電磁弁337aを通って吸着筒体302内の拡散部323内に導かれる。この空気は、多孔板321から吸着層322内に拡散されつつ入り、そこで、空気中の窒素が吸着剤303(例えば、ゼオライト等)に吸着される。窒素が分離された気体は、第1オリフィス332aを介して貯留容器310へ流れる。
次に、第1ベローズ301の吸着剤303の再生を行う場合には、第1減圧電磁弁339aを開けると共に、第1吸着電磁弁337a及び第2減圧電磁弁339bを閉じる。この状態において、第1ベローズ301を引き伸ばす(図17(b)参照。)。これにより、第1ベローズ301内が減圧になるので、空気が第1吸気逆止弁335aを介して第1ベローズ301内に吸引される。
このとき、第2ベローズ301内に空気が導入されている状態で、第2ピストンロッド307を介して第2ベローズ301が押し縮められて圧縮される。第2シリンダ305内のピストン下室308が減圧になって第1吸着電磁弁339aを介して第1吸着筒体302の拡散部323が吸引される。その結果、貯留容器310の酸素リッチガスの一部が第1オリフィス332aを介して吸着筒体302内を空気とは逆方向に流れる。これにより、吸着剤303に吸着されていた窒素が脱着されて、吸着剤303の再生が行われる。よって、第1ベローズ301では、吸気過程と再生過程とが同時に行われる。
また、第2ベローズ301が押し縮められて圧縮されることによって、第2ベローズ301内の空気が、第2吸着電磁弁337bから拡散部323内に導かれ、そして多孔板321から吸着層322内に拡散されつつ入り、そこで、空気中の窒素が吸着剤303に吸着される。窒素が分離された気体は、第2オリフィス332bを介して貯留容器310へ流れる。よって、第2ベローズ301では、吸着過程が行われる。
そして、これら動作が入れ替わって第1ベローズ301では吸着過程が行われると共に、第2ベローズ301では吸気過程と再生過程とが行われる。
したがって、2つのベローズ301を設けて、第1ベローズ301で吸着過程を行うと共に第2ベローズ301で吸気過程と再生過程とを行い、次に第1ベローズ301で吸気過程と再生過程とを行うと共に第2ベローズ301で吸着過程を行うことで、一層効率よく酸素リッチガスが得られることになる。すなわち、貯留容器310へ窒素が除去された気体を2つのベローズ301から交互に間断なく供給されるので、貯留容器310として小容積のものを用いることができる。貯留容器310への気体の供給が間断なく行われないと、気体の供給が行われないときに対処できるように貯留容器310をその分大きなものを用いる必要が生じるからである。
また、ベローズ301を駆動する動力も均一化され、同じ時間当たり酸素発生量に対して動力源のピーク出力も小さく、かつ、駆動源としてモータを用いた場合には、より小型なモータを用いることができる。すなわち、ベローズ301が駆動されていない状態があると、時間当たりの同じ酸素発生量を得るためには相対的にピーク動力は大きくなるからである。
また、ベローズ301をシリンダ305内に収容し、吸着剤であるゼオライトの再生をピストン下室308を利用して行うので、確実に効率よくゼオライトの再生を行うことができる。すなわち、ゼオライトの再生を行うとき、吸着筒体302内の圧力が低ければ低いほど、貯留容器310内の気体の一部が吸着筒体302内に導かれるために、ベローズ301をシリンダ305内に収容してピストン306を押し上げる際のピストン下室308を利用して吸着筒体302内を減圧することで、ベローズ301のみで吸着筒体302内を減圧する場合に比して吸着筒体302内の圧力を低くできる。また、別途、吸引手段を用いることもない。その結果、確実に効率よくゼオライトの再生を行うことができる。
この発明は以上のように構成したので、気体分離装置を、小型、軽量で騒音も少なく、安価に製造でき、かつ消費電力も少ない上に、人力でも駆動することが可能であるので、酸素療法に用いる酸素濃縮装置として用いることができ、さらに、美容・健康機器に用いる酸素濃縮装置、運動機器等に用いる酸素濃縮装置、災害時の緊急用酸素濃縮に適用しても最適ということができる。
この発明に係る混合気体より特定の気体を分離する第1の気体分離装置を説明するための説明図である。
図1に示した装置のベローズ駆動機構の一実施例を説明する説明図である。
図1に示した装置のベローズ駆動機構の他の実施例を示す説明図である。
図3に示した装置のベローズ駆動機構の実施例を示す説明図である。
図1に示した装置と図2に示したベローズ駆動機構を組み合わせた場合の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図1に示した装置の他の実施例を説明する説明図である。
図1に示した装置のベローズ駆動機構の他の実施例を示す説明図である。
図1に示した装置のベローズ駆動機構の他の実施例を示す説明図である。
図1に示した装置のベローズ駆動機構の他の実施例を示す説明図である。
この発明に係る酸素濃縮装置をルームランナーに実施した場合の説明図である。
この発明に係る酸素濃縮装置をルームランナーに実施した場合の説明図である。
この発明に係る酸素濃縮装置をエアロバイクに実施した場合の説明図である。
この発明に係る酸素濃縮装置をエアロバイクに実施した場合の説明図である。
この発明に係る酸素濃縮装置を足踏み健康器に実施した場合の説明図である。
この発明に係る混合気体より特定の気体を分離する第2の気体分離装置を説明するための説明図である。
この発明に係る混合気体より特定の気体を分離する第3の気体分離装置を説明するための説明図である。
この発明に係る混合気体より特定の気体を分離する第4の気体分離装置を説明するための説明図である。
A,53,66 駆動力伝達手段
1,21,30,36,41,46,54,64,73 ベローズ(圧力変動装置)
2,32, 36b,41b,46a,54a,64a,73a 吸着筒体
2a 吸着剤
3 連通管
4,57,67,75 貯留容器
7,56b,69,76 通気制御手段
10,33,34,43,49,56a,68 吸排気手段
11,35,40,45,55,65,74 ベローズ駆動機構
16,25 駆動モータ
31 連通筒体
42 板カム
56,63,72 酸素濃縮装置