JP5184602B2 - 多関節ロボット - Google Patents

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Description

本発明は産業用の多関節ロボットに関する。
今日、6軸の垂直多関節ロボットの先端にアーク溶接用トーチを取り付けたアーク溶接ロボットは多くの産業分野で多用されている。この6軸垂直多関節ロボットは、基台の上で垂直軸回りに旋回する旋回ベース(基本第1軸)と前記旋回ベースに取り付けられて前後方向に揺動する下部アーム(基本第2軸)と前記下部アームの先端に取り付けられて上下方向に揺動する上部アーム(基本第3軸)と、前記上部アームの先端に取り付けられた3自由度を有する手首部(手首第1軸〜手首第3軸)を備えている。前記手首部の先端にアーク溶接用トーチを取り付ければ、アーク溶接用トーチは任意の位置で任意の姿勢を取れるので、自在にアーク溶接ができるのである。
図8は、従来のアーク溶接ロボットの側面図である。図において、3は下部アームであり、図示しない旋回ベースに軸支されて前後方向に揺動する。4は上部アームであり、下部アーム3の先端のU軸(紙面に垂直な軸である)回りに回転自在に軸支されて上下方向に揺動する。5は上部アームの先端に取り付けられた手首部である。手首部5は、上部アーム3の長さ方向に伸びるR軸回りに回転する胴体6と、前記胴体6の先端に軸支されてR軸に直交するB軸(紙面に垂直な軸である)回りに揺動する揺動体7と、前記揺動体7の先端にあってB軸に直交するT軸回りに回転する回転体8から構成されている。9は溶接トーチであり、トーチクランプ10を介して回転部8に固定されている。11は上部アーム2の上に固定されたワイヤ送給装置であり、図示しないワイヤ貯蔵装置(例えば、ワイヤリール)から溶接ワイヤを引き出して、溶接トーチ9に向けて押し出す装置である。12は溶接トーチ9とワイヤ送給装置11を結ぶコンジットケーブルである。コンジットケーブル12は、溶接トーチ9に溶接ワイヤを送給するための保護管を中心にして、溶接電流供給用ケーブルやシールドガス供給用のホースを束ねたものである。
ところが、従来のアーク溶接ロボットは、揺動体7をB軸回りに揺動させて、溶接トーチ9を上部アーム4に対して上下に揺動させると、コンジットケーブル12が屈曲して、溶接ワイヤの送給が阻害されるという問題があった。またコンジットケーブル12に圧縮力がかかり坐屈するという問題があった。また、回転体8をT軸回りに回転させると、コンジットケーブル12が手首部5や上部アーム4に巻き付くという問題もあった。これらの問題を改善するために、図に示すようにコンジットケーブル12を上部アーム4の上で大きくアーチを描くように架け渡して、前記アーチの変形によって、溶接トーチ9の動きを吸収していたが、大きなアーチを描いたコンジットケーブル12がワークや周辺装置との干渉が発生するので、前記アーチをむやみに大きくすることもできず、完全な解決はできなかった。そこで、本発明は、ケーブル等と周辺機器との干渉をより抑制できるようにした多関節ロボットを提供するものである。
上記課題を解決するため、本発明の多関節ロボットは、基台と、基台に設けられたアームと、アームに対して第1軸回りに回転するようにアームに連結される胴体底部と、第1軸の延長線上に胴体底部に設けられ、ケーブルを挿通可能な通過口と、胴体底部から第1軸の延長線に沿って延設された第1延在部と、第1延在部と間隙を有して並行して配設される第2延在部と、第1延在部及び/又は第2延在部の先端側に取り付けられて第1軸に直交する第2軸回りに揺動する揺動体と、揺動体の一部をなし、第1部分と第2部分とにより二股状に形成された二股部と、第2軸に直交する第3軸周りに回転するように揺動体に支持されケーブルが接続されるエンドエフェクタを保持可能な回転体と、揺動体に設けられ、第1部分と第2部分との間からケーブルがはみ出すのを抑制する板状のケーブルサポートと、を有し、ケーブルは、可撓性を有する非コイル状のケーブルであることを特徴としている。
本発明によれば、揺動体あるいは回転体を大きく動作させてもケーブルが外に大きくはみ出して、ワークや周辺装置と干渉することを抑制することができる。また、揺動体を真上に振り上げた時に、ケーブルが上にはみ出すように変形することをケーブルサポートが抑制するという効果もある。
本発明の第1の実施例を示す産業用ロボットの側面図である。 図1に示した産業用ロボットの立体図である。 図1に示した産業用ロボットの上部アームの平断面図である。 中間軸の立体図である。 本発明の第2の実施例を示す産業用ロボットの手首部の側面図である。 図5に示した手首部の内部機構を示す平断面図である。 本発明の第3の実施例を示す産業用ロボットの手首部の三面図である。 従来技術を示す産業用ロボットの側面図である。
以下、本発明の実施例を図に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施例を示す産業用ロボットの側面図である。図において1は産業用ロボットの基台である。基台1の上には垂直軸(S軸)回りに旋回自在に旋回ベース2が取り付けられ、旋回ベース2には下部アーム3が水平軸(L軸)回りに軸支され、前後方向に揺動する。下部アーム3の上端には上部アーム4が水平軸(U軸)回りに軸支され、上下方向に揺動する。5は上部アーム4の先端に取り付けられた手首部である。手首部5は、上部アーム4の長さ方向の中心軸(R軸:手首第1軸)回りに回転自在に取り付けられた胴体6と、胴体6の先端でR軸に直交する軸(B軸:手首第2軸)回りに軸支されて揺動する揺動体7と、揺動体7の先端で回転軸(T軸:手首第3軸)回りに回転する回転体8からなる。
9は、回転体8に取り付けられた溶接トーチであり、11は上部アーム4の後端に固定されたワイヤ送給装置である。ワイヤ送給装置11には図示しないワイヤリールから溶接ワイヤが供給され、コンジットケーブル12を通して溶接ワイヤを溶接トーチ9まで送給する。コンジットケーブル12は上部アーム4の側面を、R軸に平行に伸びて、上部アーム4の側面に開口した進入口21から上部アーム4の内部に引き込まれる。なお、上部アーム4の内部から溶接トーチ9に至るコンジットケーブル12の経路は後述する。また、コンジットケーブル12は、コイルバネを樹脂で被覆した保護チューブの中に通されて保護されている。
図2は図1に示した産業用ロボットの立体図である。手首部5の胴体6は、平面形において略U字形の二股状をなし、R軸に平行に伸びる2つの部材22、23を備えている。揺動体7は部材22、23に挟まれて、両持ちで支持されている。進入口21から上部アーム4の中に入ったコンジットケーブル12は、胴体6のU字形の底部24に開口した通過口25から再び外部にでて、部材22と23の間の空間を通って、揺動体7に伸びている。通過口25はR軸を中心とする開口であり、コンジットケーブル12は通過口25から揺動体7に向けて、R軸に沿って(コンジットケーブル12の中心とR軸が一致するように)配設される。
図3は図1に示した産業用ロボットの上部アーム4を図1のAA'線で切断した平断面図である。図において、31は上部アーム4の内部にその回転軸の中心をR軸に一致させて、つまりR軸と同心に取り付けられたモータであり、モータ31は減速機32、中間軸33を介して手首部5の胴体6をR軸回りに回転駆動する。中間軸33はベアリング34とベアリング35で上部アーム4に回転自在に支持されている。また中間軸33は、ベアリング34に支持されて減速機32に連結される円輪部36と、ベアリング35に支持されて胴体6に連結される中空円筒部37と、回転中心(R軸)からオフセットした位置で円輪部36と中空円筒部37を接続する接続部38からなり、全体としてクランクシャフト状をなしている(図4参照)。
39は機内配線である。機内配線39は胴体6内に装備されて揺動体7および回転体8を駆動するモータ(後述)を駆動するための動力線であり、下部アーム3から上部アーム4の内部に引き込まれて、点39aで上部アーム4にクランプされる。機内配線39は点39aから、R軸回りに円弧を描いて円環状部を形成して点39bまで伸び、さらに点39bから点39cまでの間はU字状の折り曲げ部を形成し、点39cから再びR軸回りに円環状部を形成して点39dで中間軸33の円輪部36にクランプされる。なお、39aから39dに至る機内配線39の保持構造は、登録実用新案第2117576号(実公平7−39575)として本願出願人が権利を保有している。
機内配線39は点39dから中間軸33の接続部38に沿って伸び(図示を省略したが、機内配線39は接続部38に適宜、固縛される)、中間軸33の中空円筒部37の中心(R軸)を避けて、前記中空部の外周に設けた溝を通って胴体6の中に入る。コンジットケーブル12は、上部アーム4の側面に開口した進入口21から上部アーム4の中に入り、中間軸33の中空円筒部37の中心の中空部と、胴体6の通過口25を通って外部に出る。前期中空部と通過口はR軸を中心とする円筒であり、コンジットケーブル12はR軸に沿って真っ直ぐ外部に引き出される。コンジットケーブル12はR軸の中心にあって、機内配線39はR軸の中心から離れた位置にあるので、胴体6がR軸まわりに回転するとき、機内配線39はコンジットケーブル12の回りを、衛星のように周回する。このため、機内配線39とコンジットケーブル12の干渉は生じない。ここで、中間軸33をR軸回りに回転させた時の、コンジットケーブル12と中間軸33の接続部38の干渉が問題になるが、コンジットケーブル12が接続部38に接触したときの多少の曲げは許容されるから、図示した位置から中間軸33をR軸回りに±180°回転可能である。したがって、この干渉は実用上の問題にはならない。
図5は本発明の第2の実施例を示す産業用ロボットの手首部の側面図であり、説明の便宜のため、手首部5の胴体6の右側面のカバーを取り除いて、内部機構が見えるように描いている。図において、51は揺動体7を駆動するモータであり、胴体6の内部に横向き、つまりR軸に対して直角、B軸に対して平行に取り付けられている。モータ51の出力軸にはプーリ52が取り付けられている。53は揺動体7に連結される減速機であり、胴体6の先端に取り付けられている。減速機53の入力軸にはプーリ54が取り付けられ、プーリ54とプーリ52の間にはタイミングベルト55が巻き掛けられている。つまりモータ51の動力はベルトプーリ機構を介して減速機53に伝えられて、揺動体7をB軸回りに回転駆動する。56は回転体8を駆動するモータであり、モータ51と同様に胴体6の内部に横向きに取り付けられている。モータ56の動力は胴体6の左側(紙面の裏側)に配置される別のベルトプーリ機構(図示せず)を介して回転体8を駆動する。また、モータ51とモータ56はR軸の中心から下にオフセットした位置に取り付けられている。これはR軸に沿って延びるコンジットケーブル12との干渉を避けるためである。
図6は、図5に示した産業用ロボットの手首部の先端の内部機構を示す平断面図であり、図6においては、揺動体7をB軸まわりに90°回転させて、揺動体7を水平つまり、R軸とT軸が重なるような姿勢を取っている。なお、図5と共通する構成要素は同一の符号を付したので、説明を省略する。61はベルトであり回転体駆動用モータ(図5のモータ56に相当するが、図示していない)の動力をプーリ62に伝える。プーリ62には傘歯車63が取り付けられている。64は揺動体7にT軸に平行に軸支された伝動軸であり、伝動軸64の両端には傘歯車65、66が取り付けられ、傘歯車65は傘歯車63と噛み合っている。67は回転体8に取り付けられた傘歯車である。傘歯車67は傘歯車66と噛み合っている。このようにして前記回転体駆動用モータの動力は回転体8に伝えられる。回転体8には、T軸を中心とする円筒状の中空部があり、溶接トーチ9は前記中空部を貫通している。回転体8を貫通した溶接トーチ9の端部にはコンジットケーブル12が接続されている。コンジットケーブル12は二股状になった胴体6の部材22、23の間の空間に、R軸と同心に配設されている。また揺動体駆動用のベルトプーリ機構は部材22の内部に、回転体駆動用のベルトプーリ機構は部材23の内部にそれぞれ配置されている。
図7は本発明の本発明の第3の実施例を示す産業用ロボットの三面図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図である。基本的な構成は図1から図6に示した第1および第2の実施例と同一なので、共通する構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。揺動体7は、回転体8を支持する本体7aと、本体7aの左右(右側面で見て)にあって、第3軸(T軸)つまり回転体8の回転中心に平行に伸びる2つの部分7b、7cを備えて二股状を成している。部分7b、7cの先端は胴体6の左右の部材22、23にそれぞれ回転自在に支持され、揺動体7を両持ちで支持している。コンジットケーブル12は、部材22と部材23の間の空間と部分7aと7bの間の空間を通って回転体8に(さらにはその先に取り付けられる溶接トーチに)に延びている。13は部分7bに固定されたケーブルサポートである。ケーブルサポート13は部分7bと7cの間を塞ぐ板状の部材で、コンジットケーブル12が部分7bと7cの間からはみ出すのを抑制する拘束片として機能する。また胴体6の部材22と部材23の間には、2つの間を連結する連結片14があり、コンジットケーブル12が胴体6の下に垂れ下がるのを抑制している。このように、コンジットケーブル12の変形はケーブルサポート13と連結片14によって抑制されるので、揺動体7あるいは回転体8を大きく動作させてもコンジットケーブル12が手首5の外に大きくはみ出して、ワークや周辺装置と干渉することがない。また、揺動体7を真上に振り上げた(図7に示す状態から180°揺動させた状態)時に、コンジットケーブル12が胴体6の上にはみ出すように変形するが、ケーブルサポート13はこの変形を押える効果もある。
以上説明した実施例は手首部5の揺動体7を胴体6の先端に両持ちで軸支したが片持ちで取り付けてもよい。つまり、図2に示した胴体6の2つの部材22、23のうちの一方の部材23を取り除いて、揺動体6を部材22に片持ちで支持する構造を選んでもよい。
また、実施例では、コンジットケーブル12を上部アーム4の側面から上部アーム4の内部に引き入れたが、次の変形例1、変形例2のように構成すれば、コンジットケーブル12を上部アームの後端から溶接トーチまで、R軸に沿って真っ直ぐ延ばすことができる。
(変形例1)モータ31と減速機32を反負荷側から負荷側まで貫通する中空部を備えたいわゆる中空軸モータおよび中空軸減速機にして、コンジットケーブル12を上部アーム4の後端からモータ31の中空軸と減速機32の中空軸を通して、中間軸33の中に、真っ直ぐ(R軸に沿って)延ばす。この時、ワイヤ送給装置11は溶接ワイヤの送給方向がR軸に一致するように取り付けるとよい。この構造は上部アーム4の側面からコンジットケーブル12を引き込むのに比べて、コンジットケーブル12の曲がりが少ないので、溶接ワイヤの送給抵抗が小さくなるという効果が期待できる。
(変形例2)変形例1で用いた中空軸モータは高価なので、減速機32だけを中空軸減速機にして、モータ31をR軸に平行にオフセットして、ベルトプーリ機構で減速機32と結合してもよい。この場合、コンジットケーブル12は上部アーム4の後端からR軸に沿って上部アーム4の中に入って、モータ31の横を通って、減速機32の中空軸に入る。
また、実施例の説明においてアーク溶接用ロボットを取り上げたが、本発明はアーク溶接用ロボットに限られるものではなく。塗装、シーリング、研磨、ハンドリングなど、すべての用途に可能である。つまり、エンドエフェクタは塗装用スプレーガン、シーリング用ノズル、研磨工具あるいはメカニカルハンドなどであってもよいし、ケーブル等とは、塗料用ホース、シール材供給ホース、空気工具駆動用のエアホース、電動工具駆動用の動力線等であってもよい。なお、コンジットケーブル12の配設状態を説明するのに、R軸と同心あるいはR軸と平行などの表現を用いたが、これらの表現は幾何学的な厳密さまで要求したものではない。本発明の目的効果を達成できる範囲で多少の幅(誤差)が許容されるのは言うまでもない。
1:基台、2:旋回ベース、3:下部アーム、4:上部アーム、5:手首部、6:胴体、7:揺動体、8:回転体、9:溶接トーチ、10:トーチクランプ、11:ワイヤ送給装置、12:コンジットケーブル、13:ケーブルサポート、14:連結片21:進入口、22,23:部材、24:底部、25:通過口、31:モータ、32:減速機、33:中間軸、34,35:ベアリング36:円輪部、37:中空円筒部、38:接続部、39:機内配線、51:モータ、52:プーリ、53:減速機、54:プーリ、55:ベルト、56:モータ61:ベルト、62:プーリ、63、65、66、67:傘歯車、64:伝動軸

Claims (1)

  1. 基台と、
    前記基台に設けられたアームと、
    前記アームに対して第1軸回りに回転するように前記アームに連結される胴体底部と、
    前記第1軸の延長線上に前記胴体底部に設けられ、ケーブルを挿通可能な通過口と、
    前記胴体底部から前記第1軸の延長線に沿って延設された第1延在部と、
    前記第1延在部と間隙を有して並行して配設される第2延在部と、
    前記第1延在部及び/又は前記第2延在部の先端側に取り付けられて前記第1軸に直交する第2軸回りに揺動する揺動体と、
    前記揺動体の一部をなし、第1部分と第2部分とにより二股状に形成された二股部と、
    前記第2軸に直交する第3軸周りに回転するように前記揺動体に支持されケーブルが接続されるエンドエフェクタを保持可能な回転体と
    前記揺動体に設けられ、前記第1部分と前記第2部分との間から前記ケーブルがはみ出すのを抑制する板状のケーブルサポートと、
    を有し
    前記ケーブルは、
    可撓性を有する非コイル状のケーブルであること
    を特徴とする、多関節ロボット。
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