JP4029306B2 - 産業用ロボット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業用ロボット、特にエンドエフェクタを駆動または制御するための送給具を、固定ベースから、旋回ヘッド、アーム、を通って、手首部の先端まで配設した産業用ロボットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、産業用ロボットにおいては、エンドエフェクタ等を駆動または制御するための、動力や信号や流体を送給する送給具、すなわち、給電ケーブル、信号用電気ケーブル、光ケーブル、流体用チューブなどを産業用ロボットの内部に配設することが行なわれている。例えば、特開平9−141592号公報では、ケーブル類をロボット基台からロボット胴、ロボット腕を通して、手首部まで配設した産業用垂直多関節型ロボットが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来の産業用ロボットでは、ケーブル類は産業用ロボットの手首部まで導かれ、前記ケーブル類の終端は前記手首部に固定されたコネクタに接続されている。一方、エンドエフェクタは前記手首部に対して回転駆動されるフランジに固定されている。したがって、エンドエフェクタ側のケーブル類を前記コネクタに接続して、前記フランジを回転させると、前記エンドエフェクタ側のケーブル類が捩じれるという問題がある。また、前記フランジの回転に見合うだけの長さの余裕を前記エンドエフェクタ側のケーブルに与えると、前記フランジがその回転の原位置にある時に、前記エンドエフェクタ側のケーブルは前記エンドエフェクタと前記手首部の間で垂れ下がるか、外側に向かってふくらむので、作業対象物や周辺装置などに接触、干渉し、前記作業対象物や前記エンドエフェクタ側のケーブル自身を損傷するという問題もある。
そこで、本発明はエンドエフェクタを駆動または制御するケーブルなどの送給具をロボットの固定ベースから、前記ロボットの内部を通って、前記ロボットの手首部のエンドエフェクタ取り付け用フランジと一体に回転する部分に固定したコネクタ等まで配設した産業用ロボットを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するために、第一の本発明は、エンドフェクタを駆動または制御するための動力や信号や流体を送給する送給具が、固定ベースから、旋回ヘッド、下部アームおよび上部アームを通って手首部まで配設された産業用ロボットにおいて、前記手首部は、前記上部アームに回転支持された手首ベースと、前記手首ベースに固定されたモータおよび減速機と、前記減速機の出力部に固定され、前記エンドエフェクタを取り付けるフランジと、前記フランジに固定されるとともに、前記手首ベースの外周を取り囲み、前記手首ベースとの間に円環状の収容室を形成するケーシングとを備え、前記送給具を、前記手首ベースの上面で固縛するとともに、前記収容室に収容して前記ケーシングの底部に固縛し、前記収容室の外壁に設けた継ぎ手に接続したものである。
また、第二の本発明は、エンドフェクタを駆動または制御するための動力や信号や流体を送給する送給具が、固定ベースから、旋回ヘッド、下部アームおよび上部アームを通って手首部まで配設された産業用ロボットにおいて、前記手首部は、前記上部アームに回転支持された略円筒形の手首ベースと、前記手首ベースに固定されたモータによって回転し、前記エンドエフェクタを取り付けるフランジと、前記フランジに固定されるとともに、前記手首ベースの外周を取り囲み、前記手首ベースとの間に円環状の収容室を形成するケーシングとを備え、前記送給具が、前記手首ベースに固縛され、前記収容室の上部のほぼ半周円を取り巻いて、次に下に曲げられ、さらに前記収容室の下部のほぼ半周円を前記上部とは逆に取り巻いて前記ケーシングの底部に固縛され、前記収容室の外壁に設けた継ぎ手に接続されたものである。
また、第三の本発明は、第二の本発明において、前記送給具が、前記手首部の手前で、前記動力や信号を送給するケーブルと前記流体を送給するチューブとに分割され、前記ケーブルが、前記収容室の上部を反時計回りに取り巻き、かつ前記収容室の下部を時計回りに取り巻くように配設され、前記チューブが、前記収容室の上部を時計回りに取り巻き、かつ前記収容室の下部を反時計回りに取り巻くように配設されているものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施例を示す産業用ロボットの側面図であり、図2は前記産業用ロボットの手首部の側断面図であり、図3は図2のA−A’線およびB−B’線で切断した平断面図である。以下、図に従って本発明の実施例を説明する。
図1において、1は、主として物品の輸送用パレットへの積み付け、すなわちパレタイズ作業に使用する産業用ロボットである。産業用ロボット1は固定ベース2と旋回ヘッド3と下部アーム4と上部アーム5と手首部6と第1の補助リンク7と第2の補助リンク8と第3の補助リンク9を備えている。
旋回ヘッド3は固定ベース2に、垂直軸S回りに回動自在に支持され、旋回駆動される。下部アーム4はその下端で旋回ヘッド3に、水平軸L回りに回動自在に支持され、前後に揺動駆動される。上部アーム5は下部アーム4の上端に、水平軸U回りに回動自在に支持され、上下に揺動駆動される。手首部6は上部アーム5の先端に、水平軸B回りに回動自在に支持されている。
第1の補助リンク7は一端を旋回ヘッド3に回動自在に支持され、他方端は第2の補助リンク8に回動自在に連結されている。第2の補助リンク8は下部アーム4に、水平軸U回りに回動自在に支持され、前述したように第1の補助リンク7の他方端が回動自在に連結され、また第3の補助リンク9の一方端も第2の補助リンク8に回動自在に連結されている。第3の補助リンク9の他方端は手首部6に回動自在に連結されている。
このように、旋回ヘッド3と下部アーム4と第2の補助リンク8と第1の補助リンク7からなる第1の平行四辺形リンクと、上部アーム5と手首部6と第3の補助リンク9と第2の補助リンク8からなる第2の平行四辺形リンクが構成されているので、手首部6は下部アーム4および上部アーム5の姿勢に関わりなく、一定の姿勢、つまり手首部6のフランジ61が常に下を向く姿勢を保持する。
10は産業用ロボット1の中にされたケーブルであり、動力用の給電線と制御用の信号線および動力用の高圧空気用チューブを束ねたものである。ケーブル10は図示しないエンドエフェクタに信号と動力を送給するための送給具である。ケーブル10は固定ベース2の後端部に固定されたコネクタ101と配管用カップリング102に接続され、コネクタ101および配管用カップリング102を介して、図示しない制御装置あるいは高圧空気源等と着脱自在に連結される。ケーブル10は固定ベース2から旋回ベース3に入り、さらに下部アーム4と上部アーム5の内部を通り、手首部6に延び、手首部6のケーシング62に固定されたコネクタ103および配管用カップリング104に接続されている。
手首部6のフランジ61には、作業対象の物品を把持するためのエンドエフェクタ(図示せず)が取付けられる。前記エンドエフェクタの給電線、信号線、空気配管等は、コネクタ103および配管用カップリング104を介して、ケーブル類10に着脱自在に連結される。
【0006】
次に、図2および図3に従って手首部6の構造の詳細を説明する。
図において、63はブラケットであり、64は手首ベースである。ブラケット63は手首ベース64と上部アーム5を連結する部材であり、手首ベース64に固定され、上部アーム5に回転支持されている。手首ベース64は、略円筒形の部材であり、前記円筒形の回転中心すなわち軸Tと同軸にモータ641と減速機642を固定している。減速機642の出力部にはフランジ61が固定されている。ケーシング62は略円筒形をなし、箱型の張出部621を設けている。ケーシング62はフランジ61に固定され、減速機642を介してモータ641によって、フランジ61と一体に軸T回りに回転駆動される。またケーシング62は、手首ベース64の外周を取り囲み、ケーシング62と手首ベース64の間に円環状の収容室65を形成している。
上部アーム5の中を通って手首部6に延びるケーブル類10は、手首部6の手前でケーブル105とチューブ106に分割される。ケーブル105は手首ベース64の上面のクランプ644で固縛され、開口645から収容室65の内部に入る。収容室65の中に入ったケーブル105は、反時計回りに収容室65の上部のほぼ半円周を取り巻いて、次に下に曲げられ、収容室65の下部に向かい、さらに時計回りに収容室65の下部のほぼ半円周を取り巻いて、ケーシング62にクランプ622で固縛される。ケーブル105はさらに張出部621に延び、張出部621に固定されているコネクタ103に接続される。つまり、ケーブル105は収容室65の内部に、平面図で見ると半円状に、側面図で見るとU字型を成すように配設されている。
チューブ106も、ケーブル105と同様に、手首ベース64の上面のクランプ646で固縛され、開口645から収容室65の内部に入る。収容室65の中に入ったチューブ106は、時計回りに収容室65の上部のほぼ半円周を取り巻いて、次に下に曲げられ、収容室65の下部に向かい、さらに反時計回りに収容室65の下部のほぼ半円周を取り巻いて、ケーシング62にクランプ623で固縛される。チューブ106はさらに張出部621に延び、張出部621に固定されている配管用カップリング104に接続されている。
次に、フランジ62が回転する時のケーブル105およびチューブ106の収容室65内部での挙動を説明する。図4は、収容室65の内部を側面から見て、展開した説明図であり、(a)はフランジ62が原位置、すなわち図2および図3で図示した位置にある状態を示す図であり、(b)はフランジ62が回転した状態を示す図である。チューブ106は手首ベース64にクランプ646で、ケーシング62にクランプ623でそれぞれ固縛されているが、クランプ646とクランプ623の間は自由に曲がり、ケーシング62の手首ベース64に対する回転によるクランプ646とクランプ623の間の変位をチューブ106のU字型の曲がり部106aの移動によって吸収する。
ケーブル105とチューブ106は、このように収容室65内部に配設されているので、フランジ61およびケーシング62は、前記原位置から、時計回り、反時計回りにほぼ180°ずつ回転できる。
実施例においては、4軸のパレタイズ用ロボットを取り上げたが、本発明は、例えば6軸の垂直多関節型産業用ロボットなど、他の軸構成をとる産業用ロボットにも適用できるのは、言うまでもない。
【0007】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、エンドエフェクタを駆動または制御する送給具が、産業用ロボットの固定ベースから産業用ロボットの内部を通って、手首部のケーシングまで配設され、しかも、前記ケーシングがエンドエフェクタを取り付けるフランジと一体に回転するので、前記送給具と前記エンドエフェクタ側を結ぶエンドエフェクタ側送給具が最短で済むという効果がある。したがって、前記エンドエフェクタ側送給具が作業対象物や周辺の装置に接触して、産業用ロボットが停止したり、前記作業対象物や前記エンドエフェクタ側送給具自身を損傷することが無くなるという効果がある。
また、前記送給具を、固定部である前記手首ベースの上面でクランプで固縛するとともに、前記収容室に収容して、前記フランジとともに回転する可動部である前記ケーシングの底部にクランプで固縛しているので、両クランプ間の変位を送給具の上下方向(図2で示す軸T方向)の曲がり部の移動によって吸収することができ送給具が捩れることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す産業用ロボットの側面図である。
【図2】本発明の実施例を示す産業用ロボットの手首部の側断面図である。
【図3】本発明の実施例を示す産業用ロボットの手首部の平断面図であり、(a)は図2のA−A’線での切断であり、(b)はB−B線での切断である。
【図4】本発明の実施例を示す産業用ロボットの手首部の内部でのケーブル類の挙動を説明する説明図であり、(a)はフランジが原位置にある状態を示し、(b)はフランジが回転した状態を示す。
【符号の説明】
1:産業用ロボット 2:固定ベース
3:旋回ヘッド 4:下部アーム
5:上部アーム
6:手首部
61:フランジ
62:ケーシング 621:張出部
622:クランプ 623:クランプ
63:ブラケット
64:手首ベース 641:モータ
642:減速機 644:クランプ
645:開口 646:クランプ
65:収容室
7:第1の補助リンク 8:第2の補助リンク
9:第3の補助リンク
10:ケーブル類
101:コネクタ 102:配管用カップリング
103:コネクタ 104:配管用カップリング
105:ケーブル 106:チューブ
106a:曲がり部
Claims (3)
- エンドフェクタを駆動または制御するための動力や信号や流体を送給する送給具が、固定ベースから、旋回ヘッド、下部アームおよび上部アームを通って手首部まで配設された産業用ロボットにおいて、
前記手首部は、
前記上部アームに回転支持された手首ベースと、
前記手首ベースに固定されたモータおよび減速機と、
前記減速機の出力部に固定され、前記エンドエフェクタを取り付けるフランジと、
前記フランジに固定されるとともに、前記手首ベースの外周を取り囲み、前記手首ベースとの間に円環状の収容室を形成するケーシングとを備え、
前記送給具を、前記手首ベースの上面で固縛するとともに、前記収容室に収容して前記ケーシングの底部に固縛し、前記収容室の外壁に設けた継ぎ手に接続したことを特徴とする産業用ロボット。 - エンドフェクタを駆動または制御するための動力や信号や流体を送給する送給具が、固定ベースから、旋回ヘッド、下部アームおよび上部アームを通って手首部まで配設された産業用ロボットにおいて、
前記手首部は、
前記上部アームに回転支持された略円筒形の手首ベースと、
前記手首ベースに固定されたモータによって回転し、前記エンドエフェクタを取り付けるフランジと、
前記フランジに固定されるとともに、前記手首ベースの外周を取り囲み、前記手首ベースとの間に円環状の収容室を形成するケーシングとを備え、
前記送給具が、前記手首ベースに固縛され、前記収容室の上部のほぼ半周円を取り巻いて、次に下に曲げられ、さらに前記収容室の下部のほぼ半周円を前記上部とは逆に取り巻いて前記ケーシングの底部に固縛され、前記収容室の外壁に設けた継ぎ手に接続されたこと、を特徴とする産業用ロボット。 - 前記送給具が、前記手首部の手前で、前記動力や信号を送給するケーブルと前記流体を送給するチューブとに分割され、
前記ケーブルが、前記収容室の上部を反時計回りに取り巻き、かつ前記収容室の下部を時計回りに取り巻くように配設され、前記チューブが、前記収容室の上部を時計回りに取り巻き、かつ前記収容室の下部を反時計回りに取り巻くように配設されていること、を特徴とする請求項2記載の産業用ロボット。
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