JP5183985B2 - 蓄電池 - Google Patents
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Description
しかし乍ら、上記の蓄電池は、横倒しした際に、セル室内の電解液は、該排気通路を経て外部に漏出する不都合がある。
一方、下記の特許文献1には、蓄電池が横倒しになった場合に、セル室内の遊離電解液が蓄電池外へ漏れないようにエアロック機構を具備した発明が開示されている。
本発明は、蓄電池が倒立した場合の液漏れ防止を、上記の特許文献1に開示の発明及び先に提示した出願の発明に係る蓄電池に比し、更に向上し、確保できる蓄電池を提供することを目的とする。
図1は、合成樹脂成形体から成る方形箱形の蓋本体の上面図を示す。参照符号1で示す該蓋本体の蓋板1aの上面の一部を、該蓋本体1が施される電槽の内部を仕切壁により区画形成されセル室の数に相当する数の、図示の例では、6個のセル室に跨る面域を底面とする長方形の凹面1a1に成形し、その凹面の空間内に、次のような排気構造を構成する。即ち、その長方形の凹面1a1空間内に、その四周内側壁面に沿い、且つその凹面空間1a1の底面、即ち、該蓋板1aの上面から所望の高さの方形の四周囲枠2を突設する。その高さは、その上端が図示の例では、該凹部空間1a1の左右に形成した後述する筒状のガス排出口を嵌装するための凹溝1b,1bの底面と同じ或いはそれより高い高さとした。更に、該蓋板1aの上面に、該四周囲枠2で囲繞される凹部空間内に、該電槽の内部を区画形成された6個のセル室に対応する位置で、該蓋板1aに、各セル室に連通する排気孔3a及び注液口4を穿設し、その夫々の外周に、該底面から突出する排気筒3及び注液筒4aの一組ずつを配設する。該蓋板1a上面からの各排気筒3は、該四周囲枠2の高さよりも高い適当な高さに突設せしめ、各注液筒4aは、該四周囲枠2の高さと同じ高さに突設せしめた。
更に、該四周囲枠2内には、下記するように6つの夫々独立した排気通路を形成した。即ち、該四周囲枠2内に、各相隣る排気筒3,3間を隔離すると共に各排気筒3を囲繞する隔壁5a,5a,…を該四周囲枠2と同じ高さに突設し、6個の排気筒3,3,…の夫々が互いに連通することなく独立した6個の排気通路6a,6a,…を区画形成した。更に、各独立した排気通路6a内に、各独立した注液筒4aの側面から該排気筒3の側方を横切り、該四周囲枠2の一方の長辺側枠2aの近傍まで延び、且つ該四周囲枠2aと同じ高さの隔壁7aを突設し、これにより、各該排気通路6aを該排気筒3側に、これを囲繞する小室に形成された内側通路6a1と該隔壁7aと該長辺側枠2aの内側面との間に存せしめた間隙8aを介して該内側通路6a1と連通する外側の通路6a2とに区分した。更に、その小室に形成された内側通路6a1内に、該長辺側枠2aの内側面から該排気筒3と該隔壁7aとの間に延び且つ該四周囲枠2と同じ高さの隔壁9aを突設し、これにより、電槽内の各セル室から該排気筒3を介し内側通路6a1に進入したガスが、直接、該間隙8aから該外側通路6a2へ排出されることが妨げられ、該隔壁9aと該隔壁7aとの間に形成された通路6a3を通過した後、該間隙8aから該外側通路6a2に排出せしめるように、その通過距離を延長して、電解液ミストの捕集効果を高めるようにした。尚また、該隔壁7aの外側面から側面に該外側通路6a2内へ突設して、該隔壁7aと同じ高さの防沫壁10aを突設した。該防沫壁10aは、外側通路6a2内に突出するようにその複数枚を配設してもよい。
図面で、11は該蓋本体1が施される電槽の仕切壁に対応して該蓋本体1の裏面から下垂突出させた仕切壁、12は正極端子、13は負極端子、14は比重液面表示栓を示す。
該上蓋20は、蓋板20aとその四周縁から所望高さ下向きに延びる四周側壁20bとから成り、その四周側壁20bの下端は、該上蓋20を該蓋本体1の該四周囲枠2に施されるとき、該四周囲枠2とその外側の該凹面1a1の四周内面との間の空隙に挿入される外側壁20b1と、該四周囲枠2の上端に当接する内側の四周側壁20b2とから成る嵌合係止用段差を有する下端に形成されている。かくして、該上蓋20は、該蓋本体1の該四周囲枠2の上端部に当接係合し、熱融着、接着により互いに結着されるようにした。該蓋板20aには、該蓋本体1上に載せたときに、該蓋本体1の夫々の注液筒4a,4a,…に対応する位置に6個の注液口が穿設されており、更に、該上蓋の裏面の凹状空間内に、蓋本体1の裏面に設けた6つの夫々独立した排気通路6a,6a,…に対応する夫々独立した排気通路を下記のように形成した。
即ち、更に詳細には、その蓋板20aの裏面には、該蓋本体1の該四周囲枠2内に配設した6つの注液口4,4,…と注液筒4a,4a,…に対応する位置に、6つの注液口4,4,…とその外周縁に6つの注液筒4b,4b,…を該四周側壁20b1と同じ高さに突出せしめて配設し、更に、該蓋本体1の該四周囲枠2内で該蓋板1aの上面から突出せしめた囲繞隔壁5a,5a,…に対応する位置に囲繞隔壁5b,5b,…を該四周側壁20b2と同じ高さに突出せしめて配設し、これにより、該蓋本体1に形成された夫々独立した排気通路6a,6a,…に対応する夫々独立した排気通路6b,6b,…が形成されるようにした。更に、該蓋本体1に配設した該隔壁7aに対応する位置に隔壁7b、該隔壁9aに対応する位置に隔壁9b及び該隔壁7aの側面に付設した防沫壁10aに対応する位置に防沫壁10bを夫々その蓋板20aの裏面から該四周側壁20b2と同じ高さに突出して配設し、これにより、蓋本体1に形成された間隙8a、小室に形成された内側通路6a1及び外側通路6a2に対応する位置に、間隙8b、小室に形成された内側通路6b1及び外側通路6b2を夫々形成せしめた。
即ち、該蓋本体1の該蓋板1aに電槽40の各セル室40bに連通する該排気筒3を、2本の排気筒31,32に構成した。図1、図4〜図6に示す例では、1つの排気筒の排気孔3aを隔壁pにより2分してコンパクトな2つの排気筒31,32に構成した。更に、これら2つの排気筒31,32の一方の第1排気筒31は該蓋板1aの上面からの上方に、即ち、排気通路6a側に延びる長さ、即ち、高さを、その他方の第2排気筒32の長さ、即ち、高さより高くする一方、該第1排気筒31の該蓋板1aの下面から下方に、即ち、セル室40b側に延びる長さを、第2排気筒32の長さより短く構成した。
また、該第1排気筒31の排気孔31aは、排気通路6aに開口する上部側をセル室40b側に開口する下部側より小径とし、該第2排気筒32の排気孔32aは、セル室40b側から排気通路6a側に向かうに従い口径が漸次大径とする逆テーパー状とした。
更に、該隔壁pを含めてこれら第1及び第2排気筒31,32の上端面は傾斜面に形成した。この場合、図6に明示するように、該第2排気筒32の傾斜排気孔32aの上端開口面32a1の下端は、蓋板1aの上面と同じつら位置とし開口するようにし、排気通路6から流下してくる捕捉された電解液を該第2排気筒32の排気孔32aを介しセル室内へ還流し得るようにした。
かくして、各排気通路6aの各小室に形成された内側通路6a1は、該環状隔壁33aをめぐる迂回通路に形成される。而して、図1、図5に明示のように、夫々の環状隔壁33a,33a,…の該切欠口34,34,…を該長辺側壁2a,2a,…に向けて配設したときは、これら排気筒31,32から排出されるガスは、その長辺側壁2a,2aに衝突後、夫々の環状隔壁33a,33a,…の周側壁に沿い迂回した後、夫々の外側通路6a2,6a2,…に進入するようになるので、ミストの捕集性能を更に向上せしめることができるようにした。
また、該蓋本体1の蓋板1aから上面に突設した環状隔壁33aの高さ、従って、該環状隔壁33aに上端を開口して切り欠いた矩形状などの切欠口34の上面開口端34aの高さは、該第1排気筒31の該排気孔31aの上端31a1の傾斜開口面の下端と同じ高さ或いはそれより低い位置に設定する。かくして、エアロック機構が構成される。
即ち、蓄電池が倒立状態となると、図7に示すように、セル室40b内の電解液は、上下反転した該第1排気筒31の排気孔31a及び第2排気筒32の排気孔32aによる気液置換により排気通路6a1内へ進入するも、その進入した電解液はコップ空間S3内に溜まり、やがて、第1排気筒31の上端開口を閉塞する。すると、両排気筒31,32を介しての気液置換が行われず、所謂エアロックを生じ、これにより、これ以上の電解液の流出がない液漏れ防止効果をもたらす。Eはエアロック時の電解液面を示す。
この場合、上記のように、該第1排気筒31の排気孔31aの排気通路側に開口する側の上部口径をその下方のセル室40b側に開口する側の下部口径より小径とすることにより、更に電解液の流出は困難となる。
この状態から、もとの正立状態に戻すと、電解液の自重によりセル室40b内へ流下し、これに伴い、セル室40b内に戻る。
また、鉛蓄電池が横倒しになった場合も、セル室40bから流出してくる電解液は、排気孔31a又は31bを閉じた瞬間に、気液置換が行われなくなるので、エアロックが生じ、電解液の漏出が防止される。
図6に明示するように、第1排気筒31及び第2排気筒32は円筒形とすると共に、その上端部を斜めに横断して傾斜面とし、第1排気筒31の排気孔31aの下端の孔径は2mm、上端の孔径は1mmとした。第2排気筒32の排気孔32aの下端の孔径は2.5mm、上端の孔径は3mmとした。
また、同蓄電池を上蓋が斜めになるように逆立ちさせ、この状態で10分間放置した後、正立させて同様に電解液の液漏れを調べたが、全く漏れはなかった。
本願の発明者等は、蓄電池が横転又は倒立した場合に、この状態で、できる限り長時間に亘り電解液が外部へ漏れ出ないようにすることが好ましいとの見地から、更に、漏液防止機構につき鋭意試験、研究を重ねて来た結果、漏液防止効果が更に著しく向上した蓄電池を開発することができた。その漏液防止機構は、エアロック機構を具備することに加え、特に、図2及び図3に明示したように、該上蓋20の裏面の該蓋本体1の各排気筒3に連通し、排気ガスを導出せしめる各排気通路6b内に少なくとも1個の堰止め部材60を設けることにより、倒立状態に長時間放置しても、液漏出が著しく遅延でき、液漏出防止効果を著しく向上することができた。
而して、各板状の堰止め部材60は、図示の例では、排気通路6を完全に横切る横断壁とし、その高さは該環状隔壁33bや該隔壁5b,7bと同じ高さとしたものを示したが、その高さは、排気通路6を完全に塞がない限り高いほど良い。
本発明の図示の実施例の上記蓄電池と、上記のエアロック機構のみを具備し、該堰止め部材60を欠いたた比較用蓄電池とを、夫々倒立状態とし、その倒立させた時点から電解液が外部に漏れ出るまでの時間を測定したところ、比較用蓄電池は2時間で漏出したが、本発明の蓄電池では漏出するまでに6時間を要した。
これから明らかなように、エアロック機構に加え、堰止め部材を具備した本発明の蓄電池は、その漏液防止効果を著しく向上することができる。
尚また、エアロック機構は、上記の実施例で示した構成に限定する理由もないことは言うまでもない。
3 排気筒
20 上蓋
21 ガスフィルター
23 ガス排気口
31 第1排気筒
32 第1排気筒
33a 環状隔壁
33b 環状隔壁
34 切欠口
35 コップ状被覆部
S1 環状空間
S2 空隙
S3 コップ状空間
60 堰止め部材
Claims (1)
- 内部を仕切壁により区画された複数のセル室を有する電槽の上面開口部に、その夫々のセル室に連通する夫々の排気筒と相隣る排気筒間を隔離し且つ囲繞する囲繞隔壁により夫々独立した排気通路を形成した蓋本体が施されて該電槽の該上面開口部が閉塞され、該蓋本体の上面に、該蓋本体の夫々の独立した排気通路に対応して夫々独立した排気通路を裏面に設けた上蓋が施されて該蓋本体と該上蓋とが気密に結着されて成る二重蓋構造から成ると共に、少なくとも1つのガスフィルターを介し排気せしめるガス排出口を具備し、更に、各セル室内の電解液が外部へ漏れ出ることを防止するエアロック機構を具備した蓄電池において、該上蓋の裏面の該排気通路内に、少なくとも1個の堰止め部材を設けたことを特徴とする蓄電池。
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