以下、マスクの一実施形態およびプリント配線板(プリント回路板)の製造方法の一実施形態を説明する。この製造方法では、例えば、図1に示したボール搭載装置を用いることができる。図1は、ボール搭載装置の一例の概略構成を平面図により示している。図1に示すボール搭載装置1は、平面矩形状のプリント配線板110に設けられた電極パターンに含まれる複数の電極のそれぞれに導電性ボールを搭載するための装置であって、ボールマウンタなどとも呼ばれる。このボール搭載装置1は、ボール充填装置9を備えており、ボール充填装置9にはマスク90をセット可能である。このマスク90は、複数の孔を備えており、それらは一定のパターン(マスクパターン)を形成している。ボール充填装置9により、マスクパターンに含まれる複数の孔に導電性ボールを充填することにより、このマスク90を介して、プリント配線板110の電極パターンに含まれる複数の電極のそれぞれに導電性ボールを搭載できる。
したがって、このボール搭載装置1では、プリント配線板110を製造する過程(工程)の中の、マスク90を用いてプリント配線板110の複数の電極のそれぞれに導電性ボールを搭載する処理(工程)が実施される。
図2は、プリント配線板の一例の概略構成を平面図により示している。図3は、図2中の円IIIで囲まれた領域を拡大して示している。プリント配線板110は、プリント配線基板、プリント回路板、プリント回路基板、回路基板、あるいはプリント基板などとも呼ばれ、半導体が実装される半導体実装基板、ビルドアップ基板、多層基板などを含む。プリント配線板110には、その一方の面(本例では上面)110aに、複数の電極112を含む電極パターン111が設けられている。典型的には、プリント配線板110には、マトリックス状あるいはアレイ状に配置された複数の電極112を含む少なくとも1つの電極パターン111が設けられている。そして、電極112と半導体などとの間の電気的な接続を得るために、プリント配線板110の複数の電極112のそれぞれに導電性ボールBを搭載することが求められている。
本例にて導電性ボールBを搭載するプリント配線板110には、図2および図3に示すように、複数の半導体チップ(半導体デバイス)をマトリックス状あるいはアレイ状に実装できるように設けられた複数の電極112を含む電極パターン111と、それらの電極112に関する配線(不図示)とがプリントあるいは他の方法により設けられている(形成されている)。それぞれの電極112に導電性ボールBの搭載を含む処理を行った後、このプリント配線板110に半導体チップを搭載してリフローすることにより、半導体チップと配線とが接続される。プリント配線板110は、その後、適当な数の半導体チップを含む基板に断裁することも可能である。したがって、このプリント配線板110には、個々の半導体チップの電極配置に対応するように電極112が配置された電極パターン111が複数設けられている。これら複数の電極パターン111の集合を1つの電極パターンと捉えても良い。
プリント配線板110に設けられている電極112は、例えば、ランド状(凸状)の電極(ランド)である(図4参照)。なお、プリント配線板110が多層基板などの場合、レジスト層が形成されており、レジスト層は、電極112に対応する部分がエッチングなどにより除去されている。したがって、このようなプリント配線板110では、電極部分が凹状となっている場合もある。
プリント配線板110の電極112の上に搭載される導電性ボールBは、電気的な接続を得るために機能するものであり、その直径は、例えば1mm以下、具体的には、10〜500μm程度である。このような導電性ボールBは、微小ボール(マイクロボール)と呼ばれることもある。導電性ボールBには、半田ボール(銀(Ag)や銅(Cu)などを含む、主成分が錫(Sn)からなるボール)、金あるいは銀などの金属製のボール、さらに、セラミックス製のボールあるいはプラスチック製のボールに導電性のメッキなどの処理が施されたものが含まれる。本例では、導電性ボールBとして、直径90μm程度の半田ボールが用いられている。
図1に示すボール搭載装置1は、ローダ・アンローダ装置2と、XYZθ支持テーブル(移動テーブル)3と、搬送ロボット4と、アライナ5と、矯正装置6と、フラックス塗布装置(フラックス印刷装置、スクリーン印刷装置)7と、第1および第2のカメラ8aおよび8bと、ボール充填装置9とを有している。矯正装置6、フラックス塗布装置7、カメラ8aおよび8b、およびボール充填装置9は、X方向に並んで配置されている。
ローダ・アンローダ装置2は、第1のパッケージ2aと第2のパッケージ2bとを有し、プリント配線板110をロード(供給)およびアンロード(収納)するための装置である。アライナ5は、プリント配線板110と支持テーブル3との粗位置合わせ(プリアライメント)を行うための装置である。矯正装置6は、プリント配線板110の反りを矯正するための装置である。フラックス塗布装置7は、プリント配線板110の複数の電極112に、フラックス塗布用マスク7aを介して、プリント配線板110と導電性ボールBとを結合させるための素材(フラックス)を塗布するための装置である。2つのカメラ8aおよび8bは、プリント配線板110に設けられた2つのアライメントマーク(不図示)をそれぞれ検出し、支持テーブル3に搭載されたプリント配線板110の支持テーブル3に対する詳細な位置を求めるためのものである。ボール充填装置9は、マスク90に設けられた複数の孔92のそれぞれに導電性ボールBを充填することにより、プリント配線板110の複数の電極112の上に、フラックスを介して、導電性ボールBを搭載(配置、配列)するための装置である。搬送ロボット4は、ローダ・アンローダ装置2の第1のパッケージ2aからプリント配線板110をアライナ5の上方に搬入し、アライナ5からプリント配線板110を支持テーブル3へ搬送し、支持テーブル3からプリント配線板110をローダ・アンローダ装置2の第2のパッケージ2bに搬出するためのものである。
支持テーブル3は、X軸テーブル、Y軸テーブル、Z軸テーブル、およびθテーブルを備えている。支持テーブル3は、減圧吸引などの方法によりプリント配線板110の反りを矯正した状態で、このプリント配線板110の裏面(下面)110bを、その上面(支持面、本例ではX−Y平面)21aの上に吸着支持する。本例では、支持テーブル3は、プリント配線板110を、その長手方向がY方向に沿うような姿勢で、吸着支持する。
そして、支持テーブル3は、このプリント配線板110を、矯正装置6、フラックス塗布装置7、カメラ8aおよび8b、およびボール充填装置9の間の任意の位置に移動させる。また、支持テーブル3は、プリント配線板110の位置(向き)を、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向およびθ方向に調整することができる。プリント配線板110を支持テーブル3に吸着支持する方法の一例は、減圧吸引であるが、プリント配線板110を支持テーブル3に吸着支持する方法は、減圧吸引に限定されるものではなく、静電チャックのようなものであってもよく、また、それらを併用することも可能である。
図4は、ボール搭載装置1に含まれるボール充填装置9の概略構成を部分的に拡大した断面図にて示している。図5は、ボール充填装置9にセットされる、本発明の第1の実施形態にかかるマスク90を、下方から見た様子を示している。図5において、二点鎖線は、マスク90をプリント配線板110に位置合わせした際の、プリント配線板110の縁(エッジ)113を示している。図6は、図5中の円VIで囲まれた領域を拡大して示している。
図1および図4に示すように、ボール充填装置9は、マスク90を保持するマスクホルダ11と、2つのボールディスペンサ12aおよび12bと、2つのボールディスペンサ12aおよび12bを支持する支持部材13と、支持部材13を介して2つのボールディスペンサ12aおよび12bをXおよびY方向へ移動させるためのディスペンサ移動機構14と、ディスペンサ移動機構14に搭載された第3のカメラ15とを備えている。
マスクホルダ11に取り付けられるマスク90は、プリント配線板110に設けられた複数の電極112のそれぞれに導電性ボールBを搭載するためのものである。マスク90は、図4ないし図6に示すように、複数の電極112と対応するように設けられた複数の孔(微小開口、アパーチャ、マイクロアパーチャ)92を有している。本例のマスク90は、直径が90μmの半田ボールBを配置するためのものであり、複数の孔92の各々の直径は90〜100μm程度となっている。また、ボールBを搭載するプリント配線板110は、複数の電極112をそれぞれ含む複数の電極パターン111が、2次元的にマトリックス状あるいはアレイ状に配置されている。
ボール搭載用マスク90と支持テーブル3に支持されたプリント配線板110とは、例えば、直接的に位置合わせすることができる。この例では、カメラ8aおよび8bによって、支持テーブル3に搭載されたプリント配線板110の2つのアライメントマークを検出することにより、支持テーブル3に搭載されたプリント配線板110の支持テーブル3に対する詳細な位置を求め、さらに、ディスペンサ移動機構14に搭載されたカメラ15によって、マスクパターン91の開口92と電極パターン111の電極112とを上方から見て、マスクパターン91と電極パターン111とを合致させることにより、ボール搭載用マスク90と支持テーブル3に支持されたプリント配線板110とを詳細に位置合わせすることができる。マスク90のアライメントマークの検出結果とプリント配線板110のアライメントマークの検出結果とを用いることにより、マスク90とプリント配線板110とを直接的に位置合わせすることも可能である。
ボール搭載用マスク90と支持テーブル3に支持されたプリント配線板110とは、間接的に位置合わせしても良い。例えば、ディスペンサ移動機構14に搭載されたカメラ15によって、支持テーブル3のアライメントマークとマスクのアライメントマークとを検出し、さらに、カメラ8aおよび8bにより得られたオフセット値(支持テーブル3に対するプリント配線板110のオフセット値)を反映させることにより、ボール搭載用マスク90と支持テーブル3に支持されたプリント配線板110とを、支持テーブル3を介して間接的に位置合わせしても良い。
ボール搭載用マスク90と支持テーブル3に支持されたプリント配線板110とを、直接的または間接的に位置合わせすることにより、ボール搭載用マスク90と支持テーブル3に支持されたプリント配線板110とは、ボール搭載用マスク90のマスクパターン91と支持テーブル3に支持されたプリント配線板110の電極パターン111とが対応するように位置合わせされる。
充填装置9では、2つのボールディスペンサ12aおよび12bによりマスク90の表面に複数の導電性ボールBが供給され、複数のマスクパターン91にそれぞれ含まれる複数の孔92に導電性ボールBが充填される。これにより、マスク90を介して、プリント配線板110の複数の電極パターン111にそれぞれ含まれる複数の電極112の上に導電性ボールBをそれぞれ搭載することができる。
さらに詳しくは、まず、このマスク90は、ある程度の張力(テンション)が与えられた状態で、マスク枠99に取り付けられている。マスク90は、例えば、強力な両面テープなどにより、マスク枠99に固定されている。マスク90は、マスク枠99を介して、ボール充填装置9に設けられたマスクホルダ11にセットされる。
図1に示すように、2つのボールディスペンサ12aおよび12bは、支持部材13に支持され、X軸テーブル14aおよび一対のY軸テーブル14bおよび14cを含むディスペンサ移動機構14により、マスク90の表面(上面)90aの2次元方向の任意の位置に移動する。また、図4に示すように、2つのボールディスペンサ12aおよび12bは、マスク90の表面90aに、2つの動区域M1およびM2を形成する。このため、独立した2つの導電性ボールBの集団Bgが、マスクホルダ11に保持されたマスク90の表面90aの異なる場所M1およびM2にそれぞれ保持される。このボール充填装置9では、2つのボールディスペンサ12aおよび12bを、動区域M1およびM2が独立または連動するように動かすことにより、マスク90の上から、複数の孔92のそれぞれに導電性ボールBを充填する。
2つのボールディスペンサ12aおよび12bは、実質的に同一の構成である。ボールディスペンサ12aおよび12bは、それぞれ、円盤状のスキージサポート16と、スキージサポート16の下面からマスク90の上面90aに向かって突き出たスキージ17とを備えている。スキージサポート16の中心は、マスク90に対して垂直方向に延びたシャフト18に繋がっている。スキージ17は、マスク90の上面90aに比較的柔らかく接し、このマスク90の上の導電性ボールBを掃き集めることができるものであれば良い。
2つボールディスペンサ12aおよび12bは、それぞれ、モータ(不図示)により、シャフト18を中心として、回転駆動される。2つボールディスペンサ12aおよび12bが回転することにより、導電性ボールBは、逸散しないように、動区域M1およびM2の周囲の領域から、動区域M1およびM2の内部に集められる。したがって、2つボールディスペンサ12aおよび12bにより形成される円形の動区域M1およびM2に、それぞれ、複数の導電性ボールBからなる集団Bgが保持される。ボールディスペンサ12aおよび12bの移動に伴い、ボールディスペンサ12aおよび12bに保持された導電性ボールBの集団Bgも移動する。そして、円形の動区域M1およびM2に保持された導電性ボールBは、マスク90の孔92に順次充填され、プリント配線板110の電極112の上にそれぞれ搭載される。
なお、本例では、2つのボールディスペンサを備えるボール充填装置にマスク90をセットするようにしているが、マスク90がセットされるボール充填装置に設けられるボールディスペンサの数は、1つであっても、3つ以上であっても良い。また、マスク90を上述のようなボール充填装置にセットする場合、ボール充填装置が備えるボールディスペンサのタイプは、上記の回転型に限定されるものではなく、マスク90の複数の孔92にボールBを充填できるものであれば良い。例えば、マスク90の上面90aを往復動したり、振動しながら、ボールBを移動させて振り込むタイプのディスペンサ(スキージ)であっても良い。
ところで、プリント配線板110は、多数枚取りの基板を断裁して形成することがあり、このような場合には、プリント配線板110の縁113に、断裁時に生じるバリが残っていることがある。また、プリント配線板110は、その表面にめっき処理を施していることがあり、このような場合には、プリント配線板110の縁113に、めっきが異常析出していることがある。このため、本例のマスク90は、導電性ボールBが移動できるように上面90aは平坦な面であるが、下面(裏面)90bが加工されて厚みが変化しており、プリント配線板110の縁113にバリやめっきの異常析出物などによる突起物が存在していたとしても、この突起物がマスク90の下面90bに干渉し難いようになっている。
詳しくは、このマスク90は、マトリックス状あるいはアレイ状に配置された複数の孔92をそれぞれ含む複数のマスクパターン91と、複数のマスクパターン91をそれぞれ囲う、第1の厚みd1(図9参照)の第1の領域101と、第1の領域101を囲い、マスク90の裏面90bが凹むことにより第1の領域101よりも薄くなった、第2の厚みd2(図9参照)の第2の領域102とを備えている。また、このマスク90は、複数の孔92がマトリックス状あるいはアレイ状に配置された領域(1つのマスクパターン91を含む領域、以下、パターン領域という)104を複数含んでいる。第2の領域102は、複数のパターン領域104を包括するように、それらパターン領域104の外周を形成する第1の領域101のさらに外側を囲っている。マスク90は、さらに、第2の領域102の外周を囲い、マスク90の裏面が突き出ることにより第2の領域102よりも厚くなった、第3の厚みd3(図9参照)の第3の領域103を備えている。
本例のマスク90の複数のパターン領域104は、それぞれ、マスク90の裏面90bが凹むことにより第1の領域101よりも薄くなった、第4の厚みd4の領域である。したがって、マスク90の裏面90bは、第1の領域101が、複数のパターン領域104をそれぞれ囲っているため、格子状に突き出ており、その外側が第2の領域102となって凹んでいる。さらに、第2の領域102の外側の第3の領域103が突き出ているので、マスク90の裏面90bのうちの第2の領域102に対応する領域は、第1の領域101の外周を囲うような平面矩形状の溝部となっている。
本例のマスク90では、第1の領域101の厚みd1は、第3の領域103の厚みd3と等しい。複数のパターン領域104の厚みd4はそれぞれ等しく、さらに、第2の領域102の厚みd2と等しい。したがって、本例のマスク90は、厚みd1(すなわち厚みd3)の板に、厚みd2(すなわち厚みd4)のパターン領域104および第2の領域102が形成されており、これらの領域102および104は、板を同じ条件でエッチングすることにより、比較的簡単に形成することができる。逆に、このマスク90は、厚みd2(すなわち厚みd4)の板にアディティブ加工にて、同じ条件で金属を析出させるなどすることにより、厚みd1(すなわち厚みd3)の第1の領域101と第3の領域103を比較的簡単に形成することができる。このマスク90は、機械加工などの他の方法により製造することも可能である。本例のマスク90は、ベースとなる金属板に、ニッケルまたはニッケル合金を、電鋳(electroforming)または無電解メッキすることにより形成されている。
このマスク90では、マスク90のマスクパターン91とプリント配線板110の電極パターン111とが対応するように、マスク90とプリント配線板110とを重ねたとき(位置合わせしたとき)に、マスク90の第1の領域101の裏面がプリント配線板110の上面110aの電極112が形成されていない領域と接触するようになっている。したがって、第1の領域101の厚みd1を利用して、パターン領域104の裏面と電極112との間のギャップを所定の値に維持できる。このため、プリント配線板110とマスク90との間に導電性ボールBが入り込んで迷いボールBとなるおそれを低減できる。また、第1の領域101は、マスク90の裏面90bからリブのように突き出ているので、マスク90の強度を良好に保つことができる。
一方、マスク90とプリント配線板110とを重ねたときに、マスク90の第1の領域101の裏面がプリント配線板110に接しないようにすることも有効である。すなわち、マスク90の裏面90bとプリント配線板110との間に、所定の隙間が設けられるようにしても良い。プリント配線板110の表面に形成された配線とマスク90の裏面90bとを接触させずに導電性ボールBを搭載できる。
図7は、支持テーブル3の一例であって、上側から見た図にて示している。図8は、支持テーブル3に支持されたプリント配線板110にマスク90をセットした状態の一例を示している。図9は、マスク90の第1の領域101と第2の領域102の境界E1の近傍を拡大して示している。
支持テーブル3は、プリント配線板110の裏面110bを吸着支持するための支持面21aを有する支持台21と、支持面21aを囲み、支持面21aに対し突き出し、プリント配線板110を囲むように配置された枠状(フレーム状)のガイド部材(プリント配線板110をガイドする部材、基板ガイド部材)22と、基板ガイド部材22の上面(上端面)22aを囲み、突没可能に設けられた枠状(フレーム状)のマスク支持部材23とを備えている。マスク支持部材23の上面(上端面)23aは、外形がほぼ正方形であって、マスク90の第3の領域103の一部と接して、プリント配線板110の外側(基板ガイド部材22の外側)でマスク90を支持する。
支持テーブル3は、さらに、支持台21を上下に移動できるように支持台21の縁部に沿って略等間隔に設けられた複数の第1のアクチュエータ(図8では2つのみ図示)24と、マスク支持部材23を上下に移動できるようにマスク支持部材23の四隅に配置された4つの第2のアクチュエータ(図8では2つのみ図示)25とを備えている。これらのアクチュエータ24および25は、それぞれが1つまたは複数のモータにより駆動されるようになっており、連動して、あるいは独立に動かすことができる。したがって、この支持テーブル3は、第1のアクチュエータ24および/または第2のアクチュエータ25により、マスク支持部材23の上面23aを、支持台21の支持面21aに対して、相対的に上下に移動させ、マスク90とプリント配線板110の表面110aとの間隔を相対的に調整できる。
基板ガイド部材22は、その上面(上端面)22aが支持面21aに対し上方へ突き出るように、支持台21の側壁にねじ止めされている。支持台21と基板ガイド部材22とにより、プリント配線板110を搭載する空間が形成されるため、支持テーブル3にプリント配線板110を搭載する際に、プリント配線板110をある程度決まった位置に配置(搭載、ガイド)することができる。
支持台21の支持面21aは、基板ガイド部材22に囲まれ、プリント配線板110とほぼ同じ大きさまたは若干これよりも大きく形成されている。支持面21aは、減圧吸引によりプリント配線板110の反りを矯正した状態で、このプリント配線板110の裏面110bを、その上面(支持面)21aの上に吸着支持できるようになっている。このため、支持台21には、支持面21aに露出するように、プリント配線板110を吸着によって支持するための複数の吸着孔26が設けられている。支持台21は、プリント配線板110を吸引支持しながら、第1のアクチュエータ24により、マスク支持部材23の内側(枠内)において、上下に移動する。支持テーブル3は、さらに、プリント配線板110を支持面21aに対して着脱するために、支持面21aに対して突没する4つのピン(図8では2つのみ図示)27を備えている。図7に示されている、支持面21aに設けられた4つの孔28は、これらのピン27を支持面21aから突出させるための孔である。
基板ガイド部材22は、支持台21の側壁にねじ止めされており、基板ガイド部材22の上面22aと支持台21の支持面21aとの間の段差(高さ)Hが調整できるようになっている。段差Hは、プリント配線板110の厚さdを考慮して決定される。本例では、段差Hが、プリント配線板110の厚さdよりも若干小さくなるように調整されている。したがって、プリント配線板110が支持台21に設置されると、プリント配線板110の表面110aは基板ガイド部材22の上面22aよりも若干突き出た状態になる。段差Hは、ボールBの搭載対象となるプリント配線板110が変わり、プリント配線板110の厚さdが変化したときに、厚さdにあわせて変更できる。
充填装置9においては、プリント配線板110が支持台21に支持された状態で、マスク90のマスクパターン91とプリント配線板110の電極パターン111とが対応するように、マスク90をプリント配線板110に重ねることができる。このとき、マスク90の第1の領域101と第2の領域102との境界E1がプリント配線板110の縁113よりも内側に位置し、第2の領域102がプリント配線板110の縁113よりも外側に広がるようにマスク90の第2の領域102は形成されている。したがって、マスク90とプリント配線板110とを位置合わせすると、第2の領域102は、プリント配線板110の縁113およびその近傍を覆う。
したがって、本例のマスク90は、プリント配線板110の縁113にバリやめっきの異常析出などの突起物があったとしても、この突起物は第2の領域102を薄くすることにより第2の領域102の裏側(下側)に形成された空間(マスク90の第2の領域102の裏面とプリント配線板110の上面110aとの間)G2に入り、逃がすことができる。このため、プリント配線板110の縁113のバリやめっきの異常析出物などの突起物がマスク90の下面90bと接触し、干渉することがなく、プリント配線板110とマスク90との間の隙間の制御に影響を与えることを防止できる。
すなわち、プリント配線板110に設けられた電極パターン111に含まれる複数の電極112のそれぞれに導電性ボールBを搭載する際に、このマスク90を用いると、プリント配線板110の縁113に存在するバリやめっきの異常析出物などの突起物に起因し、プリント配線板110とマスク90との間の隙間(パターン領域104の隙間、マスク90のパターン領域104の裏面とプリント配線板110の上面110aとの間)G4が大きくなりすぎてプリント配線板110とマスク90との間に導電性ボールBが入り込んで迷いボールBとなるような不具合を未然に防止できる。したがって、プリント配線板110のエッジ113の部分の影響を抑制でき、プリント配線板110に設けられた電極パターン111に含まれる複数の電極112のそれぞれに導電性ボールBを良好に搭載することができる。
また、マスク90をプリント配線板110と重ねたときに、マスクパターン91が設けられている領域(パターン領域104)は、電極パターン111が設けられている領域(半導体チップとなる領域)と対応する。このため、マスク90の裏面90bのうちのパターン領域104と対応する領域(パターン領域104の裏面)がプリント配線板110に接触すると、電極112に塗布されているフラックスが付着するおそれがある。したがって、このマスク90では、パターン領域104にフラックスが付着し難いように、パターン領域104の裏面が第1の領域101の裏面よりも凹んでいる。マスク90の裏面90bのうちのパターン領域104に対応する領域は、平面矩形状の半導体チップとなる部分(領域)と対応する大きさの平面矩形状の凹部となっているため、マスク90をプリント配線板110と重ねたときに、パターン領域104の下側に形成された空間(マスク90のパターン領域104の裏面とプリント配線板110の上面110aとの間)G4にフラックスを逃がすことができる。
本例のマスク90は、マスク90の表面90aは、ボールBが移動しやすいように平面となり、裏面90bは出入り(上下、凹凸、ランドおよびグルーブ)があり、マスク90によりボールを搭載する対象物であるプリント配線板110の外形(外周)形状が、第2の領域102に関連して反映されているものである。なお、第1の領域101の厚みd1と第3の領域103の厚みd3は、必ずしも等しくなくても良い。また、パターン領域104の厚みd4と第2の領域102の厚みd2は、必ずしも等しくなくても良い。パターン領域104の厚みd4は、マスク90をプリント配線板110と重ねたときに、パターン領域104の裏面とプリント配線板110の表面との間にプリント配線板110の電極112に塗布されたフラックスが付着しない程度の隙間G4ができ、さらに、その隙間G4とプリント配線板110との間にボールBが流通しないものであることが必要である。第2の領域102を設けることにより、そのような要求に合致する隙間を精度良く設けることができる。
例えば、第2の領域102の厚みd2をパターン領域104の厚みd4よりも厚くした場合、マスク90の強度をより高めることができる点で好ましい。第2の領域102の厚みd2をパターン領域104の厚みd4よりも薄くした場合、第2の領域102をやわらかく、フレキシビリティが高い状態とすることができる点で好ましい。第3の領域103を設けることにより、マスク90の強度をより高めることができるが、第3の領域103は無くても良い。
上記の例では、基板ガイド部材22の上面22aが、プリント配線板110の表面より下になるように基板ガイド部材22が支持台21にセットされている。さらに、図9に示すように、マスク90の第1の領域101がプリント配線板110の上面110aと接するように、マスク90をプリント配線板110に重ねると、第2の領域102と第3の領域103との境界E2が基板ガイド部材22の上面22aの上方に位置する。したがって、マスク90の第3の領域103の裏面と基板ガイド部材22の上面22aとの間には、隙間(ギャップ)G3が設けられる。マスク90の第3の領域103の裏面と基板ガイド部材22の上面22aとの隙間G3は、例えば、10〜50μm程度とすることができる。この例では、マスク90の裏側が基板ガイド部材22と接しないようにすることにより、基板ガイド部材22の高さがパターン領域104のギャップG4に影響を与えないようにしている。マスク90の裏面が基板ガイド部材22の上面22aと接しないようにするためには、マスクの裏側が凹んだ第2の領域102を基板ガイド部材22の外側まで延設しても良い。この例では、第3の領域103を基板ガイド部材22の上に延ばして、マスクの強度が低下し易い第2の領域102をできるだけ狭めるようにしている。
図10に、上述した、プリント配線板110の製造方法の一例をフローチャートにより示している。
ステップ201において、プリント配線板110の裏面110bを支持テーブル3により吸着支持する。ステップ202において、マスク90とプリント配線板110とを位置合わせする。位置合わせの方法の1つは、マスクパターン91の開口92と電極パターン111の電極112とを用いて直接的に位置合わせすることである。詳しくは、アライナ5によって、プリント配線板110と支持テーブル3との粗位置合わせ(プリアライメント)を行い、カメラ8aおよび8bによって、プリント配線板110のアライメントマークを検出することにより、支持テーブル3に対するプリント配線板110の位置決めを行う。そして、充填装置9のカメラ15によって、所定の開口92を介して、これに対応する所定の電極112を検出することにより、マスク90とプリント配線板110との位置合わせを行う。
ステップ202において、マスク90のマスクパターン91とプリント配線板110の電極パターン111とが対応するように位置合わせを行うと、プリント配線板110のエッジ(縁)がマスク90の第2の領域102の下になり、エッジの部分のバリなどは第2の領域102の下のギャップG2に入る。このため、プリント配線板110のエッジにバリなどの突起があっても、パターン領域104の下側のギャップG4は予め設定した状態に維持できる。
また、このとき、マスク90の第3の領域103の裏面と基板ガイド部材22の上面22aとの間には、隙間G3が設けられる。このため、マスク90が基板ガイド部材22に接することがなく、この点でも、パターン領域104の下側のギャップG4は予め設定した状態に維持できる。
ステップ203において、マスク90の表面90aに複数の導電性ボールBを供給し、マスクパターン91に含まれる複数の孔92に導電性ボールBを充填する。マスク90の上面は平らなので導電性ボールBはディスペンサにしたがってマスク90の上を移動して、マスク90の孔に充填される。パターン領域104の下側のギャップG4は規定の状態に維持されるので、迷いボールの発生は未然に防止でき、図11に示すように、マスク90を介して、プリント配線板110の複数の電極112のそれぞれに導電性ボールBが搭載される。
図12に、上記の例と異なり、マスク90の裏面が基板ガイド部材22の上面22aに接するように充填装置9がセットされた状態を示している。この例では、基板ガイド部材22の上面22aと支持台21の支持面21aとの間の段差Hが、プリント配線板110の厚さdと等しくなるように、基板ガイド部材22が支持台21にセットされている。したがって、上記のステップ202において、プリント配線板110を支持テーブル3に吸着支持させると、基板ガイド部材22の上面22aはプリント配線板110の上面110aと高さが一致する。マスク90をプリント配線板110に重ねると、第2の領域102と第3の領域103との境界E2が基板ガイド部材22の上面22aに位置し、マスク90の第3の領域103の裏面が基板ガイド部材22の上面22aと接する。第3の領域103の裏面の高さを、基板ガイド部材22の上面22aにより制御し、マスク90の支持および/または高さ調整を行い、基板ガイド部材22によりパターン領域104のギャップG4を積極的に制御できる。
さらに、基板ガイド部材22の上面22aと支持台21の支持面21aとの間の段差Hを、プリント配線板110の厚さdよりも大きくしても良い。この場合、上記のステップ202においては、プリント配線板110を支持テーブル3に吸着支持させると、基板ガイド部材22の上面22aは、プリント配線板110の上面110aより突き出た状態となる。この状態で基板ガイド部材22の上面22aによりマスク90を支持し、マスク90の裏面90bが、第1の領域101の裏面も含めてプリント配線板110の上面110aに接しないようにしても良い。
以上のように、本例のマスク90によれば、マスク90のマスクパターン91とプリント配線板110の電極パターン111とを対応させたときに、第1の領域101よりも薄くなった第2の領域102の裏面が、少なくともプリント配線板110の縁113に対峙する。このため、プリント配線板110の縁113にバリやめっきの異常析出物などの突起物が存在していたとしても、この突起物は、薄くなっている第2の領域102の下側に逃げるため、マスク90の下面90bと接触(干渉)し難い。
したがって、このマスク90を用いてプリント配線板110に導電性ボールBを搭載する際に、プリント配線板110の縁113に存在するバリやめっきの異常析出物などの突起物が、プリント配線板110とマスク90との間の隙間の制御に影響を与え難い。このため、プリント配線板110とマスク90との間に導電性ボールBが入り込んで迷いボールBとなることが無いあるいは少なく、プリント配線板110に設けられた電極パターン111に含まれる複数の電極112のそれぞれに導電性ボールBを良好に搭載することができる。
上記第1の実施形態のマスク90は、上述のように、例えば、直径90μmの導電性ボールBを搭載する際に好適に用いられるものであり、この場合、第1の領域101の厚みd1の一例は、100μmである。
ところで、マスクの剛性に最も寄与するのは、全体に対して大きな面積割合を有する、第1の領域(マスクパターン91を囲む領域、パターン領域104を囲む領域)101である。第1の領域101の厚みd1は、一般に、搭載する導電性ボールBの直径が小さくなればなるほど薄くなるため、搭載する導電性ボールBの直径が小さくなればなるほどマスクの強度(マスクの剛性)は低下する。
本願発明者らの実験では、マスクの厚さ(第1の領域101の厚さd1)が100μm程度の場合(第1の実施形態の場合)には、比較的良好な剛性を得ることができるが、マスクの厚さ(第1の領域101の厚さd1)が90μm以下となると、マスクの剛性が急激に低下することがわかった。例えば、第1の領域101の厚さd1が80μmのマスクの剛性は、第1の領域101の厚さd1が100μmのマスクの剛性の大略半分となる。マスクの剛性が小さくなると、マスクが波打つようになり、マスクの平坦度が低下する。また、マスクの厚さ(第1の領域101の厚さd1)が薄くなると、マスクに均一な張力を持たせてマスク枠99に固定することが難しくなる。マスクの平坦度が低下したり、マスクをマスク枠に良好に取り付けられない(マスクに歪みが生じた状態でマスク枠に取り付けられる)と、迷いボール発生の原因となり、導電性ボールBを基板110に良好に搭載することが難しくなる。
本願発明者らは、第3の領域103の厚さd3を厚くし、剛性の比較的小さい領域の面積を小さくすることにより、マスク全体としての剛性を高めることができることを見出した。すなわち、上記第1の実施形態のようなマスク90は、第3の領域103の厚さd3が、第1の領域101の厚さd1と同じであるため、搭載する導電性ボールBの直径が小さくなると、第1の領域101だけでなく、第3の領域103の剛性も小さくなる。つまり、剛性の比較的小さい領域の面積が大きくなり、場合によってはマスク全体の剛性が低下する。第1の領域101の厚さd1は、基本的には、導電性ボールBの直径によって決まってしまうため、導電性ボールBの直径には依存しない第3の領域103の厚さd3を厚くすることにより、剛性の比較的小さい領域の面積が小さくなる。このため、マスク全体としての剛性を高めることができる。
図13に、第1ないし第4の領域の厚み、対応する導電性ボールの直径、およびマスク枠に取り付ける際にマスクに発生する歪みについての評価結果を纏めて示している。評価(特性評価)は、マスクをマスク枠に取り付けた後に行った。図13中の評価の基準は、以下の通りである。
A 歪みは発生しない
B 歪みは殆ど発生しない
C 取り付け方により歪みが発生
D 歪みが発生
E 大きな歪みが発生
第1の領域101の厚さd1が100μmのときは、第1の領域101の厚さd1と第3の領域103の厚さd3とが等しくても、マスクをマスク枠に取り付けるときに、マスクに歪みが殆ど生じなかった(試料番号1の結果を参照、評価B)。
しかしながら、第1の領域101の厚さd1が90μmになると、第1の領域101の厚さd1と第3の領域103の厚さd3とが等しい場合、取り付け方によっては、歪みが発生するようになることがわかった(試料番号2の結果を参照、評価C)。さらに、第1の領域101の厚さd1が90μm以下になると、第1の領域101の厚さd1と第3の領域103の厚さd3とが等しい場合に、歪みが発生することがわかった(試料番号5、9、11、13および15の結果を参照、評価D〜E)
これに対し、第1の領域101の厚さd1が90μm以下であっても、第3の領域103の厚さd3を第1の領域101の厚さd1よりも厚くすることにより、歪みの発生を抑制できることがわかった(試料番号6〜8、10、12、14,16の結果を参照、評価をA〜B)。また、第1の領域101の厚さd1が90μmの場合も、第3の領域103の厚さd3を第1の領域101の厚さd1よりも厚くすることにより、歪みの発生をさらに抑制できることがわかった(試料番号3および4の結果を参照、評価A〜B)
上記評価結果からもわかるように、第3の領域103の厚さd3が100μm以上であれば、マスクが波打つようなことがなく(へなへなするようなことがなく)、取り付け時に発生する歪みは、殆ど問題にはならない。反対に、第1の領域101の厚さd1および第3の領域103の厚さd3がともに80μm以下となると、マスクが波打つようになり(へなへなするようになり)、取り付け時に比較的大きな歪みが発生し易くなる。特に、第1の領域101の厚さd1および第3の領域103の厚さd3がともに70μm以下となると、これらの度合はさらに大きくなる。
したがって、マスクの強度の点から、第1の領域101の厚さd1および第3の領域103の厚さd3は、100μm以上であることが好ましい。また、第1の領域101の厚さd1が、100μm未満であっても、第3の領域103の厚さd3を、厚さd1よりも厚くすることにより、歪みの発生をある程度回避できる。すなわち、第3の領域103の厚さd3は、少なくとも第1の領域101の厚さd1であることが好ましい。特に、第1の領域101の厚さd1が90μm以下の場合は、厚さd3は、厚さd1よりも少なくとも10μmは厚いことがさらに好ましい。さらに好ましくは、第3の領域103の厚さd3は100μm以上である。第3の領域103において厚さd3の部分(領域)は、第2の領域102の外側のマスクすべてをカバーしなくても良い。たとえば、第3の領域103に、リブ、桟あるいは梁を構成するように厚い部分を設けても良く、段階的に厚い部分を設けても良い。
第3の領域103の厚さd3を厚くすることによりマスク全体の歪みの発生を抑制できる理由としては、第3の領域103(マスクの外周部(外延部))の剛性を高めることにより、第1の領域101(マスクの中心部(中央部))も波打ち難くなるといったことが考えられる。反対に、第3の領域103(マスクの外周部(外延部))の剛性が低いと、第1の領域101(マスクの中心部(中央部))まで歪が発生し易くなると考えられる。
なお、第2の領域102の裏面の溝は、基板の縁のバリを逃がすことを目的としたものであり、パターン領域104の裏面の凹みは、フラックスを逃がすことを目的としたものである。したがって、上記の評価においては、試料として、第2の領域の厚さd2とパターン領域104の厚さd4とが等しいマスクを用いたが、必ずしも、第2の領域の厚さd2とパターン領域104の厚さd4とは等しくなくてもよい。
また、このようなマスク(試料として用いたようなマスク)は、典型的には、上述のように、ニッケルまたはニッケル合金の電鋳や無電解メッキなどにより形成することができる。組成や電鋳条件(メッキ条件)などにより、形成されるマスクの強度は多少異なるが、メンテナンスなどにおいてマスクをハンドリングするときにマスクが外力により容易に破損されないことを考慮すると、マスクの厚さ(第1の領域101の厚さd1)は20μm程度(対応する導電性ボールBの直径は15μm程度)以上であることが好ましく、厚さd1は、概ね30μm以上であることがさらに好ましい。厚みがそれ以下であると、現状では、大変に慎重なハンドリングが要求される。一方、厚さ(第1の領域101の厚さd1も含め)が1mm程度あるいはそれ以上のマスクであっても、適当な製造方法により製造できる。半導体実装技術において、ボール径が500μm前後以上ものは、他の技術においてカバーされうる。したがって、上記のようなマスクを用いたボール振込方法は、ボール径が500μm前後以下において特に有用である。
図14は、本発明の第2の実施形態にかかるマスクを、支持テーブルに支持されたプリント配線板にセットした状態の一例において、第1の領域と第2の領域の境界の近傍を拡大して示している。
このマスク190では、第3の領域103の厚さd3を第1の領域101の厚さd1よりも厚くしている。また、このマスク190では、第2の領域102の幅を、第1の実施形態のマスク90よりも大きくしている。より具体的には、第1の実施形態では、第2の領域102と第3の領域103との境界E2が基板ガイド部材22の上面22aの上または上方に位置するように(第2の領域102と第3の領域103との境界E2が基板ガイド部材22の上面22aと対応するように)しているが、本実施形態では、第2の領域102と第3の領域103との境界E2が基板ガイド部材22を越えた位置となるように(第2の領域102と第3の領域103との境界E2が基板ガイド部材22よりも外側と対応するように)、第2の領域102の幅を広くしている。
本例のマスク190によれば、第3の領域103の厚さd3を第1の領域101の厚さd1よりも厚くしているため、マスクの歪みを抑制できる。また、プリント配線板のような基板110は、誤差が大きく、1辺の長さが数mm程度変動することがある。本例のマスク190は、第2の領域102の幅が広いため、個々の基板110の間で1辺の長さに数mm程度の相違があっても、基板110の縁113を第2の領域102と対向させ、バリやめっきの異常析出物などの突起物を、第2の領域102の裏側(下側)に形成された空間(マスク90の第2の領域102の裏面とプリント配線板110の上面110aとの間)G2に逃がすことができる。
本例のマスク190を用いる場合、図14に示すように、第2の領域102の裏面と基板ガイド部材22の上面22aとが接する状態で、基板110とマスク190とを位置合わせするとよい。比較的剛性の小さい第2の領域102を基板ガイド部材22で支持することができるため、第2の領域102が曲がって、マスク190が撓むとったことを抑制できる。あるいは、第2の領域102の裏面と基板ガイド部材22の上面22aとの間に隙間が設けられるように、基板110とマスク190とを位置合わせしてもよい。
図15は、本発明の第3の実施形態にかかるマスクを、支持テーブルに支持されたプリント配線板にセットした状態の一例において、第1の領域と第2の領域の境界の近傍を拡大して示している。
このマスク290では、第3の領域103の一部を、第1の領域101の厚さd1よりも厚くしている。具体的には、第3の領域103は、第2の領域102の外側であって、厚さd3aが第1の領域101の厚さd1と等しい内側領域103aと、この内側領域103aの外側であって、厚さd3bが第1の領域101の厚さd1よりも厚い外側領域103bとを有している。
また、本実施形態では、第2の領域102と第3の領域103の内側領域103aとの境界E2aが基板ガイド部材22の上面22aの上または上方に位置するように(第2の領域102と第3の領域103の内側領域103aとの境界E2aが基板ガイド部材22の上面22aと対応するように)、内側領域103aを形成している。さらに、本実施形態では、第3の領域103の内側領域103aと外側領域103bとの境界E2bが基板ガイド部材22を越えた位置となるように(第3の領域103の内側領域103aと外側領域103bとの境界E2bが基板ガイド部材22よりも外側と対応するように)、内側領域103aと外側領域103bとを形成している。
上述のように、マスクの外周部(外延部)の剛性を高めることにより、マスクの中心部(中央部)の歪みを抑制できる。第3の領域103全域の厚さを厚くしてもよいが、第3の領域103の外側領域103bの厚さd3bを第1の領域101の厚さd1よりも厚くすることによっても、マスクの歪みを抑制できる。
本例のマスク290を用いる場合、図15に示すように、第3の領域103の内側領域103aの裏面と基板ガイド部材22の上面22aとが接する状態で、基板110とマスク290とを位置合わせするとよい。第3の領域103の内側領域103aの裏面の高さを、基板ガイド部材22の上面22aにより制御し、マスク290の支持および/または高さ調整を行うことができる。あるいは、第3の領域103の内側領域103aの裏面と基板ガイド部材22の上面22aとの間に隙間が設けられるように、基板110とマスク290とを位置合わせしてもよい。マスク290(第3の領域103の内側領域103a)と基板ガイド部材22との干渉を防止でき、基板ガイド部材22がマスク290の高さ調整の障害となることを防止できる。
なお、マスクは、パターン領域104を囲う第1の領域101の外側全体が第2の領域102であっても良い。第2の領域102を囲い、このマスク90の裏面90bが突き出ることにより第2の領域102よりも厚くなった第3の領域103を設けることにより、マスク90の強度をより高めることができる。さらに、第2の領域102の裏面の形状は、上記の例のように階段状に凹んでいるものに限られない。第2の領域102と第1の領域101および第3の領域103との境界部分は、斜面でも良くあるいは湾曲した面であっても良く、あるいは斜面、曲面、垂直な面などの複数の形状の面が組み合わされていても良い。
また、上記の例に示した、プリント配線板の形状、電極パターン、マスクに設けられたマスクパターンは例示であり、これらに限定されるものではない。プリント配線板は、外周形状が長方形に限らず正方形または円形であっても良く、さらに、他の多角形であっても良い。また、プリント配線板に設けられた電極パターンは、マトリックス状に繰り返されるものである必要はない。さらに、マスクに導電性ボールを充填する方法は、回転型のディスペンサに限られないことは、上述したとおりである。本発明のマスクがセットされる装置は、上述のボール搭載装置あるいはボール充填装置に限定されるものではなく、他の構成のボール搭載装置あるいはボール充填装置であっても良い。本発明のプリント配線板の製造方法は、上述のボール搭載装置あるいはボール充填装置に限らず、他の構成のボール搭載装置あるいはボール充填装置を用いて行っても良い。