JP5182388B2 - バルブ特性制御装置及びバルブ特性制御システム - Google Patents

バルブ特性制御装置及びバルブ特性制御システム Download PDF

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Description

本発明は、機関バルブのバルブ特性を可変とする流体駆動式のバルブ特性可変機構と、該バルブ特性可変機構に作用させる作動流体の状態を調節する作動流体調節手段とを備えて構成されるバルブ特性可変装置に適用され、前記作動流体調節手段を操作することで、前記機関バルブのバルブ特性を制御する内燃機関のバルブ特性制御装置及びこれを備えるバルブ特性制御システムに関する。
この種のバルブ特性可変装置としては、内燃機関の出力軸に対するカム軸の相対的な回転角度差を可変とすることで内燃機関の吸気バルブや排気バルブ(機関バルブ)のバルブタイミングを可変とする可変バルブタイミング装置がある。ここでは、クランク軸と連動して回転する第1の回転体及びカム軸と連動して回転する第2の回転体のいずれか一方が他方に収容されて且つ、これら2つの回転体によって区画される油圧室内の作動流体(作動油)の状態をオイルコントロールバルブ(OCV)によって調節することで、上記回転位相差を調節している。
ところで、上記OCVの個体差や経年変化、作動油の流量特性のばらつきなどに起因して可変バルブタイミング装置の応答特性にばらつきが生じる。特に、内燃機関の冷間運転時等にあっては、作動油の粘性が高くなっていることや可変バルブタイミング装置の摩擦抵抗が大きくなっていることなどから、可変バルブタイミング装置の応答特性が低下したり、バルブタイミングの変化速度の調節可能領域が狭くなったりするおそれがある。
そこで従来は、例えば下記特許文献1に見られるように、内燃機関の冷間運転時において、OCVに対して強制的な駆動信号と駆動中止信号とを交互に与えるインチング制御を行うことも提案されている。これによれば、冷間始動時における可変バルブタイミング装置の応答性を向上させることができる。
特開2002−254017号公報
ただし、上記インチング制御は、強制的な駆動信号及び駆動中止信号の繰り返し周期や各信号の長さ等を適合する必要が生じ、制御設計が煩雑化するという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、簡易な構成にてバルブ特性可変装置の応答特性のずれに適切に対処することのできるバルブ特性制御装置及びバルブ特性制御システムを提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、機関バルブのバルブ特性を可変とする流体駆動式のバルブ特性可変機構と、該バルブ特性可変機構に作用させる作動流体の状態を調節する作動流体調節手段とを備えて構成されるバルブ特性可変装置に適用され、前記作動流体調節手段を操作することで、前記機関バルブのバルブ特性を制御する内燃機関のバルブ特性制御装置において、前記機関バルブのバルブ特性を検出する検出手段の検出値を取得する手段と、前記検出手段の検出値を入力として、前記バルブ特性の時間変化に基づき前記バルブ特性可変装置の応答特性のずれ量を学習する学習手段とを備え前記学習手段は、前記内燃機関の運転状態から要求されるバルブ特性とは独立に、前記作動流体調節手段の操作信号を前記学習のために強制的に変化させることで前記学習を行い、前記検出手段の検出値を入力として定量化された前記バルブ特性の変化速度と基準値とのずれに基づき前記応答特性のずれ量を学習することを特徴とする。
バルブ特性の保持される保持点から操作信号の変化に対するバルブ特性の変化速度の急変する点までの領域である保持不感帯領域は、作動流体の温度等に応じて大きく変化する。そして、この保持不感帯領域の大きさは、機関バルブのバルブ特性の応答性に大きな影響を及ぼすことが発明者らによって見出されている。すなわち、操作信号を同一としても、バルブ特性の時間変化は、保持不感帯領域近傍において操作信号が同領域端部からどれだけ離間しているかに応じて変動する。このことは、操作信号の設定によっては、上記バルブ特性の時間変化が、バルブ特性の応答特性のずれ量(バルブ特性の制御に際しての基準とされる特性に対するずれ量)と強い相間を有することを意味する。この点、上記発明では、操作信号を学習のために強制的に変化させるため、バルブ特性の時間変化と応答特性のずれ量との相関関係が顕著となる領域において学習を行うことができる。このため、応答特性のずれ量の学習を適切に行うことができる。
請求項記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記学習は、前記機関バルブのバルブ特性の保持される保持点から前記操作信号の変化に対するバルブ特性の変化速度の急変する点までの領域である保持不感帯領域の境界のずれに起因する前記応答特性のずれ量を定量化するものであることを特徴とする。
上述したように、保持不感帯領域の大きさは、機関バルブのバルブ特性の応答性に大きな影響を及ぼすことが発明者らによって見出されている。このため、保持不感帯領域の境界のずれ(バルブ特性の制御において基準となるバルブ特性における保持不感帯領域の境界に対するずれ)を学習できるなら、これは応答特性のずれ量を好適に表現したものとなる。
請求項3及び4記載の発明では、前記学習手段は、前記操作信号が、前記機関バルブのバルブ特性の保持される保持点から前記操作信号の変化に対するバルブ特性の変化速度の急変する点までの領域である保持不感帯領域についての前記バルブ特性制御装置の応答特性から想定される最小のものの境界から最大のものの境界までの間の値となる際に前記学習を行うことを特徴とする。
操作信号が保持不感帯領域外にある場合、保持不感帯領域から離間するに連れてバルブ特性の変化速度は大きくなるものの、離間度合いがある程度となると変化速度はほとんど変化しなくなる。そして、この際のバルブ特性の変化速度は、個体差の影響をあまり受けない。このため、操作信号が保持不感帯領域から過度に離間する場合には、応答特性のずれ量とバルブ特性の時間変化との相間が小さくなり、応答特性のずれ量を適切に検出することができない。この点、上記発明では、バルブ特性制御装置の応答特性から想定される保持不感帯領域の最小のものの境界から最大のものの境界までの間の値となるように操作信号が変化する際に学習を行うため、バルブ特性の時間変化と応答特性のずれ量との相関関係が顕著となる領域において学習を行うことができる。このため、応答特性のずれ量の学習を適切に行うことができる。
請求項記載の発明は、請求項1〜のいずれか1項に記載の発明において、前記学習手段は、前記内燃機関の稼動に伴って前記作動流体の温度が収束する温度領域よりも低い温度において、前記学習を行うことを特徴とする。
個体間での保持不感帯領域の境界のばらつきは、作動流体の温度が低いほど顕著となる傾向にある。この点、上記発明では、内燃機関の稼動に伴って作動流体の温度が上昇して収束する温度領域よりも低い温度において学習を行うことで、保持不感帯領域の境界のばらつきが顕在化する温度において学習を行うことができる。
なお、請求項記載の発明は、前記作動流体の温度と外気の温度との差が所定以下の場合に前記学習を行うことを特徴としてもよい。これにより、保持不感帯領域の境界のばらつきがいっそう顕在化する温度において学習を行うことができる。
請求項記載の発明は、請求項1〜のいずれか1項に記載の発明において、前記学習手段は、前記バルブ特性の目標値の変化に応じて該目標値へと実際のバルブ特性をフィードバック制御する際に前記学習を行うことを特徴とする。
同一の操作信号を与えても、バルブ特性の変化速度はバルブ特性の個体差に依存して相違し得る。ここで、学習に際して操作信号を直接定めて作動流体調節手段に与える場合には、応答特性の高い個体にあっては、変化速度が過度に大きくなるおそれがある。一方、こうした事態を回避するように操作信号を設定したのでは、応答特性の低いもの同士の間のバルブ特性の相違を十分に識別することができなくなるおそれがある。この点、上記発明では、実際のバルブ特性を目標値へとフィードバック制御する際に学習を行うことで、機関バルブのバルブ特性が過度に変化することを回避しつつ学習を行うことができる。
請求項記載の発明は、請求項1〜のいずれか1項に記載の発明において、前記学習手段によって学習されるずれ量を補償するようにして前記機関バルブのバルブ特性を制御すべく、前記作動流体調節手段の操作信号を設定する操作信号設定手段を更に備えることを特徴とする。
上記発明では、学習されるずれ量を補償するようにしてバルブ特性の制御のための操作信号が設定されるために、バルブ特性の制御性を向上させることができる。
請求項記載の発明は、請求項記載の発明において、前記操作信号設定手段は、前記学習されるずれ量を補償すべく前記操作信号を設定するに際し、前記作動流体の温度を加味することを特徴とする。
応答特性のずれ量は、作動流体の温度に依存して変動し得る。このため、ずれ量の学習がなされた際の温度と操作信号設定手段によって操作信号が設定される際の温度との間に相違がある場合には、学習したずれ量は、現在のずれ量とは相違するおそれがある。この点、上記発明では、作動流体の温度を加味することで、学習時の温度と現在の温度との相違に起因した応答特性のずれ量の変動量に基づき現在のずれ量を把握しつつこれを補償するように操作信号を設定することができる。
請求項記載の発明は、請求項7又は8記載の発明において、前記操作信号設定手段は、前記学習されるずれ量を補償すべく前記操作信号を設定するに際し、前記作動流体調節手段の出力する前記作動流体の圧力を加味することを特徴とする。
応答特性のずれ量は、作動流体の圧力に依存して変動し得る。このため、ずれ量の学習がなされた際の圧力と操作信号設定手段によって操作信号が設定される際の圧力との間に相違がある場合には、学習したずれ量は、現在のずれ量とは相違するおそれがある。この点、上記発明では、作動流体の圧力を加味することで、学習時の圧力と現在の圧力との相違に起因した応答特性のずれ量の変動量に基づき現在のずれ量を把握しつつこれを補償するように操作信号を設定することができる。
請求項1記載の発明は、請求項記載の発明において、前記作動流体調節手段は、機関駆動式のポンプを備えて構成され、前記操作信号設定手段は、前記作動流体の圧力を、機関回転速度の検出値に基づき把握することを特徴とする。
作動流体調節手段が機関駆動式のポンプを備えて構成される場合、同調節手段の出力する作動流体の圧力は、機関回転速度に依存する。上記発明では、この点に着目し、機関回転速度の検出値に基づき作動流体の圧力を把握することができる。
請求項1記載の発明は、請求項1〜1のいずれか1項に記載の発明において、前記学習手段は、前記作動流体が周囲との間で熱的な平衡状態を実現していると判断される場合に前記学習を行うことを特徴とする。
作動流体調節手段の近傍やバルブ特性可変機構には、様々な制約があるため、作動流体の温度を検出する手段を備えることができないことが想定される。こうした場合、作動流体調節手段の出力側やバルブ特性可変機構の作動流体の温度を推定することが望まれるが、この推定誤差は、応答特性のずれ量が変動し得るほど大きくなることが懸念される。そして、この場合には、応答特性のずれ量を学習したとしても、それが作動流体のいかなる温度領域におけるものなのかを正確に把握できないために、学習結果を適切に有効活用することが困難となるおそれがある。この点、上記発明では、作動流体が周囲との間で熱的な平衡状態を実現していると判断される場合に学習を行うことで、作動流体の温度と相間を有するパラメータによる作動流体の温度の推定精度を向上させることができる。
請求項1記載の発明は、請求項1〜1のいずれか1項に記載の発明において、前記バルブ特性は、1次元のパラメータによって定量化されるものであり、前記作動流体調節手段は、前記操作信号が前記保持点の両側のいずれにあるかに応じて前記1次元のパラメータを一方向又は他方向に変位させるものであり、前記学習手段は、前記作動流体調節手段の保持点の両側のそれぞれについて各別に前記学習を行うことを特徴とする。
所定値で停滞している上記パラメータを一方向に変位させるために操作信号をどれだけ変化させればよいかは、現在の操作信号の値の保持点に対する一方向への離間度合いに依存する。また、所定値で停滞している上記パラメータを他方向に変位させるために操作信号をどれだけ変化させればよいかは、現在の操作信号の値の保持点に対する他方向への離間度合いに依存する。このため、バルブ特性の応答特性のずれ量としては、バルブ特性を一方向に変位させる場合と他方向に変位させる場合との2つの量があることとなる。この点、上記発明では、これら2つのずれ量を各別に学習するために、応答特性のずれに適切に対処することができる。
請求項1記載の発明は、請求項1〜1のいずれか1項に記載の発明において、前記バルブ特性可変機構は、前記内燃機関の出力軸に対するカム軸の相対的な回転角度差を可変とすることで前記機関バルブのバルブタイミングを可変とすることを特徴とする。
請求項1記載の発明は、請求項1〜1のいずれか1項に記載の発明において、前記学習手段は、前記検出手段の検出値に基づく前記バルブ特性の変化速度及び前記バルブ特性を定量化した値の時間積分値の少なくとも一方に基づき前記学習を行うことを特徴とする。
上記発明では、バルブ特性の時間変化を適切に定量化して学習を行うことができる。特に積分値を用いるなら、検出手段の検出値の微少変動の影響を好適に除去しつつ上記時間変化を定量化することができる。
請求項1記載の発明は、請求項1〜1のいずれか1項に記載の発明において、前記学習手段は、前記検出手段の検出値と前記バルブ特性の目標値との差に基づき前記バルブ特性の時間変化を定量化しつつ前記学習を行うことを特徴とする。
上記発明では、バルブ特性の時間変化を適切に定量化して学習を行うことができる。特に、上記発明では、目標値をも加味することで、目標値の変化度合いに応じた検出値の変化の変動の影響を除去することが容易となる。
請求項16及び17記載の発明では、前記学習手段は、前記バルブ特性の目標値の変化に応じて該目標値へと前記検出手段の検出値をフィードバック制御する際に前記学習を行うものであって且つ、該フィードバック制御に用いる前記操作信号の時間積分値に基づき前記バルブ特性の時間変化を定量化しつつ前記学習を行うことを特徴とする。
同一の操作信号を与えても、バルブ特性の変化速度はバルブ特性の個体差に依存して相違し得る。ここで、学習に際して操作信号を直接定めて作動流体調節手段に与える場合には、応答特性の高い個体にあっては、変化速度が過度に大きくなるおそれがある。一方、こうした事態を回避するように操作信号を設定したのでは、応答特性の低いもの同士の間のバルブ特性の相違を十分に識別することができなくなるおそれがある。この点、上記発明では、実際のバルブ特性を目標値へとフィードバック制御する際に学習を行うことで、機関バルブのバルブ特性が過度に変化することを回避しつつ学習を行うことができる。
ところで、フィードバック制御を行う場合、操作信号は一定でないことから、バルブ特性の検出値の変化速度が操作信号のどの値に対応するのかの対応付けが困難となり、ひいては上記変化速度と応答特性のずれ量との対応付けも困難となる懸念がある。この点、上記発明では、操作信号の時間積分値によってバルブ特性の時間変化を定量化することで、これと、応答特性のずれ量との対応付けを適切に行うことができる。
請求項18記載の発明は、請求項16又は17記載の発明において、前記操作信号は、デューティ信号であり、前記学習手段は、前記ずれ量の学習に際して、前記操作信号の生成のための給電手段の電圧値を加味することを特徴とする。
給電手段の電圧が変化すると、同一のデューティであっても作動流体調節手段に投入されるエネルギ量が変化する。このため、目標値へとフィードバック制御する際に要求される操作信号は、電圧に依存して変化し得る。したがって、上記時間積分値も、給電手段の電圧に依存して変化し得る。上記発明では、この点に鑑み、給電手段の電圧を加味してずれ量を学習することで、給電手段の電圧値の変化によるずれ分を好適に除去しつつ学習を行うことができる。
請求項19記載の発明は、請求項1〜18のいずれか1項に記載のバルブ特性制御装置と、前記バルブ特性可変装置とを備えることを特徴とするバルブ特性制御システムである。
第1の実施形態にかかる制御システムの全体構成を示す図。 同実施形態にかかるOCVの操作信号とカム角変位速度との関係を示す図。 同実施形態にかかるバルブタイミングの制御に関する処理手順を示す流れ図 。 同実施形態にかかる保持Duty学習制御の処理手順を示す流れ図。 可変バルブタイミング装置の応答特性と温度との関係を示す図。 可変バルブタイミング装置の応答特性の保持不感帯領域依存性を示す図。 上記実施形態にかかる学習のためのDuty値の設定手法を示すタイムチャ ート。 同実施形態にかかる応答特性の学習制御の処理手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる学習結果に基づく補正量の算出処理を示すブロック図。 上記補正量による制御性の改善効果を示すタイムチャート。 第2の実施形態にかかる応答特性の学習制御の処理手順を示す流れ図。 同実施形態のテストパターンを示すタイムチャート。 第3の実施形態にかかる応答特性の学習制御の処理手順を示す流れ図。 第4の実施形態にかかる応答特性の学習制御の処理手順を示す流れ図。 第5の実施形態にかかる応答特性の学習制御の処理手順を示す流れ図。 第6の実施形態にかかる応答特性の学習制御の処理手順を示す流れ図。
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかるバルブ特性制御装置及びバルブ特性制御システムをガソリン機関の可変バルブタイミング装置及び制御システムに適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかる制御システムの全体構成を示す。
図示されるように、クランク軸10の動力は、ベルト12、可変バルブタイミング機構20を介してカム軸14に伝達される。可変バルブタイミング機構20は、クランク軸10と機械的に連結される第1の回転体21と、カム軸14と機械的に連結される第2の回転体22とを備えている。そして、本実施形態では、第2の回転体22が複数の突起部22aを備えて且つ、第1の回転体21内に第2の回転体22が収納されている。そして、第2の回転体22の突起部22aと第1の回転体21の内壁とによって、クランク軸10に対するカム軸14の相対的な回転角度(回転角度差)を遅角させるための遅角室23と、同回転角度差を進角させるための進角室24とが区画形成されている。なお、可変バルブタイミング機構20は、更に、第1の回転体21と第2の回転体22とを、遅角室23の容積が最大となる回転位相差(最遅角位置)にて固定するロック機構25を備えている。
可変バルブタイミング機構20は、遅角室23及び進角室24との間の非圧縮性の作動流体(作動油)の流出入によって油圧駆動される。この作動油の流出入は、オイルコントロールバルブ(OCV30)によって調節される油圧駆動式のアクチュエータである。
OCV30は、クランク軸10から駆動力を付与される機関駆動式のポンプPから吐出される作動油を供給経路31及び遅角経路32又は進角経路33を介して遅角室23又は進角室24へと供給する。また、OCV30は、遅角室23又は進角室24から遅角経路32又は進角経路33及び排出経路34を介してオイルパンOPへと作動油を流出させる。そして、上記遅角経路32又は進角経路33と供給経路31又は排出経路34との流路面積は、スプール35によって調節される。すなわち、スプール35は、スプリング36によって、図中、左側に押されており且つ、電磁ソレノイド37によって図中、右側に向かう力が付与される。このため、電磁ソレノイド37に操作信号を付与して且つ、この操作信号のデューティ(Duty)を調節することで、スプール35の変位量を操作することが可能となる。
上記OCV30の操作による上記回転角度差の制御は、電子制御装置(ECU40)によって行われる。ECU40は、マイクロコンピュータを主体として構成されている。そして、クランク軸10の回転角度を検出するクランク角センサ50や、カム軸14の回転角度を検出するカム角センサ52、ガソリン機関の冷却水温を検出する水温センサ54、吸入空気量を検出するエアフローメータ56等の内燃機関の各種運転状態の検出値を取り込む。そして、これら検出値に基づき各種演算を行い、演算結果に基づきOCV30等の内燃機関の各種アクチュエータを操作する。
なお、ECU40は、上記各種演算に用いるデータを記憶保持すべく、常時記憶保持装置42等の各種メモリを備えている。ここで、常時記憶保持装置42とは、ECU40のと給電手段としてのバッテリBとの主接続の状態(電源スイッチSWの状態)にかかわらず、データを常時保持する記憶装置である。この常時記憶保持装置42としては、例えばECU40とバッテリBとの主接続の状態にかかわらず常時給電状態とされるバックアップメモリや、給電の有無にかかわらずデータを保持する不揮発性メモリ(EEPROM等)などがある。
以下、ECU40による回転位相差の制御について詳述する。
スプリング36がスプールを図中左側方向に押す力が、電磁ソレノイド37の磁界がスプール35を逆方向に変位させる力よりも大きいときには、スプール35が図中左側方向に変位する。そして、スプール35が図示される位置よりも左側に変位すると、油圧ポンプから供給経路31、遅角経路32を介して遅角室23にオイルが供給され、且つ進角室24から進角経路33及び排出経路34を介してオイルパンOPへオイルが排出される。これにより、第2の回転体22は、図中、反時計周りに回転する。
一方、電磁ソレノイド37の磁界がスプール35を右方向に変位させる力が、スプリング36がスプールを図中左側方向に押す力よりも大きいときには、スプール35が図中右側方向に変位する。そして、スプール35が図示される位置よりも右側に変位すると、油圧ポンプから供給経路31、進角経路33を介して進角室24にオイルが供給され、且つ遅角室23から遅角経路32及び排出経路34を介してオイルパンOPへオイルが排出される。これにより、第2の回転体22は、図中、時計周りに回転する。
ただし、図示されるように、スプール35が遅角経路32及び進角経路33を塞ぐ位置にあるときには、遅角室23及び進角室24との間のオイルの流出入が停止され、回転角度差が保持される。
ECU40では、OCV30の電磁ソレノイド37に通電することで、スプール35の開度を操作し、回転角度差を制御する。特に、本実施形態では、電磁ソレノイド37への通電を、操作信号を2値的且つ周期的に変化させる際の1周期に対するオン時間(又はオフ時間)の比を調節する時比率制御(Duty制御)によって行う。図2に、電磁ソレノイド37に対する操作信号のDuty値と、クランク軸10に対するカム軸14の変位速度との関係を示す。
図示されるように、Duty値が値D0であるときに、変位速度がゼロとなる。換言すれば、Duty値が値D0であるときに、回転位相差が保持される。一方、Duty値が値D0よりも小さいときには、カム軸14が遅角側に変位するようになり、しかも、Duty値が小さいほど遅角側変位速度が大きくなる。これに対し、Duty値が値D0よりも大きいときには、カム軸14が進角側に変位するようになり、しかも、Duty値が大きいほど進角側変位速度が大きくなる。
このため、回転位相差を保持するためのDuty値である「D0」を保持Duty値として学習して且つ、保持Duty値を基準として回転角度差を目標値にフィードバック制御することで、回転角度差を目標値に適切に制御することができる。
図3に、本実施形態にかかる上記回転角度差のフィードバック制御の処理手順を示す。この処理は、ECU40により、例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS10において、クランク軸10の回転速度や吸入空気量等の内燃機関の運転状態を定めるパラメータに基づき、クランク軸10に対するカム軸14の回転角度差の目標値である目標進角値VCTaを算出する。
続くステップS12では、クランク角センサ50検出値とカム角センサ52の検出値とに基づき、クランク軸10に対するカム軸14の実際の回転角度差である実進角値VCTrを算出する。続くステップS14においては、実進角値VCTrに対する目標進角値VCTaの差の絶対値が所定値α以上であるか否かを判断する。この所定値αは、実進角値VCTrと目標進角値VCTaとの差に基づく過渡時のフィードバック制御を行う閾値を定めるものである。
ステップS14において肯定判断されるときには、実進角値VCTrを目標進角値VCTaにフィードバック制御する。ここではまずステップS16において、実進角値VCTrに対する目標進角値VCTaの偏差Δに基づく比例項FBP及び微分項FBDを算出する。続くステップS18においては、操作信号のDuty値Dを算出する。ここで、Duty値Dは、オン・オフ周期に対するオン時間の比で定義されている。Duty値Dは、上記比例項FBP及び微分項FBDと後述する補正量OFDとの和に補正係数Kを乗算したものと、後述する保持Duty値KDとを加算することで算出される。ここで、補正係数Kは、バッテリBの電圧VBの変化を補償するためのものである。すなわち、バッテリBの電圧が基準値(例えば「14V」)から変化することに起因するOCV30へのエネルギ投入量の変化を補償し、バッテリBの電圧VBにかかわらず、同一のエネルギを投入する。こうしてDuty値Dが算出されると、ステップS20において、これに基づきOCV30を操作する。
なお、ステップS14において否定判断される場合や、ステップS20の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
図4に、上記保持Duty値KDの学習制御の処理手順を示す。この処理は、ECU40により、例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS30において、目標進角値VCTa、実進角値VCTrが所定時間以上継続して安定状態にあるか否かを判断する。この処理は、上記フィードバック制御が収束したか否かを判断するものである。ここで、各パラメータが安定であることは、これらの変動量が所定以下であるか否かに応じて判断することができる。そしてステップS30において肯定判断される場合には、ステップS32に移行する。
ステップS32においては、実進角値VCTrに対する目標進角値VCTaの偏差Δの絶対値が所定値β以上であるか否かを判断する。この処理は、上記フィードバック制御によって実進角値VCTr及び目標進角値VCTa間に定常的な差が生じているか否かを判断するものである。ここで、所定値βは、上記定常的な差が生じているか否かを判断するための値に設定されている。そして、ステップS32において肯定判断される場合には、フィードバック制御によって実進角値VCTr及び目標進角値VCTa間に定常的な差が生じていると判断し、ステップS34に移行する。
ステップS34においては、保持Duty値Dを更新する。すなわち、先の図3に示したフィードバック制御を行っているにもかかわらず定常的な差が生じている場合には、上記保持Duty値KDが適切な値からずれていると考えられるため、保持Duty値を更新する。ここでは、保持Duty値を現在のDuty値Dに更新する。これにより、目標進角値VCTaと実進角値VCTrとの差は縮まることとなる。なお、保持Duty値KDの更新によって定まるDuty値Dが過剰である場合には、先の図3に示したフィードバック制御によってDuty値Dが更新される。
これに対し、ステップS32において否定判断される場合には、ステップS36において、Duty値Dを保持Duty値Dとする。なお、ステップS30において否定判断される場合やステップS34、S36の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
ところで、先の図2に示したDuty値Dと実進角値VCTrとの関係(応答特性)は、個体差や経年変化、温度等の影響によって変動する。特に、温度の影響によって、応答特性のばらつきが顕著に生じる。以下、これについて図5に基づき説明する。
図5の左側には、可変バルブタイミング機構20及びOCV30を備えて構成される可変バルブタイミング装置の応答特性の一例を示す。ここで、a1,a2は、ともに、保持Duty値KDにて実進角値VCTrが一旦保持されている状態においてDuty値Dをわずかに変化させても実進角値VCTrの変化速度が微小である保持不感帯領域を示す。図示されるように、保持Duty値KDからDuty値Dを変化させると、実進角値VCTrの変化速度が急変する点が存在するが、保持Duty値KDから急変する点までの領域にあっては、実進角値VCTrの変化速度が非常に小さくなる。詳しくは、a2は、遅角側の保持不感帯領域、a1は進角側の保持不感帯領域である。一方、b1,b2は、Duty値Dの変化に応じて実進角値VCTrの変化速度が顕著に変化する領域を示す。詳しくは、b2は、遅角側の領域、b1は進角側の領域である。また、c1、c2は、Duty値Dを変化させても実進角値VCTrの変化速度がほとんど変化しない領域(不感帯領域)における上限速度を示す。詳しくは、c2は、遅角側の速度、c1は進角側の速度である。
図5の右側には、保持不感帯領域の幅と作動油温との関係を示す。図中、1点鎖線は、製品出荷される可変バルブタイミング装置のうちの応答特性がもっとも高いものについての保持不感帯領域の幅を示し、実線は、応答特性がもっとも低いものについての保持不感帯領域の幅を示す。図示されるように、作動油の温度が低下するにつれて保持不感帯領域の幅は拡大していき、温度変化に対する保持不感帯領域の幅の変動幅は非常に大きいものとなっている。更に、ガソリン機関の稼動により作動油の温度が上昇して収束する温度領域(70〜百数十度)においては、保持不感帯領域の幅の個体差はごくわずかである一方、上記温度領域よりも低温となるにつれて、保持不感帯領域の幅の個体差が顕著となる。
このように、作動油の温度の変化に対する保持不感帯領域の幅の変動は大きく、しかもその個体差に起因するばらつきが非常に大きくなり得ることがわかる。ここで、先の図3のフィードバック制御の比例項FBP及び微分項FBDは、この保持不感帯領域を考慮して、偏差Δとの関係が定められている。しかし、この保持不感帯領域が温度によって変化し、しかも、個体差のばらつきが非常に大きい場合には、実進角値VCTrの制御に際して想定する基準となる応答特性と実際の応答特性とのずれ量が大きくなり、ひいては、制御性が低下するおそれがある。
図6に、所定温度において、可変バルブタイミング装置のうちの応答特性がもっとも高いものについて、目標進角値VCTaをステップ状に変化させた場合にオーバーシュート量又はアンダーシュート量を許容範囲内としつつハンチングを抑制するように制御を適合した場合について、保持不感帯領域の拡大による影響を示す。ここで、丸印は、目標進角値VCTaを「10°CA」から「35°CA」にステップ状に変化させる際の「90%」の到達時間を示し、三角印は、目標進角値VCTaを「10°CA」から「17°CA」にステップ状に変化させる際の「90%」の到達時間を示す。図示されるように、保持不感帯領域の幅が変化すると、到達時間が大幅に変化する。このため、先の図5に示したように、保持不感帯領域が温度に応じて大きく変化する性質を有する場合には、特に作動油の温度が低温である場合の制御性が低下する。
そこで本実施形態では、保持不感帯領域の幅の境界のずれに起因する応答特性のずれ量を定量化して学習し、これに基づき先の図3に示した上記補正量OFDを算出する。以下、これについて図7を用いて説明する。
図7(c)に、1点鎖線にて、製品出荷される可変バルブタイミング装置のうちの応答特性が最も高いものを、また、実線にて応答特性が最も低いものを示す。図示されるように、保持不感帯領域の境界のずれに起因して保持不感帯領域外へとDuty値Dを微小に変化させた際の実進角値VCTrの変化速度のずれは顕著となる。このため、例えば図7(c)に例示されるように可変バルブタイミング装置のうちの保持不感帯領域の最も短いものの境界から最も長いものの境界までの間の値にDuty値を変化させることで、保持不感帯領域の境界のずれに起因した応答特性のずれ量を検出することができると考えられる。
そこで、図7(a)のように、予め上記態様にてDuty値を変化させるテストパターンを設定する。そして、図7(b)に示すように、このときの実進角値VCTrの時間変化を検出し、これに基づき、実進角値VCTrの制御に際しての基準となる応答特性に対する実際の応答特性のずれ量を定量化して学習する。
図8に、本実施形態にかかる応答特性のずれ量の学習処理の手順を示す。この処理は、ECU40により、例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS40において、学習実行条件が成立しているか否かを判断する。ここで、学習実行条件としては、例えば以下のものがある。
条件a.水温センサ54によって検出される冷却水温度が規定温度THW0(≦0°C)程度であること。
条件b.作動油温度の推定値が冷却水温度相当であること。
条件c.今回の機関稼動直前の機関停止時間が所定時間Tr以上であること。ここで、所定時間Trは、機関停止に伴って作動油が周囲と熱的な平衡状態を実現すると想定される時間以上に設定する。
条件d.回転速度が所定速度NE0程度であること。
上記条件a〜cは、いずれも作動油が周囲との間で熱的な平衡状態を実現しているか否かを判断するためのものである。これは、作動油の温度の推定精度が高い状況か否かを判断するためのものである。すなわち、周知の手法に基づく作動油の温度の推定には、通常「±数度〜二十数度」程度の誤差が生じ得るのであるが、先の図5に示したように、この温度幅において応答特性は大きく変化し得る。このため、可変バルブタイミング機構20や、OCV30内の作動油の温度を正確に推定すべく、上記熱的な平衡状態を実現していることを条件とする。これらの条件が成立するなら、作動油の温度は、冷却水の温度によって高精度に表現することができる。
続くステップS42においては、先の図7(a)に示したDuty値Dのテストパターンを投入する。そして、ステップS44においては、先の図7(b)に示した実進角値VCTrを検出する。そして、ステップS46においては、実進角値VCTrが進角側へ移行する際の変化速度ΔVbと遅角側へ移行する際の変化速度ΔVaとを算出する。ここでは例えば、Duty値を進角側又は遅角側の値とする期間における平均的な速度を算出すればよい。続くステップS48においては、変化速度ΔVbの絶対値が基準速度ΔVb0の絶対値よりも小さいこと及び変化速度ΔVaの絶対値が変化速度ΔVa0の絶対値よりも小さいことの少なくとも一方の条件が成立するか否かを判断する。
ここで、基準速度ΔVb0,ΔVa0は、製品出荷される可変バルブタイミング装置の応答特性のうちの最も高いものにおける速度である。これは、本実施形態では、実進角値VCTrの制御に際して規準とする応答特性として、製品出荷される可変バルブタイミング装置の応答特性のうちの最も高いものを採用していることと関連している。応答性が最高のものを基準となる特性とするのは、制御ハンチングを抑制するような適合を優先したためである。なお、これら基準速度ΔVb0,ΔVa0は、上記常時記憶保持装置42に記憶されている。
上記ステップS48において肯定判断される場合には、実進角値VCTrの制御に際して基準とされる応答特性よりも実際の応答特性が低いと考えられるため、ステップS50に移行する。ステップS50においては、応答特性のずれ量を補償するための学習値ODFbを算出する。ここで、学習値OFDb/OFDaは、進角側の学習値であり、学習値OFDaは遅角側の学習値である。続くステップS52においては、学習値OFDb/OFDaにガード処理を施すことで、学習値OFDb/OFDaが過度に大きい値とならないようにする。そして、ガード処理が施された学習値ODFb/OFDaは、上記常時記憶保持装置42に記憶する。
なお、ステップS40、S48において否定判断される場合や、ステップS52の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
こうして学習される学習値OFDb/OFDaを用いて図9に示す処理によって上記補正量OFDを算出することで、応答特性のずれ量を補償するように保持Duty値KDを補正することができる。ここで、学習値OFDb/OFDaを、補正係数K1、K2によって補正することで補正量OFDを算出する。ここで、補正係数K1は、回転速度の変化による応答特性の変動を補償するためのものである。すなわち、上記ポンプPが機関駆動式であるために、ポンプPの吐出圧が回転速度に依存する。このため、回転速度が低いほど補正量OFDの絶対値を大きい値とすべく補正係数K1を定める。一方、補正係数K2は、作動油温の変化による応答特性の変動を補償するためのものである。ここでは、作動油の温度が低いほど補正量OFDの絶対値を大きい値とするように補正係数K2を定める。
こうして算出される補正量OFDは、先の図2に示した処理による実進角値VCTrの変位方向に対応する学習値OFDb/OFDaに応じたものとなる。そして、この補正量OFDをDuty値Dの設定に用いることで、保持不感帯領域を縮小したのと同様の効果を得ることができる。
図10に、上記補正量OFDを用いる効果を示す。
図10(a)に太線にて示すのは、基準となる特性であり、細線にて示すのは、実際の特性である。この場合、2点鎖線にて示すDuty値Dを設定することで期待される速度に対して、実際の速度が不足する。ここで、実際の速度と基準となる特性とから定まるDuty値と現在の実際のDuty値D(2点鎖線)との差によって、上記速度の不足分を補償するためのDuty値を簡易に設定できる。
図10(b)に、こうした態様にて定めた学習値を用いない場合の実進角値VCTrの目標進角値VCTaへの追従性を示し、図10(c)に、学習値を用いる場合の実進角値VCTrの目標進角値VCTaへの追従性を示す。図示されるように、学習値を用いることで、実進角値VCTrの目標進角値VCTaへの追従性が向上する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)Duty値Dを実進角値VCTrの保持不感帯領域内から該領域外へ向けて変化させる際の実進角値VCTrの時間変化に基づき可変バルブタイミング装置の応答特性のずれ量を学習した。これにより、応答特性のずれに適切に対処することが可能となる。
(2)ガソリン機関の運転状態から要求される目標進角値VCTaとは独立に、Duty値Dを学習用(テストパターン)に強制的に変化させることで学習を行った。これにより、実進角値VCTrの時間変化と応答特性のずれ量との相関関係が顕著となる領域において学習を行うことができる。
(3)保持不感帯領域の境界のずれに起因する応答特性のずれ量を学習値OFDb/OFDaとして定量化した。これにより、学習値OFDb/OFDaを、応答特性のずれ量を好適に表現したものとすることができる。
(4)作動油の温度が規定温度THW0(≦0°C)程度である場合に学習を行った。これにより、保持不感帯領域の境界のばらつきが顕在化する温度において学習を行うことができる。
(5)学習されるずれ量を補償するようにして実進角値VCTrを制御すべく、補正量OFDに基づきDuty値Dを設定した。これにより、バルブ特性の制御性を向上させることができる。
(6)補正量OFDの設定に際し、作動油の温度を加味した。これにより、学習時の温度(規定温度THW0)と現在の作動油温との相違に起因して応答特性のずれ量が変動することを考慮しつつ現在のずれ量を把握し、これを補償するようにDuty値Dを設定することができる。
(7)補正量OFDの設定に際し、ポンプPの吐出する作動油の圧力を加味した。これにより、学習時の圧力と現在の圧力との相違に起因して応答特性のずれ量が変動することを考慮しつつ現在のずれ量を把握し、これを補償するようにDuty値Dを設定することができる。
(8)作動油が周囲との間で熱的な平衡状態を実現していると判断される場合に学習を行った。これにより、可変バルブタイミング機構20やOCV30内部の作動油の温度を直接検出することができない状況下、作動油の温度の推定精度を高く維持することのできる場合に限って学習を行うことができる。
(9)進角側及び遅角側のそれぞれについて各別に学習値OFDb/OFDaを算出した。これにより、応答特性のずれに適切に対処することができる。
(10)実進角値VCTrの変化速度に基づき、実進角値VCTrの時間変化を定量化しつつ、学習値OFDb/OFDaを算出した。これにより、上記時間変化を適切に定量化して学習を行うことができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図11に、本実施形態にかかる応答特性のずれ量の学習処理の手順を示す。この処理は、ECU40により、例えば所定周期で繰り替えし実行される。なお、図11において、先の図8に示した処理と同一の処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。
この一連の処理では、ステップS42aにおいて、学習用のテストパターンによって、目標進角値VCTaを規定する。図12(a)にこのテストパターンを示し、図12(b)に、実進角値VCTrを目標進角値VCTaにフィードバック制御する際のDuty値Dの推移を示し、図12(c)に、実進角値VCTrの推移を示す。図示されるように、目標進角値VCTaを一旦進角側又は遅角側へ強制的に変化させた後所定期間後に元に戻すことで、Duty値Dを、保持不感帯領域内から保持不感帯領域外へと進角側及び遅角側の双方に変化させることができる。
しかも、このように、目標進角値VCTaを規定する場合、実際の可変バルブタイミング装置の応答特性が高いものであったとしても、実進角値VCTrが過度に変化することを回避することができる。なお、上記目標進角値VCTaは、フィードバック制御によるDuty値Dの変化量の最大値が、先の第1の実施形態における変化量程度となるように設定することが望ましい。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(10)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(11)目標進角値VCTaをテストパターンにて規定して且つ実進角値VCTrを目標進角値VCTaにフィードバック制御した。これにより、実進角値VCTrが過度に変化することを回避しつつ学習を行うことができる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、先の第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図13に、本実施形態にかかる応答特性のずれ量の学習処理の手順を示す。この処理は、ECU40により、例えば所定周期で繰り替えし実行される。なお、図13において、先の図11に示した処理と同一の処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。
この一連の処理では、ステップS46bにおいて、実進角値VCTrの進角側への移行時の時間積分値IVbと遅角側への移行時の時間積分値IVaとを算出する。ここで、積分値は、テストパターン投入前の実進角値VCTrを基準値0とした積分値である。そして、ステップS48bにおいては、時間積分値IVbの絶対値が基準積分値IVb0の絶対値よりも小さいこと及び時間積分値IVaの絶対値が基準積分値IVa0の絶対値よりも小さいことの少なくとも一方の条件が成立するか否かを判断する。ここで、基準積分値IVb0,IVa0は、可変バルブタイミング装置の応答特性のうちの最も高いものにおける実進角値VCTrの積分値である。応答特性の高いものほど実進角値VCTrの変化速度の絶対値が大きくなることから、実進角値VCTrの積分値も大きくなると想定される。このため、基準積分値IVb0,IVa0よりも小さい場合には、基準となる特性よりも低いと考えられる。このため、ステップS48bにおいて肯定判断される場合には、ステップS50に移行する。
このように、Duty値Dを保持不感帯領域内から同領域外へ向けて変化させる際の実進角値VCTrの時間変化を上記積分値によって定量化することで、先の図10(b)及び図10(c)に示したような実進角値VCTrの微小な時間変化の影響を好適に排除しつつ時間変化を定量化することができる。
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について、先の第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図14に、本実施形態にかかる応答特性のずれ量の学習処理の手順を示す。この処理は、ECU40により、例えば所定周期で繰り替えし実行される。なお、図14において、先の図11に示した処理と同一の処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。
この一連の処理では、ステップS46cにおいて、実進角値VCTrの進角側への移行時における、実進角値VCTrに対する目標進角値VCTaの差の変化速度ΔVbと、実進角値VCTrの遅角側への移行時における、実進角値VCTrに対する目標進角値VCTaの差の変化速度ΔVaとを算出する。すなわち、本実施形態においては、実進角値VCTrに対する目標進角値VCTaの差の変化速度によって、実進角値VCTrの時間変化を定量化する。
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態について、先の第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図15に、本実施形態にかかる応答特性のずれ量の学習処理の手順を示す。この処理は、ECU40により、例えば所定周期で繰り替えし実行される。なお、図15において、先の図11に示した処理と同一の処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。
この一連の処理では、ステップS46dにおいて、実進角値VCTrの進角側への移行時のDuty値の時間積分値IDbと遅角側への移行時のDuty値の時間積分値IDaとを算出する。ここで、積分値は、テストパターン投入前の保持Duty値KDを基準値0とした積分値である。そして、ステップS48dにおいては、実進角値VCTrを進角側へと変位させる際の時間積分値IVbの絶対値が基準積分値IDb0の絶対値よりも大きいこと及び遅角側へと変位させる際の時間積分値IDaの絶対値が基準積分値IDa0の絶対値よりも大きいことの少なくとも一方の条件が成立するか否かを判断する。ここで、基準積分値IDb0,IDa0は、可変バルブタイミング装置の応答特性のうちの最も高いものにおける実進角値VCTrの積分値である。
上記積分値IDb,IDaの絶対値は、実進角値VCTrを目標進角値VCTaへと制御する際に投入したエネルギと相間を有する。このため、応答性が低いほど、これら絶対値は大きくなると考えられる。このため、ステップS48dにおいて肯定判断される場合には、基準となる応答特性に対してずれが生じているとして、ステップS50に移行する。
上記基準積分値IDa0,IDb0は、バッテリBの電圧VBに応じて可変設定される。すなわち、これら基準積分値IDa0、IDb0は、現在の電圧VBにおける値とされる。これは、バッテリBの電圧VBが変化すると、先の図4のステップS18の処理において、補正係数KによってDuty値Dが補正されることに鑑みてなされるものである。このため、バッテリBの電圧VBの変動の影響を除いた個体差間の応答特性のずれ量を学習すべく、基準積分値IDa0,IDb0を電圧VBに応じて可変設定する。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態や第2の実施形態に準じた効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(12)テストパターンにて規定される目標進角値VCTaへと実進角値VCTrをフィードバック制御する際のDuty値Dの時間積分値に基づき、実進角値VCTrの時間変化を定量化しつつ学習を行った。ここで、フィードバック制御を行う場合、Duty値Dは一定でないことから、実進角値VCTrの検出値の時間変化を用いる場合には、それがDuty値Dのどの値に対応するのかの対応付けが困難となり、ひいては応答特性のずれ量との対応付けも困難となる懸念がある。この点、上記実施形態では、Duty値Dの時間積分値によって実進角値VCTrの時間変化を定量化することで、応答特性のずれ量との対応付けを適切に行うことができる。
(第6の実施形態)
以下、第6の実施形態について、先の第4の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図16に、本実施形態にかかる応答特性のずれ量の学習処理の手順を示す。この処理は、ECU40により、例えば所定周期で繰り替えし実行される。なお、図16において、先の図14に示した処理と同一の処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。
この一連の処理では、ステップS60において、実進角値VCTrの保持がなされていた状態から目標進角値VCTaが変化し、実進角値VCTrをこれに追従させる要求が生じたか否かを判断する。そして、ステップS60において肯定判断されると、ステップS40eにおいて、学習実行条件が成立しているか否かを判断する。ここで、学習実行条件としては、先の第4の実施形態における条件に加えて、保持状態からフィードバック制御によって実進角値VCTrを変化させるためのDuty値Dの変化量ΔDの絶対値が所定値ε以下であるとの条件を用いる。この条件は、今回のDuty値の変化が、Duty値Dの変化に対する実進角値VCTrの変化速度の変化が顕著な領域内での変化であるか否かを判断するためのものである。この条件を満足する場合には、今回の実進角値VCTrの時間変化が、保持不感帯領域の大きさのずれに起因する応答特性と強い相間を有すると考えられる。このため、こうした学習条件を満足する場合に限って学習を行うべく、ステップS40eにて肯定判断される場合に先の図14のステップS46cに移行する。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記第6の実施形態の上記第4の実施形態に対する変更点によって、第2、第3、第5の実施形態を変更してもよい。
・上記第4の実施形態において、偏差Δの変化速度に変えて、偏差Δの積分値を用いてもよい。
・先の第4の実施形態における変化速度ΔVb,ΔVaによれば、目標進角値VCTaの変化が含まれているために、目標進角値VCTaの設定が1通りでない場合等においても、目標進角値VCTaの設定にかかわらず応答特性のずれ量を適切に反映したものとすることができると考えられる。このため、テストパターンが一通りでない設定に適用して特に有効である。
・上記第5の実施形態において、Duty値Dの積分に代えて、Duty値Dが一旦大きく変化してからの保持不感帯領域へ向けての変化速度を用いて学習を行ってもよい。
・実進角値VCTrの目標進角値VCTaへの制御に際しての電圧VBの変動量の補償態様としては、先の図4に例示したものに限らない。例えば、比例項FBP、微分項FBD及び補正量OFDのいずれか1つ又は2つのみを電圧VBに基づき補正することで行ってもよい。更に、補正係数Kを用いることなく、電圧VBにかかわらず同一のフィードバック制御を行ってもよい。この場合、学習に際しての基準値を電圧VBにかかわらず一定とすることで、学習値OFDa/OFDbに電圧VBの変動に起因する応答特性のずれ量が含まれることとなる。このため、実進角値VCTrの目標進角値VCTaへの制御に際して、学習値OFDa/OFDbによって電圧VBの変動量を補償することができる。
・保持点(保持Duty値KD)からの操作信号(Duty値D)の離間度合いが規定値以下となる条件下に限った応答特性のずれ量の学習手法としては、上記各実施形態で例示したものに限らない。例えば、フィードバック制御によって、実際の操作信号が、保持点からの離間度合いが規定値以下となる値にて固定されている状況下、学習を行ってもよい。
・バルブ特性の検出値(実進角値VCTr)の微小変動の影響を除去しつつバルブ特性の時間変化を定量化する手段としては、実進角値VCTrや偏差Δの積分値を用いるものに限らない。例えば実進角値VCTrの変化を緩和するためのフィルタ処理等の緩和処理を施した後、その変化速度を算出したり偏差Δの変化速度を算出したりするものであってもよい。
・作動油の温度が周囲との間で熱的な平衡状態を実現していると判断される条件としては、上記実施形態で例示したものに限らない。例えば冷却水温が外気温度と略等しいとの条件を用いてもよい。
・更に、学習実行条件として、作動油の温度が周囲との間で熱的な平衡状態を実現していると判断される場合との条件を外してもよい。この場合、OCV30や可変バルブタイミング機構20内の作動油の温度を直接検出する専用の検出手段を備えることが望ましい。
・学習実行条件として、回転速度についての条件を外してもよい。また、オイルポンプPを機関駆動式とする代わりに、電動式として内燃機関の回転速度にかかわらずその吐出圧を一定とできる場合には、上記補正量OFDの算出に際して、回転速度による学習値OFDb/OFDaの補正を行わなくても、補正量OFDを高精度に算出することができる。
・上記実施形態では、応答特性のずれ量の学習を、作動油の温度(冷却水の温度)が規定温度THW0となる場合に限って行ったがこれに限らない。例えば作動油の温度として取り得る温度領域を分割した複数の温度領域のそれぞれについて、各別に学習を行ってもよい。この場合、テストパターンは、各温度領域毎に各別に設定することが望ましい。特に、ここでは、作動油の温度が低いほど、Duty値Dの保持点(保持Duty値D)に対する離間度合いが大きくなるようにすることが望ましい。
・学習される応答特性のずれ量を補償するようにして目標進角値VCTaへと実進角値VCTrを制御すべくDuty値Dを設定する手法としては、上記保持Duty値KDを補正するものに限らない。例えば偏差Δと比例項FBPや微分項FBDとの関係を補正してもよい。
・保持Duty値KDの学習手法としては、上記実施形態で例示したものに限らない。要は、バルブ特性が変化しなくなる際の操作信号の値を逐次更新しつつ学習する手段を備えればよい。
・バルブ特性の制御に際しての基準となる特性として、量産されるバルブ特性可変装置のうちの最高の応答特性を採用する代わりに、例えば平均的な応答特性(中央特性)を採用してもよい。
・可変バルブタイミング機構としては、図1に示したものに限らない。例えばクランク軸10と連動して回転する回転体がカム軸14と連動して回転する回転体に包含される構成としてもよい。
・バルブ特性可変装置としては、可変バルブタイミング装置に限らない。例えば特開2001−254639号公報に見られるように、オイルコントロールバルブによって調節される作動油によってカム軸をその軸方向に変位させることで、バルブのリフト量を可変とするものであってもよい。こうした場合であっても、オイルコントロールバルブに対する操作信号によって、バルブ特性可変機構に作用する作動流体の状態(圧力)を調節することで機関バルブのバルブ特性を制御する場合には、バルブ特性の応答性のずれ量を学習することは有効である。
・内燃機関としては、ガソリン機関のような火花点火式内燃機関に限らず、例えばディーゼル機関のように圧縮着火式内燃機関等であってもよい。
10…クランク軸、14…カム軸、20…可変バルブタイミング機構(バルブ特性可変機構の一実施形態)、30…オイルコントロールバルブ(作動流体調節手段の一実施形態)、40…ECU(バルブ特性制御装置の一実施形態)。

Claims (19)

  1. 機関バルブのバルブ特性を可変とする流体駆動式のバルブ特性可変機構と、該バルブ特性可変機構に作用させる作動流体の状態を調節する作動流体調節手段とを備えて構成されるバルブ特性可変装置に適用され、前記作動流体調節手段を操作することで、前記機関バルブのバルブ特性を制御する内燃機関のバルブ特性制御装置において、
    前記機関バルブのバルブ特性を検出する検出手段の検出値を取得する手段と、
    前記検出手段の検出値を入力として、前記バルブ特性の時間変化に基づき前記バルブ特性可変装置の応答特性のずれ量を学習する学習手段とを備え
    前記学習手段は、前記内燃機関の運転状態から要求されるバルブ特性とは独立に、前記作動流体調節手段の操作信号を前記学習のために強制的に変化させることで前記学習を行い、前記検出手段の検出値を入力として定量化された前記バルブ特性の変化速度と基準値とのずれに基づき前記応答特性のずれ量を学習することを特徴とするバルブ特性制御装置。
  2. 前記学習は、前記機関バルブのバルブ特性の保持される保持点から前記操作信号の変化に対するバルブ特性の変化速度の急変する点までの領域である保持不感帯領域の境界のずれに起因する前記応答特性のずれ量を定量化するものであることを特徴とする請求項1記載のバルブ特性制御装置。
  3. 前記学習手段は、前記操作信号が、前記機関バルブのバルブ特性の保持される保持点から前記操作信号の変化に対するバルブ特性の変化速度の急変する点までの領域である保持不感帯領域についての前記バルブ特性制御装置の応答特性から想定される最小のものの境界から最大のものの境界までの間の値となる際に前記学習を行うことを特徴とする請求項1又は2記載のバルブ特性制御装置。
  4. 機関バルブのバルブ特性を可変とする流体駆動式のバルブ特性可変機構と、該バルブ特性可変機構に作用させる作動流体の状態を調節する作動流体調節手段とを備えて構成されるバルブ特性可変装置に適用され、前記作動流体調節手段を操作することで、前記機関バルブのバルブ特性を制御する内燃機関のバルブ特性制御装置において、
    前記機関バルブのバルブ特性を検出する検出手段の検出値を取得する手段と、
    前記検出手段の検出値を入力として、前記バルブ特性の時間変化に基づき前記バルブ特性可変装置の応答特性のずれ量を学習する学習手段とを備え、
    前記学習手段は、前記内燃機関の運転状態から要求されるバルブ特性とは独立に、前記作動流体調節手段の操作信号を前記学習のために強制的に変化させることで前記学習を行い、前記操作信号が、前記機関バルブのバルブ特性の保持される保持点から前記操作信号の変化に対するバルブ特性の変化速度の急変する点までの領域である保持不感帯領域についての前記バルブ特性制御装置の応答特性から想定される最小のものの境界から最大のものの境界までの間の値となる際に前記学習を行うことを特徴とするバルブ特性制御装置。
  5. 前記学習手段は、前記内燃機関の稼動に伴って前記作動流体の温度が収束する温度領域よりも低い温度において、前記学習を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のバルブ特性制御装置。
  6. 前記学習手段は、前記バルブ特性の目標値の変化に応じて該目標値へと実際のバルブ特性をフィードバック制御する際に前記学習を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のバルブ特性制御装置。
  7. 前記学習手段によって学習されるずれ量を補償するようにして前記機関バルブのバルブ特性を制御すべく、前記作動流体調節手段の操作信号を設定する操作信号設定手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のバルブ特性制御装置。
  8. 前記操作信号設定手段は、前記学習されるずれ量を補償すべく前記操作信号を設定するに際し、前記作動流体の温度を加味することを特徴とする請求項7記載のバルブ特性制御装置。
  9. 前記操作信号設定手段は、前記学習されるずれ量を補償すべく前記操作信号を設定するに際し、前記作動流体調節手段の出力する前記作動流体の圧力を加味することを特徴とする請求項7又は8記載のバルブ特性制御装置。
  10. 前記作動流体調節手段は、機関駆動式のポンプを備えて構成され、
    前記操作信号設定手段は、前記作動流体の圧力を、機関回転速度の検出値に基づき把握することを特徴とする請求項9記載のバルブ特性制御装置。
  11. 前記学習手段は、前記作動流体が周囲との間で熱的な平衡状態を実現していると判断される場合に前記学習を行うことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のバルブ特性制御装置。
  12. 前記バルブ特性は、1次元のパラメータによって定量化されるものであり、
    前記作動流体調節手段は、前記操作信号が前記バルブ特性の保持される保持点の両側のいずれにあるかに応じて前記1次元のパラメータを一方向又は他方向に変位させるものであり、
    前記学習手段は、前記保持点の両側のそれぞれについて各別に前記学習を行うことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のバルブ特性制御装置。
  13. 前記バルブ特性可変機構は、前記内燃機関の出力軸に対するカム軸の相対的な回転角度差を可変とすることで前記機関バルブのバルブタイミングを可変とすることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のバルブ特性制御装置。
  14. 前記学習手段は、前記検出手段の検出値に基づく前記バルブ特性の変化速度及び前記バルブ特性を定量化した値の時間積分値の少なくとも一方に基づき前記学習を行うことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のバルブ特性制御装置。
  15. 前記学習手段は、前記検出手段の検出値と前記バルブ特性の目標値との差に基づき前記バルブ特性の時間変化を定量化しつつ前記学習を行うことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のバルブ特性制御装置。
  16. 前記学習手段は、前記バルブ特性の目標値の変化に応じて該目標値へと前記検出手段の検出値をフィードバック制御する際に前記学習を行うものであって且つ、該フィードバック制御に用いる前記操作信号の時間積分値に基づき前記バルブ特性の時間変化を定量化しつつ前記学習を行うことを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のバルブ特性制御装置。
  17. 機関バルブのバルブ特性を可変とする流体駆動式のバルブ特性可変機構と、該バルブ特性可変機構に作用させる作動流体の状態を調節する作動流体調節手段とを備えて構成されるバルブ特性可変装置に適用され、前記作動流体調節手段を操作することで、前記機関バルブのバルブ特性を制御する内燃機関のバルブ特性制御装置において、
    前記機関バルブのバルブ特性を検出する検出手段の検出値を取得する手段と、
    前記検出手段の検出値を入力として、前記バルブ特性の時間変化に基づき前記バルブ特性可変装置の応答特性のずれ量を学習する学習手段とを備え、
    前記学習手段は、前記内燃機関の運転状態から要求されるバルブ特性とは独立に、前記作動流体調節手段の操作信号を前記学習のために強制的に変化させることで前記学習を行い、前記バルブ特性の目標値の変化に応じて該目標値へと前記検出手段の検出値をフィードバック制御する際に前記学習を行うものであって且つ、該フィードバック制御に用いる前記操作信号の時間積分値に基づき前記バルブ特性の時間変化を定量化しつつ前記学習を行うことを特徴とする記載のバルブ特性制御装置。
  18. 前記操作信号は、デューティ信号であり、
    前記学習手段は、前記ずれ量の学習に際して、前記操作信号の生成のための給電手段の電圧値を加味することを特徴とする請求項16又は17記載のバルブ特性制御装置。
  19. 請求項1〜18のいずれか1項に記載のバルブ特性制御装置と、
    前記バルブ特性可変装置とを備えることを特徴とするバルブ特性制御システム。
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