JP2003254098A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置

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JP2003254098A
JP2003254098A JP2002051699A JP2002051699A JP2003254098A JP 2003254098 A JP2003254098 A JP 2003254098A JP 2002051699 A JP2002051699 A JP 2002051699A JP 2002051699 A JP2002051699 A JP 2002051699A JP 2003254098 A JP2003254098 A JP 2003254098A
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Japan
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valve timing
internal combustion
combustion engine
temperature
control device
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Hiroyasu Koyama
裕靖 小山
Shinya Kondo
真也 近藤
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

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  • Valve Device For Special Equipments (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 作動油低温時等における応答性悪化またはそ
れに起因する不都合を回避することができる内燃機関の
バルブタイミング制御装置を提供する。 【解決手段】 油圧で制御され、クランク軸とカム軸の
相対回転位相を可変設定可能な可変バルブタイミング機
構1と、可変バルブタイミング機構1へ供給する作動油
の圧力を制御して、可変バルブタイミング機構1を制御
する油圧制御手段2とを備え、機関運転状態に応じて目
標相対回転位相が設定され、上記両軸の相対回転位相が
目標相対回転位相に一致するように制御するバルブタイ
ミング制御装置において、冷却水温と始動時作動油温と
に応じて目標回転位相の設定範囲が制限されるバルブタ
イミング制御装置を提供する。これにより、特に燃焼悪
化の生じ易い条件において、バルブタイミング制御装置
の応答性悪化によるバルブオーバーラップ量過大に起因
した燃焼悪化を防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関のバルブ
タイミング制御装置(VVT)に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の吸気バルブまたは排気バルブ
の少なくとも何れか一方の開閉タイミングを運転状態に
応じて変更するバルブタイミング制御装置(VVT)が
知られている。一般に、このようなバルブタイミング制
御装置は油圧で制御されるが、作動油(エンジンオイ
ル)の温度の低い状況ではその粘性が高くなること等に
起因してバルブタイミング制御装置の応答性が悪化する
傾向があり、機関の燃焼悪化などの諸問題が生ずる。こ
のため、従来技術においては、初期冷却水温、積算機関
回転数及び積算吸気量から作動油温を推定し、目標とす
るバルブ開閉タイミング(すなわち制御回転角)をこの
推定された作動油温に応じて補正することで、オイル特
性の変化による応答性の悪化に対応するようにしてい
る。
【0003】しかしながら、この方法では初期冷却水温
を作動油温の初期値としているため、作動油温の初期値
が正確に推定されているとは言えず、その結果、その後
に推定される運転中の作動油温も正確性を欠くこととな
る。そして、この推定作動油温が正確でないために、そ
の作動油温に基づいて行われるバルブタイミング制御に
対する補正も適切なものではなくなってしまう。更に、
この方法では作動油温のみに基づいて補正が行われる
が、この作動油温のみに基づいた補正は、応答性の悪化
に伴って実際に生じる燃焼悪化等の不都合を防止すると
いう観点から見ると、必ずしも最適ではない場合もあ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題に
鑑みてなされたもので、その目的は、作動油低温時等に
おけるバルブタイミング制御装置の応答性悪化またはそ
れに起因する不都合を回避することができる内燃機関の
バルブタイミング制御装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に
記載された内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供
する。1番目の発明は、油圧によって制御され、クラン
ク軸とカム軸の相対回転位相を可変設定可能な可変バル
ブタイミング機構と、該可変バルブタイミング機構へ供
給する作動油の圧力を制御することによって、上記可変
バルブタイミング機構を制御する油圧制御手段とを備
え、内燃機関の運転状態に応じて目標相対回転位相が設
定され、該目標相対回転位相にクランク軸とカム軸の相
対回転位相が一致するように制御する、内燃機関のバル
ブタイミング制御装置において、内燃機関冷却水の温度
と上記作動油の内燃機関始動時の温度とに応じて上記目
標回転位相の設定範囲が制限される、内燃機関のバルブ
タイミング制御装置を提供する。これにより、特に燃焼
悪化の生じ易い条件において、バルブタイミング制御装
置の応答性悪化によるバルブオーバーラップ量過大に起
因して燃焼悪化が生じるのを防止することができる。
【0006】2番目の発明は、油圧によって制御され、
クランク軸とカム軸の相対回転位相を可変設定可能な可
変バルブタイミング機構と、該可変バルブタイミング機
構へ供給する作動油の圧力を制御することによって、上
記可変バルブタイミング機構を制御する油圧制御手段と
を備え、内燃機関の運転状態に応じて目標相対回転位相
が設定され、該目標相対回転位相にクランク軸とカム軸
の相対回転位相が一致するように制御する、内燃機関の
バルブタイミング制御装置において、内燃機関冷却水の
温度と上記作動油の内燃機関始動時の温度とに応じて上
記目標回転位相が補正される、内燃機関のバルブタイミ
ング制御装置を提供する。これにより、特に燃焼悪化の
起き易い条件において、バルブタイミング制御装置の応
答性悪化を防止することができ、バルブタイミング制御
装置の応答性悪化に起因する燃焼悪化等の不都合を回避
することができる。
【0007】3番目の発明は、油圧によって制御され、
クランク軸とカム軸の相対回転位相を可変設定可能な可
変バルブタイミング機構と、該可変バルブタイミング機
構へ供給する作動油の圧力を制御することによって、上
記可変バルブタイミング機構を制御する油圧制御手段で
あって、内燃機関の運転状態に応じて設定された目標相
対回転位相に対応する制御信号が供給されて、該目標相
対回転位相にクランク軸とカム軸の相対回転位相が一致
するように上記作動油の圧力を制御する油圧制御手段と
を備える、内燃機関のバルブタイミング制御装置におい
て、内燃機関冷却水の温度と上記作動油の内燃機関始動
時の温度とに応じて上記制御信号が補正される、内燃機
関のバルブタイミング制御装置を提供する。3番目の発
明によっても2番目の発明と同様の作用効果を得ること
ができる。
【0008】4番目の発明は、油圧によって制御され、
クランク軸とカム軸の相対回転位相を可変設定可能な可
変バルブタイミング機構と、該可変バルブタイミング機
構へ供給する作動油の圧力を制御することによって、上
記可変バルブタイミング機構を制御する油圧制御手段と
を備え、内燃機関の運転状態に応じて目標相対回転位相
が設定され、該目標相対回転位相にクランク軸とカム軸
の相対回転位相が一致するように制御する、内燃機関の
バルブタイミング制御装置において、上記作動油の温度
と圧力とに応じて上記目標回転位相の設定範囲が制限さ
れる、内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供す
る。これにより、特にバルブタイミング制御装置の応答
性悪化の生じ易い条件において、バルブオーバーラップ
量過大に起因して燃焼悪化が生じるのを防止することが
できる。
【0009】5番目の発明は、油圧によって制御され、
クランク軸とカム軸の相対回転位相を可変設定可能な可
変バルブタイミング機構と、該可変バルブタイミング機
構へ供給する作動油の圧力を制御することによって、上
記可変バルブタイミング機構を制御する油圧制御手段と
を備え、内燃機関の運転状態に応じて目標相対回転位相
が設定され、該目標相対回転位相にクランク軸とカム軸
の相対回転位相が一致するように制御する、内燃機関の
バルブタイミング制御装置において、上記作動油の温度
と圧力とに応じて上記目標回転位相が補正される、内燃
機関のバルブタイミング制御装置を提供する。これによ
り、特にバルブタイミング制御装置の応答性悪化の生じ
易い条件において、バルブタイミング制御装置の応答性
悪化を防止することができ、バルブタイミング制御装置
の応答性悪化に起因する燃焼悪化等の不都合を回避する
ことができる。
【0010】6番目の発明は、油圧によって制御され、
クランク軸とカム軸の相対回転位相を可変設定可能な可
変バルブタイミング機構と、該可変バルブタイミング機
構へ供給する作動油の圧力を制御することによって、上
記可変バルブタイミング機構を制御する油圧制御手段で
あって、内燃機関の運転状態に応じて設定された目標相
対回転位相に対応する制御信号が供給されて、該目標相
対回転位相にクランク軸とカム軸の相対回転位相が一致
するように上記作動油の圧力を制御する油圧制御手段と
を備える、内燃機関のバルブタイミング制御装置におい
て、上記作動油の温度に応じて上記制御信号が補正され
る、内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供する。
これにより、バルブタイミング制御装置の応答性悪化の
生じ易い条件において、バルブタイミング制御装置の応
答性悪化を防止することができ、バルブタイミング制御
装置の応答性悪化に起因する燃焼悪化等の不都合を回避
することができる。
【0011】7番目の発明は、油圧によって制御され、
クランク軸とカム軸の相対回転位相を可変設定可能な可
変バルブタイミング機構と、該可変バルブタイミング機
構へ供給する作動油の圧力を制御することによって、上
記可変バルブタイミング機構を制御する油圧制御手段で
あって、内燃機関の運転状態に応じて設定された目標相
対回転位相に対応する制御信号が供給されて、該目標相
対回転位相にクランク軸とカム軸の相対回転位相が一致
するように上記作動油の圧力を制御する油圧制御手段と
を備える、内燃機関のバルブタイミング制御装置におい
て、上記作動油の温度と圧力とに応じて上記制御信号が
補正される、内燃機関のバルブタイミング制御装置を提
供する。7番目の発明によっても5番目の発明と同様の
作用効果を得ることができる。
【0012】8番目の発明では、5番目から7番目の発
明において、上記補正が、上記補正で使用する補正値ま
たは補正係数を上記温度に応じて決定する線図、もしく
は上記温度と圧力とに応じて決定するマップに基づいて
行われ、その補正後の目標回転位相または制御信号にお
いて制御した時に所定の応答性が得られない場合には、
上記線図またはマップの該当する部分が所定の応答性が
得られるように修正される。
【0013】9番目の発明では、2番目または3番目の
発明において、上記補正が、上記補正で使用する補正値
または補正係数を上記の二つの温度に応じて決定するマ
ップに基づいて行われ、その補正後の目標回転位相また
は制御信号において制御した時に所定の応答性が得られ
ない場合には、上記マップの該当する部分が所定の応答
性が得られるように修正される。8番目及び9番目の発
明により、バルブタイミング制御装置の所定の応答性を
確保することができる。
【0014】10番目の発明では、4番目から8番目の
何れかの発明において、上記作動油の温度は、内燃機関
始動後の内燃機関冷却水上昇温度と上記作動油の内燃機
関始動時の温度とに基づいて推定される。11番目の発
明では、4番目から8番目の何れかの発明において、上
記作動油の温度は、内燃機関吸入空気量、内燃機関回転
数、内燃機関冷却水温、内燃機関吸入空気温のうちの少
なくとも何れか一つと、上記作動油の内燃機関始動時の
温度とに基づいて推定される。10番目及び11番目の
発明により、作動油の温度の推定精度が向上され、バル
ブタイミング制御装置をより適切に制御することができ
る。
【0015】12番目の発明では、1番目から3番目、
もしくは9番目から11番目の何れかの発明において、
上記作動油の内燃機関始動時の温度は、内燃機関始動時
における内燃機関冷却水温、内燃機関吸入空気温、トラ
ンスミッション油温のうちの最低温度であると推定され
る。12番目の発明によれば、作動油の内燃機関始動時
の温度及び機関運転中の温度が高めに推定されることが
防止されるので、これら温度に基づくバルブタイミング
制御装置の制御が不十分なものとなることが防止され
る。
【0016】13番目の発明では、1番目から3番目、
もしくは9番目から11番目の何れかの発明において、
上記作動油の内燃機関始動時の温度は、内燃機関始動時
におけるトランスミッション油温であると推定される。
14番目の発明では、1番目から3番目、もしくは9番
目から13番目の何れかの発明において、内燃機関停止
時間が予め定めた時間以上である場合には、上記作動油
の内燃機関始動時の温度は、内燃機関始動時における内
燃機関冷却水温または内燃機関吸入空気温であると推定
される。
【0017】15番目の発明では、12番目から14番
目の何れかの発明において、内燃機関始動直後に内燃機
関冷却水温または内燃機関吸入空気温が低下した場合に
は、上記の推定された内燃機関始動時作動油温度は、内
燃機関冷却水温または内燃機関吸入空気温の低下温度に
応じて補正される。13番目から15番目の発明によれ
ば、作動油の内燃機関始動時の温度及び機関運転中の温
度の推定精度が向上され、バルブタイミング制御装置を
より適切に制御することができる。
【0018】16番目の発明では、4番目から8番目の
何れかの発明において、上記作動油の温度は、トランス
ミッション油の温度と、上記トランスミッション油への
内燃機関からの伝熱量とに基づいて推定される。16番
目の発明によっても10番目及び11番目の発明と同様
の作用効果を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明
は、本発明のバルブタイミング制御装置(VVT)を電
子制御オートマチックトランスミッション(以下、「E
CT」と称す)を有する自動車の内燃機関に適用した場
合についてであり、この自動車用内燃機関は互いに独立
した吸気カム軸と排気カム軸とを有している。図1は、
本発明のバルブタイミング制御装置の構成を示す説明図
である。図中、1は可変バルブタイミング機構、2はオ
イルコンロールバルブ(以下、「OCV」と称す)、3
はエンジンオイルポンプ(作動油ポンプ)、4は電子制
御回路(ECU)である。
【0020】可変バルブタイミング機構1は、いわゆる
ベーン式可変バルブタイミング機構であり、内燃機関の
クランク軸(図示せず)からチェーンにより回転駆動さ
れるタイミングプーリー6と、そのタイミングプーリー
6と一体になって回転駆動されるハウジング8と、該ハ
ウジング8内に回動可能に配置され、ハウジング8内に
進角油圧室10と遅角油圧室12とを区画形成する、カ
ム軸に連結されたベーン体14とを備えている。ベーン
式可変バルブタイミング機構1では、上記進角油圧室1
0と遅角油圧室12とに作動油を供給することにより、
ハウジング8とベーン体14とを相対的に回動させてク
ランク軸とカム軸との回転位相を変化させて機関(エン
ジン)のバルブタイミングを変更する。すなわち、進角
油圧室10に作動油を供給するとともに遅角油圧室12
から作動油を排出することにより、ベーン体14をハウ
ジング8に対してバルブタイミングが進角する側に相対
回動させ、遅角油圧室12に作動油を供給し進角油圧室
10から作動油を排出することにより、ベーン体14を
ハウジング8に対してバルブタイミングが遅角する方向
に相対回動させる。また、バルブタイミングを目標値に
維持する場合には進角油圧室10と遅角油圧室12との
内部の作動油圧力を同じ圧力に制御することにより、ハ
ウジング8とベーン体14との相対位置を一定に保持す
る。
【0021】このような各油圧室10、12内の作動油
圧力の制御、すなわちこれら油圧室10、12への作動
油の供給制御はOCV2によって行われる。OCV2
は、スプール16を有するスプール弁であり、進角油圧
室10に通じる油圧ポート16a、遅角油圧室12へ通
じる油圧ポート16b、機関出力軸に駆動される作動油
ポンプ3に接続されたポート16c及び2つのドレーン
ポート16d、16eを備えている。OCV2のスプー
ル16はポート16aと16bのうちの何れかをポート
16cに連通し、他方をドレーンポートに接続するよう
に動作する。
【0022】すなわち、図1においてスプール16が右
方向に移動すると、進角油圧室10に連通するポート1
6aはポート16cを介して作動油ポンプ3に接続さ
れ、ドレーンポート16dは閉鎖される。また、この時
同時に遅角油圧室12に通じるポート16bはドレーン
ポート16eに連通する。このため、可変バルブタイミ
ング機構1の進角油圧室10には、作動油ポンプ3から
作動油が流入し、進角油圧室10内の油圧を上昇させて
ベーン体14を図1の矢印R方向(進角方向)に押動す
る。また、この時遅角油圧室12内の作動油はOCV2
のポート16bを通りドレーンポート16eから排出さ
れる。このため、ベーン体14はハウジング8に対して
図1のR方向に回動する。
【0023】また、図1において逆にスプール16が左
方向に移動すると、ポート16bはポート16cに接続
され、ポート16aはドレーンポート16dに接続され
る。これにより、遅角油圧室12には作動油が流入し、
進角油圧室10からは作動油が排出されるため、ベーン
体14はハウジング8に対して図1の矢印Rとは逆の方
向に回動する。
【0024】また、スプール16が図1に示した中立位
置にある時は、ポート16a、16bは両方とも閉鎖さ
れる。図1に18で示すのは、スプール16を駆動する
リニアソレノイドアクチュエータである。リニアソレノ
イドアクチュエータ18は後述するECU4からの制御
パルス信号を入力し、この制御パルス信号に応じてスプ
ール16を移動させることにより、ベーン体14の位
置、すなわちバルブタイミングを変更する。例えば、リ
ニアソレノイドアクチュエータ18はECU4からの制
御パルス信号がオンになると、スプール16を図1右方
向に移動させ、進角油圧室10に作動油を流入させる。
また、リニアソレノイドアクチュエータ18はECU4
からの制御パルス信号がオフになると、スプール16を
図1左方向に移動させ、遅角油圧室12に作動油を流入
させる。ECU4は、上記制御パルス信号のオン、オフ
デューティ値(信号がオンになっている時間とオフにな
っている時間との合計に占める信号オン時間の割合。以
下、単に「デューティ値」と称する)を変化させること
により油圧室10と12とに供給する油量を制御する。
【0025】上記のようにOCV2の動作を制御するE
CU4は、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムア
クセスメモリ(RAM)、マイクロプロセッサ(CP
U)、入力ポート、出力ポートを相互に双方向性バスで
接続した公知の構成のマイクロコンピュータとして構成
される。ECU4は、通常の機関運転制御を行う他、後
述するように機関運転状態に応じてOCV2の動作を制
御してバルブタイミングを調節し機関運転状態に最適な
バルブタイミングを設定する、バルブタイミング制御装
置の基本制御を行う。そして更に、後述する作動油温推
定やその作動油温に応じたバルブタイミング制御装置の
作動制御も行う。
【0026】このような制御を実行するために、ECU
4には、吸入空気量G、吸入空気温Ta、機関冷却水温
w、ECT油温(トランスミッション油温)Tm、機関
回転数NE、カム軸回転角、クランク軸回転角等の必要
とされる情報が入力される他、後述される各種線図及び
マップが予め格納されている。そして、このような各種
情報、各種線図及びマップを利用して必要な演算を行
い、その結果の制御信号をOCV2のアクチュエータ1
8に供給し、OCV2を制御することによって、バルブ
タイミング制御装置全体の制御を行う。
【0027】以上のような構成により、このバルブタイ
ミング制御装置では、通常、バルブが機関運転状態に応
じた最適なタイミングで動作するように、以下のような
基本制御が行われる。すなわち、本実施形態においては
ECU4に、機関運転状態に応じて予め設定された最適
バルブタイミング(変位角(進角/遅角)目標値)が各
機関運転状態と対応させた数値マップ(図示なし)の形
で格納されている。特に本実施形態では、機関回転数N
Eと機関1回転当たりの吸入空気量G/NEが機関運転
状態を代表するパラメータとされており、上記数値マッ
プはG/NEとNEとを用いたものとなっている。そし
て本実施形態の基本制御においては、ECU4におい
て、吸入空気量Gと機関回転数NEとから機関1回転当
たりの吸入空気量G/NEが算出され、このG/NEと
機関回転数NEとを用いて上記数値マップに基づいて最
適バルブタイミング(変位角(進角/遅角)目標値)が
設定される。そして、実際のバルブタイミングが設定バ
ルブタイミングになるようにOCV2に供給する制御信
号のデューティ値が算出され、フィードバック制御され
る。
【0028】しかしながら、このような機関運転状態に
基づく基本制御は、バルブタイミング制御装置の作動油
温が低くない状態においては良好に作用するが、作動油
温が低い状態においては粘性等の作動油の特性が変化す
るためにバルブタイミング制御装置の応答性が悪化して
問題を生ずる場合がある。図2は、作動油温が低温であ
る場合と高温である場合とにおけるバルブタイミング制
御装置の進角/遅角速度とOCV2への制御信号のデュ
ーティ値Dとの関係の一例を示したものである。図中の
kは保持デューティ値を示し、進角も遅角もさせずに
バルブタイミングをその位相に保持する場合にOCV2
に供給される制御信号のデューティ値である。
【0029】この図から明らかなように、デューティ値
Dの変化に対してバルブタイミング制御装置が反応しな
い不感帯の幅は作動油高温時に比べて作動油低温時で広
くなり、また、同じデューティ値Dにおける進角/遅角
速度は作動油高温時に比べて作動油低温時で小さくな
る。したがって、作動油低温時においては作動油高温時
に比べてバルブタイミング制御装置の応答性は悪化する
ことになる。
【0030】このように応答性が悪化して生じる問題の
具体例としては、運転状態の変化に応じて一度吸気バル
ブの進角が行われた後にもとの位相まで戻る場合におい
て、バルブタイミング制御装置の応答性が悪いためにバ
ルブオーバーラップ量が過大になってしまうこと等が挙
げられる。そしてこのような作動油温が低い状態におい
ては、通常、機関自体の温度も低いため、燃焼悪化を生
ずる可能性がより高くなる。
【0031】以下では、上記のような作動油低温時等に
おけるバルブタイミング制御装置の応答性悪化またはそ
れに起因する不都合を回避すべく上記構成で実施得る方
法について説明する。なお、以下で説明する上記方法
は、作動油温を推定する段階と、その推定された作動油
温を用いてバルブタイミング制御装置の作動を制御する
段階とを含み、両者を合わせることによって全体の方法
を構成することになるが、各段階に対して複数の方法が
あり、それらの様々な組合せも可能であるので、以下で
はまず作動油温を推定する方法を説明し、その後、その
推定された作動油温を用いてバルブタイミング制御装置
の作動を制御する方法について説明する。
【0032】最初の作動油温推定方法は、機関始動時の
機関冷却水温Tw1、吸入空気温Ta1及びECT油温Tm1
を測定し、これらのうちの最も低い温度を推定始動時作
動油温Tb1とすると共に、その後の運転中作動油温Tb
は、始動時作動油温毎に予め求めておいたΔTw(機関
冷却水温Twと始動時機関冷却水温Tw1との差)と作動
油温との関係を利用して推定しようとするものである。
【0033】この方法を実施する場合には、ECU4
に、図3に示されたような作動油温推定マップを予め格
納しておくことが必要である。このマップは作動油温T
bを推定始動時作動油温Tb1と機関冷却水温Twの始動時
からの変化量ΔTwとの関係でマップ化したものであ
る。マップ内に示された曲線は推定作動油温Tbが等し
くなる点を結んだものであって、これらの推定作動油温
1、T2、T3には、T1<T2<T3の関係がある。
【0034】この方法では図4に示したような手順で上
記作動油温推定マップを用いて以下のように推定作動油
温Tbを求めることができる。すなわち、この方法で作
動油温Tbを推定する場合には、まずステップ100に
おいて始動時であるかどうかが判定される。そしてここ
で始動時であると判定されると、ステップ101に進
み、始動時おける機関冷却水温Tw1、吸入空気温Ta1
びECT油温Tm1が測定され、ステップ102に進む。
ステップ102においては、これらの温度Tw1、Ta1
m1が相互に比較され最も低い温度が推定始動時作動油
温Tb1であるとされてECU4に記憶される。そしてこ
の場合には、始動時であるので、推定始動時作動油温T
b1(=Tw1、Ta1、Tm1のうちの最低温度)がそのまま
この時の推定作動油温Tbであるとされる。
【0035】一方、ステップ100において始動時では
ないと判定されると、ステップ104に進む。ステップ
104においてはその時の機関冷却水温Twが測定さ
れ、続くステップ106で、その機関冷却水温Twと始
動時の機関冷却水温Tw1との差ΔTwが算出される。次
いで、ステップ108に進み、ここでステップ106で
算出されたΔTwとECU4に記憶されている推定始動
時作動油温Tb1(すなわち始動時にステップ102で選
択したTw1、Ta1、Tm1のうちの最低温度)とを用い
て、上記作動油温推定マップに基づいてその時の推定作
動油温Tbが求められる。
【0036】なお、図3中に点線の矢印で示したのは始
動時(A点)において推定始動時作動油温Tb1(すなわ
ち始動時の機関冷却水温Tw1、吸入空気温Ta1及びEC
T油温Tm1のうちの最低温度)がT1であった場合であ
って、その後機関冷却水温が上昇して推定作動油温Tb
がT3(B点)まで上昇した場合の作動油温推定マップ
上における軌跡を示したものである。
【0037】従来技術においては、始動時の機関冷却水
温Tw1を推定始動時作動油温Tb1とすると共にそのTw1
をベースとしてその後の作動油温Tbを推定する方法が
あるが、実際には、機関始動時において作動油温Tb1
機関冷却水温Tw1との値は必ずしも一致せず、またその
差は油と水との熱物性の違い等からある程度大きい場合
もある。そしてこのような場合において、特に実際の始
動時作動油温Tc1が推定始動時作動油温Tb1(すなわち
始動時機関冷却水温Tw1)よりも低い場合には、その値
をベースに推定されるその後の推定作動油温Tbも実際
の作動油温Tcよりも低くなり、また、その推定作動油
温Tbに応じて行われるバルブタイミング制御装置の補
正制御は、実際の作動油温Tcの場合に行われる制御と
比べ不十分なものとなってしまう。
【0038】一方、上述した方法によれば、直接測定さ
れる関連温度Tw1、Ta1、Tm1のうちの最も低い温度を
始動時作動油温Tb1とすることにより、その後に推定さ
れる作動油温Tbも低い温度が選択されることとなるの
で、後で詳述する推定された作動油温に応じてバルブタ
イミング制御装置の作動を制御する方法においても安全
側の制御が実施される。
【0039】なお、機関冷却水温Tw、吸入空気温Ta
びECT油温Tmは、バルブタイミング制御装置の制御
以外の制御においても必要とされるものであり、これら
を測定するセンサを設けることは、バルブタイミング制
御装置の制御のために作動油温(エンジン油温)を測定
するセンサを設ける場合とは異なりコスト上昇要因とは
ならない。
【0040】また、上述した方法においては、推定始動
時作動油温Tb1を始動時の機関冷却水温Tw1、吸入空気
温Ta1及びECT油温Tm1のうちの最低温度としたが、
始動前の機関運転状況、より詳細には始動前の機関停止
時間によって、この最低温度を選択する制御を省略する
ようにしてもよい。すなわち、始動前の機関停止時間が
ある程度長い場合には、実際の作動油温T cは機関冷却
水温Twと共に外気温Toに近づいていく(図5参照)。
そこで、この方法では、作動油温Tcが外気温Toに収束
すると考えられる時間Pを設定し、始動前の機関停止時
間がこの設定時間P以上の場合には、始動時の作動油温
b1の推定の際に、上述のような最低温度を選択する制
御を行わず、外気温Toの代替となる吸入空気温Ta1
たは機関冷却水温Tw1をそのまま推定始動時作動油温T
b1とし、それをベースとしてその後の作動油温Tbを推
定する。
【0041】このような方法をとることで機関停止時間
が設定時間P以上の場合について、始動時作動油温Tb1
の推定精度の向上が図れ、その結果、その後の作動油温
bの推定精度も向上することができる。この最低温度
を選択する制御を省略する方法を図4のフローチャート
で示した方法に加えるには、始動前機関停止時間が設定
時間Pを超えているかどうかを判定するステップ110
(図示無し)と吸入空気温Ta1または機関冷却水温Tw1
を測定し、その値をそのまま推定始動時作動油温Tb1
するステップ112(図示無し)を新たに加えればよ
い。すなわち、ステップ100とステップ101の間に
ステップ110を挿入し、始動前機関停止時間が設定時
間Pを超えているかどうかを判定して、設定時間Pを超
えていない場合にはステップ101に進むようにすると
共に、設定時間Pを超えている場合にはステップ112
に進むようにする。そしてステップ112においては、
吸入空気温Ta1または機関冷却水温Tw1が測定され、そ
の値をそのまま推定始動時作動油温Tb1であるとすると
共に、この時は始動時であるので、この時の推定作動油
温TbはTb1、すなわち吸入空気温Ta1または機関冷却
水温Tw1であるとして作動油温推定制御が終了するよう
にする。
【0042】また、上記のように機関停止時間が設定時
間Pを超えた時に、吸入空気温Ta及び機関冷却水温Tw
を測定し、これらの測定温度に差がある場合には、高い
方の温度が低い方の温度に合うように高い方の温度に対
して補正値を設定し、この高かった方の温度について
は、この補正値で補正した後の値をその後の制御におい
て用いるようにしてもよい。
【0043】例えば、図6は機関停止時間が設定時間P
を経過した後で始動が行われ、その時に測定された機関
冷却水温Tw1が吸入空気温Ta1よりも高かった場合の例
を示している。機関停止時間が設定時間Pを経過してい
るので、本来、ここで測定される機関冷却水温Tw1は吸
入空気温Ta1(すなわち外気温To)と等しいはずであ
る。したがって、ここでの測定温度差ΔTd(=Tw1
a1)は温度測定センサの誤差であると判断し得る。そ
こで、高い測定温度である機関冷却水温Tw1が低い測定
温度である吸入空気温Ta1と一致するようにΔTdを機
関冷却水温Twの補正値とする。ここで、高い測定値が
低い測定値に一致するように、すなわち低い測定値を真
値として補正値を設定するのは、作動油温が高めに推定
されることを避けるためであり、こうすることによっ
て、後に説明する推定された作動油温に応じてバルブタ
イミング制御装置の作動を制御する方法において、安全
側の制御が実施される。
【0044】一度、設定された補正値はECU4に記憶
され、その後に機関冷却水温Twを測定する際には、補
正値ΔTdによって補正された後の値(Tw−ΔTd)を
機関冷却水温Twとして処理することになる。したがっ
て、例えば、図4のステップ101及びステップ102
において、始動時の機関冷却水温Tw1、吸入空気温T a1
及びECT油温Tm1を測定して比較する必要が生じた時
には、測定された機関冷却水温Tw1から補正値ΔTd
差し引いた値を補正後のTw1として吸入空気温Ta1及び
ECT油温Tm1と比較され、それらのうちの最低温度が
推定始動時作動油温Tb1として選択される。
【0045】なお、この設定時間P経過後において測定
された各測定温度の差を用いた測定温度の補正方法は、
後述する他の作動油温推定方法に対して適用してもよ
い。また、始動時作動油温Tb1の推定においては、以下
のような方法によって更に推定精度を向上させることが
できる。
【0046】すなわち、機関にブロックヒータが使用さ
れていたり、機関がいわゆる半暖機状態になっている
と、機関始動直後において機関冷却水温Tw及び吸入空
気温Taが低下する場合がある。そしてこのような場合
には、例えば図4に示された方法で推定した始動時作動
油温Tb1(すなわち始動時の機関冷却水温Tw1、吸入空
気温Ta1及びECT油温Tm1のうちの最低温度)と実際
の始動時作動油温Tc1との間には誤差が生じている可能
性が高い。そこで、この方法では、機関始動直後におい
て機関冷却水温Twまたは吸入空気温Taが低下した場合
には、これらの低下温度に応じて推定始動時作動油温T
b1を補正する。
【0047】図7は、この方法を説明するためのフロー
チャートである。このフローチャートに示された部分は
図4に示された作動油温推定方法のうちの始動時作動油
温T b1を推定する部分、すなわち、ステップ101とス
テップ102の部分に対応する。この方法で始動時作動
油温Tb1を推定する場合には、まず、図4に示した方法
のステップ101とステップ102と同様に、ステップ
200とステップ202において、機関始動時の機関冷
却水温Tw1、吸入空気温Ta1及びECT油温Tm1が測定
され、これらが相互に比較されて最も低い温度が推定始
動時作動油温Tb1とされる。そして始動後においては機
関冷却水温Tw及び吸入空気温Taが連続的に測定されて
おり(ステップ204)、ステップ206において始動
後に機関冷却水温Twまたは吸入空気温Taが低下してい
ないかどうかが判断される。ここで、始動後に機関冷却
水温Twまたは吸入空気温Taが低下していないと判断さ
れた場合には、ステップ202で選択された推定始動時
作動油温Tb1に対して補正を行う必要はないので、その
値を推定始動時作動油温Tb1として、この始動時作動油
温推定制御は終了する。この後、例えば図4に示された
ステップ104に進み、その後の作動油温Tbについて
の推定が行われる。
【0048】一方、ステップ206において、機関始動
後に機関冷却水温Twまたは吸入空気温Taが低下してい
ると判断された場合には、上述したようにステップ20
2で選択された始動時作動油温Tb1(すなわち始動時の
機関冷却水温Tw1、吸入空気温Ta1及びECT油温Tm1
のうちの最低温度)と実際の始動時作動油温Tc1の間に
は誤差が生じている可能性が高いので、続くステップ2
08からステップ216において再度、始動時作動油温
b1が推定される。まずステップ208においては、始
動後低下した温度が最低となった時の温度(最低機関冷
却水温Twk、最低吸入空気温Tak)が求められる。機関
冷却水温Twと吸入空気温Taの両方が低下した時はこれ
ら両方について求められ、何れか一方のみが低下した場
合にはその一方について求められる。次いでステップ2
10において、その時のECT油温Tmと、求められた
最低温度Twk、Takが比較され、これらのうちの最も低
い温度をTbkとする。
【0049】続くステップ212においては、始動時機
関冷却水温Tw1または始動時吸入空気温Ta1と求められ
た最低温度TwkまたはTakとの差ΔTwkまたはΔTak
算出される。ここでは、機関冷却水温Tw及び吸入空気
温Taの両方で温度低下があった場合についても、次の
ステップ214で利用する補正値決定線図がΔTwkに対
応したもの(図8(a))か、ΔTakに対応したもの
(図8(b))かによって、何れか一方の温度差ΔTwk
またはΔTakを算出すればよい。ステップ214におい
ては、ステップ212で算出されたΔTwkを利用して図
8(a)の補正値決定線図に基づいて、もしくはステッ
プ212で算出されたΔTakを利用して図8(b)の補
正値決定線図に基づいて、補正値Cが決定される。図8
(a)及び図8(b)の補正値決定線図は、それぞれΔ
wk及びΔTakが各値である場合に必要な補正値Cをグ
ラフ化したものであり、事前に実験等によって求められ
予めECU4に格納しておく。
【0050】ステップ214において補正値Cが決定さ
れると、ステップ216に進み、そこでステップ210
で選択された推定作動油温Tbkから補正値Cを引いた値
(T bk−C)が算出され、その値が新たな推定始動時作
動油温Tb1とされる。これにより、図7に示された始動
時作動油温Tb1を推定する制御は終了し、この後、例え
ば図4に示されたステップ104に進み、その後の運転
中作動油温Tbについての推定が行われる。
【0051】図9は機関始動後に機関冷却水温Tw及び
吸入空気温Taが低下した場合の実際の作動油温Tc、機
関冷却水温Tw及び吸入空気温Taの経時変化の一例を示
したものであり、図中には、上述の説明の各温度Tw1
wk、Ta1、Tak、各温度差ΔTwk、ΔTak、及び補正
値Cの関係が示されている。以上の説明から明らかなよ
うに、図7に示された始動時作動油温Tb1を推定する方
法を用いることによって、始動時作動油温Tb1の推定精
度の低下が懸念される場合(例えば、半暖機状態で始動
する場合等)においても始動時作動油温Tb1の推定精度
を維持もしくは向上することができ、その結果として、
その後に推定される運転中作動油温Tbの推定精度の維
持もしくは向上を図ることができる。
【0052】次に更に別の作動油温推定方法について説
明する。この方法は、推定始動時作動油温Tb1を始動時
のECT油温Tm1とし、その後上昇していく運転中作動
油温Tbは、その時の吸入空気量G、機関回転数NE、
機関冷却水温Tw、吸入空気温Ta等の運転状態を示すパ
ラメータの値に応じて始動時のECT油温Tm1を補正し
て推定しようとするものである。
【0053】図10は、この方法を説明するためのフロ
ーチャートである。この方法で作動油温Tbを推定する
場合には、まずステップ300において始動時であるか
どうかが判定される。そしてここで始動時であると判定
されると、ステップ310に進み、始動時におけるEC
T油温Tm1が測定され、その値が推定始動時作動油温T
b1であるとされてECU4に記憶される。そしてこの場
合には、始動時であるので、推定始動時作動油温T
b1(=始動時ECT油温Tm1)が補正されることなくそ
のままこの時の推定作動油温Tbであるとされる。
【0054】一方、ステップ300において始動時では
ないと判定されると、ステップ302に進み、ECU4
に記憶されている推定始動時作動油温Tb1(すなわち始
動時にステップ310で測定したECT油温Tm1)に対
し、まず、その時の吸入空気量Gに応じた補正がなされ
る。この補正には図11(a)に示された補正係数決定
線図が利用される。この補正係数決定線図は吸入空気量
Gが各値である場合の吸入空気量Gに関係して決定され
る作動油温に対する補正係数Cgをグラフ化したもので
ある。つまり、ステップ302においては、その時の吸
入空気量Gに対応した補正係数Cgが図11(a)の補
正係数決定線図に基づいて決定され、そのCgがTb1
かけ合わされて補正後の推定作動油温Tb2が求められ
る。
【0055】次いでステップ304に進むと、今度は推
定作動油温Tb2に対して、その時の機関回転数NEに応
じた補正がなされる。この補正には図11(b)に示さ
れた補正係数決定線図が利用される。この補正係数決定
線図は機関回転数NEが各値である場合の機関回転数N
Eに関係して決定される作動油温に対する補正係数C n
をグラフ化したものである。つまり、ステップ304に
おいては、その時の機関回転数NEに対応した補正係数
nが図11(b)の補正係数決定線図に基づいて決定
され、そのCnがTb2にかけ合わされて補正後の推定作
動油温Tb3が求められる。
【0056】更に、ステップ306及びステップ308
においても、ステップ302及びステップ304と同様
にして補正がなされる。すなわち、ステップ306にお
いては図11(c)に示された補正係数決定線図が利用
されて、推定作動油温Tb3に対して、その時の機関冷却
水温Twに応じた補正がなされて推定作動油温Tb4が求
められ、ステップ308においては図11(d)に示さ
れた補正係数決定線図が利用されて、推定作動油温Tb4
に対して、その時の吸入空気温Taに応じた補正がなさ
れて推定作動油温Tb5が求められる。
【0057】ここで図11(c)に示された補正係数決
定線図の横軸はその時の機関冷却水温Twとステップ3
04において補正された推定作動油温Tb3との差ΔTb3
であり、図11(c)に示された補正係数決定線図は、
このΔTb3が各値である場合の機関冷却水温Twに関係
して決定される作動油温に対する補正係数Cwをグラフ
化したものである。また図11(d)に示された補正係
数決定線図の横軸はその時の吸入空気温Taとステップ
306において補正された推定作動油温Tb4との差ΔT
b4であり、図11(d)に示された補正係数決定線図
は、このΔTb4が各値である場合の吸入空気温Taに関
係して決定される作動油温に対する補正係数Caをグラ
フ化したものである。
【0058】ステップ308で求められた推定作動油温
b5は全ての補正を受けた推定作動油温であるので、こ
の値Tb5がその時の推定作動油温Tbであるとされる。
このようにして求められた推定作動油温Tb(すなわち
b5)は、推定始動時作動油温Tb1として作動油と同様
に油であるECT油の始動時の温度Tm1を用い、これに
基づいて算出されているため、推定始動時作動油温Tb1
として熱物性の異なる水である機関冷却水の始動時の温
度Tw1を用いた場合よりも、その推定精度が向上されて
いる。また、この方法では、吸入空気量G、機関回転数
NE、機関冷却水温Tw、吸入空気温Taという運転状態
を示す4つものパラメータの値に応じた補正を行うこと
によって更なる推定精度の向上が図られている。
【0059】次に更に別の作動油温推定方法について説
明する。この方法は、ECT油温T mを連続測定し、そ
の時のECT油温を維持している熱量をECT自体の発
熱によるものと機関からの伝熱によるものとにわけ、そ
の機関からの伝熱量に基づいてその時の作動油温Tb
推定しようとするものである。図12は、この方法を説
明するためのフローチャートである。この方法で作動油
温Tbを推定する場合には、まずステップ400におい
て始動時であるかどうかが判定される。そしてここで始
動時であると判定されると、ステップ416に進み、始
動時におけるECT油温Tm1が測定され、その値が推定
始動時作動油温Tb1であるとされてECU4に記憶され
る。そしてこの場合には、始動時であるので、推定始動
時作動油温Tb1(=始動時ECT油温Tm1)がそのまま
この時の推定作動油温Tbであるとされる。
【0060】一方、ステップ400において始動時では
ないと判定されると、ステップ402に進み、その時の
ECT油温Tmが測定される。そしてステップ404に
おいて、そのECT油温Tmと始動時のECT油温Tm1
との差ΔTm(=Tm−Tm1)が算出される。次いでステ
ップ406において、ECT回転数Ntとシフト位置S
が検出される。そして、続くステップ408において、
ステップ406で検出されたECT回転数Ntとシフト
位置Sとを利用して図13の線図に基づいて、ECT油
の上昇温度ΔTmのうちのECT自体の発熱による寄与
分ΔTtが決定される。図13の線図は、ECT回転数
tが各値である場合のECT油の上昇温度ΔTmのうち
のECT自体の発熱による寄与分ΔTtをシフト位置S
毎にグラフ化したものであり、事前に実験等によって求
められ予めECU4に格納しておく。
【0061】次いでステップ410において、ステップ
404で算出されたΔTmとステップ408で決定され
たΔTtの差ΔTe(=ΔTm−ΔTt)が算出される。こ
こで、ECT油の温度上昇ΔTmがECT自体の発熱と
機関からの伝熱とによって生じたものと考えると、この
値ΔTeは、ECT油の上昇温度ΔTmのうちの機関から
の伝熱による寄与分を表すことになる。続くステップ4
12では、このΔTeを利用して図14の線図に基づい
て、補正値Ceが決定される。図14の線図は、ECT
油の上昇温度ΔTmのうちの機関からの伝熱による寄与
分ΔTeが各値である場合においてECT油温Tmを補正
して作動油温Tbとするために必要な補正値Ceをグラフ
化したものであり、事前に実験等によって求められ予め
ECU4に格納しておく。
【0062】そして、続くステップ414においてEC
T油温Tmが補正値Ceで補正され、この時の推定作動油
温Tb(=Tm+Ce)が求められる。この方法において
は、推定作動油温Tbは作動油と同様に油であるECT
油の温度Tmに基づいてその値を補正して算出されてい
るため、熱物性の異なる水である機関冷却水の温度Tw
に基づいて、その値を補正して算出される場合よりも、
推定精度が向上されている。
【0063】次に、上述の各作動油温推定方法によって
推定された作動油温を用いてバルブタイミング制御装置
の作動を制御する方法について説明する。先に述べたよ
うに、これらは作動油低温時におけるバルブタイミング
制御装置の応答性悪化またはそれに起因する不都合を回
避するために行われるものである。最初に説明する方法
は、作動油温に応じてバルブタイミング制御装置の変位
角(進角/遅角)目標値に上限を設けるというものであ
る。以下、吸気バルブについて進角目標値Aoに上限を
設ける場合を例にとって説明する。
【0064】図15は、この方法を説明するためのフロ
ーチャートである。この方法でバルブタイミング制御装
置の作動を制御する場合には、まずステップ500にお
いて、上述した基本制御にしたがって機関運転状態(す
なわち機関1回転当たりの吸入空気量G/NEと機関回
転数NE)に対応した基礎進角目標値Abが設定され
る。
【0065】次にステップ502において、上述した何
れかの方法によって作動油温Tbが推定され、続くステ
ップ504において、その作動油温を利用して図16の
線図に基づいて、進角目標上限値Alが決定される。図
16の線図は、作動油温Tbが各値である場合において
適切な進角目標上限値Alをグラフ化したものであり、
事前に実験等によって求め、予めECU4に格納してお
く。図中、Amは可変バルブタイミング機構1のベーン
体14が最も進角側に変位した時の変位角であって、進
角目標値Aoの物理的上限値である。また、作動油温Tb
がTh1以上である場合には、作動油温Tbに関係する進
角目標上限値Alは設けられない。
【0066】次いで、ステップ506において、ステッ
プ500で設定された基礎進角目標値Abとステップ5
04で決定された進角目標上限値Alが比較される。ス
テップ506において、基礎進角目標値Abが進角目標
上限値Al以下であると判定された場合にはステップ5
10に進み、基礎進角目標値Abを進角目標値Aoとして
バルブタイミング制御装置の作動が制御される。すなわ
ち、基礎進角目標値Abを進角目標値AoとしてOCV2
に供給する制御信号のデューティ値が算出され、フィー
ドバック制御される。
【0067】一方、ステップ506において、基礎進角
目標値Abが進角目標上限値Alより大きいと判定された
場合にはステップ508に進み、進角目標上限値Al
進角目標値Aoとしてバルブタイミング制御装置の作動
が制御される。以上の説明から明らかなように、この方
法は推定される作動油温Tbが低い場合には、変位角
(進角/遅角)の大きさを小さく抑えようとするもので
あり、この結果、作動油低温時におけるバルブタイミン
グ制御装置の応答性悪化に伴って生じる不都合を回避す
ることができる。例えば、この方法を用いれば作動油低
温時においては大きく進角されることがないので、進角
が行われた後にもとの位相まで戻る場合において、バル
ブタイミング制御装置の応答性が悪いためにバルブオー
バーラップ量が過大になってしまうことが防止される。
【0068】なお、上記の説明では進角する場合を例に
とったが、遅角する場合においても、同様にバルブタイ
ミング制御装置の作動が制御される。この場合には、図
16に相当する遅角目標下限値を決定する線図を準備し
ておき、基礎遅角目標値が推定作動油温Tbに応じて決
定される遅角目標下限値未満であれば、基礎遅角目標値
ではなく遅角目標下限値を遅角目標値としてバルブタイ
ミング制御装置の作動が制御される。この場合、基礎遅
角目標値、遅角目標下限値、遅角目標値は何れも負の値
である。また、図16に相当する線図を別に準備するこ
となく、進角の場合と遅角の場合で図16の線図から得
られる値の正負を替えて利用するようにしても良い。
【0069】次に説明する方法は、バルブタイミング制
御装置の作動の制御に際して、基本制御にしたがって設
定される基礎変位角(進角/遅角)目標値に作動油温に
応じて決定される補正係数をかけるか、または作動油温
に応じて決定される補正値を加算して変位角(進角/遅
角)目標値を設定し、これによって作動油低温時におけ
るバルブタイミング制御装置の応答性の改善を図ろうと
するものである。以下、吸気バルブについて進角目標値
oを設定する場合を例にとって説明する。図17は、
この方法を説明するためのフローチャートである。図中
のステップ600及びステップ602の制御は、図15
に示されたステップ500とステップ502の制御と同
じであるので説明を省略し、ここでは次のステップ60
4から説明する。
【0070】ステップ604においては、ステップ60
2で推定された作動油温Tbを利用して図18(a)の
補正係数決定線図に基づいて進角補正係数Ac1が、もし
くは図18(b)の補正値決定線図に基づいて進角補正
値Ac2が決定される。図18(a)の補正係数決定線図
及び図18(b)の補正値決定線図はそれぞれ、バルブ
タイミング制御装置を適切に作動させるために必要な基
礎進角目標値Abに対する進角補正係数Ac1及び進角補
正値Ac2を作動油温Tbに対してグラフ化したものであ
り、事前に実験等によって求め、予めECU4に格納し
ておく。なお、図18(a)の補正係数決定線図と図1
8(b)の補正値決定線図は、使用しようとする何れか
一方のみがECU4に格納されていればよい。また、各
図中において、作動油温TbがTh2以上である場合に
は、作動油温Tbに関係する進角補正係数Ac1(図18
(a))及び進角補正値Ac2(図18(b))は設定さ
れていない。
【0071】次いで、ステップ606に進み、ステップ
604で図18(a)の補正係数決定線図を使用した場
合には、ステップ600で設定された基礎進角目標値A
bとステップ604で決定された進角補正係数Ac1との
積を進角目標値Aoとしてバルブタイミング制御装置の
作動が制御され、ステップ604で図18(b)の補正
値決定線図を使用した場合には、ステップ600で設定
された基礎進角目標値Abとステップ604で決定され
た進角補正値Ac2との和を進角目標値Aoとしてバルブ
タイミング制御装置の作動が制御される。
【0072】図18(a)の補正係数決定線図及び図1
8(b)の補正値決定線図に示されたように、一般に進
角補正係数Ac1及び進角補正値Ac2は、推定作動油温T
bが低くなるほど大きくなる。したがって、この方法は
推定される作動油温Tbが低い場合には進角目標値Ao
大きめに設定しようとするものであり、この結果、OC
V2へ供給される制御信号のデューティ値の保持デュー
ティ値との差が大きめになって、バルブタイミング制御
装置の応答性が改善される(図2参照)。また、この方
法において、ある推定作動油温Tbで進角目標値Aoに達
する所要時間が予め定めた所定時間以上となる等、応答
性の悪化が検出された場合には、図18(a)の補正係
数決定線図または図18(b)の補正値決定線図の該当
する部分が応答性を高めるように自動的に修正されるよ
うにしてもよい。
【0073】なお、上記の説明では進角する場合を例に
とったが、遅角する場合においても、同様にバルブタイ
ミング制御装置の作動が制御される。この場合には、図
18(a)及び図18(b)に相当する遅角の場合の線
図をそれぞれ準備しておき、基礎遅角目標値にこれらの
線図から決定される遅角補正係数をかけることによっ
て、もしくは遅角補正値を加算することによって得られ
た値を遅角目標値としてバルブタイミング制御装置の作
動が制御される。この場合、基礎遅角目標値、遅角補正
値、遅角目標値は負の値となる。また、図18(a)、
図18(b)に相当する線図を別に準備することなく、
進角、遅角の何れの場合でも図18(a)の線図から得
られた補正係数を利用するようにしてもよく、もしくは
進角の場合と遅角の場合で図18(b)の線図から得ら
れる補正値の正負を替えて利用するようにしてもよい。
【0074】次に説明するバルブタイミング制御装置の
作動を制御する方法によっても、作動油温低温時におい
てバルブタイミング制御装置の応答性を改善することが
できる。この方法は、保持デューティ値Dkに対して作
動油温に応じて決定されるオフセット量を設定し、基礎
目標デューティ値を上記オフセット量に加算して目標デ
ューティ値とし、制御信号のデューティ値をこの目標デ
ューティ値としてOCV2を制御することにより作動油
低温時におけるバルブタイミング制御装置の応答性の改
善を図ろうとするものである。なお、ここで基礎目標デ
ューティ値とは、基本制御にしたがって設定される基礎
変位角(進角/遅角)目標値に対応して算出されるデュ
ーティ値である。以下、吸気バルブについて進角目標デ
ューティ値Doを設定する場合を例にとってこの方法を
説明する。
【0075】図19は、この方法を説明するためのフロ
ーチャートである。最初のステップ700の制御は、図
15に示されたステップ500及び図17に示されたス
テップ600の制御と同じであるのでここでは説明を省
略する。ステップ700に続くステップ702において
は、ステップ700で設定された基礎進角目標値Ab
対応する基礎進角目標デューティ値Dbが算出される。
続くステップ704の制御は、図15に示されたステッ
プ502及び図17に示されたステップ602の制御と
同じであるのでここでは説明を省略する。
【0076】そして、次のステップ706において、ス
テップ704で推定された作動油温Tbを利用して図2
0のオフセット量決定線図に基づいてオフセット量Df
が決定される。図20のオフセット量決定線図は、バル
ブタイミング制御装置を適切に作動させるために必要な
保持デューティ値Dkに対するオフセット量Dfを作動油
温Tbに対してグラフ化したものであり、事前に実験等
によって求め、予めECU4に格納しておく。例えば、
オフセット量Dfを温度低下により拡大する不感帯部分
(図2参照)と同等とすることにより、作動油低温時に
おいても作動油高温時と同等の応答性を確保することが
できる。図中、点線で挟まれた部分は不感帯部分であ
る。
【0077】図20に示されているように、作動油温T
bが低い状態においては一つの推定作動油温Tbに対して
二つのオフセット量(進角側と遅角側)が対応すること
になるが、本ステップにおいては、ステップ700また
はステップ702で判断し得るその時の変位方向に応じ
て何れか一方がオフセット量Dfとして選択される。す
なわち、ステップ702で算出された基礎目標デューテ
ィ値が保持デューティDkよりも大きければ進角という
ことになるので正のオフセット量Dfが選択され、保持
デューティDkよりも小さければ遅角ということになる
ので負のオフセット量Dfが選択される。ここでは進角
する場合を例にとっているので選択されるオフセット量
fは正の値である。
【0078】次いで、ステップ708に進み、ステップ
706で決定されたオフセット量D fにステップ702
で算出された基礎進角目標デューティ値Dbが加算され
て進角目標デューティ値Doが算出される。そして続く
ステップ710においてOCV2に対してデューティ値
Dが進角目標デューティ値Doである制御信号が出力さ
れ、バルブタイミング制御装置の作動が制御される。
【0079】この方法によれば、図20に示されたよう
に不感帯幅が広がる作動油温の低い場合においてより大
きなオフセット量Dfを設定することができるので、作
動油低温時に不感帯幅が広がることによって生ずるバル
ブタイミング制御装置の応答性の悪化を防ぐことができ
る。また、この方法においても、上述したような応答性
の悪化が検出された場合には、図20に示されたオフセ
ット量決定線図の該当する部分が応答性を高めるように
自動的に修正されるようにしてもよい。
【0080】なお、上記の説明では進角する場合を例に
とったが、遅角する場合においても、負のオフセット量
fを選択することにより同様にバルブタイミング制御
装置の作動が制御される。
【0081】次に更に別の方法について説明する。この
バルブタイミング制御装置の作動制御方法は、作動油温
に加えて、作動油圧も推定もしくは測定し、これら二つ
の値に応じて基礎目標デューティ値を補正して目標デュ
ーティ値を設定し、制御信号のデューティ値をこの目標
デューティ値としてOCV2を制御することにより作動
油低温及び低圧時におけるバルブタイミング制御装置の
応答性の改善を図ろうとするものである。以下、吸気バ
ルブについて進角目標デューティ値Doを設定する場合
を例にとってこの方法を説明する。
【0082】図21は、この方法を説明するためのフロ
ーチャートである。ここで、初めの部分のステップ80
0、ステップ802、ステップ804の制御は、図19
に示されたステップ700、ステップ702、ステップ
704の制御と同じであるので説明を省略し、以下では
ステップ806から説明する。ステップ806において
は、作動油圧Poが推定もしくは測定される。作動油圧
oは、オイルポンプの駆動源である機関の回転数NE
から推定可能である他、直接測定されてもよい。作動油
圧Poが機関回転数NEによって推定可能であるので、
この方法は、作動油圧Poの代わりに機関回転数NEを
用いても実施することができる。
【0083】次いで、ステップ808においては、ステ
ップ804で推定された作動油温T bとステップ806
で推定または測定された作動油圧Po(または機関回転
数NE)とを利用して図22のデューティ値補正値決定
マップに基づいてデューティ値補正値Dcが決定され
る。図22のデューティ値補正値決定マップは、バルブ
タイミング制御装置を適切に作動させるために必要な基
礎進角目標デューティ値D bに対するデューティ値補正
値Dcを作動油温Tbと作動油圧Po(または機関回転数
NE)との関係でマップ化したものであり、事前に実験
等によって求め、予めECU4に格納しておく。マップ
内に示された曲線はデューティ値補正値Dcが等しくな
る点を結んだものであって、これらのデューティ値補正
値Dc1、Dc2、Dc3には、Dc1>Dc2>Dc3の関係があ
る。また、Dc3=0であり、この図で斜線が施された領
域においてはデューティ値の補正は行われない。
【0084】なお、ここでは進角する場合を例にとって
説明しているので、図22は進角の場合のデューティ値
補正値を決定するマップであり、マップから得られるデ
ューティ値補正値は正の値である。次いで、ステップ8
10に進み、ステップ802で算出された基礎進角目標
デューティ値Dbにステップ808で決定されたデュー
ティ値補正値Dcが加算されて進角目標デューティ値Do
が算出される。そして続くステップ810においてOC
V2に対してデューティ値Dが進角目標デューティ値D
oである制御信号が出力され、バルブタイミング制御装
置の作動が制御される。
【0085】作動油温の低い場合に加え、作動油圧が低
い場合には当然にバルブタイミング制御装置の応答性は
悪化するが、この方法によればバルブタイミング制御装
置の応答性に影響を与える作動油温と作動油圧とに応じ
てOCV2を制御するデューティ値に適切な補正がなさ
れるので、バルブタイミング制御装置の応答性悪化が懸
念される低作動油温・低作動油圧状態において、その応
答性の悪化を防止することができる。
【0086】また、この方法においても、上述したよう
な応答性の悪化が検出された場合には、図22に示され
たデューティ値補正値決定マップの該当する部分が応答
性を高めるように自動的に修正されるようにしてもよ
い。なお、上記の説明では進角する場合を例にとった
が、遅角する場合においても、同様にバルブタイミング
制御装置の作動が制御される。この場合には、図22の
マップに相当する遅角の場合のデューティ値補正値を決
定するマップを準備しておき、基礎遅角目標デューティ
値にマップから得られたデューティ値補正値を加算した
値を遅角目標デューティ値としてバルブタイミング制御
装置の作動が制御される。この場合、マップから得られ
るデューティ値補正値は負の値である。また、図22の
マップに相当するマップを別に準備することなく、進角
の場合と遅角の場合で図22のマップから得られるデュ
ーティ値補正値の正負を替えて利用するようにしても良
い。なお、目標とする変位が進角であるか遅角であるか
は、ステップ802で算出される基礎目標デューティ値
を保持デューティ値Dkと比較することにより判断でき
る。すなわち、基礎目標デューティ値が保持デューティ
値Dkよりも大きければ進角であり、保持デューティ値
kよりも小さければ遅角である。
【0087】また、ここでは作動油温と作動油圧とに対
してデューティ値補正値を対応させたマップを使用し、
OCV2へ供給される制御信号のデューティ値を補正し
てバルブタイミング制御装置の作動を制御する方法を示
したが、作動油温と作動油圧とに対して上述したような
変位角(進角/遅角)目標値の制限値、もしくは変位角
目標値の補正値または補正係数を対応させたマップを作
成し、上述したこれらの値を利用するバルブタイミング
制御装置の作動制御方法と同様にしてその作動を制御す
るようにしてもよい。これらの方法によってもバルブタ
イミング制御装置の応答性悪化またはそれに起因する不
都合を回避することが可能である。
【0088】例えば、図18の線図の代わりに図22の
マップに類似した作動油温と作動油圧力とに応じて変位
角補正値または補正係数を決定するマップをECU4に
格納しておき、図17に示された方法のように、その補
正値または補正係数で目標とする変位角を補正してバル
ブタイミング制御装置の作動を制御するようにしてもよ
い。
【0089】次に更に別の方法について説明する。この
方法は、始動時作動油温と機関冷却水温Twとに応じて
バルブタイミング制御装置の変位角(進角/遅角)目標
値に上限を設けるというものである。以下、吸気バルブ
について進角目標値Aoに上限を設ける場合を例にとっ
て説明する。
【0090】図23は、この方法を説明するためのフロ
ーチャートである。最初のステップ900における制御
は、図15に示されたステップ500等における制御と
同じであるのでここでは説明を省略し、次のステップ9
02から説明する。ステップ902においては、先に述
べた何れかの方法によって始動時作動油温Tb1が推定さ
れる。例えば、始動時の機関冷却水温Tw1、吸入空気温
a1及びECT油温Tm1が測定され、そのうちの最低温
度を推定始動時作動油温Tb1とする。
【0091】次いで、ステップ904では機関冷却水温
wが測定され、続くステップ906において、ステッ
プ902で推定された推定始動時作動油温Tb1とステッ
プ904で測定された機関冷却水温Twとを利用して図
24のマップに基づいて、進角目標上限値Alが決定さ
れる。図24のマップは、始動時作動油温Tb1と機関冷
却水温Twとの関係において適切な進角目標上限値Al
マップ化したものであり、事前に実験等によって求め、
予めECU4に格納しておく。マップ内に示された曲線
は進角目標上限値Alが等しくなる点を結んだものであ
って、これらの進角目標上限値Al1、Al2、Al3には、
l1<Al2<Al3の関係がある。また、Al3=Am(可
変バルブタイミング機構1のベーン体14が最も進角側
に変位した時の変位角であって、進角目標値Aoの物理
的上限値)であり、この図で斜線が施された領域におい
ては始動時作動油温Tb1及び機関冷却水温Twに関係す
る進角目標上限値Alは設けられていない。
【0092】次いで、ステップ908において、ステッ
プ900で設定された基礎進角目標値Abとステップ9
06で決定された進角目標上限値Alが比較される。ス
テップ908において、基礎進角目標値Abが進角目標
上限値Al以下であると判定された場合にはステップ9
12に進み、基礎進角目標値Abを進角目標値Aoとして
バルブタイミング制御装置の作動が制御される。すなわ
ち、基礎進角目標値Abを進角目標値AoとしてOCV2
に供給する制御信号のデューティ値が算出され、フィー
ドバック制御される。
【0093】一方、ステップ908において、基礎進角
目標値Abが進角目標上限値Alより大きいと判定された
場合にはステップ910に進み、進角目標上限値Al
進角目標値Aoとしてバルブタイミング制御装置の作動
が制御される。以上の説明及び図24に示したマップか
ら明らかなように、この方法は始動時作動油温と機関冷
却水温の両方が低い場合にのみ、バルブタイミング制御
装置の変位角(進角/遅角)目標値に制限値を設定し、
変位角を小さく抑えようとするものである。バルブタイ
ミング制御装置の変位角を小さく抑えることで、バルブ
タイミング制御装置の応答性の悪化に伴ってバルブオー
バーラップ量が過大になり、それによって燃焼悪化が生
じることを防止することができる。
【0094】実際の機関の運転においては、始動時作動
油温が低くても機関冷却水温がある程度高い場合には、
バルブタイミング制御装置の応答性の悪化に起因して燃
焼悪化を生じる場合は少ない。これは、機関冷却水温が
ある程度高い場合においては機関冷却水温が低い場合に
比べて機関内の燃焼条件が改善されるためであると考え
られる。したがって、この方法のように始動時作動油温
と機関冷却水温とに応じてバルブタイミング制御装置の
変位角目標値の制限値を決定することによって、より実
際の機関運転にあった制御が実現できる。
【0095】なお、上記の説明では進角する場合を例に
とったが、遅角する場合においても、同様にバルブタイ
ミング制御装置の作動が制御される。この場合には、図
24に相当する遅角目標下限値を決定するマップを準備
しておき、基礎遅角目標値が推定始動時作動油温Tb1
機関冷却水温Twとに応じて決定される遅角目標下限値
未満であれば、基礎遅角目標値ではなく遅角目標下限値
を遅角目標値としてバルブタイミング制御装置の作動が
制御される。この場合、基礎遅角目標値、遅角目標下限
値、遅角目標値は何れも負の値である。また、図24に
相当するマップを別に準備することなく、進角の場合と
遅角の場合で図24のマップから得られる値の正負を替
えて利用するようにしても良い。
【0096】また、ここでは推定始動時作動油温と機関
冷却水温とに対して変位角目標値の制限値を対応させた
マップを使用し、これによって決定される制限値に変位
角目標値を制限することによってバルブタイミング制御
装置の作動を制御する方法を示したが、推定始動時作動
油温と機関冷却水温とに対して上述したようなデューテ
ィ値補正値、もしくは変位角目標値の補正値または補正
係数を対応させたマップを作成し、上述したこれらの値
を利用するバルブタイミング制御装置の作動制御方法と
同様にしてその作動を制御するようにしてもよい。これ
らの方法によってもバルブタイミング制御装置の応答性
悪化及びそれに起因する不都合を回避することが可能で
ある。
【0097】なお、上述した作動油温(または始動時作
動油温)を推定する各方法を互いに組合せて別の作動油
温推定方法を構成してもよい。例えば、図10に示され
た作動油温推定方法において、始動時作動油温Tb1を始
動時における機関冷却水温T w1、吸入空気温Ta1、EC
T油温Tm1の最低温度としてもよい。また同様に、上述
したバルブタイミング制御装置の作動を制御する各方法
を互いに組合せて別の方法を構成することも可能であ
る。
【0098】なお、本明細書におけるバルブタイミング
制御装置の作動制御方法の説明においては、主に吸気バ
ルブが進角する場合を例に取って説明したが、上述の各
方法は、排気バルブの場合や遅角する場合についても適
用可能であり、それによって作動油低温時等における応
答性の改善等、同様の効果を得ることができる。また、
当然のことながら、上述のバルブタイミング制御装置の
作動を制御する各方法は、作動油温を直接測定可能な場
合には、その直接測定した作動油温を利用して実施する
ことも可能である。
【0099】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、作動油低
温時等におけるバルブタイミング制御装置の応答性悪化
またはそれに起因する不都合を回避することができる。
特に1番目の発明によれば、燃焼悪化の生じ易い条件に
おいて、バルブタイミング制御装置の応答性悪化による
バルブオーバーラップ量過大に起因して燃焼悪化が生じ
るのを防止することができる。
【0100】2番目及び3番目の発明によれば、特に燃
焼悪化の起き易い条件において、バルブタイミング制御
装置の応答性悪化を防止することができ、応答性悪化に
伴う燃焼悪化等の不都合を回避することができる。4番
目の発明によれば、特にバルブタイミング制御装置の応
答性悪化の生じ易い条件において、バルブオーバーラッ
プ量過大に起因して燃焼悪化が生じるのを防止すること
ができる。
【0101】5番目から7番目の発明によれば、バルブ
タイミング制御装置の応答性悪化の生じ易い条件におい
て、その応答性悪化を防止することができ、応答性悪化
に伴う燃焼悪化等の不都合を回避することができる。8
番目及び9番目の発明によれば、バルブタイミング制御
装置の所定の応答性を確保することができる。
【0102】10番目及び11番目の発明によれば、作
動油の温度の推定精度が向上され、バルブタイミング制
御装置をより適切に制御することができる。12番目の
発明によれば、作動油の内燃機関始動時の温度及び機関
運転中の温度が高めに推定されることが防止されるの
で、これら温度に基づくバルブタイミング制御装置の制
御が不十分なものとなることが防止される。
【0103】13番目から15番目の発明によれば、作
動油の内燃機関始動時の温度及び機関運転中の温度の推
定精度が向上され、バルブタイミング制御装置をより適
切に制御することができる。16番目の発明によっても
10番目及び11番目の発明と同様の効果を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のバルブタイミング制御装置の
構成を説明するための図である。
【図2】図2は、作動油温が低温である場合と高温であ
る場合とにおけるバルブタイミング制御装置の進角/遅
角速度とOCVへの制御信号のデューティ値との関係を
示した図である。
【図3】図3は、作動油温を推定するためのマップであ
る。
【図4】図4は、作動油温を推定する方法を説明するた
めのフローチャートである。
【図5】図5は、機関停止後の作動油温及び機関冷却水
温の経時変化を説明する図である。
【図6】図6は、機関停止後の機関冷却水温と吸入空気
温との経時変化を示しており、機関停止が設定時間以上
継続しても、これらの温度が一致しない場合を示してい
る。
【図7】図7は、始動時作動油温を推定する方法を説明
するためのフローチャートである。
【図8】図8は、図7に示した方法で使用する補正値を
求めるための線図であり、図8(a)が機関冷却水温変
化に対応した補正値を求める線図であり、図8(b)が
吸入空気温変化に対応した補正値を求める線図である。
【図9】図9は、機関始動後に機関冷却水温及び吸入空
気温が低下した場合の現実の作動油温、機関冷却水温、
吸入空気温の経時変化を示した図である。
【図10】図10は、作動油温を推定する別の方法を説
明するためのフローチャートである。
【図11】図11は、図10に示した方法で使用する補
正係数を求めるための線図であり、図11(a)が吸入
空気量に、図11(b)が機関回転数に、図11(c)
が機関冷却水温に、図11(d)が吸入空気温度にそれ
ぞれ関係する補正係数を求める線図である。
【図12】図12は、作動油温を推定する別の方法を説
明するためのフローチャートである。
【図13】図13は、図12に示した方法で使用する線
図であって、ECT油の上昇温度のうちのECT自体の
発熱による寄与分を求めるための線図である。
【図14】図14は、図12に示した方法で使用する補
正値を求めるための線図である。
【図15】図15は、バルブタイミング制御装置の作動
を制御する方法を説明するためのフローチャートであ
る。
【図16】図16は、図15に示した方法で使用する進
角目標上限値を求める図である。
【図17】図17は、バルブタイミング制御装置の作動
を制御する別の方法を説明するためのフローチャートで
ある。
【図18】図18(a)は、図17に示した方法で使用
する補正係数を求めるための線図であり、図18(b)
は、図17に示した方法で使用する補正値を求めるため
の線図である。
【図19】図19は、バルブタイミング制御装置の作動
を制御する別の方法を説明するためのフローチャートで
ある。
【図20】図20は、図19に示した方法で使用するオ
フセット量を求めるための線図である。
【図21】図21は、バルブタイミング制御装置の作動
を制御する別の方法を説明するためのフローチャートで
ある。
【図22】図22は、図21に示した方法で使用するデ
ューティ値補正値を求めるためのマップである。
【図23】図23は、バルブタイミング制御装置の作動
を制御する別の方法を説明するためのフローチャートで
ある。
【図24】図24は、図23に示した方法で使用する進
角目標上限値を求めるためのマップである。
【符号の説明】
1…可変バルブタイミング機構 2…オイルコンロールバルブ(OCV) 3…作動油ポンプ(エンジンオイルポンプ) 4…電子制御回路(ECU) 6…タイミングプーリー 8…ハウジング 10…進角油圧室 12…遅角油圧室 14…ベーン体 16…スプール 18…リニアソレノイドアクチュエータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3G018 AB17 BA33 CA20 DA58 DA60 EA02 EA16 EA17 EA21 EA22 EA26 EA35 FA07 GA04 3G092 AA11 DA09 DG05 EA09 EA17 EA28 EA29 EC02 EC08 EC09 FA06 FA24 HA01Z HA04Z HA13X HA13Z HE01Z HE03Z HE08Z HE09Z HF11Z HF12Z

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油圧によって制御され、クランク軸とカ
    ム軸の相対回転位相を可変設定可能な可変バルブタイミ
    ング機構と、 該可変バルブタイミング機構へ供給する作動油の圧力を
    制御することによって、上記可変バルブタイミング機構
    を制御する油圧制御手段とを備え、 内燃機関の運転状態に応じて目標相対回転位相が設定さ
    れ、該目標相対回転位相にクランク軸とカム軸の相対回
    転位相が一致するように制御する、内燃機関のバルブタ
    イミング制御装置において、 内燃機関冷却水の温度と上記作動油の内燃機関始動時の
    温度とに応じて上記目標回転位相の設定範囲が制限され
    る、内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 【請求項2】 油圧によって制御され、クランク軸とカ
    ム軸の相対回転位相を可変設定可能な可変バルブタイミ
    ング機構と、 該可変バルブタイミング機構へ供給する作動油の圧力を
    制御することによって、上記可変バルブタイミング機構
    を制御する油圧制御手段とを備え、 内燃機関の運転状態に応じて目標相対回転位相が設定さ
    れ、該目標相対回転位相にクランク軸とカム軸の相対回
    転位相が一致するように制御する、内燃機関のバルブタ
    イミング制御装置において、 内燃機関冷却水の温度と上記作動油の内燃機関始動時の
    温度とに応じて上記目標回転位相が補正される、内燃機
    関のバルブタイミング制御装置。
  3. 【請求項3】 油圧によって制御され、クランク軸とカ
    ム軸の相対回転位相を可変設定可能な可変バルブタイミ
    ング機構と、 該可変バルブタイミング機構へ供給する作動油の圧力を
    制御することによって、上記可変バルブタイミング機構
    を制御する油圧制御手段であって、内燃機関の運転状態
    に応じて設定された目標相対回転位相に対応する制御信
    号が供給されて、該目標相対回転位相にクランク軸とカ
    ム軸の相対回転位相が一致するように上記作動油の圧力
    を制御する油圧制御手段とを備える、内燃機関のバルブ
    タイミング制御装置において、 内燃機関冷却水の温度と上記作動油の内燃機関始動時の
    温度とに応じて上記制御信号が補正される、内燃機関の
    バルブタイミング制御装置。
  4. 【請求項4】 油圧によって制御され、クランク軸とカ
    ム軸の相対回転位相を可変設定可能な可変バルブタイミ
    ング機構と、 該可変バルブタイミング機構へ供給する作動油の圧力を
    制御することによって、上記可変バルブタイミング機構
    を制御する油圧制御手段とを備え、 内燃機関の運転状態に応じて目標相対回転位相が設定さ
    れ、該目標相対回転位相にクランク軸とカム軸の相対回
    転位相が一致するように制御する、内燃機関のバルブタ
    イミング制御装置において、 上記作動油の温度と圧力とに応じて上記目標回転位相の
    設定範囲が制限される、内燃機関のバルブタイミング制
    御装置。
  5. 【請求項5】 油圧によって制御され、クランク軸とカ
    ム軸の相対回転位相を可変設定可能な可変バルブタイミ
    ング機構と、 該可変バルブタイミング機構へ供給する作動油の圧力を
    制御することによって、上記可変バルブタイミング機構
    を制御する油圧制御手段とを備え、 内燃機関の運転状態に応じて目標相対回転位相が設定さ
    れ、該目標相対回転位相にクランク軸とカム軸の相対回
    転位相が一致するように制御する、内燃機関のバルブタ
    イミング制御装置において、 上記作動油の温度と圧力とに応じて上記目標回転位相が
    補正される、内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  6. 【請求項6】 油圧によって制御され、クランク軸とカ
    ム軸の相対回転位相を可変設定可能な可変バルブタイミ
    ング機構と、 該可変バルブタイミング機構へ供給する作動油の圧力を
    制御することによって、上記可変バルブタイミング機構
    を制御する油圧制御手段であって、内燃機関の運転状態
    に応じて設定された目標相対回転位相に対応する制御信
    号が供給されて、該目標相対回転位相にクランク軸とカ
    ム軸の相対回転位相が一致するように上記作動油の圧力
    を制御する油圧制御手段とを備える、内燃機関のバルブ
    タイミング制御装置において、 上記作動油の温度に応じて上記制御信号が補正される、
    内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  7. 【請求項7】 油圧によって制御され、クランク軸とカ
    ム軸の相対回転位相を可変設定可能な可変バルブタイミ
    ング機構と、 該可変バルブタイミング機構へ供給する作動油の圧力を
    制御することによって、上記可変バルブタイミング機構
    を制御する油圧制御手段であって、内燃機関の運転状態
    に応じて設定された目標相対回転位相に対応する制御信
    号が供給されて、該目標相対回転位相にクランク軸とカ
    ム軸の相対回転位相が一致するように上記作動油の圧力
    を制御する油圧制御手段とを備える、内燃機関のバルブ
    タイミング制御装置において、 上記作動油の温度と圧力とに応じて上記制御信号が補正
    される、内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  8. 【請求項8】 上記補正が、上記補正で使用する補正値
    または補正係数を上記温度に応じて決定する線図、もし
    くは上記温度と圧力とに応じて決定するマップに基づい
    て行われ、その補正後の目標回転位相または制御信号に
    おいて制御した時に所定の応答性が得られない場合に
    は、上記線図またはマップの該当する部分が所定の応答
    性が得られるように修正される、請求項5から7の何れ
    か一項に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  9. 【請求項9】 上記補正が、上記補正で使用する補正値
    または補正係数を上記の二つの温度に応じて決定するマ
    ップに基づいて行われ、その補正後の目標回転位相また
    は制御信号において制御した時に所定の応答性が得られ
    ない場合には、上記マップの該当する部分が所定の応答
    性が得られるように修正される、請求項2または3に記
    載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  10. 【請求項10】 上記作動油の温度は、内燃機関始動後
    の内燃機関冷却水上昇温度と上記作動油の内燃機関始動
    時の温度とに基づいて推定される、請求項4から8の何
    れか一項に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装
    置。
  11. 【請求項11】 上記作動油の温度は、内燃機関吸入空
    気量、内燃機関回転数、内燃機関冷却水温、内燃機関吸
    入空気温のうちの少なくとも何れか一つと、上記作動油
    の内燃機関始動時の温度とに基づいて推定される、請求
    項4から8の何れか一項に記載の内燃機関のバルブタイ
    ミング制御装置。
  12. 【請求項12】 上記作動油の内燃機関始動時の温度
    は、内燃機関始動時における内燃機関冷却水温、内燃機
    関吸入空気温、トランスミッション油温のうちの最低温
    度であると推定される、請求項1から3、もしくは請求
    項9から11の何れか一項に記載の内燃機関のバルブタ
    イミング制御装置。
  13. 【請求項13】 上記作動油の内燃機関始動時の温度
    は、内燃機関始動時におけるトランスミッション油温で
    あると推定される、請求項1から3、もしくは請求項9
    から11の何れか一項に記載の内燃機関のバルブタイミ
    ング制御装置。
  14. 【請求項14】 内燃機関停止時間が予め定めた時間以
    上である場合には、上記作動油の内燃機関始動時の温度
    は、内燃機関始動時における内燃機関冷却水温または内
    燃機関吸入空気温であると推定される、請求項1から
    3、もしくは請求項9から13の何れか一項に記載の内
    燃機関のバルブタイミング制御装置。
  15. 【請求項15】 内燃機関始動直後に内燃機関冷却水温
    または内燃機関吸入空気温が低下した場合には、上記の
    推定された内燃機関始動時作動油温度は、内燃機関冷却
    水温または内燃機関吸入空気温の低下温度に応じて補正
    される、請求項12から14の何れか一項に記載の内燃
    機関のバルブタイミング制御装置。
  16. 【請求項16】 上記作動油の温度は、トランスミッシ
    ョン油の温度と、上記トランスミッション油への内燃機
    関からの伝熱量とに基づいて推定される、請求項4から
    8の何れか一項に記載の内燃機関のバルブタイミング制
    御装置。
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