JP5181720B2 - 防虫ネット - Google Patents
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Description
本願発明は、適度な通気性および透光性を有し、且つ、優れた物理的強度を備えた防虫ネットを提供することを課題とする。
[2]経糸が熱可塑性樹脂のモノフィラメントである発明1記載の防虫ネット;
[3]モノフィラメントが防虫活性化合物が練りこまれてなる熱可塑性樹脂のモノフィラメントである発明1記載の防虫ネット;
[4]モノフィラメントが防虫活性化合物を熱可塑性樹脂に予め混練した後に紡糸してなるモノフィラメントである発明1記載の防虫ネット;
[5]防虫ネットが略六角形のホールを有する基本組織を含む発明1記載の防虫ネット;および
[6]略六角形のホール1個当り3個のループを有する基本組織を含む発明1記載の防虫ネット;
である。
また、本フィラメントは通常、熱可塑性樹脂に防虫活性化合物を予め添加しておき混練後に紡糸して製造するか、熱可塑性樹脂製のモノフィラメントを防虫活性化合物が溶解・分散されてなる液に浸漬する等の方法により製造され、好ましくは防虫活性化合物が練りこまれてなる熱可塑性樹脂を用いて紡糸することにより製造することが好ましい。
本フィラメントに用いられる樹脂は、熱可塑性樹脂を主体とするものであるが、熱可塑性樹脂と熱可塑性エストラマー等とが含有されてなる混合物を用いることもできる。ここでの熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエステル、ナイロン、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂および熱可塑性エストラマーは、それぞれ2種類以上を混合して用いてもよく、混合する樹脂の種類および配合比率は用いる防虫活性化合物の種類、含有量等に応じて適宜選択することができる。
オレフィン系樹脂としては、具体的には例えばポリエチレン(低密度ポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む)、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン)、エチレンと炭素原子数3以上のα−オレフィンとの共重合体等のポリエチレン樹脂、プロピレン単独重合体、プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンとのランダム共重合体やブロック共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体のエチレン性不飽和結合を有するカルボン酸誘導体とエチレンとの共重合体等の単独あるいはこれらの混合物が挙げられる。
熱可塑性エストラマーとしては、オレフィン系熱可塑性エストラマー、スチレン系熱可塑性エストラマー等が挙げられ、具体的には例えば、オレフィン系熱可塑性エストラマーとしては、エチレンまたはプロピレンを主成分とするエストラマーが挙げられ、スチレン系熱可塑性エストラマーとしては、ポリスチレンブロックとポリイソプレンブロックおよび/またはポリブタジエンブロックのブロック共重合体およびその水素添加物が挙げられる。
本フィラメントに用いられる防虫活性化合物は、害虫忌避作用や殺虫活性を有する防虫活性化合物であれば特に限定されるものではないが、通常分子量が1000以下の親油性の有機化合物である。また防虫活性化合物は、通常25℃における蒸気圧が1×10-4mmHg以下の防虫活性化合物であり、好ましい防虫活性化合物としては、25℃における蒸気圧が1×10-4mmHg以下であるペルメトリン、デルタメストリン等のピレスロイド化合物;クロチアニジン、ジノテフラン等のネオニコチノイド化合物;フィプロニル、エチプロール等のアリールピラゾール化合物;フェノカルブ、メトキシジアゾン等のカーバメート化合物;フェニトロチオン等の有機リン化合物が挙げられる。より好ましい防虫活性化合物としては、25℃における蒸気圧が1×10-4mmHg以下のピレスロイド化合物である。最も好ましい防虫活性化合物の具体例としては、例えばペルメトリン、シペルメトリン、シフェノトリン、d−フェノトリン、レスメトリン、d−レスメトリン、フェンバレレート、エスフェンバレレート、エスビオトリン、フェンプロパトリン、エトフェンプロックス、トラロメトリン、デルタメトリン、シラフルオフェン、シフルトリン、ビフェントリン、アレスリン、d−アレスリン、ピレトリン、テトラメスリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、ジメフルトリン、プロフルトリン等である。また、一般的に公知である例えばピペロニルブトキサイド等の共力剤を混合してもよく、2種以上の防虫活性化合物が混合物されてもよく、それらに共力剤が混合されていてもよいが、これらに限定されるものではない。
本フィラメントおよび本発明の防虫ネットの製造方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
(1)樹脂組成物の製造(本フィラメントの原料製造)
例えば所要量の熱可塑性樹脂と所要量の防虫活性化合物とを溶融混錬して一度に混合して防虫活性化合物を含有する熱可塑性樹脂組成物(以下、本樹脂組成物と記す。)を製造する方法や、所要量の熱可塑性樹脂のうちの一部と所要量の防虫活性化合物とを予め溶融混錬してマスターバッチを製造し、次に該マスターバッチと熱可塑性樹脂の残部とを溶融混錬して本樹脂組成物を製造する方法が挙げられる。
前記の本樹脂組成物の製造方法のうち、マスターバッチを経由する方法においては、マスターバッチの製造の工程に用いる熱可塑性樹脂とマスターバッチから本樹脂組成物を製造する工程に用いる熱可塑性樹脂とは同一でも相異なっていてもよい。例えば、マスターバッチの製造には直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用い、次いで本樹脂組成物を製造には高密度ポリエチレン(HDPE)を用いる方法等が挙げられる。
本樹脂組成物における防虫活性化合物の含有量は、該防虫活性化合物の種類、防虫ネットの使用形態および使用期間によって適宜変更することができるが、通常は本樹脂組成物に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。
本樹脂組成物には、更に必要により防虫活性化合物の担持能を有する粉状担体が添加されていてもよく、該粉状担体としては例えばタルク、カオリン、クレー、シリカ系微粒子、炭素、デキストリン類等の微粉末状担体が挙げられる。
本樹脂組成物に該粉状担体が含有される場合、用いられる該粉状担体の平均粒経は一般的には0.01〜40μmの範囲であり、好ましくは0.03〜20μmの範囲であり、本発明の害虫防除材に対する含有割合は、本樹脂組成物に対して通常は0.01〜10重量%の割合、好ましくは0.5〜5重量%の割合である。
本樹脂組成物に粉状担体を含有せしめる方法としては、前記の本樹脂組成物の製造方法の各工程において、防虫活性化合物および熱可塑性樹脂との溶融混錬時に、併せて粉状担体を混合する方法が挙げられ、また、防虫活性化合物と粉状担体とを予め混合して防虫活性化合物担持体とし、次いで、熱可塑性樹脂に防虫活性化合物担持体を溶融混合する方法が挙げられる。より詳しくは例えば、防虫活性化合物と粉状担体とを予め混合して得られる防虫活性化合物担持体と所要量の熱可塑性樹脂のうちの一部とを溶融混合してマスターバッチを製造し、次に該マスターバッチと熱可塑性樹脂の残部とを溶融混錬して製造する方法が挙げられる。
本樹脂組成物には、粉状担体と同様、酸化防止剤、顔料、滑剤等の熱可塑性樹脂の使用に際して通常配合される一般的な配合剤が適宜配合されていてもよい。
(2)本フィラメントの紡糸方法
上記方法により得られた本樹脂組成物を用いて本フィラメントを製造する場合には、紡糸方法として公知な方法を使用し、紡糸条件を適宜調整することにより、本発明に適する範囲の本フィラメントを製造することができる。
紡糸方法として、例えば押出し延伸法を用いる場合には、紡糸温度、延伸倍率、延伸速度、冷却温度、繊維の太さ等の紡糸条件を調製し、引張強さが700〜1500cNの本フィラメントを製造する。本フィラメントは通常100〜350デニール(denier)の範囲であり、好ましくは130〜230デニール、より好ましくは150〜230デニールの範囲である。
(3)本発明の防虫ネットの編成方法(編み機によるネット製造方法)
本発明の防虫ネットは本フィラメントを用いて、経編編成してなるネットであって、防除目的とする害虫の大きさに合わせた略均一の形状のホールが形成される。本発明の防虫ネットの基本組織は多数の本フィラメントを経糸として用いたラッセル編みにより形成することができ、適宜ラッセル編み機のギヤ比、編み速度等の条件を調整することにより、単位面積当りの重量が35〜55g/m2である本発明の防虫ネットを製造することができる。
本発明の防虫ネットにおけるホールサイズは適宜定めることができるが、通常は5〜2mm、好ましくは4〜2mmであり、1インチ四方のホール数は通常50〜100個、好ましくは60〜90個である。また、ホールの形状は通常略六角形または略菱形である。図1〜2に本発明の防虫ネットの基本組織の構造を図示する。
本発明の防虫ネットとしては、略六角形のホールを有する基本組織を含むものが好ましく、更に略六角形のホール1個当り、経糸により形成される3個のループからなる基本組織を含むものが好ましい。
本発明の防虫ネットにおいては、図1または図2の基本組織に加えて、更に補強用経糸を用いてもよい。該補強用経糸は略六角形または略菱形を形成する頂点部分の編目に絡ませる。例えば、図1のような略六角形の基本組織の場合は、補強用経糸は基本組織の編目a→b→c→dに絡まる場合が挙げられる。図2のような略菱形の基本組織の場合は、補強用経糸が基本組織の編目のg→j→iに絡まる場合が挙げられる。
(製造例1)
非晶質シリカ12部、ペルメトリン12.4部および安定剤0.4部を混合攪拌し、その後、ポリエチレン樹脂66.8部、ステアリン酸亜鉛7.8部および顔料0.6部を加えて、150℃で溶融混錬した後、押出し器から押出し、適当な長さで切断することにより、防虫活性化合物を含有する樹脂組成物ペレットを製造した。
次に得られた樹脂組成物ペレット17部およびポリエチレン樹脂87部を、220−240℃で溶融混錬し、防虫活性化合物を含有する樹脂組成物を得た。
(製造例2−1)
製造例1で得られた樹脂組成物を原料として、下記の紡糸条件で押出し法により溶融紡糸し、防虫活性化合物を含有するモノフィラメント1を製造した。
<紡糸条件1>
紡糸温度 :140−190℃
スクリュー回転速度 :48rpm
シリンダー経(D) :50mm
シリンダー長(L) :1500mm
L/D比 :30
ダイス数 :150口
紡糸時の引き取り速度 :111m/分
延伸水槽温度 :99℃
延伸倍率 :8倍
(製造例2−2)
製造例1で得られた樹脂組成物を原料として、下記の紡糸条件で押出し法により溶融紡糸し、防虫活性化合物を含有するモノフィラメント2を製造した。
<紡糸条件2>
紡糸温度 :140−180℃
スクリュー回転速度 :49rpm
シリンダー経(D) :50mm
シリンダー長(L) :1500mm
L/D比 :30
ダイス数 :150口
紡糸時の引き取り速度 :111m/分
延伸水槽温度 :99℃
延伸倍率 :8倍
モノフィラメント1および2の物性を以下に記す。
・引張強さ
JIS L 1013「化学繊維フィラメント糸試験方法」に記載の引張強さの試験法に従い測定する。
(製造例3)
製造例2−1および2−2で得られたモノフィラメントを用いて、ラッセル編み機で防虫ネットを製造した。
得られた防虫ネットの形状等を表2に記す。
尚、製造した防虫ネットの単位面積あたりの重量は、下記の方法により測定した。
・単位面積あたりの重量
(1)編みあがった防虫ネットを10cm×10cmの正方形に切り取り、精密天秤で0.1mg単位まで正確に秤量する。
(2)秤量した重量から下記式を用いて1m2のあたりの防虫ネットの重量を計算する。
(100cm2のネットの重量)×100=単位面積あたりの重量(g/m2)
(3)ひとつのネットあたり5箇所以上について、上記操作を実施し、その結果より平均値を求めて(小数点代1位で四捨五入)、これを測定結果とする。
次いで、得られた本発明の防虫ネットの引裂け強さを評価した。
(評価例)
防虫ネットの引裂け強さはJIS L 1018「メリヤス生地試験方法」に記載の引裂け強さ試験法基づく測定方法により行った。
結果を表2示す。
Claims (3)
- 引張強さが700〜1500cNで100〜350デニールである、防虫活性化合物が練りこまれてなる熱可塑性樹脂のモノフィラメントの経糸を用いて、経編編成されてなる防虫ネットであって、
該防虫ネットがホール1個当り3個のループを有する略六角形のホールを有する基本組織からなり、単位面積当りの重量が35〜55g/m2となるように経編編成されてなる防虫ネット。 - 略六角形のホールサイズが4〜2mmであり、1インチ四方のホール数が60〜90個である請求項1記載の防虫ネット。
- モノフィラメントが25℃における蒸気圧が1×10 -4 mmHg以下のピレスロイド化合物をオレフィン系熱可塑性樹脂に予め混練した後に紡糸してなるモノフィラメントである請求項2記載の防虫ネット。
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