JP5181016B2 - エンジンのバルブ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの吸気バルブ又は排気バルブを開閉させるカムシャフトの回転位相を変化させて、吸気バルブ又は排気バルブの開閉タイミングを制御するエンジンのバルブ制御装置に関する。
エンジンの吸気バルブ又は排気バルブの開閉タイミングを制御するための装置としては、例えば、エンジンのクランクシャフトの駆動力が伝達されるスプロケットと動弁機構を構成するカムシャフトが一体となって回動するように構成されて、スプロケットとカムシャフトとは同期して回転するが、電磁ブレーキ手段により回転ドラムに制動力が作用すると、回転ドラムにはスプロケットに対する回転遅れが生じ、この回転ドラムの回転遅れに連係して、スプロケットに対するカムシャフトの位相が変わる位相可変装置が提案されている(特許文献1参照)。
この位相可変装置においては、クラッチケースの摩擦材と回転ドラム間の相対摺動部には、カムシャフト内に設けたオイル通路、クラッチケースの半径方向内側に設けたオイル溜まりおよびクラッチケースの内周壁前縁部に設けたオイル導入用の切り欠きを介してエンジンオイルが導入される構造を採用しているので、摩擦材と回転ドラムの相対摺動面を冷却することができる。
特開2002−371814号公報(第4頁から第6頁、図1〜図4参照)
特許文献1に記載されている位相可変装置では、スプロケット本体に対するカムシャフトの位相を変化させるに際して、位相角の初期位置以外では、ねじりコイルばね(リターンスプリング)の弾性力に抗して、電磁クラッチの駆動によって回転ドラムに制動力を作用させなければならず、位相角可変時および位相角を可変にした後(位相角を決定した後)も、電磁クラッチの駆動に伴う電力が常時消費される。しかも、回転ドラムに作用する制動力に応じて中間部材をカムシャフトの軸方向に沿って移動させるために、中間部材にヘリカルスプラインを形成し、スプロケット本体には、中間部材のヘリカルスプラインと噛み合うヘリカルスプラインを形成し、内筒部には、中間部材のヘリカルスプラインと噛み合うヘリカルスプラインを形成し、中間部材の軸方向の移動距離を位相角に変換する位相角変換機構を採用しているので、位相角変換機構が複雑となり、コストアップとなる。
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、位相角を決定した後は、電力を消費することなく、位相角を決定した位相角に保持することができるエンジンのバルブ制御装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、請求項1に係るエンジンのバルブ制御装置においては、エンジンのクランクシャフトの駆動力が伝達される外筒部と、前記外筒部内周側に相対回転可能に配置されて、前記エンジンの吸気バルブ又は排気バルブを開閉させるカムシャフトに同軸上に連結された内筒部と、筒状に形成されてその一部が前記外筒部に摺動自在に連結され、且つ前記内筒部外周に前記内筒部の軸方向に沿って移動自在に配置された中間部材と、前記エンジンの運転状態に応じて、前記中間部材の軸方向における位置を制御する位置制御機構と、前記中間部材の軸方向における位置に応じて前記外筒部外周のスプロケットと前記カムシャフト間の位相を可変に調整する位相調整機構とを備え、前記内筒部と前記中間部材は前記位相調整機構を介して互いに連結され、前記位置制御機構は、前記中間部材外周の軸方向一端側に、前記中間部材の軸心と直交する線に対して傾斜する方向で且つ周方向に沿って形成された第1のランプと、前記中間部材外周の軸方向他端側に、前記中間部材の軸心と直交する線に対して、前記第1のランプとは逆方向に傾斜する方向で且つ周方向に沿って形成された第2のランプと、前記第1のランプと前記第2のランプを間にして、前記中間部材外周側に互いに分かれて配置されているとともに、前記内筒部の周囲に回転可能に配置された複数の回転ドラムと、進角時と遅角時に電磁力を発生し、それ以外のときには電磁力の発生を停止し、前記進角時には、前記複数の回転ドラムのうち一方の回転ドラムに回転力を付与し、遅角時には、前記複数の回転ドラムのうち他方の回転ドラムに回転力を付与する複数の電磁クラッチと、前記中間部材外周のうち前記一方の回転ドラムと前記他方の回転ドラムとの間の部位に回転自在に配置されて、前記一方の回転ドラムまたは前記他方の回転ドラムからの回転力を受けて回転するローラとを備え、前記一方の回転ドラムの、前記他方の回転ドラムとの対向面側には、前記第1のランプと係合可能であって、前記第1のランプを前記カムシャフト側に押圧するための第3のランプが形成され、前記他方の回転ドラムの、前記一方の回転ドラムとの対向面側には、前記第2のランプと係合可能であって、前記第2のランプを前記カムシャフトから離れる方向に押圧するための第4のランプが形成されることによって、前記電磁クラッチへの通電時に前記中間部材を軸方向に変位させ、前記電磁クラッチへの非通電時には、前記外筒部外周のスプロケットまたは前記カムシャフトから前記中間部材へのトルク入力に対して、前記トルク入力に伴う前記中間部材の軸方向変位を阻止し、前記位相調整機構は、前記中間部材に固定されて、その一部が前記中間部材内周から前記内筒部外周に向けて突出されたピンと、前記ピンを最進角位相に対応した位置から最遅角位相に対応して位置まで案内する溝として、前記内筒部外周にスパイラル状に形成されたガイド溝とを備え、前記ピンは、前記中間部材の軸方向変位に応じて前記ガイド溝内を移動し、前記中間部材の軸方向変位に伴う力を前記内筒部の周方向変位のための力として前記ガイド溝に付与し、前記中間部材の軸方向変位に応答して、前記中間部材の軸方向変位を前記内筒部の周方向変位に変換してなる構成とした。
(作用)位置調整機構は、外筒部外周のスプロケットとカムシャフト間の位相を可変に調整するときにのみ通電状態となって、中間部材を軸方向に変位させ、それ以外のときには非通電状態となって中間部材の軸方向変位を阻止する。エンジンからの回転力が外筒部から中間部材と内筒部を介してカムシャフトに伝達されているときに、通電状態の位置調整機構により、中間部材が軸方向に変位すると、この軸方向変位が位相調整機構により、内筒部の周方向変位に変換され、内筒部の周方向変位に伴って外筒部外周のスプロケットとカムシャフト間の位相が調整される。すなわち、中間部材が最進角位置と最遅角位置との間にあるときに、中間部材が軸方向変位すると、ピンが中間部材の軸方向変位に応じてガイド溝内を移動し、中間部材の軸方向変位に伴う力が内筒部の周方向変位のための力としてガイド溝に付与され、中間部材の軸方向変位に伴って内筒部が周方向に変位し、中間部材の軸方向における位置に応じて、外筒部外周のスプロケットとカムシャフト間の位相を可変に調整することができるとともに、中間部材を進角位置または遅角位置に位置決めすることができる。外筒部外周のスプロケットとカムシャフト間の位相が決定された後は、外筒部外周のスプロケットまたはカムシャフトから中間部材へのトルク入力に対して、このトルク入力に伴う中間部材の軸方向変位を非通電状態の位置調整機構が阻止する。このため、外筒部外周のスプロケットとカムシャフト間の位相が決定された後は、外筒部外周のスプロケットまたはカムシャフトからトルクが入力されても、電力を消費することなく、外筒部外周のスプロケットとカムシャフト間の位相を指定の位相に保持することができ、消費電力を低減することができる。
具体的には、進角制御するに際して、中間部材が外筒部とともに回転しているときに、一方の電磁クラッチから電磁力を発生させて、一方の回転ドラムに回転力を付与すると、一方の回転ドラムの回転に伴って、一方の回転ドラムの第3のランプが第1のランプをカムシャフト側に押圧するとともに、ローラを回転させる。このとき、中間部材は、第3のランプが第1のランプをカムシャフト側に押圧するに伴って、カムシャフト側に移動する。この後、一方の電磁クラッチを非通電状態とすると、一方の回転ドラムの回転が停止されるとともに、中間部材の移動が停止され、中間部材は任意の進角位置に位置決めされる。一方、中間部材が進角位置にあるときに、他方の電磁クラッチから電磁力を発生させて、他方の回転ドラムに回転力を付与すると、他方の回転ドラムの回転に伴って、他方の回転ドラムの第4のランプが第2のランプをカムシャフトから離れる方向に押圧するとともに、ローラを回転させる。このとき、中間部材は、第4のランプが第2のランプをカムシャフトから離れる方向に押圧するに伴って、カムシャフトから離れる方向に移動する。この後、他方の電磁クラッチを非通電状態とすると、中間部材は任意の遅角位置に位置決めされる。すなわち、中間部材を任意の進角または遅角位置に移動させるときにのみいずれかの電磁クラッチを通電状態とし、それ以外のときには各電磁クラッチを非通電状態とすることで、中間部材を任意の進角または遅角位置にセットすることができ、消費電力を低減することができる。
請求項2に係るエンジンのバルブ制御装置においては、エンジンのクランクシャフトの駆動力が伝達される外筒部と、前記外筒部内周側に相対回転可能に配置されて、前記エンジンの吸気バルブ又は排気バルブを開閉させるカムシャフトに同軸上に連結された内筒部と、筒状に形成されてその一部が前記外筒部に摺動自在に連結され、且つ前記内筒部外周に前記内筒部の軸方向に沿って移動自在に配置された中間部材と、前記エンジンの運転状態に応じて、前記中間部材の軸方向における位置を制御する位置制御機構と、前記中間部材の軸方向における位置に応じて前記外筒部外周のスプロケットと前記カムシャフト間の位相を可変に調整する位相調整機構とを備え、前記内筒部と前記中間部材は前記位相調整機構を介して互いに連結され、前記位置制御機構は、前記中間部材外周の軸方向一端側に、前記中間部材の軸心と直交する線に対して傾斜する方向で且つ周方向に沿って形成された第1のランプと、前記中間部材外周の軸方向他端側に、前記中間部材の軸心と直交する線に対して、前記第1のランプとは逆方向に傾斜する方向で且つ周方向に沿って形成された第2のランプと、前記第1のランプと前記第2のランプを間にして、前記中間部材外周側に互いに分かれて配置されているとともに、前記内筒部の周囲に回転可能に配置された複数の回転ドラムと、進角時と遅角時に電磁力を発生し、それ以外のときには電磁力の発生を停止し、前記進角時には、前記複数の回転ドラムのうち一方の回転ドラムに回転力を付与し、遅角時には、前記複数の回転ドラムのうち他方の回転ドラムに回転力を付与する複数の電磁クラッチと、前記中間部材外周のうち前記一方の回転ドラムと前記他方の回転ドラムとの間の部位に回転自在に配置されて、前記一方の回転ドラムまたは前記他方の回転ドラムからの回転力を受けて回転するローラとを備え、前記一方の回転ドラムの、前記他方の回転ドラムとの対向面側には、前記第1のランプと係合可能であって、前記第1のランプを前記カムシャフト側に押圧するための第3のランプが形成され、前記他方の回転ドラムの、前記一方の回転ドラムとの対向面側には、前記第2のランプと係合可能であって、前記第2のランプを前記カムシャフトから離れる方向に押圧するための第4のランプが形成されることによって、前記電磁クラッチへの通電時に前記中間部材を軸方向に変位させ、前記電磁クラッチへの非通電時には、前記外筒部外周のスプロケットまたは前記カムシャフトから前記中間部材へのトルク入力に対して、前記トルク入力に伴う前記中間部材の軸方向変位を阻止し、前記位相調整機構は、前記中間部材に固定されて、その一部が前記中間部材内周から前記内筒部外周に向けて突出されたボールと、前記ボールを最進角位相に対応した位置から最遅角位相に対応して位置まで案内する溝として、前記内筒部外周にスパイラル状に形成されたガイド溝とを備え、前記ボールは、前記中間部材の軸方向変位に応じて前記ガイド溝内を移動し、前記中間部材の軸方向変位に伴う力を前記内筒部の周方向変位のための力として前記ガイド溝に付与し、前記中間部材の軸方向変位に応答して、前記中間部材の軸方向変位を前記内筒部の周方向変位に変換してなる構成とした。
(作用)位置調整機構は、外筒部外周のスプロケットとカムシャフト間の位相を可変に調整するときにのみ通電状態となって、中間部材を軸方向に変位させ、それ以外のときには非通電状態となって中間部材の軸方向変位を阻止する。エンジンからの回転力が外筒部から中間部材と内筒部を介してカムシャフトに伝達されているときに、通電状態の位置調整機構により、中間部材が軸方向に変位すると、この軸方向変位が位相調整機構により、内筒部の周方向変位に変換され、内筒部の周方向変位に伴って外筒部外周のスプロケットとカムシャフト間の位相が調整される。すなわち、中間部材が最進角位置と最遅角位置との間にあるときに、中間部材が軸方向変位すると、ボールが中間部材の軸方向変位に応じてガイド溝内を移動し、中間部材の軸方向変位に伴う力が内筒部の周方向変位のための力としてガイド溝に付与され、中間部材の軸方向変位に伴って内筒部が周方向に変位し、中間部材の軸方向における位置に応じて、外筒部とカムシャフト間の位相を可変に調整することができるとともに、中間部材を進角位置または遅角位置に位置決めすることができる。外筒部外周のスプロケットとカムシャフト間の位相が決定された後は、外筒部外周のスプロケットまたはカムシャフトから中間部材へのトルク入力に対して、このトルク入力に伴う中間部材の軸方向変位を非通電状態の位置調整機構が阻止する。このため、外筒部外周のスプロケットとカムシャフト間の位相が決定された後は、外筒部外周のスプロケットまたはカムシャフトからトルクが入力されても、電力を消費することなく、外筒部外周のスプロケットとカムシャフト間の位相を指定の位相に保持することができ、消費電力を低減することができる。
具体的には、進角制御するに際して、中間部材が外筒部とともに回転しているときに、一方の電磁クラッチから電磁力を発生させて、一方の回転ドラムに回転力を付与すると、一方の回転ドラムの回転に伴って、一方の回転ドラムの第3のランプが第1のランプをカムシャフト側に押圧するとともに、ローラを回転させる。このとき、中間部材は、第3のランプが第1のランプをカムシャフト側に押圧するに伴って、カムシャフト側に移動する。この後、一方の電磁クラッチを非通電状態とすると、一方の回転ドラムの回転が停止されるとともに、中間部材の移動が停止され、中間部材は任意の進角位置に位置決めされる。一方、中間部材が進角位置にあるときに、他方の電磁クラッチから電磁力を発生させて、他方の回転ドラムに回転力を付与すると、他方の回転ドラムの回転に伴って、他方の回転ドラムの第4のランプが第2のランプをカムシャフトから離れる方向に押圧するとともに、ローラを回転させる。このとき、中間部材は、第4のランプが第2のランプをカムシャフトから離れる方向に押圧するに伴って、カムシャフトから離れる方向に移動する。この後、他方の電磁クラッチを非通電状態とすると、中間部材は任意の遅角位置に位置決めされる。すなわち、中間部材を任意の進角または遅角位置に移動させるときにのみいずれかの電磁クラッチを通電状態とし、それ以外のときには各電磁クラッチを非通電状態とすることで、中間部材を任意の進角または遅角位置にセットすることができ、消費電力を低減することができる。
請求項に係るエンジンのバルブ制御装置においては、請求項1または2に記載のエンジンのバルブ制御装置において、前記第1のランプと第2のランプと第3のランプおよび第4のランプの傾斜角をθとし、前記ローラから前記一方の回転ドラムまたは前記他方の回転ドラムに作用する力であって、前記各回転ドラムの軸心と平行な力をPとし、前記一方の回転ドラムまたは前記他方の回転ドラムの周方向に作用するジャーナルフリクションをFrとし、前記一方の回転ドラムまたは前記他方の回転ドラムと前記中間部材との間の摩擦係数をμとしたときに、前記中間部材が任意の進角位置または遅角位置にあって、前記中間部材に対する軸方向変位が行われないときの、前記外筒部またはカムシャフトから前記中間部材へのトルク入力に対して、前記傾斜角θは、
P×cos(θ)−P×μ−Fr<0
の関係を満たしてなる構成とした。
(作用)中間部材が任意の進角位置または遅角位置にあって、進角制御または遅角制御が行われないときに、外筒部またはカムシャフトから中間部材にトルクが入力された場合でも、上記式の値が負となるので、ローラが動かない(回転しない)状態にあり、ローラから一方の回転ドラムまたは他方の回転ドラムにトルクが伝達されることはなく、中間部材は、任意の進角位置または遅角位置に保持され、自己保持状態(セルフロック状態)となる。
請求項に係るエンジンのバルブ制御装置においては、請求項1から3のうちいずれかに記載のエンジンのバルブ制御装置において、前記複数の回転ドラムは、前記内筒部の軸方向一端部外周に固定されたストッパと前記外筒部との間に配置され、前記複数の回転ドラムのうち一方の回転ドラムと前記ストッパとの間に弾性体が装着され、前記弾性体の弾性力により、前記複数の回転ドラムが前記カムシャフト側に押圧されてなる構成とした。
(作用)弾性体の弾性力により、複数の回転ドラムがカムシャフト側に押圧されているため、外筒部とカムシャフト間の位相角が決定された後、外筒部またはカムシャフトから中間部材にトルク入力があっても、このトルク入力によって中間部材がカムシャフトから離れる方向に移動するのを阻止することができる。すなわち、外筒部とカムシャフト間の位相角が決定された後は、カムシャフトから反力を受けても、電力を消費することなく、外筒部を含む駆動軸側と内筒部を含む従動軸側をより確実に自己保持状態(セルフロック状態)とすることができ、外筒部とカムシャフト間の位相角を、中間部材の位置によって決定された位相角に、より確実に保持することができ、消費電力を低減することができる。
請求項に係るエンジンのバルブ制御装置においては、エンジンのクランクシャフトの駆動力が伝達される外筒部と、前記外筒部内周側に相対回転可能に配置されて、前記エンジンの吸気バルブ又は排気バルブを開閉させるカムシャフトに同軸上に連結された内筒部と、前記内筒部の軸方向に沿って移動自在に配置されて、前記外筒部内周側と前記内筒部外周側とを結ぶ連結ピンと、前記エンジンの運転状態に応じて前記連結ピンの、前記内筒部の軸方向における位置を制御する位置制御機構と、前記連結ピンの、前記内筒部の軸方向における位置に応じて前記外筒部外周のスプロケットと前記カムシャフト間の位相を可変に調整する位相調整機構とを備え、前記位置制御機構は、前記内筒部と前記外筒部との間に回転自在に配置されて、且つ外筒部の径方向に沿って互いに隣接して配置された複数の回転ドラムと、通電時に電磁力を発生し、非通電時には電磁力の発生を停止し、通電に伴う進角時には、前記複数の回転ドラムのうち一方の回転ドラムに回転力を付与し、通電に伴う遅角時には、前記複数の回転ドラムのうち他方の回転ドラムに回転力を付与する複数の電磁クラッチとを備え、前記複数の回転ドラムのうち一方の回転ドラムには、前記連結ピンを挿通する第1のガイド穴が前記一方の回転ドラムの軸心と直交する直線に対して傾斜する方向で且つ周方向に沿って直線状に形成され、他方の回転ドラムには、前記連結ピンを挿通する第2のガイド穴が前記他方の回転ドラムの軸心と直交する直線に対して、前記第1のガイド穴とは逆方向に傾斜する方向で且つ周方向に沿って直線状に形成され、前記第1のガイド穴の長手方向に沿った一対の縁は第1のランプとして形成され、前記第2のガイド穴の長手方向に沿った一対の縁は第2のランプとして形成されることによって、前記電磁クラッチへの通電時に前記連結ピンを前記内筒部の軸方向に変位させ、前記電磁クラッチへの非通電時には、前記外筒部外周のスプロケットまたは前記カムシャフトから前記連結ピンへのトルク入力に対して、前記トルク入力に伴う前記連結ピンの、前記内筒部の軸方向における変位を阻止し、前記位相調整機構は、前記連結ピンを最進角位相に対応した位置から最遅角位相に対応して位置まで案内する溝として、前記内筒部外周にスパイラル状に形成された第1のガイド溝および前記外筒部内周に、前記外筒部の軸方向に沿って形成された第2のガイド溝を備え、前記連結ピンの両端側は、前記位置制御機構による軸方向変位に応じて前記第1のガイド溝と第2のガイド溝内を移動し、前記位置制御機構による軸方向変位に伴う力を前記内筒部の周方向変位のための力として前記第1のガイド溝に付与し、前記連結ピンの、前記内筒部の軸方向における変位に応答して、前記連結ピンの、前記内筒部の軸方向における変位を前記内筒部の周方向変位に変換してなる構成とした。
(作用)位置調整機構は、外筒部とカムシャフト間の位相を可変に調整するときにのみ通電状態となって、連結ピンを内筒部の軸方向に沿って変位させ、それ以外のときには非通電状態となって、連結ピンの内筒部の軸方向における変位を阻止する。エンジンからの回転力が外筒部から連結ピンと内筒部を介してカムシャフトに伝達されているときに、通電状態の位置調整機構により、連結ピンが内筒部の軸方向に沿って変位すると、この軸方向変位が位相調整機構によって、内筒部の周方向変位に変換され、内筒部の周方向変位に伴って外筒部とカムシャフト間の位相が調整される。すなわち、連結ピンが最進角位置と最遅角位置との間にあるときに、連結ピンが内筒部の軸方向に沿って変位すると、連結ピンの長手方向一端側が第1のガイド溝内を移動し、連結ピンの長手方向他端側が第2のガイド溝内を移動し、連結ピンの、内筒部の軸方向における変位に伴う力が内筒部の周方向変位のための力として第1のガイド溝に付与され、連結ピンの、内筒部の軸方向における変位に伴って内筒部が周方向に変位し、連結ピンの、内筒部の軸方向おける位置に応じて、外筒部とカムシャフト間の位相を可変に調整することができるとともに、連結ピンを進角位置または遅角位置に位置決めすることができる。外筒部とカムシャフト間の位相が決定された後は、外筒部またはカムシャフトから中間部材へのトルク入力に対して、このトルク入力に伴う連結ピンの、内筒部の軸方向における変位を非通電状態の位置調整機構が阻止する。このため、外筒部とカムシャフト間の位相が決定された後は、外筒部またはカムシャフトからトルクが入力されても、電力を消費することなく、外筒部とカムシャフト間の位相を指定の位相に保持することができ、消費電力を低減することができる。
具体的には、進角制御するに際して、内筒部と外筒部がとともに回転しているときに、一方の電磁クラッチから電磁力を発生させて、一方の回転ドラムに回転力を付与すると、一方の回転ドラムの回転に伴って、一方の回転ドラムの第1のランプが連結ピンをカムシャフト側に押圧すると、連結ピンの長手方向両端側が第1のガイド溝と第2のガイド溝に沿って移動するとともに、連結ピンの中間部が第1のガイド穴に沿って移動し、連結ピン全体がカムシャフト側に移動する。この後、一方の電磁クラッチを非通電状態とすると、一方の回転ドラムの回転が停止されるとともに、連結ピンの移動が停止され、連結ピンは任意の進角位置に位置決めされる。一方、連結ピンが進角位置にあるときに、他方の電磁クラッチから電磁力を発生させて、他方の回転ドラムに回転力を付与すると、他方の回転ドラムの回転に伴って、他方の回転ドラムの第2のランプが連結ピンをカムシャフトから離れる方向に押圧すると、連結ピンの長手方向両端側が第1のガイド溝と第2のガイド溝に沿って移動するとともに、連結ピンの中間部が第2のガイド穴に沿って移動し、連結ピン全体がカムシャフトから離れる方向に移動する。この後、他方の電磁クラッチを非通電状態とすると、連結ピンは任意の遅角位置に位置決めされる。すなわち、連結ピンを任意の進角または遅角位置に移動させるときにのみいずれかの電磁クラッチを通電状態とし、それ以外のときには各電磁クラッチを非通電状態とすることで、連結ピンを任意の進角または遅角位置にセットすることができ、消費電力を低減することができる。
請求項に係るエンジンのバルブ制御装置においては、請求項に記載のエンジンのバルブ制御装置において、前記第1のランプと第2のランプの傾斜角をθとし、前記連結ピンから前記一方の回転ドラムまたは前記他方の回転ドラムに作用する力であって、前記各回転ドラムの軸心と平行な力をPとし、前記一方の回転ドラムまたは前記他方の回転ドラムの周方向に作用するジャーナルフリクションをFrとし、前記一方の回転ドラムまたは前記他方の回転ドラムと前記連結ピンとの間の摩擦係数をμとしたときに、前記連結ピンが任意の進角位置または遅角位置にあって、前記連結ピンに対する、内筒部の軸方向に沿った軸方向変位が行われないときの、前記外筒部またはカムシャフトから前記連結ピンへのトルク入力に対して、前記傾斜角θは、
P×cos(θ)−P×μ−Fr<0
の関係を満たしてなる構成とした。
(作用)連結ピンが任意の進角位置または遅角位置にあって、進角制御または遅角制御が行われないときに、外筒部またはカムシャフトから連結ピンにトルクが入力された場合でも、上記式の値が負となるので、連結ピンから一方の回転ドラムまたは他方の回転ドラムにトルクが伝達されることはなく、連結ピンは、任意の進角位置または遅角位置に保持され、自己保持状態(セルフロック状態)となる。
請求項に係るエンジンのバルブ制御装置においては、請求項1、請求項2、、請求項5のうちいずれかに記載のエンジンのバルブ制御装置において、前記複数の回転ドラムのうち前記外筒部に隣接した回転ドラムと前記外筒部との間には環状のリテーナが装着され、前記リテーナには、複数個の貫通孔が周方向に沿って分散して形成され、前記各貫通孔には前記回転ドラムと前記外筒部に接触する回転体が回転自在に装着されてなる構成とした。
(作用)外筒部に隣接した回転ドラムと外筒部との間には環状のリテーナが装着され、リテーナに形成された貫通孔には、回転ドラムと外筒部に接触する回転体が回転自在に装着されているので、外筒部に隣接した回転ドラムの回転に伴う力が回転体を介して外筒部に作用しても、外筒部に隣接した回転ドラムと外筒部との間の摩擦抵抗を回転体の回転によって下げることができ、結果として、回転ドラムの作動時における必要トルクを下げることができる。
以上の説明から明らかなように、請求項1に係るエンジンのバルブ制御装置 によれば、中間部材の軸方向における位置に応じて、外筒部外周のスプロケットとカムシャフト間の位相を可変に調整することができるとともに、中間部材を進角位置または遅角位置に位置決めすることができ、さらに、消費電力を低減することができる。
請求項2に係るエンジンのバルブ制御装置によれば、中間部材の軸方向における位置に応じて、外筒部外周のスプロケットとカムシャフト間の位相を可変に調整することができるとともに、中間部材を進角位置または遅角位置に位置決めすることができ、さらに、消費電力を低減することができる。
また、請求項1及び請求項2に係るエンジンのバルブ制御装置によれば、中間部材を任意の進角または遅角位置にセットすることができるとともに、消費電力を低減することができる。
請求項に係るエンジンのバルブ制御装置によれば、中間部材を、任意の進角位置または遅角位置に保持するとともに、自己保持状態(セルフロック状態)とるることができる。
請求項に係るエンジンのバルブ制御装置によれば、外筒部外周のスプロケットとカムシャフト間の位相角が決定された後は、外筒部外周のスプロケットとカムシャフト間の位相角を、中間部材の位置によって決定された位相角に、より確実に保持することができ、消費電力を低減することができる。
請求項に係るエンジンのバルブ制御装置によれば、連結ピンの、内筒部の軸方向おける位置に応じて、外筒部外周のスプロケットとカムシャフト間の位相を可変に調整することができるとともに、連結ピンを進角位置または遅角位置に位置決めすることができ、さらに、電力を低減することができる。
また、請求項5に係るエンジンのバルブ制御装置によれば、連結ピンを任意の進角または遅角位置にセットすることができるとともに、消費電力を低減することができる。
請求項に係るエンジンのバルブ制御装置によれば、連結ピンを、任意の進角位置または遅角位置に保持することができるとともに、連結ピンを自己保持状態(セルフロック状態)とすることができる。
請求項に係るエンジンのバルブ制御装置によれば、回転ドラムの作動時における必要トルクを下げることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施例を示すエンジンのバルブ制御装置の縦断面図、図2は、外筒部と小径外筒部の正面図、図3(a)は、外筒部の断面図、図3(b)は、外筒部の背面図、図4(a)は、内筒部の平面図、図4(b)は、内筒部外周側の展開図、図5(a)は、中間部材の平面図、図5(b)は、中間部材の正面図、図5(c)は、中間部材外周側の展開図、図6は、中間部材にピンとローラを組付けた状態を示す図、図7(a)は、ピンの断面図、図7(b)は、ローラの平面図、図7(c)は、ローラの断面図、図7(d)は、ローラピンの平面図、図8(a)は、カバーの背面図、図8(b)は、図8(a)のA−A線に沿う断面図、図9(a)は、フロント側回転ドラムの平面図、図9(b)は、フロント側回転ドラムの正面図、図9(c)は、フロント側回転ドラム外周側の展開図、図10(a)は、リヤ側回転ドラムの正面図、図10(b)は、リヤ側回転ドラムの断面図、図10(c)は、リヤ側回転ドラム内周側の展開図、図11(a)は、フロント側回転ドラムとリヤ側回転ドラムおよび中間部材との関係を説明するための展開図、図11(b)は、内筒部の回転方向を説明するための図、図12は、本発明の第2実施例を示すエンジンのバルブ制御装置の縦断面図、図13は、本発明の第3実施例を示すエンジンのバルブ制御装置の縦断面図、図14は、本発明の第4実施例を示すエンジンのバルブ制御装置の要部縦断面図、図15は、第4実施例における外筒部の背面図、図16(a)は、第4実施例におけるフロント側回転ドラムとリヤ側回転ドラムとの関係を説明するための図、図16(b)は、第4実施例におけるフロント側回転ドラム外周側の展開図、図16(c)は、第4実施例におけるリヤ側回転ドラム外周側の展開図、図17は、本発明の第5実施例を示すエンジンのバルブ制御装置の要部縦断面図、図18は、第5実施例におけるリテーナの正面図、図19は、第5実施例におけるリヤ側回転ドラムとローラおよび外筒部の関係を説明するための展開図である。
これらの図においては、本発明に係るエンジンのバルブ制御装置は、例えば、自動車用エンジンに組み付けられた形態でエンジンオイル雰囲気下で用いられ、クランクシャフトの回転に同期して吸排気バルブが開閉するようにクランクシャフトの回転をカムシャフトに伝達するとともに、エンジンの負荷や回転数などの運転状態によってエンジンの吸気バルブまたは排気バルブの開閉のタイミングを変化させるための装置として構成されている。
具体的には、エンジンのバルブ制御装置は、図1に示すように、エンジンのクランクシャフトの駆動力が伝達される円環状外筒部10と、外筒部10内周側に外筒部10と同軸で且つ外筒部10に対し相対回動可能に配置されて、エンジンの吸気バルブ又は排気バルブを開閉させるカムシャフト2に同軸上に連結された円環状内筒部12と、円筒状に形成されて、内筒部12外周に内筒部12の軸方向に沿って移動自在に配置された中間部材14と、エンジンの運転状態に応じて中間部材14の軸方向における位置を制御する位置制御機構16と、中間部材14の軸方向における位置に応じて外筒部10外周のスプロケット24とカムシャフト2間の位相を可変に調整する位相調整機構18とを備えて構成されている。
内筒部12の内周側にはカムシャフト2の軸方向一端側が嵌合され、このカムシャフト2の軸方向一端側には、カムボルト20が締結されている。カムボルト20は、内筒部12の軸方向一端側に、ストッパ22を介して固定されている。ストッパ22は、内筒部12の軸方向一端側外周面に固定されている。
外筒部10は、図2及び図3に示すように、駆動軸側の筒体として、スプロケット24が外周側に複数個配列されており、スプロケット24には、エンジンのクランクシャフトの駆動力がチェーンを介して伝達されるようになっている。外筒部10は、エンジンのクランクシャフトの駆動力がチェーンを介してスプロケット24に伝達されたときに、クランクシャフトに同期して回転し、この回転に伴う駆動力を位相調整機構18を介して内筒部12に伝達する。
外筒部10の内周側には、内筒部12を挿通するための貫通孔26が形成されているとともに、位相調整機構18の一要素として、貫通孔26の縁に連なる一対の連結溝28が外筒部10の軸方向に沿って相対向して形成されている。各連結溝28は、中間部材14との連結部として、断面が略矩形形状に形成されている。外筒部10のヘッドH側には、外筒部10に隣接して、小径外筒部30が並設されており、小径外筒部30は内筒部12外周に配置されて、ボルト32によって外筒部10に固定されている。この小径外筒部30は、その外周側に複数個のスプロケット34を備え、スプロケット34に、エンジンのクランクシャフトの駆動力がチェーンを介して伝達されたときに、クランクシャフトに同期して回転するようになっている。
内筒部12は、カムシャフト2に連結される筒体として構成されており、図4に示すように、内筒部12の外周側には、ヘッドH側から連結部36、フランジ部38、大径部40、小径部42が形成され、内周側にはカムボルト挿通孔44、カムシャフト嵌合孔46が形成されている(図1参照)。連結部36はカムシャフト2の軸方向端部側と連結され、フランジ部38は、小径外筒部30の内周側段部に挿入される。大径部40外周には、位相調整機構18の一要素として、一対のガイド溝48、50がスパイラル状に形成されている。ガイド溝48、50は、最進角位相に対応した位置から最遅角位相に対応した位置に亘って形成されている。
中間部材14は、図5に示すように、小径部52、大径部54を有する筒体として構成され、内筒部12の大径部40外周側に、内筒部12の軸方向に沿って移動自在に配置されている(図1および図4参照)。中間部材14の小径部52の軸方向一端側には、一対の突起56が一体となって形成されている。各突起56は、外筒部10の連結溝28と連結可能な連結部として、略矩形形状(長方形形状)に形成されている。各突起56は、外筒部10の軸方向に沿って摺動自在に外筒部10の連結溝20内に挿入されている。
すなわち、中間部材14は、その一部(突起56)が外筒部10の軸方向に沿って摺動自在に外筒部10に連結され、外筒部10とともに回転するようになっている。中間部材14の大径部54は、周方向に沿って略三角形形状に形成されたガイド58、60、62、64を備えており、各ガイド58〜64は、小径部52の外周側の領域を略四分割するように配置され、ガイド60、64の一部には凹部66、68が形成されている。
各凹部66、68にはピン挿通孔70、72が形成されている。ピン挿通孔70、72には、図6及び図7に示すように、円筒状に形成されたピン74が挿入される。各ピン74は、その先端部が中間部材14の内周側に突出するように、ピン挿通孔70、72に挿入され、突出した先端部がそれぞれ内筒部12外周側のガイド溝48、50に装着されるようになっている。この際、各ピン74は、中間部材14の軸方向変位に応じてガイド溝48、50内を移動し、中間部材14の軸方向変位に伴う力を内筒部12の周方向変位のための力としてガイド溝48、50に付与するようになっている。
各凹部66、68には、略椀形状に形成されたローラ76が装着される。ローラ76の底部には、貫通孔78が形成されており、貫通孔78には、ピン74内に挿入可能なローラピン80が挿入される。各凹部66、68に装着されたローラ76の貫通孔78にローラピン80が挿入されると、ローラピン80は、頭部82を残してピン74内に挿入され、頭部82がローラ74の底部に装着される。この場合、ローラ76は、ローラピン80を回転中心として、各凹部66、68に回転自在に装着される。
各ガイド58〜64は、フロント側回転ドラム84とリヤ側回転ドラム86の移動をガイドする凸部として構成され、各ガイド58〜64の一方の側壁は、位置決め用ランプ(第1のランプ)88、90、92、94として中間部材14の軸心と直交する線に対して傾斜する方向に直線状に形成され、他方の側壁は、ランプ88、90、92、94とは周方向における位相が異なる位置決め用(第2のランプ)ランプ96、98、100、102として中間部材14の軸心と直交する線に対して傾斜する方向に直線状に形成されている(図5(c)参照)。ランプ88、90とランプ92、94は180度ごとに傾斜が漸次変化する形状に形成され、ランプ96、98とランプ100、102は、180度ごとに傾斜が漸次変化する形状に形成されている。但し、ガイド58におけるランプ88とランプ90は互いに位相が90度ずれている。
中間部材14の位置(内筒部12の軸方向における位置)を制御するための位置制御機構16は、環状に形成された回転ドラム84、86と環状に形成された電磁クラッチ104、106を備えており、回転ドラム84と回転ドラム86は、中間部材14を間にして、中間部材14の両側に分かれて配置されている(図1参照)。電磁クラッチ104、106は、図8に示すように、ソレノイド108、110がリード線112、114を介して制御回路(図示せず)に接続され、ピン116、118がカバー120の穴122、124内に挿入されて、周り止め固定されている。制御回路は、エンジンの運転状態を検出し、エンジンの運転状態に応じた制御信号を電磁クラッチ104、106などに出力し、電磁クラッチ104、106のオンオフを制御するようになっている。なお、カバー120は、エンジンチェーンケース126に固定されている。
回転ドラム84は、図9に示すように、略円筒状に形成された小径部130と大径部132を備え、内筒部12の外周側に回転自在に配置されている。小径部130のヘッドH側には、切り欠きによるランプ134、136が回転ドラム84の軸心と直交する線に対して傾斜する方向に直線状に形成されており、ランプ134、136は180度ごとに傾斜が漸次変化する形状に形成されている。この小径部130は、中間部材14の小径部52のクランクプーリCP側に装着され、ランプ134、136(第3のランプ)が中間部材14のランプ(第1のランプ)88、90、92、94と係合するように配置されるとともに、ローラ76に当接するように配置される。大径部132は、ストッパ22と当接する位置に配置され、大径部132とストッパ22との当接により、回転ドラム84のクランクプーリCP側への移動が阻止されるようになっている。
回転ドラム86は、図10に示すように、略円筒状に形成された小径部138と大径部140を備え、中間部材14の外周側に回転自在に配置されている。小径部138と大径部140の内周側には、ガイド溝としてのランプ142、144が回転ドラム86の軸心と直交する線に対して傾斜する方向に直線状に形成されており、ランプ142、144は180度ごとに傾斜が漸次変化する形状に形成されている。この小径部138は、外筒部10の円環状凹部10a内に装着され、円環状凹部10aとの当接により、回転ドラム86のヘッドHへの移動が阻止されるようになっている。大径部140は、中間部材14の小径部52のヘッドH側に装着され、ランプ(第4のランプ)142、144が中間部材14のランプ(第2のランプ)96、98、100、102と係合するように配置されるとともに、ローラ76に当接するように配置される。
回転ドラム84、86の軸方向における位置は電磁クラッチ104、106のオンオフ状態によって制御され、電磁クラッチ104は、進角制御時に、ソレノイド108が通電されたときにオンとなり、それ以外のときにはオフとなる。電磁クラッチ106は、遅角制御時に、ソレノイド110が通電されたときにオンとなり、それ以外のときにはオフとなる。ソレノイド108または110が通電されると、回転ドラム84または86の軸方向への移動に伴って中間部材14が進角位置または遅角位置に移動するようになっている。
具体的には、ソレノイド108とソレノイド110が非通電状態にあるときには、回転ドラム84、86は、中間部材14に回転力を付与することなく、中間部材14とともに回転し、例えば、吸気バルブの開閉タイミングを制御する場合、アイドリング時には、中間部材14は最遅角位置にある。この後、進角制御するために、ソレノイド108のみを通電すると、図11(a)に示すように、回転ドラム84が矢印X方向に回転し、回転ドラム84の回転力が回転ドラム84のランプ134、136から中間部材14のランプ88、90、92、94とローラ76に付与される。
これにより、中間部材14に装着されたピン74が内筒部12のガイド溝48、50に沿って移動するとともに、中間部材14の突起56が外筒部10の連結溝28に沿って移動するに伴って、内筒部12が矢印Y方向に回転し(図11(b)参照)、中間部材14が内筒部12の軸方向に沿ってヘッドH側(カムシャフト側または進角側)に移動する。中間部材14が最遅角位置から最進角位置に移動する過程で、任意のタイミングでソレノイド108を非通電状態にすると、電磁クラッチ104がオフとなって、中間部材14は任意の進角位置に位置決めされる。
このとき、中間部材14の移動に伴って、外筒部10と内筒部12に対しては、互いに逆方向の周方向変位であって、中間部材14の軸方向における位置に応じて大きさの異なる周方向変位が付与され、外筒部10は、クランクプーリCP側から見て反時計周りに回転し、内筒部12は、クランクプーリCP側から見て時計周り(矢印Y方向)に回転し、外筒部10とカムシャフト2間の位相が進角側に調整される。
一方、中間部材14が最進角位置にあるときに、遅角制御するために、ソレノイド110のみを通電して電磁クラッチ106をオンにすると、回転ドラム86が矢印X方向に回転し(図11(a)参照)、回転ドラム86の回転力が回転ドラム86のランプ142、144から中間部材14のランプ96、98、100、102とローラ76に付与される。これにより、中間部材14のピン74が内筒部12のガイド溝48、50に沿って移動するとともに、中間部材14の突起56が外筒部10の連結溝28に沿って移動するに伴って、内筒部12が矢印Z方向に回転し(図11(b)参照)、中間部材14が内筒部12の軸方向に沿ってクランクプーリCP側(遅角側)に移動する。中間部材14が最進角位置から最遅角位置に移動する過程で、任意のタイミングでソレノイド110を非通電状態にすると、電磁クラッチ106がオフとなって、中間部材14は任意の遅角位置に位置決めされる。
このとき、中間部材14の移動に伴って、外筒部10と内筒部12に対しては、互いに逆方向の周方向変位であって、中間部材14の軸方向における位置に応じて大きさの異なる周方向変位が付与され、外筒部10は、クランクプーリCP側から見て時計周りに回転し、内筒部12は、クランクプーリCP側から見て反時計周り(矢印Z方向)に回転し、外筒部10とカムシャフト2間の位相が遅角側に調整される。
中間部材14が任意の進角位置または遅角位置にあるときに、ソレノイド108、110をそれぞれ非通電状態にすると、回転ドラム84、86は、中間部材14に回転力を付与することなく、中間部材14とともに回転する。この後、進角制御するときには、ソレノイド108を通電することで、中間部材14を他の進角位置に位置決めでき、また、遅角制御するときには、ソレノイド110を通電することで、中間部材14を他の遅角位置に位置決めできる。
一方、ソレノイド108、110がそれぞれ非通電状態となって、中間部材14が任意の進角位置または遅角位置に位置決めされたときには、中間部材14は、その位置に自己保持されるようになっている。
すなわち、回転ドラム84のランプ134、136と中間部材14のランプ88、90、92、94は、図11に示すように、傾斜角(回転ドラム84の軸心と直交する線に対して傾斜した角度)θが、摩擦角以下で且つ0度を越える角度であって、以下の(1)式を満たす値に設定されている。
P×cos(θ)−P×μ−Fr<0 ……(1)
ここで、Pは、ローラ76から回転ドラム84、86に対して作用する力であって、回転ドラム84、86の軸心と平行となる力、Frは、回転ドラム84、86の周方向に作用するジャーナルフリクション、μは、回転ドラム84または回転ドラム86と中間部材14との間の摩擦係数である。なお、回転ドラム86のランプ142、144と中間部材14のランプ96、98、100、102の傾斜角θも(1)式を満たす値に設定されている。
回転ドラム84のランプ134、136と中間部材14のランプ88、90、92、94の傾斜角θを(1)式を満たす値に設定すると、中間部材14が任意の進角位置または遅角位置にあって、進角制御または遅角制御が行われないときに、外筒部10またはカムシャフト2から中間部材14にトルクが入力された場合でも、(1)式の値が負となるので、ローラ76が動かない(回転しない)状態にあり、ローラ76から回転ドラム84、86にトルクが伝達されず、中間部材14は、任意の進角位置または遅角位置に保持され、自己保持状態(セルフロック状態)となる。
本実施例においては、ソレノイド108またはソレノイド110の通電に伴って、中間部材14が進角位置または遅角位置に移動する過程では、中間部材14の移動に伴う軸方向変位に応答して、突起56が外筒部10の連結溝28に沿って移動するとともに、ピン74が内筒部12のガイド溝48、50に沿って移動し、内筒部12に対して、中間部材14の軸方向における位置に応じた周方向変位が付与され、内筒部12の周方向変位(内筒部12の回転)に伴って外筒部10外周のスプロケット24とカムシャフト2間の位相が可変に調整される。
一方、ソレノイド108およびソレノイド110の非通電に伴って、中間部材14が進角位置または遅角位置にセットされ、外筒部10とカムシャフト2間の位相角が決定されたときには、外筒部10外周のスプロケット24またはカムシャフト2からのトルク入力に対して、ロータ76が回転しない状態にあって、中間部材14の軸方向の移動が停止され、中間部材14から回転ドラム84または86へのトルク入力の伝達が阻止されるので、外筒部10を含む駆動軸側と内筒部12を含む従動軸側はトルク伝達が非可逆で、自己保持状態(セルフロック状態)となる。
本実施例によれば、ソレノイド108またはソレノイド110の通電に伴って、中間部材14が進角位置または遅角位置に移動する過程では、中間部材14の移動に伴う軸方向変位に応答して、突起56を外筒部10の連結溝28に沿って移動させるとともに、ピン74を内筒部12のガイド溝48、50に沿って移動させ、中間部材14の軸方向変位を内筒部12の周方向変位に変換させるようにしたため、中間部材14の位置に応じて外筒部10外周のスプロケット24とカムシャフト2間の位相を可変に調整することができる。
また、本実施例によれば、外筒部10外周のスプロケット24とカムシャフト2間の位相角が決定された後は、カムシャフト2から反力を受けても、電力を消費することなく、外筒部10を含む駆動軸側と内筒部12を含む従動軸側が自己保持状態(セルフロック状態)となり、外筒部10外周のスプロケット24とカムシャフト2間の位相角を、中間部材14の位置によって決定された位相角に保持することができ、消費電力を低減することができる。
さらに、本実施例によれば、位置制御機構16や位相調整機構18を少ない部品で構成することができ、コスト低減に寄与することができる。
また、本実施例によれば、リターンスプリングの弾性力に抗して、中間部材14を移動させる必要はなく、ソレノイド108またはソレノイド110を通電するだけで、中間部材14を移動させることができるので、リターンスプリングを用いたものよりも消費電力を低減することができる。
次に、本発明の第2実施例を図12に従って説明する。本実施例は、ピン74の代わりに、ボール(剛球)146を用い、中間部材14のピン挿通孔70、72内にボール146を挿入して固定し、ボール146の一部を中間部材14内周から内筒部12外周に向けて突出させ、中間部材14の軸方向変位に応じて、ボール146がガイド溝48、50内を移動し、中間部材14の軸方向変位に伴う力を内筒部12の周方向変位のための力として、ガイド溝48、50に付与するようにしたものであり、他の構成は第1実施例と同様である。
この際、中間部材14が最進角位置と最遅角位置との間にあるときに、中間部材14が軸方向変位すると、ボール146が中間部材14の軸方向変位に応じてガイド溝48、50内を移動するとともに、中間部材14の突起56が外筒部10の連結溝28に沿って移動し、中間部材14の軸方向変位に伴う力が内筒部12の周方向変位のための力としてガイド溝48、50に付与される。中間部材14の軸方向変位に伴って内筒部12が周方向に変位すると、中間部材14の軸方向における位置に応じて、外筒部10外周のスプロケット24とカムシャフト2間の位相を可変に調整することができるとともに、中間部材14を進角位置または遅角位置に位置決めすることができる。
本実施例によれば、ソレノイド108またはソレノイド110の通電に伴って、中間部材14が進角位置または遅角位置に移動する過程では、中間部材14の移動に伴う軸方向変位に応答して、ボール146が内筒部12のガイド溝48、50に沿って移動し、外筒部10と内筒部12に対して、互いに逆方向の周方向変位であって、中間部材14の軸方向における位置に応じて大きさの異なる周方向変位が付与され、外筒部10外周のスプロケット24とカムシャフト2間の位相が可変に調整される。
一方、ソレノイド108およびソレノイド110の非通電に伴って、中間部材14が進角位置または遅角位置にセットされ、外筒部10とカムシャフト2間の位相角が決定されたときには、外筒部10またはカムシャフト2からのトルク入力に対して、中間部材14の軸方向の移動が停止され、中間部材14から回転ドラム84または86へのトルク入力の伝達が阻止されるので、外筒部10を含む駆動軸側と内筒部12を含む従動軸側はトルク伝達が非可逆で、自己保持状態(セルフロック状態)となる。
すなわち、外筒部10外周のスプロケット24とカムシャフト2間の位相角が決定された後は、カムシャフト2から反力を受けても、電力を消費することなく、外筒部10を含む駆動軸側と内筒部12を含む従動軸側が自己保持状態(セルフロック状態)となり、外筒部10外周のスプロケット24とカムシャフト2間の位相角を、中間部材14の位置によって決定された位相角に保持することができ、消費電力を低減することができる。
次に、本発明の第3実施例を図13に従って説明する。本実施例は、内筒部12の外周側のうちストッパ22と回転ドラム84との間に、円環状の弾性体である皿ばね148を装着し、皿ばね148の弾性力を回転ドラム84、86に付与するようにしたものであり、他の構成は、第1実施例または第2実施例と同様である。
皿ばね148の弾性力は、内筒部12の軸方向に沿った力であって、回転ドラム84、86をヘッドH(カムシャフト側)に押圧するように作用する。このため、ソレノイド108およびソレノイド110の非通電に伴って、中間部材14が進角位置または遅角位置にセットされ、外筒部10外周のスプロケット24とカムシャフト2間の位相角が決定された後、外筒部10外周のスプロケット24またはカムシャフト2から中間部材14にトルク入力があっても、このトルク入力によって中間部材14がクランクプーリCPへ移動するのを阻止することができる。
すなわち、外筒部10外周のスプロケット24とカムシャフト2間の位相角が決定された後は、カムシャフト2から反力を受けても、電力を消費することなく、外筒部10を含む駆動軸側と内筒部12を含む従動軸側をより確実に自己保持状態(セルフロック状態)とすることができ、外筒部10外周のスプロケット24とカムシャフト2間の位相角を、中間部材14の位置によって決定された位相角に、より確実に保持することができ、消費電力を低減することができる。
本実施例によれば、第1実施例または第2実施例と同様の効果を奏することができるとともに、外筒部10外周のスプロケット24とカムシャフト2間の位相角が決定された後は、カムシャフト2から反力を受けても、電力を消費することなく、外筒部10を含む駆動軸側と内筒部12を含む従動軸側をより確実に自己保持状態(セルフロック状態)とすることができ、外筒部10外周のスプロケット24とカムシャフト2間の位相角を、中間部材14の位置によって決定された位相角に、より確実に保持することができ、消費電力を低減することができる。
次に、本発明の第4実施例を図14乃至図16に従って説明する。本実施例は、外筒部10の代わりに、外筒部150を用い、回転ドラム84、86の代わりに、回転ドラム152、154を用い、電磁クラッチ104、106の代わりに、電磁クラッチ156、158を用い、中間部材14の代わりに、連結ピン160を用い、位置制御機構16の代わりに、位置制御機構16Aを用い、位相調整機構18の代わりに、位相調整機構18Aを用いたものであり、他の構成は第1実施例と同様である。
具体的には、外筒部150は、図14および図15に示すように、駆動軸側の筒体として、外筒部10よりも軸方向の長さが長く形成され、スプロケット162が外周側中央部に複数個配列されており、スプロケット162には、エンジンのクランクシャフトの駆動力がチェーンを介して伝達されるようになっている。外筒部150は、エンジンのクランクシャフトの駆動力がチェーンを介してスプロケット162に伝達されたときに、クランクシャフトに同期して回転し、この回転に伴う駆動力を位相調整機構18Aを介して内筒部12に伝達する。
外筒部150の内周側には、内筒部12および回転ドラム152、154を挿通するための貫通孔164が形成されているとともに、位相調整機構18Aの一要素として、貫通孔164の縁に連なる一対のガイド溝166が相対向して形成されている。各ガイド溝166は、連結ピン160との連結部として、断面が略矩形形状に形成されているとともに、連結ピン160の移動をガイドするために、外筒部150の軸方向に沿って、最進角位相に対応した位置から最遅角位相に対応した位置に亘って形成されている。外筒部150のヘッドH側には、外筒部150に隣接して、小径外筒部30が並設されており、小径外筒部30は内筒部12外周に配置されて、ボルト32によって外筒部150に固定されている。
一対の連結ピン160は、外筒部150と内筒部12とを連結するための連結部材として、略円柱状に形成されており、長手方向(軸方向)の一端側が、回転ドラム152、154を貫通して、内筒部12のガイド溝(第1のガイド溝)48、50内に装着され、他端側が、回転ドラム152、154を貫通して、外筒部150のガイド溝(第2のガイド溝)166内に装着されている。各連結ピン160は、位置制御機構16Aによって内筒部12の軸方向における位置が制御され、各連結ピン160が位置制御機構16Aによって内筒部12の軸方向に沿って変位すると、各連結ピン160の一端側が内筒部12のガイド溝48、50に沿って移動し、各連結ピン160の他端側が外筒部150のガイド溝166に沿って移動する。この際、各連結ピン160は、内筒部12の軸方向に沿った軸方向変位に伴う力を内筒部12の周方向変位のための力としてガイド溝48、50に付与するようになっている。
各連結ピン160の位置を制御するための位置制御機構16Aは、環状に形成された回転ドラム152、154と環状に形成された電磁クラッチ156、158を備えており、回転ドラム152と回転ドラム154は、回転ドラム152を内側として、内筒部12と外筒部150との間に重ねて配置されている。電磁クラッチ156、158は、ソレノイド168、170が制御回路(図示せず)に接続され、制御回路からの制御信号によってオンオフ制御されるようになっている。
回転ドラム152は、略円筒状に形成されて、内筒部12の外周側に回転自在に配置されている。この回転ドラム152には、図16に示すように、連結ピン160を挿通するとともに、連結ピン160の移動をガイドするためのガイド穴(第1のガイド穴)172が、回転ドラム152の軸心と直交する線に対して傾斜する方向に、且つ周方向に沿って形成されている。ガイド穴172の長手方向両端側には半円形部174、176が形成され、半円形部174と半円形部176との間に、一対のランプ(第1のランプ)178、180が相対向して直線状に形成されている。ランプ178、180は、ガイド穴172の長手方向に沿った一対の縁として、回転ドラム152の軸心と直交する線に対して傾斜する方向に直線状に形成されている。
回転ドラム154は、略円筒状に形成されて、回転ドラム152の外周側に回転自在に配置されている。この回転ドラム154には、図16に示すように、連結ピン160を挿通するとともに、連結ピン160の移動をガイドするためのガイド穴(第2のガイド穴)182が、回転ドラム154の軸心と直交する線に対して、ガイド穴172とは逆方向に傾斜する方向に、且つ周方向に沿って形成されている。ガイド穴182の長手方向両端側には半円形部184、186が形成され、半円形部184と半円形部186との間に、ランプ(第2のランプ)188、190が相対向して直線状に形成されている。ランプ178、180は、ガイド穴182の長手方向に沿った一対の縁として、回転ドラム154の軸心と直交する線に対して傾斜する方向に、周方向に沿って直線状に形成されている。
回転ドラム152、154の軸方向における位置は電磁クラッチ156、158のオンオフ状態によって制御され、電磁クラッチ156は、進角制御時に、ソレノイド168が通電されたときにオンとなり、それ以外のときにはオフとなる。電磁クラッチ158は、遅角制御時に、ソレノイド170が通電されたときにオンとなり、それ以外のときにはオフとなる。ソレノイド168または170が通電されると、回転ドラム152または154の軸方向(内筒部12における軸方向)への移動に伴って各連結ピン160が進角位置または遅角位置に移動するようになっている。
具体的には、ソレノイド168とソレノイド170が非通電状態にあるときには、回転ドラム152、154は、各連結ピン160に回転力を付与することなく、外筒部150や内筒部12とともに回転し、そのときの回転ドラム152、154の位置によって各連結ピン160の位置が決定される。
例えば、吸気バルブの開閉タイミングを制御する場合、アイドリング時には、各連結ピン160は最遅角位置にある。この後、進角制御するために、ソレノイド168のみを通電すると、回転ドラム152が矢印X方向に回転し、回転ドラム152の回転力が回転ドラム152のランプ178から各連結ピン160に付与される。これにより、各連結ピン160は、回転ドラム152のガイド穴172と内筒部12のガイド溝48、50に沿って移動するとともに、内筒部12の軸方向に沿ってヘッドH側(カムシャフト側または進角側)に移動する。各連結ピン160が最遅角位置から最進角位置に向かって移動する過程で、任意のタイミングでソレノイド168を非通電状態にすると、電磁クラッチ156がオフとなって、各連結ピン160は任意の進角位置に位置決めされる。
このとき、各連結ピン160の移動に伴って、外筒部150と内筒部12に対しては、互いに逆方向の周方向変位であって、各連結ピン160の軸方向における位置に応じて大きさの異なる周方向変位が付与され、外筒部150は、クランクプーリCP側から見て反時計周りに回転し、内筒部12は、クランクプーリCP側から見て時計周りに回転し、外筒部150外周のスプロケット162とカムシャフト2間の位相が進角側に調整される。
一方、各連結ピン160が最進角位置にあるときに、遅角制御するために、ソレノイド170のみを通電して電磁クラッチ158をオンにすると、回転ドラム154が矢印X方向に回転し、回転ドラム154の回転力が回転ドラム154のランプ190から各連結ピン160に付与される。これにより、各連結ピン160は、回転ドラム154のガイド穴182と内筒部12のガイド溝48、50に沿って移動するとともに、内筒部12の軸方向に沿ってクランクプーリCP側(カムシャフトから離れる方向または遅角側)に移動する。各連結ピン160が最進角位置から最遅角位置に向かって移動する過程で、任意のタイミングでソレノイド170を非通電状態にすると、電磁クラッチ158がオフとなって、各連結ピン160は任意の遅角位置に位置決めされる。
このとき、各連結ピン160の移動に伴って、外筒部150と内筒部12に対しては、互いに逆方向の周方向変位であって、各連結ピン160の、内筒部12の軸方向における位置に応じて大きさの異なる周方向変位が付与され、外筒部150は、クランクプーリCP側から見て時計周りに回転し、内筒部12は、クランクプーリCP側から見て反時計周りに回転し、外筒部150外周のスプロケット162とカムシャフト2間の位相が遅角側に調整される。
各連結ピン160が任意の進角位置または遅角位置に位置決めされた後、進角制御するときには、ソレノイド168を通電することで、各連結ピン160を他の進角位置に位置決めでき、また、遅角制御するときには、ソレノイド170を通電することで、各連結ピン160を他の遅角位置に位置決めできる。
一方、ソレノイド168、170がそれぞれ非通電状態となって、各連結ピン160が任意の進角位置または遅角位置に位置決めされたときには、各連結ピン160は、その位置に自己保持されるようになっている。
すなわち、回転ドラム152のランプ178、180と回転ドラム154のランプ188、190は、図16(a)に示すように、傾斜角(回転ドラム152、154の軸心と直交する線に対して傾斜した角度)θが、摩擦角以下で且つ0度を越える角度であって、以下の(2)式を満たす値に設定されている。
P×cos(θ)−P×μ−Fr<0 ……(2)
ここで、Pは、各連結ピン160から回転ドラム152、154に対して作用する力であって、回転ドラム152、154の軸心と平行となる力、Frは、回転ドラム152、154の周方向に作用するジャーナルフリクション、μは、回転ドラム152または回転ドラム154と各連結ピン160との間の摩擦係数である。
回転ドラム152のランプ178、180と回転ドラム154のランプ188、190の傾斜角θを(2)式を満たす値に設定すると、各連結ピン160が任意の進角位置または遅角位置にあって、進角制御または遅角制御が行われないときに、外筒部150外周のスプロケット162またはカムシャフト2から各連結ピン160にトルクが入力された場合でも、(2)式の値が負となるので、各連結ピン160から回転ドラム152、154にトルクが伝達されず、各連結ピン160は、任意の進角位置または遅角位置に保持され、自己保持状態(セルフロック状態)となる。
さらに、各回転ドラム152、154の軸方向中央部には、スプロケット162に連結されたチェーンの張力が外筒部150を介して作用し、チェーン張力によって各回転ドラム152、154が内筒部12側に押圧されるため、ソレノイド168およびソレノイド170の非通電に伴って、各連結ピン160が進角位置または遅角位置にセットされ、外筒部150外周のスプロケット162とカムシャフト2間の位相角が決定された後、外筒部150外周のスプロケット162またはカムシャフト2から各連結ピン160にトルク入力があっても、このトルク入力によって各連結ピン160がクランクプーリCPへ移動するのを阻止することができる。
すなわち、外筒部150外周のスプロケット162とカムシャフト2間の位相角が決定された後は、カムシャフト2から反力を受けても、電力を消費することなく、外筒部150を含む駆動軸側と内筒部12を含む従動軸側をより確実に自己保持状態(セルフロック状態)とすることができ、外筒部150外周のスプロケット162とカムシャフト2間の位相角を、各連結ピン160の位置によって決定された位相角に、より確実に保持することができ、消費電力を低減することができる。
本実施例によれば、ソレノイド168またはソレノイド170の通電に伴って、各連結ピン160が進角位置または遅角位置に移動する過程では、各連結ピン160が内筒部12のガイド溝48、50と回転ドラム152のガイド穴172および回転ドラム154のガイド穴182に沿って移動し、各連結ピン160が、内筒部12の軸方向に沿って変位すると、外筒部150と内筒部12に対して、互いに逆方向の周方向変位であって、各連結ピン160の、内筒部12の軸方向における位置に応じて大きさの異なる周方向変位が付与され、外筒部150外周のスプロケット162とカムシャフト2間の位相が可変に調整される。
また、本実施例によれば、外筒部150外周のスプロケット162とカムシャフト2間の位相角が決定された後は、カムシャフト2から反力を受けても、電力を消費することなく、外筒部150を含む駆動軸側と内筒部12を含む従動軸側をより確実に自己保持状態(セルフロック状態)とすることができ、外筒部150外周のスプロケット162とカムシャフト2間の位相角を、各連結ピン160の位置によって決定された位相角に、より確実に保持することができ、消費電力を低減することができる。
さらに、本実施例によれば、位置制御機構16Aや位相調整機構18Aを少ない部品で構成することができ、コスト低減に寄与することができる。
また、本実施例によれば、リターンスプリングの弾性力に抗して、各連結ピン160を移動させる必要はなく、ソレノイド168またはソレノイド170を通電するだけで、各連結ピン160を移動させることができるので、リターンスプリングを用いたものよりも消費電力を低減することができる。
次に、本発明の第5実施例を図17乃至図19に従って説明する。本実施例は、外筒部10に隣接する回転ドラム86と外筒部10との間に、環状のリテーナ192を装着し、リテーナ192に、複数個の貫通孔194を周方向に沿って分散して形成し、各貫通孔194には、回転ドラム86と外筒部10側面に接触する回転体としてのローラ196を回転自在に装着したものであり、他の構成は第1実施例と同様である。なお、回転体としては、ローラ196の代わりにボールを用いることもできる。
本実施例によれば、回転ドラム86と外筒部10との間に環状のリテーナ192が装着され、リテーナ192に形成された各貫通孔194には、回転ドラム86と外筒部10に接触するローラ196が回転自在に装着されているので、回転ドラム86の回転に伴う力がローラ196を介して外筒部10に作用しても、回転ドラム86と外筒部10との間の摩擦抵抗をローラ196の回転によって下げることができ、結果として、回転ドラム86の作動時における必要トルクを下げることができる。
なお、本実施例に係る構成を、第1実施例に適用したものについて述べたが、第2実施例乃至第4実施例にも本実施例に係る構成を適用することができる。
本発明の第1実施例を示すエンジンのバルブ制御装置の縦断面図である。 外筒部と小径外筒部の正面図である。 (a)は、外筒部の断面図、(b)は、外筒部の背面図である。 (a)は、内筒部の平面図、(b)は、内筒部外周側の展開図である。 (a)は、中間部材の平面図、(b)は、中間部材の正面図、(c)は、中間部材外周側の展開図である。 中間部材にピンとローラを組付けた状態を示す図である。 (a)は、ピンの断面図、(b)は、ローラの平面図、(c)は、ローラの断面図、(d)は、ローラピンの平面図である。 (a)は、カバーの背面図、(b)は、図8(a)のA−A線に沿う断面図である。 (a)は、フロント側回転ドラムの平面図、(b)は、フロント側回転ドラムの正面図、(c)は、フロント側回転ドラム外周側の展開図である。 (a)は、リヤ側回転ドラムの正面図、(b)は、リヤ側回転ドラムの断面図、(c)は、リヤ側回転ドラム内周側の展開図である。 (a)は、フロント側回転ドラムとリヤ側回転ドラムおよび中間部材との関係を説明するための展開図、(b)は、内筒部の回転方向を説明するための図である。 本発明の第2実施例を示すエンジンのバルブ制御装置の縦断面図である。 本発明の第3実施例を示すエンジンのバルブ制御装置の縦断面図である。 本発明の第4実施例を示すエンジンのバルブ制御装置の要部縦断面図である。 第4実施例における外筒部の背面図である。 (a)は、第4実施例におけるフロント側回転ドラムとリヤ側回転ドラムとの関係を説明するための図、(b)は、第4実施例におけるフロント側回転ドラム外周側の展開図、(c)は、第4実施例におけるリヤ側回転ドラム外周側の展開図である。 本発明の第5実施例を示すエンジンのバルブ制御装置の要部縦断面図である。 第5実施例におけるリテーナの正面図である。 第5実施例におけるリヤ側回転ドラムとローラおよび外筒部の関係を説明するための展開図である。
10 外筒部
12 内筒部
14 中間部材
16、16A 位置制御機構
18、18A 位相調整機構
30 小径外筒部
48、50 ガイド溝
74 ピン
76 ローラ
84、86 回転ドラム
88、90、92、94、96、98、100、102 ランプ
104、106 電磁クラッチ
108、110 ソレノイド
134、136、142、144 ランプ
146 ボール
148 皿ばね
150 外筒部
152、154 回転ドラム
156、158 電磁クラッチ
160 連結ピン
166 ガイド穴
168、170 ソレノイド
192 リテーナ
196 ローラ

Claims (7)

  1. エンジンのクランクシャフトの駆動力が伝達される外筒部と、前記外筒部内周側に相対回転可能に配置されて、前記エンジンの吸気バルブ又は排気バルブを開閉させるカムシャフトに同軸上に連結された内筒部と、筒状に形成されてその一部が前記外筒部に摺動自在に連結され、且つ前記内筒部外周に前記内筒部の軸方向に沿って移動自在に配置された中間部材と、前記エンジンの運転状態に応じて、前記中間部材の軸方向における位置を制御する位置制御機構と、前記中間部材の軸方向における位置に応じて前記外筒部外周のスプロケットと前記カムシャフト間の位相を可変に調整する位相調整機構とを備え、前記内筒部と前記中間部材は前記位相調整機構を介して互いに連結され、前記位置制御機構は、前記中間部材外周の軸方向一端側に、前記中間部材の軸心と直交する線に対して傾斜する方向で且つ周方向に沿って形成された第1のランプと、前記中間部材外周の軸方向他端側に、前記中間部材の軸心と直交する線に対して、前記第1のランプとは逆方向に傾斜する方向で且つ周方向に沿って形成された第2のランプと、前記第1のランプと前記第2のランプを間にして、前記中間部材外周側に互いに分かれて配置されているとともに、前記内筒部の周囲に回転可能に配置された複数の回転ドラムと、進角時と遅角時に電磁力を発生し、それ以外のときには電磁力の発生を停止し、前記進角時には、前記複数の回転ドラムのうち一方の回転ドラムに回転力を付与し、遅角時には、前記複数の回転ドラムのうち他方の回転ドラムに回転力を付与する複数の電磁クラッチと、前記中間部材外周のうち前記一方の回転ドラムと前記他方の回転ドラムとの間の部位に回転自在に配置されて、前記一方の回転ドラムまたは前記他方の回転ドラムからの回転力を受けて回転するローラとを備え、前記一方の回転ドラムの、前記他方の回転ドラムとの対向面側には、前記第1のランプと係合可能であって、前記第1のランプを前記カムシャフト側に押圧するための第3のランプが形成され、前記他方の回転ドラムの、前記一方の回転ドラムとの対向面側には、前記第2のランプと係合可能であって、前記第2のランプを前記カムシャフトから離れる方向に押圧するための第4のランプが形成されることによって、前記電磁クラッチへの通電時に前記中間部材を軸方向に変位させ、前記電磁クラッチへの非通電時には、前記外筒部外周のスプロケットまたは前記カムシャフトから前記中間部材へのトルク入力に対して、前記トルク入力に伴う前記中間部材の軸方向変位を阻止し、前記位相調整機構は、前記中間部材に固定されて、その一部が前記中間部材内周から前記内筒部外周に向けて突出されたピンと、前記ピンを最進角位相に対応した位置から最遅角位相に対応して位置まで案内する溝として、前記内筒部外周にスパイラル状に形成されたガイド溝とを備え、前記ピンは、前記中間部材の軸方向変位に応じて前記ガイド溝内を移動し、前記中間部材の軸方向変位に伴う力を前記内筒部の周方向変位のための力として前記ガイド溝に付与し、前記中間部材の軸方向変位に応答して、前記中間部材の軸方向変位を前記内筒部の周方向変位に変換してなるエンジンのバルブ制御装置。
  2. エンジンのクランクシャフトの駆動力が伝達される外筒部と、前記外筒部内周側に相対回転可能に配置されて、前記エンジンの吸気バルブ又は排気バルブを開閉させるカムシャフトに同軸上に連結された内筒部と、筒状に形成されてその一部が前記外筒部に摺動自在に連結され、且つ前記内筒部外周に前記内筒部の軸方向に沿って移動自在に配置された中間部材と、前記エンジンの運転状態に応じて、前記中間部材の軸方向における位置を制御する位置制御機構と、前記中間部材の軸方向における位置に応じて前記外筒部外周のスプロケットと前記カムシャフト間の位相を可変に調整する位相調整機構とを備え、前記内筒部と前記中間部材は前記位相調整機構を介して互いに連結され、前記位置制御機構は、前記中間部材外周の軸方向一端側に、前記中間部材の軸心と直交する線に対して傾斜する方向で且つ周方向に沿って形成された第1のランプと、前記中間部材外周の軸方向他端側に、前記中間部材の軸心と直交する線に対して、前記第1のランプとは逆方向に傾斜する方向で且つ周方向に沿って形成された第2のランプと、前記第1のランプと前記第2のランプを間にして、前記中間部材外周側に互いに分かれて配置されているとともに、前記内筒部の周囲に回転可能に配置された複数の回転ドラムと、進角時と遅角時に電磁力を発生し、それ以外のときには電磁力の発生を停止し、前記進角時には、前記複数の回転ドラムのうち一方の回転ドラムに回転力を付与し、遅角時には、前記複数の回転ドラムのうち他方の回転ドラムに回転力を付与する複数の電磁クラッチと、前記中間部材外周のうち前記一方の回転ドラムと前記他方の回転ドラムとの間の部位に回転自在に配置されて、前記一方の回転ドラムまたは前記他方の回転ドラムからの回転力を受けて回転するローラとを備え、前記一方の回転ドラムの、前記他方の回転ドラムとの対向面側には、前記第1のランプと係合可能であって、前記第1のランプを前記カムシャフト側に押圧するための第3のランプが形成され、前記他方の回転ドラムの、前記一方の回転ドラムとの対向面側には、前記第2のランプと係合可能であって、前記第2のランプを前記カムシャフトから離れる方向に押圧するための第4のランプが形成されることによって、前記電磁クラッチへの通電時に前記中間部材を軸方向に変位させ、前記電磁クラッチへの非通電時には、前記外筒部外周のスプロケットまたは前記カムシャフトから前記中間部材へのトルク入力に対して、前記トルク入力に伴う前記中間部材の軸方向変位を阻止し、前記位相調整機構は、前記中間部材に固定されて、その一部が前記中間部材内周から前記内筒部外周に向けて突出されたボールと、前記ボールを最進角位相に対応した位置から最遅角位相に対応して位置まで案内する溝として、前記内筒部外周にスパイラル状に形成されたガイド溝とを備え、前記ボールは、前記中間部材の軸方向変位に応じて前記ガイド溝内を移動し、前記中間部材の軸方向変位に伴う力を前記内筒部の周方向変位のための力として前記ガイド溝に付与し、前記中間部材の軸方向変位に応答して、前記中間部材の軸方向変位を前記内筒部の周方向変位に変換してなるエンジンのバルブ制御装置。
  3. 前記第1のランプと第2のランプと第3のランプおよび第4のランプの傾斜角をθとし、前記ローラから前記一方の回転ドラムまたは前記他方の回転ドラムに作用する力であって、前記各回転ドラムの軸心と平行な力をPとし、前記一方の回転ドラムまたは前記他方の回転ドラムの周方向に作用するジャーナルフリクションをFrとし、前記一方の回転ドラムまたは前記他方の回転ドラムと前記中間部材との間の摩擦係数をμとしたときに、前記中間部材が任意の進角位置または遅角位置にあって、前記中間部材に対する軸方向変位が行われないときの、前記外筒部またはカムシャフトから前記中間部材へのトルク入力に対して、前記傾斜角θは、
    P×cos(θ)−P×μ−Fr<0
    の関係を満たしてなることを特徴とする請求項1または2に記載のエンジンのバルブ制御装置。
  4. 前記複数の回転ドラムは、前記内筒部の軸方向一端部外周に固定されたストッパと前記外筒部との間に配置され、前記複数の回転ドラムのうち一方の回転ドラムと前記ストッパとの間に弾性体が装着され、前記弾性体の弾性力により、前記複数の回転ドラムが前記カムシャフト側に押圧されてなることを特徴とする請求項1から3のうちいずれかに記載のエンジンのバルブ制御装置。
  5. エンジンのクランクシャフトの駆動力が伝達される外筒部と、前記外筒部内周側に相対回転可能に配置されて、前記エンジンの吸気バルブ又は排気バルブを開閉させるカムシャフトに同軸上に連結された内筒部と、前記内筒部の軸方向に沿って移動自在に配置されて、前記外筒部内周側と前記内筒部外周側とを結ぶ連結ピンと、前記エンジンの運転状態に応じて前記連結ピンの、前記内筒部の軸方向における位置を制御する位置制御機構と、前記連結ピンの、前記内筒部の軸方向における位置に応じて前記外筒部外周のスプロケットと前記カムシャフト間の位相を可変に調整する位相調整機構とを備え、前記位置制御機構は前記内筒部と前記外筒部との間に回転自在に配置されて、且つ外筒部の径方向に沿って互いに隣接して配置された複数の回転ドラムと、通電時に電磁力を発生し、非通電時には電磁力の発生を停止し、通電に伴う進角時には、前記複数の回転ドラムのうち一方の回転ドラムに回転力を付与し、通電に伴う遅角時には、前記複数の回転ドラムのうち他方の回転ドラムに回転力を付与する複数の電磁クラッチとを備え、前記複数の回転ドラムのうち一方の回転ドラムには、前記連結ピンを挿通する第1のガイド穴が前記一方の回転ドラムの軸心と直交する直線に対して傾斜する方向で且つ周方向に沿って直線状に形成され、他方の回転ドラムには、前記連結ピンを挿通する第2のガイド穴が前記他方の回転ドラムの軸心と直交する直線に対して、前記第1のガイド穴とは逆方向に傾斜する方向で且つ周方向に沿って直線状に形成され、前記第1のガイド穴の長手方向に沿った一対の縁は第1のランプとして形成され、前記第2のガイド穴の長手方向に沿った一対の縁は第2のランプとして形成されることによって、前記電磁クラッチへの通電時に前記連結ピンを前記内筒部の軸方向に変位させ、前記電磁クラッチへの非通電時には、前記外筒部外周のスプロケットまたは前記カムシャフトから前記連結ピンへのトルク入力に対して、前記トルク入力に伴う前記連結ピンの、前記内筒部の軸方向における変位を阻止し、前記位相調整機構は、前記連結ピンを最進角位相に対応した位置から最遅角位相に対応して位置まで案内する溝として、前記内筒部外周にスパイラル状に形成された第1のガイド溝および前記外筒部内周に、前記外筒部の軸方向に沿って形成された第2のガイド溝を備え、前記連結ピンの両端側は、前記位置制御機構による軸方向変位に応じて前記第1のガイド溝と第2のガイド溝内を移動し、前記位置制御機構による軸方向変位に伴う力を前記内筒部の周方向変位のための力として前記第1のガイド溝に付与し、前記連結ピンの、前記内筒部の軸方向における変位に応答して、前記連結ピンの、前記内筒部の軸方向における変位を前記内筒部の周方向変位に変換してなるエンジンのバルブ制御装置。
  6. 前記第1のランプと第2のランプの傾斜角をθとし、前記連結ピンから前記一方の回転ドラムまたは前記他方の回転ドラムに作用する力であって、前記各回転ドラムの軸心と平行な力をPとし、前記一方の回転ドラムまたは前記他方の回転ドラムの周方向に作用するジャーナルフリクションをFrとし、前記一方の回転ドラムまたは前記他方の回転ドラムと前記連結ピンとの間の摩擦係数をμとしたときに、前記連結ピンが任意の進角位置または遅角位置にあって、前記連結ピンに対する、内筒部の軸方向に沿った軸方向変位が行われないときの、前記外筒部またはカムシャフトから前記連結ピンへのトルク入力に対して、前記傾斜角θは、
    P×cos(θ)−P×μ−Fr<0
    の関係を満たしてなることを特徴とする請求項5に記載のエンジンのバルブ制御装置。
  7. 前記複数の回転ドラムのうち前記外筒部に隣接した回転ドラムと前記外筒部との間には環状のリテーナが装着され、前記リテーナには、複数個の貫通孔が周方向に沿って分散して形成され、前記各貫通孔には前記回転ドラムと前記外筒部に接触する回転体が回転自在に装着されてなることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項5のうちいずれかに記載のエンジンのバルブ制御装置。
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