本発明にかかる実施例のパチンコ遊技機1を添付図面に従って説明する。
本実施例のパチンコ遊技機1は、図1に示すように、遊技島設備に固定される木製の外枠2と、該外枠2の前面開口部分を覆うように取り付けられた遊技機本体3とから構成されている。遊技機本体3は、中央上部の略円形の開口部に遊技盤8(図2参照)が取り付けられた本体枠(図示省略)と、該本体枠の前面側に開閉可能に配設された前枠扉6とを備え、本体枠と前枠扉6とが、外枠2にヒンジ部材4を介して枢着されている。前枠扉6には、遊技盤8の遊技領域12(図2参照)を臨む前面ガラス14が配設されている。尚、この前面ガラス14は二枚のガラス板を間隙を介して積層した所謂ペアガラス構造となっている(図5(B)参照)。さらに、遊技機本体3には、前記本体枠の背面側に裏機構板7(図3参照)が配設されている。
前枠扉6の前面下部には、図示しない発射装置に供給する遊技球を貯留する発射球貯留皿10が設けられている。発射球貯留皿10は、その左側内部に、賞球や貸球を流出する球払出口15が開口し、右側内部に、遊技球を整列する整列部(図示省略)が形成され、該整列部の右端に遊技球を発射装置へ供給するための球流入口(図示省略)が開口している。
上記した遊技機本体3(本体枠)の前面下部には、樹脂材からなる下部パネル18が設けられており、この下部パネル18の前面下部中央に余剰の遊技球を貯留する余剰球貯留皿11が配設されている。余剰球貯留皿11の内部には、球放出口19が開口しており、該球放出口19から余剰球貯留皿11内に遊技球が放出される。さらに、余剰球貯留皿11の右方には発射ハンドル26が突設されている。
また、上記した遊技盤8の前面には、図2のように、ガイドレール13が取り付けられており、該ガイドレール13によって略円形の遊技領域12と、上記発射装置(図示省略)により発射された遊技球を遊技領域12に案内する案内通路20とが区画される。さらに、遊技盤8の遊技領域12の中央には、各種の遊技部材が組み付けられたセンターケース41が配設されている。このセンターケース41には、液晶表示器からなる図柄表示装置42が組み付けられており、該図柄表示装置42の表示画面43では、三つの特別図柄A,B,Cと二つの普通図柄E1 ,E2とが変動表示されると共に、様々な演出画像が表示される。
ここで、特別図柄A,B,Cは、後述する可変入賞装置51の始動口54に遊技球が流入することにより変動開始し、その後停止した各特別図柄の組合せからなる停止図柄態様により当り又はハズレを確定する。また、普通図柄E1 ,E2 は、後述する普通図柄始動ゲート(普通図柄始動領域)49を遊技球が通過することにより変動開始し、その後停止した普通図柄E1 ,E2 の組合せにより当り又はハズレを確定する。そして、普通図柄E1 ,E2 が当りの場合には、後述する可変入賞装置51の可動翼片52,52を開閉駆動する。
センターケース41の下部には、4個の発光ダイオードからなる特別図柄始動記憶数表示装置46が配設されている。この特別図柄始動記憶数表示装置46は、上記した可変入賞装置51の始動口54に遊技球が連続して流入した場合に、該始動口54への流入毎に発生する特別図柄始動記憶の記憶数(以下、特別図柄始動記憶数という)を、発光ダイオードの点灯数によって表示する。尚、後述するように、この特別図柄始動記憶を消化することにより、前記図柄表示装置42の表示画面43で特別図柄A,B,Cを変動して停止する図柄生成行程を実行する。また、センターケース41の左下部には、4個の発光ダイオードからなる普通図柄始動記憶数表示装置47が配設されており、同様に、普通図柄E1 ,E2の変動する普通図柄始動記憶の記憶数(以下、普通図柄始動記憶数という)を、発光ダイオードの点灯数によって表示する。ここで、特別図柄始動記憶数と普通図柄始動記憶数は、それぞれ四個を上限数として設定している。
上記センターケース41の左右側方には、普通図柄始動ゲート(普通図柄始動領域)49,49が配設されており、遊技球の通過により、各普通図柄始動ゲート49に設けられた普通図柄始動スイッチS2 (図4参照)から遊技球検出信号が発生すると、前記図柄表示装置42の表示画面43で普通図柄E1 ,E2 が変動し、所定時間経過後に停止して種々の組み合わせの図柄態様が表示される。
また、センターケース41の下方には、遊技球を流入可能とする始動口54と、左右一対の可動翼片52,52とを備えた可変入賞装置51が配設されている。可動翼片52,52は、図5(A)に示すように、基部が夫々支軸53,53によって回動可能に軸支されており、始動口54の左右両側で逆ハ字形に外側方に拡開して遊技球の入賞を容易とする傾動位置と、該傾動位置から上下方向に起立して一個の遊技球が上方から入賞可能な間隔となる起立位置とに位置変換駆動されるようになっている。そして、前記普通図柄E1,E2の表示結果が所定の当り図柄態様の場合には、普通電動役物ソレノイド56(図5(B)参照)を駆動源として可動翼片52,52が所定時間(約 0.2秒間)外側方に拡開されて、始動口54に遊技球が入り易い状態となる。この始動口54の内部には、遊技球を検知する特別図柄始動スイッチS1(図4参照)が配設されており、該特別図柄始動スイッチS1による遊技球検知に従って後述する特別図柄始動記憶を発生し、該特別図柄始動記憶の消化により、前記図柄表示装置42の表示画面に特別図柄A,B,Cを変動開始する。尚、本実施例にあっては、特別図柄始動スイッチS1 により、本発明にかかる球検知手段を構成している。
さらに、可変入賞装置51の下方には、内部に特定領域と一般領域とを有する大入賞口61を備えると共に、横長矩形状の開閉扉62を大入賞口ソレノイド65(図4参照)等の駆動源によって前後方向に開閉駆動することにより、大入賞口61を開放状態と閉鎖状態とに変換する変動入賞装置63が配設されている。そして、前記図柄表示装置42の表示画面43に変動表示される特別図柄A,B,Cが、所定の組み合わせの当り停止図柄態様で確定表示された場合に大当たりとして、特別遊技作動が実行される。この特別遊技作動は、開閉扉62が前方に傾倒して開き、その開放状態で開閉扉62の上面の案内作用を介して、大入賞口61内へ遊技球を案内するとともに、所定開放時間(例えば30秒)の満了、またはその所定開放時間中における所定個数(例えば 9個)の遊技球の入賞により開閉扉62が起立して大入賞口61が閉鎖される開閉ラウンドを、特定領域の球通過を条件として所定制限回数(本実施例にあっては15回または3回)継続するものであって、この特別遊技作動の実行によって多量の遊技球が入賞し、遊技者に所定の利益が供与される。変動入賞装置63の内部には、特定領域に入った遊技球を検知する特定領域スイッチS3(図4参照)と、一回の開閉ラウンド毎の入賞個数を計数するカウントスイッチS4(図4参照)とが設けられている。また、特定領域スイッチS3 で検知される遊技球は、一回の開閉ラウンド中に計数される入賞個数に合算される。
その他、遊技領域12には、複数の一般入賞口58が配設されており、その内部に設けられた一般入賞スイッチS5(図4参照)による遊技球の入賞検知に伴って所定数の賞球が払い出される。
一方、上記した裏機構板7には、図3のように、その上部に、遊技島設備から供給される遊技球を貯留する球タンク71が設けられており、球タンク71の直下に、該球タンク71内の遊技球を流下させるタンクレール72が設けられている。そして、このタンクレール72の下端部と連通して遊技球を下方の払出装置73に導く上下方向の球通路74が設けられている。さらに、払出装置73には、発射球貯留皿10(図1参照)の球払出口15に連通する球流通路77と、上記した余剰球貯留皿11(図1参照)の球放出口19へ流下させるバイパス路76とが分岐して接続されている。
さらに、この裏機構板7には、遊技盤8の裏面側に突出した状態で取り付けられる制御装置や該制御装置の保護カバー(いずれも図示省略)との干渉を避けるために、その略中央部に矩形状の開口部78が形成されている。すなわち、この開口部78内に、遊技全般を制御する主制御基板80、払出装置73を制御する払出制御基板81、上記した発射装置(図示省略)を制御する発射制御基板84等の各種制御基板が夫々配設されることとなる(図示省略)。さらに裏機構板7の上部位置には、遊技状態等の所要情報信号を出力する情報端子基板79が、球タンク71の横に並べて配設されており、本実施例にあっては、この情報端子基板79に、後述する復帰スイッチ96が配設されている。
次に、上述のパチンコ遊技機1の制御回路について、図4に示すブロック図に従って説明する。
制御回路には、主制御基板80、払出制御基板81、演出制御基板82、電源基板83、発射制御基板84が配設されている。主制御基板80は、マイクロコンピュータにより構成されており、パチンコ遊技機1の遊技を統括的に制御するものである。そして、この主制御基板80には、上述した遊技盤8に配設された始動口54、大入賞口61、一般入賞口58へ流入した遊技球を検知するための各スイッチやセンサ(図示省略)等が盤面中継端子板(図示省略)を介して接続されている。
主制御基板80には、各種スイッチやセンサなどからの入力信号に従って演算処理を実行して所定の制御指令信号を出力する中央制御装置CPU、演算処理に用いる制御プログラムを格納する記憶装置ROM、必要なデータを随時読み書き可能な記憶装置RAMが、データを読み書きするアドレスを指定する情報を一方的に伝えるアドレスバス(図示省略)と、データのやり取りを行うデータバス(図示省略)とを介して接続され、主制御基板80の基板回路を構成している。前記記憶装置ROMには、制御プログラムや、普通当り乱数テーブル、普通当り図柄乱数テーブル、大当り特別乱数テーブル、大当り図柄乱数テーブル、ハズレ図柄乱数テーブル、リーチ乱数テーブル、リーチ図柄乱数テーブル、リーチ態様乱数テーブル等の固定データが格納されている。そして、後述するように始動口54に遊技球が流入して特別図柄始動スイッチS1がON作動すると、中央制御装置CPUによって各乱数テーブルの乱数値の抽選が行われ、大当り特別乱数値、大当り図柄乱数値、ハズレ図柄乱数値、リーチ乱数値、リーチ図柄乱数値、リーチ態様乱数値等が選出される。また、記憶装置RAMには、特別図柄始動スイッチS1 ,普通図柄始動スイッチS2 のON作動数等が一時的に記憶される記憶エリア、ソフトタイマを構成するレジスタ領域及びワークエリア等が設けられている。
さらに、主制御基板80の基板回路には、所定のクロックパルスを出力するクロック装置(図示省略)が設けられ、中央制御装置CPUに接続されている。そして中央制御装置CPUは一定間隔のクロックパルスによって、時系列的に演算処理を行い、一連の処理作動を順次実行する。また、このクロック装置により出力されたクロックパルスをカウントして、時間を計測するタイマーTMも接続されている。
また、上記主制御基板80の基板回路には、中央制御装置CPUが周辺機器とデータ通信を行う入力ポート(図示省略)及び出力ポート(図示省略)が設けられており、該出力ポートを介して主制御基板80からの制御指令信号が、払出制御基板81、演出制御基板82、発射制御基板84の各入力ポートに向けて発信されるようになっている。また、主制御基板80の入力ポートには、盤面中継端子板を介して、特別図柄始動スイッチS1、普通図柄始動スイッチS2 ,特定領域スイッチS3 ,カウントスイッチS4 ,一般入賞スイッチS5 が接続されている。そして、主制御基板80は、所定時間毎(例えば2ms毎)に各スイッチS1 〜S5 の遊技球検出状態を調べ、信号入力があるとその信号が波形整形回路により波形整形されて中央制御装置CPUに入力され、その情報を記憶装置RAMに記憶する。また、主制御基板80の出力ポートには、盤面中継端子板を介して大入賞口ソレノイド65,普通電動役物ソレノイド56が接続されており、中央制御装置CPUが所定の条件を選出した場合に作動される。
また、上記した払出制御基板81、演出制御基板82、発射制御基板84にあっても、主制御基板80と同様に、中央制御装置CPU、記憶装置ROM、記憶装置RAMを備えた基板回路が設けられている。
上記した主制御基板80の中央制御装置CPU及び上記した各制御基板81〜84に設置されている各中央制御装置CPUは、所定のデータの処理を行う演算ユニット(ALU)を連成した演算装置と、この演算装置に入出力するデータや読み込んだ命令を保管しておくレジスタと、命令を解読するデコーダ等によって構成されている。尚、前記演算ユニットの連成数によって、各中央制御装置CPUの演算処理能力が決まる。そして、主制御基板80の中央制御装置CPUは、所定の形式で生成した制御指令信号を各制御基板81〜84に夫々送信し、各制御基板81〜84の中央制御装置CPUがこの制御指令信号に従って所定の制御を処理実行することとなる。
一方、上記した演出制御基板82は、上述した図柄表示装置42で表示する図柄制御や、各種スピーカから音響を発する制御や、各種ランプおよびLEDを発光する制御などを行うものである。そして、この演出制御基板82には、図柄表示装置42を構成する液晶表示器(図示省略)と、各種LEDをLED中継端子板を介して発光制御するランプ制御基板(図示省略)と、スピーカが接続された演出中継端子板(図示省略)とが夫々に接続されている。また、演出制御基板82にも、上述した主制御基板80と同様に、中央制御装置CPU、記憶装置ROM、記憶装置RAMを備えている。このような演出制御基板82は、主制御基板80から受信した演出制御指令信号に従って、図柄表示装置42による演出画像の表示、各LEDの発光、スピーカの発音を制御実行する。
また、払出制御基板81は、賞球や貸球を払い出す払出装置73(図3参照)を駆動制御するものである。この払出制御基板81は、主制御基板80から受信した払出制御指令信号に従って上記した払出装置73を駆動して、所定の賞球を払い出す制御を実行する。
また、発射制御基板84は、上記した発射ハンドル26(図1参照)の操作に従って、図示しない発射装置を駆動制御することにより、遊技球を発射制御するものである。尚、発射制御基板84も、上記した主制御基板80と接続されており、主制御基板80から所定の制御指令信号を入力すると、それに従って駆動制御するようにもなっている。
また、上述した電源基板83は、外部電源から供給された電力を、所定の電圧に変換して、上述した主制御基板80、払出制御基板81、演出制御基板82、発射制御基板84に送電するものである。電源基板83には、外部電源からAC24Vの電流が送電される。そして、このAC24Vを、DC32V、DC12V、DC5Vに変換する回路が夫々配設されている。さらに、過剰の電流が流れないようする過負荷保護回路、リセット回路、バックアップ用コンデンサ(バックアップ電源)などが配設されている。
この電源基板83からDC32V、DC12V、DC6Vの各電力を夫々供給された主制御基板80、払出制御基板81、演出制御基板82、発射制御基板84は、夫々が駆動制御するモータ、ソレノイド、スイッチ、センサ、LED、スピーカ、表示装置などに所定の電力を分配する。
次に、図4に示した制御回路による制御態様をパチンコ遊技機の作動に従って説明する。
上記した発射ハンドル26が遊技者によって操作されることにより、遊技球を遊技領域12に発射する。この遊技球が普通図柄始動ゲート49を通過し、普通図柄始動スイッチS2 がON作動すると、主制御基板80は普通図柄の始動処理を行う。これにより、主制御基板80は、普通当り乱数値と普通当り図柄乱数値を夫々抽出し、演出制御基板82を介して図柄表示装置42により普通図柄E1 ,E2 の図柄変動を開始して、前記各乱数値に従って停止する。そして、普通図柄E1 ,E2が当りであった場合には、上述したように、可変入賞装置51の可動翼片52,52(図5参照)を傾動位置に拡開する制御を行う。尚、遊技球が普通図柄始動ゲート49を連続して通過した場合には、それぞれについて各乱数値を選出して記憶装置RAMに普通図柄始動記憶として一旦格納し、該普通図柄始動記憶の記憶数に従って普通図柄始動記憶数表示装置47の発光ダイオードを点灯する。
遊技領域12を転動流下した遊技球が可変入賞装置51の始動口54に流入すると、図6のように、特別図柄始動スイッチS1がON作動し、このON作動による入力信号を受け取った主制御基板80は、特別図柄始動記憶数表示装置46の発光ダイオードを一つ点灯すると共に、上記した各乱数値を抽出して特別図柄始動記憶を記憶する始動口処理を行う。ここで、主制御基板80の中央制御装置CPUは、この始動口処理で実行する特別図柄始動記憶処理として、記憶装置ROMに記憶されている大当り特別乱数テーブル、大当り図柄乱数テーブル、ハズレ図柄乱数テーブル、リーチ乱数テーブル、リーチ図柄乱数テーブル、リーチ態様乱数テーブル等から抽選によって、大当り特別乱数値、大当り図柄乱数値などを夫々に抽出し、これら各乱数値を一セットの特別図柄始動記憶として、記憶装置RAMに一旦記憶保持する処理を行う。
尚、遊技球が連続的に始動口54に流入した場合には、特別図柄始動スイッチS1がON作動する毎に、特別図柄始動記憶処理により各乱数値を選出して特別図柄始動記憶を順次発生し、その発生順に記憶装置RAMに記憶保持すると共に、特別図柄始動記憶数表示装置46の発光ダイオードをその始動記憶数に応じて順次点灯する。この特別図柄始動記憶の記憶数は、最大四個と設定されていることから、四個の特別図柄始動記憶が記憶されている状態で、新たに始動口54へ遊技球が流入しても、特別図柄始動記憶処理は実行されず特別図柄始動記憶も発生しない。
そして、主制御基板80は、記憶装置RAMに特別図柄始動記憶を記憶している場合には、図7のように、発生順に特別図柄始動記憶を消化して特別図柄を変動制御する特別図柄処理を行う。すなわち、特別図柄始動記憶を読み込み、当該特別図柄始動記憶の大当り特別乱数値を判定すると共に、演出制御基板82に指令信号を発信して、該演出制御基板82により特別図柄始動記憶数表示装置46の発光ダイオードを1個消灯し、特別図柄A,B,Cの図柄変動を開始する。ここで、大当り特別乱数値が当りであると、大当り図柄乱数値を選択して当り停止図柄態様を決定すると共に、その他の乱数値に従って図柄表示装置42で表示される当り図柄変動パターンを選定し(当り図柄変動パターン選定処理)、演出制御基板82により、図柄表示装置42で、特別図柄A,B,Cを当り停止図柄態様で確定停止するまでの一連の図柄生成行程を実行する(当り図柄処理)。そして、特別図柄A,B,Cが当り停止図柄態様で確定停止すると、上述したように、特別遊技作動として、大入賞口61を開閉作動する開閉ラウンドを開始する。一方、大当り特別乱数値がハズレ乱数値であった場合には、ハズレ図柄乱数値を選択してハズレ停止図柄態様を決定すると共に、ハズレ図柄変動パターンを選定し(ハズレ図柄変動パターン選定処理)、演出制御基板82により、図柄表示装置42で、特別図柄A,B,Cをハズレ停止図柄態様で確定停止する一連の図柄生成行程を実行する(ハズレ図柄処理)。このように、特別図柄始動記憶の消化により、特別図柄A,B,Cを変動開始して、当り又はハズレの停止図柄態様を確定停止するまでの一連の図柄生成行程を実行する。尚、このような特別図柄処理は、前記のように特別図柄A,B,Cを変動開始して、当り又はハズレを確定する停止図柄態様を停止するまでの通常の図柄生成行程を制御実行するための処理であり、当該特別図柄処理を実行している状態が、通常の遊技状態である。
本実施例にあっては、特別図柄始動記憶の消化により判定する大当り特別乱数値によって、当り又はハズレを決定するようにしていることから、特別図柄始動記憶には、その発生の際に大当り特別乱数値により当り又はハズレが割り当てられていると言える。
また、本実施例にあって、上記の特別図柄A,B,Cとしては、それぞれ「0」〜「9」の各数字からなり、A=B=Cで確定停止した場合に当りとし、これ以外をハズレとする。すなわち、特別図柄A=B=Cが当り停止図柄態様であり、これ以外がハズレ停止図柄態様である。
また、特別図柄始動記憶にあっては、上述したように、最大四個まで記憶されて、その発生順に上記消化処理が行われることから、消化処理前の特別図柄始動記憶は記憶されて維持されている状態である。
尚、上述したように特別図柄始動記憶を消化する処理について主に説明したが、その他の処理(例えば、メイン処理など)については、従来の構成と同様に実行できるため、その詳細を適宜省略している。
次に、本実施例の要部について説明する。
前記始動口54(可変入賞装置51)の左右上方位置に対応する遊技盤8の内部には、図5(A)のように、磁石100が発生する磁気を検知して不正検知信号を送信するリードスイッチからなる磁気センサ91,91が夫々に配設されている。各磁気センサ91,91は、図5(B)に示すように、ゴム等の弾性体からなる略筒状の保持部材92に内嵌した状態で、遊技盤8の裏面から表面側に貫通しない程度に表面側に近接させて形成した盲端状の取付孔93に挿入して保持されている。ここで、磁気センサ91としてのリードスイッチは、その長手方向の一端側に、磁石100のN極またはS極が位置したとき、磁石100が発生する磁気を最も高感度で検知する特性があるため、このように、磁気センサ91としてのリードスイッチを、遊技盤8に対して垂直に配置して、その長手方向の一端を前面ガラス14に対向させることにより、該前面ガラス14越しに近づけられる磁石100のN極またはS極を高感度で検知し得るようになっている。また、このように、磁気センサ91を盲端状の取付孔93に挿入して保持することにより、遊技盤8の表面側からの磁気センサ91の視認を不能とし得るとともに、遊技盤8の表面に施されるデザインが損なわれないため、遊技盤8の外的美観の低下を防止できるようになっている。尚、磁気センサ91としては、図示したリードスイッチ以外にホール素子,MR(磁気抵抗)素子,MI(磁気インピーダンス)素子等の感磁性半導体素子を用いることも可能である。
この磁気センサ91は、盤面中継端子板を介して主制御基板80の入力ポートに接続されている(図4参照)。そして、磁気センサ91が、磁石100による磁気を検知すると、不正検知信号を発信し、当該不正検知信号が主制御基板80に入力される。
また、遊技盤8の背面側に配設された裏機構板7には、図3のように、ボタンスイッチからなる復帰スイッチ96が設けられている。この復帰スイッチ96は、盤面中継端子板を介して主制御基板80の入力ポートに接続されている(図4参照)。そして、復帰スイッチ96がそのON作動により復帰信号を発信し、当該復帰信号が主制御基板80に入力される。
また、本実施例にあっては、不正検知信号の入力に伴って主制御基板80により駆動制御される警報ランプ(図示省略)を備えている。この警報ランプは、当該パチンコ遊技機1から離れた位置、例えば、遊技場の係員に限って入出可能とする管理室等に設置されており、主制御基板80から指令信号が裏機構板7の情報端子基板79を介して有線又は無線により通信することにより駆動する。この警報ランプが駆動することにより、遊技場の係員は不正行為の発生を知ることができるが、不正行為者は警報ランプの駆動がわからないため、不正行為が発覚したこともわからない。
一方、主制御基板80の記憶装置ROMには、上記した不正検知信号の入力に伴って実行される不正対応制御プログラムが記憶保持されており、この不正対応制御プログラムを読み込んで実行することにより、後述する不正対応制御処理(図8参照)が行われる。本実施例にあっては、不正対応制御処理を実行することによって、ハズレを確定する特別図柄始動記憶を優先して消化するハズレ優先消化処理と、該ハズレ優先消化処理後に行う延長変動制御処理とを実行する。
以下に、磁気センサ91による磁気検知に伴って実行される制御態様について説明する。
主制御基板80は、上記した磁気センサ91から不正検知信号を入力すると、図8のように、不正対応制御プログラムを読み込んで割り込み処理して不正対応制御処理を実行する。この不正対応制御処理としては、不正検知信号を受信すると、未消化の特別図柄始動記憶が保留されているか否か(特別図柄始動記憶数の有無)を確認する。
ここで、未消化の特別始動記憶を記憶保持している場合には、直ちにハズレ優先消化処理(ハズレ優先消化過程)を実行する。一方、不正検知信号を入力したときに未消化の特別始動記憶を記憶していない場合には、予め定められたハズレ優先消化期間を設定し、該ハズレ優先消化期間の時限消化を開始する。具体的には、ハズレ優先消化期間が5分間として定められている場合に、この5分間を上記したタイマーTMにより計測開始し、当該ハズレ優先消化期間内に、始動口54に遊技球が流入して特別図柄始動記憶が発生すると、ハズレ優先消化処理を実行する。尚、ハズレ優先消化期間は、始動口54へ磁石100により遊技球が誘導される不正行為に対して、該磁石100の磁力を検知してから始動口54へ流入するまでにかかる時間を考慮して設定している。そして、このハズレ優先消化期間内に発生した新たな特別図柄始動記憶は、不正行為によるものとして考えられるため、前記のようにハズレ優先消化処理を実行する。しかし、ハズレ優先消化期間内に特別図柄始動記憶が発生せずに当該ハズレ優先消化期間が経過すると、当該ハズレ優先消化処理を終了する。これは、ハズレ優先消化期間の経過後に発生した特別図柄始動記憶は、不正行為と無関係であると判断するためであり、不正行為により特別図柄始動記憶が発生しないものとみなして、その後の特別図柄始動記憶については、上記した通常の特別図柄処理(図7参照)により実行するようにしている。
上記のハズレ優先消化処理では、図9のように、消化フラグに特別図柄始動記憶数を導入し、優先フラグ=1とする。そして、特別図柄始動記憶を読み込んで消化フラグから1減算し、大当り特別乱数値を確認して、当り又はハズレの判定を行う。ここで、大当り特別乱数値によって当りと判定した場合には、消化フラグを確認して、該消化フラグ>0であると、再度消化フラグから1減算して、次の特別図柄始動記憶を読み込み、大当り特別乱数値を確認する。このように当り判定した場合には、次の特別図柄始動記憶を読み込んで大当り特別乱数値を判定する処理を繰り返す。尚、当り判定した場合に消化フラグ=0であると、ハズレ優先消化処理を終了して、後述する延長変動制御処理を実行する(図8,10参照)。
一方、大当り特別乱数値によりハズレと判定した場合には、特別図柄始動記憶数から1減算して、特別図柄始動記憶数表示装置46を1個消灯し、演出制御基板82により図柄表示装置42で特別図柄A,B,Cを変動開始する。そして、ハズレ図柄乱数値を選択してハズレ停止図柄態様を決定すると共に、その他の各乱数値によりハズレ図柄変動パターンを選定し(ハズレ図柄変動パターン選定処理)、演出制御基板82により、図柄表示装置42で、特別図柄A,B,Cをハズレ停止図柄態様で確定停止する一連の図柄生成行程を実行する(ハズレ図柄処理)。
ハズレ停止図柄態様で確定停止する図柄生成行程が終了すると(ハズレ図柄処理が終了すると)、優先フラグと消化フラグとを順次確認し、優先フラグ=1且つ消化フラグ>0の場合には、次の特別図柄始動記憶を読み込んで大当り特別乱数値の判定する処理を繰り返す。このようにハズレ優先消化処理では、大当り特別乱数値により当り判定した特別図柄始動記憶の消化を保留して記憶保持したまま維持し、ハズレ判定した特別図柄始動記憶を優先して消化してその図柄生成行程を実行するように制御処理する。すなわち、当りを割り当てた特別図柄始動記憶の消化を保留し、ハズレを割り当てた特別始動記憶を優先して繰り返し消化する処理を行う。このハズレ優先消化処理は、不正対応制御処理の所謂サブルーチンとして、ハズレ停止図柄態様を確定する図柄生成行程を優先して繰り返し実行するための処理となっている。
尚、ハズレ優先消化処理の実行中に、新たな遊技球が始動口54に流入すると、上記した始動口処理により新たな特別図柄始動記憶が発生して記憶保持される。このように特別図柄始動記憶が発生すると、消化フラグに1を加算し(図6参照)、既に記憶保持している特別図柄始動記憶と同様に、ハズレ優先消化処理により順次処理する。
また、ハズレ停止図柄態様で確定停止する図柄生成行程の終了後に優先フラグ=1且つ消化フラグ=0の場合には、ハズレ優先消化処理を終了して延長変動制御処理を実行する(図8,10参照)。尚、当り判定した特別図柄始動記憶を記憶保持している場合には、ハズレ優先消化処理を終了しても、当該特別図柄始動記憶の消化を保留したまま保持する。
延長変動制御処理としては、図10のように、特別図柄始動記憶数を確認し、特別図柄始動記憶数>0の場合(当り判定した特別図柄始動記憶を保留している場合)には、仮消化フラグに1加算して特別図柄始動記憶数表示装置46を1個消灯し、演出制御基板82により図柄表示装置42で特別図柄A,B,Cを変動開始する。また、特別図柄始動記憶数=0の場合(当り判定した特別図柄始動記憶を記憶保持していない場合)には、演出制御基板82により図柄表示装置42で特別図柄A,B,Cを変動開始する。
そして、主制御基板80の記憶装置ROMに記憶されている延長リーチ乱数テーブル、延長リーチ図柄乱数テーブル、延長リーチ演出乱数テーブル、延長ハズレ図柄乱数テーブルから各乱数値を抽出する。延長リーチ乱数値を確認することにより、特別図柄A,B,Cのいずれか二つをリーチ図柄態様で停止するか否かと、リーチ図柄態様での停止回数とを決定する。そして、延長リーチ乱数値によりリーチ図柄態様で停止するとした場合には、その停止回数に応じて一又は複数の延長リーチ図柄乱数値を選出して、前記リーチ図柄態様を決定する。さらに、前記停止回数に応じて一又は複数の延長リーチ演出乱数値を選出して、前記リーチ図柄態様の停止に伴って図柄表示装置42で演出する延長リーチ演出パターンを決定する。これに従って、演出制御基板82により、図柄表示装置42で、特別図柄A,B,Cを前記リーチ図柄態様で停止し、前記延長リーチ演出パターンに従って演出表示される一連の延長変動行程を実行する(延長変動行程処理)。尚、この延長変動行程にあっては、上記した通常の図柄生成行程に比して長い変動時間となるように、リーチ図柄態様を表示するまでに要する時間が図柄生成行程に比して長く、さらに、延長リーチ演出パターンも長い演出時間(特別図柄A,B,Cの少なくとも一つが変動している時間)に設定している。
ここで、延長リーチ演出パターンとしては、通常の図柄生成行程でリーチ図柄態様が表示した場合に実行するリーチ演出パターンと類似した演出を行うパターンに設定している。例えば、通常の図柄生成行程で表示するリーチ演出パターンとして、予め定められた複数種類が設定されており、夫々のリーチ演出パターンにより、当りが発生し易い確率が設定されているとする。すなわち、リーチ演出パターンの表示によって、遊技者の当りへの期待感を効果的に高めることができる。このような構成にあって、延長リーチ演出パターンとしては、前記各リーチ演出パターンと同様な演出図柄が表示されて、該リーチ演出パターンの演出時間に比して長い演出時間が付与されたものを、複数種類設定している。これにより、各延長リーチ演出パターンを夫々表示することにより、前記したリーチ演出パターンと同様に、遊技者の当りへの期待感を効果的に高め得る。
また、前記した延長リーチ乱数値により複数回リーチ図柄態様を表示すると設定した場合には、該リーチ図柄態様の停止回数と同数の延長リーチ図柄乱数値と延長リーチ演出乱数値とを夫々抽出する。そして、各延長リーチ図柄乱数値と延長リーチ演出乱数値とにより選定した各リーチ図柄態様と延長リーチ演出パターンとを、遊技者の当りへの期待感が徐々に高まるように、それぞれの表示順序を決定する。これに従って、特別図柄A,B,Cをリーチ図柄態様で停止して延長リーチ演出パターンにより演出表示することを繰り返し行う延長変動行程を、演出制御基板82により図柄表示装置42で実行する(延長変動行程処理)。
上記した延長変動行程は、本実施例にあって、その変動時間を最大10分間として設定している。通常、10分間あれば、上述した警報ランプにより不正行為の発生を知った遊技場の係員が、不正行為者に対して適正な対応措置をとることが可能である。尚仮に、遊技場側の対応が遅れ、延長変動行程の変動時間である10分間が経過した場合には、上記した延長ハズレ図柄乱数値に従って、特別図柄A,B,Cをハズレの停止図柄態様で確定することにより、当該延長変動行程を終了する。そして、延長変動制御処理を終了する。ここで、本実施例にあっては、延長変動制御処理を終了すると、不正対応制御処理により、優先フラグを確認して該優先フラグ=1の場合には、上記したハズレ優先消化処理を再度実行するように制御する。これにより、上記したハズレ優先消化処理および延長変動制御処理を実行するため、遊技場側にさらなる時間的な猶予が生じるようにしている。
この延長変動制御処理では、延長リーチ乱数値、延長リーチ図柄乱数値、延長リーチ演出乱数値、延長ハズレ図柄乱数値等により、延長変動行程における特別図柄A,B,Cの変動態様を決定している。そして、延長変動制御処理にあっても、上記したハズレ優先消化処理により当り判定した特別図柄始動記憶の消化を保留している場合には、当該特別図柄始動記憶の消化保留を維持する。
このように、磁石100による不正行為を検知すると、不正対応制御処理のハズレ優先消化処理により、当り確定する特別図柄始動記憶の消化を保留し、ハズレ確定する特別図柄始動記憶を優先して消化することによってハズレ停止図柄態様で停止する図柄生成行程を実行する。このハズレ優先消化処理により、見かけ上は通常と同様に、図柄生成行程が順次実行されるため、不正行為者は図柄生成行程により当りへの期待感が昂揚し、特別図柄A,B,Cが変動する図柄表示装置42に注目する。これにより、不正行為者は、特別図柄始動記憶が全て消化されて、特別図柄A,B,Cが変動しなくなるまでは、当該パチンコ遊技機1から離席し難くなる。さらに、ハズレ確定する特別図柄始動記憶を全て消化してハズレ優先消化処理を終了すると、延長変動制御処理により、通常の図柄生成行程に比して特別図柄A,B,Cの変動時間の長い延長変動行程を実行する。この延長変動行程は、見かけ上、通常の図柄生成行程と同様に特別図柄A,B,Cが変動するため、不正行為者には通常の図柄生成行程が開始されていると認識され得る。そのため、この延長変動行程によっても、不正行為者は当りへの期待感が昂揚して図柄表示装置42に注目する。特に、本実施例の延長変動制御処理では、特別図柄A,B,Cがリーチ図柄態様を表示した後に、延長リーチ演出パターンによりリーチ演出を表示する一連のリーチ態様を表示する延長変動行程を実行するようにしていることから、この延長変動行程によって、不正行為者の当りへの期待感を一層昂揚することができ、該不正行為者の意識を図柄表示装置42に集中させることができる。このように、ハズレ優先消化処理によってハズレ停止図柄態様を確定する図柄生成行程の実行中および延長変動制御処理によって延長変動行程の実行中は、不正行為者の当りへの期待感を昂揚することができるため、不正行為者の離席を抑制できる。そして、延長変動行程が終了するまでに、遊技場側が不正行為者に対して適正な対応措置をとることにより、該不正行為者を逃がすことなく、確保することができ得る。
さらに、本実施例では、不正行為の発生を報知する警報ランプが、上記のように不正行為者にわからない位置に配設されているため、不正行為者には、不正行為が発覚していることが分からないことから、図柄生成行程や延長変動行程により当りへの期待感が昂揚すれば、その意識が図柄表示装置42での特別図柄A,B,Cの変動に強く集中することともなり得る。これにより、不正行為に用いた磁石100を隠蔽する機会を逃し易い。そして、不正行為者が磁石100を隠蔽できなければ、遊技場側は、該磁石100を証拠品として当該不正行為を確実に摘発することができ得る。
さらにまた、延長変動制御処理により、リーチ図柄態様と延長リーチ演出パターンとを複数回表示制御した延長変動行程を実行した場合には、上述したように、リーチ図柄態様と延長リーチ演出パターンとが順次表示される都度、当りへの期待感を徐々に昂揚させ得る。そのため、上記した不正行為者の逃亡を防ぐ作用効果と、磁石100の隠蔽を防ぐ作用効果とが一層向上する。
また、本実施例にあっては、不正対応制御処理が、未消化の特別図柄始動記憶がない状態でハズレ優先消化処理を実行しないようにしていることから、図柄生成行程の実行が通常と変わらず進行するため、不正行為者に不正行為の発覚を確実に隠すことができ得る。また、延長変動制御処理でも、当り確定する特別図柄始動記憶を保留している場合には、当該特別図柄始動記憶の消化を保留したまま、特別図柄始動記憶数を示す特別図柄始動記憶数表示装置46を消灯して延長変動行程を実行していることから、延長変動行程を通常の図柄生成行程と認識させ易くする効果が高い。以上のことから、上記した不正行為者の逃亡を防ぎ、不正行為を摘発するという作用効果が安定して発揮され得る。
このように本実施例のパチンコ遊技機1によれば、磁石100による不正行為が行われた場合に、その不正行為者の逃亡を防止でき、且つ該不正行為を摘発し易いために、総じて不正行為の発生を防止することができる。また、当り停止図柄態様で停止する図柄生成行程を実行しないため、不正行為者に当りによる利益を供与せず、遊技場側が不利益を被ることも防ぎ得る。さらに、仮に、遊技場側の対応が遅れて延長変動行程が終了した場合にも、再びハズレ優先消化処理が実行されることから、不正行為者を継続して図柄表示装置42に注目させ得る。そのため、上記した本発明の作用効果も維持される。
一方、磁気センサ91による磁気検知に従って不正対応制御処理が実行されている場合にあって、当該パチンコ遊技機1を確認した遊技場の係員が、当該磁気検知が不正行為によるものでなく、明らかに誤作動であると認識すると、遊技機本体3の本体枠を開放し、復帰スイッチ96をON作動して閉鎖する。これにより発信した復帰信号を主制御基板80が受信すると、図11のように、復帰制御処理(復帰制御内容)を実行する。この復帰制御処理としては、優先フラグ=0且つ消化フラグ=0とすることにより、前記したハズレ優先消化処理の実行中であれば、優先フラグ=0により、当該ハズレ優先消化処理(不正対応制御処理)を終了する。これにより、通常通りに特別図柄始動記憶が順次消化する通常の遊技状態に復帰し、特別図柄始動記憶を記憶保持している場合には、通常の特別図柄処理を実行する。また、前記の延長変動制御処理の実行中に復帰信号を受信した場合には、延長変動行程を、上記した擬似ハズレ図柄乱数値に従って特別図柄A,B,Cをハズレ停止図柄態様で確定停止して終了する延長変動終了処理を実行する。この際に、延長変動行程は、その変動時間が短縮することとなる。そして、延長変動制御処理(不正対応制御処理)を終了し、前記と同様に、通常通りに特別図柄始動記憶が順次消化する通常の遊技状態に復帰する。このように通常の遊技状態に復帰すれば、当り確定する特別図柄始動記憶は保留されていることから、この特別図柄始動記憶を消化することによって、健全な遊技者が不利益を被ることがない。
ここで、延長変動制御処理を実行しており、且つ当り確定する特別図柄始動記憶を保留している場合には、当該特別図柄始動記憶を示す特別図柄始動記憶数表示装置46が消灯している。そのため、この場合には、上記した仮消化フラグの数値に従って、該数値分だけ特別図柄始動記憶数表示装置46を点灯して、その点灯数と特別図柄始動記憶の記憶数とを一致する。
尚、本実施例にあって、特別図柄A,B,Cにより本発明の選出図柄が構成されており、また、特別図柄始動記憶により、本発明の始動記憶が構成されている。また、主制御基板80により、本発明にかかる遊技制御手段が構成されており、演出制御基板82により、本発明にかかる図柄制御手段が構成されている。また、ハズレ優先消化処理により、本発明にかかるハズレ優先消化過程を構成しており、また、復帰制御処理により、本発明にかかる復帰制御内容を構成している。
一方、上述した実施例の別例として、不正対応制御処理のハズレ優先消化処理が、ハズレ確定する特別図柄始動記憶の残数が一個となった場合に、当該ハズレ優先消化処理を終了するように制御するものとし、ハズレ優先消化処理後に延長変動制御処理を実行するようにした構成とすることもできる。かかる構成の場合には、ハズレ優先消化処理によって、ハズレ確定する特別始動記憶を順次優先して消化し、ハズレ確定する特別図柄始動記憶の残数が一個となると、当該特別図柄始動記憶を消化せずにハズレ優先消化処理を終了する。そして、延長変動制御処理によって、残余のハズレ確定する特別図柄始動記憶を消化し、通常の図柄生成行程に比して変動時間の長い延長変動行程を設定する。この延長変動行程は、特別図柄始動記憶によって通常通り設定する図柄生成行程に、上記した実施例と同様に、一又は複数のリーチ図柄態様と延長リーチ演出パターンに従って演出表示される一連の延長変動態様を加えることにより設定する。すなわち、この延長変動行程では、前記の延長変動態様に従ってリーチ図柄態様やリーチ演出パターンが表示した後に、ハズレ停止図柄態様を確定するに至る一連の図柄生成行程が実行されるようになっている。そのため、延長変動行程は、図柄生成行程に延長変動態様を追加することによって、長い変動時間となる。このような別例の構成にあっても、上述した実施例と同様に、不正行為を検知すると、ハズレ優先消化処理により、ハズレ確定する図柄生成行程が優先して実行された後に、延長変動制御処理により延長変動行程を実行することから、不正行為者の逃亡を防ぎ、不正行為を摘発するという本発明の作用効果が適正に生じ得る。
ここで、この別例にあっても、当り確定する特別図柄始動記憶を保留するようにしていることから、上述の実施例と同様に、復帰スイッチのON作動により実行する復帰制御処理によって、不正対応制御処理を終了して、特別図柄始動記憶を順次消化する通常の遊技状態に復帰すれば、健全な遊技者の利益も確保できる。
また、上述した実施例にあっては、ハズレ優先消化処理により未消化の特別図柄始動記憶の大当り特別乱数値を前記特別図柄始動記憶の発生順に順次確認し、該大当り特別乱数値がハズレの場合にのみ図柄生成行程を実行するようにした構成であるが、その他の構成として、ハズレ優先消化処理により、先ず、未消化の全ての特別図柄始動記憶について各大当り特別乱数値を確認し、当り確定する特別図柄始動記憶とハズレ確定する特別図柄始動記憶とを区別して、ハズレ確定する特別図柄始動記憶のみを順次消化するように制御処理する構成としても良い。かかる構成にあっても、上述した実施例と同様の作用効果を奏する。尚、このようなハズレ優先消化処理を行う場合には、上述したように、ハズレ確定する特別図柄始動記憶の残数が1個となるとハズレ優先消化処理を終了するようにする構成に好適に用い得る。
上述した実施例にあっては、延長変動制御処理により、リーチ図柄態様と延長リーチ演出パターンとを一又は複数回表示する延長変動行程を実行するようにした構成であるが、その他の構成として、延長変動制御処理により、特別図柄A,B,Cの擬似停止と再変動とを一又は複数回繰り返す延長変動行程を実行する構成とすることもできる。かかる構成にあっては、延長変動行程で、特別図柄A,B,Cが擬似停止と再変動する毎に、不正行為者の当りへの期待感を昂揚できるため、上述した実施例と同様の作用効果を奏する。また、延長変動制御処理により、リーチ図柄態様と延長リーチ演出パターンとを一又は複数回表示する制御と、擬似停止と再変動とを一又は複数回繰り返す制御との、いずれか一方を実行する構成や両方を実行する構成とすることができる。
上述した実施例にあっては、延長変動行程の変動時間を、通常の図柄生成行程に比して長い変動時間(最大10分間)として設定した構成であるが、この変動時間は様々に設定することができる。さらに、実施例にあって、変動時間10分が経過して延長変動行程が終了すると、不正対応制御処理を終了するようにしても良い。このように不正対応制御処理を終了するようにしても、ハズレ優先消化処理と延長変動制御処理とにより、遊技場側が不正行為に対応する十分な時間が確保されるため、上述した本発明の作用効果を奏し得る。また、上述した実施例にあって、延長変動制御処理により、無限の変動時間を設定した延長変動行程を実行するようにしても良い。この場合には、例えば、リーチ図柄態様と延長リーチ演出パターンとからなるリーチ態様を繰返し実行するように制御することにより、無限の変動時間が付与された延長変動行程を実行することができる。
本発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、その他の構成についても、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更可能である。例えば、不正対応制御処理が、ハズレ優先消化処理により構成されているものとし、延長変動制御処理を実行しない構成としても良い。