JP5178591B2 - 橋脚洗掘判定方法及び橋脚基礎の健全性評価システム - Google Patents
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Description
このような橋脚の健全性評価システムは、健全性評価装置により橋脚基礎の健全性を評価する装置であり、具体的には、河川の増水時に橋脚の振動を検出する振動検出部と、該振動検出部の検出信号をFFT処理して橋脚の卓越振動数を演算する演算部と、該演算部が演算した橋脚の卓越振動数のうち衝撃荷重試験によって特定した橋脚の固有振動数に対応する卓越振動数をこの橋脚の固有振動数として特定する特定部と、前記固有振動数がしきい値を下回ったときには、橋脚が不安定であると評価する評価部と、を具備する。そして、前記評価部での評価結果は、通信部により列車運行の司令部に電送されるようになっている。
しかしながら、上述した橋脚基礎の健全性評価システムでは、4000分程度の稼動時間毎にバッテリーの交換が必要であるために、評価部にて1時間毎に5分間程度の評価処理を行い、かつ通信部から評価結果の通信を行った場合に、1ヶ月ほどで該バッテリーが消耗してしまい、その度に該バッテリーの交換作業が必要となっていた。例えば、1ヶ月から2ヶ月に一度のバッテリーの交換が必要となり、保守作業が面倒なものとなっていた。
また、本発明の橋脚洗掘判定方法では、前記増水検出部が河川の防護工が流出したことを検出した場合に、当該河川が増水したと判断して、前記評価部に対して、予め定めた設定条件に基づく評価処理を行うことを特徴とする。
また、本発明の健全性評価システムでは、前記制御部は、前記増水検出部が河川の防護工が流出したことを検出した場合に、当該河川が増水したと判断して、前記評価部に対して予め定めた設定条件に基づく評価処理を行うことを特徴とする。
図1は、この発明の実施形態に係る橋脚基礎の健全性評価システムの使用状態の一例を示す側面図である。図2は、この発明の実施形態に係る橋脚基礎の健全性評価システムの使用状態を示す正面図であり、図2(A)は橋脚が安定状態にあるときの正面図であり、図2(B)は河川の水によって橋脚基礎周辺の川底が深くえぐられて該橋脚が不安定状態であるときの正面図である。図3は、この発明の実施形態に係る橋脚基礎の健全性評価システムの構成図である。
なお、符号20で示すものは、橋脚B2及び橋脚基礎B3を保護するために防護工として設けられた保護ブロックである。
健全性評価装置2A〜2Cは、設置位置の変更が容易で持ち運びに便利なように可搬型に構成されており、3本の橋脚B2にそれぞれ配置されて、3本の橋脚B2の固有振動数を特定しそれぞれの橋脚B2の健全性を評価する。健全性評価装置2A〜2Cは、いずれも同一構造であり、以下では健全性評価装置2Aについて説明する。
健全性評価装置2A〜2Cは、ネットワーク5と無線あるいは有線通信回線を介して接続され、さらに、ネットワーク5を介してデータサーバ6、および支社や保守区の管理PC7に接続されている。
水流情報検出手段11は、例えば、橋脚B2の下部に設けられて河川Rの流速を検出する流速計であって、該流速計から出力される流速検出信号(増水情報)は、増水情報として信号処理部2dに出力する。
防護工流出検出手段12は、例えば、橋脚B2の橋脚基礎B3を取り囲むように配置された保護ブロック20に設置されたセンサであって、該保護ブロック20が増水により流された場合に、異常検出信号(増水情報)を信号処理部2dに出力する。
増水情報記憶部2fは、増水検出部2cの検出結果を記憶する手段であり、信号処理部2dが出力する検出信号(増水情報)を記憶するメモリである。
ここで、卓越振動数とは、橋脚B2の振動波形を周波数分析したときに振幅スペクトルが極大となる周波数である。演算部2gは、振動検出部2aの検出信号を高速フーリエ変換(Fast Fourier Transformation(以下、FFTという))処理して橋脚B2の卓越振動数を演算する。また、演算部2gは、例えば、河川Rの増水が始まってから終了するまでの間に、振動検出部2aが出力する振動データを、設定された任意のデータ長で抽出してFET処理したり、設定された任意の周期でFET処理したりする。また、該演算部2gは、振動検出部2aが出力する振動情報及び増水検出部2cが出力する増水情報を処理するデータ処理装置を構成する。演算部2gは、演算後の卓越振動数を卓越振動数情報として制御部2tに出力する。
計時部2iは、時刻を計測する手段である。計時部2iは、例えば、所定時間毎に動作開始信号を制御部2tに出力し、この動作開始信号を出力してから所定時間経過後に動作終了信号を制御部2tに出力する。また、計時部2iは、例えば、増水検出部2cの検出信号に基づき河川Rの増水が検出された場合に、FFT処理を開始させる動作開始信号を制御部2tに出力し、この動作開始信号を出力してから所定時間経過後に動作終了信号を制御部2tに出力する。
図4に示す縦軸は、加速度スペクトル(10-6gal*sec)であり、横軸は振動数(Hz)である。太線は、低水時(水深0m)の橋脚微動のフーリエスペクトルを示す波形であり、細線は増水時(水深2.7mとなった時点での増水時)の橋脚微動のフーリエスペクトルを示す波形であり、いずれも実際の鉄道橋梁の橋脚微動を測定して周波数解析した波形である。
図4に示すように、低水時には橋脚の固有振動数の応答が明瞭ではないが、増水時には橋脚が揺すられるために橋桁の固有振動数の応答よりも橋脚の固有振動数の応答のほうが明瞭になる。
増水時の波形には、加速度スペクトルが極大となる4つの卓越振動数f1〜f4が存在するが、フーリエスペクトルからだけではこれらの卓越振動数f1〜f4のいずれが橋脚の固有振動数に対応するのか不明である。このため、橋脚に重錘を衝突させて橋脚の固有振動数を測定する衝撃荷重試験を実施して橋脚の固有振動数を予め特定しておき、増水時の橋脚の卓越振動数f1〜f4を演算したときに、演算後の卓越振動数f1〜f4のいずれが橋脚の固有振動数に対応するかを判断することができる。図4に示す波形では、橋桁の固有振動数は3.5Hzであり、橋脚の固有振動数は11.3Hzであるが、増水時の卓越振動数f1〜f4を演算することによって、4つの卓越振動数f1〜f4のうちの一つの卓越振動数f3が橋脚の固有振動数に対応することが分かる。このように、特定部2kは、増水検出部2cの検出信号に基づき河川Rの増水が検出されている場合において、橋脚B2の卓越振動数f1〜f4を、衝撃試験などによって予め特定されている橋脚B2の固有振動数と照合して、複数の卓越振動数f1〜f4のうち卓越振動数f3が橋脚B2の固有振動数であると特定する。
図5は河川Rに増水が発生した否かを判定するためのフローチャートであり、図6は、図5のフローチャートの判定結果に基づき、橋脚B2の健全性を判定するためのフローチャートである。なお、図5のフローチャートにて、増水検出部2cの検出信号に基づき河川Rの増水判定がなされた場合に、次の図6のフローチャートにて、健全性評価装置2A全体への電力の供給開始を制御部2tが、電源部2qの本電源をONとする指令を出して、振動検出部2aの検出信号に基づく橋脚B2の健全性を判定する。
S104において、S100〜S102での検出結果に基づき、河川Rが増水していない状態にあるとの判定結果を示す増水非検出信号を図6のS110に対して出力する。なお、このS104から図6のS110に対して出力は、予め定めた長い設定周期(例えば、1日に1回、5分の測定周期)で出力して、先のS100に戻る。
また、このようなS103で判定される増水時には、1時間毎の設定周期で頻繁に検出信号の出力するのに対して、S104で判定される非増水時には、S103よりも長い、1日毎の設定周期で検出信号を出力し、さらに、このようなS103、S104での設定は、操作者により自由に変更できるものとする。
S190において、健全性評価装置2A全体への電力の供給を停止するために、制御部2tが電源部2qの本電源をOFFとする指令を出す。
2A〜2C 健全性評価装置
2c 増水検出部
2n 評価部
2s 通信部
2t 制御部
10 水位検出手段
11 水流情報検出手段
12 防護工流出検出手段
B2 橋脚
B3 橋脚基礎
R 河川
Claims (6)
- 増水時における橋脚の振動数を示す微動データに基づき、橋脚の卓越振動数を演算し、該卓越振動数から得た固有振動数を、予め測定しておいた該橋脚の固有振動数と比較することで橋脚基礎の健全性を評価する橋脚洗掘判定方法であって、
増水が発生したか否かを検出する増水検出部が、河川の防護工が流出したことを検出した場合に、当該河川が増水したと判断して、前記評価部に対して、予め定めた設定条件に基づく評価処理を行うことを特徴とする橋脚洗掘判定方法。 - 前記河川が増水したと判断された場合に、高い頻度で橋脚基礎の健全性を評価する評価処理を行わせる設定条件を前記評価部に対して設定することを特徴とする請求項1に記載の橋脚洗掘判定方法。
- 前記評価部の評価結果を、通信部を介して列車運行の司令部に電送することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の橋脚洗掘判定方法。
- 増水時における橋脚の振動数を示す微動データに基づき、橋脚の卓越振動数を演算し、該卓越振動数から得た固有振動数を、予め測定しておいた該橋脚の固有振動数と比較することで橋脚基礎の健全性を評価する健全性評価システムであって、
河川にて増水が発生したか否かを検出する増水検出部と、
橋脚基礎の健全性を評価する評価処理を行う評価部と、
前記増水検出部により河川の増水発生が検出された場合に、前記評価部に対して、予め定めた設定条件に基づき該橋脚基礎の健全性を評価する評価処理を行なわせる制御部と、を有し、
前記制御部は、前記増水検出部が河川の防護工が流出したことを検出した場合に、当該河川が増水したと判断して、前記評価部に対して、予め定めた設定条件に基づく評価処理を行うことを特徴とする健全性評価システム。 - 前記制御部に設定される設定条件として、河川が増水したと判断された場合に、高い頻度で橋脚基礎の健全性を評価する評価処理を行わせることを特徴とする請求項4に記載の橋脚洗掘判定システム。
- 前記制御部は、前記評価部の評価結果を通信部を介して列車運行の司令部に電送することを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の橋脚洗掘判定システム。
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