JP5178437B2 - 床頭台を固定する末端操作装置 - Google Patents
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Description
ところで、床頭台をベッド近傍の所定の位置に位置決めして固定するには、各4個のキャスターのロックレバーをONにして、各キャスターの車輪と旋回とをロックしなければならない。さもないと、患者がベッドから起き上がる際に床頭台に掴まったり、見舞いの人等が床頭台に寄りかかったりした場合に、不意に床頭台が動くことがあり、思わぬ怪我をすることもあった。
このため、看護師や患者が床頭台を病室の所定位置に配置する際には、必ず床頭台の底面の各キャスターの全てをロックしなければならず、特に、靴先で操作するにしても、通常、ロック解除にはレバーを上方にあげる操作は厄介なものであり、しかも、4箇所のキャスターの全て同様の操作をすると、なおさら厄介な作業であった。また、後日、看護師等が各キャスターのロック状態を点検する際も、床頭台の底面に配置された4個のレバー状態を看護師等が中腰になって目視して確認しなければならず、作業負担を強いるものであった。
そこで、本発明者らは、一回の操作で床頭台のキャスターをロック状態及び解除状態にでき、簡単に床頭台を固定及び解除できる床頭台固定装置として、下記特許文献3(特願2008-14903))を提供したが、必ずしも十分ではなかった。
すなわち、病院に設置する床頭台は、体力がない病人が利用することから、ベッドから立ち上がる際には、床頭台に掴まることもあり、床頭台のキャスターが解除状態であると思わぬ怪我をすることがあり、通常の設置状態では必ずがキャスターをロック状態にしておかなければならない。しかし、病院等では床頭台の移動が頻繁に行われ、多忙な看護師や付き添い人ではキャスターをロック状態にすることを忘れる場合がある。また、ロック解除が簡単に行われる構造であると、誤って、使用者である患者や付き添い人でがロック解除の操作を行ってしまうという危険性も存在する。
請求項2の発明は、請求項1に記載の床頭台を固定する末端操作装置であって、前記解除ボタンは、キャスターの解除状態を表示する解除表示ボタンとしたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の床頭台を固定する末端操作装置であって、前記操作部は床頭台の側板の上端部に設けるとともに、前記操作部カバーの上端面を平坦にして、車輪の回転をロック状態にする際には前記側板の上端部をほぼ平坦にすることを特徴とする。
また、操作カバーが操作部を覆っている場合にはロック状態にあることになり、安心して、床頭台をベッド近傍に配置することができ、キャスターが解除されている危険な状態では、ハンドル部が突出した状態にあるので、床頭台から離れていてもキャスターの解除状態を一目で確認でき、床頭台が移動可能な不安定な状態であることを、注意喚起することができる。
請求項2の発明の床頭台の末端操作装置によれば、請求項1の効果の他に、危険表示としてのハンドル部に加えて、解除ボタンを双輪キャスターの解除状態を表示する解除表示ボタンとすることで、二重の危険防止表示となる。
請求項3の発明の床頭台の末端操作装置によれば、請求項1又は2の効果の他に、操作部を床頭台の側板の上端部に設けることで、見た目に違和感がなく美感が保たれると同時に、腰部近傍の高さになるので床面の双輪キャスターを固定する際に看護師等が中腰になる必要がなく操作でき、特に、床頭台の下段には冷蔵庫を収納する場合が多いが、足ではなく必ず手で操作することになるので、冷蔵庫近傍での衛生状態も維持できる。
[実施例]
(キャビネット部分)
図1に示すように、病院等のベッド近傍には本発明の実施例1の床頭台1が配置され、図9に示すように、床頭台1のキャビネット2の底板21の裏の前縁部Fの両側の2箇所に、一対の双輪キャスター4(4a,4b)が取付けられ、後縁部Bの両側に位置する2箇所にも一対の双輪キャスター4(4c,4d)が取付けられている。この前縁部の一対の双輪キャスター4(4a,4b)の回転領域Z1は、底板21の外にはみ出さない位置に取付けられるが、これは患者や看護師等がキャスターに躓かないようにしたものであり、後縁部の一対の双輪キャスター4(4c,4d)は、双輪キャスター4(4c,4d)の回転領域Z2が多少底板21の外にはみ出しても、患者や看護師等がキャスターが躓く可能性は低いので、後縁部Bの一対の双輪キャスター4(4c,4d)の間隔は、床頭台がなるべく安定するように広い間隔としている。
通常、床頭台キャビネット2の上面の天板22上にはテレビ(図示せず)等を設置し、中段にはカードリーダやテレビチューナー23、財布や貴重品等を保管する簡易保管庫を収納した引き出24が設けられ、下段には小型の冷蔵庫25が収納されている。なお、底板21の裏側には図9に示すように、冷蔵庫25の放熱部分に対応して複数の通風口21bが設けられている。
床頭台1の右側板26の上端面には、4個の双輪キャスターを同時にロック状態及び解除状態にする末端操作部3が設けられていて、これを操作することにより床頭台を固定状態と移動可能状態に切り換えられる。
この末端操作部3を操作することにより、詳細には後述するが、ワイヤーを用いた操作伝達機構6を介し、4個の双輪キャスター4のそれぞれの車輪ロック機構5を操作する。この操作用のワイヤーは、自転車等のブレーキワイヤーと同等のもので、芯のインナーワイヤーとこれを被覆し両端を固定するアウターワイヤーからなるもので、大凡、この際に末端操作装置3のハンドル部(レバー)を引き挙げることにより、インナーワイヤーを引っ張り双輪キャスター4の車輪ロック機構5のロックを解除し、逆に、ハンドル部を下げて車輪ロック機構5のバネによりロックする。
以下の操作構造の詳細を説明する。
図1は、末端操作部3で4個の双輪キャスターをロック状態にした外観斜視図で、図2が解除状態にした外観斜視図であり、この末端操作部3の詳細から説明する。
先ず、4個の双輪キャスターのロックを解除した状態の図2について、その内部機構を示す図3を参照して説明すると、末端操作部3は主にハンドル部31、解除維持機構32、解除ボタン33、操作部カバー34、枠体35から構成されている。
図3において、ハンドル部31は回動軸311を中心に回動胴部312が回動し、回動胴部312の外周一部に凸部313が設けられ、この凸部313が枠体35の胴体収納部351に設けた溝部352の回動規制範囲で規制される。
回動胴部312の回動軸311の近傍の回動する部位には、操作伝達機構6の操作ワイヤー61の操作部側のタイコと呼ばれるインナーワイヤー612の末端部611を係止する係止部314が設けられ、端末部導入溝315に沿って末端部611を係止部314に係止するようにしている。ハンドル部31(正面側)には4本の指が挿入できる把持部317が設けられ、図3に示すように、ハンドル部31の把持部317に手をかけ引き上げると、係止部314も上方に回動し操作ワイヤー61の末端部611も引き上げられる。
ハンドル部31が所定位置まで引き上げられると、解除維持機構32のロック部材321(図7参照)の先端部3211が、ハンドル部31の最外周の適所に設けられたロック部材係止孔318に嵌合するように構成され、そのためにロック部材321が枠体35の回動側部316をガイドするガイド壁353に設けた滑動孔354に左右動可能に収納され、また、ロック部材321の後端部3212をバネ収納部355に設けたバネ部材322で常に押圧されている。
したがって、ハンドル部31が先端部3211がロック部材係止孔318に嵌合するまで引き上げ、このロック部材係止孔318の嵌合によってこの位置を維持することになる。すなわち、インナーワイヤー612を引っ張り上げた状態を維持することになり、結果として、双輪キャスター4内に設けたノック部材531(図16参照)を引き上げ、ノック部材531に固定された歯型542(図16参照)をキャスターの内歯車45(図16参照)の係合から開放することになり、このロック解除状態を維持することになる。
この双輪キャスターを解除する状態では、図3の一点鎖線で示されるように、操作部カバー34は右側板26の上端部26aの後部に退避させており、この状態でハンドル部31が上方に引き上げられ、解除ボタン33の先端は突出した状態にある。なお、解除ボタン33は、解除表示ボタンとしてより効果的に機能させるため、危険状態を喚起するために目立つ色彩、例えば、赤色とすればよい。
この下方へ引張力は、キャスター内部の下方に押圧するバネ541(図16参照)によりノック部材531が下降し、リンクアーム56(図9参照)、分岐ワイヤー622、及び、操作ワイヤー61を介して生じる。この4個のバネ541による下方へ引っ張る力だけで不足の場合には、図3、4で点線で示される引張りバネ3161によって助勢してもよく、この引張りバネ3161の一端は枠体35の内部空間の底部に固着され、他端はハンドル部31の底面とに固着されている。
そして、この引張り力によって、ハンドル部31の上端面319が上端部26aの表面とほぼ同じ水準になり、図1、及び、図4の状態になる。
ここで、ハンドル部31の上端面319と、解除ボタン33の上端操作部333とが共に下降した状態で、右側板26の上端部26aの表面とほぼ同じ水準となっているので、後退している操作部カバー34を手前に移動させて、ハンドル部31と解除ボタン33とが操作できないように覆う。
外側に位置する右側の外枠36には平行方向に段差361が設けられ、内側に位置する左側の外枠37にも平行方向に段差371が設けられ、操作部カバー34を嵌合する。
図6(a)(b)(c)に示すように、操作部カバー34は右側板341、左側板342、上板343、及び、背板344とから構成され、右側板341の下端内側には嵌合突起3411が平行方向に設けられ、同様に、左側板342の下端内側には嵌合突起3421が平行方向に設けられ、この操作部カバー34が多少弾力のある合成樹脂製であることから、先頭箇所で両嵌合突起3411,3421を拡げて、各段差361,371に嵌合する。
操作部カバー34の上板343の移動方向の先端部には矩形の切欠部3431が設けてあり、操作部カバー34でハンドル部31等を覆う際には、この切欠部3431が枠体35の上面先端部(図5の左端)に設けた矩形の段差357に嵌合し、それ以上の移動を規制する。同様に、操作部カバー34の背板344にはキャビネット2の側板26の上端を跨ぐように、一対の背板部材3441,3442が設けられ、枠体35の後部に当接してそれ以上の移動を規制する。
また、操作部カバー34が後退しすぎて脱落しないように、外枠37の適所にストッパー突部372を設け、操作部カバー34の左側板342の下部の先頭近傍の適所にストッパー係合部3422を設けている。
操作伝達機構6は、図10示すように、芯のインナーワイヤーと同軸で被覆部でもあるアウターワイヤーからロックワイヤーを用いたもので、主に操作ワイヤー61とワイヤー分岐盤62と4本の分岐ワイヤー63とから構成される。
前述した末端操作部3に取付られる操作ワイヤー61は、その末端部Aの拡大図の図11に示すように、芯のインナーワイヤー612、それを覆うアウターワイヤーである被覆部613とからなり、インナーワイヤー612の先端には円柱状の所謂タイコと呼ばれる末端部611が設けられ、被覆部613の先端には取付固定部614が設けられ、インナーワイヤー612が取付固定部614に対して、末端部611が進退可能に構成され、他方の末端部616はワイヤー分岐盤62のスライダー622に接続される。
ワイヤー分岐盤62からの4本の分岐ワイヤー63は、ほぼ同じ長さで、その1本の末端部Bの拡大図の図12に示すように、芯のインナーワイヤー632、それを覆う被覆部633からなり、ワイヤー632の先端には円柱状の末端部631が設けられ、被覆部631の先端には取付固定部634が設けられ、インナーワイヤー632が取付固定部634に対して、末端部631が進退可能に構成され、他の末端はワイヤー分岐盤62に接続される。
ワイヤー分岐機構の分岐盤は、図13(a)(b)に示すように、操作ワイヤー61と4本の分岐ワイヤー63を接続するもので、図13(a)のワイヤー分岐盤62の蓋621(図13(b))を開けた内部は、スライダー622が左右移動可能に収納される。ワイヤー分岐盤62の操作ワイヤー61側の側板623に操作ワイヤー61の取付固定部615を取付け、前記スライダー622の操作ワイヤー61側にはワイヤーの末端部616の嵌合部6221が設けられ末端部616を嵌合する。
また、ワイヤー分岐盤62の4本の分岐ワイヤー63側の側板624に分岐ワイヤー63の取付固定部635を取付け、前記スライダー622の分岐ワイヤー63側には4本のワイヤーの末端部636の嵌合部6222が設けられ末端部636を嵌合する。このようにして、操作ワイヤー61の端末部616が引っ張られると、側板623側に移動(図13:右方向)するが、スライダー622に嵌合される4個の末端部636も一括して側板624から離れるように移動(図13:左方向)する。
このように、操作ワイヤー61の進退移動がワイヤー分岐盤62を介して4本の分岐ワイヤー63に伝達される。なお、4本の分岐ワイヤー63及び取付固定部635は分岐盤62内では並列にしているが、これは、分岐盤62を床頭台1の底板21の裏面に付けるので、この裏面には掃除機等が入ると、分岐盤62と床面とに所定の間隔を有さなければならないので、分岐盤の厚みhもなるべく薄くしなければならないからであり、この本実施例の分岐盤62の構成であれば、取付固定部615(635)の1個分の厚さに対応すればよく、分岐盤の厚みhをより小さくすることができる。
また、操作伝達に同軸ワイヤーを用いたので、図9に示すように、床頭台の裏面の4個の双輪キャスター4の位置を自由に設定でき、また、リンク機構の組み合わせとは異なり、構造も簡単で制作費も安価で、保守も容易になる。更に、1本の操作ワイヤーを4本に分岐して用いているので、極めて簡単な構成で4個のキャスターを同時に正確にロック状態及び解除状態にでき、ワイヤー分岐機構の高さを小さく薄くできるので、床頭台の底板の裏面に設けることができる。
前述した図9は、床頭台1の底板21の裏面の平面図で、前縁部の両側の一対の双輪キャスター4(4a,4b)、後縁部の両側の一対の双輪キャスター4(4c,4d)が取付けられる。
これらのキャスター4の外観概略は、図15に示すようなもので、キャスター4の構成の詳細は後述するが、車輪ロック機構5の枠体51の両側に一対の車輪41a,41bがそれぞれ回転可能に軸支されており、ロック機構枠体51の上面には、キャスター4が取付枠に対して旋回可能に軸支するための旋回支持部52が設けられ、旋回支持部52の軸心Xと同軸に、上下動するノック部材531が設けられており、ノック部材531を押し下げると双輪キャスターがロックされ車輪は回転することができず、ノック部材531の押込みを解除して上方に上がると、双輪のロックが解除され、双輪が自由に回転することができる。
ところで、本実施例で使用する双輪キャスター4(4a,4b,4c,4d)は、双輪の巾が単輪よりも広いので、単輪キャスターに比べて走行安定性があり、また、双輪の回転をロックすると進行方向は勿論のこと、双輪の巾が広いことから旋回阻止でき、特に、本実施例のように4本の双輪キャスター4(4a,4b,4c,4d)での各双輪の回転をロックすると、前後左右の移動や旋回はロックされ、1箇所の双輪キャスターの固定では不十分である場合があるが、4箇所の場合はほぼ完全に床頭台1が所定の位置に固定される。
本実施例のキャスターは、図15でも説明したように、ロック機構枠体51を挟んで、5cm程度の間隔を持った車輪41a,41bの双輪キャスターであり、移動時には走行は単輪キャスターに比べて走行安定性がある。また、車輪41a,41bの両車輪(双輪)がロックすると走行が出来なくなり、キャスターの旋回も制限されて、更に、本実施例のように、床頭台1の前縁部Fの両側の2箇所の双輪キャスター、及び、後端部Bの2箇所の車輪41c,41dの4個の車輪の全てが固定されると、キャスター自体の旋回を固定しなくても、車輪の固定によって床頭台1はほぼ完全に固定されることを見出し、この知見を基礎とするものである。
上記の車輪ロック機構5を、図16乃至図19に沿って更に詳しく説明する。
図16はノック部53が上方に上がって状態の図、即ち、キャスターロックが解除されたフリーな状態の図で、図16(a)は車輪ロック機構5の横断面図で、図16(b)は図16(a)のa−a線での断面図である。また、図17はノック部53がキャスター内部のバネ541により歯部542が下がった状態の図、即ち、キャスターロックがロック状態の図で、図17(a)は車輪ロック機構5の横断面図で図17(b)は図17(a)のa−a線での断面図である。
ここで、各部の構成を更に詳細に説明するが、先ず、枠体51はプラスチックで成型されたもので、図18及び図19に示すように、中心に車輪軸受部511が設けられ、図18(a)の枠体51の左側には、旋回支持部52及びノック部53(図16参照)の円筒型の取付部512と収納部513が配置され、取付部512のキャスター取付金具55に接触する部分は双輪キャスター4の旋回をスムーズにするための突出輪514が設けられ、車輪軸受部511の下側には上下動する車輪歯噛合ロック部54及びバネ541を収納する収納部515が配置されている。また、収納部513の下部開放口には、図19(a)(b)に示すような蓋部材516を設けるが、ノック部53のノック部材531の下端部に車輪歯噛合ロック部54の基部544をボルト535(図16(a))で固定後に蓋をする構成で、上方に爪部516aが設けられ、下方にヒンジ部516bが設けられ、ヒンジ部516bを収納部513の下部の装着溝513bに装着し、相互のピン孔516cと513cにピン517を挿入して、ピン517を回動中心とした蓋を構成する。
そして、車輪歯噛合ロック部54をノック部材531にボルト535で固定する作業を終えた後に、爪部516aを収納部513の外周側の下部嵌合孔513aに嵌合して蓋をする。
次に、図18での取付部512と収納部513に装着する旋回支持部52とノック部材531について説明する。
図16,17に示すように、旋回支持部52は金属製の円筒(パイプ)で、旋回支持部52の先端は予め外周方向に広がった取付縁部521が形成され 旋回補助ワッシャー522を挿入して取付縁部521をキャスター取付金具55の取付孔551に回動自在に係合される。そして下からノック部材531を挿入した後、最後に収納部513の内側に出た後端を外側から軸用スナップリング523を嵌め込んで、旋回支持部52を枠体51のピン孔514aに横ピン518で固定するとともに、枠体51をキャスター取付金具55に対して回動自在に取り付ける。
旋回支持部52は、キャスターの旋回軸を構成するとともに、ノック部53を収納するが、このノック部53について図16、17に沿って説明するが、ノック部53は、ノック部材531、上端近傍のリンク用ピン孔532、下端近傍の固定縁533、ネジ部534、及び、ボルト535から構成される。
ノック部53のリンク用ピン孔532にはピン568が嵌合し、このピン568は、後述する分岐ワイヤー63により操作されるリンクアーム56のアーム566のカム孔を構成するピン長孔567(図20)に移動可能に嵌合される。更に、このノック部53は下端には固定縁533、ネジ部534が設けられ、このネジ部534に車輪歯噛合ロック部54を挿入してボルト535で固定縁533に車輪歯噛合ロック部54を締め付け強固に固定する。
基部544は、図16、17に示すように、基部544の断面二段形状(Z形状)の下段の歯型基部543が二股に構成され、図22に示すように、車輪歯噛合ロック部54は両側に歯型部543とその下端面に3本の下向きに一対の歯部542が設けられ、歯型基部543の上面546のほぼ中央部にはバネ係合部545には下側に押圧するバネ541が設けられ、常に下方に押し下げる構成になっている。
したがって、車輪歯噛合ロック部54の歯型基部543は、常に、歯型基部543の上面に設けられたバネ541によって下側に押圧され下降するようになっており、床頭台をベッド近傍に設置した通常の場合は、歯型基部543の両脇の下面に設けられた歯部542はバネ541によって各双輪キャスター4の内歯車45に嵌合して、双輪キャスター4の回転を阻止し、ロック状態になり床頭台の移動を阻止して移動を不可能にしている。なお、車輪歯噛合ロック部54の上下動は、枠体51に設けた車輪歯噛合ロック部54の収納部の側壁51aが案内部を構成しており、側壁51a(図23参照)に沿って降下・上昇する。
一方、双輪キャスター4の片方の車輪部41は、図23に示すように、車輪軸42は、枠体51の車輪軸受部511に回転自在に軸支され、車輪部41車輪軸固定部43に固定される(車輪軸固定部43は、車輪を回転自在に軸支する構成でもよい。)。車輪部41の外輪44はゴム製で振動を吸収し走行を滑らかにし雑音を軽減するとともに、床へのグリップを強くしている。
また、双輪キャスター4の車輪部41の内側の外輪近傍には、車輪軸に同心の内歯車45が形成され、車輪軸固定部43が下降した際には、内歯車45に歯部542が噛み合い車輪部41の回転を阻止する。
なお、車輪歯噛合ロック部54の3本の歯部542の中央の歯の高さy1は、両脇の歯の高さy2,y3よりも高くしてある。これは、先ず中央の歯が内歯車45に嵌合し、その後に両脇の歯が嵌合するようにしているので、嵌合がスムーズで且つ嵌合の強度も大きく保たれる。
図16、17におけるキャスター取付金具55とリンクアーム56について、図20及び図21に沿って、更に詳細に説明する。
端末操作部3のハンドル部31を上方に挙げる操作によって、操作ワイヤー61が引っ張られ、ワイヤー分岐盤62によって4本の分岐ワイヤー63も引っ張られる。更に、この各分岐ワイヤーのインナーワイヤー632が引っ張られるが、これをノック部53の動きに変換するのがキャスター取付金具55に装着されたリンクアーム56である。
図20に示すように、リンクアーム56は回転軸561を中心にして回動するL字形の2のアームで、片方のアーム562の先端近傍にはインナーワイヤー632の末端部631(図12参照)を係止する係止部563が設けられ、この係止部563はインナーワイヤー632と末端部631を係止するための横溝564と縦溝565が設けられる。他方のアーム566は二股で、その二股の間にノック部材531の先端が回動自在に嵌合され、ノック部材531の先端近傍にはノック部材531の先端のリンク用ピン孔532に対応するピン長孔567が設けられ、このピン長孔567とノック部材531のリンク用ピン孔532とにピン568で貫通する。
このリンクアーム56はキャスター取付金具55に取り付けられるが、キャスター取付孔551を底部552に設けたキャスター取付金具55は、床頭台1の底板21の裏面に固定する固定部553が両端に設けられ、リンクアーム56の回転軸561が両側板554の端軸受部555に軸支され、分岐ワイヤー63の取付固定部634(図12)を取付孔556に取付け、4本の双輪キャスターでの回転取付固定部634と末端部631との間隔をボルト557により調整する調整板558が取付られている。
本実施例の床頭台を固定する末端操作装置は、以上のような構成であるので次のように作動する。
[双輪キャスターのロック状態]
これは、床頭台をベッドの近傍に配置した通常の状態で、ハンドル部31と解除ボタン33とが共に下方に位置し、これらが操作カバー34に覆われ、床頭台の側板26とほぼ同等の高さにあり、操作ワイヤー61は結果的キャスター内のバネ541によって歯部542をキャスターの内歯車45に嵌合させるとともに、バネ541にノック部材531も押されて、分岐ワイヤー63によって引っ張られた状態にある。この場合の状態は長時間に亘るが、ハンドル部31を常に引っ張る状態に維持する必要がないので、各ワイヤーは緊張状態にはなく、経年で伸びるようなことがなく、装置の保守も容易になる。
[双輪キャスターのロック解除状態]
この場合には、床頭台を移動する状態で、操作カバー34を後退させ、ハンドル部31を挙げて解除ボタン33を突出させ、操作ワイヤー61を引っ張り上げて緊張状態にし、分岐ワイヤー63によってノック部材531を上方に引っ張り、結果的キャスター内のバネ541に抗し、歯部542をキャスターの内歯車45から開放する。したがって、ハンドル部31を挙っている状態では、双輪キャスターのロック解除状態にあり、床頭台は移動可能となる。
また、操作カバー34が操作部を覆っている場合には双輪キャスターがロック状態にあることになり、安心して、床頭台1をベッド近傍に配置することができ、双輪キャスターが解除されている危険な状態では、ハンドル部31が突出した状態にあるので、床頭台1から離れていても双輪キャスターの解除状態を一目で確認でき、床頭台が移動可能な不安定な状態であることを、注意喚起することができる。
また、危険表示としてハンドルに加えて、解除ボタンをキャスターの解除状態を表示する解除表示ボタンとすることで、二重の危険防止表示となる。
更に、操作部を床頭台1の側板26の上端部に設けたので、見た目に違和感がなく美感が保たれると同時に、腰部近傍の高さになるので床面の双輪キャスター4を固定する際に看護師等が中腰になる必要もなく操作でき、特に、床頭台1の下段には冷蔵庫25を収納する場合が多いが、足ではなく必ず手で操作することになるので、冷蔵庫25近傍での衛生状態も維持できる。
更に、ワイヤーを用いた操作伝達機構としたので、リンク機構の組み合わせと異なり、構造も簡単で制作費も安価で、部品点数が少ないこといから保守も容易になり、1本の操作ワイヤーを4本に分岐して用いているので、極めて簡単な構成で4個のキャスターを同時に正確にロック状態及び解除状態にでき、ワイヤ分岐機構の高さを小さく薄くできるので、床頭台の底板の裏面に設けることができる。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の各実施例に限定されるものでないことは勿論である。
2・・キャビネット、
21・・底板、21a・・縁部、21b・・通風口、22・・天板、
23・・カードリーダやテレビチューナー、24・・引き出、25・・冷蔵庫、
26・・右側板、26a・・上端部、
3・・末端操作部、
31・・ハンドル部、311・・回動軸、312・・回動胴部、
313・・凸部、314・・係止部、
315・・端末部導入溝、316・・回動側部、3161・・引張りバネ、
317・・把持部、318・・ロック部材係止孔、319・・上端面、
32・・解除維持機構、321・・ロック部材、3211・・先端部、3212・・後端部、
322・・バネ部材、323・・ピン、
33・・解除ボタン、331・・下部角柱部、3311・・2股部、332・・カム長孔、
333・・上端操作部、
34・・操作部カバー、341・・右側板、3411,3421・・嵌合突起、
3422・・ストッパー係合部、342・・左側板、
343・・上板、3431・・切欠部、344・・背板、3441,3442・・背板部材、
35・・枠体、351・・胴体収納部、352・・溝部、353・・ガイド壁、
354・・滑動孔、355・・バネ収納部、356・・解除ボタン摺動孔、357・・段差、
36,37・・外枠、361,371・・段差、372・・ストッパー突部、
4,4a,4b,4c,4d・・双輪キャスター、41・・車輪部、41a,41b・・車輪、
42・・車輪軸、43・・車輪軸固定部、44・・外輪、45・・内歯車、
5・・車輪ロック機構、
51・・ロック機構枠体、511・・車輪軸受部、512・・取付部、
513,515・・収納部、513a・・嵌合孔、513b・・装着溝、513c・・ピン孔、
514・・突出輪、514a・・ピン孔、
516・・蓋部材、516a・・爪部、516b・・ヒンジ部、
516c・・ピン孔、517・・ピン、518・・横ピン、
52・・旋回支持部、521・・取付縁部、522・・旋回補助ワッシャー、
523・・軸用スナップリング、
53・・ノック部、531・・ノック部材、
532・・リンク用ピン孔、533・・固定縁、534・・ネジ部、535・・ボルト、
54・・車輪歯噛合ロック部、541・・バネ、542・・歯部、543・・歯型基部、
544・・基部、545・・バネ係合部、546・・歯型基部上面、547・・嵌合孔、
55・・キャスター取付金具、551・・取付孔、552・・底部、554・・両側板、
555・・端軸受部、557・・ボルト、
56・・リンクアーム、561・・回転軸、562・・アーム、
563・・係止部、564・・横溝、565・・縦溝、
566・・アーム、567・・ピン長孔、568・・ピン、
6・・操作伝達機構、61・・操作ワイヤー、
611,616,631,636・・末端部(タイコ)、612,632・・インナーワイヤー、
613,633・・被覆部(アウターワイヤー)、614,615,634,635・・取付固定部、
62・・ワイヤー分岐盤、621・・蓋、6211・・案内溝、6212・・固定凸部、
622・・スライダー、6221,6222・・嵌合部、6223・・山部、
623,624・・側板、
63・・分岐ワイヤー
Claims (3)
- 床頭台の底面に配置される少なくとも複数の双輪キャスターの車輪の回転を、1箇所の操作部によって同時に解除状態及びロック状態にする双輪キャスター操作機構において、
前記操作部はハンドル部、解除維持機構、解除ボタン、及び、操作部カバーから構成され、
車輪の回転を解除状態にする際には、前記ハンドル部を上方に引き上げて突出させ、該ハンドル部を前記解除維持機構のロック部材によって挙げた状態を維持するとともに、該ロック部材によって前記解除ボタンを上方に突出させ、
車輪の回転をロック状態にする際には、解除ボタンを下方に押し下げて、前記ハンドル部の前記ロック部材を解除し、該ハンドル部を押し下げるとともに、前記操作部カバーによって、押し下げられたハンドル部及び解除ボタンを覆うことを特徴とする床頭台を固定する末端操作装置。 - 前記解除ボタンは、双輪キャスターの解除状態を表示する解除表示ボタンとしたことを特徴とする請求項1に記載の床頭台を固定する末端操作装置。
- 前記操作部は床頭台の側板の上端部に設けるとともに、前記操作部カバーの上端面を平坦にして、車輪の回転をロック状態にする際には前記側板の上端部をほぼ平坦にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の床頭台を固定する末端操作装置。
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