JP5177063B2 - 流体の流れ計測装置 - Google Patents

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本発明は、超音波信号の伝搬時間を計測することにより、流体の流速、流量等の物理量を計測する流れの計測装置に関するものである。
従来、この種の流れ計測装置において、逆数差法という手法が広く知られている。これは、流体の流れ方向の上流側と下流側にそれぞれ振動子を配置し、ふたつの振動子間を超音波が伝搬する伝搬時間を計測するもので、流れの順方向の伝搬時間と逆方向の伝搬時間が異なることを利用したものである。より具体的に言えば、相互の伝搬時間の逆数差が流速に比例する性質に基づいて計測を行なうものである。
図4はその具体的な構成を示し、流体管路31の途中上、下流側に配置された超音波送受信用の第1,2振動子32,33と、これら振動子32,33を用いて超音波の伝搬時間を計測する計測部34と、この計測部34を制御する制御部35と、同計測部34の計測結果を基に流体流速および/または流量を求める演算部36とで構成されていた。
ここで、音速をC、流速をv、二つの振動子32,33間の距離をL、超音波の伝搬方向と流れの方向とがなす角度をθとし、流体管路31の上流側に配置された振動子32から超音波を送信し、下流側に配置された振動子33にで受信した場合の伝搬時間をt、逆方向の伝搬時間をtとした場合、tおよびtは次式で求めることができる。
=L/(C+vcosθ) (式1)
=L/(C−vcosθ) (式2)
(式1)および(式2)を変形し、次式で流速vが求まる。
v=L・(1/t−1/t)/2cosθ (式3)
必要に応じて(式3)で求めた値に流体管路31の断面積および係数を乗じれば流量を求めることができる。
超音波式の流れ測定装置は、先に述べた計測原理から明らかなように機械的な稼動部を有しない構成であるため、現在、国内外のガスメータで広く使われている機械式のいわゆる膜式ガスメータに代替するものとして期待されている。
ガスメータは、商用電源が確保できない屋外に設置されることが殆どであり、また、民生器具と違って、メンテナンスフリーであることが要求される。
したがって、例えば、日本国内では、電池駆動で10年間の動作保証が必要で、よって、消費電力の極めて小さいものが望まれている。
一方、超音波振動子から出力される超音波信号は、一般に、気体中では減衰が極めて激しい。例えば、送信波のレベルを5Vとした場合、受信波のレベルはμVオーダーまで減衰することがある。
このように極めて微小な受信信号は、増幅器を用いて大きく増幅する必要があり、消費電力の増加が避けられないという事情がある。
故に、長寿命を満足するためには、増幅器を始めとする受信回路の動作時間をできるだ
け短くすることが不可欠である。
動作時間を短縮する方法として、超音波信号の受信点近傍でのみ電力を供給する実行する方法が考えられる。
このような構成を取った場合、回路電源投入時に、受信側振動子の両端に過渡的に大きな電圧変動が発生し、それが原因となって、受信側振動子に不要振動が発生し、本来の受信信号にこの不要振動が重畳されるため、計測精度を悪化させるという課題が生じる。
この課題を解決する手段として、例えば、受信回路の電力供給の開始時点では受信側振動子を受信回路と切り離しておき、電源電圧が安定した後、受信側振動子と受信回路とを接続しようとするものである(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−173880号公報
しかしながら、上記従来のような構成においても、受信側振動子と受信回路を接続した瞬間の受信側振動子両端に加わる過渡的な変化が完全に解消されるわけではなく、僅かではあるが不要振動を招くことは避けられない。
一方、先に述べたように、特に、気体中を伝搬する超音波信号の減衰は激しいため、増幅回路の増幅率を相当に高める必要がある。これにより、受信側振動子の接続時に発生する僅かな不要振動も最終的には大きく増幅される結果となる。
そのため、受信信号の到達する前に、電源電圧の安定待ち時間に加えて、受信側振動子と受信回路を接続した時点で発生する不要振動が収まるまで待ち時間が必要となる。
結果として、受信回路に対する電力供給時間を思った程は短縮できず、意図した様に消費電力を低減できないという課題があった。
本発明はこのような従来の課題を解消したもので、省電力性能を保ちながら高精度の計測を可能としたものである。
前記従来の課題を解決するために、本発明の流体の流れ流量計測装置は、流体温度を検出する温度検出手段と、流体流路の上、下流側に対向して配置した超音波送受用の一対の振動子と、前記受信側の振動子と負荷抵抗を介して接続された増幅手段と、前記増幅手段に対する電力の供給/停止を切り換える電源スイッチと、前記受信側振動子と前記増幅手段の接続抵抗値を切り換え可能な抵抗値切換手段と、前記増幅手段の出力に基づいて超音波信号の受信を判断する受信判定手段と、前記超音波信号の送信から受信までの伝搬時間を計測するタイマーと、前記タイマーで計測した過去の伝搬時間を元に次の予測伝搬時間を決定する伝搬時間予測手段と、前記電源スイッチおよび前記抵抗切換手段を制御する受信制御手段とを備え、前記受信制御手段は、前記予測伝搬時間より前の第1の設定時間で前記電源スイッチにより前記増幅手段へ電力供給を開始し、前記第1の設定時間と前記予測伝搬時間の間の第2の設定時間で前記抵抗値切換手段により前記受信側振動子と前記増幅手段との接続抵抗を高抵抗値からほぼゼロとみなせる低抵抗値に切り換え、前記高抵抗値は前記温度検出手段の検出温度に応じて可変としたものである。
すなわち、予測される伝搬時間の寸前に、先ず、受信側振動子と増幅手段の接続抵抗を高抵抗にした状態で増幅手段に対する電力供給を開始し、その際に発生する受信側振動子端子間の振動ノイズを急速に減衰させた後に受信側振動子と増幅手段との接続抵抗を低抵抗に切り換えて、超音波信号を受信している。
そして、この時の高抵抗値は、不用振動や外来ノイズの影響を受けにくくなるように、流体温度に応じて可変としているので、増幅手段の電力供給開始タイミングを受信タイミングに近づけることが可能になる。
本発明の流体の流れ計測装置は、増幅手段の電力供給開始タイミングを受信タイミングに近づけることが可能になるため、省電力性能を保ちながら高精度の計測が可能である。
本発明の実施の形態1における流体の流れ計測装置のブロック図 同装置の特性図 同装置の別の特性図 従来の流体の流れ計測装置のブロック図
第1の発明は、流体温度を検出する温度検出手段と、流体流路の上、下流側に対向して配置した超音波送受用の一対の振動子と、前記受信側の振動子と負荷抵抗を介して接続された増幅手段と、前記増幅手段に対する電力の供給/停止を切り換える電源スイッチと、前記受信側振動子と前記増幅手段の接続抵抗値を切り換え可能な抵抗値切換手段と、前記増幅手段の出力に基づいて超音波信号の受信を判断する受信判定手段と、前記超音波信号の送信から受信までの伝搬時間を計測するタイマーと、前記タイマーで計測した過去の伝搬時間を元に次の予測伝搬時間を決定する伝搬時間予測手段と、前記電源スイッチおよび前記抵抗切換手段を制御する受信制御手段とを備え、前記受信制御手段は、前記予測伝搬時間より前の第1の設定時間で前記電源スイッチにより前記増幅手段へ電力供給を開始し、前記第1の設定時間と前記予測伝搬時間の間の第2の設定時間で前記抵抗値切換手段により前記受信側振動子と前記増幅手段との接続抵抗を高抵抗値からほぼゼロとみなせる低抵抗値に切り換え、前記高抵抗値は前記温度検出手段の検出温度に応じて可変としたものである。
これにより、省電力性を保ちながら、ノイズの影響を受けにくい高精度の計測が可能となる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、高抵抗値の最大値を受信振動子の等価抵抗とほぼ同一の値に定め、流体温度が低くなるに従って、高抵抗値を小さくなるように定める構成としているので、流体温度の変化に関わらず、省電力性能を保ちながら、ノイズの影響を受けにくい高精度の計測が可能となる。
第3の発明は、特に、第1の発明において、送信振動子と受信振動子の役割を切り換えることにより流れの順方向と逆方向の双方の計測を可能とした送受信切換手段を備え、温度検出手段は、タイマーで計測した双方向の伝搬時間の平均値から流体温度を検出する構成としているので、振動子以外の別構成の温度検出手段を必要とせず、安価な構成で、省電力性能を保ちながら、ノイズの影響を受けにくい高精度の計測が可能となる。
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか一つの発明において、送信振動子と受信振
動子の役割を切り換えることにより流れの順方向と逆方向の双方の計測を可能とした送受信切換手段と、タイマーで計測した伝搬時間に基づいて流体流量を算出する演算手段を備え、受信制御手段は、流れの順方向と逆方向で個別の予測伝搬時間に基づいて第1および第2の設定時間を定める構成としているので、流量変動に関わらず、最適な制御タイミングが設定可能となり省電力性能を保ちつつ、より高精度の流量計測が可能となる。
第5の発明は、特に、第1〜第3のいずれか一つの発明において、送信振動子と受信振動子の役割を切り換えることにより流れの順方向と逆方向の双方の計測を可能とした送受信切換手段と、タイマーで計測した双方向の伝搬時間に基づいて流体流量を算出する演算手段を備え、受信制御手段は、前記演算手段で求めた流量が所定値以上の時には、流体温度に関わらず、高抵抗値を最小値に定める構成としているので、不用振動の影響のが流量誤差として現れにくい条件においては、外来ノイズの影響を低減し、より高精度の流量計測が可能となる。
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態が本発明を限定するものではない。
(実施の形態1)
図1において、流体流路1の上、下流側には超音波を送、受信する第1,第2振動子2,3が対向して配置され、流動する流体を斜めに横切るように超音波が伝搬するように設定されている。
第1振動子2と第2振動子3は送受信の役割を反転する送受信切換手段4を介して後段の処理ブロックに繋がれている。
送受信切換手段4は4連のスイッチで構成されていて、接点aが閉じると第1振動子2が送信側に、第2振動子3が受信側となり、接点bが閉じると第2振動子3が送信側に、第1振動子2が受信側になる。
送信側振動子は送信手段5と接続され、受信側振動子は2連の可変抵抗6を介して後段の受信回路7と接続される。
なお、可変抵抗6は2連構成のボリウム抵抗であり、双方が連動して同じ値となるように構成されている。
前記受信回路7は回路駆動電力を供給する電源8、この電源8の電力供給と停止を切り換える電源スイッチ9、受信側振動子の出力を増幅する増幅手段10、同増幅手段10の出力から超音波信号の受信を検知する受信判定手段11とで構成される。
トリガ手段12は一連の計測動作の開始を指示するトリガ信号を出力し、このトリガ信号と同期して、タイマー13が超音波計測開始後の経過時間の計測を開始する。
受信判定手段11で受信波の伝搬が判定された時のタイマー13の計測値がこの回の計測の伝搬時間である。
この伝搬時間は演算手段14に出力され、ここでは、流速値などの流れの計測に関わる種々の値が算出される。
ここで、算出される値のひとつが、予め定められた回数(例えば8回)の伝搬時間の平均値である。この値は、伝搬時間予測手段15に記憶される。伝搬時間予測手段15には
、第1,第2振動子2,3の送受信の役割を切り換えて計測した双方向の伝搬時間の平均値が記憶されている。
温度検出手段16は、伝搬時間予測手段15に記憶されている双方向の伝搬時間の平均値を元に、流体温度を求めている。
受信制御手段17は、電源スイッチの切り換えタイミングの制御や、可変抵抗6の抵抗値の制御を行うが、この時の制御タイミングは、伝搬時間予測手段15に記憶されている過去の計測結果を基に決定され、可変抵抗の抵抗値は、温度検出手段16で求めた流体温度を基に決定される。
以上のように構成された流体の流れ計測装置の動作を説明する。
先ず、第1振動子2を送信側とした場合の動作について説明する。最初にトリガ手段12から、計測開始を指示するトリガ信号が出力されるが、この時点で送受信切換手段4の接点aが閉じており、その結果、第1振動子2と送信手段5が接続され、他方の第2振動子3は可変抵抗6を介して後段の受信回路7に接続されることになる。
なお、この時点で可変抵抗値は、受信振動子で発生する不要振動エネルギーが効率良く消費されるように設定されているが、詳細については後述する。更に、電源スイッチ9の接点は開いており、受信回路7への電力供給は停止されている。
トリガ手段12から出力されるトリガ信号の出力と同期して、送信手段5から駆動信号(例えば500kHzの交流信号)が出力され、第1振動子2から超音波信号が出力される。また、これと同期して、タイマー13がスタートし、超音波信号出力後の経過時間の計測が始まる。
第1振動子2から出力された超音波信号は、やがて受信回路7に到達するが、その伝搬時間は、環境条件や流量が大きく変わらない限りはほとんど変化しないので、直近の計測値を利用して予測可能である。
この予測データを元に伝搬時間の寸前で電力供給を開始する構成を実現すれば、常時通電する場合に比べて大幅な消費電力低減が可能になる。
受信制御手段17では、温度検出手段16で求めた流体温度をもとに、電源スイッチ9の切り換えタイミングである第1の設定時間と、可変抵抗6の抵抗値切り換えタイミングである第2の設定時間を求めて、それらの時間で切り換え信号を出力する。
これら設定時間の最適化方法については後述することとして、まず、第1および第2の設定時間における動作を先に説明する。
トリガ信号出力からスタートしたタイマー13の計測値が第1の設定時間に達すると、受信制御手段17から制御信号が出力され、電源スイッチ9の接点が閉じられて、電源8から増幅手段10および受信判定手段11に駆動電力が供給される。
この時、発生する不連続な電圧変化によって、受信側の第2振動子3の両端子間に過渡的に僅かな電位差が発生する。この電位差が受信側振動子3の不要振動のエネルギー源となる。ただし、このエネルギーは継続的に供給されるわけではないので、受信回路の負荷抵抗で消費され、やがて消滅する。
この時、定性的には、負荷抵抗の値と受信側振動子3のインピーダンスの整合が取れている場合、すなわち同じ値の場合が、最も効率良く振動エネルギーが消費されることになる。
図2は、電源スイッチ9が閉じられて電力供給が開始されてからの経過時間Tと、受信側振動子3の両端子間の電圧V、すなわち不要振動の関係の一例を示したものである。
図2に示すように、不用振動は、一定の周期性を保ちながら、減衰する曲線となる。そして、可変抵抗6の値を変えることで減衰の度合いが変化する。
図3は、可変抵抗6の抵抗値Rと不要振動の電圧レベルVの関係であって、電源9の通電開始からある所定時間が経過した後の不要振動曲線の包絡線の電圧レベルVの大きさを示している。
すなわち、電源投入時に発生する不要振動レベルが可変抵抗値Rの値によって、どのように変化するかを示したものである。
図3に基づいて、可変抵抗6の抵抗値Rの設定方法について説明する。図に示すように、抵抗値Rが受信側振動子3のインピーダンスRと等しい時が最も不要振動が小さい。しかしながら、この時のRの値は、数100Ω程度の値であるため、逆に、振動ノイズ以外の外来ノイズの影響を受け易いという難点がある。
そのため、Rの値はできるだけ小さく(ほぼ短絡状態)した方が外来ノイズの影響を受けにくくなる。
そこで、温度検出手段16で求めた流体温度の値に応じて、可変抵抗6の抵抗値を制御して、電源投入時の負荷抵抗値を出来るだけ小さくなるように制御する。これは、不用振動の電圧レベルが同じであっても、流体の温度が異なれば、伝搬時間が異なり、流速や流量などの物性値の演算誤差が異なることを利用し、不必要に高い抵抗値を設定することを避けるためである。
次に、不用振動レベルが要因で発生する演算誤差について定量的に説明する。
簡単化のため超音波信号を正弦波で近似し、この正弦波に、図2で示した不用振動が重畳した場合を考えると、不用振動の影響で超音波の伝搬時間計測値に誤差を生じさせる。正弦波に対して不用振動の値が充分小さいとすれば、正弦波は直線近似されるため、不要振動レベルと伝搬時間の計測誤差は比例する。
ここで、不用振動の影響で発生する伝搬時間の誤差の値をδと仮定する。簡単化のため流れの順方向における計測においてのみ不用振動が発生した場合、先の(式3)で示した流速vの計算式に誤差δの影響を加味すると(式4)のようになる。
v=L・{1/(t+δ)−1/t}/2cosθ (式4)
ここで、δがtよりも充分小さいと仮定すると、(式4)の括弧内の項は次のように変形できる。
1/(t+δ)−1/t=1/{t×(1+δ/t)}−1/t≒(1−δ/t)/t−1/t=1/t −1/t−δ/(t×t) (式5)
(式3)と(式5)を比較すると、−δ/(t×t) が不用振動による誤差成分
ということになる。
したがって、不用振動により伝搬時間誤差がδ発生したとすると、流速や流量の誤差は、伝搬時間が大きくなるにしたがって小さくなり、伝搬時間の二乗に反比例していることがわかる。
一方、流体が既知であるとすれば、音速Cと流体温度Tとの関係は、一般に(式6)のような一次式で近似できる。
C=a×T+b (式6)
ただし、ここでa、bは定数である。また、振動子間の距離をLとすれば、伝搬時間tと音速cの関係は(式7)のように容易に求めることができる。
L/t=a×T+b (式7)
したがって、流体温度がわかれば、誤差δの影響度合いを求めることが可能である。すなわち、流体温度が上昇するにしたがって伝搬時間が小さくなる。
異なる温度条件において、同じ伝搬時間誤差が発生した場合であっても、流量や流速としての誤差は、流体温度の上昇に伴って、大きくなることがわかる。
結果、計測対象の流体が既知の場合においては、システム構成上、伝搬時間が最も短くなる(音速が最も早くなる)高温の状態での、δの値が小さくなるように、すなわち、不用振動レベルVが最も小さくなるように、高抵抗値を定める。
先に述べたように、受信側振動子と高抵抗値の値が等しい時が最も効率良く、不用振動が減衰するので、この時の高抵抗値をRとし、これに対応する不要振動レベルをVとする。
次に、伝搬時間の最小値と最大値の値の比が1:1.4と仮定する。この場合、不用振動レベルの許容値の比はおよそ、2:1となる。
そこで、伝搬時間最大の条件における不用振動レベルの許容値VはVの2倍となる。図3に示すように、不用振動レベルVを満たす抵抗値RとRの2点存在するが、外来ノイズの影響を防ぐ意味から、小さい方の値であるRを採用する。
したがって、伝搬時間が長くなるにしたがって、高抵抗値は小さく定めれば良いことがわかる。より、具体的に言えば、不用振動レベルが伝搬時間の二乗に反比例するように、抵抗値Rを制御すれば良い。
ここで、温度検出手段16は、一般的に簡便な温度センサとして利用されるサーミスタのようなものであっても良いが、本実施の形態においては、振動子において計測した伝搬時間を用いる。
これには、流速が変化した場合であっても、順方向の伝搬時間と逆方向の伝搬時間の和がほとんど変化しないことを利用する。この性質によれば、同一温度条件であれば、ふたつの伝搬時間の平均値は変わらないと結論づけられる。
逆に言えば、伝搬時間の平均値から温度を知ることができると言える。
そこで、伝搬時間予測手段15に記憶された双方向の伝搬時間の平均値を基に、流体温度を求めて、その値に応じた可変抵抗6の抵抗値を定めれば良いことになる。
振動エネルギーが消費された後、タイマー13の計測値が第2の設定時間に達すると、受信制御手段17から制御信号が出力され、可変抵抗6の抵抗値をゼロに切り換える。
第2の設定時間の後、流路内を伝搬した超音波信号が第2振動子3に伝搬すると、その信号出力は、可変抵抗6を介して増幅手段10に出力される。
接続抵抗がゼロに切り換っているので、第2振動子3の両端の受信信号電圧を高い効率で増幅手段10に伝送することが可能である。
増幅手段10で増幅された受信信号は、受信判定手段11へ出力され、ここで受信判定処理が行われる。
受信判定手段11は、受信波形の特定部位を受信点と判断する構成とし、具体的には受信波形の3周期目のゼロクロス点の立ち下がりを受信ポイント判断するものとする。
受信判定手段11で受信判定がなされると、第1振動子2を送信側、第2振動子3を受信側とした流れの順方向の超音波伝搬の時間計測が終了する。
順方向の計測終了時にタイマー13の計測値は、流れの順方向の伝搬時間として演算手段14に出力される。
同時に、受信制御手段17から送受信を切り換えるための制御信号が出力される。この制御信号を受けて、送受信切換手段4の接点bが閉じられて、第2振動子3と送信手段5とが接続され、第1振動子2と受信回路7が接続され、両振動子の送受信の関係が逆転する。
また、電源スイッチ9の接点が開いて、電源8から増幅手段10および受信判定手段11への電力供給が停止される。
受信制御手段17は定められた遅延の後、トリガ手段12にリセット信号を出力する。トリガ手段12はリセット信号を受けて、計測開始のトリガ信号をタイマー13および送信手段5に出力する。
ここから、第2振動子3を送信側とした計測が開始される。
その後の動作は、ふたつの振動子間の送受の関係が入れ替わるだけで先に述べた手順と同様に受信判定手段11における受信判定のまでの一連の処理が実行される。
受信判定手段11で受信判定がなされると、第2振動子3を送信側、第1振動子2を受信側とした流れと逆方向の超音波伝搬の時間計測が終了する。
流れの逆方向の計測終了時に、タイマー13の計測値は、流れの逆方向の伝搬時間として、演算手段14に出力される。
同時に、受信制御手段17から送受信を切り換えるための制御信号が出力される。この制御信号を受けて、送受信切換手段4の接点aが閉じられて、第1振動子2と送信手段5とが接続され、第2振動子3と受信回路7が接続され、両振動子の送受信の関係が再度逆転する。
また、電源スイッチ11の接点が開いて、電源8から増幅手段10および受信判定手段11への電力供給が停止される。
受信制御手段17は定められた遅延の後、トリガ手段12にリセット信号を出力し、今度は、第1振動子2を送信側とした計測が開始される。
以上のように、1回計測する毎に、一定の遅延時間を置きながら、二つの振動子2,3の送受信関係を切り換えながら計測が続けられる。
そして、予め定められた回数(例えば、順方向、逆方向それぞれ8回)の計測が完了した時点で、演算手段14では、8回の計測結果を順方向、逆方向それぞれ別個に伝搬時間平均値を算出し、その値は伝搬時間予測手段15に記憶される。更に、伝搬時間平均値を元に流量値が求められる。
続いて、伝搬時間予測手段15に記憶された伝搬時間平均値を用いて、第1の設定時間および第2の設定時間を最適化する方法について説明する。
流路内の温度が急激に変化しない限り、伝搬時間の値はわずかな時間で急激に変化することがないので、前の8回の計測平均値が次の8回の計測のおおよその期待値と考えることができる。
流れの順方向の伝搬時間平均値をTaとすると、次の8回の順方向の計測においては、第1の設定時間、第2の設定時間に係る振動子両端に発生する振動ノイズが、計測開始後の経過時間Taの近傍で充分小さくなるように適当なマージンを見込んで、各制御タイミングを設定すれば良い。
電源スイッチ9を閉じた後、振動レベルが収束するまでの時間をα、可変抵抗6の抵抗値をゼロに切り換えた後、振動レベルが収束するまでの時間をβとすれば、タイマー13の値が示す計測開始からの経過時間がTa−(α+β)となる時間を第1の設定時間T、経過時間がTa−βとなる時間を第2の設定時間Tとして電源スイッチ9、およびの可変抵抗6の抵抗値の切り換えを行えば良い。
以上説明してきたように本実施の形態の流体の流れ計測装置においては、伝搬時間予測手段15に記憶された予測伝搬時間に基づいて、その時間の寸前に受信側振動子と増幅手段10の接続抵抗値を振動エネルギーによるノイズや外来ノイズによる影響を受けにくくなるように、温度検出手段16で検出した流体温度に応じて適切な値に設定した状態で、増幅手段10の電源を投入して、電力供給の際に発生する受信側振動子端子間の振動ノイズを急速に減衰させている。
その後、受信側振動子と増幅手段10との接続抵抗をゼロに切り換えた後に、超音波信号を受信しているので、増幅手段10の電力供給開始タイミングを受信波形により近づけることが可能になるので、伝搬時間の変化に関わらず省電力性能を保ちながら高精度の計測が可能である。
なお、振動エネルギーや外来ノイズによる影響を受けにくくなる値に設定する方法とは、具体的に言えば、受信側振動子と増幅手段10の接続抵抗値は受信側振動子の等価抵抗とほぼ同一の値に定め、流体温度が低くなるに従って小さくなるように定める方法である。
また、流速が大きくなるに従って流れの順方向と逆方向の伝搬時間の差は大きくなるが
、大きな流れが発生した場合であっても、二つの方向毎の個別の予測伝搬時間に応じて、受信制御手段17から出力される制御信号のタイミングを設定することで、省電力性能や計測精度をより高めることが可能である。
さらに、流速値が大きくなるに従って同一の不用振動が発生した場合であっても、小流流速値の場合に比べて、流速の相対誤差としては現れにくくなる。したがって、演算手段14で求めた前回の流速が小流速値の時のみ流体温度に応じて高抵抗値を変化させる構成としておき、大流速値(例えば、計測可能な最小流速値の1000倍)においては、高抵抗値を可変抵抗6で設定可能な最小値とする構成であっても良い。
その場合、不用振動ノイズによる流速誤差は無視できるだけでなく、その他の外来ノイズの影響も低減することが可能となる。
以上のように、本発明の流体の流れ計測装置は、増幅手段の電源投入タイミングを超音波信号の受信タイミングに近づけることができ、省電力化が可能となるので、電池駆動で長寿命を要求されるガスメータ、水道メータなどに適用可能である。
1 流体流路
2,3 振動子
4 送受信切換手段
6 抵抗値切換手段(可変抵抗)
8 電源
9 電源スイッチ
10 増幅手段
11 受信判定手段
13 タイマー
14 演算手段
15 伝搬時間予測手段
16 温度検出手段
17 受信制御手段

Claims (5)

  1. 流体温度を検出する温度検出手段と、流体流路の上、下流側に対向して配置した超音波送受用の一対の振動子と、前記受信側の振動子と負荷抵抗を介して接続された増幅手段と、前記増幅手段に対する電力の供給/停止を切り換える電源スイッチと、前記受信側振動子と前記増幅手段の接続抵抗値を切り換え可能な抵抗値切換手段と、前記増幅手段の出力に基づいて超音波信号の受信を判断する受信判定手段と、前記超音波信号の送信から受信までの伝搬時間を計測するタイマーと、前記タイマーで計測した過去の伝搬時間をもとに次の予測伝搬時間を決定する伝搬時間予測手段と、前記電源スイッチおよび前記抵抗切換手段を制御する受信制御手段とを備え、前記受信制御手段は、前記予測伝搬時間より前の第1の設定時間で前記電源スイッチにより前記増幅手段へ電力供給を開始し、前記第1の設定時間と前記予測伝搬時間の間の第2の設定時間で前記抵抗値切換手段により前記受信側振動子と前記増幅手段との接続抵抗を高抵抗値からほぼゼロとみなせる低抵抗値に切り換え、前記高抵抗値は前記温度検出手段の検出温度に応じて可変としたことを特徴とする流体の流れ計測装置。
  2. 高抵抗値の最大値を受信側振動子の等価抵抗とほぼ同一の値に定め、流体温度が低くなるに従って高抵抗値を小さくなるように定めた請求項1記載の流体の流れ計測装置。
  3. 送信側振動子と受信側振動子の役割を切り換えることにより流れの順方向と逆方向の双方の計測を可能とした送受信切換手段を備え、温度検出手段は、タイマーで計測した双方向の伝搬時間の平均値から流体温度を検出する請求項1記載の流体の流れ計測装置。
  4. 送信側振動子と受信側振動子の役割を切り換えることにより流れの順方向と逆方向の双方の計測を可能とした送受信切換手段と、タイマーで計測した双方向の伝搬時間に基づいて流体流速および/または流量を算出する演算手段とを備え、受信制御手段は、流れの順方向と逆方向で個別の予測伝搬時間に基づいて第1および第2の設定時間を定めることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の流体の流れ計測装置。
  5. 送信側振動子と受信側振動子の役割を切り換えることにより流れの順方向と逆方向の双方の計測を可能とした送受信切換手段と、タイマーで計測した双方向の伝搬時間に基づいて流体流速および/または流量を算出する演算手段とを備え、受信制御手段は、前記演算手段で求めた流速および/または流量が所定値以上の時には、流体温度にかかわらず高抵抗値を最小値に定めることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の流体の流れ検出装置。
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