JP5177003B2 - レーザ距離測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザ距離測定装置に関するものである。
従来より、レーザ光を用いて検出物体までの距離を検出するレーザ距離測定装置が提供されている。この種の装置は、例えば、検出物体に向けてパルスレーザ光を間欠的に出射する構成をなしており、パルスレーザ光が出射されてから当該パルスレーザ光が検出物体にて反射した反射光が受光されるまでに時間を計測することで検出物体までの距離を測定している。
特開平10−20035号公報
上記のようなレーザ距離測定装置では、距離測定の精度を高めるべく、外的要因に起因する誤差を補正する構成が望まれている。例えば、特許文献1では、装置内におけるレーザ光の走査経路上に反射率の異なる基準物体を配置し、この基準物体からの反射光の波形に基づいて距離較正を行っている。このような構成によれば、反射率の変化を考慮した距離較正を行うことができ、測定精度を効果的に高めることができる。
しかしながら、比較的遠距離の物体を検出する場合、レーザ光の出力をある程度大きく設定したり、或いは反射光を検出する感度を高める必要があるため、特許文献1のような構成を用いると、距離較正の際に受光センサからの出力が飽和してしまうという問題がある。即ち、特許文献1の構成では、レーザ光が基準物体に入射する入射角をほぼ0°に保っており、当該基準物体から全反射する反射光を受光して距離較正を行っているため、仮に低い反射率の基準物体を用いたとしても、反射光の光量が大きくなりやすく、受光センサの出力がすぐに飽和してしまうという問題があり、基準物体の反射率がある程度大きい場合にはその問題は顕著となる。
これを避けるには、受光センサの感度を抑えたり、基準物体を遠くに配置するといった対策が考えられるが、受光センサの感度を抑えると、より遠方の物体を検出できなくなり、検出可能エリアの縮小、ひいては検出性能の低下を招いてしまう。また、基準物体をより遠方に配置して基準物体までの距離をある程度確保すると、今度は装置構成の大型化が避けられなくなる。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、レーザ距離測定装置において、正確な距離補正を行い得る構成を、装置構成の大型化、検出性能の低下を招くことなく実現することを目的とする。
請求項1の発明は、レーザ光を間欠的に発生させるレーザ光発生手段と、前記レーザ光発生手段にて前記レーザ光が発生したときに、その発生した前記レーザ光が検出物体にて反射した反射光を検出する光検出手段と、所定の中心軸を中心として回動可能に構成された偏向手段を備えるとともに、当該偏向手段により前記レーザ光を空間に向けて偏向させ、且つ前記反射光を前記光検出手段に向けて偏向する回動偏向手段と、前記回動偏向手段を回転駆動する駆動手段と、前記レーザ光発生手段にて前記レーザ光が発生してから、前記反射光が前記光検出手段に検出されるまでの時間を検出し、当該時間に基づいて前記検出物体までの距離を算出する距離算出手段と、を備えたレーザ距離測定装置として構成されている。
また、拡散反射面を有すると共に、前記偏向手段が所定回動範囲にあるときに、当該偏向手段にて偏向された前記レーザ光を前記拡散反射面で受ける拡散反射部材と、前記偏向手段が前記所定回動範囲内の第1回動位置にあるときに、前記レーザ光発生手段にて前記レーザ光が発生してから、その発生した前記レーザ光が前記拡散反射部材にて反射した第1拡散反射光が前記光検出手段によって検出されるまでの第1時間と、前記偏向手段が前記所定回動範囲内の第2回動位置にあるときに、前記レーザ光発生手段にて前記レーザ光が発生してから、その発生した前記レーザ光が前記拡散反射部材にて反射した第2拡散反射光が前記光検出手段によって検出されるまでの第2時間と、を検出する時間検出手段と、前記時間検出手段によって検出された前記第1時間及び前記第2時間に基づき、前記距離算出手段による前記距離の算出に用いる補正データを生成する補正データ生成手段と、を備えている。
更に、前記拡散反射部材は、前記偏向手段が前記第1回動位置にあるときに当該偏向手段からの前記レーザ光が前記拡散反射面に入射するときの第1入射角と、前記偏向手段が第2回動位置にあるときに当該偏向手段からの前記レーザ光が前記拡散反射面に入射するときの第2入射角とが異なるように構成されており、前記距離算出手段は、前記光検出手段によって前記検出物体からの前記反射光が検出されるまでの前記時間と、前記補正データ生成手段によって生成された前記補正データと、に基づいて前記距離を算出することを特徴としている。
請求項2の発明は、請求項1に記載のレーザ距離測定装置において、前記拡散反射部材の前記拡散反射面が平坦面とされていることを特徴としている。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のレーザ距離測定装置において、前記拡散反射面の反射率が前記偏向手段の偏向面の反射率よりも低くなるように、前記拡散反射部材が構成されている特徴としている。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のレーザ距離測定装置において、前記拡散反射部材が植毛シートを有しており、当該植毛シートの外面が前記拡散反射面とされていることを特徴としている。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のレーザ距離測定装置において、前記拡散反射部材の前記拡散反射面が黒色面であることを特徴としている。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のレーザ距離測定装置において、前記拡散反射部材の前記拡散反射面が、シボ加工が施された加工面からなることを特徴としている。
請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のレーザ距離測定装置において、前記偏向手段が前記第1回動位置にあるときの前記第1入射角が略0°であり、前記第2回動位置にあるときの前記第2入射角が0°よりも大きい角度であることを特徴としている。
請求項8の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のレーザ距離測定装置において、前記偏向手段が前記第1回動位置にあるときの前記第1拡散反射光が前記光検出手段によって受光されたときの受光レベルが飽和レベルであり、前記偏向手段が前記第2回動位置にあるときの前記第2拡散反射光が前記光検出手段によって受光されたときの受光レベルが非飽和レベルであることを特徴としている。
請求項1の発明は、偏向手段が第1回動位置にあるときに、レーザ光が発生してから、その発生したレーザ光が拡散反射部材にて反射した第1拡散反射光が光検出手段によって検出されるまでの時間(第1時間)を検出し、更に、偏向手段が所定回動範囲内の第2回動位置にあるときに、レーザ光が発生してから、その発生したレーザ光が拡散反射部材にて反射した第2拡散反射光が光検出手段によって検出されるまでの時間(第2時間)を検出している。そして、それら検出された第1時間及び第2時間に基づき、距離算出手段による距離の算出に用いる補正データを生成している。このようにすると、少なくとも2つの拡散反射状態を考慮して補正データを生成することができるため、より精度を高めやすくなる。
特に、本発明では、偏向手段が第1回動位置にあるときに当該偏向手段からのレーザ光が拡散反射面に入射するときの第1入射角と、偏向手段が第2回動位置にあるときに当該偏向手段からのレーザ光が拡散反射面に入射するときの第2入射角とが異なるように構成されているため、各拡散反射光の光量に差が生じることとなり、相対的に光量の大きい拡散反射光、及び相対的に光量が抑えられた拡散反射光をいずれも考慮した適切な補正データを生成でき、ひいては、この補正データを用いて検出物体までの距離を精度高く算出できるようになる。
請求項2の発明は、拡散反射部材の拡散反射面が平坦面とされている。このようにすると、偏向手段の回動位置に応じて入射角を変更しうる構成をより簡易に実現できる。
請求項3の発明は、拡散反射面の反射率が偏向手段の偏向面の反射率よりも低くなるように構成されている。このようにすると、補正データを生成するために用いる反射光(拡散反射光)の光量を効果的に抑えることができるため、光検出手段からの出力をより飽和しにくくすることができる。
請求項4の発明は、拡散反射部材が植毛シートを有しており、当該植毛シートの外面が拡散反射面とされている。このようにすると、光量を抑えた拡散反射光を発生させうる構成を、簡易な部材によって良好に実現できる。
請求項5の発明は、拡散反射面が黒色面として構成されている。このようにすると、より簡易且つ安価な構成で、拡散反射光の光量を抑えることができる。
請求項6の発明は、拡散反射面がシボ加工が施された加工面として構成されている。このようにすると、光量を抑えた拡散反射光を発生させうる構成を、簡易な加工で良好に実現できる。
請求項7の発明は、偏向手段が第1回動位置にあるときの第1入射角が略0°であり、第2回動位置にあるときの第2入射角が0°よりも大きい角度とされている。このようにすると、入射角度が極めて小さい状態ときの拡散反射状態、及びそれよりも入射角度が大きいときの拡散反射状態をいずれも考慮に入れて距離補正を行うことができる。
請求項8の発明は、第1拡散反射光が光検出手段によって受光されたときの受光レベルが飽和レベルであり、第2拡散反射光が光検出手段によって受光されたときの受光レベルが非飽和レベルとされている。このようにすると、飽和状態及び非飽和状態をいずれも考慮に入れて距離補正を行うことができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係るレーザ距離測定装置を概略的に例示する断面図である。 図2は、図1のレーザ距離測定装置の回動偏向機構、モータ、拡散反射部材を上方から見た様子を概略的に説明する説明図である。 図3は、偏向部が第1回動位置及び第2回動位置にあるときにレーザ光が拡散反射部材に入射する様子を説明する説明図である。 図4は、レーザダイオードの発光波形と、フォトダイオードから出力される出力信号との関係を説明する説明図である。
[第1実施形態]
以下、本発明のレーザ距離測定装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(全体構成)
まず、図1等を参照して第1実施形態に係るレーザ距離測定装置1の全体構成について説明する。図1に示すように、レーザ距離測定装置1は、レーザダイオード10と、検出物体からの反射光L2を受光するフォトダイオード20とを備え、検出物体までの距離や方位を検出する装置として構成されている。
レーザダイオード10は、「レーザ光発生手段」の一例に相当するものであり、制御回路70の制御により、図示しない駆動回路からパルス電流を受け、このパルス電流に応じたパルスレーザ光(レーザ光L1)を間欠的に出射している。なお、本実施形態では、レーザダイオード10から検出物体に至るまでのレーザ光を符号L1にて示し、検出物体からフォトダイオードに至るまでの反射光を符号L2にて示している。
フォトダイオード20は、「光検出手段」の一例に相当するものであり、レーザダイオード10からレーザ光L1が発生し、そのレーザ光L1が検出物体にて反射したとき、その反射光L2を受光して電気信号に変換している。なお、検出物体からの反射光については所定領域のものが偏向部41に取り込まれる構成となっており、図1では、符号L2で示す2つのライン間の領域の反射光が取り込まれる例を示している。
レーザダイオード10から出射されるレーザ光L1の光軸上にはレンズ60が設けられている。このレンズ60は、コリメートレンズとして構成されるものであり、レーザダイオード10からのレーザ光L1を平行光に変換している。
レンズ60を通過したレーザ光L1の光路上には、ミラー30が設けられている。このミラー30は、レンズ60を透過したレーザ光L1の光軸に対して傾斜した反射面30aを備え、レンズ60を透過したレーザ光L1を回動偏向機構40に向けて反射させている。本実施形態では、レンズ60を通過した水平方向のレーザ光L1をミラー30によって垂直方向(後述する中心軸42aと平行な方向)に反射させており、その反射した垂直方向のレーザ光L1が回動偏向機構40の偏向部41に入射するようになっている。
回動偏向機構40は、「回動偏向手段」の一例に相当するものであり、平坦な反射面41aを有するミラーからなる偏向部41と、この偏向部41を支持する支持台43と、この支持台43に連結された軸部42と、この軸部42を回転可能に支持する図示しない軸受とを備えている。
偏向部41は、「偏向手段」の一例に相当するものであり、ミラー30で反射されたレーザ光L1の光軸上に配置されると共に、中心軸42a(所定の中心軸)を中心として回動可能とされている。この偏向部41は、レーザダイオード10からのレーザ光L1を空間に向けて偏向(反射)させ、且つ検出物体からの反射光L2をフォトダイオード20に向けて偏向(反射)させる構成をなしている。
また、偏向部41の回転中心となる中心軸42aの方向は、ミラー30から当該偏向部41に入射するレーザ光L1の方向と一致しており、レーザ光L1が偏向部41に入射する入射位置P1が中心軸42a上の位置とされている
なお、本実施形態では、中心軸42aの方向を垂直方向(Y軸方向)としており、中心軸42aと直交する平面方向を水平方向としている。また、水平方向の内の所定方向をX軸方向として示している。
図1に示すように、偏向部41の反射面41aは、垂直方向(反射面41aに入射するレーザ光L1の方向)に対して45°の角度で傾斜しており、ミラー30側から入射するレーザ光L1を、水平方向に反射させている。また、偏向部41は入射するレーザ光L1の方向と一致した方向の中心軸42aを中心として回転するため、偏向部41の回転位置に関係なくレーザ光L1の入射角度が常に45°で維持され、位置P1からのレーザ光L1の向きは絶えず水平方向(中心軸42aと直交する方向)となるように構成されている。
また、本実施形態に係るレーザ距離測定装置1では、偏向部41における反射光を偏向する偏向領域(偏向部41における反射面41aの領域)が、ミラー30におけるレーザ光を反射する反射領域(ミラー30における反射面30aの領域)よりも十分大きく構成されている。
さらに、回動偏向機構40を駆動するモータ50が設けられている。このモータ50は、「駆動手段」の一例に相当するものであり、軸部42を回転させることで、軸部42と連結された偏向部41を回転駆動している。なお、モータ50の具体的構成としては、例えばサーボモータ等を用いても良いし、定常回転するモータを用い、偏向部41が測距したい方向を向くタイミングに同期させてパルスレーザ光を出力することで、所望の方向の検出を可能としてもよい。また、本実施形態では、図1に示すように、モータ50の軸部42の回転角度位置(即ち偏向部41の回転角度位置)を検出する回転角度位置センサ52が設けられている。回転角度位置センサ52は、ロータリーエンコーダなど、軸部42の回転角度位置を検出しうるものであれば様々な種類のものを使用できる。
なお、上記説明では、検出対象となるモータ50の具体例について述べたが、モータ50の種類や構成は上記例に限定されず、例えば、ステップモータなどによって構成してもよく、この場合、1ステップ毎の角度が小さいものを使用すれば、緻密な回動が可能となる。
回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光L2の光路上には、フォトダイオード20に向けて反射光を集光する集光レンズ62が設けられ、その集光レンズ62とフォトダイオード20の間にはフィルタ64が設けられている。集光レンズ62は、偏向部41からの反射光L2を集光してフォトダイオード20に導くものであり、集光手段として機能している。
また、フィルタ64は、回動偏向機構40からフォトダイオード20に至るまでの反射光L2の光路上において反射光L2を透過させ且つ反射光L2以外の光を除去するように機能するものである。このフィルタ64は、例えば反射光L2に対応した特定波長の光(例えば一定領域の波長の光)のみを透過させそれ以外の光を遮断する波長選択フィルタによって構成されている。
また、本実施形態では、レーザダイオード10、フォトダイオード20、ミラー30、レンズ60、回動偏向機構40、モータ50等がケース3内に収容され、防塵や衝撃保護が図られている。ケース3における偏向部41の周囲には、当該偏向部41を取り囲むようにレーザ光L1及び反射光L2の通過を可能とする導光部4が形成されている。導光部4は、偏向部41に入光するレーザ光L1の光軸を中心とした環状形態で、ほぼ360°に亘って構成されており、この導光部4を閉塞する形態でガラス板等からなるレーザ光透過板5が配され、防塵が図られている。
(特徴的構成)
次に、本実施形態の特徴的構成について説明する。
本実施形態に係るレーザ距離測定装置1は、偏向部41にて反射して空間に投射されるレーザ光L1の走査経路上に、拡散反射部材80が設けられている。図2に示すように、拡散反射部材80は、偏向部41に面する側に拡散反射面81が設けられており、図3に示すように、偏向部41が所定回動範囲にあるときに、当該偏向部41にて偏向されたレーザ光L1を拡散反射面81で受けている。
拡散反射部材80は、偏向部41の側方に設けられており、偏向部41に対向する対向部(2つの板面80a、80bの内の偏向部41側の板面80bを構成する部分)にシボ加工が施されており、そのシボ加工が施された加工面が拡散反射面81として構成されている。
また、拡散反射部材80は、シボ加工による微少な凹凸はあるものの拡散反射面81が全体としてほぼ平坦面として構成されており、その拡散反射面81の面方向が中心軸42aの方向とほぼ平行となる構成で配置されている。更に、拡散反射面81は、黒色面として構成されており、拡散反射面の反射率が偏向手段の偏向面の反射率よりも低くなるように構成されている。
この拡散反射部材80は、図1、図2に示すように、偏向部41が所定回動範囲にあるときに、偏向部41からのレーザ光が入射するように構成されている。なお、この「所定回動範囲」とは、即ち、360°回転する偏向部41の全回動範囲のうち、レーザ光L1が、拡散反射部材80の一端部82に入射するときの回動位置から、他端部83に入射するときの回動位置までの回動範囲を指し、偏向部41が当該所定回動範囲にあるときに、レーザ光L1が装置外の空間に投射されずに拡散反射部材80に入射し、拡散反射光がフォトダイオード20によって受光されるようになっている。なお、図2では、レーザ光L1が一端部82に入射するときのレーザ光L1の方向を直線A1で示し、レーザ光L1が他端部83に入射するときのレーザ光L1の方向を直線A2で示しており、拡散反射部材80に入射可能な領域を符号ARにて示している。この図2の例では、偏向部41の全回動範囲(360°)の内、レーザ光L1が領域ARに投射される回動範囲が上記「所定回動範囲」に相当している。
次に、上記拡散反射部材80を用いた補正データの生成について説明する。
本実施形態に係るレーザ距離測定装置1では、拡散反射部材80に対してパルスレーザ光L1を照射すると共に、このパルスレーザ光L1の投光から拡散反射光の受光までの時間を検出し、この検出時間に基づいて補正データを生成している。その具体的方法は以下の通りである。
まず、偏向部41の回動位置が、レーザ光が拡散反射部材80に入射し得る回動範囲(所定回動範囲)の内のいずれかの回動位置にあるときに、レーザダイオード10にてパルスレーザ光を発生させ、その発生したパルスレーザ光が拡散反射部材80にて反射した拡散反射光がフォトダイオード20によって検出されるまでの時間を検出する。例えば、図3では、偏向部41が実線で示す「第1回動位置」にあるときにレーザダイオード10からパルスレーザ光L1'を投射し、そのパルスレーザ光L1'が拡散反射部材80にて反射した拡散反射光(第1拡散反射光La)がフォトダイオード20によって検出されるまでの時間を検出している。なお、以下の説明では、レーザダイオード10がパルスレーザ光L1'を投射してから、フォトダイオード20が第1拡散反射光Laを受光するまでの時間を「第1時間T1」として説明する。
更に、偏向部41が、破線で示す「第2回動位置」にあるときにも、別途パルスレーザ光L1"を発生させ、その発生したパルスレーザ光L2"が拡散反射部材80にて反射した拡散反射光(第2拡散反射光Lb)がフォトダイオード20によって検出されるまでの時間を検出している。なお、「第2回動位置」は、レーザ光L1が拡散反射部材80に入射しうる回動範囲内(即ち、「所定回動範囲」内)における、上記「第1回動位置」とは異なる回動位置を指しており、図3の例では、パルスレーザ光L2"が拡散偏向部材80の他端部83付近に入射するときの偏向部41の回動位置を「第2回動位置」としている。
以下の説明では、レーザダイオード10がパルスレーザ光L1"を投射してから、フォトダイオード20が第2拡散反射光Lbを受光するまでの時間を「第2時間T2」として説明する。なお、本実施形態では、制御回路70が「時間検出手段」の一例に相当し、上記第1時間T1及び第2時間T2を検出する機能を有している。
図3の例では、偏向部41が実線で示す「第1回動位置」にあるときに当該偏向部41からのパルスレーザ光L1'が拡散反射面81に入射するときの第1入射角θ1(図3では図示略)と、偏向部41が破線で示す「第2回動位置」にあるときに当該偏向部41からのパルスレーザ光L1"が拡散反射面81に入射するときの第2入射角θ2とが異なるように構成されている。
具体的には、「第1回動位置」のときの第1入射角θ1が略0°となっており、この例では、入射角が0°となるときのパルスレーザ光L1'の投光から拡散反射光Laの受光までの時間(第1時間T1)を検出している。図4(a)に示すように、本実施形態では、偏向部41が「第1回動位置」にあるときの第1拡散反射光Laがフォトダイオード20によって受光されたときの受光レベルが飽和レベルとなるように、レーザダイオード10の出力、フォトダイオード20の感度、拡散反射面81の反射率が設定されている。
また、「第2回動位置」のときの第2入射角θ2は、0°よりも大きい角度(例えば、10°〜20°程度)とされており、この例では、入射角を第1入射角θ1よりも大きくしたときのパルスレーザ光L1"の投光から拡散反射光Lbの受光までの時間(第1時間T2)を検出している。図4(b)に示すように、本実施形態では、偏向部41が「第2回動位置」にあるときの第2拡散反射光Lbがフォトダイオード20によって受光されたときの受光レベルが非飽和レベルとなるように、レーザダイオード10の出力、フォトダイオード20の感度、拡散反射面81の反射率が設定されている。
そして、上記のように検出された第1時間T1及び第2時間T2に基づき、実際の物体検出の際に距離算出に用いる補正データを生成している。補正データは、上記第1時間T1、第2時間T2をパラメータとして距離算出を補正しうるデータであればよく、例えば、以下の数1で得られるようなデータとすることができる。なお、本実施形態では、制御回路70が「補正データ生成手段」の一例に相当する。
Figure 0005177003
なお、数1において、光速Cは公知の固定値である。また、第1回動位置のときの光路長L1と第2回動位置のときの光路長L2は、装置構成、第1回動位置、第2回動位置が定まれば一定値として定まるものである。従って、C,L1,L2が既知の値であるため、第1時間T1、第2時間T2が上記時間検出手段によって検出されれば補正係数Rが得られることになる。
次に、物体検出について説明する。本実施形態に係るレーザ距離測定装置1では、レーザ光L1が上記領域AR以外の領域に投射されるとき(即ち、偏向部41が上記「所定回動範囲」外の回動位置にあるとき)に、外部空間に存在する物体を検出できるようになっている。
図1に示すように、偏向部41の回動位置が検出可能範囲(上記「所定回動範囲」外の回動範囲)にあるときには、偏向部41から空間に向けてパルスレーザ光L1が投射される。そして、そのパルスレーザ光L1の走査エリア上に検出物体が存在するときには、偏向部41から投射されたパルスレーザ光L1が当該検出物体にて反射し、この反射光の一部が再び偏向部41に入射する。空間側からの反射光L2は、偏向部41にて反射した後、集光レンズ62によって集光され、フィルタ64を通過してフォトダイオード20に入射する。
このように、偏向部41が検出可能範囲にあるときに反射光L2が受光されると、この反射光L2の元となるパルスレーザ光L1が発生してから、当該パルスレーザ光L1の反射光L2がフォトダイオード20によって受光されるまでの時間Tを検出し、光速Cを考慮して以下の式により検出物体までの距離Lを算出する。
Figure 0005177003
なお、数2において、補正係数Rは上記数1によって求められており、光速Cは公知の固定値であるため、時間Tが検出されれば空間に存在する物体(検出物体)までの距離Lを算出できる。また、反射光L2が受光されたときの偏向部41の回動位置を特定することで、検出物体の方位をも検出できる。
本実施形態では、制御回路70が「距離算出手段」の一例に相当し、レーザダイオード10にてパルスレーザ光L1が発生してから、当該パルスレーザ光L1の反射光L2をフォトダイオード20が検出するまでの時間Tを検出し、当該時間Tに基づいて検出物体までの距離Lを算出するように機能している。より具体的には、フォトダイオード20によって検出物体からの反射光L2が検出されるまでの時間Tと、上記「補正データ生成手段」によって生成された補正データRとに基づいて距離Lを算出するように機能している。なお、上記の例では、「検出物体までの距離を示す値」として検出物体に照射されるパルスレーザ光の光路長(距離L)を求めているが、「検出物体までの距離を示す値」として光路長の1/2の値を求めるようにしてもよい。
(本実施形態の主な効果)
本実施形態に係るレーザ距離測定装置1は、偏向部41が第1回動位置にあるときに、レーザダイオード10にてパルスレーザ光L1'が発生してから、その発生したパルスレーザ光L1'が拡散反射部材80にて反射した第1拡散反射光Laがフォトダイオード20(光検出手段)によって検出されるまでの時間(第1時間T1)を検出している。また、偏向部41が所定回動範囲内の第2回動位置にあるときに、パルスレーザ光L1"が発生してから、その発生したパルスレーザ光L1"が拡散反射部材80にて反射した第2拡散反射光Lbがフォトダイオード20によって検出されるまでの時間(第2時間T2)を検出している。そして、それら検出された第1時間T1及び第2時間T2に基づき、距離の算出に用いる補正データを生成している。このようにすると、少なくとも2つの拡散反射状態を考慮して補正データを生成することができるため、特定の状態に片寄った補正データとならず、距離算出の際により適切な補正を行うことができる。
特に、本実施形態では、偏向部41が「第1回動位置」にあるときに当該偏向部41からのパルスレーザ光L1'が拡散反射面81に入射するときの第1入射角θ1と、偏向部41が「第2回動位置」にあるときに当該偏向部41からのパルスレーザ光L1"が拡散反射面81に入射するときの第2入射角θ2とが異なるように構成されているため、各拡散反射光La、Lbの光量に差が生じることとなり、相対的に光量の大きい拡散反射光La、及び相対的に光量が抑えられた拡散反射光Lbをいずれも考慮した適切な補正データを生成でき、ひいては、この補正データを用いて検出物体までの距離を精度高く算出できるようになる。
また、本実施形態に係るレーザ距離測定装置1は、拡散反射部材80の拡散反射面81が平坦面とされている。このようにすると、拡散反射面81へ入射するレーザ光の入射角を、偏向部41の回動位置に応じて変化させうる構成をより簡易に実現できる。
また、本実施形態に係るレーザ距離測定装置1は、拡散反射面81の反射率が偏向部41の偏向面(反射面41a)の反射率よりも低くなるように構成されている。このようにすると、補正データを生成するために用いる反射光(拡散反射光La,Lb)の光量を効果的に抑えることができるため、フォトダイオード20からの出力を飽和しにくくすることができる。
また、本実施形態で用いられる拡散反射部材80は、拡散反射面81が黒色面として構成されている。このようにすると、より簡易且つ安価な構成で、拡散反射光La,Lbの光量を抑えることができる。
また、本実施形態で用いられる拡散反射部材80は、拡散反射面81がシボ加工が施された加工面として構成されている。このようにすると、光量を抑えた拡散反射光を発生させうる構成を、簡易な加工で良好に実現できる。
また、本実施形態では、偏向部41が「第1回動位置」にあるときの第1入射角θ1が略0°とされており、偏向部41が「第2回動位置」にあるときの第2入射角θ2が0°よりも大きい角度とされている。このようにすると、入射角度が極めて小さい状態ときの拡散反射状態、及びそれよりも入射角度が大きいときの拡散反射状態をいずれも考慮に入れて距離補正を行うことができる。
また、本実施形態では、第1拡散反射光Laがフォトダイオード20によって受光されたときの受光レベルが飽和レベルであり、第2拡散反射光Lbがフォトダイオード20によって受光されたときの受光レベルが非飽和レベルとされている。このようにすると、飽和状態及び非飽和状態をいずれも考慮に入れて距離補正を行うことができる。
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
上記実施形態では、拡散反射面81が黒色面とされた拡散反射部材80を例示したがこれに限定されない。例えば、反射率を低く抑えうる色であれば他の色でも好適に用いることができ、青色、緑色、茶色、灰色等を用いてもよい。この場合、濃度を大きくし、輝度を低く抑えることで、反射率をより低くすることができる。
上記実施形態では、樹脂材料にシボ加工を施してなる拡散反射部材80を例示したが、樹脂部材に植毛シート(植毛紙)を添付してなる拡散反射部材を用いてもよい。この場合、一般的に望遠鏡などで用いられる植毛紙からなる植毛シートを樹脂部材に貼付した構成とし、当該植毛シートの外面を拡散反射面とするような構成としてもよい。このようにすると、光量を抑えた拡散反射光を発生させうる構成を、簡易な部材によって良好に実現できる。
上記実施形態では、第1入射角θ1がほぼ0°であり、第2入射角θ2が10°〜20°程度である例を示したが、第1回動位置のときの第1入射角と第2回動位置のときの第2入射角とが異なっていればよい。例えば、第1入射角θ1が10°程度となるように第1回動位置を設定し、第2入射角θ2が30°程度となるように第2回動位置を設定してもよい。
上記実施形態では、2つの回動位置(第1回動位置及び第2回動位置)に設定されたときの各拡散反射光La、Lbを受光して補正データを生成していたが、上記「所定回動範囲」内の3以上の回動位置においてそれぞれ拡散反射光を受光し、各回動位置において同様に時間検出を行い、補正データを生成してもよい。例えば、上記「第1回動位置」、「第2回動位置」を含んだn個の回動位置において時間検出を行う場合、各回動位置において、パルスレーザ光が発生してから当該パルスレーザ光の拡散反射光が受光されるまでの時間を検出し、これら各時間と、各回動位置のときの各光路長とに基づいて数3のように補正データを生成してもよい。
Figure 0005177003
数3では、第1回動位置から第n回動位置まで設定されるとき(即ち、拡散反射部材80に照射するための回動位置がn個設定されるとき)の補正データ算出式を例示している。この例では、第k回動位置のときにパルスレーザ光が発生してから当該パルスレーザ光の拡散反射光が受光されるまでの時間をTkとし、第k回動位置のときのレーザダイオード10からフォトダイオード20に至るまでの光路長をLkとして示しており、各回動位置毎のTk×C/Lkの値を求めている(但しkは1〜nの自然数)。
例えば、上記実施形態の「第1回動位置」「第2回動位置」に加え、それらとは異なる第3回動位置において拡散反射光を受光して補正データに加味する場合(即ちn=3のとき)、上記実施形態と同様に、「第1回動位置」のときにパルスレーザ光L1'が発生してから当該パルスレーザ光L1'の拡散反射光Laが受光されるまでの時間をT1とし、当該「第1回動位置」のときの光路長をL1としてT1×C/L1の値を求め、同様に、「第2回動位置」のときにパルスレーザ光L1"が発生してから当該パルスレーザ光L1"の拡散反射光Lbが受光されるまでの時間をT2とし、当該「第2回動位置」のときの光路長をL2としてT2×C/L2の値を求める。更に、それらとは異なる「第3回動位置」のときにパルスレーザ光が発生してから当該パルスレーザ光が拡散反射部材80で反射してなる拡散反射光が受光されるまでの時間をT3とし、当該「第3回動位置」のときの光路長をL3としてT3×C/L3の値を求め、これらT1×C/L1、T2×C/L2、T3×C/L3を全て加算した加算値を3で割った値をRとして、当該Rを上記実施形態と同様に距離算出に用いることができる(数2参照)。また、nは4以上であってもよく、いずれにしてもTk×C/Lkの値を、k=1〜nまで累積し、その累積値をnで割った値をRとして用いればよい。
1…レーザ距離測定装置
10…レーザダイオード(レーザ光発生手段)
20…フォトダイオード(光検出手段)
40…回動偏向機構(回動偏向手段)
41…偏向部(偏向手段)
42a…中心軸
50…モータ(駆動手段)
70…制御回路(距離算出手段、時間検出手段、補正データ生成手段)
80…拡散反射部材
81…拡散反射面
83…植毛シート

Claims (8)

  1. レーザ光を間欠的に発生させるレーザ光発生手段と、
    前記レーザ光発生手段にて前記レーザ光が発生したときに、その発生した前記レーザ光が検出物体にて反射した反射光を検出する光検出手段と、
    所定の中心軸を中心として回動可能に構成された偏向手段を備えるとともに、当該偏向手段により前記レーザ光を空間に向けて偏向させ、且つ前記反射光を前記光検出手段に向けて偏向する回動偏向手段と、
    前記回動偏向手段を回転駆動する駆動手段と、
    前記レーザ光発生手段にて前記レーザ光が発生してから、前記反射光が前記光検出手段に検出されるまでの時間を検出し、当該時間に基づいて前記検出物体までの距離を算出する距離算出手段と、
    を備えたレーザ距離測定装置であって、
    拡散反射面を有すると共に、前記偏向手段が所定回動範囲にあるときに、当該偏向手段にて偏向された前記レーザ光を前記拡散反射面で受ける拡散反射部材と、
    前記偏向手段が前記所定回動範囲内の第1回動位置にあるときに、前記レーザ光発生手段にて前記レーザ光が発生してから、その発生した前記レーザ光が前記拡散反射部材にて反射した第1拡散反射光が前記光検出手段によって検出されるまでの第1時間と、前記偏向手段が前記所定回動範囲内の第2回動位置にあるときに、前記レーザ光発生手段にて前記レーザ光が発生してから、その発生した前記レーザ光が前記拡散反射部材にて反射した第2拡散反射光が前記光検出手段によって検出されるまでの第2時間と、を検出する時間検出手段と、
    前記時間検出手段によって検出された前記第1時間及び前記第2時間に基づき、前記距離算出手段による前記距離の算出に用いる補正データを生成する補正データ生成手段と、
    を備え、
    前記拡散反射部材は、前記偏向手段が前記第1回動位置にあるときに当該偏向手段からの前記レーザ光が前記拡散反射面に入射するときの第1入射角と、前記偏向手段が第2回動位置にあるときに当該偏向手段からの前記レーザ光が前記拡散反射面に入射するときの第2入射角とが異なるように構成されており、
    前記距離算出手段は、前記光検出手段によって前記検出物体からの前記反射光が検出されるまでの前記時間と、前記補正データ生成手段によって生成された前記補正データと、に基づいて前記距離を算出することを特徴とするレーザ距離測定装置。
  2. 前記拡散反射部材は、前記拡散反射面が平坦面とされていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ距離測定装置。
  3. 前記拡散反射部材は、前記拡散反射面の反射率が、前記偏向手段の偏向面の反射率よりも低くなるように構成されている特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレーザ距離測定装置。
  4. 前記拡散反射部材は、植毛シートを有し、
    前記植毛シートの外面が前記拡散反射面とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のレーザ距離測定装置。
  5. 前記拡散反射部材の前記拡散反射面が黒色面であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のレーザ距離測定装置。
  6. 前記拡散反射部材の前記拡散反射面が、シボ加工が施された加工面からなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のレーザ距離測定装置。
  7. 前記偏向手段が前記第1回動位置にあるときの前記第1入射角が略0°であり、前記第2回動位置にあるときの前記第2入射角が0°よりも大きい角度であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のレーザ距離測定装置。
  8. 前記偏向手段が前記第1回動位置にあるときの前記第1拡散反射光が前記光検出手段によって受光されたときの受光レベルが飽和レベルであり、
    前記偏向手段が前記第2回動位置にあるときの前記第2拡散反射光が前記光検出手段によって受光されたときの受光レベルが非飽和レベルであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のレーザ距離測定装置。
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