JP5176667B2 - 溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法及び溶融亜鉛めっき浴内の堆積物高さ監視装置 - Google Patents
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Description
図17は、従来の製造方法の概略図を示す。同図に示すように、従来の製造方法では、鋼板100がスナウト101を介して溶融亜鉛で満たされているめっき浴槽102に送給され、めっき浴槽102内に設置されたシンクロール103を周回して通板され、めっき浴槽102内を上昇する。そして、鋼板100は、浴中サポートロール104を経て、めっき浴槽102外に出て行く。
ボトムドロス200は、シンクロール103等の回転による浴内の流動によりその一部が巻き上げられて、めっき浴槽102中に浮遊するようになる。網を使う等してトップドロス201を汲み出す除去が可能であるが、めっき浴槽102中を浮遊するドロスを取り除くことは難しい。そのため、めっき浴槽102中を浮遊するドロスがめっき浴槽102中を通過する鋼板100表面に付着し、亜鉛めっきの表面品質を悪くしてしまう。その一方で、溶融亜鉛めっき法において、ドロスの発生を無くすこと自体は困難とされている。
しかし、めっき浴槽の形状は各ラインによって異なり、ラインによっては、シンクロールを上昇させてドロスの除去作業を行わなければならない場合もある。この場合、ドロス除去作業を行うとしても、そのドロス除去作業は、実質的には定期修理日毎になるが、定期修理日にドロス除去作業を行おうとすれば、めっき浴内でボトムドロスの堆積量が巻き上げの起こらない許容高さを超えているか否かを判断する必要がある、すなわちドロス除去作業の適切な作業時期を知る必要がある。そのためには、ボトムドロスの堆積量を頻繁に測定する必要がある。しかし、従来、ボトムドロスの堆積量の測定は、オペレータ等が手動で、長い棒を差し込む等して行われていることから、ボトムドロスの堆積量を頻繁に測定するとすれば、オペレータ等への負担が過大となる。
本発明の課題は、簡単な構成でボトムドロスの堆積量を測定し、最適なタイミングでボトムドロスの発生を抑制し、除去できるようにすることである。
また、本発明に係る請求項3に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、請求項2に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、前記複数箇所で測定した電気抵抗値を重み付けして、前記堆積物の堆積高さを推定することを特徴とする。
また、本発明に係る請求項6に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、請求項1〜5の何れか1項に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、溶融亜鉛めっき鋼板を所定量生産している場合、前記堆積物の発生および/または該堆積物の鋼板への付着、を抑制する処理を実施することを特徴とする。
また、本発明に係る請求項10に記載の溶融亜鉛めっき浴内の堆積物高さ監視装置は、請求項7〜9の何れか1項に記載の溶融亜鉛めっき浴内の堆積物高さ監視装置において、前記堆積物による不良発生抑制手段が、前記溶融亜鉛めっき浴内での該鋼板の通板速度を低下させること、前記溶融亜鉛めっき浴の温度を上昇させること、前記溶融亜鉛めっき浴の浴中サポートロールの押付量を増加させること、前記溶融亜鉛めっき浴への亜鉛インゴットの投入間隔時間を大きくすることの少なくとも何れかを行うことを特徴とする。
また、本発明に係る請求項12に記載の溶融亜鉛めっき浴内の堆積物高さ監視装置は、請求項7〜11の何れか1項に記載の溶融亜鉛めっき浴内の堆積物高さ監視装置において、前記堆積物による不良発生抑制手段が、溶融亜鉛めっき鋼板を所定量生産している場合に実施することを特徴とする。
(構成)
第1の実施形態は、本発明を適用した堆積物高さ監視システムである。堆積物高さ監視システムは、溶融亜鉛めっき鋼板製造システムに組み込まれている。
図1は、堆積物高さ監視システムの構成を示す。図1に示すように、堆積物高さ測定装置が備えるプローブ1、アラーム出力部2及び制御装置40を備える。
図2に示すように、プローブ1は、溶融亜鉛で満たされているめっき浴槽102内に配置されている。プローブ1は、該めっき浴槽102中のめっき浴内(溶融亜鉛、ボトムドロス、トップドロスなどを含む)の電気抵抗を測定するように構成されている。具体的には、図3に示すように、プローブ1は、4本の電極からなり、その4本の電極のうち、外側に位置(最上部及び最下部に位置)される2本の電極11,12が、電流印加用電極11,12を構成し、その電流印加用電極11,12に挟まれるように内側に位置される2本の電極21,22が電圧測定用電極21,22を構成している。
このような電極11,12,21,22を備えたプローブ1をめっき浴槽102内のめっき浴内に浸漬させる。このとき、プローブ1は、4本の電極11,12,21,22がめっき浴槽102の深さ方向に並ぶように浸漬される。
R=V/A ・・・(1)
Aは、定電流値(アンペア)である。例えば、電線など、電流印加用電極や電圧測定電極に比べて細い対象物に電流を印加する場合には、どこに電圧測定用電極を配置しても、電圧測定用電極間の電流値は(1)式のAとなる。よって、電圧測定値から、その部分の電気抵抗の絶対値を求めることができる。しかし、電極に対して、大きい面積や体積を有する対象物(板形状や液状など)に電流を印加する場合は、電極間を流れる電流は広がり、場所で電流分布が異なってくる。一般的には、電流は広がるため、電極間の電流は、(1)式で示される電流値Aよりも小さくなると考えられるので、電気抵抗の絶対値を厳密に求めることは困難となる。
図5に示すようになるのは、ボトムドロスがめっき浴槽の底面から離れるほど、ボトムドロスが存在しなくなり、ボトムドロスの割合(ボトムドロスの濃度)が低くなるために、抵抗値が小さくなるからである。例えば、ボトムドロスの割合が高いところ(めっき浴の下部でめっき浴槽102の底面近傍)の抵抗値は、ボトムドロスの割合が低いところ(めっき浴の上部)の抵抗値(例えば約1.8×10−7Ωm(めっき浴の温度約500℃において))の5倍以上になるといったように、大きい値になる。これは、ボトムドロスの方が抵抗値が大きく、そのボトムドロスが増えると(密度が高くなると)、電流がそのボトムドロスを迂回して流れようとするが、迂回できる領域が少なくなるためである。このように、単なる溶融亜鉛の場合とボトムドロスの場合とで抵抗値が異なり、ボトムドロスの方が大きい値になる。
続いてステップS3において、堆積高さ判定部42は、ボトムドロスの堆積高さが所定のしきい値よりも大きいか否かを判定する。ここでいう所定のしきい値は、ボトムドロスの堆積高さの判定用のしきい値である。例えば、プローブ1の状態に応じて所定のしきい値を設定する。例えば、プローブ1の特性や設置場所に応じて所定のしきい値を設定する。ここで、堆積高さ判定部42は、ボトムドロスの堆積高さが所定のしきい値よりも大きい場合、ステップS6に進む。また、堆積高さ判定部42は、ボトムドロスの堆積高さが所定のしきい値以下の場合、ステップS4に進む。
続いてステップS7において、最終判定部45は、最終判定をする。具体的には、前記ステップS6で検出した各プローブ1についてのボトムドロスの堆積高さを基に、堆積高さについての最終的な判定を行う。例えば、所定のしきい値と比較することで、堆積高さについての最終的は判定を行う。また、例えば、各プローブ1により得たボトムドロスの堆積高さの加重平均を算出し、その加重平均を基に、最終的は判定を行う。このとき、重要なプローブ1の重み付けを大きくする。例えば、鋼板の品質との関連性が高いプローブ1の重み付けを大きくする。
ステップS8では、制御部47は、アラーム制御部2を制御して、アラーム出力を行う。例えば、アラーム出力部2の画面表示出力により警告を行い、又はアラーム出力部2の音声出力により警告を行う。
続いてステップS9において、ライン稼動判定部46は、ライン可動中か否かを判定する。ここで、ライン稼動判定部46は、ライン稼動中の場合、ステップS10に進む。また、ライン稼動判定部46は、ラインが稼動していない場合(ラインが停止している場合)、ステップS11に進む。
ステップS11では、ライン停止時操作を行う。具体的には、ドロス汲みを行う。また、浴機器を交換する。例えば、このようなライン停止時操作を作業員が行う。
動作は次のようになる。
図8は、この堆積物高さ監視システムが組み込まれる溶融亜鉛めっき鋼板製造システム(製造工程)の処理手順を示す。同図に示すように、溶融亜鉛めっき鋼板製造システムは、大別して、鋳造、圧延及び酸洗等からなる前処理工程(ステップS21)、連続焼鈍、電解洗浄等からなる焼鈍工程(ステップS22)、溶融亜鉛めっき処理工程(ステップS23)、メッキ浴通過直後にメッキ層を再加熱等する合金化処理工程(ステップS24)、形状や表面を仕上げるスキンパス(SK)工程(ステップS25)及び製品を検査する検査工程(ステップS26)からなる。
作用及び効果は次のようになる。
前述のように、操業中制御では、通板速度を変更している。又は、進入板の温度を変更している。又は、浴中サポートロールの押付量(力)/開放量(力)を変更している。又は、めっき浴槽102に亜鉛インゴットを投入する間隔時間を変更している。或いは、これらの変更処理を組み合わせて実施している。
よって、通板速度を変更する、具体的には、鋼板の通板速度に係る部分(例えばロール)の速度を低下させることで、めっき浴槽102内の流動が安定するようになる。例えば、ボトムドロスの巻き上があるのを抑制できる。これにより、めっき浴槽102の底面に堆積したボトムドロスが鋼板に付着してしまうのを抑制できる。
また、浴中サポートロールの押付量(力)/開放量(力)を変更する、具体的には、浴中サポートロールの押付量(力)を増加させることで、ボトムドロスの鋼板への付着を抑制できる。
また、アラーム出力することで、作業者等が、操業中制御が実施されることを知ることができる。また、アラーム出力により、作業者がボトムドロスの除去作業に迅速に取り掛かることができる。
また、前述のように、ボトムドロスの堆積高さが所定のしきい値よりも大きい場合、最終判定のための処理を実施し、操業中制御やライン停止時操作を実施している。
また、ボトムドロスの堆積高さをめっき浴内の電気抵抗値を基に測定(推定)しており、これにより、簡単な構成でボトムドロスの堆積高さを測定(推定)できる。
また、前述のように、経過日数が所定のしきい値よりも長い場合、最終判定のための処理を実施し、操業中制御やライン停止時操作を実施している。
また、前述のように、生産量が所定のしきい値よりも多い場合、最終判定のための処理を実施し、操業中制御やライン停止時操作を実施している。
なお、この実施形態を次のような構成により実現することもできる。
すなわち、前記図5の特性図は、めっき浴槽の底面にボトムドロスが沈殿している場合を前提としている。しかし、そのような前提に限定されるものではない。例えば、ボトムドロス中の溶融亜鉛の割合、ボトムドロスの成分、ボトムドロスの周辺温度(めっき浴の温度)の変化による堆積状態の変化、ボトムドロスが低密度であることで半ば浮遊している状態もある。このようなボトムドロスの状態を考慮して、ボトムドロスの領域を定義し、判定で用いる特性図或いはボトムドロス領域判定用の抵抗値をライン毎に設定することもできる。
例えば、ボトムドロスの堆積高さの変動が大きい(測定のダイナミックレンジが大きい)場合、電流印加用電極11,12間の距離を大きくする必要がある。一方、1対の電圧測定用電極で、その間の距離を大きくしてしまうと、電圧測定用電極による電圧値(抵抗値)の測定の分解能(精度)が低下する可能性がある。このようなことから、電流印加用電極11,12間に複数の電圧測定用電極を備えて、隣り合う電極間の電圧値(抵抗値)を測定できるようにすることで、ボトムドロスの堆積高さの変動が大きい場合でも、高い精度でボトムドロスの堆積量の測定できる。
Claims (12)
- 鋼板を溶融亜鉛めっき浴に浸潰して、溶融亜鉛めっき浴中を通過させることで、鋼板表面に亜鉛めっきを施し、亜鉛めっき鋼板を製造する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、
前記溶融亜鉛めっき浴内の電気抵抗値を測定し、その測定結果を基に、前記溶融亜鉛めっき浴内の堆積物の堆積高さを推定し、その推定結果を基に、前記堆積物の発生および/または該堆積物の鋼板への付着、を抑制しながら、亜鉛めっき鋼板を製造することを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。 - 前記溶融亜鉛めっき浴内にてその水平方向の複数箇所で電気抵抗値を測定し、その測定結果を基に、前記堆積物の堆積高さを推定することを特徴とする請求項1に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 前記複数箇所で測定した電気抵抗値を重み付けして、前記堆積物の堆積高さを推定することを特徴とする請求項2に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 前記鋼板の通板速度を低下させること、前記溶融亜鉛めっき浴の温度を上昇させること、前記溶融亜鉛めっき浴の浴中サポートロールの押付量を増加させること、前記溶融亜鉛めっき浴への亜鉛インゴットの投入間隔時間を大きくすることの少なくとも何れかを行うことで、前記堆積物の発生および/または該堆積物の鋼板への付着、を抑制することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 直近の堆積物の除去時から所定期間経過している場合、前記堆積物の発生および/または該堆積物の鋼板への付着、を抑制する処理を実施することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 溶融亜鉛めっき鋼板を所定量生産している場合、前記堆積物の発生および/または該堆積物の鋼板への付着、を抑制する処理を実施することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 鋼板表面に亜鉛めっきを施すために該鋼板が通板される溶融亜鉛めっき浴内の堆積物の堆積高さを監視する溶融亜鉛めっき浴内の堆積物高さ監視装置であって、
前記溶融亜鉛めっき浴内の堆積物の堆積高さを監視する監視手段と、
前記監視手段の監視結果を基に、前記堆積物の発生および/または該堆積物の鋼帯への付着、を抑制する堆積物による不良発生抑制手段と、を備え、
前記監視手段は、前記溶融亜鉛めっき浴内に電流を印加する電流印加用電極と、前記電流印加用電極により印加された電流によって発生する電圧を測定する電圧測定用電極と、前記電圧測定用電極で測定した電圧値を基に、前記堆積物の堆積高さを推定する堆積高さ推定手段と、を備えることを特徴とする溶融亜鉛めっき浴内の堆積物高さ監視装置。 - 前記電流印加用電極と、前記電圧測定用電極とが1本のプローブを構成しており、前記堆積高さ推定手段は、複数の前記プローブを溶融亜鉛めっき浴内に配置してそれらプローブ毎に得た電圧値を基に、前記堆積物の堆積高さを推定することを特徴とする請求項7に記載の溶融亜鉛めっき浴内の堆積物高さ監視装置。
- 前記堆積高さ推定手段は、前記プローブ毎に得た電圧値を重み付けして、前記堆積物の堆積高さを推定することを特徴とする請求項8に記載の溶融亜鉛めっき浴内の堆積物高さ監視装置。
- 前記堆積物による不良発生抑制手段は、前記溶融亜鉛めっき浴内での該鋼板の通板速度を低下させること、前記溶融亜鉛めっき浴の温度を上昇させること、前記溶融亜鉛めっき浴の浴中サポートロールの押付量を増加させること、前記溶融亜鉛めっき浴への亜鉛インゴットの投入間隔時間を大きくすることの少なくとも何れかを行うことを特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載の溶融亜鉛めっき浴内の堆積物高さ監視装置。
- 前記堆積物による不良発生抑制手段は、直近の堆積物の除去時から所定期間経過している場合に実施することを特徴とする請求項7〜10の何れか1項に記載の溶融亜鉛めっき浴内の堆積物高さ監視装置。
- 前記堆積物による不良発生抑制手段は、溶融亜鉛めっき鋼板を所定量生産している場合に実施することを特徴とする請求項7〜11の何れか1項に記載の溶融亜鉛めっき浴内の堆積物高さ監視装置。
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