JP5176204B2 - 液晶パネル及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、表示面にレンチキュラレンズを実装した液晶パネル及びその製造方法に関する。
近年、複数の視点に対して異なる画像を表示する表示装置の開発が盛んに行われている。例えば、特許文献1には、異なる方向に位置する複数の観察者に対して異なる画像を同時に提供する表示装置が開示されており、特許文献2には、観察者の左右の目に対して異なる画像を送り込んで立体画像として認識させる表示装置が開示されている。これらの表示装置は何れもレンチキュラレンズを利用しており、方向毎に画像を用意して合成し、レンチキュラレンズを用いて画像を対応する方向へと振り分けている。
図14は、レンチキュラレンズを装備した従来の液晶表示パネルの構成を示す断面図である。図14に示す従来の液晶パネルは、薄膜トランジスタ(以下、TFTと記載)基板36と、カラーフィルタ基板30(以下、CF基板と記載)とがシール材32を介して張り合わされており、両基板間にはツイステッドネマチック(以下、TNと記載)液晶34が封止された構成である。
このTFT基板36は、CF基板30側の面に、TFT画素スイッチアレイ,信号線,走査線,画素電極,TFT駆動回路等を形成した薄膜素子領域37を有し、このCF基板30側の面のTN液晶34の封止される部分にはラビング処理された配向膜39が印刷されており、反対の面には偏光板38が配されている。
一方、CF基板30は、TFT基板36側の面に、対向電極,メタル遮光膜等を形成した対向電極形成層35を有し、このTFT基板36側の面のTN液晶34の封止される部分には、色層とブラックマトリクスとオーバーコート層等からなるCF層31を配し、この表面にラビング処理された配向膜39がコーティングされている。また、反対の面には偏光板38及びレンチキュラレンズ33を配している。
しかし、このような従来の液晶パネルでは、別体のレンチキュラレンズ33をCF基板30に貼り付けた構成であるために、視差の拡大,重量の増加,接着層の長期信頼性の欠如などの問題がある。そこで、これらの問題を改善した技術の一例が、特許文献3および特許文献4に開示されている。これら特許文献3及び4に開示された技術は、ガラス基板をHF(フッ化水素酸)溶液を用いてウェットエッチングすることによりレンズを形成する技術であり、これを適用すれば、レンチキュラレンズとCF基板(ガラス基板)とを一体化することができる。
特開平6−332354号公報(段落0070−0073、図10) 特開2005−208567号公報(段落0101) 特開平10−268247号公報(段落0049−0052、図2) 特開2004−4745号公報(段落0107−0116、図1)
しかしながら、一般に用いられている液晶パネル用ガラス基板は、SiOのみで構成される石英基板と異なり、SiO以外にAl,Ba,Ca,Srなどの酸化物を不純物として含むので、HF溶液によるウェットエッチング時に、AlF,BaF,CaF,SrFなどの残渣が発生し、エッチングの形状制御性が悪化してしまい、レンチキュラレンズ一体型基板を有した液晶パネルの歩留まりが低くなるという問題があった。
これにより、特許文献3では、この残渣の影響を回避するためにBaの含まれていないガラス基板を用いることを開示しているが、上述したように、一般の液晶パネル用ガラス基板における残渣形成不純物はBaのみではない。また、Baレスガラスは値段が高いので、コストがかかってしまう。
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、レンチキュラレンズと基板とが一体化した液晶パネルにあって、パネル製造時のウェットエッチング中に発生する残渣の影響をコストをかけずに回避し、品質及び歩留まりの向上を図った液晶パネル及びその製造方法を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の液晶パネルは、第1のガラス基板と第2のガラス基板との間に液晶層を封止した構成の液晶パネルであり、第1のガラス基板は、液晶層側とは反対の側の面に、複数の半円柱状凹部が平行に配列されその少なくとも一方の端面が全て開放されたレンチキュラレンズ型凹部とこのレンチキュラレンズ型凹部の開放端面側に設けられた平坦部とを有し、この平坦部での基板厚が前記レンチキュラレンズ型凹部の底部での基板厚以下であることを特徴とする。
次に、本発明の液晶パネルの製造方法は、第1のガラス基板と第2のガラス基板とを張り合わせる基板張り合わせ工程と、第1のガラス基板と第2のガラス基板との間に液晶を注入して封止する液晶封止工程とを有する液晶パネルの製造方法であり、第1のガラス基板の第2のガラス基板と合わさる面とは反対の面にエッチング用のマスクを形成するマスク形成工程と、基板張り合わせ工程後に張り合わされた両ガラス基板の外側の各面にウェットエッチングを施すエッチング工程と、エッチング終了後に第1のガラス基板上からマスクを除去するマスク除去工程とを設け、マスク形成工程では、少なくとも一方の端部が開いた複数のスリット状開口部がこの開いた端部の向きを合わせて平行に配列されたマスクを形成し、エッチング工程では、張り合わされた両ガラス基板を、マスクのスリット状開口部の端部が開いた側を下にしてスリット長方向が上下方向となるように立てて設置し、この状態の両ガラス基板の外側の各面にウェットエッチングを施し第1のガラス基板の表面にマスクの形状に対応したレンチキュラレンズ型凹部を形成することを特徴とする。
本発明は以上のように構成されるため、これにより、ウェットエッチング中にレンチキュラレンズ型凹部で発生する残渣を平坦部へ逃がすことができ、レンチキュラレンズ型凹部での残渣の影響が軽減されて凹部のエッチング加工形状が正確な曲面となるので、レンチキュラレンズ一体型の液晶パネルの生産性及び品質が向上するという従来にない優れた液晶パネル及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明における一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の液晶パネルの構成を示す断面図である。図2は、図1に示す液晶パネルの斜視図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態の液晶パネル100は、第1のガラス基板としてのカラーフィルタ基板20(以下、CF基板と記載)と、第2のガラス基板としての薄膜トランジスタ(以下、TFTと記載)基板16とがシール材22を介して張り合わされており、両基板間には液晶が封止され、液晶層23を形成している。TFT基板16の表面の面積がCF基板20の面積より大きくなっているのは、TFT基板16上にFPC(Flexible printed circuits:フレキシブルプリント基板)を実装するためである。
TFT基板16は、液晶層23側の面に、TFT画素スイッチアレイ,信号線,走査線,画素電極,共通電極,TFT駆動回路等を形成した薄膜素子領域17を有し、この面の液晶層23と接する部分にラビング処理された配向膜19が印刷されている。また、TFT基板16の液晶層23側とは反対の面に偏光板18が配されている。
液晶パネル100は、TFT基板16の薄膜素子領域17に画素電極及び共通電極を有し、液晶層23内の液晶分子を基板面と平行に配向することで、IPS(In-Plane-Switching)方式で駆動するように構成されている。
CF基板20は、液晶層23側の面に、色層とブラックマトリクスとオーバーコート層等からなるCF層21を有しており、CF層21の表面にラビング処理された配向膜19がコーティングされている。また、図2に示すように、CF基板20は、液晶層23側とは反対の側の面に、複数の半円柱状凹部が平行に配列されそれらの同一側の端面が全て開放された形状のレンチキュラレンズ型凹部20aと、このレンチキュラレンズ型凹部の端面が開いた側を含む周囲に設けられた平坦部20bとを有している。
CF基板20は、レンチキュラレンズ型凹部20aを、実際に液晶パネル100が液晶ディスプレイの一部と成った時に表示画面として露出する表示画面領域とし、平坦部20bを、液晶ディスプレイと成ったときにフレームで隠れる領域としている。
本実施形態の液晶パネル100は、CF基板20のレンチキュラレンズ型凹部20aの凹部にCF基板20より高い屈折率を有する透明樹脂13が埋め込まれており、レンチキュラレンズを形成している。このように、CF基板20は、レンチキュラレンズ一体型の基板となっており、別体のレンチキュラレンズを基板表面に張り合わせた従来の場合と比べて、長期信頼性が向上している。
ここで、図1及び図2は、基板20に対する半円柱状凹部の大きさを実際とは異なる比率で示しているが、実際のレンチキュラレンズ型凹部20aの各半円柱状凹部のピッチはTFTの画素ピッチに対応して設定される。
また、本実施形態の液晶パネル100は、CF基板20に埋め込まれた透明樹脂13の表面の表示画面領域に裏面ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)14を配し、この裏面ITO14の表面に反射防止機能を有する偏光板15を貼りつけられている。裏面ITO14は、透明導電膜であり、IPS方式のような横電界駆動方式の場合において、外部からの静電気等に対するシールド機能を有している。
このように、本実施形態の液晶パネル100においては、CF基板20が、液晶層23側とは反対の側の面に、レンチキュラレンズ型凹部20aとこのレンチキュラレンズ型凹部20aの周囲に設けられた平坦部20bとを有している。
CF基板20をこのような形状とすることで、ウェットエッチングによりCF基板20にレンチキュラレンズ型凹部20aを直接作りこむ際、ガラス基板不純物起因の残渣を、レンチキュラレンズ形状に沿って流し平坦部20bから排出させることができ、レンチキュラレンズ型凹部20aでの残渣の影響を軽減して凹部20aの加工形状の悪化を抑制する。
これにより、本実施形態の液晶パネル100は、CF基板20の表示画面領域にあるレンチキュラレンズが正確な曲面形状となり、その品質が良好となる。
CF基板20にレンチキュラレンズ構造を形成する際には、CF基板20の表面に何らかのマスク材を用いたパターニングを形成するが、通常、パターニングを有するレンズ形成領域のエッチング速度は、パターニングの無い平坦な領域のエッチング速度と比較して低下する。これはマスクの寸法効果により局所的にエッチング液の劣化が早まるのが一般的だからである。従って、CF基板20における残渣排出用平坦部20bの基板厚は、レンチキュラレンズ型凹部20aの底部での基板厚より小さくなり、その結果、CF基板20の基板厚は三段階の値を有することとなる。
次に、本実施形態の液晶パネルの製造方法について説明する。
図3乃至図6は、本実施形態の液晶パネル100の製造方法の工程を順に示す図であり、図7乃至図10は、本実施形態の液晶パネル100の製造過程におけるCF基板の形状の一例を示す断面図である。
図3は、4枚分のCF基板20を切り出せるマザーCF基板1を示す平面図である。
マザーCF基板1は、最終的に切断されて個別の液晶パネル100となるパネル形成領域2を有しており、この各パネル形成領域2には、液晶パネル100が実際に液晶ディスプレイと成った時に表示画面として露出する表示画面領域3がある。このマザーCF基板1は、一方の面の各表示画面領域3内にCF(カラーフィルタ)21,ラビング処理された配向膜19等が形成されており、この面はTFT基板16と張り合わされる面となる。反対側の面は、平坦なガラス表面のままである。CF21の色層としては、一般的なカラー表示用では赤と緑と青が用いられる。また白黒表示用として、特に色層を用いない場合も有る。
(マスク形成工程)
まず、図4に示すように、マザーCF基板1の平坦な方の表面に、エッチング用のマスク4を形成する。マスク材料としては、レジスト,Cr,Si等を用いる。Cr又はSiを用いる場合は、一旦Cr又はSi薄膜を堆積した後、レジストでパターニングを形成し、ドライエッチ法でエッチングすることにより、マスク4を形成する。
マスク4のパターン形状は、図4に示すように、複数の直線スリットが並列に配列されその少なくとも一方の端部が全て開いた形状の開口部を表示画面領域3に有し、パネル形成領域2内の表示画面領域3を除く領域は保護されていない形状である。
マスク4のパターン形状をこのようにすることで、表示画面領域3をレンチキュラレンズ形成領域5とし、その周囲のマスク4で保護されていない領域を、平坦にエッチングされる平坦領域6とする。
ここで、図4に示すように、スリットの他方の端部側はマスク4が連結されているが、これは表示画面領域3のマスク4を孤立パターンとした場合にエッチング後にマスク4が剥がれる危険性を回避するためである。別の方法により、マスク4がはがれるのを防止できるのであれば、スリットの他方の端部側も端部が開いた形状の開口部を設けることもできる。また、スリットを並列に配置した配列方向の平坦領域6はエッチング残渣の観点からは必ずしもエッチングされる必要はない。
ここで、図4は、マザーCF基板1に対するスリット開口部の幅の大きさを実際とは異なる比率で示しており、実際のスリット開口部の数および幅は、レンチキュラレンズ型凹部20aの各凹部のピッチに対応して設定される。これは、図5及び図6においても同様である。
(基板張り合わせ工程)
続いて、図5に示すように、マザーCF基板1のマスク4形成面とは反対の面と、マザーTFT基板7とをシール材を介して張り合わせる。マザーTFT基板7にはTFT画素スイッチアレイ,信号線,走査線,画素電極,共通電極,TFT駆動回路等からなる薄膜素子形成層17,およびラビング処理された配向膜19等が既に形成されている。液晶はこの時点で両基板間に封入しても良いし、貼り合わせられた両基板を各パネル毎に分断した後に封入してもよい。
(エッチング工程)
張り合わせた基板の端面を仮に封止した後、図6に示すように、マザーCF基板1上に形成されたマスク4のパターンのスリット状開口部の長さ方向(レンチキュラレンズの長軸方向)を上下方向とし、スリット状開口の開放された端部を下にして基板を起こす。そして、図6に示すように、起きた状態の両基板をエッチング液8に浸出してエッチングを施す。
このように、マザーCF基板1とマザーTFT基板7とを同時にエッチングすることにより、工程数を増やすことなく軽量化した液晶パネルを製造することができる。また、マザーCF基板1とマザーTFT基板7との基板厚が甚だしく異なると、基板応力の不均等により液晶パネルに反りが発生する場合もあるので、両基板を同時に同程度エッチングすることが好ましい。
エッチング液8は、HF9.8%とHCl(塩化水素酸)14.4%の水溶液である。マザーCF基板1及びマザーTFT基板7の基板材料が石英(SiO)であればHFのみの水溶液をエッチング液に用いればよいが、通常の液晶用ガラス基板には、SiO以外にAl,Ba,Ca,Srなどの酸化物が不純物として含まれているので、このAl,Ba,Ca,Srなどのフッ化物による残渣の発生を抑える効果を有するHClを、HFと共に加えた水溶液を用いることが望ましい。フッ化物による残渣の発生を抑えることで、エッチレートの低下やエッチング表面の荒れ等を抑制する。
図7は、図6に示すようにエッチング液8に浸出されたマザーCF基板1のX−X’断面の様子の一例を示す図である。図7においては、マザーCF基板1の表面に設けられたCF21、配向膜19等の図示は省略している。
図7に示すように、ウェットエッチングは等方的に進行するため、マザーCF基板1の正常にエッチングが進行する部位9では滑らかな曲面が形成され、一方では、ガラス不純物のフッ化物による残渣10がエッチング面に付着した場合、残渣付着箇所では局所的にエッチングの進行が阻害されるために、形状が歪な異常エッチング部位11が出来てしまう。
本実施形態では、マザーCF基板1及びマザーTFT基板7をエッチング液8に浸出する際、ウェットエッチングにおける残渣の付着を抑制するために、表示画面領域3に形成されたマスク4のスリット状開口部の長さ方向を上下方向に合わせ、スリット端のマスク4の無い側を下方に合わせる。このようにすることで、レンチキュラレンズ形成領域5で発生した残渣は重力を受けてレンチキュラレンズ構造に沿って下方へ流れ、平坦領域6へ排出され、結果として形状不良11の発生は回避される。
これにより、本実施形態の製造方法によれば、基板を水平にしてエッチング液8中に浸出する従来のウェットエッチング方法の場合と比べて、レンズ基板形成の歩留まりが顕著な向上を示す。ここで、エッチング時に基板の遥動およびMHz程度の超音波の印加などを行えば更なる残渣排出効果を得ることができる。
(マスク除去工程)
続いて、マザーCF基板1及びマザーTFT基板7をエッチング液8から取り出して、マザーCF基板1を上にして水平にし、マスク4を除去する。図8は、エッチングが完了しマスク4を除去した後のマザーCF基板1のX−X’断面を示す断面図である。
マザーCF基板1の表面のレンチキュラレンズ形成領域5では、図2に示すレンチキュラレンズ型凹部20aに相当する凹凸形状が形成され、この凹凸形状は、凸部基板厚Aで凹部の底部の基板厚Bの周期的な形状である。マスク4から十分離れた領域の平坦領域6には図2に示す平坦部20bに相当する平坦な形状が形成され、基板厚Cは凹部の底部での基板厚Bより薄くなっている。
凹部の底部での基板厚Bが、マスク4で保護されていなかった平坦領域6の基板厚Cより厚くなっているのは、マスク4が形成した開口部の寸法効果により局所的にエッチング液8の劣化が早まりエッチングレートが低下したためである。このように、最終的にマザーCF基板1には、A,B,Cと三段階の基板厚が形成される。
この後、特許文献3に開示されているように、必要に応じてマスク除去後に更にエッチングを加えても良いが、この場合でも、マザーCF基板1の基板厚は三段階を示すことに変わりは無い。
同時にエッチングされるマザーTFT基板7においては、その基板材料がマザーCF基板1と同一のときはエッチング量がマザーCF基板1の平坦領域6におけるエッチング量と等しくなる。よって、エッチング前の両基板の基板厚が等しい場合は、エッチング後のマザーTFT基板7の基板厚はマザーCF基板1の平坦領域6の基板厚Cと等しくなる。
ここで、マザーCF基板1のレンチキュラレンズ形成領域5に形成されていたマスク4のスリット幅が過度に大きい場合や、あるいは過度な時間に渡りウェットエッチングを行った場合、図9に示すように、本来曲面となるべき凹部の底部に平面12が形成されてしまう。
形成する凹部のピッチはTFTの画素ピッチに合わせるので、通常はマスク4のスリット幅を数μmから数十μm前半(2μmからせいぜい30μm)に設定するが、このスリット幅が数百μm後半(およそ700μm)以上になると、図9に示すように、凹部の底部に平面が形成されてしまう。この場合、マスク4の寸法効果が無効になり、基板厚は2段階となってしまう。凹部の底部に平面12が形成されると、後にレンズを形成した際の集光性が損なわれてしまうので、マスク4によるスリット幅及びエッチング時間を調整する。
続いて、マザーTFT基板7とマザーCF基板1の張り合わせ端面における仮封止を解き、各パネル領域2部分を切り出して分断する。
(レンチキュラレンズ形成工程)
そして、図10に示すように、マザーCF基板1の表面に形成された凹部に、マザーCF基板1より高い屈折率を有する透明樹脂13を塗布および焼成することにより埋め込み、レンチキュラレンズを形成する。その後、裏面ITO14をインクジェット法による塗布および焼成で形成し、その表面に反射防止機能を有する偏光板15を貼り付ける。
パネル分断については、透明樹脂13埋め込み後、裏面ITO14形成後、あるいは偏光板15貼り付け後に行うようにしてもよい。
裏面ITO14は、IPS方式のような横電界方式の場合にCF基板20の帯電を防止するための透光性を備えた導電層薄膜であり、導電性を有し透過率を甚だしく悪化させなければ何を用いてもよい。偏光板15は、最表面にあるので反射防止機能を設けている。通常の偏光板の上に反射防止板を設けてもよいが、コスト及び歩留まりなどの関係から反射防止機能を有する偏光板を用いるのがよい。また、偏光板18および15と各基板との間に位相差板を設けてもよい。
ここで、液晶パネル100の駆動方式をIPS方式ではなくTN方式としてもよいし、IPS方式やTN方式以外のVA方式やFFS方式など別の液晶駆動方式を採用してもよい。IPS方式以外の駆動方式にした場合、TFT基板16の薄膜素子形成層17には共通電極が無く、CF基板20の液晶層23側の面には対向電極が形成され、裏面ITO14は不要となるが、裏面ITO14をタッチパネルに利用することも可能である。
本実施形態の液晶パネル100の製造方法においては、ウェットエッチング法を用いてマザーCF基板1にレンチキュラレンズ形状を作りこむ際に、マスク4のスリット開口部の長さ方向を上下方向に合わせ、下方にマスクパターンのない領域6がくるように基板を立ててエッチング液8へ浸出することにより、ガラス不純物起因の残渣10がレンチキュラレンズ形状に沿って下に流れて領域6へ排出されるので、エッチング形状不良部位11の発生を抑制することができ、レンチキュラレンズ構造の加工精度は向上し、エッチングの均一性、再現性、及び歩留まりが向上する。
ここで、上述したエッチング工程については、マザーTFT基板7及びマザーCF基板1をエッチング液8に浸出するのではなく、シャワーノズルを用いてエッチング液8を両基板に向かって吹き付けるエッチング方法を用いてもよい。
図11は、シャワーノズルを用いたウェットエッチングの手法を示す図である。
マザーCF基板1をマスク4におけるスリットの長さ方向が上下方向となるように配置し、シャワーノズル24からエッチング液8をマザーCF基板1及びマザーTFT基板7に向かって吹き付ける。このときシャワーノズル24の噴出方向が下方に向けられているため、レンチキュラレンズ形成領域5で発生した残渣は液流に従い、下方へ流れ、平坦となる領域6から排出される。一方、マザーTFT基板7は平坦にエッチングされるため、ノズル24からは等方的にエッチング液が噴出される。通常、液体は基板表面で上方から下方へ垂れるため、下方に位置するノズルの噴出量又はエッチング濃度を小さくすれば、基板面全体のエッチング量を高精度に等しくすることができ、マザーTFT基板7の基板厚を均等にすることができる。
ここで、マザーCF基板1が上方となるように両基板を水平にして、シャワーノズル24からのエッチング液8をマスク4のスリット長さ方向に沿ってレンチキュラレンズ形成領域5から平坦領域6へ向かうように吹き付けるようにしてウェットエッチング処理を行ってもよい。この場合、レンチキュラレンズ形成の歩留まりは、レンチキュラレンズ長軸方向が上下方向となるように基板を立てた場合よりは低下するが、両基板を水平に設置してシャワーノズル24を単に上方から基板へ向けてエッチング液8を等方的に噴出させる従来の方法と比べて向上する。
このように、本実施形態においては、ウェットエッチング法を用いてマザーCF基板1にレンチキュラレンズ状凹部20aを形成する際、シャワーノズルを用いてエッチング液8をマザーCF基板1に向かって吹き付ける方式を採用してもよく、エッチング液8の噴出方向をマスク4のスリット開口部の長さ方向に沿って、レンチキュラレンズ形成領域5からマスク4のない領域6へ向けることで、ガラス不純物起因の残渣10を領域6へ排出し、エッチング形状不良部位11の発生を抑制することができる。
次に、上述した液晶パネル100を搭載した液晶ディスプレイである多視点表示装置40について説明する。
図12は、多視点表示装置40の外観図である。また、図13は、図12に示す多視点表示装置40の表示画面42のY−Y´断面を示し多視点表示装置40における多視点表示の原理を説明する図である。
図12に示す多視点表示装置40は、上述した液晶パネル100とともに、液晶パネル100に表示用の信号を与えるためのドライバや、バックライトなどを装備した液晶ディスプレイである。この多視点表示装置40は、液晶パネル100を、そのCF基板20上に形成されたレンチキュラレンズ凹部20aの長軸方向を上下方向にあわせて実装し、CF基板20の平坦部20b上にフレーム41を設けている。
図13に示すように、この液晶パネル100は、CF基板20上に形成されたレンチキュラレンズの各半円柱状レンズに対応した位置に、第1視点用画素51と第2視点用画素52とを有する構成となっており、レンチキュラレンズ型凹部20aにより第1視点用画素51の映像を第1の視点Cに表示し、第2視点用画素52の映像を第1の視点Cとは異なる第2の視点Dに表示する。
多視点表示装置40は、第1視点用画素51と第2視点用画素52とに異なる画像を表示することで、複数の視点に対して異なる画像を表示することが可能であり、観察者の左右の目に対して視差を生じさせるような異なる画像を第1視点用画素51と第2視点用画素52とに表示すれば、観察者に立体画像として認識させることも可能となる。
本発明は以上の実施形態に限定されることは無く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変形が可能である。たとえば、上記の実施形態ではカラーフィルタはCF基板側に形成しているが、TFT基板側に形成することもできる。その場合は、カラーフィルタとTFTとの目合わせずれが小さくなるという効果がある。
本発明における一実施形態の液晶パネルの構成を示す断面図である。 図1に開示した液晶パネルの構成を示す斜視図である。 本発明の一実施形態である液晶パネルの製造方法における初期工程を示す図である。 本発明の一実施形態である液晶パネルの製造方法におけるマスク形成工程を示す図である。 本発明の一実施形態である液晶パネルの製造方法における基板張り合わせ工程を示す図である。 本発明の一実施形態である液晶パネルの製造方法におけるウェットエッチング工程を示す図である。 図6に示すCF基板のエッチング中のX−X´断面を示す断面図である。 図6に示すCF基板のエッチング終了時のX−X´断面を示す断面図である。 図6に示すCF基板のエッチング失敗例のX−X´断面を示す断面図である。 図6に示すCF基板の透明樹脂充填後のX−X´断面を示す断面図である。 本発明の一実施形態である液晶パネルの製造方法のウェットエッチング工程の他の例を示す図である。 図1に開示した液晶パネルを装備した多視点表示装置の外観図である。 図12に開示した多視点表示装置の表示画面のY−Y´断面を示し表示特性の原理を説明する図である。 従来の液晶パネルの構成を示す断面図である。
符号の説明
1 マザーCF基板
2 パネル形成領域
3 表示画面領域
4 マスク
5 レンチキュラレンズ形成領域
6 残渣排出用の平坦領域
7 マザーTFT基板
8 エッチング液
9 正常エッチング部位
10 残渣
11 異常エッチング部位
12 過度のエッチングにより形成された平坦な部分
13 透明樹脂
14 裏面ITO
15 反射防止機能を有する偏光板
16 TFT基板
17 薄膜素子形成層
18 偏光板
19 配向膜
20 レンチキュラレンズ一体型CF基板
20a レンチキュラレンズ型凹部
20b 平坦部
21 カラーフィルタ層
22 シール材
23 IPS液晶
24 シャワーノズル
40 多視点表示装置
41 フレーム
42 表示画面
51 第1視点用画素
52 第2視点用画素
100 液晶パネル

Claims (16)

  1. 第1のガラス基板と第2のガラス基板との間に液晶層を封止した構成の液晶パネルにおいて、
    前記第1のガラス基板は、前記液晶層側とは反対の側の面に、複数の半円柱状凹部が平行に配列されその少なくとも一方の端面が全て開放されたレンチキュラレンズ型凹部と、このレンチキュラレンズ型凹部の開放端面側に設けられた平坦部とを有し、この平坦部での基板厚が前記レンチキュラレンズ型凹部の底部での基板厚以下であることを特徴とする液晶パネル。
  2. 前記請求項1に記載の液晶パネルにおいて、
    前記第1のガラス基板は、前記レンチキュラレンズ型凹部を表示画面領域とし、前記平坦部を前記表示画面領域の外側の領域としたことを特徴とする液晶パネル。
  3. 前記請求項2に記載の液晶パネルにおいて、
    前記第1のガラス基板より屈折率の高い透明樹脂を、前記レンチキュラレンズ型凹部に充填して備えたことを特徴とする液晶パネル。
  4. 前記請求項3に記載の液晶パネルにおいて、
    前記第2のガラス基板は、基板厚が均一であり、
    この第2のガラス基板の基板厚と前記第1のガラス基板の平坦部での基板厚とが同一であることを特徴とする液晶パネル。
  5. 前記請求項4に記載の液晶パネルにおいて、
    前記第1のガラス基板のレンチキュラレンズ型凹部上に前記透明樹脂を挟むように設けられた第1の偏光板と、
    前記第2ガラス基板の前記液晶層側とは反対側の面に設けられた第2の偏光板とを備えたことを特徴とする液晶パネル。
  6. 前記請求項5に記載の液晶パネルにおいて、
    前記第1のガラス基板は、前記液晶層側の面にカラーフィルタを有し、
    前記第2のガラス基板は、前記液晶層側の面に薄膜トランジスタを有することを特徴とする液晶パネル。
  7. 前記請求項6に記載の液晶パネルにおいて、
    前記第1の偏光板は、反射防止機能を備えたことを特徴とする液晶パネル。
  8. 前記請求項7に記載の液晶パネルにおいて、
    前記第1の偏光板と前記透明樹脂との間に導電性薄膜を備えたことを特徴とする液晶パネル。
  9. 前記請求項1乃至8のいずれか一項に記載の液晶パネルを搭載した多視点表示装置であって、
    少なくとも第1視点用画素と第2視点用画素を有し、前記レンチキュラレンズ型凹部により前記第1視点用画素の映像を第1の視点に表示し、前記第2視点用画素の映像を前記第1の視点とは異なる第2の視点に表示することを特徴とする多視点表示装置。
  10. 前記請求項1に記載の液晶パネルにおいて、
    前記レンチキュラレンズ型凹部上に導電性薄膜を備えたことを特徴とする液晶パネル。
  11. 第1のガラス基板と第2のガラス基板とを張り合わせる基板張り合わせ工程と、第1のガラス基板と第2のガラス基板との間に液晶を注入して封止する液晶封止工程とを有する液晶パネルの製造方法において、
    前記第1のガラス基板の前記第2のガラス基板と合わさる面とは反対の面にエッチング用のマスクを形成するマスク形成工程と、前記基板張り合わせ工程後に前記張り合わされた両ガラス基板の外側の各面にウェットエッチングを施すエッチング工程と、エッチング終了後に前記第1のガラス基板上から前記マスクを除去するマスク除去工程とを設け、
    前記マスク形成工程では、少なくとも一方の端部が開いた複数のスリット状開口部がこの開いた端部の向きを合わせて平行に配列されたマスクを形成するとともに前記マスクにおける前記複数のスリット状開口部を前記第1のガラス基板の表示画面領域に形成し、この表示画面領域の外側の領域にはマスクを形成せず、
    前記エッチング工程では、前記張り合わされた両ガラス基板を、前記マスクのスリット状開口部の端部が開いた側を下にしてスリット長方向が上下方向となるように立てて設置し、この状態の両ガラス基板の外側の各面にウェットエッチングを施し前記第1のガラス基板の表面に前記マスクの形状に対応したレンチキュラレンズ型凹部を形成することを特徴とする液晶パネルの製造方法。
  12. 前記請求項11に記載の液晶パネルの製造方法において、
    前記第1のガラス基板の表面に形成されたレンチキュラレンズ型凹部に当該第1のガラス基板より屈折率の高い透明樹脂を充填するレンチキュラレンズ形成工程とを設けたことを特徴とする液晶パネルの製造方法。
  13. 前記請求項12に記載の液晶パネルの製造方法において、
    前記エッチング工程では、前記両ガラス基板を立てて前記エッチング液に浸出し当該両ガラス基板の外側の面にウェットエッチングを施すことを特徴とするレンチキュラレンズ基板の製造方法。
  14. 前記請求項13に記載の液晶パネルの製造方法において、
    前記エッチング工程では、前記立てた状態の両ガラス基板に対してエッチング液を吹き付けて当該両ガラス基板の外側の面にウェットエッチングを施すことを特徴とする液晶パネルの製造方法。
  15. 前記請求項11に記載の液晶パネルの製造方法において、
    前記エッチング工程では、前記両ガラス基板を立てて設置するのに代えてこの両ガラス基板を水平に設置し、当該両ガラス基板の外側の面に対してエッチング液を前記マスクのスリット開口部の長さ方向に沿ってスリットの端部が開いた側へ向うように吹き付けることを特徴とする液晶パネルの製造方法。
  16. 前記請求項11乃至15のいずれか一項に記載の液晶パネルの製造方法において、
    前記エッチング工程では、フッ化水素酸と塩化水素酸とを含むエッチング液を用いてウェットエッチングを行うことを特徴とする液晶パネルの製造方法。
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