JP5173922B2 - 光ピックアップ装置および光ディスク装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光ピックアップ装置および光ディスク装置に関するものであり、特に、複数の記録層が積層された記録媒体に対してレーザ光を照射する際に用いて好適なものである。
近年、光ディスクの大容量化に伴い、記録層の多層化が進んでいる。一枚のディスク内に複数の記録層を含めることにより、ディスクのデータ容量を顕著に高めることができる。記録層を積層する場合、これまでは片面2層が一般的であったが、最近では、さらに大容量化を進めるために、片面に3層以上の記録層を配することも検討されている。ここで、記録層の積層数を増加させると、ディスクの大容量化を促進できる。しかし、その一方で、記録層間の間隔が狭くなり、層間クロストークによる信号劣化が増大する。
記録層を多層化すると、記録/再生対象とされる記録層(ターゲット記録層)からの反射光が微弱となる。このため、ターゲット記録層の上下にある記録層から、不要な反射光(迷光)が光検出器に入射すると、検出信号が劣化し、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボに悪影響を及ぼす惧れがある。したがって、このように記録層が多数配されている場合には、適正に迷光を除去して、光検出器からの信号を安定化させる必要がある。
以下の特許文献1には、ピンホールを用いて迷光を除去する技術が、特許文献2には、1/2波長板と偏光光学素子を組み合わせることにより迷光を除去する技術が、それぞれ記載されている。
特開2006−260669号公報 特開2006−252716号公報
上記特許文献1の技術によれば、ターゲット記録層から反射されたレーザ光(信号光)の収束位置にピンホールを正確に位置づける必要があるため、ピンホールの位置調整作業が困難であるとの課題がある。位置調整作業を容易にするためピンホールのサイズを大きくすると、迷光がピンホールを通過する割合が増加し、迷光による信号劣化を効果的に抑制できなくなる。
また、特許文献2の技術によれば、迷光を除去するために、1/2波長板と偏光光学素子が2つずつ必要である他、さらに、2つのレンズが必要であるため、部品点数とコストが増加し、また、各部材の配置調整が煩雑であるとの課題がある。また、これらの部材を並べて配置するスペースが必要となり、光学系が大型化するとの課題もある。
本発明は、これらの課題を解消するためになされたものであり、簡素な構成にて迷光を除去することができる光ピックアップ装置および光ディスク装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、記録層を複数有する記録媒体にレーザ光を照射する光ピックアップ装置において、前記レーザ光を出射する光源と、前記レーザ光を前記記録媒体上に収束させる対物レンズと、前記記録媒体にて反射された前記レーザ光が入射するとともに、前記レーザ光の光軸周りに区分された4つのレンズ領域を有し、前記光軸周りの前記各レンズ領域の角度が90度になっており、前記各レンズ領域が個別に前記レーザ光に非点収差を導入する非点収差部と、前記記録媒体中のターゲット記録層に前記レーザ光が合焦している状態にあるとき、前記ターゲット記録層によって反射された前記レーザ光の前記各光束が、前記光検出器の受光面上において、正方形の頂角の位置に位置づけられるように離散させる光束離散部と、前記離散された各光束を受光して検出信号を出力する光検出器と、を備え、前記レンズ領域は、前記光軸周りに隣り合う他の2つの前記レンズ領域との間の第1および第2の境界のうち、前記第1の境界に平行な方向に前記光束を収束させて第1の焦点距離の位置に焦線を結ばせるとともに、前記第1の境界に垂直な方向に前記光束を収束させて前記第1の焦点距離とは異なる第2の焦点距離の位置に焦線を結ばせるよう構成され、前記各レンズ領域の前記第1の境界は互いに接しないよう設定され、前記光束離散部は、前記記録媒体中のターゲット記録層に前記レーザ光が合焦している状態にあるとき、前記ターゲット記録層によって反射された前記レーザ光の前記各光束と、前記ターゲット記録層以外の他の記録層によって反射された前記レーザ光の前記各光束とが、前記光検出器の受光面上において互いに重ならないよう設定されていることを特徴とする。
本発明の第2の態様に係る光ディスク装置は、上記第1の態様に係る光ピックアップ装置と、前記光検出器からの出力を処理する演算回路をさらに備える。
本発明によれば、簡素な構成にて迷光を除去することができる光ピックアップ装置および光ディスク装置を提供することができる。
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態によって何ら制限されるものではない。
実施形態に係る技術原理(光線の収束状態)を説明する図である。 実施形態に係る技術原理(光束の分布状態)を説明する図である。 実施形態に係る技術原理(信号光と迷光の分布状態)を説明する図である。 実施形態に係る技術原理(信号光と迷光の分布状態)を説明する図である。 実施形態に係る技術原理(光束の分離方法)を説明する図である。 実施の形態に係るセンサパターンの配置方法を示す図である。 実施例に係る光ピックアップ装置の光学系を示す図である。 実施例に係るアナモレンズの構成例を示す図である。 記録層が2つの場合の信号光と迷光の分布状態を示す図である。 実施例に係るアナモレンズと光検出器の調整方法を示す図である。 変更例1に係る光束の分布を説明する図である。 変更例1に係るセンサパターンの配置方法を説明する図である。 変更例1に係るフォーカスエラー信号を説明する図である。 変更例2に係る光束の分布を説明する図である。 変更例2に係るセンサパターンの配置方法を説明する図である。 変更例2に係るフォーカスエラー信号を説明する図である。 実施例の変更例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
<技術的原理>
まず、図1ないし図6を参照して、本実施の形態に適用される技術的原理について説明する。
図1は、光線の収束状態を示す図である。同図(a)は、ターゲット記録層によって反射されたレーザ光(信号光)、ターゲット記録層よりも深い層によって反射されたレーザ光(迷光1)、ターゲット記録層よりも浅い層によって反射されたレーザ光(迷光2)の収束状態を示す図である。同図(b)は、本原理に用いるアナモレンズの構成を示す図である。同図(c)は、従来の非点収差法に基づくフォーカス調整方法に用いるアナモレンズの構成を示す図である。
同図(c)を参照して、従来手法に用いるアナモレンズは、レンズ光軸に平行に入射するレーザ光に対し、曲面方向と平面方向に収束作用を付与する。ここで、曲面方向と平面方向は、互いに直交している。また、曲面方向は、平面方向に比べ曲率半径が小さく、アナモレンズに入射するレーザ光を収束させる効果が大きい。なお、ここでは、アナモレンズにおける非点収差作用を簡単に説明するために、便宜上、“曲面方向”と“平面方向”と表現しているが、実際には、互いに異なる位置に焦線を結ぶ作用がアナモレンズによって生じれば良く、図1(c)中の“平面方向”におけるアナモレンズの形状を平面に限定するものではない。なお、アナモレンズに収束状態でレーザ光が入射する場合は、“平面方向”におけるアナモレンズの形状は直線状(曲率半径=∞)となり得る。
本原理に用いるアナモレンズは、以下のとおり、同図(c)のアナモレンズに比べ構成が変更されている。すなわち、同図(c)に示すアナモレンズが、平面方向と曲面方向に平行な2つの直線によって、4つの領域A〜Dに4分割される。これら4つの領域A〜Dのうち、領域A、Dのレンズ曲面が、同図(b)に示すように、曲面方向と平面方向が入れ替わった形状となるように調整される。領域B、Cのレンズ形状は、同図(c)のアナモレンズの領域B、Cと同様である。
なお、本原理に用いるアナモレンズは、同図(b)の他、たとえば、図11(a)および図14(a)に示すような他の構成をとることもできる。なお、図11(a)および図14(a)に示すアナモレンズについては、追って詳述する。
同図(a)を参照して、アナモレンズによって収束させられた信号光は、曲面方向および平面方向の収束により、それぞれ異なる位置で焦線を結ぶ。曲面方向の収束による焦線位置(S1)は、平面方向の収束による焦線位置(S2)よりも、アナモレンズに近い位置となり、後述する信号光の収束位置(S0)は、曲面方向および平面方向による焦線位置(S1)、(S2)の中間位置となる。
アナモレンズによって収束させられた迷光1についても同様に、曲面方向の収束による焦線位置(M11)は、平面方向の収束による焦線位置(M12)よりも、アナモレンズに近い位置となる。アナモレンズは、迷光1の平面方向の収束による焦線位置(M12)が、信号光の曲面方向の収束による焦線位置(S1)よりも、アナモレンズに近い位置となるよう、設計されている。
アナモレンズによって収束させられた迷光2についても同様に、曲面方向の収束による焦線位置(M21)は、平面方向の収束による焦線位置(M22)よりも、アナモレンズに近い位置となる。アナモレンズは、迷光2の曲面方向の収束による焦線位置(M21)は、信号光の平面方向の収束による焦線位置(S2)よりも、アナモレンズから遠い位置となるよう、設計されている。
また、焦線位置(S1)と焦線位置(S2)の間の収束位置(S0)において、信号光のビームが最小錯乱円となる。
図2は、レーザの光軸に垂直な各観察面における信号光の分布状態を示す図である。各図に付記された“領域A”〜“領域D”は、図1(b)に示すアナモレンズの領域A〜Dに入射する信号光の光束領域を示している。また、図中、“曲”および“平”は、それぞれ、上記アナモレンズの領域A〜領域Dにおける“曲面方向”と“平面方向”を表している。
図2(a)、(c)、(e)、(g)は、それぞれ、観察面が、図1(a)において、アナモレンズの位置、焦線位置(S1)、収束位置(S0)および焦線位置(S2)にあるときの信号光の分布状態を示す図である。また、図2(b)、(d)、(f)は、それぞれ、観察面が、図1(a)において、アナモレンズと焦線位置(S1)の間、焦線位置(S1)と収束位置(S0)の間、および、収束位置(S0)と焦線位置(S2)の間にあるときの信号光の分布状態を示す図であり、図2(h)は、観察面が焦線位置(S2)よりもアナモレンズから離れた位置にあるときの信号光の分布状態を示す図である。
図2(a)に示す各光束領域の光は、上記アナモレンズの各領域のレンズ部分によって、曲面方向と平面方向に収束作用を受ける。上記の如く、曲面方向の収束作用は平面方向に比べ大きくなっているため、この収束作用の差によって、各光束領域の光の形状は、光の進行に伴って、図2(b)〜(h)に示すように変化する。
同図(c)、(g)に示すように、焦線位置(S1)、(S2)において、各光束領域の光は直線状(焦線)になる。また、同図(e)に示すように、信号光は、収束位置(S0)において、円形(最小錯乱円)になる。さらに、同図(d)に示すように、各光束領域の光は、焦線位置(S1)を過ぎると、全光束を4分割する直線を跨いだ隣の領域に入るようになる。また、各光束領域の光は、焦線位置(S2)を過ぎると、進行に伴って光束領域が広がるようになる。
なお、図2では、信号光の分布状態のみ示したが、迷光1、2についても、観察面と、曲面方向および平面方向の収束による焦線位置との位置関係により、同様に分布状態が変化する。
次に、以上を考慮して、面S0上における信号光および迷光1、2の照射領域との関係について検討する。
図3(a)に示すように、アナモレンズは、4つの領域A〜Dに区分されている。ディスクからの反射光(信号光、迷光1、2)の形状は、アナモレンズによる収束作用によって、上記図2を参照して説明したように変化する。上記の如く、光束領域A〜Dの信号光は、面S0上において、同図(b)のように分布する。また、迷光1は、面S0に照射される際、図2(h)の状態にあるため、光束領域A〜Dの迷光1は、面S0上において、図3(c)のように分布する。迷光2は、面S0に照射される際、図2(b)の状態にあるため、光束領域A〜Dの迷光1は、面S0上において、図3(d)のように分布する。
ここで、面S0上における信号光と迷光1、2を光束領域毎に取り出すと、各光の分布は、図4(a)ないし(d)のようになる。この場合、各光束領域の信号光には、同じ光束領域の迷光1および迷光2の何れも重ならない。このため、各光束領域内の光束(信号光、迷光1、2)を異なる方向に離散させた後に、信号光のみをセンサパターンにて受光するように構成すると、対応するセンサパターンには信号光のみが入射し、迷光の入射を抑止することができる。これにより、迷光による検出信号の劣化を回避することができる。
このように、領域A〜Dを通る光を分散させて面S0上において離間させることにより、信号光のみを取り出すことができる。本実施の形態は、この原理を基盤とするものである。
図5は、図3(a)に示す4つの領域A〜Dを通る光束(信号光、迷光1、2)の進行方向を、それぞれ、異なる方向に、同じ角度だけ変化させたときの、面S0上における信号光と迷光1、2の分布状態を示す図である。同図(a)は、アナモレンズの光軸方向(アナモレンズ入射時のレーザ光の進行方向)からアナモレンズを見た図、同図(b)は、面S0における信号光、迷光1、2の分布状態を示す図である。
同図(a)では、領域A〜Dを通った光束(信号光、迷光1、2)の進行方向が、入射前の各光束の進行方向に対して、それぞれ、方向Da、Db、Dc、Ddに、同じ角度量α(図示せず)だけ変化されている。なお、方向Da、Db、Dc、Ddは、領域A、B、C、Dの境界線に対して、それぞれ、45°の傾きを持っている。
この場合、方向Da、Db、Dc、Ddにおける角度量αを調節することにより、面S0上において、同図(b)に示すように各光束領域の信号光と迷光1、2を分布させることができる。その結果、図示の如く、信号光のみが存在する信号光領域を面S0上に設定することができる。この信号光領域に光検出器のセンサパターンを設定することにより、各領域の信号光のみを、対応するセンサパターンにて受光することができる。
図6は、センサパターンの配置方法を説明する図である。同図(a)は、ディスクからの反射光(信号光)の光束領域を示す図であり、同図(b)は、図1(a)の構成において、アナモレンズの配置位置と面S0に、それぞれ、従来の非点収差法に基づくアナモレンズと光検出器(4分割センサ)を配置したときの、光検出器上における信号光の分布状態を示す図である。図6(c)および(d)は、面S0上における、上述の原理に基づく信号光の分布状態とセンサパターンを示す図である。
各図において、トラック溝による信号光の回折の像(トラック像)の方向は、平面方向および曲面方向に対して45°の傾きを持っている。同図(a)において、トラック像の方向が左右方向であるとすると、同図(b)ないし(d)では、信号光におけるトラック像の方向は、上下方向となる。なお、同図(a)および(b)には、説明の便宜上、光束が8つの光束領域a〜hに区分されている。また、トラック像が実線で示され、オフフォーカス時のビーム形状が点線によって示されている。なお、トラック溝による信号光の0次回折像と一次回折像の重なり状態は、波長/(トラックピッチ×対物レンズNA)で求められることが知られており、同図(a)、(b)、(d)のように、4つの光束領域a、d、e、hに一次回折像が収まる条件は、波長/(トラックピッチ×対物レンズNA)>√2となる。
従来の非点収差法では、光検出器のセンサパターンP1〜P4(4分割センサ)が同図(b)のように設定される。この場合、光束領域a〜hの光強度に基づく検出信号成分をA〜Hで表すと、フォーカスエラー信号FEとプッシュプル信号PPは、
FE=(A+B+E+F)−(C+D+G+H) …(1)
PP=(A+B+G+H)−(C+D+E+F) …(2)
の演算により求まる。
これに対し、上記図5(b)の分布状態では、上述の如く、信号光領域内に、図6(c)の状態で信号光が分布している。この場合、同図(a)に示す光束領域a〜hを通る信号光は、同図(d)のようになる。すなわち、同図(a)の光束領域a〜hを通る信号光は、光検出器のセンサパターンが置かれる面S0上では、同図(d)に示す光束領域a〜hへと導かれる。
したがって、同図(d)に示す光束領域a〜hの位置に、同図(d)に重ねて示す如くセンサパターンP11〜P18を設定すれば、同図(b)の場合と同様の演算処理によって、フォーカスエラー信号とプッシュプル信号を生成することができる。すなわち、この場合も、光束領域a〜hの光束を受光するセンサパターンからの検出信号をA〜Hで表すと、同図(b)の場合と同様、フォーカスエラー信号FEとプッシュプル信号PPは、上記式(1)、(2)の演算により取得することができる。
以上のように、本原理によれば、従来の非点収差法に基づく場合と同様の演算処理にて、迷光の影響が抑制されたフォーカスエラー信号とプッシュプル信号(トラッキングエラー信号)を生成することができる。
なお、本原理に用いるアナモレンズは、既に述べたように、たとえば、図11(a)および図14(a)に示すような構成とすることもできる。すなわち、本原理に適用可能なアナモレンズは、レーザ光の光軸周りに区分された複数のレンズ領域を備えており、各レンズ領域が個別にレーザ光に非点収差を導入するものである。そして、各レンズ領域は、レーザ光の光軸周りに隣り合う他の2つのレンズ領域との間の2つの境界のうち、一方の境界に平行な方向(たとえば、図1(b)、図11(a)、図14(a)の平面方向)に光束を収束させて第1の焦点距離の位置に焦線を結ばせるとともに、この境界に垂直な方向に光束を収束させて第1の焦点距離とは異なる第2の焦点距離の位置に焦線を結ばせるよう構成される。
なお、アナモレンズは、4つ以上のレンズ領域を有するのが望ましく、且つ、光軸周りの各レンズ領域の角度が90度以下になっているのが望ましい。こうすると、たとえば、上記図5(b)に示すように、迷光が信号光領域に掛からないようにすることができる。
<実施例>
以下、上記原理に基づく実施例について説明する。
図7に、本実施例に係る光ピックアップ装置の光学系を示す。なお、同図には、便宜上、関連する回路構成が併せて図示されている。また、同図中のディスクには、複数の記録層が積層して配置されている。
図示の如く、光ピックアップ装置の光学系は、半導体レーザ101と、偏光ビームスプリッタ102と、コリメートレンズ103と、レンズアクチュエータ104と、立ち上げミラー105と、1/4波長板106と、アパーチャ107と、対物レンズ108と、ホルダ109と、対物レンズアクチュエータ110と、アナモレンズ111と、光検出器112を備えている。
半導体レーザ101は、所定波長のレーザ光を出射する。半導体レーザ101から出射されるレーザ光の広がり角は、水平広がり角と垂直広がり角が異なっている。
偏光ビームスプリッタ102は、半導体レーザ101から入射されるレーザ光(S偏光)を略全反射するとともに、コリメートレンズ103側から入射されるレーザ光(P偏光)を略全透過する。コリメートレンズ103は、偏光ビームスプリッタ102側から入射されるレーザ光を平行光に変換する。
レンズアクチュエータ104は、サーボ回路203から入力されるサーボ信号に応じてコリメートレンズ103を光軸方向に変位させる。これにより、レーザ光に生じる収差が補正される。立ち上げミラー105は、コリメートレンズ103側から入射されたレーザ光を対物レンズ108に向かう方向に反射する。
1/4波長板106は、ディスクへと向かうレーザ光を円偏光に変換するとともに、ディスクからの反射光をディスクへ向かう際の偏光方向に直交する直線偏光に変換する。これにより、ディスクによって反射されたレーザ光は、偏光ビームスプリッタ102を透過する。
アパーチャ107は、対物レンズ108に対するレーザ光の有効径が適正となるように、レーザ光のビーム形状を円形形状に調整する。対物レンズ108は、レーザ光をディスク内のターゲット記録層に適正に収束できるよう設計されている。ホルダ109は、1/4波長板106と対物レンズ108を一体的に保持する。対物レンズアクチュエータ110は、従来周知の電磁駆動回路によって構成され、当該回路のうち、フォーカスコイル等のコイル部がホルダ109に装着されている。
アナモレンズ111は、ディスクからの反射光に非点収差を導入する。すなわち、アナモレンズ111は、曲面方向と平面方向が、図1(b)を参照して述べた如く設定されている。また、アナモレンズ111は、偏光ビームスプリッタ102側から入射されたレーザ光の進行方向を、図5(a)を参照して述べた如く変化させる機能を備えている。これにより、アナモレンズ111は、入射されたレーザ光のうち、図5(a)の領域A〜Dを通過する光束の進行方向を、同じ角度量αだけ変化させる。なお、角度量αは、面S0上における信号光と迷光1、2の分布状態が、図5(b)の分布状態となるように設定されている。
光検出器112は、図6(d)に示すセンサパターンP11〜P18を有する。光検出器112は、このセンサパターンが図1の面S0の位置に位置づけられるように配置される。光検出器112のセンサパターンP11〜P18は、各々、図6(d)の光束領域a〜hを通る光束を受光する。
信号演算回路201は、光検出器112の8個のセンサパターンから出力された検出信号を、上記式(1)に従って演算処理し、フォーカスエラー信号を生成する。また、信号演算回路201は、これら8個のセンサパターンから出力された検出信号を加算して再生RF信号を生成する。さらに、信号演算回路201は、光検出器112の8個のセンサパターンから出力された検出信号を、上記式(2)に従って演算処理し、プッシュプル信号PP(トラッキングエラー信号)を生成する。生成されたフォーカスエラー信号とプッシュプル信号PPはサーボ回路203に送られ、再生RF信号は再生回路202とサーボ回路203に送られる。
再生回路202は、信号演算回路201から入力された再生RF信号を復調して再生データを生成する。サーボ回路203は、信号演算回路201から入力されたプッシュプル信号PPとフォーカスエラー信号からトラッキングサーボ信号とフォーカスサーボ信号を生成し、これらを対物レンズアクチュエータ110に出力する。また、サーボ回路203は、信号演算回路201から入力された再生RF信号の品質が最良になるよう、レンズアクチュータ104にサーボ信号を出力する。コントローラ204は、内蔵メモリに格納されたプログラムに従って各部を制御する。
なお、図7に示す信号演算回路201は、光ピックアップ装置側にあっても、光ディスク装置側にあっても良い。また、信号演算回路201を構成する回路部の一部が光ピックアップ装置側にあり、残りが光ディスク装置側にあってもよい。
図8は、アナモレンズ111の構成例を示す図である。同図(a)は、アナモレンズ111の斜視図を示す図であり、同図(b)は、反射光の光軸方向であって偏光ビームスプリッタ102側から見た図である。
同図(a)を参照して、アナモレンズ111は、入射面側に、互いに異なる曲面形状からなるレンズ領域111a〜111dを有する。各レンズ領域111a〜111dは、それぞれ、光軸Mに沿って入射する光に非点収差を付与する機能と、光の進行方向を変化させる機能とを備えている。
非点収差機能について、各レンズ領域111a〜111dは、レーザ光の光軸周りに隣り合う他の2つのレンズ領域との間の2つの境界のうち、一方の境界Ba1、Bb1、Bc1、Bd1に平行な方向(平面方向)に光束を収束させて図1(a)の焦線位置(S2)に焦線を結ばせるとともに、この境界Ba1、Bb1、Bc1、Bd1に垂直な方向(曲面方向)に光束を収束させて焦線位置(S2)とは異なる焦線位置(S1)に焦線を結ばせるよう設計されている。また、各レンズ領域の平面方向に平行な境界Ba1、Bb1、Bc1、Bd1は、隣り合うレンズ領域の境界Ba2、Bb2、Bc2、Bd2と接しており、これら境界Ba1、Bb1、Bc1、Bd1どうしが互いに接することのないよう設計されている。
また、進行方向変更機能について、各レンズ領域111a〜111dは、これらレンズ領域111a〜111dに入射するレーザ光の進行方向を、それぞれ、図8(b)に示す如く、方向Va〜Vdに変化させるよう設計されている。
これら非点収差機能と進行方向変更機能は、レーザ光がターゲット記録層に合焦された状態で、レンズ領域111a〜111dを通過したレーザ光(信号光、迷光1、2)が、光検出器112の受光面上において、図5(b)に示すように分布するよう調整されている。これにより、レンズ領域111a〜111dに入射するレーザ光(信号光)が、光検出器112上のセンサパターンにおいて、適正に受光され得る。なお、各レンズ領域の境界は、トラック像の方向と45度の角度をなしている。
以上、本実施例によれば、ディスク内に配された記録層のうちターゲット記録層から反射された信号光と、当該ターゲット記録層の深い側および浅い側の記録層から反射された迷光1、2とが、光検出器112の受光面(オンフォーカス時に信号光スポットが最小錯乱円になる面S0)上において、互いに重なり合わないようにすることができる。具体的には、受光面(面S0)上における信号光と迷光1、2の分布を、図5(b)の状態にすることができる。したがって、図5(b)の信号光領域に、図6(d)に示すセンサパターンを配置することにより、センサパターンP11〜P18によって、対応する信号光のみを受光することができる。このため、迷光による検出信号の劣化を抑制することができる。
また、これらの効果を、ディスクによって反射されたレーザ光の光路中、すなわち、図7の構成では偏光ビームスプリッタ102と光検出器112の間に、従前のアナモレンズに替えて、図8に示すアナモレンズ111を配置するのみで達成することができる。したがって、本実施例によれば、簡素な構成にて効果的に迷光による影響を除去することができる。
また、本実施例によれば、アナモレンズ111が非点収差機能と進行方向変更機能の両方を有しているため、非点収差機能のみを有するアナモレンズと進行方向変更機能を有する他の光学素子を配する場合に比べ、構成の簡素化を図ることができる。
さらに、本実施例によれば、図6(c)に示す如く、信号光領域が正方形となり、且つ、信号光が正方形の頂角の位置に照射されるため、センサパターンの配置領域をコンパクトなものにすることができ、且つ、センサパターンを容易に配置することができる。
なお、本実施例に係る光ピックアップ装置および光ディスク装置を、記録層を2層のみ有する光ディスクの記録または再生に用いる場合には、ターゲット記録層以外の記録層は1つしか存在しないため、迷光の分布は、図9のようになる。図9(a)および(b)は、それぞれ、レーザ光が手前の記録層および奥の記録層に合焦されたときの分布状態を示す。
この場合、図示の如く、迷光は互いに重なり合うことがないため、迷光どうしが干渉し合うことはなく、干渉により増長された迷光が信号光領域に漏れ込んで検出信号が劣化するようなことも起こり得ない。このように、本実施例では、迷光の干渉による検出信号の劣化をも、効果的に抑制することができる。
なお、記録層が1つのみ存在する場合にも、これと同様の効果が奏され得る。すなわち、記録層が1つの場合、レーザ光の焦点位置が記録層からずれると、ディスクからの反射光が、図9に示す迷光の領域に掛かるようになる。しかし、この場合も、迷光の領域に掛かった反射光が互いに重なり合うことがないため、迷光の領域に掛かった反射光が互いに干渉し合うことはなく、よって、信号光領域内に配されたセンサパターンから高品質の信号を生成することができる。
なお、上記原理による迷光除去効果は、図1を参照して、迷光1の平面方向の焦線位置(M12)が、面S0よりもアナモレンズ111に近い位置にあり、且つ、迷光2の曲面方向の焦線位置(M21)が、面S0よりもアナモレンズ111から遠い位置にあるときに奏され得るものである。すなわち、この関係が満たされていれば、信号光と迷光1、2の分布は図5(a)に示す状態となり、面S0において、信号光と迷光1、2が重なり合わないようすることができる。換言すれば、この関係が満たされる限り、たとえ、信号光の曲面方向の焦線位置(S1)よりも、迷光1の平面方向の焦線位置(M12)が面S0に接近し、あるいは、信号光の平面方向の焦線位置(S2)よりも、迷光2の曲面方向の焦線位置(M21)が面S0に接近したとしても、上記原理に基づく本発明ないし実施例の効果は奏され得る。
<光検出器とアナモレンズの位置調整方法>
上記実施例では、図8(a)に示したレンズ領域111a〜111dを通る光束(信号光、迷光1、2)のうち信号光が光検出器112上に配された図6(d)に示すセンサパターンP11〜P18上に適正に入射するよう、アナモレンズ111と光検出器112の位置調整を行う必要がある。この調整は、たとえば、以下の手法により行うことができる。
図10は、アナモレンズ111と光検出器112の位置調整方法を示す図である。
アナモレンズ111は、レンズ領域111a〜111dが、それぞれ、アナモレンズ111の配置位置近傍におけるディスクからの反射光束を十分に含み得る広さとなっている。また、光検出器112には、従来の非点収差法に基づく光検出器112の位置調整が可能となるように、センサパターンP14、P16の上部に、センサパターンP11’、P12’、P13’、P15’、P17’、P18’が配されている。
アナモレンズ111と光検出器112の位置調整時には、始めに、図10(a)に示すように、ディスクからの反射光束がレンズ領域111cに収まるよう、アナモレンズ111が粗調整され仮固定される。
レンズ領域111cに入射したディスクからの反射光束は、アナモレンズ111によって分光されずに、レンズ領域111cにより非点収差を導入され、且つ、進行方向が変化される。したがって、レンズ領域111cを透過した反射光束は、光検出器112の受光面上において、オンフォーカス時には円形となり、オフフォーカス時には楕円形となるような、非点収差に基づく光スポットを形作る。
次に、この光スポットが、図10(b)に示す如く光検出器112にて適正に検出されるよう、センサパターンP14、P16、P11’、P12’、P13’、P15’、P17’、P18’からの出力信号を用いて、従来の非点収差法に基づく調整方法により光検出器112の位置調整が行われ、光検出器112が適正位置に固定される。この場合、分割線L1、L2にて分割された4つのセンサ領域の検出信号をもとに光検出器112の位置調整が行われる。これにより、光束の重心を光検出器112の目標位置に合わせることができる。
こうして光検出器112が位置決めされた後、仮固定されたアナモレンズ111の位置調整が行われる。図10(c)、(d)を参照して、アナモレンズ111を光軸に垂直な面内に移動させ、光検出器112のセンサパターンP11〜P18にて検出される信号が各々等しくなる位置にアナンモレンズ111を固定する。これにより、アナモレンズ111の分割線のクロス点と反射光束の重心を精度良く合わせることができる。以上により、アナモレンズ111と光検出器112のどちらも適正位置に固定することができる。
<変更例1>
上記実施例では、図5(a)に示す非点収差作用および進行方向変更作用により、信号光と迷光1、2の光束が、面S0上において図5(b)のような分布状態とされ、かかる光束が、図6(d)に示すセンサパターンによって受光された。本変更例では、図5(a)と異なる非点収差作用および進行方向変更作用により、信号光と迷光1、2の光束が、面S0上において、互いに重ならないようにされる。
図11(a)は、本変更例に係るアナモレンズの構成を示す図である。本変更例に係るアナモレンズは、光軸周りに6つの領域に区分されている。領域A、Dは、周方向の角度が90度であり、領域B、C、E、Fは、周方向の角度が45度である。各領域は、上記実施例と同様、それぞれ、非点収差機能と進行方向変更機能を有している。
非点収差機能について、領域A〜Fは、それぞれ、レーザ光の光軸周りに隣り合う他の2つの領域との間の2つの境界のうち、一方の境界に平行な方向(平面方向)に光束を収束させて図1(a)の焦線位置(S2)に焦線を結ばせるとともに、この境界に垂直な方向に光束を収束させて焦線位置(S2)とは異なる焦線位置(S1)に焦線を結ばせるよう設計されている。
また、進行方向変更機能について、領域A〜Fは、これら領域A〜Fに入射するレーザ光の進行方向を、それぞれ、図11(a)に示す方向Da〜Dfに変化させるよう設計されている。なお、方向Da、Ddは、それぞれ、同図のZ軸正方向およびZ軸負方向であり、方向Db、Dc、De、Dfは、それぞれ、Y軸に対し67.5度、Z軸に対し22.5度の傾きを有する方向である。
これら非点収差機能と進行方向変更機能は、レーザ光がターゲット記録層に合焦された状態で、領域A〜Fを通過したレーザ光(信号光、迷光1、2)が、図7に示す光検出器112の受光面上において、図11(b)に示すように分布するよう調整されている。これにより、上記実施例と同様、信号光のみが存在する信号光領域を生成することができ、この信号光領域にセンサパターンを配することで、信号光のみを対応するセンサパターンにて受光することができる。
図12は、この場合のセンサパターンの配置方法を説明する図である。同図(a)は、ディスクからの反射光(信号光)のうち、図11(a)のアナモレンズの領域A〜Fに入射する光束領域a〜fを示す図であり、同図(b)は、本変更例に基づくセンサパターンを示す図である。
同図(b)を参照して、光束領域a〜fの光束(信号光)は、それぞれ、2つのセンサパターンによって受光される。同図(b)において、a1とa2、b1とb2、c1とc2、d1とd2、e1とe2、f1とf2は、それぞれ、光束領域a〜fの光束をさらに2分割した光束である。図示の如く、光束a1〜f2は、それぞれ、対応するセンサパターンP21〜P32により受光される。すなわち、センサパターンP21およびP22、P23およびP24、P25およびP26、P27およびP28、P29およびP30、P31およびP32は、信号光がターゲット記録層で合焦となる時に、それぞれ、光束領域a〜fの光束の半分を受光するよう設定されている。
ここで、センサパターンP21〜P32の受光量に基づく検出信号を、それぞれ、A1、A2、B1、B2、C1、C2、D1、D2、E1、E2、F1、F2とすると、プッシュプル信号PPは、
PP=(A1+A2+B1+B2+F1+F2)
−(D1+D2+C1+C2+E1+E2)
の演算により求められる。
図13は、各センサパターンの検出信号およびフォーカスエラー信号を示す図である。同図(a)ないし(c)において、縦軸はセンサパターンによる検出信号または演算結果を表し、横軸は対物レンズとディスクとの距離を表す。なお、横軸原点は、信号光がターゲット記録層で合焦となるときの対物レンズの位置(以下、「合焦位置」という)を表している。
同図(a)を参照して、s1は検出信号A1およびD1を表し、s2は検出信号A2およびD2を表している。このとき、(s1−s2)を表すs3は、図示の如く、合焦位置において0となる。
同図(b)を参照して、s4は検出信号B1、C1、E1、F1を表し、s5は検出信号B2、C2、E2、F2を表している。このとき、(s4−s5)を表すs6は、図示の如く、合焦位置において0となる。
従って、A1ないしF2を用いてフォーカスエラー信号FEは、
FE={(A1−A2)+(D1−D2)}+{(B1−B2)+(C1−C2)
+(E1−E2)+(F1−F2)}
と表すことができる。
同図(c)は、フォーカスエラー信号FEを表す図である。図示の如く、フォーカスエラー信号FEは、S字カーブを有し、合焦位置において0となる。よって、フォーカスエラー信号FEが0となるよう、対物レンズが光軸に垂直な方向に駆動されれば、信号光の焦点位置が、ターゲット記録層上に合わせられ得る。
よって、本変更例においても、図11(a)に示すアナモレンズにより信号光領域を生成することができ、この信号光領域に、図12(b)に示すセンサパターンを有する光検出器を配することによって、迷光による影響が抑制された高品質の検出信号を得ることができる。
<変更例2>
本変更例は、図11(a)と異なるアナモレンズを用いて、信号光と迷光1、2の光束が重ならないようにするものである。
図14(a)は、本変更例に係るアナモレンズの構成を示す図である。本変更例に係るアナモレンズは、光軸周りに8つの領域に区分されている。各領域は、周方向の角度が45度となっており、上記実施例と同様、それぞれ、非点収差機能と進行方向変更機能を有している。
非点収差機能について、領域A〜Hは、それぞれ、レーザ光の光軸周りに隣り合う他の2つの領域との間の2つの境界のうち、一方の境界に平行な方向(平面方向)に光束を収束させて図1(a)の焦線位置(S2)に焦線を結ばせるとともに、この境界に垂直な方向に光束を収束させて焦線位置(S2)とは異なる焦線位置(S1)に焦線を結ばせるよう設計されている。
また、進行方向変更機能について、領域A〜Hは、これら領域A〜Hに入射するレーザ光の進行方向を、それぞれ、図14(a)に示す方向Da〜Dhに変化させるよう設計されている。なお、方向Da〜Dhは、それぞれ各領域の平面方向に対し、67.5度の角度をなしている。
これら非点収差機能と進行方向変更機能は、レーザ光がターゲット記録層に合焦された状態で、領域A〜Hを通過したレーザ光(信号光、迷光1、2)が、図7に示す光検出器112の受光面上において、図14(b)に示すように分布するよう調整されている。これにより、上記実施例と同様、信号光のみが存在する信号光領域を生成することができ、この信号光領域にセンサパターンを配することで、信号光のみを対応するセンサパターンにて受光することができる。
図15は、この場合のセンサパターンの配置方法を説明する図である。同図(a)は、ディスクからの反射光(信号光)のうち、図14(a)のアナモレンズの領域A〜Hに入射する光束領域a〜hを示す図であり、同図(b)は、本変更例に基づくセンサパターンを示す図である。
同図(b)を参照して、光束領域a〜hの光束(信号光)は、それぞれ、2つのセンサパターンによって受光される。同図(b)において、a1とa2、b1とb2、c1とc2、d1とd2、e1とe2、f1とf2、g1とg2、h1とh2は、それぞれ、光束領域a〜hの光束をさらに2分割した光束である。図示の如く、光束a1〜h2は、それぞれ、対応するセンサパターンP41〜P56により受光される。すなわち、センサパターンP41およびP42、P43およびP44、P45およびP46、P47およびP48、P49およびP50、P51およびP52、P53およびP54、P55およびP56は、信号光がターゲット記録層で合焦となる時に、それぞれ、光束領域a〜hの光束の半分を受光するよう設定されている。
ここで、センサパターンP41〜P56の受光量に基づく検出信号を、それぞれ、A1、A2、B1、B2、C1、C2、D1、D2、E1、E2、F1、F2、G1、G2、H1、H2とすると、プッシュプル信号PPは、
PP=(A1+A2+B1+B2+G1+G2+H1+H2)
−(D1+D2+E1+E2+C1+C2+F1+F2)
の演算により求められる。
図16は、各センサパターンの検出信号およびフォーカスエラー信号を示す。
同図(a)を参照して、s7は検出信号A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1を表し、s8は検出信号A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2を表している。このとき、(s7−s8)を表すs9は、図示の如く、合焦位置において0となる。
従って、A1ないしH2を用いてフォーカスエラー信号FEは、
FE=(A1−A2)+(B1−B2)+(C1−C2)+(D1−D2)
+(E1−E2)+(F1−F2)+(G1−G2)+(H1−H2)
と表すことができる。
同図(b)は、フォーカスエラー信号FEを表す図である。図示の如く、フォーカスエラー信号FEは、S字カーブを有し、合焦位置において0となる。よって、フォーカスエラー信号FEが0となるよう対物レンズが駆動されれば、信号光の焦点位置が、ターゲット記録層上に合わせられ得る。
よって、本変更例においても、図14(a)に示すアナモレンズにより信号光領域を生成することができ、この信号光領域に、図15(b)に示すセンサパターンを有する光検出器を配することによって、迷光による影響が抑制された高品質の検出信号を得ることができる。
<他の変更例>
以上、本発明の実施例および変更例1、2について説明したが、本発明は、上記実施例に制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も上記以外に種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施例では、アナモレンズ111に、図1(a)に示す非点収差機能と図5(a)に示す進行方向変更機能の両方を持たせるようにしたが、アナモレンズ111に非点収差機能のみを持たせ、進行方向変更機能は別の光学素子によって導入するようにしても良い。さらには、両機能をホログラム素子によって導入するようにしても良い。この場合、ホログラム素子は、アナモレンズ111と置き換えれば良い。なお、ホログラムパターンは既知の技術で設計される。
図17は、進行方向変更作用を導入する方向変更素子120を示す図である。同図(a)は、回折パターンを有するホログラム素子によって方向変更素子120を構成する場合の構成例を示し、同図(b)および(c)は、多面プリズムによって方向変更素子120を構成する場合の構成例を示している。
同図(a)の構成例の場合、方向変更素子120は、正方形形状の透明板にて形成され、光入射面にホログラムパターンが形成されている。光入射面は、図示の如く、4つのホログラム領域120a〜120dに区分されている。また、ホログラム領域120a〜120dは、入射されたレーザ光(信号光、迷光1、2)を、それぞれ、図5(a)と同様、方向Va〜Vdに回折させる。こうすると、アナモレンズおよび方向変更素子120により、上記実施例におけるアナモレンズ111と同様の効果が奏され得る。なお、ホログラム領域120a〜120dに形成されるホログラムは、ステップ型でもブレーズ型でも良い。
また、図17(a)の構成に替えて、同図(b)の構成とすることもできる。この場合、方向変更素子120は、光出射面が平坦で、且つ、光入射面が4つの領域において異なる方向に個別に傾斜する透明体によって形成されている。
同図(c)は、同図(b)を光入射面側から見た図である。図示の如く、方向変更素子120の光入射面には、4つの傾斜面120e〜120hが形成されている。これら傾斜面に入射面側から光線がX軸に平行に入射すると、傾斜面120e〜120hに入射する際の屈折作用によって、光の進行方向が、それぞれ、同図(c)のVa〜Vdの方向に変化する。この場合も、アナモレンズおよび方向変更素子120により、上記実施例におけるアナモレンズ111と同様の効果が奏され得る。
なお、非点収差作用によって生じる焦線位置が、図1に示す位置関係となる場合、方向変更素子120は、迷光1の曲面方向の焦線位置(M11)よりもディスクに近い位置に配される。この場合、面S0(光検出器112の受光面)上における迷光1、2の分布状態は、上記原理および実施例で述べた如く、それぞれ、図9(a)、(b)のようになる。
あるいは、図1に示す焦線位置(M12)と焦線位置(S1)との間に、方向変更素子120を配することもできる。この場合、面S0(光検出器112の受光面)上における迷光2の分布状態は、上記と同様、図9(b)のようになるが、迷光1の分布状態も、迷光2と同じく、図9(b)のようになる。なお、方向変更素子は光検出器に近いため、両者を一体化することも可能である。
また、上記変更例1、2においても、アナモレンズ111に非点収差機能のみを持たせ、進行方向変更機能は別の光学素子によって導入するようにしても良い。この場合、進行方向変更作用を導入するための光学素子は、図17と同等、ホログラム素子または光屈折素子によって構成され得る。
また、上記実施例および変更例1、2において、隣接する光束領域の光の偏光方向を互いに直交させるための偏光変換素子が用いられても良い。この場合、偏光変換素子は、進行方向変更機能を有する光学素子よりもディスク側に近い位置に配される。すなわち、偏光変換素子は、上記実施例におけるアナモレンズ111および上記他の変更例における方向変更素子120よりもディスクに近い位置に配される。
こうすると、光検出器上で迷光1、2の光束領域が重なり合う部分においても、偏光方向が互いに直交するよう設定され得るため、これら重なり合う部分の迷光の干渉が抑制される。これにより、迷光が干渉し合うことによる迷光成分の増幅が抑制され、結果、迷光がセンサパターンに漏れ込むことを抑制することができる。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
101 半導体レーザ(光源)
108 対物レンズ
111 アナモレンズ(非点収差部、光束離散部)
112 光検出器
120 方向変更素子(光束離散部)
201 信号演算回路(演算回路)

Claims (4)

  1. 記録層を複数有する記録媒体にレーザ光を照射する光ピックアップ装置において、
    前記レーザ光を出射する光源と、
    前記レーザ光を前記記録媒体上に収束させる対物レンズと、
    前記記録媒体にて反射された前記レーザ光が入射するとともに、前記レーザ光の光軸周りに区分された4つのレンズ領域を有し、前記光軸周りの前記各レンズ領域の角度が90度になっており、前記各レンズ領域が個別に前記レーザ光に非点収差を導入する非点収差部と、
    前記記録媒体中のターゲット記録層に前記レーザ光が合焦している状態にあるとき、前記ターゲット記録層によって反射された前記レーザ光の前記各光束が、前記光検出器の受光面上において、正方形の頂角の位置に位置づけられるように離散させる光束離散部と、
    前記離散された各光束を受光して検出信号を出力する光検出器と、を備え、
    前記レンズ領域は、前記光軸周りに隣り合う他の2つの前記レンズ領域との間の第1および第2の境界のうち、前記第1の境界に平行な方向に前記光束を収束させて第1の焦点距離の位置に焦線を結ばせるとともに、前記第1の境界に垂直な方向に前記光束を収束させて前記第1の焦点距離とは異なる第2の焦点距離の位置に焦線を結ばせるよう構成され、前記各レンズ領域の前記第1の境界は互いに接しないよう設定され、
    前記光束離散部は、前記記録媒体中のターゲット記録層に前記レーザ光が合焦している状態にあるとき、前記ターゲット記録層によって反射された前記レーザ光の前記各光束と、前記ターゲット記録層以外の他の記録層によって反射された前記レーザ光の前記各光束とが、前記光検出器の受光面上において互いに重ならないよう設定されている、
    ことを特徴とする光ピックアップ装置。
  2. 請求項1に記載の光ピックアップ装置において、
    前記非点収差部と前記光束離散部が、一つの光学素子に一体化されている、
    ことを特徴とする光ピックアップ装置。
  3. 請求項1または2に記載の光ピックアップ装置において、
    前記非点収差部は、4つ以上の前記レンズ領域を有し、
    前記光軸周りの前記各レンズ領域の角度が90度以下になっている、
    ことを特徴とする光ピックアップ装置。
  4. 請求項1ないしの何れか一項に記載の光ピックアップ装置と、
    前記光検出器からの出力を処理する演算回路と、を備える、
    ことを特徴とする光ディスク装置。
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