JP5173852B2 - 映像表示システム - Google Patents

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本発明は、映像投射用スクリーン及び映像プロジェクタを有する映像表示システムに関する。
映像プロジェクタ(投射型表示装置)は、直視型表示装置と比較して、小型且つ低コストで大画面表示が実現できるため、需要が増大している。特に、二次元光学スイッチとして液晶素子を用いた映像プロジェクタ、すなわち液晶プロジェクタは、CRT投射管を用いた映像プロジェクタと異なり、ドッドマトリックス表示により画面の周辺部までボケの無い高精細な表示が可能であるため、高解像度デジタルテレビの本命として期待されている。
従来、映像プロジェクタによって映像を投影されるスクリーンとしては、映像プロジェクタからの投射光を全反射させる白色のスクリーンが用いられてきた。しかしながら、近年、偏光によって映像を投射する映像プロジェクタ、特に液晶プロジェクタと共に使用される反射型スクリーンのコントラストを向上させるために、ある特定の偏光のみを選択反射する偏光選択性スクリーンが提案されている。このような偏光選択性スクリーンでは、映像プロジェクタから投射される偏光を反射し/散乱させ、これとは異なる方向の偏光、すなわち環境光の半分を透過させ及び/又は吸収することによって、表示される映像のコントラストを改良している(特許文献1〜5)。
これに関し、例えば特許文献5では、直線偏光に対して散乱が最も大きくなる散乱軸と直線偏光に対して散乱が最も小さくなる透過軸とを面内に有する直線偏光選択性スクリーンを開示している。ここで、この直線偏光選択性スクリーンは、高分子マトリックス中に高分子微粒子を含有する配向フィルムを含んでなり、且つこれらの高分子マトリックス及び高分子微粒子が特定の屈折率異方性を有している。
特開平5−107660号公報 特開2005−17751号公報 特表2002−540445号公報 特表2005−526283号公報 国際公開WO2006/009293号公報
本発明の1つの目的は、複数の映像プロジェクタから投射される映像を切り替えて表示することができる映像表示システムに関する。本発明の他の目的及び利点は以下の説明から明らかになろう。
本発明は下記のようなものである:
〈1〉(a)直線偏光に対して散乱が最も大きくなる散乱軸、及び直線偏光に対して散乱が最も小さくなる透過軸を面内に有する、直線偏光選択性スクリーン、
(b)上記直線偏光選択性スクリーンに対して第1の偏光方向の偏光によって映像を投射する、第1の映像プロジェクタ、
(c)上記直線偏光選択性スクリーンに対して上記第1の偏光方向と垂直な第2の偏光方向の偏光によって映像を投射する、第2の映像プロジェクタ、並びに
(d)上記第1及び第2の偏光方向のいずれか一方が、上記直線偏光選択性スクリーンの散乱軸方向となるように切り替える、切り替え装置、
を有する、映像表示システム。
〈2〉上記切り替え装置が、上記直線偏光選択性スクリーンを回転させて、上記直線偏光選択性スクリーンの散乱軸が、上記第1及び第2の偏光方向のいずれかに平行になるように切り替える、スクリーン回転装置である、上記〈1〉項に記載の映像表示システム。
〈3〉上記スクリーン回転装置が、上記直線偏光選択性スクリーンの法線方向の軸の周りに、上記直線偏光選択性スクリーンを回転させる、上記〈2〉項に記載の映像表示システム。
〈4〉上記スクリーン回転装置が、上記直線偏光選択性スクリーンの面方向の軸の周りに、上記直線偏光選択性スクリーンを回転させる、上記〈2〉項に記載の映像表示システム。
〈5〉上記切り替え装置が、上記第1及び第2の偏光方向の偏光を、それぞれの偏光の投射方向軸の周りに回転させて、上記第1及び第2の偏光方向のいずれかが、上記直線偏光選択性スクリーンの散乱軸と平行になるように切り替える、偏光回転装置である、上記〈1〉項に記載の映像表示システム。
〈6〉上記偏光回転装置が、位相差フィルムによって、上記第1及び第2の偏光方向の偏光を、それぞれの偏光の投射方向軸の周りに回転させる、上記〈5〉項に記載の映像表示システム。
〈7〉上記偏光回転装置が、上記第1及び第2の映像プロジェクタ自体を回転させて、上記第1及び第2の偏光方向の偏光を、それぞれの偏光の投射方向軸の周りに回転させる、上記〈5〉項に記載の映像表示システム。
本発明の映像表示システムによれば、複数の映像プロジェクタから投射される映像、例えば第1及び第2の2つの映像プロジェクタから投射される映像を切り替えて、スクリーンに表示することができる。したがって例えば第1及び第2の映像プロジェクタから投射される映像を素早く交互に切り替えて、第1及び第2の映像プロジェクタから投射される映像の合成映像を、観察者に知覚させること、これらの映像を比較的ゆっくりと切り替えて、第1及び第2の映像プロジェクタから投射される映像をそれぞれ、観察者に知覚させること等ができる。
以下では、図面を用いて本発明の映像表示システムを説明する。ただし、本発明の映像表示システムは、これらの図面の記載によって限定されるものではない。
図1で示す本発明の映像表示システム100は、(a)直線偏光選択性スクリーン10、(b)第1の映像プロジェクタ11、(c)第2の映像プロジェクタ21、及び(d)切り替え装置を有している。
〈(a)直線偏光選択性スクリーン〉
図1の映像表示システム100で用いられる直線偏光選択性スクリーン10は、直線偏光に対して散乱が最も大きくなる散乱軸、及び直線偏光に対して散乱が最も小さくなる透過軸を面内に有する。この直線偏光選択性スクリーンは例えば、特許文献5で示されるように、特定の屈折率異方性を有する高分子マトリックス中に高分子微粒子を含有する配向フィルムを含んでなるものである。
この直線偏光選択性スクリーンは、スクリーン自体を自立性にすること、スクリーンを吊り下げ式にすること等ができる。直線偏光選択性スクリーン自体を自立性にする場合には例えば、このスクリーンに透明基材、型枠等を提供することができる。透明基材としては、アクリル系樹脂のような光学的に透明な有機透明基板、ガラス基板のような無機透明基板等を用いることができる。
なお、直線偏光選択性スクリーンは通常、映像プロジェクタからスクリーンに投射される映像を、スクリーンを基準にして映像プロジェクタと同じ側及び反対側のいずれからでも観察することができる。しかしながら本発明に関して、「反射型の直線偏光選択性スクリーン」は、映像プロジェクタからスクリーンの投射される映像を、スクリーンを基準にして映像プロジェクタと同じ側(すなわち図1の観察者Aの側)から観察するのに適した特性を有する直線偏光選択性スクリーンを意味するものとする。また、本発明に関して、「透過型の直線偏光選択性スクリーン」は、映像プロジェクタからスクリーンの投射される映像を、スクリーンを基準にして映像プロジェクタと反対側(すなわち図1の観察者Bの側)から観察するのに適した特性を有する直線偏光選択性スクリーンを意味するものとする。
例えば、反射型の直線偏光選択性スクリーンは、下記の式(1)及び(2)を満たしている直線偏光選択性スクリーンである:
2<TTtrans/TTscat、又は3<TTtrans/TTscat (1)
TT<60%、又はTT<50% (2)
(TTtrans:透過軸方向の全光線透過率
TTscat:散乱軸方向の全光線透過率
TT:全光線透過率)。
例えば、透過型の直線偏光選択性スクリーンは、下記の式(3)及び(4)を満たしている直線偏光選択性スクリーンである:
1≦TTtrans/TTscat≦2、又は1≦TTtrans/TTscat≦1.5 (3)
60%≦TT、又は70%≦TT (4)
(TTtrans:透過軸方向の全光線透過率
TTscat:散乱軸方向の全光線透過率
TT:全光線透過率)。
なお、本発明に関して「全光線透過率」は、JISK7361−1準拠で測定される値であり、具体的には、CIE D65標準光源を用いて、入射光に対する試料を透過した全光線の割合として表される値である。
〈(b)(c)第1及び第2の映像プロジェクタ〉
図1で示す映像表示システム100で用いられる第1の映像プロジェクタ11は、直線偏光選択性スクリーン10に対して第1の偏光方向の偏光12によって映像を投射する映像プロジェクタである。また、図1で示す映像表示システム100で用いられる第2の映像プロジェクタ21は、直線偏光選択性スクリーン10に対して第1の偏光方向と垂直な第2の偏光方向の偏光22によって映像を投射する映像プロジェクタである。
ここで用いられる第1及び第2の映像プロジェクタは、偏光によって映像を投射することができる任意の映像プロジェクタであってよく、具体的には例えば二次元光学スイッチとして液晶素子を用いた映像プロジェクタ、すなわち液晶プロジェクタであってよい。
上記記載のように、本発明の映像表示システムで用いられる第2の映像プロジェクタは、第1の偏光方向と垂直な第2の偏光方向の偏光を投射する映像プロジェクタである。すなわち、第1の映像プロジェクタ11から投射される偏光12と、第2の映像プロジェクタ21から投射される偏光22とは、その偏光方向が直交している。
したがって、図1で示されるように、第1の映像プロジェクタ11から投射される偏光12の偏光方向が、直線偏光選択性スクリーン10の散乱軸方向であり、それによって第1の映像プロジェクタ11から投射される映像が直線偏光選択性スクリーン10に表示される場合には、第2の映像プロジェクタ21から投射される偏光22の偏光方向は、直線偏光選択性スクリーン10の透過軸方向であり、それによって第2の映像プロジェクタ20から投射される映像は直線偏光選択性スクリーンに表示されない。
また反対に、図2で示されるように、第2の映像プロジェクタ21から投射される偏光22の偏光方向が、直線偏光選択性スクリーン10の散乱軸方向であり、それによって第2の映像プロジェクタ21から投射される映像が直線偏光選択性スクリーン10に表示される場合には、第1の映像プロジェクタ11から投射される偏光12の偏光方向は、直線偏光選択性スクリーン10の透過軸方向であり、それによって第1の映像プロジェクタ11から投射される映像は直線偏光選択性スクリーン10に表示されない。
すなわち、直線偏光選択性スクリーンには、第1及び第2の映像プロジェクタから投射される映像のいずれか一方の映像のみが表示される。
〈(d)切り替え装置〉
図1で示される映像表示システム100で用いられる切り替え装置は、第1及び第2の偏光方向のいずれか一方、すなわち第1及び第2の映像プロジェクタのいずれか一方から投射される偏光の偏光方向が、直線偏光選択性スクリーンの散乱軸方向となるように切り替える。
第1及び第2の映像プロジェクタに関して上記記載のように、直線偏光選択性スクリーンには、第1及び第2の映像プロジェクタから投射される映像のいずれか一方の映像のみが表示される。したがって、この切り替え装置によれば、第1及び第2の映像プロジェクタから投射される映像のいずれか一方の映像のみが、直線偏光選択性スクリーンに切り替えて表示される。
〈(d)切り替え装置−スクリーン回転装置〉
図1で示される映像表示システムで用いられる切り替え装置は、直線偏光選択性スクリーンを回転させて、直線偏光選択性スクリーンの散乱軸が、第1及び第2の偏光方向のいずれかに平行になるように切り替えるスクリーン回転装置であってよい。
1つの例では、このスクリーン回転装置は、直線偏光選択性スクリーン10の法線方向の軸の周りに、直線偏光選択性スクリーンを回転させる装置である。
このスクリーン回転装置については、図3(A)〜(C)で説明する。すなわち、このスクリーン回転装置では、スクリーン10の法線方向の軸10aの周りに、矢印10cで示すようにスクリーン10を回転させることによって、スクリーン10の散乱軸10bが、第1及び第2の映像プロジェクタから投射される偏光の偏向方向である第1及び第2の偏光方向に対して相対的に回転する。したがってこれによれば、直線偏光選択性スクリーン10の散乱軸10bが、第1及び第2の偏光方向のいずれかに平行になるように切り替えることができる。
また他の例では、スクリーン回転装置は、直線偏光選択性スクリーンの面方向の軸の周りに、直線偏光選択性スクリーンを回転させる装置である。
このスクリーン回転装置については、図4(A)及び(B)で説明する。すなわち、このスクリーン回転装置では、スクリーン10の面方向の軸10a’の周りに、矢印10c’で示すようにスクリーン10を回転させることによって、スクリーン10の散乱軸10b’が、第1及び第2の映像プロジェクタから投射される偏光の偏向方向である第1及び第2の偏光方向に対して相対的に回転する。したがってこれによれば、直線偏光選択性スクリーン10の散乱軸10b’が、第1及び第2の偏光方向のいずれかに平行になるように切り替えることができる。
なお、図3及び4に示されるようなスクリーン回転装置では、例えば図4(C)で示すようにスクリーンを分割して、分割された個々のスクリーンを回転させることもできる。また、これらのスクリーン回転装置は具体的には、スクリーンの回転軸、この回転軸の周りにスクリーンを回転させるモーター等から構成することができる。
〈(d)切り替え装置−偏光回転装置〉
図1で示される映像表示システムで用いられる切り替え装置は、第1及び第2の偏光方向の偏光を、それぞれの偏光の投射方向軸の周りに回転させて、第1及び第2の偏光方向のいずれかが、直線偏光選択性スクリーンの散乱軸と平行になるように切り替える偏光回転装置であってよい。
1つの例では、この偏光回転装置は、位相差フィルム、特に可視光の中心領域の半波長の位相差を有する位相差フィルムによって、第1及び第2の偏光方向の偏光を、それぞれの偏光の投射方向軸の周りに回転させる装置である。
この偏光回転装置は、具体的には、位相差フィルムを、第1及び第2の映像プロジェクタと直線偏光選択性スクリーンとの間に反復的に挿入・除去することによって、直線偏光を90°回転させて、第1及び第2の偏光方向のいずれかに平行になるように切り替えることができる。
また他の例では、この偏光回転装置は、第1及び第2の映像プロジェクタ自体を回転させて、第1及び第2の偏光方向の偏光を、それぞれの偏光の投射方向軸の周りに回転させる装置である。
図1は、本発明の映像表示システムの1つの状態を示す概略図である。 図2は、本発明の映像表示システムの他の状態を示す概略図である。 図3は、直線偏光選択性スクリーンを回転させるスクリーン回転装置の1つの態様を示す概略図である。 図4は、直線偏光選択性スクリーンを回転させるスクリーン回転装置の他の態様を示す概略図である。
10 第1のスクリーン
10a、10a’ 回転軸
10b、10b’ 散乱軸
10c、10c’ 回転方向を示す矢印
11 第1の映像プロジェクタ
21 第2の映像プロジェクタ
100 本発明の映像表示システム
A、B 観察者

Claims (7)

  1. (a)直線偏光に対して散乱が最も大きくなる散乱軸、及び直線偏光に対して散乱が最も小さくなる透過軸を面内に有する、直線偏光選択性スクリーン、
    (b)前記直線偏光選択性スクリーンに対して第1の偏光方向の偏光によって映像を投射する、第1の映像プロジェクタ、
    (c)前記直線偏光選択性スクリーンに対して前記第1の偏光方向と垂直な第2の偏光方向の偏光によって映像を投射する、第2の映像プロジェクタ、並びに
    (d)前記第1及び第2の偏光方向のいずれか一方が、前記直線偏光選択性スクリーンの散乱軸方向となるように切り替える、切り替え装置、
    を有する、映像表示システム。
  2. 前記切り替え装置が、前記直線偏光選択性スクリーンを回転させて、前記直線偏光選択性スクリーンの散乱軸が、前記第1及び第2の偏光方向のいずれかに平行になるように切り替える、スクリーン回転装置である、請求項1に記載の映像表示システム。
  3. 前記スクリーン回転装置が、前記直線偏光選択性スクリーンの法線方向の軸の周りに、前記直線偏光選択性スクリーンを回転させる、請求項2に記載の映像表示システム。
  4. 前記スクリーン回転装置が、前記直線偏光選択性スクリーンの面方向の軸の周りに、前記直線偏光選択性スクリーンを回転させる、請求項2に記載の映像表示システム。
  5. 前記切り替え装置が、前記第1及び第2の偏光方向の偏光を、それぞれの偏光の投射方向軸の周りに回転させて、前記第1及び第2の偏光方向のいずれかが、前記直線偏光選択性スクリーンの散乱軸と平行になるように切り替える、偏光回転装置である、請求項1に記載の映像表示システム。
  6. 前記偏光回転装置が、位相差フィルムによって、前記第1及び第2の偏光方向の偏光を、それぞれの偏光の投射方向軸の周りに回転させる、請求項5に記載の映像表示システム。
  7. 前記偏光回転装置が、前記第1及び第2の映像プロジェクタ自体を回転させて、前記第1及び第2の偏光方向の偏光を、それぞれの偏光の投射方向軸の周りに回転させる、請求項5に記載の映像表示システム。
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