JP5173396B2 - 絶縁膜のダメージ回復処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、LSIなどの半導体装置での多層配線構造で用いられる層間絶縁膜の処理方法に関し、特にエッチング処理・アッシング処理、その他のプラズマ処理によって膜にもたらされる電気的特性及び膜構造の劣化(ダメージ)をプラズマ処理前の状態に復帰させる絶縁膜のダメージ回復処理方法に関する。
半導体装置の層間絶縁膜などの絶縁膜としては、長年、誘電率が3.9から4.0のSiO(二酸化珪素)膜が用いられてきたが、近年微細化が進み、高速化・高性能化が要求されるに及び、誘電率が3.0以下の膜が必要となり、Si系およびSiを含まない有機系の材料を用いた膜の開発が活発に行われている。 また、最近では膜に空孔を導入(多孔質化)して誘電率を下げる試みも盛んに研究開発されている。
ところが、このような多孔質材料からなる低誘電率絶縁膜では、膜自体の機械的強度が低く、プラズマ耐性も低いと言う特性を有している。
このため、この種の絶縁膜がCu/Low−k配線加工時におけるプラズマエッチング処理、プラズマアッシング処理またはプラズマ成膜処理などのプラズマ処理を受けた際に、Si系材料では、主に絶縁膜を構成するシロキサン結合のSi−O骨格に結合しているメチル基などの有機基が切断されて脱離する。また、有機膜の場合においても、有機基もしくは有機結合が切断される。このような膜構造の変質に伴い、例えば絶縁膜誘電率上昇といった電気的特性が劣化する現象が顕著に起こることが知られている。
半導体装置の電気的特性の劣化が起こるさらに詳しいメカニズムとして、上記のプラズマ処理によって有機基が切断された(つまり、ダメージを受けた)Siの活性サイトに雰囲気中の微量な水分が結合することで生成したシラノール基によって、膜が疎水性から親水性へ変化する結果、さらなる水分の吸着が起こり、絶縁膜の誘電率の上昇やCu拡散に伴う電気的特性の劣化を引き起こすと考えられている。
このようなダメージを受けた絶縁膜をできるだけプラズマ処理前の状態に回復させる方法として、「シリコンテクノロジー」 2005年、第71巻、第39〜42頁には、プラズマ処理によるダメージを受けた多孔質シロキサン系絶縁膜を1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)からなる回復剤の雰囲気中で400℃の加熱処理することが開示されている。
また、他の回復方法として、液状の回復剤をダメージを受けた絶縁膜に塗布し、約350℃に加熱処理するTA処理方法が米Honeywell社から提案されている。
しかしながら、第1の回復方法では、回復処理の際に回復剤が銅配線層上に残留する可能性があり、結果としてめっきにより銅を埋め込む際にコンタクト部の接触抵抗が増加し、電気的特性が低下する恐れがある。
また、第2の方法では、回復剤を塗布する工程が増えてデバイスの製造工程数が増加することになり、量産性に問題点がある。
このような問題点を解決する方法として、本出願人は先に、ダメージ回復剤としてシリコーン化合物あるいはハイドロカーボンを用い、ダメージを受けた絶縁膜に対して、この回復剤を気体状で接触させてダメージの回復を行う方法(特許文献1参照)を提案している。
さらに、回復剤として、炭酸ジメチル、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン(DPM)、アセチルアセトン、ニトロメタンなどを用いる方法も提案している(特願2006−321603)。
これらの先行発明での具体的な処理方法は、ダメージを受けた絶縁膜が存在する基板を回復処理装置となるチャンバー内に収容し、チャンバー内に回復剤蒸気を導入し、チャンバー内を50〜500℃に加熱して、回復剤蒸気を絶縁膜内に拡散させて絶縁膜中の化学的に活性なサイトであるダングリングボンドまたはシラノール基と回復剤とを反応させるものである。
この絶縁膜の活性サイトと回復剤との反応は、絶縁膜中に存在する回復剤濃度によって、換言すればチャンバー内の気相中の回復剤濃度によって、その反応率、反応速度等が左右され、回復剤濃度が高いことが望ましい。
さらに不活性雰囲気における加熱処理では絶縁膜中の2つのシラノール基が脱水反応によりSi−O−Si結合を生成するが、回復処理温度では可逆反応であり再び水分と反応することでシラノール基に戻る。したがって、脱水反応を抑制するため、反応温度より低い温度で回復剤の絶縁膜中の濃度を高める方策が必要となる。
しかしながら、前述の先行発明では、チャンバー内の気相での回復剤濃度を高めるための方策および絶縁膜中の回復剤濃度を高める方策は検討されていなかった。
「シリコンテクノロジー」2005年、第71巻、第39〜42頁 特開2006−210774号公報
よって、本発明における課題は、絶縁膜中での回復剤濃度を高めることができて、効率的に回復処理が進行でき、回復後の絶縁膜の特性も良好となる回復処理方法を得ることにある。
かかる課題を解決するため、
請求項1に係る発明は、プラズマ処理によりダメージを受けた絶縁膜が存在する基板をチャンバー内に収め、チャンバー内に回復剤蒸気を導入し、チャンバー内部を加熱して、前記絶縁膜のダメージ回復処理を行う際に、
チャンバーの内壁の温度を回復剤の沸点よりも高温とし、しかも基板の温度よりも高温とすることを特徴とする絶縁膜のダメージ回復処理方法である。
求項に係る発明は、チャンバー内に回復剤蒸気を導入したのち、基板の温度を昇温することを特徴とする請求項1記載の絶縁膜のダメージ回復処理方法である。
本発明によれば、チャンバー内に導入された回復剤蒸気がチャンバーの内壁面で凝縮することがなくなり、このためすべての回復剤蒸気が気相中に存在することになって、気相中の回復剤濃度が高くなり、結果的に絶縁膜中の回復剤濃度が高くなって、絶縁膜中の活性サイト、例えばシラノール基と回復剤との反応が効率的に進行して、ダメージ回復処理が良好になる。
したがって、この回復処理を受けた絶縁膜の誘電率は、ダメージを受ける前の値に近いものとなる。
図1は、この発明のダメージ回復処理方法に用いられる回復処理装置の一例を示すもので、図1中符号1はチャンバーを示す。
このチャンバー1は、熱伝導率が大きいAl材料からなるもので、複数の埋め込み式のヒーター2が内蔵され、チャンバー内壁1aを均一に加熱できる構造となっている。
チャンバー1内の底部付近には、サセプタ3が設けられている。サセプタ3内にはサセプタヒータ4が内蔵されており、サセプタ3上に載置される基板5を加熱できるように構成されている
チャンバー1内の上部には、サセプタ3に対峙するように、平板状のシャワーヘッド6が設けられている。このシャワーヘッド6は、供給パイプ8を介して送給される回復剤蒸気をサセプタ3上の基板5の全面に均一に噴霧するためのものである。供給パイプ8は図示しない回復剤供給装置に接続されており、回復剤蒸気がシャワーヘッド6に送られるようになっている。
また、チャンバー1には、チャンバー1内の気体を排気してチャンバー1内を所定の圧力に保つための排気パイプ9が設けられており、これら排気パイプ9は図示しないチャンバー圧力を調整するための排気装置に接続されている。
つぎに、このような回復処理装置を用いて回復処理を実施する方法を説明する。
はじめに、プラズマ処理によってダメージを受けた絶縁膜について説明する。
プラズマ処理によってダメージを受けた絶縁膜とは、半導体装置の製造に関わる一連のプロセスによって、膜の誘電率を構成する成分(電子分極、イオン分極および配向分極)のうちのいずれかが増加するような膜である。シリコンなどからなる基板上に半導体素子を構成するものとして成膜された厚さ10〜10000nmで、誘電率が3以下の低誘電率の絶縁膜が、特にプラズマCVD成膜、プラズマエッチング処理、プラズマアッシング処理などのプラズマ処理を受けたものを指す。これらの絶縁膜は、半導体装置の多層配線構造を構築するための各種プラズマ処理によって、絶縁膜のメチル基等の有機側鎖が切断されることによって、その誘電率が高くなっているものでもある。
また、絶縁膜の形成方法にとらわれることはなく、出発材料がSi系材料もしくは炭化水素系材料であればいかなるものでもよい。さらに、膜が多孔質であってもなくてもよい。
また、上述のように、絶縁膜を構成するシロキサン結合のSi−O骨格に結合しているメチル基などの有機基が切断されて脱離し、Siダングリングボンドが形成されたもので、さらに雰囲気中の水分と結合してシラノール基が生成されることにより、親水性に変性したものである。
このような絶縁膜のなかでも好ましいものは、多孔質のSiOCHなどのSi系材料からなる低誘電率絶縁膜であって、Siダングリングボンドが形成されたもので、雰囲気中の水分と結合し、シラノール基が生成しない前の状態のものである。
まず、ダメージを受けた絶縁膜が存在する基板5をサセプタ3上に載置する。この時の基板5の温度は、常温程度で良く、200℃以下であることが好ましい。200℃を越えると、絶縁膜中のダメージを受けることによって生成したシラノール基の脱水、縮合が部分的に始まり、回復剤との反応が阻害されることになる。
ついで、チャンバー1内を排気して、内部の圧力を10kPa以下、好ましくは0〜500Paとする。これに先立ち、チャンバーヒータ2をONとして、内壁1aの壁面温度を回復剤蒸気が凝縮しない温度、換言すればチャンバー1内の圧力下での回復剤の沸点以上の一定温度、例えば150〜250℃に保持する。この際、サセプタヒータ4の温度は20〜200℃とされ、回復剤蒸気の導入時点より20℃から200℃に昇温してもよく、また処理終了まで150〜200℃の範囲で一定としてもよい。しかし、サセプタ3の温度がチャンバー1の内壁1aに内壁温度を越えることはない。
前記壁面温度が回復剤の沸点以下では、回復剤蒸気が内壁1aの内壁面に凝縮して、気相中の回復剤濃度が低下して、回復処理の支障を来す。また、250℃を越えると回復剤自体が熱分解する可能性がある。
ついで、供給パイプ8からチャンバー1内に回復剤蒸気を導入し、シャワーヘッド6から基板5に向けて噴霧し、チャンバー1内の圧力を徐々に上げて行き、100〜5000Paとする。回復剤蒸気の導入量は、0.01〜0.05リットル/分程度とされる。
回復剤蒸気の導入開始から約1〜15分で処理を終了する。
ここで用いられる回復剤としては、まず、分子内に、非酸化性であるカーボネイト基、ニトロ基、カルボニル基、アゾ基、アルデヒド基、水酸基、カルボキシル基のうち少なくとも1種以上の官能基と、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭化水素基または水素基の1種以上を有する化合物が挙げられる。
具体的には、以下の化学式(1)〜(15)で示される化合物などである。
(CaHbO)(CcHdO)CO・・・・(1)
ここで、a=1〜6、b=3〜13、c=1〜6、d=3〜13のいずれも整数である。
(CaHb)NO・・・・(2)
ここで、a=1〜6、b=3〜13のいずれも整数である。
(CaHb)(CcHd)CO・・・・(3)
ここで、a=1〜6、b=3〜13、c=1〜6、d=3〜13のいずれも整数である。
((CaHb)C)((CcHd)C)CH(CO)・・・・(4)
ここで、a=0〜6、b=3〜13、c=0〜6、d=3〜13のいずれも整数である。
((CaHb)O)((CcHd)O)CH(CO)・・・・(5)
ここで、a=1〜6、b=3〜13、c=1〜6、d=3〜13のいずれも整数である。
((CaHb)C)(CcHd)CH(CO)・・・・(6)
ここで、a=0〜6、b=3〜13、c=0〜6、d=3〜13のいずれも整数である。
((CaHb)O)(CcHd)CH(CO)・・・・(7)
ここで、a=1〜6、b=3〜13、c=1〜6、d=3〜13のいずれも整数である。
(CaHb)NHN・・・・(8)
ここで、a=1〜6、b=3〜13のいずれも整数である。
((CaHb)C)CHO・・・・(9)
ここで、a=0〜6、b=3〜13のいずれも整数である。
((CaHb)O)CHO・・・・(10)
ここで、a=1〜6、b=3〜13のいずれも整数である。
(CaHb)CHO・・・・(11)
ここで、a=0〜6、b=1〜13のいずれも整数である。
(CaHb)(OH)c・・・・(12)
ここで、a=0〜6、b=1〜13、c=1〜3のいずれも整数である。
(CaHb)COOH・・・・(13)
ここで、a=0〜6、b=1〜13のいずれも整数である。
(CaHb)COO(CcHd)・・・・(14)
ここで、a=0〜6、b=1〜13、c=0〜6、d=1〜13のいずれも整数である。
(CaHbCO)O・・・・(15)
ここで、a=0〜6、b=1〜13のいずれも整数である。
これら化学式で表される具体的な化合物名としては、例えば炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジフェニル、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、2,2,6,6−テトラエチル−3,5−ヘプタンジオン、2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオン、2−ジエチル−3,5−ヘキサンジオン、2−ジメチル−3,5−ペンタンジオン、2−ジエチル−3,5−ペンタンジオン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、ヘキサノン−2、ヘキサノン−3、アセトニルアセトン、メシチルオキシド、ホロン、アセチルアセトン、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロパン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、カプロアルデヒド、ヘプタアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、1,2,4−1Hトリアゾール、ホルムアルデヒド、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ギ酸、酢酸、無水酢酸、無水ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチルなどである。
これ以外の回復剤として、以下のようなシリコン化合物が挙げられる。
Si2n+2(n=1〜4),Si(CH(x=1〜4,y=0〜9,z=1〜10),Si(C(x=1〜4,y=0〜9,z=1〜10),Si(C(x=1〜4,y=0〜9,z=1〜10)、Si(C(x=1〜4,y=0〜9,z=1〜10),Si(C(x=1〜4,y=0〜9,z=1〜10),Si(CH(a=1〜4,b=1〜4,c=0〜4,d=5〜8),Si(C(a=1〜4,b=1〜4,c=0〜4,d=5〜8),Si(C(a=1〜4,b=1〜4,c=0〜4,d=5〜8),Si(C10(a=1〜4,b=1〜4,c=0〜4,d=5〜8),Si(C(a=1〜4,b=1〜4,c=0〜4,d=5〜8)である。これら化合物に含まれる水素Hは重水素Dに置き換えてもよい。
また、これらのシリコン化合物は、その水素原子の一部または全部が塩素、ヨウ素、フッ素、臭素などのハロゲン原子で置換されていてもよい。また、分子内にアルコキシ基を有するシリコン化合物でもよく、そのアルコキシ基には、メトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ基などが挙げられる。また、ビニル基、アミノ基を有するシリコン化合物であってもよい。
具体的なシリコン化合物には、SiH,Si,Si,Si10,SiH(CH,SiH(CH,SiH(CH),Si(CH,SiH(CH,Si(CH,Si(CH,Si(CH,SiCH,Si(CH、CHSiO(CH,Si(CH,Si(CH,Si(CH、SiF(CH,SiF(CH,SiF(CH)、SiCl(CH,SiCl(CH,SiCl(CH)、Si(CH)(CHO),Si(CH(CHO),Si(CH(CHO),Si(CHO),Si(CH)(CO),Si(CH(CO),Si(CH(CO),Si(CO) ,Si(C)(CHO),Si(C(CHO),Si(C(CHO)などがある。
また、以下のようなハイドロカーボンが回復剤として用いることができる。
2n+2(n=1〜8),C2n(n=2〜8),C2n−2(n=2〜8)であり、これら化合物に含まれる水素Hは重水素Dに置き換えてもよい。
具体的なハイドロカーボンには、CH,C,C,C10,C12、C,C,C,C10,C,C,C,Cなどがある。
具体的には、以下の化学式(1)〜(15)で示される化合物などである。
(CaHbO)(CcHdO)CO・・・・(1)
ここで、a=1〜6、b=3〜13、c=1〜6、d=3〜13のいずれも整数である。
さらに、ギ酸ターシャリー−ブチル、酢酸ターシャリーブチル、乳酸ターシャリーブチル、ターシャリー−ブチルメチルエーテル、ターシャリー−ブチルアミン、ジターシャリーブチルカーボネイト、ジターシャリーアミノジカーボネートなどのターシャリーブチル基を含む化合物、N,N,N´,N´−テトラメチルアミノメタンジアミノメタン、トリメチルアミン、メチルアミンなどの炭化水素基とアミノ基を含む化合物、乳酸ターシャリーブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸イソ−プロピルなどの乳酸化合物を使用することができる。
これらの回復剤は、上記各種類から選んだ1種または各種類を問わずに2種以上を混合して用いることができる。2種以上を混合する場合の混合比は任意である。
また、これらの回復剤は、常温で気体の場合は、そのまま使用され、回復剤の蒸気圧が低い場合には、キャリアガスによるバブリングや気化器によりガス化したうえ、チャンバー1内に供給する。
このような回復処理では、絶縁膜のSiダングリングボンドと回復剤とが反応し、メチル基などの有機基ラジカルが放出され、ついでこの有機基ラジカルと活性サイトであるSiダングリングボンドまたはシラノール基とが反応し、Siにメチル基などの有機基が結合することで回復処理がなされる。
回復剤として炭酸ジメチルを用いた場合の反応式は、以下の通りである。
Si・+1/4(CHO)CO→Si(CH)+1/4CO+1/8O
SiOH+(CHO)CO→Si(CH)+CO+CHOH+1/2O
この反応式からわかるように、反応後の生成物は、常温で気体の二酸化炭素と酸素などであり、これは基板上の銅配線層の表面に堆積等の影響を与えることはない。
また、この回復処理では、プラズマ処理により切断、脱離したメチル基などの有機基のみを再度Siダングリングボンドに結合させることができる。
また、回復剤は非酸化性であることから銅配線層などの金属膜を酸化することがなく、官能基が還元性であると、銅配線層などの金属層表面の酸化膜を除去することもできる。
このような回復処理によるダメージ回復の度合いは、誘電率により評価できる。誘電率の測定方法は、各種あるが、以下の実施例では、水銀プローブ方式にて行った。
絶縁膜のダメージ回復処理前後の赤外分光分析によってもメチル基の導入について評価できる。ダメージ回復処理前の絶縁膜のフーリエ変換赤外分光計によって吸光度を測定し、次いでダメージ回復処理後の絶縁膜の同じく吸光度を測定し、その差スペクトルを取ることで評価が可能である。
このような回復処理方法にあっては、チャンバー1内に噴霧された回復剤蒸気が、内壁1aの壁面温度が回復剤のその圧力下での沸点以上となっているので、内壁1aの壁面で凝縮することがない。このため、チャンバー1内の気相中における回復剤蒸気濃度が高く保持され、結果的に絶縁膜内に拡散する回復剤量が増加してシラノール基と良好に反応することになる。
また、基板5の温度を内壁1aの壁面温度より低い温度とした場合、チャンバー内で回復剤が内壁1aから基板5に向けて濃度が高くなるような濃度勾配を有することとなる。
さらに回復剤のその圧力下での沸点よりも低い場合には、基板5の表面に回復剤が凝縮することになるので、絶縁膜中に溶解拡散する回復剤量が増加することになり、さらに反応が良好に進行する。
本発明では、ダメージ回復処理を行う前または回復処理と同時に浸透促進剤を用いることで、さらなるダメージ回復の向上が可能となる。
ダメージ回復処理は、250℃以下の加熱雰囲気で行なわれる。しかし、回復剤がダメージ膜内部に拡散していない状態で加熱すると、ダメージを受けた絶縁膜内部のシラノール基同士が脱水縮合し、誘電率低下に寄与するネットワーク化されたSi−O結合による空孔が維持されない。
浸透促進剤は、すみやかにダメージ膜内部へ拡散するため、回復処理時に回復剤の拡散を促進することができる。さらに、浸透促進剤がシラノール基同士の縮合を抑制するため、ダメージ回復の障害となる活性種の生成または骨格の変化を低減することができる。
このような浸透促進剤には、アルコール、ケトン、アルデヒド、エステル、カルボン酸、炭化水素、テトラヒドロフラン、二硫化炭素のいずれか1種以上が用いられる。
浸透促進剤は、回復処理の前または回復処理と同時に用いることができ、回復処理と同様の250℃以下の加熱処理で使用される。回復処理の前に浸透促進剤を用いる時は、180℃以下の温度で加熱処理することが好ましい。
浸透促進剤の使用量は、回復剤や絶縁膜の組成に応じて適宜決められる。
さらに、ダメージ回復処理に障害となる反応を抑制するために、回復温度以下で回復剤を膜内部に十分に拡散させたのち、回復処理温度に加熱することでも、浸透促進剤を用いた場合と同様な効果となる。
回復剤の供給からダメージ回復処理に至るまでの回復処理温度を2段以上のステップからなる昇温プログラムで処理を行うことより、効率的なダメージ回復処理の実行が可能である。この操作は浸透促進剤と併用して行うことができる。
また、絶縁膜がプラズマ処理によりダメージを受けたのち、大気に触れることなく、引き続いてダメージ回復処理を行うことが望ましい。具体的には、プラズマ処理装置内でそのままダメージ回復処理を行う方法やプラズマ処理装置と回復処理装置とを気密に連結した装置を使用し、プラズマ処理後の基板を回復処理装置内に移送したのち、ダメージ回復処理を行う方法が採用できる。
この方法では、大気等の雰囲気に曝されることがないままの状態で回復処理が行われるので、雰囲気中の水分との反応によって絶縁膜中にシラノール基が生成する前のSiダングリングボンドにメチル基などの有機基を導入できて、効率よく回復処理を行うことができる。
以下、具体例を示す。
(実施例1)
低誘電率膜として、CVD法によりSiウェーハー上にASM社製Aurora膜を厚さ300nmに成膜したSiOCH膜を用いた。このSiOCH膜の誘電率は2.5であった。
ついで、このSiOCH膜をフッ素系ガスによる厚さ100nmのエッチッングおよび酸素によるアッシング処理によりにプラズマダメージを与えたサンプル膜を製作した。
このサンプル膜の誘電率は3.1であり、誘電率が増大していた。
フーリエ変換赤外分光光度計にて、前記SiOCH膜およぶプラズマダメージを与えたサンプル膜を測定し、波数1270cm−1に赤外吸収を有するSiCH3の吸収ピークが低下したことを確認した。
図2は、前記絶縁膜のプラズマダメージ後の赤外吸収スペクトルから成膜後のプラズマダメージを与える前の赤外吸収スペクトルを差し引いた差スペクトルである。
このプラズマダメージを与えたサンプル膜が形成されているウェーハーを、図1に示す回復処理装置内に収容して回復処理を施した。
予め、チャンバーヒーター2を動作させて、チャンバー1の内壁1aの内壁温度を250℃として一定に保つようにした。また、サセプタヒーター4を動作させ、その温度を180℃として一定に保つようにした。チャンバー1内の圧力を1Pa以下に排気した。
次いで、チャンバー1内のサセプタ4上に前記ウェーハーを載せ、ウェーハー温度が180℃となったところで、回復剤蒸気を0.03リットル/分の流量で導入し、5分間の回復処理を行った。5分後のチャンバー内の圧力は、4000Paとした。
チャンバー1の内壁1aの内壁温度、サセプタ温度、チャンバー内圧力の時間的な変化を示すタイミングチャートを図3に示す。
表1に、使用した回復剤の種類と回復処理後の絶縁膜の誘電率を示す。なお、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン(DPM)の沸点は210℃であり、炭酸プロピレンの沸点は242℃である。実際にはチャンバー圧力下での沸点を使用することが可能である。
また、図4に、回復剤として、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン(DPM)を用いて回復処理した後の絶縁膜の赤外吸収スペクトルから前記サンプル膜の赤外吸収スペクトルを差し引いた差スペクトルを示す。
Figure 0005173396
(実施例2)
実施例1で使用したサンプル膜を対象として同様に回復処理を実施した。
チャンバー1の内壁1aの内壁温度を250℃として一定に保つようにした。また、サセプタヒーター4を動作させ、その温度を70℃として一定に保つようにした。チャンバー1内の圧力を1Pa以下に排気した。
次いで、チャンバー1内のサセプタ4上に前記ウェーハーを載せ、ウェーハー温度が70℃となったところで、回復剤蒸気を0.03リットル/分の流量で導入し、サセプタ温度を22℃/分の昇温速度で昇温し、5分間の回復処理を行った。5分後のチャンバー内の圧力は、4000Paとした。
チャンバー1の内壁1aの内壁温度、サセプタ温度、チャンバー内圧力の時間的な変化を示すタイミングチャートを図5に示す。
表2に、使用した回復剤の種類と回復処理後の絶縁膜の誘電率を示す。
また、図6に、回復剤として、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン(DPM)を用いて回復処理した後の絶縁膜の赤外吸収スペクトルから前記サンプル膜の赤外吸収スペクトルを差し引いた差スペクトルを示す。
Figure 0005173396
(比較例)
実施例1で使用したサンプル膜を対象として同様に回復処理を実施した。
チャンバー1の内壁1aの内壁温度を70℃として一定に保つようにした。また、サセプタヒーター4を動作させ、その温度を180℃として一定に保つようにした。チャンバー1内の圧力を1Pa以下に排気した。
次いで、チャンバー1内のサセプタ4上に前記ウェーハーを載せ、ウェーハー温度が180℃となったところで、回復剤蒸気を0.03リットル/分の流量で導入し、5分間の回復処理を行った。5分後のチャンバー1内の圧力は、4000Paとした。
チャンバー内壁温度、サセプター温度、チャンバー内圧力の時間的な変化を示すタイミングチャートを図7に示す。
表3に、使用した回復剤の種類と回復処理後の絶縁膜の誘電率を示す。
また、図8に、回復剤として、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン(DPM)を用いて回復処理した後の絶縁膜の赤外吸収スペクトルから前記サンプル膜の赤外吸収スペクトルを差し引いた差スペクトルを示す。
Figure 0005173396
以上のように、実施例1、2では回復処理による誘電率の低下度合が大きいのに対して、比較例では低下度合が小さくなっており、チャンバー1の内壁1aの内壁温度をサセプタ温度よりも高くすることで回復処理効果が高くなることがわかる。
また、実施例2の通り、サセプター温度を70℃から180℃に昇温させた場合、より多くの回復剤を絶縁膜に供給できるため、誘電率はダメージ処理前のレベルまで低下していることが確認される。
本発明での回復処理に用いられる回復処理装置の例を示す概略構成図である。 実施例での赤外吸収スペクトルの差スペクトルである。 実施例1でのタイミングチャートを示すグラフである。 実施例1での赤外吸収スペクトルの差スペクトルである。 実施例2でのタイミングチャートを示すグラフである。 実施例2での赤外吸収スペクトルの差スペクトルである。 比較例でのタイミングチャートを示すグラフである。 比較例での赤外吸収スペクトルの差スペクトルである。
符号の説明
1・・チャンバー、2・・チャンバーヒーター、3・・サセプタ、4・・サセプタヒータ、5・・基板、6・・シャワーヘッド、8・・供給パイプ

Claims (2)

  1. プラズマ処理によりダメージを受けた絶縁膜が存在する基板をチャンバー内に収め、チャンバー内に回復剤蒸気を導入し、チャンバー内部を加熱して、前記絶縁膜のダメージ回復処理を行う際に、
    チャンバーの内壁の温度を回復剤の沸点よりも高温とし、しかも基板の温度よりも高温とすることを特徴とする絶縁膜のダメージ回復処理方法。
  2. チャンバー内に回復剤蒸気を導入したのち、基板の温度を昇温することを特徴とする請求項1記載の絶縁膜のダメージ回復処理方法。
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