JP5173275B2 - 無線通信システム及び無線通信方法 - Google Patents

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Description

本発明は、無線ネットワークに関し、特に、無線LANにおいてパケット衝突を低減する無線通信システム及び無線通信方法を提供する。
無線通信の利便性により、ユーザは更に多くのサポートを必要としている。無線ネットワークアドレス上の代表的なアプリケーションにはビデオストリーミング、ビデオ会議又は通信教育等がある。しかし、利用可能な無線帯域幅が制限されているため、802.11ネットワークではサービス品質(QoS:Quality of Service)管理がますます重要になっている。
最初の802.11メディアアクセス制御(MAC:Media Access Control)プロトコルでは、無線局に対し二つの通信モードが設計された。第1のモードは分散制御機能(DCF:Distributed Coordination Function)で、搬送波感知多重アクセス/衝突回避方式(CSMA/CA:Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)に基づいており、リッスン・ビフォア・トーク(listen before talk)と呼ばれる。無線局は、ネットワーク上で待機時間の間待機し、それからデータ送信及び衝突検知を開始する。第2のモードは集中制御機能(PCF:Point Coordination Function)で、時間に影響を受けやすいトラフィックフローをサポートする。PCFを用いると、無線アクセスポイント(AP:Access Point)は、定期的にビーコンフレームを送信することによって、無線LANに特有のネットワーク識別子及び管理パラメータを通信する。ビーコンフレームを送信する間、PCFは、時間を、無線局がDCFプロトコルを実行する競合期間とAPがQoSの要件に基づいて様々な無線局のアクセスを調整する非競合期間とに分割する。
DCF及びPCFは、トラフィックタイプ又はトラフィックソース間で違いがないため、IEEEはQoSを促進するために両制御のモードに対する拡張を提案した。これらの変更は、重要なサービス要求を満たすと同時に、現在の802.11の標準規格の古いバージョンとの上位互換性を持たせるようにしている。
拡張分散制御アクセス(EDCA:Enhanced Distribution Coordination Access)は、トラフィックカテゴリの概念を導入する。無線局はEDCAを使用して、メディアが対応するトラフィックカテゴリによって定義される待ち時間の間アイドル状態であることを検出した後、データ送信しようとする。優先度の高いトラフィックカテゴリの方が優先度の低いトラフィックカテゴリより待ち時間が短い。サービスに対する保証があるわけではないが、EDCAは確率的な優先度に基づくメカニズムを確立するために、トラフィックカテゴリに基づいて帯域幅を割り当てる。
IEEE802.11eEDCA標準規格は、トラフィックを4つのアクセスカテゴリ(AC:Access Category)、すなわち、音声、ビデオ、ベストエフォート及びバックグラウンドにグループ化することによって、異なるQoSを提供している。上位レイヤからの各フレームは、優先度の値(0〜7)を保持し、MACレイヤに伝えられる。優先度の値に基づいて、フレームはMACレイヤで4つのACに割り当てられる。音声ACは優先度が最も高く、ビデオACは優先度が2番目に高く、ベストエフォートACは優先度が3番目に高く、バックグラウンドACは優先度が最も低い。各ACは、AC自体の送信キュー及びAC自体のメディアアクセスパラメータのセットを有する。トラフィックの優先度の設定は、メディアアクセスパラメータ、すなわち、AIFS間隔、コンテンションウィンドウ(CW:Contention Window、CWmin、及びCWmax)及び送信権(TXOP:Transmission Opportunity)を使用して、優先度の高いACの方が優先度の低いACより比較的多くのメディアアクセスの機会を有することを保証する。
一般に、フレーム送信間隔(AIFS:Arbitration Interframe Space)は、無線局がバックオフ又は送信する前に、メディアがアイドル状態であることを検出しなければならない時間間隔である。優先度の高いACほど短いAIFS間隔を使用する。コンテンションウィンドウ(CW、CWmin、及びCWmax)は無線局がメディアにアクセスできるまでのバックオフタイムスロットの数を示す。CWは、最小値CWminから開始して、最大値CWに達するまで送信に失敗する度に2倍になる。つまり、CWは送信が再試行制限を越えるまで最大値CWmaxを保持する。優先度順位の高いACほど小さいCWmin及びCWmaxを使用する。TXOPは、各ACがメディアへのアクセスできた後に、フレーム送信が許可される最大持続時間を示す。衝突のオーバーヘッドを減少させるため、合計送信時間がTXOPの持続時間を越えない限り、取得した一つのTXOPの接続時間内で更に衝突することなく複数のフレームを送信できる。
二つの無線局が互いを監視できないことによって無線局による送信が衝突する可能性を減少させるために、仮想キャリア検知メカニズムが標準に定義される。ある無線局がトランザクションを開始する前に、無線局はRTS(Request To Send)と呼ばれる短い制御パケットを最初に送信する。この制御パケットは、送信元アドレス、宛先アドレス及び後続のトランザクションの持続時間(すなわちデータパケット及び各々のACK)を含む。次に、宛先となる無線局はCTS(Clear to Send)と呼ばれる応答制御パケットで応答する(メディアが空いているとき)。この応答制御パケットは、同じ持続時間の情報を含める。RTS及び/又はCTSを受信した全ての無線局は、仮想キャリア検知インジケータを設定する。すなわち、任意の持続時間についてネットワーク割り当てベクトル(NAV:network allocation vector)を設定して、アイドル状態又はビジー状態のメディアを検出するときに、物理キャリア検知とともにNAVを使用する。仮想キャリア検知メカニズムは、RTS送信の短い持続時間の間、送信局から「隠れている」無線局による受信側領域での衝突の可能性を減少させるが、これは無線局がCTSを監視し、トランザクション終了までメディアを使用中として「予約」することによる。RTSの持続時間の情報によって応答した無線局の範囲外にある無線局によるACKの間に発生する衝突から送信側を保護する。RTS及びCTSは短いフレームであるため、これらのフレームはデータパケット全体が送信される場合よりも速く認識されるので(データパケットがRTSより大きいと仮定する)、仮想キャリア検知メカニズムは、衝突のオーバーヘッドを減少させる。仮想キャリア検知メカニズムの規格では、短いデータパケット、すなわち、RTS閾値より短いパケットについては、RTS/CTSのトランザクションなしで送信することができる。
これらのメディアアクセスパラメータを用いて、EDCAは次のように動作する。
送信局が何らかの送信を開始する前に、送信局は、最初に少なくともAIFS間隔の間、チャネルが物理的及び仮想的にアイドル状態であることを検出する必要がある。AIFS間隔の後にチャネルが依然としてアイドル状態であれば、送信局はRTS送信を開始し、受信局からのCTS送信を待つ。
送信局は、RTS送信中に衝突が発生する場合、又は受信局からCTSが受信されない場合、バックオフ手続きを呼び出し、バックオフカウンタを使用して、0〜CW(最初はCWminに設定される)から選択されるランダムなバックオフタイムスロットをカウントダウンする。送信局は、チャネルがアイドル状態であると検出している限り、バックオフカウンタを1ずつ減算する。送信局は、バックオフ手続き中にチャネルのビジー状態を検出した場合、現在のバックオフ手続きを中断して、再びAIFS間隔の間、チャネルがアイドル状態であると検出されるまで、バックオフカウンタを一時停止する。AIFS間隔の後に、チャネルが依然としてアイドル状態であれば、送信局は、残っているバックオフカウンタの減算を再開する。
バックオフカウンタがゼロに達すると、送信局はRTS送信を開始し、受信局からのCTS送信を待つ。送信局は、RTS送信中に衝突が発生する場合、又は受信局からCTSが受信されない場合、CWのサイズを増分させて別のバックオフ手続きを呼び出す。すなわち、上述したように、各送信が成功しなかった後、CWは基本的に、CWmaxに達するまで2倍になる。送信が成功した後、CWはそのデフォルト値であるCWminに戻る。トランザクション中、無線局は、合計送信時間がTXOP持続時間を越えない限り、競合することなく、複数のフレームを送信できる。
各ACのQoS制御レベルは、メディアアクセスパラメータ及びネットワーク中で競合する無線局の数の組み合わせによって決まる。非APQoS無線局(QSTAs:non−AP QoS stations)で使用されるEDCAパラメータのデフォルト値は図1のように識別される。TXOP_Limit値が0というのは、単一のMACサービスデータユニット(MSDU:MAC service data unit)又はMACプロトコルデータユニット(MPDU:MAC protocol data unit)が交換するRTS/CTS又は、自身へのCTSに加えて、それぞれのTXOPにおける任意の速度で送信できることを表す。
ハイブリッド制御機能制御チャネルアクセス(HCCA:Hybrid Coordination Function Controlled Channel Access)は、PCFの概念を用いるが、基本的に、DCFプロトコルの代わりに、EDCAを改良したプロトコルを用いる。すなわち、HCCAを用いる場合、APは、定期的にビーコンフレームを送信する。ビーコンフレームを送信する間、HCCAは、時間を、競合期間と非競合期間とに分割する。競合期間中は、EDCAプロトコルが用いられる。非競合期間中は、APがQoS要件に基づいて、様々な無線局のアクセスを調整する。
AP制御アクセス、例えば、PCF及びHCCAを用いるネットワークは、複雑な実装及び大きなオーバーヘッドを必要とする。したがって、ネットワーク設計者は、分散無線アクセス、例えば、DCF又はEDCAを用いて、より簡単なネットワークを実装する。しかし、無線局が実行する分散無線アクセス、例えば、DCF及びEDCA等は、制御されることなく無線メディアへのアクセスを獲得するので、衝突が生じる(特に、多数の無線局が一つの無線チャネルへアクセスを獲得するために競合しているとき)。さらに、異なるACは、低い優先度のパケットが高い優先度のパケットと衝突する機会を排除しない。
したがって、分散無線アクセスを実装するネットワークにおいて、例えば、EDCAを用いて、複数のアクセスカテゴリを実装するときに、パケットの衝突の危険を低減することができるシステム及び方法が必要とされている。
従来技術として、以下の文献がある。
米国特許出願公開第6934752号明細書 米国特許出願公開第6967937号明細書 米国特許出願公開第2004/0137907号明細書 米国特許出願公開第2005/0021864号明細書 米国特許出願公開第2005/0073973号明細書 米国特許出願公開第2005/0233704号明細書 米国特許出願公開第2005/0243788号明細書 米国特許出願公開第2006/0171348号明細書 米国特許出願公開第2006/0193274号明細書 米国特許出願公開第2006/0034219号明細書 欧州特許出願公開第1615395号明細書 国際公開第2005/008938号パンフレット IEEE 802.11 WG、"Draft Supplement to Part 11: Wireless Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications: Medium Access Control (MAC) Enhancements for Quality of Service (QoS)"、IEEE 802.11e、Nov. 2005 C. Lim, C-H. Choi、"TDM-based coordination function (TCF) in WLAN for high Throughout"、IEEE Global Telecommunications Conference、Vol. 5、pp. 3235-3239、Nov. 2004
本発明の代表的な一形態によると、無線LANネットワークに含まれるシステムであって、スロット情報と、スロット数をカウントするためのカウンタと、無線メディアを観測し、分散無線アクセスプロトコル、カウンタによってカウントされる現在のスロットに対応する現在のスロット番号、及び、スロット情報に基づいて現在のスロット中でMACフレームの送信を開始するアクセスコントローラと、を含む無線LANネットワークに含まれるシステムを提供する。
スロット情報は、スロット割当て情報及びスロットバイアス情報のうちのいずれか一つを含む。システムは、アクセスポイントにおいて動作し、無線LANネットワークに含まれる無線局にスロット情報を伝送するサーバモジュールをさらに備えてもよい。サーバモジュールは、無線LANネットワークに含まれる無線局の全数、無線局優先度、アクセスカテゴリ優先度、無線局応答時間、無線局情報、及びランダムパターンのうちの少なくとも一つに基づいてスロット情報を生成してもよい。システムは、無線局において動作する。分散無線アクセスプロトコルは、DCF及びEDCAのうちのいずれか一つを含んでもよい。分散無線アクセスプロトコルは、EDCAを含み、スロット情報は、特定のアクセスカテゴリに対応し、該特定のアクセスカテゴリに対応するスロット情報は、所定のスロット情報値の中で動的にローテーションする。アクセスコントローラは、バックオフカウンタがゼロであり、且つ、tmodN=niを満たすときに、MACフレームを送信する。ただし、tは現在のスロット番号であり、Nは無線LANに備わる無線局の全数であり、niはスロット情報として一つの無線局に割り当てられるスロット番号である。アクセスコントローラは、バックオフカウンタがゼロであり、且つ、スロットバイアスメカニズムを満たすときにMACフレームを送信し、スロットバイアスメカニズムは、無線メディアに対して所定の確率のアクセスを達成するように動作する。スロットバイアスメカニズムは、乱数を生成し、tmodN=niであるときに該乱数を高い確率値と比較する。ただし、tは現在のスロット番号であり、Nは無線LANネットワークに含まれる無線局の全数であり、niはスロット情報として一つの無線局に割り当てられるスロット番号である。また、スロットバイアスメカニズムは、tmodN≠niを満たすときに、該乱数を低い確率値と比較する。
本発明の別の実施の形態によると、無線LANネットワークに含まれるシステムにおいて実行される方法であって、無線メディア上で送信するためにMACフレームを特定し、無線メディアを観測し、スロット数をカウントし、且つ、分散無線アクセスプロトコル、スロットカウンタによってカウントされる現在のスロットに対応する現在のスロット番号、及びスロット情報に基づいて現在のスロット中にMACフレームを送信することを含む無線LANネットワークに含まれるシステムにおいて実行される無線通信方法を提供する。
スロット情報は、スロット割当て情報及びスロットバイアス情報のうちのいずれか一つを含む。無線通信方法は、アクセスポイントにおいて動作し、アクセスポイントによってスロット情報を無線LANに備わる無線局に伝送することをさらに含む。無線通信方法は、無線LANに備わる無線局の全数、無線局優先度、アクセスカテゴリ優先度、無線局応答時間、無線局情報、及びランダムパターンのうちの少なくとも一つに基づいてスロット情報を生成することをさらに含む。無線通信方法は、無線局において動作する。分散無線アクセスプロトコルは、EDCAを含み、スロット情報は、特定のアクセスカテゴリに対応し、無線通信方法は、特定のアクセスカテゴリに対応するスロット情報を所定のスロット情報値の中で動的にローテーションすることをさらに含む。MACフレームの送信は、バックオフカウンタがゼロであり、且つ、tmodN=niを満たすときに開始する。ただし、tは現在のスロット番号であり、Nは無線LANに備わる無線局の全数であり、niはスロット情報として一つの無線局に割り当てられるスロット番号である。MACフレームの送信は、バックオフカウンタがゼロであり、且つ、スロットバイアスメカニズムを満たすときに開始し、スロットバイアスメカニズムは、無線メディアに対して、所定の確率でアクセスを達成するように動作する。スロットバイアスメカニズムは乱数を生成し、tmodN=niであるとき、該乱数を高い確率値と比較する。ただし、tは現在のスロット番号であり、Nは無線LANに備わる無線局の全数であり、niはスロット情報として一つの無線局に割り当てられるスロット番号である。また、スロットバイアスメカニズムは、tmodN≠niを満たすときに、該乱数を低い確率値と比較することができる。
さらに本発明の別の実施の形態によると、無線LANネットワークに含まれる無線通信システムであって、アクセスポイント及び無線局に対するスロット情報を生成するサーバモジュールと、スロット数をカウントするAPカウンタと、無線メディアを観測し、分散無線アクセスプロトコルに、APカウンタによってカウントされる現在のスロットに対応する現在のスロット番号、及びスロット情報に基づいて現在のスロット中にMACフレームを送信するアクセスポイントメディアアクセスコントローラとを備えるアクセスポイントと、サーバモジュールによって生成されるスロット情報を受信するクライアントモジュールと、スロット数をカウントする無線局カウンタと、無線メディアを観測し、分散無線アクセスプロトコル、無線局カウンタによってカウントされる現在のスロットに対応する現在のスロット番号、及びスロット情報に基づいて現在のスロット中にMACフレームを送信する無線局メディアアクセスコントローラとを備える少なくとも一つの無線局と、を備える無線LANに備わる無線通信システムを提供する。サーバモジュールによって生成されるスロット情報は、スロット相関情報及びスロットバイアス情報のうちのいずれか一つを含む。
本発明の実施形態は、分散無線アクセスを実装する無線LANにおいて公平性及び簡易性を維持しながら、パケット衝突の危険を低減するために、アクセスポイント(AP)に最小限の情報を付加する。無線LAN内のパケット衝突を低減することによって、ネットワークのスループット、ネットワークの待ち時間、及び無線局の電力効率を改善することができる。一般的に、APは、スロット情報を生成し、スロット情報を無線局に送信する。AP及び無線局は、スロット情報を用いてスロットを弁別し、パケット衝突の危険を低減する。
以下の説明は、当業者が本発明を実施し使用することができるように提供され、特定の用途及びその要件に関連して提供されるものである。実施形態に対する様々な変更が当業者には可能であり、本明細書で定義される一般原理は、これら及びその他の実施形態並びに用途へ、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく適用される。つまり、本発明は図示した実施形態に制限されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理、特徴及び教示と整合する最大範囲に認容されるべきものである。
本発明の実施形態は、分散無線アクセスを実装する無線LANにおいて公平性及び簡易性を維持しながら、パケット衝突の危険を低減するために、アクセスポイント(AP)に最小限の機能を付加する。無線LAN内のパケット衝突を低減することによって、ネットワークのスループット、ネットワークの待ち時間、及び無線局の電力効率を改善することができる。一般的に、APは、スロット情報を生成し、スロット情報を無線局に送信する。AP及び無線局は、スロット情報を用いてスロットの弁別を達成し、パケット衝突の危険を低減する。本発明の実施形態では、各AP及び各無線局は、IEEE802.11eのEDCAプロトコルのバックオフ手順を変更する。
図2は、本発明の実施形態による分散無線アクセス及びスロットの弁別を行なう無線LAN200のブロック図である。無線LAN200は、一般的にインターネットと呼ばれる広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)のようなコンピュータネットワーク210に接続されるAP205を含む。本発明の実施形態では、AP205は、有線接続を介してコンピュータネットワーク210に接続されるが、無線接続によって接続されてもよい。無線LAN200は、三つの無線基地局、すなわち、無線局215A、無線局215B、及び無線局215Cを含む(ただし、任意の数の無線局を含んでもよい)。各無線局215A、215B及び215Cは、無線メディアを介してAP205と無線通信する。各無線局215A、215B及び215Cは、本明細書において、まとめて無線局215と呼ばれるが、それぞれが同じものである必要はない。
AP205は、APメディアアクセス制御(MAC:Medium Access Control)コントローラ220を含み、AP205によって無線メディアへの分散無線アクセスを制御し、且つ、AP205及び無線局215によってスロットの弁別を制御するように動作するハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアを含む。AP MACコントローラ220の詳細は、図3及び図4を参照して説明する。
無線局215Aは、STA MACコントローラ225Aを含む。また、無線局215Bは、STA MACコントローラ225Bを含む。また、無線局215Cは、STA MACコントローラ225Cを含む。各STA MACコントローラ225A、225B、及び225Cは、本明細書において、まとめてSTA MACコントローラ225と呼ばれるが、それぞれが同じものである必要はない。STA MACコントローラ225は、各無線局215によって無線メディアへの分散無線アクセスを制御し、AP MACコントローラ220によって与えられるスロット情報に基づいてスロットの弁別を制御するように動作するハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアを含む。
具体的には、本発明の実施形態では、AP MACコントローラ220は、スロット相関によってスロットの弁別を達成する。AP MACコントローラ220は、無線LAN200に備わるN個の全ての無線局215のi番目の無線局215に固有の番号niを割り当てる。各STA MACコントローラ225は、EDCAバックオフメカニズムに従うが、所定の変更を付加して無線メディアにアクセスする。すなわち、STA MACコントローラ225のバックオフカウンタがゼロであり、且つ、現在のスロット番号(t)がtmodN=niを満たすものと判定される場合、i番目の無線局215が送信する。そうでない場合、無線局215は、前述した条件を満たす次のスロットまで、送信を延期する。各無線局215が、パケット送信を開始すべき自らのスロットを割り当てられる場合、パケット衝突は避けられる。
別の実施形態では、AP MACコントローラ220は、スロットバイアスによってスロットの弁別を達成する。AP MACコントローラ220は、スロットバイアス値を指示するスロット情報を送信する。各STA MACコントローラ225は、EDCAバックオフメカニズムに従うが、所定の変更を付加して、無線メディアにアクセスする。各無線局215は、無線局215のバックオフカウンタがゼロであり、且つ、スロット番号及びスロットバイアス値に基づいたスロットバイアスメカニズムを満たすときに送信する。したがって、スロットバイアスメカニズムを用いることによって、AP MACコントローラ220は、他のスロットの使用を妨げることなく、一つ又は複数のスロットを選択するように、各STA MACコントローラ225にバイアスをかける。一つ又は複数のスロットを選択するように各無線局215にバイアスをかけることによって、パケット衝突の危険を低減することができる。
いくつかの実施形態では、二つ以上の無線局215が、同じスロットと関連付ける、又は、同じスロットを選択するようにバイアスをかけることは、当業者に理解できる。また、パケット衝突の危険は低減される。別の実施形態では、スロット情報は、無線局215内の各アクセスカテゴリ(AC)に、スロット相関又はスロットバイアス値を割り当てる。このように、アクセスカテゴリ毎にスロットの弁別を適用して、低い優先度のACパケットよりも高い優先度のACパケットの方が、効率的に無線メディアへアクセスできる。さらに、高い優先度の無線局215又はACは、低い優先度の無線局215又はACよりも、多くのスロット相関又は高い優先度のスロットが割り当てられる。
AP205は、ネットワーク条件が変化する場合には必ず、更新されたスロット情報を送信する。例えば、AP205は、一つの無線局215が無線LAN200に加入する、又は無線LAN200から離脱する度に、更新されたスロット情報を送信する。
図3は、本発明の実施形態によるAP205の詳細を示すブロック図である。AP205は、プロセッサ305(例えば、Intel Pentium(登録商標)マイクロプロセッサ又はMotorola Power PC(登録商標)マイクロプロセッサ等)、メモリ310(例えば、ランダムアクセスメモリ等)、データ記憶デバイス315(例えば、磁気ディスク等)、コンピュータネットワークインターフェース320、入出力(I/O:Input/Output))325(例えば、キーボード、マウス、及びLCDディスプレイ等)、及び、WiFiチップセット330を備え、それぞれ通信チャネル350に接続される。コンピュータネットワークインターフェース320は、コンピュータネットワーク210に接続されてもよい。メモリ310及びデータ記憶デバイス315は、異なる装置として図示されるが、メモリ310及びデータ記憶デバイス315は、同じ装置の一部、分散装置、又は仮想メモリ等にすることは当業者には理解できる。本明細書における用語「メモリ」は、データを恒久的に記憶するメモリ及びデータを一時的に記憶するメモリのいずれの場合も、全てのデータ記憶媒体を網羅することを意図する。
メモリ310は、WiFiチップセット330とコンピュータネットワークインターフェース320との間の通信を可能にするブリッジングソフトウェア345を格納する。WiFiチップセット330は、AP MACコントローラ220及び無線アンテナ340に接続されるネットワークプロセッサ335を含む。AP MACコントローラ220の詳細は、図4を参照して説明する。
図4は、本発明の実施形態によるAP MACコントローラ220の詳細を示すブロック図である。AP MACコントローラ220は、スロット情報サーバモジュール405及びスロット弁別メディアアクセスコントローラ(SDMAC:Slot−Discriminating Medium Access Controller)410を含む。
スロット情報サーバモジュール405は、AP205及び無線局215のスロット情報を生成し、各無線局215にスロット情報を伝送するハードウェア、ソフトウェア、及び/又は、ファームウェアを含む。本発明の実施形態では、スロット情報サーバモジュール405は、無線局215をポーリングし、無線LAN200の中に、どの無線局が存在するか判別する。無線LAN200に備わる全ての無線局215は、スロット情報サーバモジュール405に、識別情報を送信する。スロット情報サーバモジュール405は、各無線局215が個々のスロット情報を用いて、スロットの弁別ができるようにスロット情報を生成し、無線LAN200内の各無線局215にスロット情報を送信する。スロット情報サーバモジュール405は、AP205によってスロットを弁別するためのスロット情報をSDMAC410に通知する。
本発明の実施形態では、特定のスロット情報がスロット相関を達成する。すなわち、特定の無線局215を、特定のスロット(例えば、専用スロット又は共有スロット)、又は、複数のスロット(例えば、複数の専用スロット、複数の共有スロット、又は組み合わせ)に関連付けることができる。スロット情報サーバモジュール405によって送信される具体的なスロット情報は、1とN(Nは無線LAN200内の無線局215の全数である)との間の数ni及び数Nを含む。例えば、スロット情報サーバモジュール405は、無線局215Aに、全部で三つのスロットのうちのスロット番号1を割り当て、無線局215Aに、三つのスロットの各グループのうちの最初を使用すべきであることを通知することができる。
別の実施形態では、特定のスロット情報によってスロットバイアスを達成する。すなわち、特定の無線局215は、他のスロットよりも優先して特定のスロットを使用し、無線局215が他のスロットを使用するのを妨げないようにバイアスをかけることができる。したがって、特定のスロット情報は、確率値、確率値識別子、1とNとの間の数(既知の確率値に変換される)、及び/又は、加重値(或る確率を達成する)等を含む。該特定のスロット情報は、二つの確率パラメータPH及びPLを含む。また、PH及びPLは、フレーム送信確率であり、ノードの全数、及び、高い優先度のノードの全数等のネットワークトポロジによって決まる。例えば、スロット情報サーバモジュール405は、スロット情報を与え、3スロット毎のスロット番号1に0.8の確率値を割り当て、他の全てのスロットに0.2の確率値を割り当てるように、無線局215Aに指示することができる。このように、無線局215Aが、スロット番号2又は3よりもスロット番号1を用いる可能性を4倍高くすることができる。無線局215は、専用及び共有のいずれの場合も、複数のスロットのために、より高い確率パラメータ、例えば、PHを割り当てられることは当業者に理解できる。
スロット情報サーバモジュール405は、無線局優先度、AC優先度、無線局 MACアドレス、無線局応答時間、及びランダムなパターン等に基づいてスロット相関及び/又はスロット確率値を各無線局215に適合させる。
SDMAC410は、AP205によってスロットを弁別する分散無線アクセスを管理する。また、SDMAC410は、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアを含む。例えば、SDMAC410は、スロットの弁別を用いるEDCA手順を実装する。本発明の実施形態では、AP205のSDMAC410は、SDMAC410のバックオフカウンタがゼロであり、且つ、現在のスロット番号(t)がt mod N=niを満たすと判定するときに送信する。そうでない場合、SDMAC410は、tmodN=niを満たす次のスロットまで送信を延期する。別の実施形態では、AP205のSDMAC410は、SDMAC410のバックオフカウンタがゼロであり、且つ、SDMAC410のスロット番号及びスロットバイアス値に基づくスロットバイアスメカニズムが満たされるときに送信する。例えば、SDMAC410は、現在のスロットの場合、乱数X(例えば、0と1との間でランダムに選択される数)が、スロットバイアス値SBVi(例えば、0と1との間の数)よりも小さい場合に送信する。すなわち、SDMAC410は、X[0,1]<SBViである場合に送信する。PH及びPLは、SBVの例である。AP205によってスロット番号を保持することは、図7を参照して詳細に説明する。
図5は、本発明の実施形態による無線基地局215の詳細を示すブロック図である。無線局215は、プロセッサ505(例えば、Intel Pentium(登録商標)マイクロプロセッサ又はMotorola Power PC(登録商標)マイクロプロセッサ等)、メモリ510(例えば、ランダムアクセスメモリ等)、データ記憶デバイス515(例えば、磁気ディスク等)、I/O525(例えば、キーボード、マウス、及びLCDディスプレイ等)、及び、WiFiチップセット530を備え、それぞれ通信チャネル550に接続される。メモリ510及びデータ記憶デバイス515は、異なるユニットとして図示されるが、メモリ510及びデータ記憶デバイス515は、同じユニットの一部、分散ユニット、又は仮想メモリ等にすることは当業者に理解できる。本明細書における用語「メモリ」は、永久メモリ及び一時メモリのいずれの場合も、全てのデータ記憶媒体を網羅することを意図する。
WiFiチップセット530は、無線局MACコントローラ225、及び無線アンテナ540に接続されるネットワークプロセッサ535を含む。無線局MACコントローラ225の詳細は、図6を参照して説明する。
図6は、本発明の実施形態による無線局 MACコントローラ225の詳細を示すブロック図である。無線局 MACコントローラ225は、スロット情報クライアントモジュール605及びSDMAC610を含む。
スロット情報クライアントモジュール605は、AP205のスロット情報サーバモジュール405からスロット情報を入手するハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアを含む。スロット情報サーバモジュール405から、スロット情報クライアントモジュール605は、無線LAN200内にどの無線局が存在するかを問い合わせるポーリングを受信する。該ポーリングに応答して、スロット情報クライアントモジュール605は、識別情報をスロット情報サーバモジュール405に送信する。その後、スロット情報クライアントモジュール605は、スロット情報サーバモジュール405からスロット情報を受信し、スロット情報を受信することによって、無線局215がスロットを弁別できるようにする。
前述したように、本発明の実施形態では、特定のスロット情報がスロット相関を達成する。すなわち、特定の無線局215を、特定のスロット(例えば、専用スロット又は共有スロット)に関連付けることができる、又は複数のスロット(例えば、複数の専用スロット、複数の共有スロット、又は組み合わせ)に関連付けることができる。スロット情報サーバモジュール405によって送信される具体的なスロット情報は、0とN−1(Nは無線LAN200内の無線局215の全数である)との間の数ni及び数Nを含む。例えば、スロット情報サーバモジュール405は、無線局215Aに、全部で三つのスロットのうちのスロット番号1を割り当て、無線局215Aに、三つのスロットの各グループのうちの最初を使用すべきであることを通知することができる。
前述したように、別の実施形態では、特定のスロット情報がスロットバイアスを達成する。すなわち、特定の無線局215は、他のスロットよりも優先して特定のスロットを使用し、無線局215が他のスロットを使用するのを妨げないようにバイアスをかけることができる。したがって、特定のスロット情報は、確率値、確率値識別子、0とN−1との間の数(既知の確率値に変換される)、及び/又は加重値(或る確率を達成する)等を含む。例えば、スロット情報サーバモジュール405は、スロット情報を与え、3スロット毎のスロット番号1に0.8の確率値(PH)を割り当て、他の全てのスロットに0.2の確率値(PL)を割り当てるように、無線局215Aに指示することができる。このように、無線局215Aが、スロット番号2又は3よりもスロット番号1を用いる可能性を4倍高くすることができる。
スロット弁別メディアアクセスコントローラ(SDMAC)610は、スロット弁別分散メディアアクセスを管理する。また、SDMAC610は、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアを含む。例えば、SDMAC610は、スロットの弁別を用いるEDCA手順を実行する。本発明の実施形態では、各無線局215のSDMAC610は、SDMAC610のバックオフカウンタがゼロであり、且つ、現在のスロット番号(t)がtmodN=niを満たすと判定するときに送信する。そうでない場合、SDMAC610は、前述した条件を満たす次のスロットまで送信を延期する。別の実施形態では、各無線局215のSDMAC610は、SDMAC610のバックオフカウンタがゼロであり、且つ、SDMAC610のスロット番号及びスロットバイアス値に基づくスロットバイアスメカニズムが満たされるときに送信する。例えば、SDMAC410は、現在のスロットの場合、乱数X(例えば、0と1との間でランダムに選択される数)が、スロットバイアス値SBVi(例えば、0と1との間の数)よりも小さい場合に送信する。すなわち、SDMAC610は、X[0,1]<SBViである場合に送信する。前述したように、PH及びPLは、SBVの例である。無線局215によってスロット番号を保持することは、図7を参照して詳細に説明する。
図7は、本発明の実施形態によるEDCAタイミング及びスロットカウント動作を示すタイミング図700である。タイミング図700を説明する前に、異なるタイミング成分を簡単に説明する。短フレーム間隔(SIFS:Short Interframe Space)は、できる限り迅速に送信される必要があるパケット、例えば、ACKのような管理フレーム及び制御フレームのために短い間隔を規定する。SIFSを用いるフレームでは、複数の無線局が無線メディアにアクセスするために競合することがないので、SIFSを用いるパケットに適用させるランダムバックオフメカニズムは存在しない。PCFフレーム間隔(PIFS:PCF Interframe Space)は、PCFを用いるネットワーク内のデータフレームに用いられる。PIFSは、PCF及びPIFSのオーバーヘッド及び柔軟性の欠如に対してまで広く用いられない。DCFフレーム間隔(DIFS:DCF Interframe Space)は、DCFを用いるネットワーク内のデータフレームに用いられる。そのようなフレームは、DIFS時間の間待機した後に、ランダムバックオフ手順を開始する。DIFSは、SIFS及びPIFSよりも長いので、SIFS又はPIFSタイミングを用いるトラフィックが、DIFSを用いるトラフィックの前に送信する機会を獲得することができる。前述した従来技術のように、フレーム送信間隔(AIFS:Arbitrary Inter−Frame Space)は、EDCA(異なるアクセス優先度を含む複数のAC)を用いるネットワーク内のデータフレームに用いられる。
図示されるように、SIFS時間が経過した後に、スロットがカウントされる。このため、スロットカウンタが用いられる。バックオフカウンタは、無線チャネルがビジー状態になるときにカウントを中止し、チャネルが再びアイドル状態になった後にAIFS時間を再開するので、AIFSN及びバックオフカウンタ値からスロット番号を生成することは難しい。したがって、測定されたAIFS持続時間は分からないので、本発明の実施形態は、専用のスロットカウンタを用いる。
本発明の実施形態では、スロットカウンタは、無線チャネルがアイドル状態に遷移する度に、SIFS時間をリセットする。このように、異なるビジー状態の時間が終了し、競合期間に加わる各無線局215は、同時にスロットカウンタを開始(又は再開)する。したがって、AP205及び各無線局215は、無線アクセス競合のために同じスロット番号を保持することができる。
図8は、本発明の実施形態によるスロット相関のスロットの弁別を用いて無線メディアへのアクセスを競合する方法800を示すフローチャートである。方法800を実行する前に、AP205及び無線局215は、スロット情報のパラメータを初期化する。初期化は、ビーコンフレームによって定期的に行われる。方法800は、ステップ802で、SDMAC410/610が、上位レイヤのフレームが送信するのを待機することによって始まる。ステップ804で、SDMAC410/610は、メディアがアイドル状態であるか否かを判定する。アイドル状態でない場合、方法800は、ステップ814に進む。アイドル状態である場合、ステップ806で、SDMAC410/610は、(AIFS持続時間)待機する。ステップ808で、SDMAC410/610は、メディアが依然としてアイドル状態であると判定する場合、ステップ810で、SDMAC410/610は、AIFS持続時間(すなわち、SIFS+AIFSN×slot_time)が経過したか否かを判定する。経過していない場合、SDMAC410/610は、ステップ806に戻り、待機し続ける。ステップ808で、SDMAC410/610は、メディアがアイドル状態でないと判定する場合、方法800は、ステップ814に進む。ステップ810で、SDMAC410/610は、AIFS持続時間が経過していると判定する場合、ステップ812で、SDMAC410/610は、フレームを送信する。その後、SDMAC410/610は、ステップ802に戻る。
ステップ814で、SDMAC410/610は、メディアがアイドル状態に遷移するのを待機する。アイドル状態に遷移するとき、ステップ816で、SDMAC410/610は、(AIFS持続時間)待機する。ステップ818で、SDMAC410/610は、メディアが依然としてアイドル状態であるか否かを判定する。アイドル状態でない場合、SDMAC410/610は、ステップ814に戻り、再び待機する。依然としてアイドル状態である場合、ステップ820で、SDMAC410/610は、AIFS持続時間が経過しているか否かを判定する。AIFS持続時間が経過していない場合、SDMAC410/610は、ステップ816に戻り、待機し続ける。AIFS持続時間が経過していた場合、SDMAC410/610は、ステップ822に進み、バックオフ手順を処理する。
ステップ822で、SDMAC410/610は、現時点でバックオフ手順が進行中であるか否かを判定する。進行中でない場合、ステップ824で、SDMAC410/610は、待機するバックオフスロットの乱数(1〜CW)を選択する。ステップ826で、SDMAC410/610は、待機する。ステップ822で、SDMAC410/610は、バックオフ手順が進行中であると判定する場合、ステップ828で、SDMAC410/610は、残りのバックオフスロットが経過するのを待機し続け、ステップ826に進み、待機し続ける。ステップ830で、SDMAC410/610は、メディアが依然としてアイドル状態であるか否かを判定する。メディアがアイドル状態でない場合、ステップ832で、SDMAC410/610は、メディアがアイドル状態になるのを待機し、SDMAC410/610は、ステップ814に戻る。依然としてアイドル状態である場合、ステップ834で、SDMAC410/610は、バックオフスロットが経過したか否かを判定する。バックオフスロットが経過していない場合、SDMAC410/610は、ステップ826に戻り、待機し続ける。バックオフスロットが経過している場合、SDMAC410/610は、ステップ836に進む。
ステップ836で、SDMAC410/610は、現在のスロット番号tがtmodN=niを満たすか否かを判定する。tmodN=niが満たされる場合、SDMAC410/610は、ステップ812に進み、フレームを送信する。tmodN=niが満たされない場合、ステップ838で、SDMAC410/610は、次のスロットを待機する。ステップ840で、SDMAC410/610は、メディアが依然としてアイドル状態であるか否かを判定する。依然としてアイドル状態である場合、SDMAC410/610は、ステップ836に戻り、tmodN=niが満たされるか否かを判定する。既にアイドル状態でない場合、ステップ842で、SDMAC410/610は、メディアがアイドル状態になるのを待機する。ステップ844で、SDMAC410/610は、(AIFS持続時間)待機し続ける。ステップ846で、SDMAC410/610は、メディアが依然としてアイドル状態であるか否かを判定する。既にアイドル状態でない場合、方法800は、ステップ842に戻り、メディアが再びアイドル状態になるのを待機する。依然としてアイドル状態である場合、ステップ848で、SDMAC410/610は、AIFS持続時間が経過したか否かを判定する。AIFS持続時間が経過していない場合、SDMAC410/610は、ステップ844に戻り、待機し続ける。AIFS持続時間が経過している場合、SDMAC410/610は、ステップ836に戻り、tmodN=niが満たされるか否かを判定する。
図9は、本発明の実施形態によるスロットバイアスのスロットの弁別を用いて無線メディアへのアクセスを競合する方法900を示すフローチャートである。方法800を実行する前に、AP205及び無線局215は、スロット情報パラメータ(スロットバイアスパラメータ)を初期化する。初期化は、ビーコンフレームによって定期的に行われる。方法900のステップ802〜834は、方法800のステップ802〜834と同じである。概して、ステップ802〜834は、AIFS手順及びバックオフ手順を処理する。
ステップ936で、SDMAC410/610は、バックオフ時間が経過した後に、区間[0,1]にわたって均一な確率密度関数(PDF:Probability Density Function)を用いて、乱数Xを生成する。ステップ938で、SDMAC410/610は、乱数Xが現在のスロットのスロットバイアス値(SBV)よりも小さいか否かを判定する。すなわち、SDMAC410/610は、X[0,1]<SBViである場合にフレームを送信する。本発明の実施形態では、前述したように、特定のスロット(tmodN=ni)に高い確率(PH)を割り当てることができる。また、他の全てのスロット(tmodN≠ni)には、低い確率(PL)を割り当てることができる。その後、現在のスロットが特定のスロット(tmodN=ni)であるとき、SDMAC410/610は、値XがPH未満であるか否かを判定する。現在のスロットが特定のスロットでないとき(tmodN≠ni)、SDMAC410/610は、値XがPL未満であるか否かを判定する。ステップ938で、SDMAC410/610は、その関数が満たされると判定する場合、SDMAC410/610はステップ812に進み、フレームを送信する。ステップ938で、SDMAC410/610は、その関数が満たされていないと判定する場合、ステップ940で、SDMAC410/610は、次のスロットを待機する。ステップ942で、SDMAC410/610は、メディアが依然としてアイドル状態であるか否かを判定する。アイドル状態である場合、方法900は、ステップ936に戻り、新たな乱数Xを生成する。メディアが既にアイドル状態でない場合、ステップ944で、SDMAC410/610は、メディアが再びアイドル状態になるのを待機する。ステップ946で、SDMAC410/610は、(AIFS持続時間)待機する。ステップ948で、SDMAC410/610は、メディアが依然としてアイドル状態であるか否かを判定する。メディアが既にアイドル状態でない場合、SDMAC410/610は、ステップ944に戻り、メディアが再びアイドル状態になるのを待機する。依然としてアイドル状態である場合、ステップ950で、SDMAC410/610は、AIFS持続時間が経過したか否かを判定する。AIFS持続時間が経過していない場合、SDMAC410/610は、ステップ946に戻り、待機し続ける。AIFS持続時間が経過している場合、SDMAC410/610は、ステップ936に戻り、別の乱数Xを生成する。
図8は、図9の特別な場合(PH=1及びPL=0)であることが理解できる。
図10は、本発明の実施形態によるスロット割当て(スロット相関又はスロットバイアス)の全体的なACローテーション(例えば、ラウンドロビン又は加重ラウンドロビン等)を示す表1000である。本発明の実施形態は、スロット順序が不公平になるのを避ける。図示されるように、四つのACが、無線メディアへのアクセスを競合している。最初に、VO−1がスロット番号4(ni=0)に割り当てられ(関連付けられ、又はバイアスをかけられ)る。また、VO−2がスロット番号1(ni=1)に割り当てられる。また、BE−1がスロット番号2(ni=2)に割り当てられる。また、BE2がスロット番号3(ni=3)に割り当てられるように、ACが順序付けられる。一つのフレーム送信の終了時に、全てのAP205及び無線局215は同期し、割り当てられたスロット番号niをni=(ni+α)modNのように同時に更新する。ただし、α<Nは、AP205によって割り当てられる任意の整数である。また、無線局215のみがシフトしてもよい。前述したように、数niを更新することによって、複数の無線局215に同じスロット番号niが割り当てられるのを避ける。図示されるように、IDは、ni=(ni+α)modNを用いてシフトされる。ただし、α=1及びN=4である。すなわち、最初の送信後に、VO−1は、スロット番号1(ni=1)に割り当てられる。また、VO−2は、スロット番号2(ni=2)に割り当てられる。また、BE−1は、スロット番号3(ni=3)に割り当てられる。また、BE−2は、スロット番号4(ni=0)に割り当てられる。第2の送信後に、VO−1は、スロット番号2(ni=2)に割り当てられる。また、VO−2は、スロット番号3(ni=3)に割り当てられる。また、BE−1はスロット番号4(ni=0)に割り当てられる。また、BE−2は、スロット番号1(ni=1)に割り当てられる。そして、第3の送信後に、VO−1は、スロット番号3(ni=3)に割り当てられる。また、VO−2は、スロット番号4(ni=0)に割り当てられる。また、BE−1は、スロット番号1(ni=1)に割り当てられる。また、BE−2は、スロット番号2(ni=2)に割り当てられる。
図11は、本発明の実施形態によるスロット割当ての部分的なACローテーション(例えば、ラウンドロビン、加重ラウンドロビン等)を示す表1100である。本発明の実施形態は、スロット順序が不公平になるのを避け、ACに基づいて付加的なトラフィック弁別化を与える。図示されるように、四つのACが、無線メディアへのアクセスを競合している。最初に、VO−1がスロット番号4(ni=0)に割り当てられる。また、VO−2がスロット番号1(ni=1)に割り当てられる。また、BE−1がスロット番号2(ni=2)に割り当てられる。また、BE2がスロット番号3(ni=3)に割り当てられるように、ACが順序付けられる。一つのフレーム送信の終了時に、全てのAP205及び無線局215は同期し、割り当てられたスロット番号niをni=LAC+(ni−LAC+α) mod NACのように同時に更新する。ただし、AP205は、AC毎の数{LAC、NAC、α}を含むスロットシフト情報を与える。また、無線局215のみがスロット番号をシフトしてもよい。図示されるように、IDは、ni=LAC+(ni−LAC+α) mod NACを用いて求められる。ただし、α=1、LVO=0、NVO=2、LBE=2、NBE=2である。すなわち、最初の送信後に、VO−1は、スロット番号1(ni=1)に割り当てられる。また、VO−2は、スロット番号4(ni=0)に割り当てられる。また、BE−1は、スロット番号3(ni=3)に割り当てられる。また、BE−2は、スロット番号2(ni=2)に割り当てられる。第2の送信後に、VO−1は、スロット番号4(ni=0)に割り当てられる。また、VO−2は、スロット番号1(ni=1)に割り当てられる。また、BE−1は、スロット番号2(ni=2)に割り当てられる。また、BE−2は、スロット番号3(ni=3)に割り当てられる。そして、第3の送信後に、VO−1は、スロット番号1(ni=1)に割り当てられる。また、VO−2は、スロット番号4(ni=0)に割り当てられる。また、BE−1は、スロット番号3(ni=3)に割り当てられる。また、BE−2は、スロット番号2(ni=2)に割り当てられる。
本発明の好ましい実施の形態について前述した説明は、一例に過ぎず、上述した教示に鑑みて、上述した実施形態及び方法の他の変形及び変更が可能である。ネットワークサイトを分離した別個のサイトとして説明しているが、これらのサイトが統合サイトの一部であってもよく、各々複数のサイトの部分を含んでもよく、又は単一のサイト及び複数のサイトの組合せを含んでもよい、ということを当業者には理解できる。本明細書で示したさまざまな実施の形態を、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の所望の組合せを使用して実装してもよい。さらに言えば、本明細書で示したさまざまな機能を実装することができる任意のタイプのロジックを使用してもよい。構成要素を、プログラムされた汎用デジタルコンピュータを使用して、特定用途向け集積回路を使用して、又は相互接続された従来の構成要素及び回路のネットワークを使用して実装してもよい。接続は、有線、無線、モデム等であってもよい。本明細書で説明した実施の形態は、網羅的であるようにも限定するようにも意図されていない。
802.11gの従来技術のEDCA ACパラメータセットの表である。 本発明の実施形態のスロットの弁別を用いた無線LANを示すブロック図である。 本発明の実施形態の図2のアクセスポイントを示すブロック図である。 本発明の実施形態の図3のAP MACコントローラを示すブロック図である。 本発明の実施形態の図2の無線基地局を示すブロック図である。 本発明の実施形態の図5の無線基地局MACコントローラを示すブロック図である。 本発明の実施形態のスロットカウント動作のタイミングを示すタイミング図である。 本発明の実施形態のスロット相関を用いて無線メディアへのアクセスを競合を解消する方法を示すフローチャートである。 本発明の実施形態のスロットバイアスを用いて無線メディアへのアクセスを競合を解消する方法を示すフローチャートである。 本発明の実施形態のスロット割当ての全体的なローテーションを示す表である。 本発明の実施形態のスロット割当ての部分的なACローテーションを示す表である。

Claims (18)

  1. 無線LANネットワークに含まれるシステムであって、
    前記システムは、
    スロット相関情報及びスロットバイアス情報のうちのいずれか一つを含むスロット情報と、
    スロット数をカウントするカウンタと、
    無線メディアを観測し、分散無線アクセスプロトコル、前記カウンタによってカウントされる現在のスロットに対応する現在のスロット番号、及び前記スロット情報に基づいて、現在のスロット中でMACフレームの送信を開始するアクセスコントローラと、を含むシステム。
  2. 前記システムは、
    アクセスポイントにおいて動作し、
    前記無線LANネットワークに含まれる無線局に前記スロット情報を送信するサーバモジュールをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム
  3. 前記システムは、前記無線局において動作することを特徴とする請求項1に記載のシステム
  4. 前記スロット情報は、ビーコンフレームにおいて更新されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  5. 前記分散無線アクセスプロトコルは、DCF及びEDCAのうちのいずれか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  6. 前記分散無線アクセスプロトコルは、EDCAを含み、
    前記スロット情報は、特定のアクセスカテゴリに対応し、
    前記特定のアクセスカテゴリに対応する前記スロット情報は、所定のスロット情報値の中で動的に順に切り替わることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  7. 前記アクセスコントローラは、バックオフカウンタがゼロであり、且つ、
    tが前記現在のスロット番号であり、Nが前記無線LANに備わる無線局の全数であり、niが前記スロット情報として無線局に割り当てられるスロット番号である場合に、tmodN=niを満たすときに前記MACフレームを送信することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  8. 前記アクセスコントローラは、バックオフカウンタがゼロであり、且つ、スロットバイアスメカニズムを満たすときに前記MACフレームを送信し、
    前記スロットバイアスメカニズムは、前記無線メディアに対してある確率でアクセスを達成することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  9. 前記スロットバイアスメカニズムは、乱数を生成し、
    tが前記現在のスロット番号であり、Nが前記無線LANネットワークに含まれる無線局の全数であり、niが前記スロット情報として無線局に割り当てられるスロット番号である場合に、tmodN=niを満たすときに該乱数を高い確率値と比較し、tmodN≠niであるときに該乱数を低い確率値と比較することを特徴とする請求項8に記載のシステム。
  10. 無線LANネットワークに含まれる無線通信システムにおいて実行される無線通信方法であって、
    前記無線通信方法は、
    無線メディア上で送信されるMACフレームを識別し、
    前記無線メディアを観測し、
    スロット数をカウントし、
    分散無線アクセスプロトコル、スロットカウンタによってカウントされる現在のスロットに対応する現在のスロット番号、及び、スロット情報に基づいて現在のスロット中に前記MACフレームの送信を開始し、
    前記スロット情報は、スロット割当て情報及びスロットバイアス情報のうちのいずれか一つを含む無線通信方法。
  11. 前記無線通信方法は、アクセスポイントにおいて動作し、該アクセスポイントによって前記無線LANネットワークに含まれる無線局に前記スロット情報を送信することを特徴とする請求項10に記載の無線通信方法。
  12. 前記無線通信方法は、無線局において動作することを特徴とする請求項10に記載の無線通信方法。
  13. 前記スロット情報は、ビーコンフレームにおいて更新されることを特徴とする請求項10に記載の無線通信方法。
  14. 前記分散無線アクセスプロトコルは、EDCAを含み、
    前記スロット情報は、特定のアクセスカテゴリに対応し、
    前記特定のアクセスカテゴリに対応する前記スロット情報は、所定のスロット情報値の中で動的に順に切り替わることを特徴とする請求項10に記載の無線通信方法。
  15. 前記MACフレームの送信は、バックオフカウンタがゼロであり、且つ、
    tが前記現在のスロット番号であり、Nが前記無線LANネットワークに含まれる無線局の全数であり、niが前記スロット情報として無線局に割り当てられるスロット番号である場合に、tmodN=niを満たすときに開始されることを特徴とする請求項10に記載の無線通信方法。
  16. 前記MACフレームの送信を、バックオフカウンタがゼロであり、且つ、スロットバイアスメカニズムを満たすときに開始し、
    前記スロットバイアスメカニズムは、前記無線メディアに対してある確率でアクセスを達成することを特徴とする請求項10に記載の無線通信方法。
  17. 前記スロットバイアスメカニズムは、乱数を生成し、
    tが前記現在のスロット番号であり、Nが前記無線LANネットワークに含まれる無線局の全数であり、niが前記スロット情報として無線局に割り当てられるスロット番号である場合に、tmodN=niを満たすときに該乱数を高い確率値と比較し、tmodN≠niであるときに該乱数を低い確率値と比較することを特徴とする請求項16に記載の無線通信方法。
  18. 無線LANネットワークに含まれる無線通信システムであって、
    前記無線通信システムは、アクセスポイントと、少なくとも一つの無線基地局とを備え
    前記アクセスポイントは、
    前記アクセスポイント及び前記無線基地局のためにスロット情報を生成するサーバモジュールと、
    スロット数をカウントするアクセスポイントカウンタと、
    無線メディアを観測し、分散無線アクセスプロトコル、前記アクセスポイントカウンタによってカウントされる現在のスロットに対応する現在のスロット番号、及び、前記スロット情報に基づいて現在のスロット中でMACフレームの送信を開始するアクセスポイントメディアアクセスコントローラと、
    を備え、
    前記無線基地局は、
    前記サーバモジュールによって生成される前記スロット情報を受信するクライアントモジュールと、
    スロット数をカウントする無線基地局カウンタと、
    無線メディアを観測し、分散無線アクセスプロトコル、前記無線基地局カウンタによってカウントされる現在のスロットに対応する現在のスロット番号、及び、前記スロット情報に基づいて、現在のスロット中でMACフレームの送信を開始する無線基地局メディアアクセスコントローラと、
    を備え、
    前記スロット情報は、スロット相関情報及びスロットバイアス情報のうちのいずれか一つを含む無線通信システム。
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