JP5173263B2 - 下水汚泥を主成分とする固形燃料及びその製造装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、下水汚泥は例えばアンモニア、硫化水素、トリメチルアミン、メチルメルカプタン等の臭気成分を含み、下水汚泥を乾燥させた乾燥汚泥は臭気が強いため、搬送や保管等の作業環境に悪影響を及ぼしてしまい、燃料として使用することは難しい。
木質系バイオマスとしては例えば林地残材、間伐材、製剤廃材、廃木材、古紙などが挙げられるが、木質系バイオマスであればその他のものを使用することができる。また、加熱乾燥温度としては、木質系バイオマスから木酢液がもっとも多く発生する300〜400℃とすることが好ましい。
本発明によれば、下水汚泥を木酢液の存在下で加熱乾燥することで、木酢液に含まれる酢酸等の酸が、活性汚泥の臭気成分の主要成分であり塩基であるアンモニアと反応して中和し、臭気が抑制される。一般に下水汚泥中の臭気成分はアンモニア濃度が最も高く、アンモニアを中和することによって減少させることによる臭気の抑制効果は大きい。
さらに例えば硫化水素、トリメチルアミン、メチルメルカプタン等の塩基以外の臭気成分は、木酢液中の酢酸等の酸によって中和されることはないが、木酢液によるマスキング効果によって臭気は抑制される。
即ち、下水汚泥の臭気成分中の塩基成分が中和によって臭気が抑制されるとともに、塩基以外の成分がマスキング効果によって臭気が抑制されるため、臭気が抑制された固形燃料となる。
また、木酢液は有機分であるため、木酢液を添加することによって、固形燃料の燃料価値が下がることも無い。
さらに、前記下水汚泥の臭気成分中の塩基成分の中和及び塩基以外の成分のマスキング効果による臭気の抑制が可能であることに加えて、木質系バイオマスからの木酢液の抽出と下水汚泥の加熱乾燥を同時に行うことができるため、木酢液を抽出するための設備が必要なく設備設置コストを低く抑えることが可能である。
下水汚泥中の成分によっては、前記木酢液が木質系バイオマスから抽出される温度(例えば300〜400℃)では自己発熱性を有する場合もある。
本発明によれば、加熱乾燥温度を木酢液が木質系バイオマスから抽出される温度まで加熱する必要がないため、木酢液が木質系バイオマスから抽出される温度では自己発熱性を有する下水汚泥を用いても、下水汚泥を主原料とした固形燃料を得ることができる。
なお、木酢液は、木質系バイオマスから木酢液を抽出する木酢液製造装置を設けることで得てもよく、市販の木酢液を使用してもよい。
本発明によれば、テルペン類(C5H8)nと接触させることによって、テルペン類によるアンモニアの中和、マスキング効果によってさらに臭気の抑制効果が高くなる。
このことにより、木酢液中の酢酸等の酸によって下水汚泥の臭気成分中の塩基成分を中和して削減するとともに、塩基以外の臭気成分を木酢液のマスキング効果によって臭気を抑制した下水汚泥を主成分とする固形燃料を製造することができる。さらに、木質系バイオマスからの木酢液の抽出と下水汚泥の加熱乾燥を同時に行うことができるため、木酢液を抽出するための設備が必要なく設備設置コストを低く抑えることが可能である。
さらに、本発明は、木質系バイオマスを加熱してテルペン類含有蒸気を発生させる手段と、前記テルペン類含有蒸気と、前記乾燥機で加熱乾燥して得られる下水汚泥を主成分とする固形燃料とを接触させる手段とを有することを特徴とする。
このことにより、テルペン類(C 5 H 8 ) n と接触させることによって、テルペン類によるアンモニアの中和、マスキング効果によってさらに臭気の抑制効果が高くなる。
下水汚泥中の成分によっては、木酢液が木質系バイオマスから抽出される温度(例えば300〜400℃)では自己発熱性を有する場合もある。本発明によれば、加熱乾燥温度を木酢液が木質系バイオマスから抽出される温度まで加熱せずに固形燃料を製造することができるため、木酢液が木質系バイオマスから抽出される温度では自己発熱性を有する下水汚泥であっても、下水汚泥を主原料とした固形燃料を製造することができる。
なお、木酢液は、木質系バイオマスから木酢液を抽出する木酢液製造装置を設けることで得てもよく、市販の木酢液を使用してもよい。
また、このことにより、テルペン類(C 5 H 8 ) n と接触させることによって、テルペン類によるアンモニアの中和、マスキング効果によってさらに臭気の抑制効果が高くなる。
このことにより、乾燥機での廃熱を有効利用することができ、装置のランニングコストを低く抑えることができる。
供給設備2により下水汚泥は2軸スクリューコンベヤ3に供給される。一方、木材チップも2軸スクリューコンベヤ3に供給される。本実施例においては木材チップを2軸スクリューコンベヤ3に供給するが、木材チップの代わりに他の木質系バイオマスを供給してもよい。下水汚泥及び木材チップは、2軸スクリューコンベヤ3で混合されながら搬送されて、スクリューコンベヤ4で定量的に乾燥機5に投入される。
乾燥機5では、木材チップから木酢液が抽出される温度にて下水汚泥を加熱乾燥する。木酢液が抽出される温度としては、木材チップから最も多く木酢液が抽出される300〜400℃が好ましい。
このように乾燥機5で木酢液が抽出される温度で加熱乾燥することで、木材チップから木酢液が抽出され、木酢液中の酢酸等の酸が、下水汚泥の臭気成分の主要成分であり塩基であるアンモニアと反応して中和し、臭気が抑制される。さらに塩基以外の臭気成分(例えば硫化水素、トリメチルアミン、メチルメルカプタン等)は、木酢液中の酢酸等の酸と中和反応はしないが、木酢液によるマスキング効果によって臭気は抑制される。
このように脱臭装置6で乾燥汚泥をテルペン類(C5H8)n含有蒸気と接触させることで、テルペン類によるアンモニアの中和、マスキング効果によってさらに臭気を抑制している。
こうして脱臭装置6でテルペン類含有蒸気と接触した乾燥汚泥は下水汚泥を主成分とする固形燃料の製品となる。
なお、乾燥汚泥と接触させた後のテルペン類(C5H8)n含有蒸気は、後述する排ガス処理装置54にて処理する。
このように排ガス処理装置54を用いて乾燥機5で発生する排気ガスを清浄ガスに処理することで、大気中に排気ガスを放出することができる。
まず、木酢液製造装置1で木酢液が製造される。
一方、下水汚泥は供給設備2により2軸スクリューコンベヤ3に供給される。2軸スクリューコンベヤ3に供給された下水汚泥及び木酢液は、混合されながら搬送されて、スクリューコンベヤ4で定量的に乾燥機5に投入される。
乾燥機5では、下水汚泥を加熱乾燥する。加熱乾燥温度は100〜300℃程度が好ましい。
このように乾燥機5で加熱乾燥することで、木酢液中の酢酸等の酸が、下水汚泥の臭気成分の主要成分であり塩基であるアンモニアと反応して中和し、臭気が抑制される。さらに塩基以外の臭気成分(例えば硫化水素、トリメチルアミン、メチルメルカプタン等)は、木酢液中の酢酸等の酸と中和反応はしないが、木酢液によるマスキング効果によって臭気を抑制される。
このように脱臭装置6でテルペン類(C5H8)n含有蒸気と接触させることで、テルペン類によるアンモニアの中和、マスキング効果によってさらに臭気を抑制している。
こうして脱臭装置6でテルペン類含有蒸気と接触した乾燥汚泥は下水汚泥を主成分とする固形燃料の製品となる。
2 供給設備
3 2軸スクリューコンベヤ(混合手段)
4 スクリューコンベヤ
5 乾燥機
6 脱臭装置
7 加熱器
54 排ガス処理装置
Claims (7)
- 下水汚泥を、加熱乾燥することで得られる下水汚泥を主原料とする固形燃料であって、
前記下水汚泥に木質系バイオマスを添加して混合し、前記下水汚泥と木質系バイオマスの混合物を、木質系バイオマスから木酢液が抽出される温度で加熱乾燥することによって、
抽出された前記木酢液の存在下で、加熱乾燥することで得られることを特徴とする下水汚泥を主原料とする固形燃料。 - 下水汚泥を、加熱乾燥することで得られる下水汚泥を主原料とする固形燃料であって、
前記下水汚泥を、木酢液の存在下で、加熱乾燥するとともに、木質系バイオマスから発生するテルペン類含有蒸気と接触させて得られることを特徴とする下水汚泥を主原料とする固形燃料。 - 前記下水汚泥に木酢液を添加して混合し、
前記下水汚泥と木酢液の混合物を、加熱乾燥して得られることを特徴とする請求項2記載の下水汚泥を主原料とする固形燃料。 - 下水汚泥を加熱乾燥する乾燥機と、該乾燥機に下水汚泥を供給する供給手段とを有し、前記乾燥機は下水汚泥を加熱乾燥して固形燃料とする下水汚泥を主成分とする固形燃料製造装置であって、
前記下水汚泥を木質系バイオマスと混合する混合手段を備え、
前記供給手段は、前記混合手段で得られる下水汚泥と木質系バイオマスの混合物を前記乾燥機に供給し、
前記乾燥機は、前記下水汚泥と木質系バイオマスの混合物を、木質系バイオマスから木酢液が抽出される温度で加熱乾燥することを特徴とする下水汚泥を主成分とする固形燃料製造装置。 - 木質系バイオマスを加熱してテルペン類含有蒸気を発生させる手段と、
前記テルペン類含有蒸気と、前記乾燥機で加熱乾燥して得られる下水汚泥を主成分とする固形燃料とを接触させる手段とを有することを特徴とする請求項4記載の下水汚泥を主成分とする固形燃料製造装置。 - 下水汚泥を加熱乾燥する乾燥機と、該乾燥機に下水汚泥を供給する供給手段とを有し、前記乾燥機は下水汚泥を加熱乾燥して固形燃料とする下水汚泥を主成分とする固形燃料製造装置において、
前記下水汚泥を木酢液と混合する混合手段を備え、
前記供給手段は、前記混合手段で得られる下水汚泥と木酢液の混合物を前記乾燥機に供給し、
前記乾燥機は、前記下水汚泥と木酢液の混合物を、加熱乾燥し、
木質系バイオマスを加熱してテルペン類含有蒸気を発生させる手段と、
前記テルペン類含有蒸気と、前記乾燥機で加熱乾燥して得られる下水汚泥を主成分とする固形燃料とを接触させる手段とを有することを特徴とする下水汚泥を主成分とする固形燃料製造装置。 - 前記テルペン類含有蒸気を発生させる手段は、前記乾燥機で下水汚泥を加熱乾燥した廃熱を利用して木質系バイオマスを加熱することを特徴とする請求項5又は6に載の下水汚泥を主成分とする固形燃料製造装置。
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