JP5170900B2 - 多面合成アンテナ - Google Patents

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Description

本発明は、放送用送信アンテナ、通信用送受信アンテナ等に使用される多面合成アンテナに関する。
異なる周波数が割り当てられた複数のアンテナエレメントを備えた同一仕様の複数のアンテナユニットを、所定の径を有する円筒面上に周方向に、等間隔に配列し電波強度の落ち込みの少ない電波の無指向放射パターンを得る送信アンテナが知られている(例えば特許文献1)。
また、多面合成アンテナにおいて、複数の偏波共用アンテナを放射面の方向を異ならせて設置し、合成指向性を制御するアンテナが知られている。
図5は、偏波共用アンテナの概略図である。
図5(a)はダイポールアンテナを用いた偏波共用アンテナの一例を示す概略図であり、水平偏波用ダイポールアンテナ11と垂直偏波用ダイポールアンテナ12が導体の平板10上に設置されている。
図5(b)は偏波共用アンテナの他の例を示す概略図であり、平面アンテナ素子13が導体の平板10上に設置され、平面アンテナ素子13上に水平偏波給電点13aと垂直偏波給電点13bが形成されている。
図6は、図5に示した偏波共用アンテナをFRP等のアンテナカバー14に収納されている状態を示す。なお、以下では、偏波共用アンテナを図6に示すように、アンテナカバー14内に収納された状態で示す。
図7は、図5(b)に示した水平偏波用給電点と垂直偏波用給電点のある平面アンテナ素子1,2を2組用い、平面アンテナ素子の平板の面を、90度方向をずらして設置し、水平面指向性を面合成した多面合成アンテナの構成例である。
同図に示すように、前記した2組の偏波共用アンテナ1,2が、電波放射面の方向を90°異ならせて、取付けポール3に取付金具4により取り付けられている。
図8に図7に示したアンテナの2面合成指向性のシミュレーション結果を示す。図8(a)は、水平偏波の2面合成指向性を示し、図8(b)は垂直偏波の2面合成指向性を示す。
図8は、図5(b)に示す平面アンテナを図7に示すように、電波放射面を90°異ならせて2組設置した場合の2面合成指向性を示したものであり、平面アンテナとして0.76λ×0.76λ(λは波長) の導体の平板を用い、アンテナ張り出し長(図7のa)を0.38λとした場合を示したものである。
特開2000−278040
多面合成アンテナにおいて、合成指向性を制御する方法としては、各面のアンテナの設置位置をかえることにより制御することが知られている。例えば、図7に示すように、アンテナ張り出し長aを変えて、合成指向性を制御する。なお、アンテナの張り出し長は、通常、両アンテナ1,2とも同じにしている。
しかし、水平偏波・垂直偏波共用アンテナを合成して使用する場合、図7に示すように、各面のアンテナの張り出し長を変えると、水平偏波の合成指向性と、垂直偏波の合成指向性が共に変化してしまい、所望の特性とするのが難しいという問題があった。
図9に張り出し長aを変えた場合の面合成指向性の変化例を示す。同図は水平偏波の合成指向性を示し、同図(a)は張り出し長aが0.4λ、(b)は張り出し長aが0.5λ、(c)は張り出し長aが0.6λ、(d)は張り出し長が0.7λの場合を示す。なお、λは波長である。同図に示すように、張り出し長を変えることで合成指向性は変化し、この場合は、張り出し長が長くなると、電波強度の落ち込みが大きくなっている。
図9に示すように各面のアンテナの張り出し長を変えることで合成指向性を変化させることができるが、前記したように水平偏波の合成指向性と、垂直偏波の合成指向性が共に変化してしまうので、所望の特性とするのが難しい。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、制御したい偏波のみ合成指向性を可変することができる多面合成アンテナを提供することである。
本発明においては、平面状の導体面から所定距離開けて水平偏波及び垂直偏波アンテナ素子を形成した偏波共用アンテナを少なくとも2組有し、該アンテナの水平導体面が異なった方向を向くように設置した多面合成アンテナにおいて、上記偏波共用アンテナの放射面の間に、上記偏波の内、いずれかの偏波方向に直交するように線状の導体を設置する。なお、線状の導体としては、導体の形状が線、棒、短冊状のいずれの形状でもよく、以下では、これらを含めて線状の導体という。
上記のように線状の導体を設置することにより、選択した偏波のみの合成指向性を可変することが可能となる。
すなわち、線状の導体は、それと平行な偏波(電界方向)の電波を反射、回折させるが、直交する偏波は影響を受けない。本発明は、この原理を利用し、隣り合う2組の偏波共用アンテナの間に、水平、垂直のいずれかの偏波方向に直交するように線状の導体を設置する。線状の導体の配置方向によって、水平偏波、垂直偏波のいずれかの偏波を反射させ、他の偏波に影響を与えないようにすることができるので、線状の導体を配置することにより、水平偏波あるいは垂直偏波の面合成指向性を変えることができる。また、これに合わせて、上記線状導体の設置状態、前記アンテナの張り出し長等を変えることで、所望の指向性を得ることが可能となる。
ここで一般に、平行な線や導体の格子で反射器を構成する場合、反射導体の間隔Gは、波長をλとすると、0.1λに等しいかそれより小さくなければならない(例えば、JOHND.KRAUS,Ph.D.著、谷村功訳「空中線」昭和33年1月15日発行、無線従事者教育協会、など参照)。したがって、上記線状の導体は、1/10波長以下の間隔をあけて配置するのが望ましい。
水平偏波に影響を与えずに垂直偏波の指向性を可変にする場合は、後述する図1に示すように、隣り合う2組の偏波共用アンテナの間に、1/10波長以下間隔をあけて前記線状の導体を1つ以上設置する。線状の導体は、水平偏波に影響を与えないように水平偏波の方向に直交させて(垂直偏波の方向に平行に)配置され、複数の線状導体を設置する場合は、線状導体を2つのアンテナの電波放射方向に対して、略等しい角度になる方向に並べて配置する。
また、上記線状の導体は、2組の偏波共用アンテナを構成する前記平面状の導体面を含む平面が交差する位置(図1(c)参照)もしくはその位置よりアンテナ側の位置から、上記方向に並べて配置するのが望ましい。
例えば、図1に示すように、2つのアンテナの電波放射方向のなす角度が90°の場合には、線状導体を垂直偏波の方向に平行に(すなわちポールの軸方向に)配置し、複数の線状導体を配置する場合、上記電波放射方向に対してそれぞれ45°の角度を成す方向に線状の導体を並べて配置する。
また、垂直偏波に影響を与えずに、水平偏波の指向性を可変にする場合は、後述する図3に示すように、線状の導体を1つ以上設置する。線状の導体は、垂直偏波に影響を与えないように垂直偏波の方向に直交させて(水平偏波の方向に平行に)、かつ、2つのアンテナの電波放射方向に対して、略等しい角度となる向きに配置され、複数の線状導体を設置する場合、線状導体を垂直偏波の方向に平行する方向に(水平偏波の方向に直交する方向に)、1/10波長以下間隔をあけて並べて配置する。
また、上記線状の導体は、2組の偏波共用アンテナを構成する前記平面状の導体面を含む平面が交差する位置(図3(c)参照)もしくはその位置よりアンテナ側の位置から、2つのアンテナの電波放射方向に対して略等しい角度となる方向に延伸させて配置するのが望ましい。
たとえば、図3に示すように、2つのアンテナの電波放射方向のなす角度が90°の場合には、上記電波放射方向に対してそれぞれ45°の角度を成す向きに線状の導体を一つ以上配置する。また、複数本の線状導体を配置する場合には、垂直偏波の方向に(すなわちポールの軸方向に)、1/10波長以下の間隔をあけて並べて配置する。
以上のように、本発明においては、多面合成アンテナにおいて、上記偏波共用アンテナの放射面の間に、上記偏波の内、いずれかの偏波方向に直交するように線状の導体を設置したので、水平偏波あるいは垂直偏波の指向性を、他方の偏波に影響を与えることなく可変にすることができ、上記線状導体の設置状態、アンテナの張り出し長などを調整することにより、水平偏波あるいは垂直偏波の指向性を所望のもとのすることができる。
本発明の第1の実施例の構成(垂直偏波を可変する場合)を示す図である。 図1に示すように線状導体を配置した場合の水平偏波の2面合成指向性と垂直偏波の2面合成指向性を示す図である。 本発明の第2の実施例の構成(水平偏波を可変する場合)を示す図である。 本発明の第3の実施例の構成を示す図である。 偏波共用アンテナの概略図である。 図5に示した偏波共用アンテナをFRP等のアンテナカバーに収納した状態を示す図である。 平面アンテナ素子の平板の面を90度方向にずらして設置し、水平面指向性を面合成した多面合成アンテナの構成例を示す図である。 図7に示す多面合成アンテナの水平偏波の2面合成指向性と垂直偏波の2面合成指向性を示す図である。 張り出し長を変えた場合の面合成指向性の変化例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、前記図7に示した多面合成アンテナに本発明を適用し、水平偏波に影響を与えずに垂直偏波の指向性を可変にする場合の本発明の第1の実施例の構成を示す図である。同図(a)は斜視図、同図(b)は同図(a)をA方向から見た図、同図(c)は同図(b)のB部分の部分拡大図である。
同図(a)(b)に示すように、前記した2組の偏波共用アンテナ1,2が、電波放射面の方向を90°異ならせて、取付けポール3に取付金具4により取り付けられている。隣り合うアンテナ1,2の間に、指向性制御素子として線状の導体5が配置されている。 本実施例では、垂直偏波のみの指向性を可変にするため、上記線状の導体5は、水平偏波の方向に直交させて(垂直偏波の方向に平行に)配置されており、複数本の導体5は、偏波共用アンテナ1,2の電波放射方向に対してそれぞれ45°の角度を成す方向に並べて配置されている。
ここでは、取付ポール3の軸方向を垂直方向としており、垂直偏波の方向は、図1(b)では紙面垂直方向、水平偏波の方向は同図(b)の矢印方向である。
上記線状導体は、1/10波長以下間隔をあけて配置されており、また、上記線状の導体は、同図(c)に示すように、2組の偏波共用アンテナを構成する前記平面状の導体面を含む平面が交差する位置Pもしくはその位置Pよりアンテナ側の位置から、45°の方向に並べて配置されている。
なお、図1では、偏波共用アンテナ1,2の電波放射方向が90°異なっているため、導体5を電波放射方向に対してそれぞれ45°の角度を成す方向に並べているが、偏波共用アンテナ1,2の電波放射方向が60°異なっている場合には、導体5を電波放射方向に対してそれぞれ30°の角度を成す方向に並べる。
前記したように、線状の導体は、それと平行な偏波(電界方向)の電波を反射、回折させるが、直交する偏波は影響を受けない。このため、図1のように線状導体を配置した場合、垂直偏波を反射、回折させるが、水平偏波には影響を与えない。このため、水平偏波の指向特性に影響を与えることなく、垂直偏波の指向特性を可変にすることができる。
図2に図1に示すように線状の導体を設けた場合の2面合成指向性のシミュレーション結果を示す。図2(a)は、水平偏波の2面合成指向性、図2(b)は、垂直偏波の2面合成指向性を示す。
図2は、偏波共用アンテナとして、前記図5(b)に示した平面アンテナを用いたものであり、アンテナ単体の導体平板の大きさは0.76λ×0.76λ、取付ポールからのアンテナ設置張り出し長は0.38λである。また、指向性制御素子である線状導体として、長さ0.6λ、幅0.01λの箔状の導体を用い、この導体を3素子、設置間隔0.04λ(隣り合う箔のエッジ間の距離)で図1に示したように配置した場合の指向性を示したものである(λは波長)。なお、これらのパラメータが変わると合成指向性は変わり、比較的大きく影響するのは、指向性制御素子の幅、素子数、設置間隔である。
前記図8は、上記と同様の平面アンテナを用いた場合の水平偏波の2面合成指向性と垂直偏波の2面合成指向性を示しており、図8と図2を比べると、図2においては、水平偏波指向性は変化がないが、垂直偏波指向性が変化しているのがわかる。
図3は、前記図7に示した多面合成アンテナに本発明を適用し、垂直偏波に影響を与えずに水平偏波の指向性を可変にする場合の本発明の第2の実施例の構成を示す図である。同図(a)は斜視図、同図(b)は同図(a)をA方向から見た図、同図(c)は同図(b)のB部分の部分拡大図である。
同図(a)(b)に示すように、前記した2組の偏波共用アンテナ1,2が、電波放射面の方向を90°異ならせて、取付けポール3に取付金具4により取り付けられている。隣り合うアンテナ1,2の間に、指向性制御素子として線状の導体6が配置されている。 本実施例では、水平偏波のみの指向性を可変にするため、上記線状の導体6は、垂直偏波の方向に直交させて(水平偏波の方向に平行に)、かつ、2つのアンテナ1,2の電波放射方向に対して、それぞれ45°の角度となる向きに配置され、垂直偏波の方向に平行する方向に(水平偏波の方向に直交する方向に)、1/10波長以下の間隔をあけて並べて配置されている。
なお、前記図1と同様、取付ポール3の軸方向を垂直方向としており、垂直偏波の方向は、図1(b)では紙面垂直方向、水平偏波の方向は同図(b)の矢印方向である。
また、上記線状の導体6は、図3(c)に示すように、2組の偏波共用アンテナを構成する前記平面状の導体面を含む平面が交差する位置もしくはその位置よりアンテナ側の位置から、2つのアンテナの電波放射方向に対して略等しい角度となる方向に延伸させて配置されている。
この実施例では、線状の導体6が垂直偏波の方向に直交させて(水平偏波の方向に平行に)配置されているため、水平偏波を反射、回折させるが、垂直偏波には影響を与えない。このため、垂直偏波の指向特性に影響を与えることなく、水平偏波の指向特性を可変にすることができる。
図3の場合について、図2と同様の2面合成指向性のシミュレーションを行った結果、図2の場合と同様に良好な結果を得ることができた。
上記実施例では、2面合成の場合を示したが、2面より多い複数面による多面合成においても同様の効果が得られる。
図4に、取付ポールの周囲に4組の偏波共用アンテナを90°ずつ電波放射面を異ならせて配置した本発明の第3の実施例の構成を示す。
同図に示すように、取付ポール3の周囲に2組の偏波共用アンテナ1a,1b,2a,2bが、電波放射面の方向を90°異ならせて取り付けられ、隣り合うアンテナ1a−2a、2a−1b、1b−2b、2b−1aの間に、指向性制御素子として線状の導体5がが配置されている。
本実施例では、図1と同様、垂直偏波のみの指向性を可変にするため、上記線状の導体5は、水平偏波の方向に直交させて(垂直偏波の方向に平行に)配置されており、複数本の導体は、偏波共用アンテナ1,2の電波放射方向に対してそれぞれ45°の角度を成す方向に並べて配置されている。
このように線状の導体5を配置することで、図1と同様、水平偏波の指向特性に影響を与えることなく、垂直偏波の指向特性を可変にすることができる。
なお、図4のように4組の偏波共用アンテナを配置した構成において、水平偏波の指向性を可変にするため、前記図3に示したように、線状の導体を垂直偏波の方向に直交させて(水平偏波の方向に平行に)配置してもよい。
なお、上記実施例では、平面アンテナを用いた例について説明したが、平面アンテナ以外のダイポールアンテナ等の偏波共用アンテナでも同じ効果を得ることができる。
また、偏波共用アンテナの説明において、平板上に形成されているという表現を用いているが、折り曲げなどの加工を施したものや、メッシュ状、格子状の平板でも構わない。 また、上記では2面と4面の合成について説明したが、例えば3面でも良く、また、5面以上の多面としてもよい。
1,2 偏波共用アンテナ
1a,1b,2a,2b 偏波共用アンテナ
3 取付ポール
4 取付金具
5,6 線状導体
10 平板
11 水平偏波用ダイポールアンテナ
12 垂直偏波用ダイポールアンテナ
13 平面アンテナ素子
14 アンテナカバー

Claims (1)

  1. 平面状の導体面から所定距離開けて水平偏波及び垂直偏波アンテナ素子を形成した偏波共用アンテナを少なくとも2組有し、該アンテナの水平導体面が異なった方向を向くように設置した多面合成アンテナであって、
    上記偏波共用アンテナの放射面の間に、上記偏波の内、いずれかの偏波方向に直交するように線状の導体を、上記2組のアンテナの電波放射方向に対して等しい角度になる方向に並べて間隔をあけて1以上設置した
    ことを特徴とする多面合成アンテナ。
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