以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、WiMAXを採用する通信システムを例に挙げて説明するが、本発明は、WiMAX以外の無線通信方式を採用する通信システムにも適用することができる。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る通信システムの構成を示す図である。同図に示すように、本実施の形態に係る通信システムは、例えばインターネットなどのネットワークとの相互接続機能を提供するCSN(Connectivity Service Network)とゲートウェイ装置10およびマクロ基地局装置20を収容するASN(Access Service Network)とを含んでいる。そして、ゲートウェイ装置10は、マクロ基地局装置20に接続するとともに、ISP(Internet Service Provider)ネットワークを介して加入者宅のルータ装置Rに接続している。ルータ装置Rは、サーバ装置Sなどを有するホームネットワークを形成すると同時に、フェムト基地局装置100にも接続している。なお、図1においては、ゲートウェイ装置10が1つのマクロ基地局装置20と1つのルータ装置Rとにのみ接続されているが、ゲートウェイ装置10は、複数のマクロ基地局装置や複数のルータ装置に接続されても良い。
マクロ基地局装置20は、マクロセル内の移動局装置30−1との間でサービスフローを確立し、無線通信を行う。このとき、ASNのゲートウェイ装置10は、マクロ基地局装置20と移動局装置30−1との間のサービスフローにSFIDを割り当て、SFIDを指定してサービスフローの追加をマクロ基地局装置20に要求する。マクロ基地局装置20は、ゲートウェイ装置10により指定されたSFIDを用いて、要求された追加すべきサービスフローを移動局装置30−1との間で確立する。
また、フェムト基地局装置100は、フェムトセル内(ここでは、加入者宅内)の移動局装置30−2との間でサービスフローを確立し、無線通信を行う。このとき、ASNのゲートウェイ装置10は、フェムト基地局装置100と移動局装置30−2との間のサービスフローにSFIDを割り当て、SFIDを指定してサービスフローの追加をフェムト基地局装置100に要求する。フェムト基地局装置100は、ゲートウェイ装置10により指定されたSFIDを用いて、要求された追加すべきサービスフローを移動局装置30−2との間で確立する。さらに、フェムト基地局装置100は、ホームネットワーク用のサービスフローを確立する場合、ASNのゲートウェイ装置10から指示されたSFID以外のSFIDをホームネットワーク用のサービスフローに付与(ゲートウェイ装置10に対して、割り当てるべきSFIDの師弟を要求しなくて良い)した上で、移動局装置30−2との間でホームネットワーク用のサービスフローを確立する。なお、フェムト基地局装置100の構成および動作については、後に詳述する。
移動局装置30−1、30−2は、マクロ基地局装置20またはフェムト基地局装置100と無線通信する。このとき、移動局装置30−1、30−2は、マクロ基地局装置20のマクロセル内ではマクロ基地局装置20と無線通信し、フェムト基地局装置100のフェムトセル内ではフェムト基地局装置100と無線通信する。ただし、フェムトセルがマクロセル内に含まれている場合は、移動局装置30−1、30−2は、フェムト基地局装置を優先的に通信相手とする。そして、移動局装置30−1、30−2は、通信中にマクロセルおよびフェムトセルの境界を跨いで移動する場合、通信相手の基地局装置を切り替えるハンドオーバを実行する。
図2は、本実施の形態に係るフェムト基地局装置100の要部構成を示すブロック図である。同図においては、ゲートウェイ装置10、マクロ基地局装置20、ルータ装置R、および移動局装置30も併せて図示している。図2に示すフェムト基地局装置100は、有線インタフェース部110、競合判断部120、確立サービスフロー記憶部(以下「確立SF記憶部」と略記する)130、サービスフロー削除部(以下「SF削除部」と略記する)140、サービスフロー追加部(以下「SF追加部」と略記する)150、および無線インタフェース部160を有している。
有線インタフェース部110は、ルータ装置Rおよび図示しないISPネットワークを介してASNのゲートウェイ装置10と有線接続されている。そして、有線インタフェース部110は、ゲートウェイ装置10との間でデータをやり取りする。具体的には、有線インタフェース部110は、例えば新たに確立するASN用のサービスフローのSFIDを指定するサービスフロー追加要求をゲートウェイ装置10から受信したり、サービスフロー追加要求に対する応答をゲートウェイ装置10へ送信したりする。
競合判断部120は、有線インタフェース部110によってサービスフロー追加要求が受信されると、SFIDの競合が発生するか否かを判断する。具体的には、競合判断部120は、確立SF記憶部130に記憶された確立済みのサービスフローのSFIDを取得し、サービスフロー追加要求に含まれるSFIDと重複するものがあるか否かを判断する。そして、競合判断部120は、SFIDが重複する場合にSFIDの競合が発生すると判断し、SFIDが重複しない場合にSFIDの競合が発生しないと判断する。ここで、確立SF記憶部130には、ゲートウェイ装置10が関与しないホームネットワーク用のサービスフローのSFIDも記憶されているため、ホームネットワーク用のサービスフローが確立済みであると、このサービスフローのSFIDがサービスフロー追加要求に含まれるSFIDと重複する可能性がある。
そして、競合判断部120は、SFIDの競合が発生すると判断した場合、競合するSFIDが付与された確立済みのサービスフロー(例えば、ホームネットワーク用のサービスフロー)の削除をSF削除部140へ指示するとともに、削除されるサービスフローに新たに付与するSFIDをSF追加部150へ通知する。このとき、競合判断部120は、確立済みのサービスフローのSFIDおよび競合したSFID以外の未使用のSFIDをSF追加部150へ通知する。すなわち、競合判断部120は、SF削除部140およびSF追加部150に対する指示により、追加されるASN用のサービスフローとSFIDが重複するサービスフロー(例えば、ホームネットワーク用のサービスフロー)のSFIDを付け替えることになる。また、競合判断部120は、サービスフロー追加要求に含まれるSFIDを追加されるサービスフローの情報とともにSF追加部150へ通知する。
一方、競合判断部120は、SFIDの競合が発生しないと判断した場合、サービスフロー追加要求に含まれるSFIDを追加されるASN用のサービスフローの情報とともにSF追加部150へ通知する。
確立SF記憶部130は、フェムト基地局装置100と移動局装置との間で確立されているサービスフローのSFIDを移動局装置ごとに記憶している。具体的には、確立SF記憶部130は、有線インタフェース部110によってサービスフロー追加要求が受信されると、追加されるサービスフローに関する情報やSFIDを移動局装置ごとに記憶する。また、確立SF記憶部130は、競合判断部120によってSFIDの競合が発生すると判断された場合、SF削除部140に対して削除が指示されたサービスフローのSFIDを削除し、競合判断部120によって新たに付与されるSFIDを記憶しなおす。これらの競合判断部120および確立SF記憶部130は、本実施の形態に係るサービスフロー管理部(SF管理部)を形成している。
SF削除部140は、無線インタフェース部160を介して、競合判断部120から削除が指示されたサービスフローを削除する。すなわち、SF削除部140は、SFIDの競合が発生すると判断された2つのサービスフローのうち、既に確立済みのサービスフローを削除する。上述したように、追加されるサービスフローとSFIDが競合するのは、主にホームネットワーク用のサービスフローであるため、SF削除部140は、主にホームネットワーク用のサービスフローを削除する。このとき、単にホームネットワーク用のサービスフローを削除してしまうと、このサービスフローが一時的に途絶えてしまう。そこで、SF削除部140は、削除対象のサービスフローと同一のサービスフローが改めて追加されたことがSF追加部150から通知された後に、サービスフローを削除するようにしても良い。そして、SF削除部140は、サービスフローの削除が完了してから、その旨をSF追加部150へ通知するようにしても良い。
SF追加部150は、無線インタフェース部160を介して、競合判断部120から通知されたSFIDのサービスフローを新たに確立する。すなわち、SFIDの競合が発生すると判断された場合、SF追加部150は、SF削除部140による削除前とは異なるSFIDを付与して、削除対象のサービスフローと同一のサービスフローを確立する。また、SF追加部150は、SF削除部140によってサービスフローが削除された後、サービスフロー追加要求に対応するASN用のサービスフローを新たに確立する。一方、SFIDの競合が発生しなかった場合、SF追加部150は、サービスフロー追加要求に対応するASN用のサービスフローを新たに確立する。
なお、SFIDの競合が発生すると判断された場合、SF追加部150は、削除されるサービスフローと同一のサービスフローの追加が完了すると、その旨をSF削除部140へ通知する。そして、SFID追加部150は、サービスフローの削除が完了した旨がSF削除部140から通知された後に、サービスフロー追加要求に対応するASN用のサービスフローを追加する。以上の順序でサービスフローの追加および削除を実行することにより、SFIDが同一のサービスフローが同時に存在することを防止することができる。
無線インタフェース部160は、アンテナを介して移動局装置30と無線通信する。具体的には、無線インタフェース部160は、サービスフローの追加や削除の過程において移動局装置30との間でやり取りされるメッセージを送受信する。
次いで、上記のように構成されたフェムト基地局装置100を含む通信システムにおけるサービスフロー確立方法について、図3に示すシーケンス図を参照しながら説明する。なお、以下においては、移動局装置30がマクロ基地局装置20のマクロセルからフェムト基地局装置100のフェムトセルへ移動し、ハンドオーバする場合について説明する。より具体的には、移動局装置30とマクロ基地局装置20との間でSFID#1およびSFID#2の2つのサービスフローが確立された後、移動局装置30がハンドオーバし、移動局装置30とフェムト基地局装置100との間で新たにサービスフローが確立される場合について説明する。
移動局装置30とマクロ基地局装置20との間でサービスフローが確立される際、ゲートウェイ装置10によって、サービスフローに割り当てられるSFIDが決定され、決定されたSFIDを含むサービスフロー追加要求がマクロ基地局装置20へ送信される(ステップS101)。ここでは、SFID#1のサービスフロー追加要求が送信されたものとする。
サービスフロー追加要求が受信されると、マクロ基地局装置20によって、サービスフローに対応する無線リンクの追加を要求する無線リンク追加要求が移動局装置30へ送信される(ステップS102)。無線リンク追加要求を受信した移動局装置30は、要求された無線リンクの帯域を確保するとともに、無線リンク追加要求に対する応答をマクロ基地局装置20へ送信する(ステップS103)。そして、マクロ基地局装置20によって、サービスフロー追加要求に対する応答がゲートウェイ装置10へ送信されると(ステップS104)、ゲートウェイ装置10からは応答に対するACK(受信確認)が返信される(ステップS105)。マクロ基地局装置20によって、ゲートウェイ装置10からのACKが受信されると、マクロ基地局装置20から移動局装置30に対してもACKが送信される(ステップS106)。
以上の処理により、移動局装置30とマクロ基地局装置20の間にはSFID#1のサービスフローに対応する無線リンクが確立され、SFID#1のサービスフローが確立されたことになる。また、ゲートウェイ装置10からのサービスフロー追加要求に応じてサービスフローが追加されているため、SFID#1のサービスフローが確立されたことは、ゲートウェイ装置10のAnchor SFA機能によって把握されている。
その後、上述したSFID#1のサービスフロー確立と同様に、移動局装置30とマクロ基地局装置20との間でSFID#2のサービスフローが確立される(ステップS107)。SFID#2のサービスフローもゲートウェイ装置10からのサービスフロー追加要求に応じて追加されているため、SFID#2のサービスフローが確立されたことは、ゲートウェイ装置10のAnchor SFA機能によって把握されている。
この状態で、移動局装置30がフェムト基地局装置100のフェムトセルへ移動すると、移動局装置30の通信相手をフェムト基地局装置100へ切り替えるハンドオーバが実行される(ステップS108)。具体的には、マクロ基地局装置20において確立済みのSFID#1およびSFID#2のサービスフローがフェムト基地局装置100へ引き継がれる。これにより、フェムト基地局装置100の確立SF記憶部130には、SFID#1およびSFID#2のサービスフローに関する情報が移動局装置30に対応付けて記憶される。
ここで、フェムト基地局装置100がルータ装置Rに接続されているため、ルータ装置Rが形成する図示しないホームネットワーク用のサービスフローをフェムト基地局装置100と移動局装置30との間に追加することが要求されることがある。この場合、フェムト基地局装置100の無線インタフェース部160と移動局装置30との間でホームネットワーク用のサービスフロー確立のためのメッセージが送受信され、新たにホームネットワーク用のサービスフローが追加される(ステップS109)。
ホームネットワーク用のサービスフローは、フェムト基地局装置100が主導して追加されるため、SFIDはフェムト基地局装置によって割り当てられる。ここでは、SFID#1およびSFID#2が既に確立済みのサービスフローに割り当てられているため、ホームネットワーク用のサービスフローには、SFID#3が割り当てられる。そして、フェムト基地局装置100の確立SF記憶部130には、SFID#3のサービスフローに関する情報が記憶される。ただし、ホームネットワーク用のサービスフローは、フェムト基地局装置100と移動局装置30との間のみで有効なサービスフローであるため、SFID#3のサービスフローが確立されたことは、ゲートウェイ装置10のAnchor SFA機能では把握されていない。
その後、ゲートウェイ装置10からマクロ基地局装置20に対してSFID#1およびSFID#2のサービスフロー追加要求が送信されたのと同様に、ゲートウェイ装置10からフェムト基地局装置100に対してASN用のサービスフロー追加要求が送信される(ステップS110)。このとき、ゲートウェイ装置10のAnchor SFA機能は、フェムト基地局装置100において既にSFID#3のホームネットワーク用のサービスフローが確立されていることを把握していないため、新たにSFID#3のサービスフロー追加要求を送信する。これにより、フェムト基地局装置100においては、SFIDの競合が発生することになる(ステップS111)。
具体的には、ゲートウェイ装置10から送信されたサービスフロー追加要求は、フェムト基地局装置100の有線インタフェース部110によって受信され、競合判断部120へ出力される。そして、競合判断部120によって、移動局装置30との間で確立済みのサービスフローのSFIDが確立SF記憶部130から取得される。ここでは、移動局装置30のハンドオーバ時にマクロ基地局装置20から引き継いだASN用のサービスフローのSFID#1およびSFID#2と、ホームネットワーク用のサービスフローのSFID#3とが確立SF記憶部130から取得される。そして、競合判断部120によって、取得されたSFIDの中にサービスフロー追加要求に含まれるSFIDと同一のものがあるか否かが判断される。この結果、ホームネットワーク用のサービスフローのSFID#3がサービスフロー追加要求に含まれるSFID#3と一致するため、競合判断部120によってSFIDの競合が発生すると判断される。
SFIDの競合が発生すると判断された場合、競合判断部120によって、SFIDが競合する2つのサービスフローのうち確立済みのサービスフローを削除する旨の指示がSF削除部140へ出力される。同時に、競合判断部120によって、削除が指示されたサービスフローと同一のサービスフローに付与する新たなSFIDとサービスフロー追加要求に含まれるSFIDとがSF追加部150へ通知される。すなわち、競合判断部120によって、ホームネットワーク用のサービスフローに新たに付与されるSFIDが未使用の例えばSFID#4に決定され、決定されたSFID#4とゲートウェイ装置10からのサービスフロー追加要求に含まれるSFID#3とがSF追加部150へ通知される。
SFID#4およびSFID#3がSF追加部150に通知されると、SF追加部150によって、削除対象となっているホームネットワーク用のサービスフローと同一のサービスフローを確立する処理が実行される。すなわち、SF追加部150によって、無線インタフェース部160を介して移動局装置30との間で無線リンク追加要求などのメッセージがやり取りされ、削除対象のサービスフローと同一のサービスフローが確立される(ステップS112)。このサービスフローには、競合判断部120から通知されたSFID#4が付与される。これにより、SFID#4が付与されたホームネットワーク用のサービスフローが確立されたことになる。そして、SFID#4のサービスフローが追加された旨が、SF追加部150からSF削除部140へ通知される。
SFID#4のサービスフローが追加された旨がSF削除部140に通知されると、SF削除部140によって、無線インタフェース部160を介して移動局装置30との間で無線リンク削除要求などのメッセージがやり取りされ、SFID#3が付与されたホームネットワーク用のサービスフローが削除される(ステップS113)。これにより、SFIDが競合しているホームネットワーク用のサービスフローが削除されたことになる。そして、SFID#3のサービスフローが削除された旨が、SF削除部140からSF追加部150へ通知される。
SFID#3のサービスフローが削除された旨がSF追加部150に通知されると、SF追加部150によって、無線インタフェース部160を介して移動局装置30との間で無線リンク追加要求などのメッセージがやり取りされ、ゲートウェイ装置10からのサービスフロー追加要求に対応するサービスフローを確立する処理が実行される。このサービスフローには、競合判断部120から通知されたSFID#3が付与される。なお、SFID#3が付与されるサービスフローは、上述したマクロ基地局装置20におけるSFID#1およびSFID#2のサービスフローと同様の処理によって確立される。
すなわち、サービスフローに対応する無線リンクの追加を要求する無線リンク追加要求が移動局装置30へ送信され(ステップS114)、無線リンク追加要求を受信した移動局装置30は、要求された無線リンクの帯域を確保するとともに、無線リンク追加要求に対する応答をフェムト基地局装置100へ送信する(ステップS115)。そして、フェムト基地局装置100の有線インタフェース部110によって、サービスフロー追加要求に対する応答がゲートウェイ装置10へ送信されると(ステップS116)、ゲートウェイ装置10からは応答に対するACK(受信確認)が返信される(ステップS117)。有線インタフェース部110によって、ゲートウェイ装置10からのACKが受信されると、無線インタフェース部160から移動局装置30に対してもACKが送信される(ステップS118)。
このように、本実施の形態においては、ホームネットワーク用のサービスフローのSFIDとサービスフロー追加要求に対応するサービスフローのSFIDとが競合する場合、最初に新たなSFIDが付与されたホームネットワーク用のサービスフローが確立される。その後、SFIDが競合しているホームネットワーク用のサービスフローが削除され、最後にサービスフロー追加要求に対応するサービスフローが追加される。これにより、ホームネットワーク用のサービスフローが一時的に切断されることを防止するとともに、SFIDの競合を解消することができる。
次に、本実施の形態に係るSFID競合発生時の処理について、図4を参照しながらさらに具体的に説明する。
図4の上段に示すように、移動局装置30がマクロ基地局装置20と無線通信している間は、SFID#1およびSFID#2のサービスフローが確立されており、ゲートウェイ装置10は、移動局装置30がSFID#1およびSFID#2のサービスフローを使用していることを把握している。そして、移動局装置30がハンドオーバして、フェムト基地局装置100との無線通信を開始しても、SFID#1およびSFID#2のサービスフローは継続し、ゲートウェイ装置10は、引き続き移動局装置30がSFID#1およびSFID#2のサービスフローを使用していることを把握している。
このとき、フェムト基地局装置100は、ホームネットワークにも接続されているため、フェムト基地局装置100と移動局装置30との間でホームネットワーク用のサービスフローが確立されることがある。このサービスフローは、フェムト基地局装置100のフェムトセル内でのみ有効であるため、サービスフローのSFIDは、フェムト基地局装置100によって独自に決定される。ここでは、SFID#1およびSFID#2が既に使用されているため、未使用のSFID#3がホームネットワーク用のサービスフローのSFIDとされる。そして、SFID#3は、フェムト基地局装置100においては移動局装置30との間のサービスフローに付与されたSFIDとして把握されるが、ゲートウェイ装置10においては使用中であると把握されていない。
このため、図4上段に示すように、ゲートウェイ装置10から新たなサービスフロー追加要求が送信されると、このサービスフロー追加要求では、SFID#3のサービスフローの追加が要求される。サービスフロー追加要求がフェムト基地局装置100によって受信されると、競合判断部120によって、SFIDの競合が発生するか否かが判断され、ここでは、SFID#3の競合が発生すると判断される。
そこで、SF追加部150によって、SFID#3が付与されたホームネットワーク用のサービスフローの代わりに、SFID#4が付与された同一のサービスフローが追加される。そして、SF削除部140によって、SFID#3が付与されたホームネットワーク用のサービスフローが削除される。これにより、ホームネットワーク用のサービスフローが途絶えることなく、SFIDをSFID#3からSFID#4に変更することができる。
そして、フェムト基地局装置100と移動局装置30との間にSFID#3のサービスフローが存在しなくなったため、SF追加部150によって、サービスフロー追加要求に対応するSFID#3が付与されたサービスフローが追加される。これにより、図4の下段に示すように、SFID#1〜#3が付与されたサービスフローとSFID#4が付与されたホームネットワーク用のサービスフローとが確立されたことになる。これらのサービスフローには、移動局装置30内においてユニークなSFIDが付与されており、SFIDの競合が解消している。
以上のように、本実施の形態によれば、フェムト基地局装置において、追加が要求されたサービスフローと確立済みのサービスフローとのSFIDの競合が発生すると判断された場合に、確立済みのサービスフローのSFIDを未使用の新たなSFIDに変更した上で、新たなサービスフローを追加する。このため、ホームネットワーク用のサービスフローなどにフェムト基地局装置が独自にSFIDを付与している場合でも、SFIDの競合を防止することができる。また、新たに導入されるフェムト基地局装置がSFIDの競合を解消するため、既存のゲートウェイ装置などにおける処理を変更する必要がなく、コストの増大を防止することができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の特徴は、フェムト基地局装置内でSFIDの変換を行うことによりSFIDの競合を防止するとともに、移動局装置がフェムトセルからマクロセルへハンドオーバする際、ハンドオーバ元のフェムト基地局装置において、SFIDが変換されたサービスフローを確立しなおした後に、マクロ基地局装置へサービスフローを引き継ぐ点である。
図5は、本実施の形態に係るフェムト基地局装置200の要部構成を示すブロック図である。同図において、図2と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図5に示すフェムト基地局装置200は、有線インタフェース部110、競合判断部120、確立SF記憶部130、SFID変換部210、ハンドオーバ管理部(以下「HO管理部」と略記する)220、サービスフロー制御部(以下「SF制御部」と略記する)230、SF削除部240、SF追加部250、および無線インタフェース部160を有している。
SFID変換部210は、競合判断部120においてSFIDの競合が発生すると判断された場合に、サービスフロー追加要求に対応するサービスフローのSFIDを未使用のSFIDに変換する。そして、SFID変換部210は、変換後のSFIDを変換前のSFIDに対応付けて確立SF記憶部130に登録しておくとともに、変換後のSFIDをSF追加部250へ通知する。
本実施の形態においては、ゲートウェイ装置10からのサービスフロー追加要求に含まれるSFIDをSFID変換部210が変換し、確立SF記憶部130に登録するため、確立SF記憶部130には、変換後のSFIDが記憶されている。すなわち、例えば図6に示すように、サービスフロー追加要求に含まれる変換前のSFIDやホームネットワーク用のサービスフローに付与されるSFIDが確立SFIDとして記憶されるとともに、サービスフロー追加要求に含まれる変換前のSFIDについては、SFID変換部210による変換後のSFIDが変換SFIDとして記憶される。
また、図6においては、移動局装置30を識別する移動局IDを「30−1」としており、この移動局装置30が使用するサービスフローの確立SFID、各サービスフローの種別、および変換SFIDが示されている。そして、ホームネットワーク用のサービスフローに「SFID#3」が付与され、サービスフロー追加要求によって追加要求された優先度が中程度のサービスフローも「SFID#3」である場合に、後者のサービスフローの変換SFIDが「SFID#4」であることが示されている。
HO管理部220は、移動局装置30がマクロ基地局装置20のマクロセルへハンドオーバすることを検知すると、有線インタフェース部110を介してマクロ基地局装置20とハンドオーバ要求のメッセージなどをやり取りする。また、HO管理部220は、移動局装置30がハンドオーバする旨をSF制御部230へ通知する。
SF制御部230は、移動局装置30がハンドオーバする際、確立SF記憶部130を参照して、移動局装置30が変換されたSFIDのサービスフローを使用しているか否かを確認する。そして、SF制御部230は、移動局装置30が変換されたSFIDのサービスフローを使用している場合には、該当するサービスフローの変換前のSFID(確立SFID)および変換後のSFID(変換SFID)をSF削除部240およびSF追加部250へ通知する。換言すれば、SF制御部230は、ホームネットワーク用のサービスフローとの競合により、SFIDが変換されたサービスフローの確立SFIDおよび変換SFIDをSF削除部240およびSF追加部250へ通知する。
SF削除部240は、確立SFIDおよび変換SFIDがSF制御部230から通知されると、無線インタフェース部160を介して、それぞれ確立SFIDおよび変換SFIDが付与されたサービスフローを削除する。すなわち、SF削除部240は、他のサービスフローと競合する確立SFIDのサービスフローを削除するとともに、他のサービスフローとの競合を防止するために変換された変換SFIDのサービスフローを削除する。つまり、SF削除部240は、SFIDが互いに競合すると判断された2つのサービスフローをいずれも削除する。したがって、図6に示した例の場合、SF削除部240は、確立SFID「SFID#3」に対応するホームネットワーク用のサービスフローを削除するとともに、変換SFID「SFID#4」に対応するASN用の優先度が中程度のサービスフローを削除する。そして、SFID削除部240は、サービスフローの削除が完了すると、その旨をSF追加部250へ通知する。
SF追加部250は、無線インタフェース部160を介して、SFID変換部210から通知された変換後のSFIDのサービスフローを新たに確立する。すなわち、SF追加部250は、確立済みのサービスフローとSFIDが競合するサービスフローを、変換SFIDのサービスフローとして新たに確立する。
また、SF追加部250は、確立SFIDおよび変換SFIDがSF制御部230から通知され、かつ、サービスフローの削除が完了した旨がSF削除部240から通知されると、無線インタフェース部160を介して、変換SFIDのサービスフローと同一のサービスフローを確立SFIDのサービスフローとして確立する。すなわち、SF追加部250は、例えば図6に示した例の場合、変換SFID「SFID#4」に対応するASN用の優先度が中程度のサービスフローと同一のサービスフローを確立し、このサービスフローのSFIDを確立SFIDと等しい「SFID#3」とする。これにより、SFID#3のサービスフローは、ホームネットワーク用のサービスフローではなく、ASN用の優先度が中程度のサービスフローとなる。換言すれば、SFID変換部210によるSFIDの変換が元に戻され、ゲートウェイ装置10が把握するSFIDと実際のフェムト基地局装置200および移動局装置30間のサービスフローのSFIDとが一致することになる。
次いで、上記のように構成されたフェムト基地局装置200を含む通信システムにおけるサービスフロー確立方法について、図7に示すシーケンス図を参照しながら説明する。同図において、図3と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。なお、以下においては、移動局装置30がフェムト基地局装置200のフェムトセルからマクロ基地局装置20のマクロセルへ移動し、ハンドオーバする場合について説明する。より具体的には、移動局装置30とフェムト基地局装置200との間でSFID#1〜#3の3つのサービスフローが確立されている場合に、SFIDが競合するSFID#3のサービスフローの追加が新たに要求され、その後、移動局装置30がハンドオーバする場合について説明する。
本実施の形態においては、実施の形態1と同様に、ゲートウェイ装置10からのサービスフロー追加要求に応じたSFID#1およびSFID#2の2つのサービスフローとホームネットワーク用のSFID#3のサービスフローとが確立されている。この状態で、ゲートウェイ装置10からフェムト基地局装置200に対してSFID#3の新たなサービスフロー追加要求が送信されると(ステップS110)、競合判断部120によってSFIDの競合が発生すると判断される(ステップS111)。
そして、競合すると判断されたSFIDは、SFID変換部210によって、未使用のSFIDに変換される(ステップS201)。ここでは、例えばSFID#4が未使用であるため、SFID変換部210によって、サービスフロー追加要求に対応するサービスフローのSFID#3がSFID#4に変換され、確立SF記憶部130に登録される。また、変換後のSFID#4は、SF追加部250へ通知され、SF追加部250によって、SFID#4のサービスフローが確立される。このサービスフローは、SFID#1およびSFID#2のサービスフローと同様の処理によって確立される。
すなわち、サービスフローに対応する無線リンクの追加を要求する無線リンク追加要求が移動局装置30へ送信され(ステップS202)、無線リンク追加要求を受信した移動局装置30は、要求された無線リンクの帯域を確保するとともに、無線リンク追加要求に対する応答をフェムト基地局装置200へ送信する(ステップS203)。そして、フェムト基地局装置200の有線インタフェース部110によって、サービスフロー追加要求に対する応答がゲートウェイ装置10へ送信されると(ステップS204)、ゲートウェイ装置10からは応答に対するACK(受信確認)が返信される(ステップS205)。有線インタフェース部110によって、ゲートウェイ装置10からのACKが受信されると、無線インタフェース部160から移動局装置30に対してもACKが送信される(ステップS206)。
これにより、フェムト基地局装置200と移動局装置30との間には、SFID#4のサービスフローが追加されるが、このサービスフローは、ゲートウェイ装置10においては、SFID#3のサービスフローとして把握されている。実際には、SFID#3のサービスフローは、フェムト基地局装置200が独自に確立したホームネットワーク用のサービスフローである。本実施の形態においては、実施の形態1とは異なり、SFIDの競合が発生すると判断された場合でも、ホームネットワーク用のサービスフローのSFIDを変更する必要がないため、ホームネットワーク用のサービスフローを利用した通信が中断されることがない。
その後、移動局装置30がマクロ基地局装置20のマクロセルへ移動する際には、ハンドオーバが実行される。ハンドオーバは、準備フェーズと実行フェーズの2段階の処理に分かれており、まず、以下のようなハンドオーバの準備フェーズが開始される。すなわち、受信電力の比較などにより、移動局装置30がハンドオーバ先をマクロ基地局装置20に決定すると、移動局装置30のハンドオーバ先がマクロ基地局装置20であることを示すメッセージがフェムト基地局装置200へ送信される(ステップS207)。このメッセージがフェムト基地局装置200の無線インタフェース部160によって受信されると、HO管理部220によって、ハンドオーバ要求がマクロ基地局装置20へ送信される(ステップS208)。ハンドオーバ要求を受信したマクロ基地局装置20は、移動局装置30のハンドオーバに備えるとともに、ハンドオーバ要求に対する応答をフェムト基地局装置200へ送信する(ステップS209)。この応答を受け、フェムト基地局装置200のHO管理部220によって、移動局装置30からのメッセージに対する応答が送信されるとともに(ステップS210)、ハンドオーバ要求に対する応答へのACKがマクロ基地局装置20へ返信される(ステップS211)。
以上のハンドオーバの準備フェーズが開始されると、HO管理部220によって、移動局装置30がハンドオーバを実行する旨がSF制御部230へ通知される。そして、SF制御部230によって、確立SF記憶部130に記憶されたサービスフローのSFIDが確認され、SFIDが変更されているサービスフローの有無が判定される。ここでは、ホームネットワーク用のサービスフローのSFIDがSFID#3であるため、ゲートウェイ装置10からのサービスフロー追加要求に対応するサービスフローのSFIDがSFID#3からSFID#4に変更されている。そこで、SF制御部230によって、変更前の確立SFID「SFID#3」と変更後の変更SFID「SFID#4」とが取得され、SF削除部240およびSF追加部250へ確立SFIDおよび変更SFIDが通知される。
SF削除部240へ確立SFIDおよび変更SFIDが通知されると、SF削除部240によって、これらの2つのSFIDのサービスフローを削除する処理が実行される。すなわち、SF削除部240によって、無線インタフェース部160を介して移動局装置30との間で無線リンク削除要求などのメッセージがやり取りされ、SFID#3が付与されたホームネットワーク用のサービスフローとSFID#4が付与されたASN用のサービスフローとが削除される(ステップS212、S213)。これにより、互いにSFIDが競合している2つのサービスフローが削除されたことになる。なお、移動局装置30は、フェムト基地局装置200のフェムトセルからマクロ基地局装置20のマクロセルへハンドオーバするため、フェムト基地局装置200との間で確立されているサービスフローが削除されても問題はない。サービスフローが削除されると、その旨がSF削除部240からSF追加部250へ通知される。
SFID#3およびSFID#4のサービスフローが削除された旨がSF追加部250に通知されると、SF追加部250によって、無線インタフェース部160を介して移動局装置30との間で無線リンク追加要求などのメッセージがやり取りされ、SF削除部240によって削除されたASN用のサービスフローと同一のサービスフローを確立する処理が実行される(ステップS214)。このサービスフローには、SF制御部230から通知された確立SFID「SFID#3」が付与される。つまり、競合の原因となるASN用のサービスフローのSFIDがSFID#4からSFID#3に変更されたことになる。なお、SFID#3が付与されるASN用のサービスフローは、SFID#1およびSFID#2のサービスフローと同様の処理によって確立される。
以上のサービスフローの削除および追加により、フェムト基地局装置200と移動局装置30との間には、ゲートウェイ装置10によって把握されている通りにSFID#1〜#3の3つのサービスフローが確立されていることになる。この状態で、以下のようなハンドオーバの実行フェーズが開始される。すなわち、移動局装置30がハンドオーバを実行することを示すメッセージがフェムト基地局装置200へ送信されると(ステップS215)、フェムト基地局装置200とマクロ基地局装置20との間でハンドオーバの実行が確定される(ステップS216)。このとき、フェムト基地局装置200からマクロ基地局装置20へSFID#1〜#3のサービスフローが引き継がれる。そして、移動局装置30は、マクロ基地局装置20に対してマクロ基地局装置20に固有の既知信号の送信を要求し(ステップS217)、マクロ基地局装置20から既知信号が送信されると(ステップS218)、既知信号を用いてマクロ基地局装置20との無線通信を開始する。
以上のハンドオーバの実行フェーズにより、移動局装置30はハンドオーバを完了し、フェムト基地局装置200との通信時に使用していたすべてのASN用のサービスフローを継続して使用することができる。また、これらのサービスフローのSFIDは、SFID#1〜#3であり、フェムト基地局装置200との通信時とは異なり、いずれもゲートウェイ装置10によって把握されているSFIDと一致している。
次に、本実施の形態に係るSFID競合発生時の処理について、図8を参照しながらさらに具体的に説明する。
図8の上段に示すように、移動局装置30がフェムト基地局装置200と無線通信している間は、SFID#1およびSFID#2のASN用のサービスフローとSFID#3のホームネットワーク用のサービスフローとが確立され、SFIDがフェムト基地局装置200においてSFID#3からSFID#4に変換されたASN用のサービスフローが確立されている。したがって、ゲートウェイ装置10は、移動局装置30がSFID#1〜#3のASN用のサービスフローを使用していると把握している。そして、移動局装置30がマクロ基地局装置20のマクロセルへハンドオーバする場合、フェムト基地局装置200においては、ホームネットワーク用のサービスフローが削除される。ホームネットワーク用のサービスフローは、フェムト基地局装置200に独自のサービスフローであるため、移動局装置30がハンドオーバする際には、削除されても問題ない。
また、ホームネットワーク用のサービスフローが削除されるため、SFIDの競合が発生しなくなり、ASN用のサービスフローのSFIDを変換する必要がなくなる。そこで、SFIDが変換されていたASN用のサービルフローのSFIDが変換前のSFIDに戻される。すなわち、図8の上段において、図中破線で示したSFID#3のホームネットワーク用のサービスフローが削除されるとともに、SFIDがSFID#4に変換されていたASN用のサービスフローが一旦削除され、改めてSFID#3のサービスフローとして確立される。これにより、フェムト基地局装置200と移動局装置30との間には、SFID#1〜#3のASN用のサービスフローが確立されていることになり、これらのサービスフローのSFIDは、ゲートウェイ装置10によって把握されているSFIDと一致する。
そして、移動局装置30がハンドオーバを実行する際に、フェムト基地局装置200からマクロ基地局装置20へサービスフローが引き継がれることにより、移動局装置30は、ハンドオーバの前後で同一のサービスフローを使用することができる。すなわち、図8の下段に示すように、フェムト基地局装置200と移動局装置30との間で確立されていたSFID#1〜#3のサービスフローが、そのままマクロ基地局装置20と移動局装置30との間でも確立されることになる。
以上のように、本実施の形態によれば、フェムト基地局装置において、追加が要求されたサービスフローと確立済みのサービスフローとのSFIDの競合が発生すると判断された場合に、追加が要求されたサービスフローのSFIDを変換し、移動局装置との間では変換後のSFIDのサービスフローを確立する。このため、ホームネットワーク用のサービスフローなどにフェムト基地局装置が独自にSFIDを付与している場合でも、SFIDの競合を防止することができる。また、移動局装置がハンドオーバする際、フェムト基地局装置は、変換後のSFIDで確立されたサービスフローのSFIDを変換前のSFIDに戻した上で、ハンドオーバ先の基地局装置へサービスフローを引き継ぐ。このため、フェムト基地局装置においてSFIDが変換されていても、移動局装置がハンドオーバする際には、適切なSFIDのサービスフローをハンドオーバ先の基地局装置へ引き継ぐことができる。
なお、本実施の形態においては、ハンドオーバの実行フェーズでサービスフローが引き継がれるものとして説明したが、ハンドオーバの準備フェーズでサービスフローが引き継がれるようにしても良い。この場合、まだホームネットワーク用のサービスフローが削除されていないが、確立SF記憶部130に記憶された情報を用いれば、サービスフローの適切な引き継ぎが可能である。すなわち、フェムト基地局装置200の確立SF記憶部130には、ホームネットワーク用のサービスフローのSFIDやASN用のサービスフローの変換前後のSFIDが記憶されているため、ASN用のサービスフローのみを変換前のSFIDでハンドオーバ先の基地局装置へ引き継ぐようにすれば良い。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3の特徴は、フェムト基地局装置内でSFIDの変換を行うことによりSFIDの競合を防止するとともに、移動局装置がフェムトセルからマクロセルへハンドオーバする際、SFIDの変換とは無関係のサービスフローは、ハンドオーバ先のマクロ基地局装置へ引き継がれる一方、SFIDの変換に関連するサービスフローは、ハンドオーバ先のマクロ基地局装置において、改めて確立される点である。
図9は、本実施の形態に係るフェムト基地局装置300の要部構成を示すブロック図である。同図において、図2および図5と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図9に示すフェムト基地局装置300は、有線インタフェース部110、競合判断部120、確立SF記憶部130、SFID変換部210、サービスフロー判別部(以下「SF判別部」と略記する)310、HO管理部320、SF追加部250、および無線インタフェース部160を有している。
SF判別部310は、移動局装置30がハンドオーバする際、確立SF記憶部130を参照して、確立中のサービスフローがそれぞれASN用であるかまたはホームネットワーク用であるかを判別する。そして、SF判別部310は、それぞれのASN用のサービスフローについて、さらにSFIDが変換されているか否かを判別し、SFIDの変換の有無を含むASN用のサービスフローに関する情報をHO管理部320へ出力する。
すなわち、SF判別部310は、移動局装置30がハンドオーバする旨がHO管理部320から通知されると、ハンドオーバ先のマクロ基地局装置20へ引き継ぐサービスフローとして、ASN用のサービスフローのみを選択する。その上で、SF判別部310は、SFIDが変換されているサービスフローについては、マクロ基地局装置20において確立しなおしが実行されるように、各サービスフローのSFIDの変換の有無を区別する。そして、SF判別部310は、SFIDが変換されておらずそのままマクロ基地局装置20へ引き継ぐサービスフローの情報、およびSFIDが変換されておりマクロ基地局装置20において改めて確立すべきサービスフローの情報をHO管理部320へ出力する。
HO管理部320は、移動局装置30がマクロ基地局装置20のマクロセルへハンドオーバすることを検知すると、移動局装置30がハンドオーバする旨をSF判別部310へ通知する。そして、HO管理部320は、マクロ基地局装置20へ引き継ぐサービスフローの情報、およびマクロ基地局装置20において改めて確立すべきサービスフローの情報をSF判別部310から取得する。HO管理部320は、これらのサービスフローの情報を含むメッセージを有線インタフェース部110を介してマクロ基地局装置20へ送信し、移動局装置30のハンドオーバのための処理を実行する。すなわち、HO管理部320は、マクロ基地局装置20に対して、SFIDが変換されていないサービスフローをそのまま引き継ぎ、SFIDが変換されているサービスフローを改めて確立するように指示する。
次いで、上記のように構成されたフェムト基地局装置300を含む通信システムにおけるサービスフロー確立方法について、図10に示すシーケンス図を参照しながら説明する。同図において、図3および図7と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。なお、以下においては、実施の形態2と同様に、移動局装置30がフェムト基地局装置300のフェムトセルからマクロ基地局装置20のマクロセルへ移動し、ハンドオーバする場合について説明する。
本実施の形態においては、実施の形態1、2と同様に、ゲートウェイ装置10からのサービスフロー追加要求に応じたSFID#1およびSFID#2の2つのサービスフローとホームネットワーク用のSFID#3のサービスフローとが確立されている。この状態で、ゲートウェイ装置10からフェムト基地局装置200に対してSFID#3の新たなサービスフロー追加要求が送信されると(ステップS110)、競合判断部120によってSFIDの競合が発生すると判断される(ステップS111)。
そして、競合すると判断されたSFID(すなわち、SFID#3)は、SFID変換部210によって、未使用のSFID(すなわち、SFID#4)に変換される(ステップS201)。変換後のSFID#4は、SF追加部250へ通知され、SF追加部250によって、SFID#4のサービスフローが確立される。このサービスフローは、SFID#1およびSFID#2のサービスフローと同様の処理によって確立される(ステップS202〜S206)。
その後、移動局装置30がマクロ基地局装置20のマクロセルへ移動する際には、ハンドオーバが実行される。ハンドオーバは、準備フェーズと実行フェーズの2段階の処理に分かれており、まず、以下のようなハンドオーバの準備フェーズが開始される。すなわち、受信電力の比較などにより、移動局装置30がハンドオーバ先をマクロ基地局装置20に決定すると、移動局装置30のハンドオーバ先がマクロ基地局装置20であることを示すメッセージがフェムト基地局装置300へ送信される(ステップS207)。このメッセージがフェムト基地局装置300の無線インタフェース部160によって受信されると、HO管理部320によって、移動局装置30がマクロ基地局装置20のマクロセルへハンドオーバする旨がSF判別部310へ通知される。
そして、SF判別部310によって、確立SF記憶部130に記憶されたサービスフローの情報が参照され、確立中のASN用のサービスフローそれぞれについて、SFIDが変換されているか否かが判定される。ここで、SFIDが変換されていないサービスフローは、マクロ基地局装置20へそのまま引き継がれるサービスフローであり、SFIDが変換されているサービスフローは、マクロ基地局装置20において改めて確立されるサービスフローであることになる。具体的には、SFID#1およびSFID#2のサービスフローは、マクロ基地局装置20へそのまま引き継がれ、SFIDがSFID#3からSFID#4に変換されているサービスフローは、マクロ基地局装置20において改めて確立される。そこで、SF判別部310によって、マクロ基地局装置20へそのまま引き継がれるサービスフローの情報、およびマクロ基地局装置20において改めて確立されるサービスフローの情報がHO管理部320へ出力される。
そして、HO管理部320によって、サービスフローの引き継ぎおよび再確立の指示を含むハンドオーバ要求がマクロ基地局装置20へ送信される(ステップS301)。具体的には、SFID#1およびSFID#2のサービスフローをそのまま引き継ぐ旨の指示と、SFIDがSFID#4に変換されているサービスフローをSFID#3のサービスフローとして改めて確立すべき旨の指示とがハンドオーバ要求のメッセージとして送信される。ハンドオーバ要求を受信したマクロ基地局装置20は、移動局装置30のハンドオーバに備えるとともに、ハンドオーバ要求に対する応答をフェムト基地局装置300へ送信する(ステップS209)。この応答を受け、フェムト基地局装置300のHO管理部320によって、移動局装置30からのメッセージに対する応答が送信されるとともに(ステップS210)、ハンドオーバ要求に対する応答へのACKがマクロ基地局装置20へ返信される(ステップS211)。
以上のハンドオーバの準備フェーズにより、移動局装置30のハンドオーバ先のマクロ基地局装置20においては、SFID#1およびSFID#2のサービスフローがフェムト基地局装置300から引き継がれることと、SFID#3のサービスフローを新たに確立すべきであることとが把握されている。この状態で、以下のようなハンドオーバの実行フェーズが開始される。すなわち、移動局装置30がハンドオーバを実行することを示すメッセージがフェムト基地局装置300へ送信されると(ステップS215)、フェムト基地局装置300とマクロ基地局装置20との間でハンドオーバの実行が確定される(ステップS216)。
そして、移動局装置30がマクロ基地局装置20に対してマクロ基地局装置20に固有の既知信号の送信を要求すると(ステップS217)、マクロ基地局装置20は、SFID#1およびSFID#2のサービスフローに関する情報を既知信号に重畳して移動局装置30へ送信することにより、SFID#1およびSFID#2のサービスフローを引き継ぐ(ステップS302)。また、マクロ基地局装置20は、新たに確立するように指示されていたSFID#3のサービスフローを移動局装置30との間で確立する(ステップS303)。これにより、移動局装置30は、ハンドオーバ先のマクロセルにおいてもハンドオーバ元のフェムトセルと同一のASN用のサービスフローを使用することができる。そして、ハンドオーバ先のマクロセルにおいて確立されるサービスフローのSFIDは、SFID#1〜#3であり、ゲートウェイ装置10によって把握されているSFIDと一致している。
以上のように、本実施の形態によれば、フェムト基地局装置において、追加が要求されたサービスフローと確立済みのサービスフローとのSFIDの競合が発生すると判断された場合に、追加が要求されたサービスフローのSFIDを変換し、移動局装置との間では変換後のSFIDのサービスフローを確立する。このため、ホームネットワーク用のサービスフローなどにフェムト基地局装置が独自にSFIDを付与している場合でも、SFIDの競合を防止することができる。また、移動局装置がハンドオーバする際、フェムト基地局装置は、ハンドオーバ先の基地局に対して、SFIDが変換されているサービスフローを再確立するように指示する。このため、フェムト基地局装置においてSFIDが変換されていても、移動局装置がハンドオーバする際には、適切なSFIDのサービスフローをハンドオーバ先の基地局装置において再確立することができる。
さらに、実施の形態2と比較すると、フェムト基地局装置300においてサービスフローを一旦削除して確立しなおす必要がないため、フェムト基地局装置300と移動局装置30との間で送受信されるメッセージの数を削減することができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4の特徴は、フェムト基地局装置がホームネットワーク用のサービスフローを確立する場合に、ゲートウェイ装置との間でホームネットワーク用のサービスフローに対応するダミーパスを確立する点である。
図11は、本実施の形態に係るフェムト基地局装置400の要部構成を示すブロック図である。同図において、図2と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図11に示すフェムト基地局装置400は、有線インタフェース部110、SF制御部410、ダミーパス確立部420、確立SF記憶部130、SF追加部150、および無線インタフェース部160を有している。
SF制御部410は、有線インタフェース部110によってサービスフロー追加要求が受信されると、サービスフロー追加要求に含まれるSFIDをSF追加部150へ出力し、ASN用のサービスフローを追加させる。また、SF制御部410は、ホームネットワーク用のサービスフローが必要な場合に、このサービスフローに付与するSFIDを決定してSF追加部150へ出力し、ホームネットワーク用のサービスフローを追加させる。このとき、SF制御部410は、ホームネットワーク用のサービスフローのSFIDをダミーパス確立部420にも通知する。なお、SF制御部410は、サービスフローが新たに追加される際、追加されるサービスフローのSFIDを含む情報を確立SF記憶部130に記憶させる。
ダミーパス確立部420は、ホームネットワーク用のサービスフローのSFIDがSF制御部410から通知されると、通知されたSFIDに対応するダミーパスをゲートウェイ装置10との間で確立する。すなわち、ダミーパス確立部420は、実際のデータの送受信には使用されないダミーパスをゲートウェイ装置10との間で確立し、このダミーパスにホームネットワーク用のサービスフローのSFIDを付与する。
次いで、上記のように構成されたフェムト基地局装置400を含む通信システムにおけるサービスフロー確立方法について、図12に示すシーケンス図を参照しながら説明する。同図において、図3と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。なお、以下においては、実施の形態1と同様に、移動局装置30がマクロ基地局装置20のマクロセルからフェムト基地局装置400のフェムトセルへ移動し、ハンドオーバする場合について説明する。
移動局装置30とマクロ基地局装置20との間でサービスフローが確立される際、ゲートウェイ装置10によって、サービスフローに割り当てられるSFIDが決定され、決定されたSFID(例えば、SFID#1)を含むサービスフロー追加要求がマクロ基地局装置20へ送信される(ステップS101)。サービスフロー追加要求が受信されると、マクロ基地局装置20によって、サービスフロー追加要求に対応する無線リンクが移動局装置30との間で確立され、サービスフロー追加要求に含まれるSFID(SFID#1)のサービスフローが確立される(ステップS102〜S106)。また、マクロ基地局装置20によって同様の処理が実行され、SFID#2のサービスフローが確立される(ステップS107)。これらのサービスフローは、ゲートウェイ装置10からのサービスフロー追加要求に応じて追加されているため、SFID#1およびSFID#2のサービスフローが確立されたことは、ゲートウェイ装置10のAnchor SFA機能によって把握されている。
この状態で、移動局装置30がフェムト基地局装置400のフェムトセルへ移動すると、移動局装置30の通信相手をフェムト基地局装置400へ切り替えるハンドオーバが実行され、SFID#1およびSFID#2のサービスフローがフェムト基地局装置400へ引き継がれる(ステップS108)。
ここで、フェムト基地局装置400がルータ装置Rに接続されているため、ルータ装置Rが形成する図示しないホームネットワーク用のサービスフローをフェムト基地局装置400と移動局装置30との間に追加することが要求されることがある。この場合、フェムト基地局装置400のSF制御部410によって、ホームネットワーク用のサービスフローに付与するSFIDが決定され、決定されたSFIDがダミーパス確立部420へ通知される。ここでは、ホームネットワーク用のサービスフローのSFIDがSFID#3に決定されたものとする。
そして、ダミーパス確立部420によって、有線インタフェース部110を介してSFID#3のダミーパス確立を要求するメッセージが送信され、この要求メッセージがゲートウェイ装置10によって受信される(ステップS401)。ゲートウェイ装置10は、SFID#3のパスをフェムト基地局装置400との間で確立する処理を実行し、要求メッセージに対する応答メッセージをフェムト基地局装置400へ送信する(ステップS402)。ここで、ダミーパス確立部420からは、実際のデータ送受信には使用されないダミーパスを確立するための要求メッセージが送信されているが、ゲートウェイ装置10は、要求されたパスがデータ送受信に使用されるか否かを要求メッセージから判断することはできない。したがって、ゲートウェイ装置10は、フェムト基地局装置400との間の通常のパスと同様に、ダミーパスを確立することになる。
フェムト基地局装置400のダミーパス確立部420によって、ゲートウェイ装置10からの応答メッセージが受信されると、その旨がSF制御部410へ通知され、SF制御部410によって、ホームネットワーク用のサービスフローに付与されるSFID#3がSF追加部150へ通知される。そして、SF追加部150によって、移動局装置30との間でホームネットワーク用のサービスフロー確立のためのメッセージが送受信され、新たにホームネットワーク用のサービスフローが追加される(ステップS109)。そして、ダミーパスの確立およびホームネットワーク用のサービスフローの確立が完了した後、有線インタフェース部110からは、ダミーパス確立の応答メッセージに対するACKがゲートウェイ装置10に対して返信される(ステップS403)。
通常、ホームネットワーク用のサービスフローは、フェムト基地局装置400と移動局装置30との間のみで有効なサービスフローであるため、SFID#3のサービスフローが確立されたことは、ゲートウェイ装置10のAnchor SFA機能では把握されていない。しかし、本実施の形態においては、ゲートウェイ装置10とフェムト基地局装置400との間で、SFID#3に対応するダミーパスが確立済みであるため、ゲートウェイ装置10は、新たにASN用のサービスフロー確立を要求する場合でも、このサービスフローについてSFID#3を指定することはない。結果として、フェムト基地局装置400によって独自に確立されたホームネットワーク用のサービスフローのSFIDとASN用のサービスフローのSFIDとの競合が発生することがない。
次に、本実施の形態に係るホームネットワーク用のサービスフロー確立時の処理について、図13を参照しながらさらに具体的に説明する。
図13に示すように、移動局装置30がマクロ基地局装置20と無線通信している間は、SFID#1およびSFID#2のサービスフローが確立されており、ゲートウェイ装置10は、移動局装置30がSFID#1およびSFID#2のサービスフローを使用していることを把握している。そして、移動局装置30がハンドオーバして、フェムト基地局装置400との無線通信を開始しても、SFID#1およびSFID#2のサービスフローは継続し、ゲートウェイ装置10は、引き続き移動局装置30がSFID#1およびSFID#2のサービスフローを使用していることを把握している。
この状態で、フェムト基地局装置400がSFID#3のホームネットワーク用のサービスフローを確立する際、フェムト基地局装置400の主導により、フェムト基地局装置400とゲートウェイ装置10との間にSFID#3のダミーパスが確立される。SFID#3のサービスフローは、実際にはホームネットワーク用のサービスフローであるため、フェムト基地局装置400と移動局装置30との間におけるデータの送受信のみに用いられる。しかし、本実施の形態においては、データの送受信には用いられることがないダミーパスをフェムト基地局装置400とゲートウェイ装置10との間に確立することにより、ゲートウェイ装置10は、SFID#3が使用中のSFIDであることを把握する。
したがって、以降、ゲートウェイ装置10が新たにASN用のサービスフロー追加要求を送信する場合、新たなサービスフローのSFIDとしてSFID#3が指定されることはない。結果として、フェムト基地局装置400において、ASN用のサービスフローとホームネットワーク用のサービスフローとのSFIDの競合が発生することがない。
以上のように、本実施の形態によれば、フェムト基地局装置において、独自のSFIDが付与されたサービスフローが確立された場合に、このサービスフローのSFIDに対応するダミーパスをフェムト基地局装置とゲートウェイ装置との間で確立する。このため、ホームネットワーク用のサービスフローなどにフェムト基地局装置が独自にSFIDを付与している場合でも、このSFIDがゲートウェイ装置によって使用されることがなく、SFIDの競合を防止することができる。また、新たに導入されるフェムト基地局装置が主導してダミーパスを確立するため、既存のゲートウェイ装置などにおける処理を変更する必要がなく、コストの増大を防止することができる。
(実施の形態5)
ところで、上記各実施の形態1〜4においては、マクロ基地局装置とフェムト基地局装置が同一のゲートウェイ装置に接続されるものとして説明した。しかし、ASNには複数のゲートウェイ装置が設けられており、移動局装置がハンドオーバする際、ハンドオーバ元の基地局装置に接続するゲートウェイ装置とハンドオーバ先の基地局装置に接続するゲートウェイ装置とが異なることもある。そこで、本発明の実施の形態5では、移動局装置がASNの2つのゲートウェイ装置を跨ぐハンドオーバをする場合について説明する。通常、このような場合でも、移動局装置ごとのSFIDを管理するAnchor SFA機能については、新たなゲートウェイ装置に引き継がれることがない。しかし、本実施の形態においては、移動局装置がフェムト基地局装置のフェムトセルへ移動した場合には、この移動局装置のSFIDの管理がフェムト基地局装置に接続するゲートウェイ装置のAnchor SFA機能へ引き継がれる。
図14は、本実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。同図に示すように、本実施の形態に係る通信システムは、CSNとゲートウェイ装置10−1、10−2およびマクロ基地局装置20を収容するASNとを含んでいる。そして、ゲートウェイ装置10−1は、マクロ基地局装置20に接続する一方、ゲートウェイ装置10−2は、加入者宅のルータ装置Rを介してフェムト基地局装置500に接続する。なお、図14においては省略したが、ルータ装置Rは、サーバ装置などを含むホームネットワークを形成している。
また、ゲートウェイ装置10−1、10−2は、それぞれAnchor SFA機能を有しており、配下の基地局装置(マクロ基地局装置20またはフェムト基地局装置500)と無線通信中の移動局装置が使用するサービスフローのSFIDを管理している。そして、移動局装置がマクロ基地局装置20へハンドオーバする場合には、Anchor SFA機能がゲートウェイ装置10−1へ引き継がれることがないが、移動局装置がフェムト基地局装置500へハンドオーバする場合には、Anchor SFA機能がゲートウェイ装置10−2へ引き継がれる。
フェムト基地局装置500は、移動局装置が他の基地局装置(例えばマクロ基地局装置20)からハンドオーバしてくる場合に、ハンドオーバ元の基地局装置に接続するゲートウェイ装置(例えばゲートウェイ装置10−1)からゲートウェイ装置10−2へAnchor SFA機能を引き継ぐリロケーションを実行させる。また、フェムト基地局装置500は、ホームネットワーク用のサービスフローが確立される場合に、ホームネットワーク用のサービスフローに割り当てられるSFIDを予約する予約メッセージをゲートウェイ装置10−2へ送信する。
図15は、本実施の形態に係るフェムト基地局装置500の要部構成を示すブロック図である。同図において、図2と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。また、図15には、ゲートウェイ装置10−1、10−2、マクロ基地局装置20、ルータ装置R、および移動局装置30も併せて図示している。図15に示すフェムト基地局装置500は、有線インタフェース部110、HO管理部510、SF制御部520、予約メッセージ生成部530、確立SF記憶部130、SF追加部150、および無線インタフェース部160を有している。
HO管理部510は、移動局装置30が他の基地局装置からフェムト基地局装置500へハンドオーバしてくることを検知すると、移動局装置30に関するAnchor SFA機能をゲートウェイ装置10−2へ引き継がせるリロケーションを実行する。すなわち、HO管理部510は、移動局装置30が例えばマクロ基地局装置20からフェムト基地局装置500へハンドオーバする場合、ゲートウェイ装置10−1、10−2とメッセージをやり取りして、移動局装置30が使用するSFIDの管理などをゲートウェイ装置10−2に引き継がせる。また、HO管理部510は、リロケーションが完了すると、その旨を予約メッセージ生成部530へ通知する。
SF制御部520は、有線インタフェース部110によってサービスフロー追加要求が受信されると、サービスフロー追加要求に含まれるSFIDをSF追加部150へ出力し、ASN用のサービスフローを追加させる。また、SF制御部520は、ホームネットワーク用のサービスフローが必要な場合に、このサービスフローに付与するSFIDを決定してSF追加部150へ出力し、ホームネットワーク用のサービスフローを追加させる。このとき、SF制御部520は、ホームネットワーク用のサービスフローのSFIDを予約メッセージ生成部530にも通知する。なお、SF制御部520は、サービスフローが新たに追加される際、追加されるサービスフローのSFIDを含む情報を確立SF記憶部130に記憶させる。
予約メッセージ生成部530は、ホームネットワーク用のサービスフローのSFIDがSF制御部520から通知されると、通知されたSFIDがフェムト基地局装置500によって使用される旨の予約メッセージを生成し、有線インタフェース部110を介してゲートウェイ装置10−2へ送信する。すなわち、予約メッセージ生成部530は、ホームネットワーク用のサービスフローのSFIDと同一のSFIDがゲートウェイ装置10−2によって使用されないように、フェムト基地局装置500が独自に付与するSFIDの使用を予約する。
次いで、上記のように構成されたフェムト基地局装置500を含む通信システムにおけるサービスフロー確立方法について、図16に示すシーケンス図を参照しながら説明する。同図において、図3と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。なお、以下においては、実施の形態1および実施の形態4と同様に、移動局装置30がマクロ基地局装置20のマクロセルからフェムト基地局装置400のフェムトセルへ移動し、ハンドオーバする場合について説明する。
本実施の形態においては、実施の形態1および実施の形態4と同様に、移動局装置30とマクロ基地局装置20との間でSFID#1のサービスフローが確立され(ステップS101〜S106)、同様に、SFID#2のサービスフローが確立される(ステップS107)。これらのサービスフローは、マクロ基地局装置20に接続するゲートウェイ装置10−1からのサービスフロー追加要求に応じて追加されているため、SFID#1およびSFID#2のサービスフローが確立されたことは、ゲートウェイ装置10−1のAnchor SFA機能によって把握されている。
この状態で、移動局装置30がフェムト基地局装置500のフェムトセルへ移動すると、移動局装置30の通信相手をフェムト基地局装置500へ切り替えるハンドオーバが実行され、SFID#1およびSFID#2のサービスフローがフェムト基地局装置500へ引き継がれる(ステップS108)。また、通常のハンドオーバでは、基地局装置の上位装置であるゲートウェイ装置が変わっても、ハンドオーバ元のゲートウェイ装置のAnchor SFA機能によって、移動局装置が使用するサービスフローのSFIDが管理される。しかし、本実施の形態においては、移動局装置30がフェムト基地局装置500へハンドオーバしているため、リロケーションが実行される(ステップS501)。
具体的には、フェムト基地局装置500のHO管理部510によって、移動局装置30がマクロ基地局装置20からフェムト基地局装置500へハンドオーバすることが検知されると、HO管理部510とゲートウェイ装置10−1、10−2との間でメッセージがやり取りされ、移動局装置30に関するAnchor SFA機能がゲートウェイ装置10−2へ引き継がれる。このように、本実施の形態においては、移動局装置30がフェムト基地局装置500へハンドオーバする場合には、フェムト基地局装置用のゲートウェイ装置10−2がAnchor SFA機能を引き継ぐ。こうすることにより、フェムト基地局装置500に接続するゲートウェイ装置10−2のみがフェムト基地局装置500によって独自に確立されるサービスフローのSFIDを把握すれば良いことになる。したがって、フェムト基地局装置に接続するゲートウェイ装置のみが従来のAnchor SFA機能とは異なる処理を実行すれば良く、通信システムの改変によるコストの増大を低減することができる。
ゲートウェイ装置10−1からゲートウェイ装置10−2へ移動局装置30に関するAnchor SFA機能が引き継がれ、リロケーションが完了すると、その旨がHO管理部510から予約メッセージ生成部530へ通知される。これにより、予約メッセージ生成部530は、ゲートウェイ装置10−2に対して予約メッセージを送信して、SFIDの使用予約が可能となったことを確認することができる。
ここで、フェムト基地局装置500がルータ装置Rに接続されているため、ルータ装置Rが形成する図示しないホームネットワーク用のサービスフローをフェムト基地局装置500と移動局装置30との間に追加することが要求されることがある。この場合、フェムト基地局装置500のSF制御部520によって、ホームネットワーク用のサービスフローに付与するSFIDが決定され、決定されたSFIDが予約メッセージ生成部530へ通知される。ここでは、ホームネットワーク用のサービスフローのSFIDがSFID#3に決定されたものとする。
そして、予約メッセージ生成部530によって、有線インタフェース部110を介してSFID#3の使用を予約する予約メッセージが送信され、この予約メッセージがゲートウェイ装置10−2によって受信される(ステップS502)。ゲートウェイ装置10−2は、SFID#3がフェムト基地局装置500において独自に付与されることを予約メッセージによって検知し、以後、移動局装置30が使用するASN用のサービスフロー確立時に、サービスフローのSFIDとしてSFID#3を指定しないようにする。また、ゲートウェイ装置10−2は、予約メッセージに対する応答メッセージをフェムト基地局装置500へ送信する(ステップS503)。
フェムト基地局装置500の予約メッセージ生成部530によって、ゲートウェイ装置10−2からの応答メッセージが受信されると、その旨がSF制御部520へ通知され、SF制御部520によって、ホームネットワーク用のサービスフローに付与されるSFID#3がSF追加部150へ通知される。そして、SF追加部150によって、移動局装置30との間でホームネットワーク用のサービスフロー確立のためのメッセージが送受信され、新たにホームネットワーク用のサービスフローが追加される(ステップS109)。そして、SFIDの使用予約およびホームネットワーク用のサービスフローの確立が完了した後、有線インタフェース部110からは、ゲートウェイ装置10−2からの応答メッセージに対するACKが返信される(ステップS504)。
通常、ホームネットワーク用のサービスフローは、フェムト基地局装置500と移動局装置30との間のみで有効なサービスフローであるため、SFID#3のサービスフローが確立されたことは、ゲートウェイ装置10−2のAnchor SFA機能では把握されていない。しかし、本実施の形態においては、ゲートウェイ装置10−2がフェムト基地局装置500からSFID#3の予約メッセージを受信し、以後はSFID#3を使用しないようにするため、ゲートウェイ装置10−2は、新たにASN用のサービスフロー確立を要求する場合でも、このサービスフローについてSFID#3を指定することはない。結果として、フェムト基地局装置500によって独自に確立されたホームネットワーク用のサービスフローのSFIDとASN用のサービスフローのSFIDとの競合が発生することがない。また、本実施の形態においては、実施の形態4とは異なり、ダミーパスを確立することはない。このため、ゲートウェイ装置とフェムト基地局装置との間のルータやスイッチなどの中継装置における無線リソース(例えば帯域など)がダミーパスによって無駄に確保されることがない。
次に、本実施の形態に係るホームネットワーク用のサービスフロー確立時の処理について、図17を参照しながらさらに具体的に説明する。
図17に示すように、移動局装置30がマクロ基地局装置20と無線通信している間は、SFID#1およびSFID#2のサービスフローが確立されており、ゲートウェイ装置10−1は、移動局装置30がSFID#1およびSFID#2のサービスフローを使用していることを把握している。そして、移動局装置30がハンドオーバして、フェムト基地局装置500との無線通信を開始しても、SFID#1およびSFID#2のサービスフローは継続する。そして、本実施の形態においては、移動局装置30がフェムト基地局装置500へハンドオーバするため、ゲートウェイ装置10−1からゲートウェイ装置10−2へのリロケーションが実行され、ゲートウェイ装置10−2は、移動局装置30がSFID#1およびSFID#2のサービスフローを使用していることを把握することになる。
この状態で、フェムト基地局装置500がSFID#3のホームネットワーク用のサービスフローを確立する際、フェムト基地局装置500は、SFID#3をホームネットワーク用のサービスフローに割り当てて使用する旨の予約メッセージをゲートウェイ装置10−2へ送信する。ゲートウェイ装置10−2は、予約メッセージを受信することで、SFID#3が使用中のSFIDであることを把握する。
したがって、以降、ゲートウェイ装置10−2が新たにASN用のサービスフロー追加要求を送信する場合、新たなサービスフローのSFIDとしてSFID#3が指定されることはない。結果として、フェムト基地局装置500において、ASN用のサービスフローとホームネットワーク用のサービスフローとのSFIDの競合が発生することがない。
以上のように、本実施の形態によれば、フェムト基地局装置において、独自のSFIDが付与されたサービスフローが確立された場合に、このサービスフローのSFIDの使用をゲートウェイ装置において予約する。このため、ホームネットワーク用のサービスフローなどにフェムト基地局装置が独自にSFIDを付与している場合でも、このSFIDがゲートウェイ装置によって使用されることがなく、SFIDの競合を防止することができる。また、移動局装置がフェムト基地局装置へのハンドオーバをする際には、リロケーションが実行されて移動局装置のAnchor SFA機能がフェムト基地局装置に接続するゲートウェイ装置に引き継がれる。このため、フェムト基地局装置に接続するゲートウェイ装置のみがSFIDの予約を実行すれば良く、通信システムの改変を最小限に抑制することができる。
なお、上記各実施の形態において説明したフェムト基地局装置のサービスフロー確立方法をコンピュータが実行可能な形式で記述したサービスフロー確立プログラムを生成し、このサービスフロー確立プログラムをコンピュータに実行させることにより、上記各実施の形態と同様のサービスフロー確立方法を実現することも可能である。このとき、サービスフロー確立プログラムをコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶させ、記録媒体を用いてコンピュータにサービスフロー確立プログラムを導入することも可能である。
以上の実施の形態について、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)移動局装置との間に確立済みの第1のサービスフローについての識別子と、前記移動局装置との間に新たに確立が要求された第2のサービスフローについての識別子との競合が発生するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって識別子の競合が発生すると判断された場合に、前記第1のサービスフローについての識別子または前記第2のサービスフローについての識別子を変更する変更手段と、
前記変更手段による変更により、前記第1のサービスフローとの間で識別子の競合が回避された識別子を用いて、前記第2のサービスフローを確立する確立手段と
を有することを特徴とする基地局装置。
(付記2)前記変更手段は、
前記判断手段によって識別子の競合が発生すると判断された場合に、前記第1のサービスフローとは異なる識別子が付与された、前記第1のサービスフローと同一のサービスフローを追加する追加手段と、
前記追加手段によってサービスフローが追加された後に、前記第1のサービスフローを削除する削除手段と
を含むことを特徴とする付記1記載の基地局装置。
(付記3)前記追加手段は、
第1のサービスフローを含むすべての確立済みのサービスフローについての識別子とは異なる識別子が付与されたサービスフローを追加することを特徴とする付記2記載の基地局装置。
(付記4)前記変更手段は、
前記判断手段によって識別子の競合が発生すると判断された場合に、前記第2のサービスフローの識別子を、前記第1のサービスフローを含むすべての確立済みのサービスフローについての識別子とは異なる識別子に変換することを特徴とする付記1記載の基地局装置。
(付記5)前記移動局装置が他の基地局装置へハンドオーバすることを検知する検知手段と、
前記検知手段によって前記移動局装置のハンドオーバが検知された場合に、前記第1のサービスフローを削除するとともに、前記変更手段によって識別子が変換された前記第2のサービスフローを削除する削除手段と、
前記削除手段によって前記第1のサービスフローおよび前記第2のサービスフローが削除された後に、前記変更手段による変換前の識別子が付与された、前記第2のサービスフローと同一のサービスフローを追加する追加手段と
をさらに有することを特徴とする付記4記載の基地局装置。
(付記6)前記移動局装置が他の基地局装置へハンドオーバすることを検知する検知手段と、
前記検知手段によって前記移動局装置のハンドオーバが検知された場合に、確立済みのサービスフローそれぞれが前記変更手段によって識別子が変換されているサービスフローであるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段によって識別子が変換されていると判別されたサービスフローを再確立するように前記他の基地局装置へ指示する指示手段と
をさらに有することを特徴とする付記4記載の基地局装置。
(付記7)移動局装置との通信に使用されるサービスフローを確立する確立手段と、
前記移動局装置とは異なる上位装置から、前記確立手段によって確立されたサービスフローと識別子が同一のサービスフローの確立が要求されることを防止する防止手段と
を有することを特徴とする基地局装置。
(付記8)前記防止手段は、
前記確立手段によって確立されたサービスフローと識別子が同一であり、データの送受信には使用されないダミーパスを前記上位装置との間に確立することを特徴とする付記7記載の基地局装置。
(付記9)前記防止手段は、
前記確立手段によって確立されたサービスフローの識別子が使用中であることを示す予約メッセージを前記上位装置に対して送信することを特徴とする付記7記載の基地局装置。
(付記10)コンピュータによって実行されるサービスフロー確立プログラムであって、前記コンピュータに、
移動局装置との間に確立済みの第1のサービスフローについての識別子と、前記移動局装置との間に新たに確立が要求された第2のサービスフローについての識別子との競合が発生するか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにて識別子の競合が発生すると判断された場合に、前記第1のサービスフローについての識別子または前記第2のサービスフローについての識別子を変更する変更ステップと、
前記変更ステップにおける変更により、前記第1のサービスフローとの間で識別子の競合が回避された識別子を用いて、前記第2のサービスフローを確立する確立ステップと
を実行させることを特徴とするサービスフロー確立プログラム。
(付記11)移動局装置との間に確立済みの第1のサービスフローについての識別子と、前記移動局装置との間に新たに確立が要求された第2のサービスフローについての識別子との競合が発生するか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにて識別子の競合が発生すると判断された場合に、前記第1のサービスフローについての識別子または前記第2のサービスフローについての識別子を変更する変更ステップと、
前記変更ステップにおける変更により、前記第1のサービスフローとの間で識別子の競合が回避された識別子を用いて、前記第2のサービスフローを確立する確立ステップと
を有することを特徴とするサービスフロー確立方法。