JP5169313B2 - ZnO蒸着材の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、ITO膜に迫る高い導電率の膜を高速成膜することのできるZnO蒸着材の製造方法を提供することにある。
請求項1に係る発明では、ZnOを主成分としたペレットに、CeとAlの2元素が上記含有割合で含むので、このZnO蒸着材を用いると、ITO膜に迫る高い導電性を有するZnO膜を成膜できる。
請求項2に係る発明では、請求項1に係る発明と同様に、ZnOを主成分としたペレットに、CeとAlの2元素が上記含有割合で含むので、このZnO蒸着材を用いると、ITO膜に迫る高い導電性を有するZnO膜を成膜できる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、CeとAlの合計の含有割合が4〜24.9質量%の範囲内であるZnO蒸着材の製造方法である。請求項3に係る発明では、ZnO蒸着材中のCeとAlの合計の含有割合が4〜24.9質量%の範囲内であることにより、このZnO蒸着材を用いると、導電特性及び分光特性において優れた効果が得られる。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4いずれか1項に係る発明であって、ZnOのペレットが多結晶体であるZnO蒸着材の製造方法である。
請求項6に係る発明では、上記請求項1ないし5のいずれか1項に記載のZnO蒸着材を用いてZnO膜を成膜するため、このZnO膜は、ITO膜に迫る高い導電性が得られる。
また、本発明のZnO蒸着材の製造方法で得られるZnO膜は、本発明に係るZnO蒸着材を用いて成膜されるため、高い導電率、高い透過率が得られ、更に、膜の耐久性が向上する。
本発明者は、ZnO蒸着材及びこの蒸着材を用いて成膜されたZnO膜中の添加物種及びその含有量における導電性への影響を詳細に調査したところ、ZnOのペレット中に添加元素として含まれるCeとAlの2元素のそれぞれの含有割合が大きく影響していることが確認された。ZnOのペレット中において、このCeとAlの2元素の含有割合が増加するほど概して導電性は良好となるが、更に増加すると逆に劣化することから、製品への適用を考えた場合、これら2元素の最適な含有割合の範囲が存在することが判った。
先ず、高純度ZnO粉末と、ZnO蒸着材中のCeの含有割合が3〜14.9質量%の範囲となる量のCeO2粉末と、ZnO蒸着材中のAlの含有割合が1〜10質量%の範囲となる量のAl2O3粉末と、バインダと、有機溶媒とを混合して、濃度が30〜75質量%、好ましくは40〜65質量%のスラリーを調製する。高純度ZnO粉末は、純度が98%以上であることが好ましく、98.4%以上であることが更に好ましい。ZnO粉末の純度が98%以上であれば、不純物の影響による導電率の低下を抑えることができるからである。スラリーの濃度を30〜75質量%に限定したのは、75質量%を越えると上記スラリーが非水系であるため、安定した混合造粒が難しく、30質量%未満では均一な組織を有する緻密なZnO焼結体が得られ難いからである。ZnO粉末の平均粒径は0.1〜5.0μmの範囲内にあることが好ましい。0.1μm未満では、粉末が細かすぎて凝集するため、粉末のハンドリングが悪くなり、高濃度スラリーを調製し難い傾向があり、5.0μmを越えると、微細構造の制御が難しく、緻密なペレットが得られ難い傾向があるからである。
<参考例1>
先ず、ZnO粉末995.61gと、CeO2粉末2.50gと、Al2O3粉末1.89gと、バインダと、有機溶媒とを湿式ボールミルを用い、湿式混合してスラリーを調製した。調製したスラリーを噴霧乾燥し、得られた混合造粒粉末を1000MPaの圧力で加圧成形した後、1300℃の温度で焼結し、ZnO蒸着材を作製した。
ZnO粉末を944.2g、CeO2粉末を36.9g、Al2O3粉末を18.9gとしたこと以外は、参考例1と同様に、ZnO蒸着材を作製し、ガラス基板上にZnO膜を成膜した。なお、得られたZnO蒸着材は、相対密度が95%であり、また以下の表1に示すように、Ce濃度が3質量%、Al濃度が1質量%であった。
ZnO粉末を869.61g、CeO2粉末を73.70g、Al2O3粉末を56.69gとしたこと以外は、参考例1と同様に、ZnO蒸着材を作製し、ガラス基板上にZnO膜を成膜した。なお、得られたZnO蒸着材は、相対密度が95%であり、また以下の表1に示すように、Ce濃度が6質量%、Al濃度が3質量%であった。
ZnO粉末を628.05g、CeO2粉末を183.00g、Al2O3粉末を188.95gとしたこと以外は、参考例1と同様に、ZnO蒸着材を作製し、ガラス基板上にZnO膜を成膜した。なお、得られたZnO蒸着材は、相対密度が95%であり、また以下の表1に示すように、Ce濃度が14.9質量%、Al濃度が10質量%であった。
ZnO粉末を999.56g、CeO2粉末を0.25g、Al2O3粉末を0.19gとしたこと以外は、参考例1と同様に、ZnO蒸着材を作製し、ガラス基板上にZnO膜を成膜した。なお、得られたZnO蒸着材は、相対密度が95%であり、また以下の表1に示すように、Ce濃度が0.02質量%、Al濃度が0.01質量%であった。
ZnO粉末を754.3g、CeO2粉末を245.7gとし、Al2O3粉末は添加しなかったこと以外は、参考例1と同様に、ZnO蒸着材を作製し、ガラス基板上にZnO膜を成膜した。なお、得られたZnO蒸着材は、相対密度が95%であり、また以下の表1に示すように、Ce濃度が20質量%であった。即ち、得られたZnO蒸着材はAlを含まない。
ZnO粉末を470.87g、CeO2粉末を245.70g、Al2O3粉末を283.43gとしたこと以外は、参考例1と同様に、ZnO蒸着材を作製し、ガラス基板上にZnO膜を成膜した。なお、得られたZnO蒸着材は、相対密度が95%であり、また以下の表1に示すように、Ce濃度が20質量%、Al濃度が15質量%であった。
ZnO粉末を716.57g、Al2O3粉末を283.43gとし、CeO2粉末は添加しなかったこと以外は、参考例1と同様に、ZnO蒸着材を作製し、ガラス基板上にZnO膜を成膜した。なお、得られたZnO蒸着材は、相対密度が95%であり、また以下の表1に示すように、Al濃度が15質量%であった。即ち、得られたZnO蒸着材は、Ceを含まない。
ZnO粉末を1000gとし、Al2O3粉末及びCeO2粉末を添加しなかったこと以外は、参考例1と同様に、ZnO蒸着材を作製し、ガラス基板上にZnO膜を成膜した。なお、得られたZnO蒸着材は、相対密度が95%であり、Ce及びAlを含まないZnO蒸着材であった。
実施例1〜3、参考例1及び比較例1〜5で成膜したZnO膜について、比抵抗及び透過率を測定した。その結果を以下の表1に示す。比抵抗は測定器(三菱化学株式会社 商品名:ロレスタ HP型、MCP−T410、プローブ:直列1.5mmピッチ)を用い、雰囲気が25℃において定電流印加による4端子4探針法により測定した。また透過率は分光光度計(株式会社日立製作所製 U−4000)を用い、可視光波長域(380〜780mm)について、成膜後の基板を測定光に対して垂直に設置して測定した。
Claims (7)
- ZnOを主成分として調製されたペレットを用いて透明導電膜用ZnO膜を成膜するために用いられるZnO蒸着材を製造する方法において、ZnOを主成分としたペレットを調製する際、ペレットにCeとAlの双方の元素を含有させ、Ceの含有割合が3〜14.9質量%、Alの含有割合が1〜10質量%の範囲内となるようにし、かつCe/Alの含有割合の比率が質量比で1.49〜3の範囲内になるようにして、ZnO膜を緻密な結晶構造にすることを特徴とするZnO蒸着材の製造方法。
- ZnO粉末と、ZnO蒸着材中のCeの含有割合が3〜14.9質量%の範囲となる量のCeO2粉末と、ZnO蒸着材中のAlの含有割合が1〜10質量%の範囲となる量のAl2O3粉末と、バインダと、有機溶媒とを混合して濃度が30〜75質量%であって、前記ZnO蒸着材中のCe蒸着材中のCeの含有割合とAlの含有割合との比率Ce/Alが質量比で1.49〜3の範囲内になるようにスラリーを調製し、
前記スラリーを噴霧乾燥して平均粒径が50〜250μmの混合造粒粉末を作製し、前記混合造粒粉末を所定の型に入れて所定の圧力で成形し、
前記成形により得られた成形体を1000℃以上の温度で1〜10時間焼結してペレットからなる多結晶ZnO蒸着材を得ることを特徴とする請求項1記載のZnO蒸着材の製造方法。 - CeとAlの合計の含有割合が4〜24.9質量%の範囲内である請求項1又は2記載のZnO蒸着材の製造方法。
- Ceの含有割合が3〜6質量%、Alの含有割合が1〜3質量%の範囲内となるようにする請求項1ないし3いずれか1項に記載のZnO蒸着材の製造方法。
- ZnOのペレットが多結晶体である請求項1ないし4いずれか1項に記載のZnO蒸着材の製造方法。
- 請求項1ないし5いずれか1項に記載の方法で製造されたZnO蒸着材をターゲット材とする真空成膜法によりZnO膜を形成する方法。
- 真空成膜法が電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法又はプラズマ蒸着法である請求項6記載のZnO膜の形成方法。
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