JP5168890B2 - 半導体発光素子及び半導体発光素子の製造方法 - Google Patents

半導体発光素子及び半導体発光素子の製造方法 Download PDF

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Description

半導体を用いて発光素子構造を形成した半導体発光素子に係り、光取り出し面と光反射面を備えた半導体発光素子及びその製造方法に関する。
従来の半導体発光素子は、半導体発光素子によって発光した光を効率的に半導体発光素子の外部に取り出すために、光取り出し面と、当該光取り出し面に光を集めるための光反射面を、その構造面に備えた半導体発光素子が提案されている。
例えば、特許文献1〜特許文献6において、半導体層の側面に傾斜面を設ける半導体発光素子が開示されている。より詳しく説明すると、これらの特許文献には、(1)半導体構造を順メサ形状とするもの(特許文献2〜特許文献5)、(2)半導体構造を逆メサ形状とするもの(特許文献1)、(3)半導体構造の側面に凹凸を設けるもの(特許文献6)が記載されている。その他には、特許文献7において、基板面に凹凸を設ける半導体発光素子が記載されている。
特開平10−308532号公報(段落0032〜段落0042、図3) 特開平10−341035号公報(段落0012〜段落0017、図2) 特開2002−026382号公報(段落0014〜段落0015、図1、図2) 特開2004−095959号公報(段落0015〜段落0018、図1) 特開2004−071644号公報(段落0014〜段落0020、図2) 特開2004−006662号公報(段落0006〜段落0009、図1) 特開2003−318441号公報(段落0030〜段落0032、図1)
しかしながら、特許文献1及び特許文献6に記載されたLED(Light Emitting Diode)のように、基板材料と半導体材料が異種の材料であるヘテロ構造体の場合には、一般的には、半導体層と基板に対する加工方法がそれぞれ異なるため、それぞれの主面に対して別々の工程において加工する必要がある。この加工上の制約のため、反射面や光取り出し構造などにも制約が生じることになる。
したがって、特許文献3の図2に示されるような半導体層と基板とを一体的に加工して連続した反射面を形成することは、ヘテロ構造体の場合には困難であった。特に、窒化物半導体を用いる半導体発光素子においては、その基板としてサファイア基板、SiC基板が好適に用いられるが、これらの基板材料はそれぞれ硬度が高く(サファイアのモース硬度は9[修正モース硬度は12]、SiCの修正モース硬度は13)、機械加工が困難であった。このような基板に所望の反射面、傾斜面を形成するには、相応の加工時間を要し、生産性が低下する傾向があった。また、加工時における半導体への衝撃による損傷の問題もあった。
このため、半導体と基板とを一体的に加工して双方を覆う反射面(傾斜面)を形成することは困難であり、半導体、基板のいずれか一方の加工による反射面の形成に留まるのが実情であった。また、特許文献2の図11及び特許文献5の図2に記載のLEDのように、p側電極及びn側電極を同一面側として基板を光取り出し方向にする場合には、基板上にメサ形状、すなわち側面の傾斜勾配の角度が90°未満の半導体層を形成するため、基板主面上から比較的容易に加工することができる。
他方、特許文献1の図3に記載のLEDのように、逆メサ形状の半導体層を形成するには、加工の制御が難しく、精度よく形状を形成することが困難であった。そして、傾斜面と発光構造とを好適に連携させた構造にしないと、良好な光取り出しが実現できず、従来の加工方法を用いたのでは製造コスト増につながる傾向にあった。また、特許文献4の図1に記載のLEDのように、金属部材上に逆メサ形状の半導体層を形成するためには、基板上にメサ形状の半導体層を形成した後、この基板に代わる金属部材を形成し、元の基板を剥離するという複雑な工程が必要であった。
以上説明した特許文献1から特許文献6に記載のLEDに対して、加工方法が容易で、光の外部への取り出し効率を更に向上する構造の半導体発光素子が必要であった。
また、特許文献7の図1に記載のLEDでは、凹凸を設けた基板上に半導体層を形成し、半導体層内を伝播して基板面で反射する光の方向を偏向することで、外部への光取り出し効率を向上するものであるが、半導体層の側面からの光取り出し効率の向上が更に必要であった。
本発明は、このような問題を解決するために創案されたものであり、加工方法が容易で、好適な光の外部への取り出し構造を有する半導体発光素子と、その製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の半導体発光素子は、基板上に第1導電型半導体及び第2導電型半導体をこの順に有する半導体構造と、前記第1導電型半導体及び前記第2導電型半導体にそれぞれ第1電極及び第2電極とを設けた半導体発光素子であって、前記半導体構造は、前記基板側から上方に向かって外方に傾斜した傾斜面を有し、前記基板が、前記半導体構造の傾斜面の下方に少なくとも当該半導体構造から露出した露出領域を有すると共に、当該露出領域に凹凸構造を有し、前記半導体構造の傾斜面となる側面において、前記半導体構造を上下方向に貫通する貫通孔を有する構成とした。
かかる構成によれば、半導体発光素子は、半導体構造の側面に設けられた半導体構造の基板側(下端面側)から上方に向かって外方に傾斜した傾斜面、すなわち、逆傾斜面によって、半導体構造内を横方向に伝播して当該逆傾斜面に到達した光の一部を上方向に反射して、半導体発光素子の外部に取り出すことができる。また、半導体発光素子は、当該逆傾斜面に到達した光の一部を、逆傾斜面を透過して下方向に出射し、逆傾斜面の下方の半導体構造から露出した基板上に設けられた凹凸構造によって散乱又は回折して、観測面方向である上方向に偏向することができる。また、半導体発光素子は、前記半導体構造の側面において、前記半導体構造を上下方向に貫通する貫通孔を有する構成とすることにより、半導体構造内を横方向に伝播して側面に到達した光を散乱又は回折して、半導体発光素子の外部に取り出すことができるため、光取り出し効率を向上させることができる。
また、前記半導体構造の傾斜面が、少なくとも前記半導体構造の外周側面に設けることにより、半導体発光素子内で発生した光を効果的に観測面方向に反射することができ、外部への光取り出し効率を向上させることができる。
また、前記露出領域が、前記半導体構造の傾斜面の上端よりも内方に設けることにより、逆傾斜面から基板側に出る光を効果的に観測面方向に散乱又は回折して上方向に偏向することができ、外部への光取り出し効率を向上することができる。
本発明の半導体発光素子の製造方法は、基板上に第1導電型半導体及び第2導電型半導体をこの順に有する半導体構造と、前記第1導電型半導体及び前記第2導電型半導体にそれぞれ第1電極及び第2電極とを設けた半導体発光素子であって、基板面上に前記半導体構造と、前記第1電極と、前記第2電極とを形成する半導体発光素子構造形成工程と、前記半導体構造の上端面と異なる結晶面を露出させる異結晶面露出工程と、前記基板面に凹凸構造を形成する凹凸構造形成工程と、前記露出させた半導体構造の上端面と異なる結晶面からウェットエッチングによって前記半導体構造の側面に前記基板側から上方に向かって外方に傾斜した傾斜面を形成する傾斜面形成工程と、を含み、前記凹凸構造形成工程は、前記傾斜面形成工程において形成される傾斜面の下方の前記基板面に、前記半導体構造の上端面から貫通して凹部を形成するようにした。
かかる手順によれば、基板上に半導体発光素子構造を形成し、半導体構造の側面に形成される逆傾斜面の下方の基板面に、半導体構造を上端面から貫通して凹部を形成することにより凹凸構造を形成することができる。
また、前記異結晶面露出工程は、前記半導体構造との界面を構成する前記基板面を露出させるようにすることで、逆傾斜した側面を半導体構造の下端面から安定して形成することができ、また、前記ウェットエッチングにおいて、前記半導体構造の前記露出させた結晶面側の端部が、前記半導体構造の上端面側の端部よりも内方になるまでウェットエッチングするようにすることで、半導体構造の厚み方向にわたって、逆傾斜した側面を安定して形成することができる。
また、半導体発光素子の製造方法は、前記異結晶面露出工程と、前記凹凸構造形成工程と、を同時に行うようにすることで、製造工程を簡略化することができる。
また、半導体発光素子の製造方法は、前記半導体構造の前記傾斜面に貫通孔を形成する貫通孔形成工程を含むようにすることで、光取り出し効率のよい半導体発光素子を形成することができる。
本発明の半導体発光素子によれば、半導体発光素子内で発光した光を、半導体構造の逆傾斜した側面及び当該逆傾斜した側面の下方の基板面に設けられた凹凸構造によって効果的に反射、散乱又は回折して偏向することができるため、光の外部への取り出し効率の良好な半導体発光素子とすることができる。
また、本発明の半導体発光素子の製造方法によれば、ウェットエッチングによって逆傾斜した側面を形成するため、機械的加工をすることなく、容易に、かつ安定して形成することができる。
以下、本発明の第1実施形態について適宜図面を参照して説明する。
第1実施形態にかかる半導体発光素子は、サファイア基板上に窒化物半導体を積層してなるものであり、例えば、LED構造を有する発光素子である。
(第1実施形態)
<構成>
図1及び図2を参照して、第1実施形態の半導体発光素子100の構成について説明する。ここで、図1は、第1実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す模式図(斜視図)であり、図2は、第1実施形態に係る半導体発光素子の構成する模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線における断面図である。
第1実施形態の半導体発光素子100は、サファイア、SiC等からなる基板1と、その基板面1a上に、窒化物半導体からなるn型半導体層(第1導電型半導体)2と発光層3とp型半導体層(第2導電型半導体)4とを積層した積層構造(半導体構造)10を有する半導体発光素子構造30と、から構成される。
半導体発光素子構造30若しくは積層構造(半導体構造)10の外周を形成する側面7は、積層構造10の下端面(すなわち基板面1a)から上端面(すなわちp型半導体層4の上端面4a)に向かって外方に傾斜する傾斜面として形成され、基板1上には、いわゆる逆メサ形状の半導体発光素子構造30が構成される。
なお、本明細書において、半導体の順メサ形状あるいは積層方向に幅が狭くなる形状を構成する傾斜を順傾斜、逆メサ形状あるいは積層方向に幅が広くなる形状を構成する傾斜を逆傾斜ともいう。
積層構造10の周縁部には平面視三角形であり、傾斜した側面7を上端面4aに垂直方向に貫通する複数の貫通孔8が、積層構造10の内側を取り囲むように配列されている。また、それぞれの貫通孔8の直下の基板面1aには、貫通孔8と対応して平面視形状が同形の凹部9aが形成されており、基板面1aの傾斜した側面7の下方領域1bには、複数の凹部9a及びこの凹部9aを取り囲む凸部9bからなる凹凸構造9が形成されている。
また、半導体発光素子構造30は、n型半導体層2の露出面である凹部20の底面20a上に金属等からなるn側電極(n側パッド電極、第1電極)5が設けられ、積層構造10上にはp側全面電極6a、p側パッド電極6bとから構成されるp側電極(第2電極)6が設けられている。
引き続き、図1及び図2を参照して各部の構成について詳細に説明する。
(基板)
基板1は、半導体として窒化物半導体を用いた半導体発光素子用の基板として好適な、サファイア、SiC等からなる厚さ50〜200μm程度の基板を用いることができる。
基板面1a上には、積層構造10の周縁部に形成された複数の貫通孔8の直下に対応する位置に、それぞれ平面視三角形の凹部9aと、この凹部9aを取り囲む凸部9bとからなる凹凸構造9が形成されている。
また、より好適には、半導体発光素子構造30の積層構造10を構成する半導体の屈折率より、基板1の屈折率のほうが小さい基板を用いることができる。基板1の屈折率が半導体の屈折率より小さいと、半導体側から基板1側に向かって進行する光は、両者の界面において、入射角がスネルの法則によって算出される臨界角より大きいときには、この界面で全反射し、半導体内から外に出ることができず、半導体の積層構造10内を横方向に伝播する。
半導体と基板1との界面で全反射するような低屈折率の基板を用いることで、基板1内を横方向に伝播する光が少ないため、基板1側に逆傾斜面を設けずとも、積層構造10の外周の側面7に逆傾斜面を設け、基板面1a上に凹凸構造9を設けることで効果的に光を外部に取り出すことができる。
半導体として窒化物半導体であるGaN系化合物半導体を用いた場合は、GaN系化合物半導体の屈折率は2.5であるから、これより小さな屈折率の基板を用いることが好ましい。例えば、サファイアの屈折率は1.8程度であり、SiCの屈折率は2.6程度であるから、サファイア基板を好適に用いることができる。
また、より好適には、GaN系化合物半導体との組み合わせにおいて、サファイアからなる基板1を用い、半導体の積層構造10を設ける基板面1aをサファイア結晶のC面とした基板1を用いることができる。このような基板1を用いることにより、基板面1a上には、(000−1)面、すなわちN極性面を下面側とし、(0001)面、すなわちGa極性面を上面側として、c軸方向に成長したGaN系化合物半導体結晶を形成することができる。このような半導体結晶を用いる利点については後記する。
(傾斜した側面の下方領域(露出領域)、凹凸構造)
基板面1a上の、積層構造10の外周に形成された逆傾斜した側面7の下方領域(露出領域)1bには、積層構造10の周縁部に形成された複数の貫通孔8の直下に対応する位置に、それぞれ平面視三角形の凹部9aと、この凹部9aを取り囲む凸部9bとからなる凹凸構造9が形成されている。平面視三角形の凹部9aの一辺の長さは、0.5〜10μm程度、凹部9aの間隔は0.5〜10μm程度、凹部9aの高さは0.5〜5μm程度とすることができる。
なお、凹部9aは、基板面1aの傾斜した側面7の下方領域1bにおいて、1重に配列するように設けてもよいし、3重以上に配列するように設けてもよく、基板1の周縁領域である傾斜した側面7の下方領域1bの全周ではなく、その一部に設けるようにしてもよい。また、凹部9aの断面形状は、三角形に限定されるものではなく、円形、楕円形、方形などの多角形としてもよい。
(半導体発光素子構造)
半導体発光素子構造30は、基板1の基板面1a上に設けられ、窒化物半導体からなるn型半導体層2と発光層3とp型半導体層4とを積層した積層構造10と、積層構造10に電流を供給するためのn側電極5及びp側電極6と、から構成される。
(積層構造(半導体構造))
基板上に設けられる半導体構造は、第1導電型半導体及び第2導電型半導体を少なくとも有し、より好適には、その間に発光層を有する。半導体構造の具体的な例として、積層構造10は、基板1側から順に、n型半導体層2、発光層3及びp型半導体層4が積層された構成を有する。例えば窒化物半導体であるGaN系化合物半導体を用い、基板面1aをC面とした基板1上に、異種基板上では核形成層等のバッファ層を含む1〜2μm程度の厚さの下地層を介して、1〜2μm程度の厚さのn型半導体層2、50〜150nm程度の厚さの発光層3、100〜300nm程度の厚さのp型半導体層4を形成する。各層は2層以上で構成されていてもよい。
n型半導体層(第1導電型半導体)2は、例えばn型不純物としてSiがドープされたGaN、又はSiがドープされたGaNからなるn型コンタクト層と、n型AlGaNからなるn型クラッド層等を備える2層以上の構成としてもよい。
本第1実施形態の半導体発光素子構造30は、発光層3としてダブルへテロ構造の活性層を有する構成としたが、n型半導体層2とp型半導体層4の界面(pn接合面)を発光層とする半導体発光素子構造30としてもよい。また、発光層3として、例えばアンドープGaNからなる障壁層とアンドープInGaNからなる井戸層を交互に積層し、多重井戸構造からなる活性層を形成してもよい。
p型半導体層(第2導電型半導体)4は、例えばp型不純物としてMgがドープされたGaNからなるp型半導体層4、又はp型AlGaNからなるp型クラッド層と、MgがドープされたGaNからなるp型コンタクト層等を備える2層以上の構成としてもよい。
なお、n型半導体層2、発光層3及びp型半導体層4は、半導体発光素子として機能する構成であれば、例えば、第1導電型半導体をp型半導体とし、第2導電型半導体としてn型半導体とするなど、他のどのような構成を採用してもよい。
(n側電極(負電極、第1電極)、p側電極(正電極、第2電極))
n側電極(第1電極)5は、半導体発光素子構造30の積層構造10の上端面4aから凹状に形成された凹部20の底面20a上に形成され、半導体発光素子100に電流を供給するためのAu線等の電流供給線と接続するための電極パッドを兼ねている。底面20aは、n型半導体層2の露出面である。n側電極5は、底面20a側から順にW、Pt、Auが積層されてなり、700〜2300nm程度の厚さに形成される。なお、n側電極5を構成する材料は、n型半導体層2とオーミック接触することができる材料であれば、他の金属を組み合わせた積層物、合金等、他の材料を用いることもできる。
p側電極(第2電極)6は、半導体の積層構造10の最上層であるp型半導体層4の上端面4aの上に形成される。p側電極6は、p型半導体層4の上端面4aの略全領域であって発光層3の略全領域に対応する領域に形成される透光性の導電性材料からなるp側全面電極6aと、p側全面電極6aの一部の面上にp側パッド電極6bを設けて構成されている。p側パッド電極6bは、半導体発光素子100に電流を供給するためのAu線等の電流供給線と接続するためのパッド電極である。n側電極5と同様に、W、Pt、Auを順に積層して形成することができる。p側パッド電極6bは700〜2300nm程度の厚さに形成される。
p側全面電極6aは、p側パッド電極6bなどを介して供給される電流を、発光層3が形成された発光領域に対応するp型半導体層4の略全面にムラなく拡散するために設けられ、電流拡散機能を有する。n型半導体層2側では、n側電極5の形成面と基板1との間に位置するn型半導体層2が、電流拡散機能を有する。また、第1実施形態の半導体発光素子100は、主として電極配置面側から光を取り出す構成であるため、p側全面電極6aが、発光層3から放出される光の波長において透光性を有することが必要である。このような透光性と導電性とを兼ね備えた材料として、ITO(酸化インジウムスズ)、ZnO、p型半導体層4側から順にNi、Auを積層した金属薄膜、Ni、Auの合金の薄膜等を用いることができる。特にITOは透光性及び導電性が優れ、光の外部取り出し効率向上の点で好適である。なお、p側全面電極6aの材料は、p型半導体層4と、オーミック接触できる材料であれば、前記した材料以外の材料を用いることもできる。
(傾斜した側面)
積層構造10の外周の側面7は、半導体構造の端部、具体的には半導体発光素子構造30における積層構造10の外周を取り囲む側面であり、積層構造10の厚さ方向全域にわたり、積層構造10の下端面(すなわち、基板1との界面である基板面1a)から上端面4aに向かって外方に傾斜する、逆傾斜した傾斜面として形成される。
このような傾斜面は、積層構造10を構成する半導体の特定の結晶面として形成した場合には、傾斜面の傾斜角度の精度が結晶構造によって規制されるため、安定した傾斜面を形成することができる。結晶面はエッチング法によって形成することができる。結晶をエッチングすると、その結晶構造に依存してエッチングレートが異なり、特定の結晶面を形成することができる。とりわけウェットエッチング法により特定の結晶面を高精度に形成することができる。
エッチングによって形成される傾斜面について具体的に説明する。半導体として六方晶のGaN系化合物半導体を用いた場合は、積層構造10の側面7を、当該積層構造10を構成する半導体結晶の結晶面として形成することができる。
詳細に説明すると、基板1としてサファイアを用い、さらにサファイア結晶のC面を基板面1aとし、有機金属化学気相成長法(MOCVD法)によってGaN系化合物半導体の結晶を成長させると、半導体結晶のN極性面である(000−1)面を基板1との界面とし、c軸方向に成長した半導体結晶を形成することができる。このようにして形成した半導体結晶からなる半導体の積層構造10の側面は、半導体結晶と基板1との界面を露出させ、半導体結晶の(000−1)面からウェットエッチング法(化学エッチング法)によってエッチングすることにより、{1−102}面(R面)、若しくは当該面からc軸で30°回転した面(以下、30°回転R面という)を形成することができる。{1−102}面は(1−102)面と同価な6つの面の集合であり、積層構造10の基板面1aから上端面4aに向かって外側に傾斜した傾斜面となる。十分な時間をかけてエッチングを行うことにより、半導体発光素子構造30の側面7は、六角錐台若しくは、前記した30°回転R面を加えた十二角錐台の形状、若しくはその一部形状となる。
側面7は、半導体結晶の{1−102}面又は30°回転R面に属し、傾斜の向きの異なる複数の傾斜面の組み合わせによる多面体として構成することにより、傾斜角度が半導体結晶の結晶構造によって規制されるため、精度の安定した面を形成することができる。
(貫通孔)
積層構造10の周縁部には、上端面4aから側面7まで、上端面4aに対して垂直に貫通する貫通孔8が形成されている。貫通孔8は平面視三角形の断面形状を有し、貫通孔8の延長線上の基板面1aには、それぞれの貫通孔8に対応して凹部9aが形成されている。貫通孔8の断面形状の一辺の長さは、0.5〜10μm程度、貫通孔8の間隔は0.5〜10μm程度とすることができる。
なお、貫通孔8は、積層構造10の周縁部に1重に配列するように設けてもよいし、3重以上に配列するように設けてもよく、積層構造10の周縁部の全周ではなく、その一部に設けるようにしてもよい。また、貫通孔8の断面形状は、三角形に限定されるものではなく、円形、楕円形、方形などの多角形としてもよい。
また、n側電極5又はp側パッド電極6bの少なくとも一方の電極を積層構造10の周縁部に配置して、例えば、図11又は図12のように積層構造10の周縁部に、電極形成領域と、貫通孔領域とを配置してもよい。凹部9a1についても同様である。
次に、図10を参照して、第1実施形態に係る半導体発光素子を用いた半導体発光装置の構成について説明する。ここで、図10は、第1実施形態に係る半導体発光素子を用いた半導体発光装置の構成を示す模式図(断面図)である。
半導体発光素子100は、基板1を下側として、外部から電流を供給するための正電極側のリードフレーム111のカップ状に形成された凹部111a内に接着剤115によって固定されている。凹部111aの内部の側面は上方に向かって外側に傾斜した傾斜面である。p側パッド電極6bは、正電極側のリードフレーム111の一部とAu線等からなるワイヤ113で接続されている。n側電極5は負電極側のリードフレーム112とAu線等からなるワイヤ114で接続されている。全体は樹脂116で封止され、砲弾型の外観を有する半導体発光装置110を構成している。
<動作>
次に、図2を参照して、本発明の実施の形態に係る半導体発光素子100の動作について説明する。
半導体発光素子100は、発光層3からランダムな方向に光が放出され、様々な方向に放出される光は、一部は半導体発光素子構造30の上端面4aからp側全面電極6aを透過して半導体発光素子100の外部に取り出され、一部は半導体発光素子構造30の側面から半導体発光素子100の外部に取り出される。
ここで、図3を参照して、本発明に係る半導体発光素子100における、光の外部への取り出しについて説明する。図3は、図2に示した半導体発光素子において、発光層から放出された光が外部に取り出される様子を説明するための模式図(断面図)である。
発光層3から放出され、観測面方向である上方向に進行する光L1は、透光性のp側全面電極6aを透過して、半導体発光素子100の外部に取り出され、また、光L1の一部は反射され(光L7)、基板1側である下方向に進行する光は、相対的に高屈折率な積層構造10と基板1等との界面(基板面1a)で全反射し、一部は透過する(光L8)。このように、積層構造10内を横方向に伝播して、積層構造10の端部、すなわち半導体発光素子構造30の周縁部に到達した光L2は、一部は外周の逆傾斜した側面7によって観測面方向である上方向に反射され、光L3としてp側全面電極6aを透過して外部に取り出される。
また、光L2の一部は、積層構造10の周縁部に設けられた貫通孔8によって散乱又は回折され、光L6のように積層構造10の側面7から出射して外部に取り出され、一部は側面7を透過して、光L4のように下方向に出射し、基板面1aに向かって進行する。そして、基板面1aに到達した光L4は、基板1内に進入せずに、傾斜した側面7の下方領域1bの基板面1a上に設けられた凹凸構造9によって散乱又は回折されて、光L5のように観測面方向である上方向に偏向される。
このように、積層構造10の周縁部に到達した光は、積層構造10の外周の逆傾斜した側面7と、側面7の下方領域1bの基板面1a上に設けられた凹凸構造9と、積層構造10の周縁部に設けられた貫通孔8とによって、効果的に外部に取り出され、観測面方向である上方向に偏向される。
ここで、積層構造10の半導体の屈折率よりも基板1の屈折率の方が小さい場合は、半導体発光素子構造30内において基板1側に進行し、臨界角以上の入射角度で基板面1aに入射する光は、界面(基板面1a)において全反射され、基板1内に進入する光が少なく、積層構造10内を横方向に伝播する光が多くなる。そして、積層構造10内を横方向に伝播してきた光は、前記したように、逆傾斜した側面7と、側面7の下方領域1bの基板面1a上に設けられた凹凸構造9と、積層構造10の周縁部に設けられた貫通孔8とによって、より効果的に外部に取り出すことができる。
また、基板1内に入射した光L8も、基板1内を伝播して、凹凸構造9によって散乱、回折することによって、光取り出し効果を向上させる。
すなわち、積層構造10の逆傾斜した側面7の下方領域1bの基板面1a上に形成された凹凸構造9によって、積層構造10内及び基板1内を横方向に伝播する光を効果的に外部に取り出して観測面方向へ偏向することにより、半導体発光素子100全体としてみれば、外部への取り出し光量を増加することができる。
次に、図10を参照して、第1実施形態に係る半導体発光素子100を用いた半導体発光装置110における光の外部への取り出しについて説明する。
第1実施形態に係る半導体発光素子100は、積層構造10の周縁部に設けられた貫通孔8等によって側面7から横方向にも光が取り出され、また基板面1a上に設けられた凹凸構造9によって横方向にも光が散乱又は回折される。このため、半導体発光素子100の外部に取り出され、横方向に進行する光を観測面方向である上方向に向けるためのカップ状に形成された凹部111aをリードフレーム111に設けた。凹部111aの内部の側面は上方に向かって外側に傾斜した傾斜面であり、半導体発光素子100から取り出されて横方向に進行する光を観測面方向である上方向に反射する。このように構成することで、半導体発光装置110として、観測面方向に有効に取り出される光量を増加することができる。
<製造方法>
次に、図4から図9を参照(適宜図2参照)して、第1実施形態に係る半導体発光素子100の製造方法について説明する。ここで、図4から図9は、第1実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を説明するための模式図(断面図)であり、各製造工程における半導体発光素子の加工の様子を示す図である。
なお、第1実施形態では、図2等に示す半導体発光素子100が二次元的に配列されたウエハ状態で各工程が実施され、図9に示す工程においてチップ状に分割された半導体発光素子が得られる。したがって、図4から図9に示す図面においては、複数の半導体発光素子100の加工の様子が描かれている。
第1実施形態に係る半導体発光素子100の製造工程は、半導体発光素子構造を形成する工程と、積層構造(半導体構造)の上端面と異なる結晶面を露出させる工程と、基板面に凹凸構造を形成する工程と、傾斜した側面を形成する工程とを含む。以下、各工程について順次説明する。
(半導体発光素子構造を形成する工程(半導体発光素子構造形成工程)
まず、図4及び図5を参照して、半導体発光素子構造を形成する工程について説明する。ここで、図4は、基板上に半導体の積層構造を形成する工程を説明するための断面図であり、図5は、電極を形成する工程を説明するための断面図である。
半導体発光素子構造を形成する工程は、積層構造を形成する工程と、積層構造に凹部を形成する工程と、n側電極を形成する工程と、p側電極を形成する工程とを含む。
(積層構造(半導体構造)を形成する工程)
図4は、基板1上に半導体の積層構造10を形成した状態を示している。図4に示したように、まず、サファイア、SiC等からなる基板1の基板面1a上に、MOCVD法等により、下地層を介して、SiをドープしたGaNからなるn型半導体層2、InGaNからなる発光層3、MgをドープしたGaNからなるp型半導体層4を順次積層し、窒化物半導体であるGaN系化合物半導体からなる積層構造10を形成する。
なお、基板1としてサファイアを用い、そのC面を基板面1aとすることにより、基板面1a上に、後記する窒化物半導体からなる積層構造10を形成する際に、(000−1)面(N極性面)を基板面1aとの界面とした窒化物半導体の結晶を形成することができる。
各半導体層は、異種基板、好ましくは、サファイア基板上に、MOCVD法により、c軸成長の窒化物半導体を用いて形成する。
(n型半導体層(第1導電型半導体)露出及びn側電極(第1電極)を形成する工程)
図5に示したように、n型半導体層(第1導電型半導体)2及びp型半導体層(第2導電型半導体)4を有する積層構造10、具体的にはそれらを順次積層した積層構造10において、下方に位置する導電型の半導体層(第1導電型半導体)に電極を設けるために、その一部領域が露出される。
凹部20は、例えば、フォトリソグラフィ法により形成する。具体的には、凹部20を形成する領域を除く領域にフォトレジストを用いてマスクを形成、若しくはマスクをパターニングしてレジストを除去し、塩素系ガスを用いたRIEによって積層構造10を、n型半導体層2が露出するまで異方性エッチングをする。
前記したn型導電型半導体層2には、n側電極5が形成される。n側電極5は、蒸着法、スパッタリング法などによりn型半導体層2側から順にW、Pt、Auを全面に積層する。そして、この金属層を所望の形状にパターニングすることによってn側電極5が形成される。他の金属や合金を用いることもできる。
(p側電極(第2電極)を形成する工程)
p側電極を形成する工程は、p型半導体層4上にp側全面電極6aを形成する工程と、p側全面電極6aの一部にp側パッド電極6bを形成する工程とを含む。p側電極6の形成は、積層構造10の上にスパッタリング法によりITOを成膜することにより、p側全面電極6aが形成される。次に、蒸着法、スパッタリング法等により、p側全面電極6a側から順にW、Pt、Auを全面に積層する。その後、フォトリソグラフィ法によって、この金属層を所望の形状にパターニングすることでp側パッド電極6bが形成される。電極材料として用いる材料は、Ni/Auを積層して形成してもよいし、他の金属や合金を用いることもできる。なお、p側パッド電極6bとn側電極5とに同じ材料を用いる場合には、p側パッド電極6bとn側電極5とを同じ工程において形成することもできる。
(積層構造の上端面と異なる結晶面を露出する工程(異結晶面露出工程))
(積層構造に貫通孔を形成する工程(貫通孔形成工程))
(基板面に凹凸構造を形成する工程(凹凸構造形成工程)
次に、図6及び図7を参照して、積層構造の上端面と異なる結晶面を露出する工程、積層構造に貫通孔を形成する工程及び基板面に凹凸構造を形成する工程について説明する。
ここで、図6は、積層構造の外周を基板面が露出するまでエッチングすると共に基板面に凹凸構造を形成するためのマスクを形成する工程を説明するための断面図であり、図7は、積層構造の外周を基板面が露出するまでエッチングすると共に基板面に凹凸構造を形成する工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線における断面図である。
まず、積層構造の上端面と異なる結晶面を露出する工程について説明する。
積層構造10の外周に傾斜した側面7を形成するためのウェットエッチングは、主に基板1との界面から進行させるようにする。このため、エッチング時のマスクから露出された露出部の半導体結晶面が、基板1との界面における結晶面よりもエッチングレートが小さくなるように、互いに異なる結晶面とする。例えば、半導体発光素子構造30の外周部に相当する部位、すなわち、図7において隣接する半導体発光素子構造30の間に相当する領域1cの積層構造10を、積層構造10の上端面4a及びマスクから露出した端面(外周側面)と異なる結晶面を露出するまでエッチングによって除去する。好ましくは、当該領域1cの積層構造10を基板面1a(図2参照)までエッチングし、積層構造10の基板1との界面を露出する。
また、第1実施形態の半導体発光素子100の製造方法においては、基板面に凹凸構造を形成する工程と、積層構造に貫通孔を形成する工程とを、積層構造の上端面と異なる結晶面を露出する工程と同じ工程において行う。
積層構造の上端面と異なる結晶面を露出する工程において、エッチングによって積層構造10の外周部に相当する領域、すなわち、隣接する半導体発光素子構造30の間に相当する領域1cの基板面1aを露出する際に、積層構造10の周縁部に、エッチングによって貫通孔8を形成すると共に、エッチングが基板面1aに達した後も、更にエッチングを進め、基板面1aに凹部9aを形成する。
まず、エッチングのマスク材料となるSiO2等を、例えばスパッタリング法などにより全面に形成する。その上にレジストを設けて、フォトリソグラフィ法によりレジスト膜をパターニングする。そして、マスクをパターニングしてレジスト膜を除去する。このようにして、図6に示したように、隣接する半導体発光素子構造30の間に相当する領域1cと、貫通孔8を形成する平面視三角形の部位(図7(a)参照)とを除く領域を被覆するマスク50を形成する。
次に、図7に示したように、塩素系ガスを用いたRIEにより隣接する半導体発光素子構造30の間に相当する領域1cを、所望の結晶面である基板1との界面、すなわち基板面1aが露出するまでエッチングする。半導体発光素子構造30の外周に形成された側面は、積層構造10の上端面4a、すなわち基板面1aに略垂直な面である。貫通孔8も同様に、また同時に形成され、p側全面電極6aを含めて、上端面4aから基板面1aまで、上端面4aに略垂直に貫通する貫通孔8が形成される。
そして、このまま、更にエッチングを続け、貫通孔8を形成する部位の直下の基板面1aをエッチングすることで、貫通孔8の断面形状と同じ形状の凹部9aが基板面1a上に形成される。
(傾斜した側面を形成する工程(傾斜面形成工程))
次に、図8を参照して、積層構造の外周に傾斜した側面を形成する工程について説明する。ここで、図8は、積層構造の外周に傾斜した側面を形成する工程を説明するための断面図である。
積層構造の上端面と異なる結晶面を露出する工程によって、積層構造10の外周部に相当する領域、すなわち、隣接する半導体発光素子構造30の間に相当する領域1cの基板面1aが露出すると、図8に示すように、半導体発光素子構造30の上側のすべての面、すなわち、p側電極6、n側電極5、凹部20及び貫通孔8を覆うSiO2からなるマスク51を、前記したマスク50と同様にして形成する。このとき、マスク50はフッ酸を用いて除去した後で、マスク51を形成するが、マスク50を除去せずに、更に上層にマスク51を形成するようにしてもよい。
次に、マスク51を形成した作製中の基板1及び半導体発光素子構造30の全体を、ピロリン酸液、水酸化カリウム水溶液等を用いたエッチング液に浸漬することにより、マスク51の形成されていない隣接する半導体発光素子構造30の間に相当する領域1cからエッチング液が浸透し、積層構造10の側面がウェットエッチングされる。これによって、積層構造10の側面7として、当該積層構造10を構成する半導体結晶の結晶性に応じた結晶面(エッチング面)が形成される。
なお、貫通孔8の開口幅が大きい場合には、貫通孔8において、マスク51を貫通孔8の内部もしくは底部まで充填してもよい。
例えば、半導体としてGaN系化合物半導体を用い、基板1と接する界面側を(000−1)面、すなわちN極性面として形成した半導体の積層構造10を用いた場合には、ウェットエッチングによって積層構造10のN極性面側からエッチングが進行するため、半導体発光素子構造30の積層構造10の上端面4aよりも、この上端面4aと異なる結晶面として露出させた基板1との界面(基板面1a)側の結晶面(積層構造10の下端面)の方が、エッチングレートが大きくなる。したがって、エッチングが進行するほど、積層構造10の下端面の方が内側に削られ、積層構造10には逆傾斜した側面が形成される。
さらに、エッチングを進めることにより、エッチング面は{1−102}面、30°回転R面を形成するようになる。ここでエッチングを終了することにより、{1−102}面からなる側面7が形成される。
そして、積層構造10に逆傾斜した側面7が形成されると、側面7の下方領域1bの基板面1aが露出し、基板面1a上に形成された凹凸構造9が現れる。また、積層構造10の上端面4aから基板面1aまで貫通する貫通孔8は、基板面1aと逆傾斜した側面7との間の半導体がウェットエッチングによって除去されるため、貫通孔8の開口部が側面7に形成される。
ここで、図8はウェットエッチングが終了した状態を示しており、この後に、フッ酸を用いたエッチング等によりマスク51を除去することで、半導体発光素子構造30が基板1上に完成する。
(半導体発光素子チップに分割する工程)
最後に、図9を参照して、半導体発光素子チップに分割する工程について説明する。ここで、図9は、基板を切断して半導体発光素子チップに分割する工程を説明するための断面図である。
図9に示すように、必要に応じて基板1の裏面を研磨して薄肉化し、隣接する半導体発光素子構造30の間に相当する領域1c(図8参照)を、ダイシング、スクライブなどによって切断し、個々の半導体発光素子100をチップ状に分割する。
以上、説明した製造方法によって、図2に示した第1実施形態の半導体発光素子100を製造することができる。なお、以上は、一実施形態に係る製造工程を順に説明するものであり、他の実施形態として、積層構造の上端面と異なる結晶面を露出させる工程・積層構造に貫通孔を形成する工程・基板面に凹凸構造を形成する工程・傾斜した側面を形成する工程と、凹部を形成する工程・p側電極を形成する工程・n側電極を形成する工程とは、順序が入れ替わってもよく、例えば、積層構造の上端面と異なる結晶面を露出させる工程・積層構造に貫通孔を形成する工程・基板面に凹凸構造を形成する工程・傾斜した側面を形成する工程を実施した後に、凹部を形成する工程・p側電極を形成する工程・n側電極を形成る工程を実施するようにしてもよい。
(第2実施形態)
<構成>
次に、図11を参照して、第2実施形態の半導体発光素子100の構成について説明する。ここで、図11は、第2実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線における断面図である。
第2実施形態の半導体発光素子100は、図2に示した第1実施形態とは、半導体発光素子構造30の平面視形状において、主に凹部20が形成された位置と、凹部20の外側の基板面1a上の凹凸構造92が配置される領域とが異なる。その他の第1実施形態と同様の構成については適宜説明を省略する。
図11に示した第2実施形態の半導体発光素子100は、n側電極5を設けるための凹部20が、半導体発光素子構造30の外周の側面に接するように形成され、図11(a)において、凹部20の外周側の内壁面がなく、外部に開放されている。そのため、当該部位の積層構造10の側面7は、凹部20の底面20aよりも上部が切除されている。そこで、当該部位を取り囲むべき凹凸構造92は、図11(b)に示すように、傾斜した側面7の下方領域1bではなく、更に外側の、隣接する半導体発光素子構造30の間に相当する領域1cに形成されている。また、当該領域1cは、半導体発光素子構造30の外周部であり、製造工程において基板面1aを露出すべき領域であるため、周囲を凹部9a2で取り囲まれて孤立した凸部9b2が形成されている。
積層構造10の周縁部の他の領域には、第1実施例と同様に、貫通孔8が適宜な間隔で形成されており、積層構造10の傾斜した側面7の下方領域1bの基板面1a上には、それぞれの貫通孔8に対応して、周囲を凸部9b1で取り囲まれて孤立した凹部9a1が形成された凹凸構造91が形成されている。
また、n側電極5を設けた箇所の外周部分だけでなく、他の外周部の領域1cに凹凸構造92を設けること、例えば、全周に設けることもできる。
これによって、n側電極5を積層構造10の周縁に配置して発光領域を大きくできると共に、n側電極5の外周部の領域1cにおいても、基板1による散乱、回折作用を得られる効果がある。また、半導体発光素子構造30の他の外周部の領域1cにも凹凸構造92を設けることで、半導体発光素子構造30の内方側の領域1bに設けられた凹凸構造91との2重の凹凸構造とすることができ、基板1による散乱、回折の効果を高めることができる。
なお、このとき、基板1上で隣接する半導体発光素子構造30の間に相当する領域1cを、第1実施形態よりも広くして、複数列の凸部9b2からなる凹凸構造92を形成するようにしてもよいし、傾斜した側面7の下方領域1b内に形成できる凹凸構造91だけとして、領域1cには凹凸構造92を形成せず、半導体発光素子構造30の間隔を狭くして、ウエハ当たりに形成できるチップ数を増やすようにしてもよい。
<製造方法>
第2実施形態の半導体発光素子100の製造工程は、第1実施形態の半導体発光素子100の製造工程に対して、図5に示した半導体発光素子構造30を形成する工程内の凹部20を形成する工程における凹部20を形成するためのエッチングのマスクを形成する位置を変更する。更に、図6に示した積層構造(半導体構造)の上端面と異なる結晶面を露出する工程において、図11(a)に示したように平面視で、隣接する半導体発光素子構造30の間に相当する領域1cの凸部9b2に相当する部位を覆うようにマスク50を形成する。このようにマスク50を形成することで、領域1cにおいて、凸部9b2に相当する部位の基板がエッチングされないため、エッチングされて形成された凹部9a2と、この凹部9a2に取り囲まれた凸部9b2とからなる凹凸構造92が形成される。
その他の製造工程は、第1実施形態と同様の製造工程によって製造することができる。
(第3実施形態)
<構成>
次に、図12を参照して、第3実施形態の半導体発光素子100の構成について説明する。ここで、図12は、第3実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のD−D線における断面図である。
第3実施形態の半導体発光素子100は、図11に示した第2実施形態とは、半導体発光素子構造30の平面視形状において、主に凹部20が形成された位置と、p側パッド電極6bの位置と、凹部20の外側及びp側パッド電極6bを配置した位置の外側の基板面1a上に形成される凹凸構造92及び凹凸構造93が配置される領域とが異なる。その他の第2実施形態と同様の構成については適宜説明を省略する。
第3実施形態の半導体発光素子100は、図12(a)に示したように、n側電極5(凹部20)とp側パッド電極6bとが、平面視で略四角形の対角線上に対向する角部に配置されている。n側電極5を設けるための凹部20は、半導体発光素子構造30の外周の角に接するように形成され、図12(a)において、凹部20の外周側の2辺に内壁面がなく、外部に開放されている。
また、n側電極5及びp側パッド電極6bの外側の基板面1a上に設けられる凹凸構造92及び凹凸構造93は、傾斜した側面7の下方領域1bではなく、更に外側の、隣接する半導体発光素子構造30の間に相当する領域1cに形成されている。第2実施形態の凹凸構造92と同様に、第3実施形態の当該凹凸構造92及び凹凸構造93は、それぞれ周囲を凹部9a2及び凹部9a3で取り囲まれて孤立した凸部9b2及び凸部9b3によって構成されている。
このように、n側電極5及びp側パッド電極6bの両方の電極を半導体発光素子構造30の角部に設けられた電極構造によって、図11に示した第2実施形態よりも発光面積を大きくすることができると共に、両方の電極の外方の領域1cには、凹凸構造92、93が設けられているため、基板1の凹凸構造92、93による散乱、回折作用と併せて、光取り出し効率を高めることができる。また、その製造方法は、第2実施形態と同様にして、領域1cに凹凸構造92、93を作製することができる。
(第4実施形態)
<構成>
次に、図13を参照して、第4実施形態の半導体発光素子100の構造について説明する。ここで、図13は、第4実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のE−E線における断面図である。
第4実施形態は、前記した各実施形態における外周側面の形態として、内方への凹欠部12及び切り込み溝11を設ける形態を示し、それを用いる変形例を示すものである。
図13に示した第4実施形態の半導体発光素子100は、n側電極5を設けるための凹部20が、半導体発光素子構造30の上部の、略垂直に形成された外周側面に接するように形成され、図13(a)において、凹部20の上辺側の内壁面がなく、外部に開放されている。また、右側面には、図13(a)の横方向において、略中央まで切り込まれた切り込み溝11が設けられている。この切り込み溝11は、積層構造10の上端面4aから基板面1aまで切り取られており、切り込み溝11の外周は、逆傾斜した側面が形成されている。更に、半導体発光素子構造30の上部の略垂直に形成された外周側面の左側面には、凸部12aと凹部12bとからなる、基板面1aに対して垂直方向に延在するストライプ状の凹欠部12が設けられている。切り込み溝11の周縁部を含めた積層構造10の周縁部には、積層構造10の上端面4aに垂直な貫通孔8が形成されており、貫通孔8の下方の基板面1a上には、凹部9aと、この凹部9aを取り囲む凸部9bとからなる凹凸構造9が設けられている。
<動作>
ここで、第4実施形態の半導体発光素子100による光の外部への取り出しについて説明する。
第4実施形態においては、切り込み溝11を設け、切り込み溝11の外周には逆傾斜した側面が形成されており、他の外周の逆傾斜した側面7と同様に、積層構造10の周縁部には貫通孔8と、貫通孔8の下方の基板面1aには凹凸構造9が形成されている。このため、より広範囲に形成された傾斜した側面7から、積層構造10内を伝播する光を、効率的に外部に取り出すことができる。
また、積層構造10の上部の左側面に設けられ凹欠部12により、積層構造10内を伝播し、凹欠部12に到達した光を散乱又は回折して外部に取り出すことができる。
このような、切り込み溝11及び凹欠部12は、半導体発光素子構造30において、図13に示した例に限定されることなく、任意の場所に、任意の形状で設けることができる。
また、凹欠部12及び切り込み溝11の寸法としては特に限定されないが、具体的には、凹部12bの間隔が10〜100μm、好ましくは20〜50μm、凹部12b及び切り込み溝11の幅が1〜30μm、好ましくは5〜15μm、外周からの深さ、例えば、切り込み溝11の長手方向の長さが5〜50μm、好ましくは10〜30μmとすることができる。
(実施例1)
直径2インチ(50.8mm)のC面サファイア基板上に、GaNを用いたバッファ層(下地層)を設けて、その上に、GaN系化合物からなるn型半導体層、活性層(発光層)、及びGaN系化合物からなるp型半導体層を積層して、積層構造を形成する。
次に、フォトリソグラフィ法によりマスクを形成し、積層構造の表面からn型半導体層が露出する深さまで、RIEによってエッチングをして、図2において凹部20として示した内部露出部を形成する。その後、マスクを除去する。
次に、積層構造の表面にはITOによるp側全面電極を形成し、さらに蒸着法及びフォトリソグラフィ法を用いて、金属からなるp側パッド電極及びn側電極を、それぞれp側全面電極の一部及び内部露出部の底面に形成する。
続いて、フォトリソグラフィ法により図2(a)に示した平面視三角形の貫通孔を形成する部位を除く積層構造の上端面及び電極を覆うマスクを、SiO2を用いて形成し、各半導体発光素子構造の構成単位の外周部および半導体発光素子構造の周縁部の貫通孔を形成する部位を、基板表面が露出し、更に基板の上端面より下の深さまで、RIEによる異方性エッチングによってエッチングし、基板上で互いに分離された半導体発光素子構造を形成すると共に、各半導体発光素子構造の周縁部に貫通孔を形成する。このとき、それぞれのエッチング端面は、基板面(発光層)にほぼ垂直な面となる。
半導体発光素子構造の表面のSiO2マスクを用いて、エッチング液である約200℃のピロリン酸溶液に浸漬し、半導体発光素子構造を囲む外周側面に逆傾斜したエッチング面を形成する。このとき、逆傾斜したエッチング面の下方の基板面上には、平面視三角形の凹部と共に、半導体発光素子構造の周縁部には、上端面から外周側面に貫通する断面形状が三角形の貫通孔が露出する。
SiO2マスクを、フッ酸を用いて除去し、基板をダイシングによって割断して、半導体発光素子チップを得る。
(実施例2)
ウェットエッチング法のエッチング液として、実施例1におけるピロリン酸溶液の代わりに水酸化カリウム水溶液を用い、半導体発光素子構造を囲む外周側面に逆傾斜したエッチング面を形成して半導体発光素子を作製する。他の条件は、実施例1と同じとする。
実施例1及び実施例2による半導体発光素子は、積層構造の外周に逆傾斜した側面を形成すると共に、逆傾斜した側面の下方の基板面上に凹凸構造を形成し、更に、積層構造の周縁部に上端面から傾斜した側面まで貫通する貫通孔を形成するため、光の外部への取り出し効率が良好であり、実質的な発光出力を増加させることができる。
本発明の半導体発光素子は、可視領域だけでなく、窒化物半導体にあっては近紫外、紫外領域の発光にも利用でき、それ以外の波長の電磁波にも利用できる。また、LEDなどの発光素子に限らず、種々の半導体、例えば受光素子などの光半導体の他、その他の電子デバイスなどにも応用することができる。
第1実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す模式図(斜視図)である。 第1実施形態に係る半導体発光素子の構成する模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線における断面図である。 第1実施形態に係る半導体発光素子において、光の外部への取り出しの様子を説明するための図である。 第1実施形態に係る半導体発光素子の製造工程において、基板上に半導体の積層構造を形成する工程を説明するための断面図である。 第1実施形態に係る半導体発光素子の製造工程において、電極を形成する工程を説明するための断面図である。 第1実施形態に係る半導体発光素子の製造工程において、積層構造の外周を基板面が露出するまでエッチングすると共に基板面に凹凸構造を形成するためのマスクを形成する工程を説明するための断面図である。 第1実施形態に係る半導体発光素子の製造工程において、積層構造の外周を基板面が露出するまでエッチングすると共に基板面に凹凸構造を形成する工程を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線における断面図である。 第1実施形態に係る半導体発光素子の製造工程において、積層構造の外周に傾斜した側面を形成する工程を説明するための断面図である。 第1実施形態に係る半導体発光素子の製造工程において、基板を切断して素子に分割する工程を説明するための断面図である。 第1実施形態に係る半導体発光素子を用いた半導体発光装置の構成を示す模式図(断面図)である。 第2実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線における断面図である。 第3実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のD−D線における断面図である。 第4実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のE−E線における断面図である。
符号の説明
1 基板
1a 基板面(半導体構造の下端面)
1b 傾斜した側面の下方領域(露出領域)
1c 隣接する半導体発光素子構造の間に相当する領域
2 n型半導体層(第1導電型半導体)
3 発光層
4 p型半導体層(第2導電型半導体)
4a p型半導体層の上端面(半導体構造の上端面)
5 n側電極(第1電極)
6 p側電極(第2電極)
6a p側全面電極
6b p側パッド電極
7 側面(端部)
8 貫通孔
9、91、92、93 凹凸構造
9a、9a1、9a2、9a3 凹部
9b、9b1、9b2、9b3 凸部
10 積層構造(半導体構造)
30 半導体発光素子構造
100 半導体発光素子

Claims (8)

  1. 基板上に第1導電型半導体及び第2導電型半導体をこの順に有する半導体構造と、前記第1導電型半導体及び前記第2導電型半導体にそれぞれ第1電極及び第2電極とを設けた半導体発光素子であって、
    前記半導体構造は、前記基板側から上方に向かって外方に傾斜した傾斜面を有し、
    前記基板が、前記半導体構造の傾斜面の下方に少なくとも当該半導体構造から露出した露出領域を有すると共に、当該露出領域に凹凸構造を有し、
    前記半導体構造の傾斜面となる側面において、前記半導体構造を上下方向に貫通する貫通孔を有することを特徴とする半導体発光素子。
  2. 前記半導体構造の傾斜面が、少なくとも前記半導体構造の外周側面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 前記露出領域が、前記半導体構造の傾斜面の上端よりも内方に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体発光素子。
  4. 基板上に第1導電型半導体及び第2導電型半導体をこの順に有する半導体構造と、前記第1導電型半導体及び前記第2導電型半導体にそれぞれ第1電極及び第2電極とを設けた半導体発光素子であって、
    基板面上に前記半導体構造と、前記第1電極と、前記第2電極とを形成する半導体発光素子構造形成工程と、
    前記半導体構造の上端面と異なる結晶面を露出させる異結晶面露出工程と、
    前記基板面に凹凸構造を形成する凹凸構造形成工程と、
    前記露出させた半導体構造の上端面と異なる結晶面からウェットエッチングによって前記半導体構造の側面に前記基板側から上方に向かって外方に傾斜した傾斜面を形成する傾斜面形成工程と、を含み、
    前記凹凸構造形成工程は、前記傾斜面形成工程において形成される傾斜面の下方の前記基板面に、前記半導体構造の上端面から貫通して凹部を形成することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
  5. 前記異結晶面露出工程は、前記半導体構造との界面を構成する前記基板面を露出させることを特徴とする請求項4に記載の半導体発光素子の製造方法。
  6. 前記ウェットエッチングにおいて、前記半導体構造の前記露出させた結晶面側の端部が、前記半導体構造の上端面側の端部よりも内方になるまでウェットエッチングすることを特徴とする請求項5に記載の半導体発光素子の製造方法。
  7. 前記異結晶面露出工程と、前記凹凸構造形成工程と、を同時に行うことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の半導体発光素子の製造方法。
  8. 前記半導体構造の前記傾斜面に貫通孔を形成する貫通孔形成工程を含むことを特徴とする請求項4乃至請求項7の何れか一項に記載の半導体発光素子の製造方法。
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