磁気ディスクの高記録密度化の要請に応える技術として、書き込み磁界印加の直前に実際の記録媒体となる磁性層に熱を加えることによって保持力を小さくし、微弱且つ狭矮な領域にしか影響しない磁界によっても書き込みを可能とすることで、所謂記録ビットを縮小する方法が提唱されている(特許文献2参照)。このような所謂熱アシスト磁気記録方式に用いられる磁気ヘッドでは、通常の薄膜磁気ヘッドに対してレーザダイオード等の発光素子(以下LD素子)を付加し、該LD素子のレーザ光によって書き込み時のビット加熱を行うこととしている。
特許文献2(特に図3及び4を参照)に開示する熱アシスト磁気記録方式用の磁気ヘッド(22)の場合、LD素子(40)の発光点からの出力を非接触で導波路(35)に導入している。このような構成の場合、LD素子の出力はLD素子の厚み方向及び幅方向に夫々広がりを有するために、導波路との距離が入射効率に大きな影響を及ぼす。このため、LD素子の発光面は従来の磁気ヘッドコア(220)に付随して設けられる導波路に対して、間隔、相対角度、等を厳密に制御し、レーザ光の照射方向、照射効率等を所定の値に維持する必要がある。なお、本文件中でのLD素子の実装工程では、LD素子(40)をホルダ(230)に実装し、更に該LD素子が実装されたホルダ(230)を磁気ヘッドコア(220)に実装することとしている。即ち、前述した導波路−LD素子間の間隔、導波路に対するLD素子からの光の照射方向の相対角度等を所定値に維持するためには、その前段階であるホルダに対するLD素子の実装時の位置関係に依存することが大きい。このようなホルダをワークとし、LD素子を電子デバイスとして実装する工程に対し、従来のバンプ電極を考慮したチップの位置決め方法を当該素子の実装工程を用いることが考えられる。しかし、LD素子発光面と導波路との位置関係は従来のバンプ電極等の位置決めと比較して格段に厳密な精度が求められるため、このような従来から知られる画像処理工程では対応することが困難であると思われる。
本発明は、このような状況に鑑みて為されたものであり、電子デバイスたるLD素子をワークたるホルダに対して、LD素子からのレーザ光の使用効率の最適化を図ることを可能とする電子デバイスの実装方法及び実装方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明に係る電子デバイスの実装方法は、所定の面内で延在する側面を有するワークに対して、該側面を第一の基準面とした場合に第一の基準面に対して所定の位置関係を保持すべき第二の基準面を有する電子デバイスを実装する電子デバイスの実装装置であって、ワークを固定保持するステージと、電子デバイスを保持してワークにおける電子デバイスの実装面に対して電子デバイスを相対的に接近させることが可能であると共に、保持した姿勢を変化させること無く所定の面に対して垂直な方向に電子デバイスを相対的に移動可能な実装ヘッドと、ワークと電子デバイスとが実装直前の微小間隔を保持して対峙した状態にて、第一の基準面と第二の基準面とを通る測定線での各面間でのズレ量を変位として測定可能な変位センサと、を有することを特徴としている。
なお、上述した電子デバイスの実装装置では、該測定線は平行な複数の測定線であり、複数の測定線における各々のズレ量から第一の基準面と第二の基準面との平行度を判定する判定手段を更に有することが好ましい。また、当該実装装置では、ステージを内部に保持してステージの周囲空間を囲んで密閉空間を形成し、該密閉空間内に供給される不活性ガスの濃度を所定の値に維持可能とするパージボックスと、該パージボックス内部に保持されるワーク及び電子デバイスに対して変位センサを接近及び離間させる変位センサ退避駆動手段と、を更に有することがより好ましい。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る電子デバイスの実装方法は、所定の面内で延在する側面を有するワークに対して、該側面を第一の基準面とした場合に第一の基準面に対して所定の位置関係を保持すべき第二の基準面を有する電子デバイスを実装する電子デバイスの実装方法であって、ワークをステージ上に固定保持し、第二の基準面と第一の基準面とが実装時の状態に近い状態で並ぶように電子デバイスをワークとの間に微小間隔が保持されるように近接させ、第一の基準面と第二の基準面とを通る測定線での各面間でのズレ量を変位として測定し、該測定の結果が所定の変位量を超える場合には測定結果に基づいて電子デバイスをワークに対して相対的に移動させ、電子デバイスをワークに対して実装する、ことを特徴としている。
なお、上述する電子デバイスの実装方法では、該測定線は平行な複数の測定線であり、複数の測定線における各々のズレ量から第一の基準面と第二の基準面との平行度を判定し、該平行度を向上させるために電子デバイスの姿勢とワークの姿勢とを相対的に変化させることが好ましい。また、当該実装方法では、電子デバイスをワークに近接させる前に、電子デバイスの姿勢及びワークの姿勢より第一の基準面と第二の基準面との位置関係をあらかじめ把握し、第二の基準面と第一の基準面とが実装時の状態に近い状態で並ぶように電子デバイスの姿勢をワークの姿勢に対して相対的に変化させておくことがより好ましい。
本発明によれば、ワークに実装される電子デバイスの側面からワーク第一の基準面までの距離を高精度に保ちつつ実装することが可能となる。また、実装される電子デバイスの側面の第一の基準面に対する所謂θズレ(平行からずれた状態)を正確に把握することが可能となり、該θズレをなくした上での実装を行うことが可能となる。更に、これらの効果から、側面に発光点を有するLD素子を導波路に対して非接触でも高精度に位置合わせして固定することが可能となり、導波路を介して得られるレーザ光の出力の安定化を図ることが可能となる。
図1に本発明が対象とするワーク、LD素子、及び光導波路の関係を模式的に示す。同図において、LD素子1は、ワーク3の所定面3b上に搭載される。LD素子1はレーザ光を照射する発光点1aを一側面1bに有している。該発光点1aから照射されたレーザ光5は、LD/導波路間距離dを経て光導波路7に至る。光導波路7は集光作用を有し、所定の光放出端部(不図示)よりレーザ光を放射する。当該放射光は前述したビットに対応した大きさまで集光されている。光導波路7はワーク3に対して所定の位置関係を維持するように固定されており、ワーク3とLD素子1とが当該所定の位置関係を得るようにLD素子1をワーク3に対して搭載することにより、前述したLD/導波路間距離dの確保と、導波路受光面7aと発光点1aとの位置関係の確保が為される。実際の搭載時においては、LD素子1における発光点1aが配置される一側面1bと平行且つ同じ向きとなるワーク3の一側面3aを第一の基準面とし、当該第一の基準面3aと該一側面1bとの位置関係の計測が同時平行的に為される。これにより、LD素子1のワーク3(より厳密には光導波路7)に対する位置関係を精度よく保った搭載、即ち実装が可能となる。なお、本発明はその他の電子デバイスも適用可能であり、LD素子は電子デバイスに、ワークは該電子デバイスが実装されるワークとして認識されることが好ましい。
次に、本発明の一実施形態であって、上述した第一の基準面3aと一側面1bとの位置関係を計測する方法について、これら二面の変位を測定するセンサとこれら部材との関係、及び方法の詳細について、センサ及び部材を模式的に示す図2を参照して説明する。同図中において、ワーク3は不図示のステージ(後述するワークトレイ51a)により第一の基準面3aが、同図中に定義するXY平面に対して垂直となるようにXY平面上に固定されている。即ち、第一の基準面3aは所定のXZ平面内に延在し、一側面1bは電子デバイスの第二の基準面であって該第一の基準面3aと略平行な所定に位置関係を有する面として認識される。また、LD素子1は後述する吸着コレット13aによって該XY平面と平行となるように吸着保持されている。LD素子1とワーク3との位置関係を計測する際には、吸着コレット13aは所定高さまで降下した状態であってLD素子1とワーク3とを非接触として所定の微細間隔を保持している。センサ27は非接触方式のレーザ変位センサであって、図のXY平面に垂直なZ軸方向にレーザ光をスキャンし、当該スキャン方向に存在する段差を測定面の変位として測定する。尚、センサ27は、ワーク3の第一の基準面3aにレーザ変位の焦点が合うように配置されている。また、LD素子1から発したレーザ光5が光導波路7に対して効率よく入射するためには、位置ずれの許容値が1μm以下とする必要があることから、用いるレーザ変位センサの測定分解能は0.1μm以下であることが好ましい。
当該構成において、実際にLD素子1をワーク3に搭載する手順を説明する。まず、ワーク3が所定位置に固定された状態で、吸着コレット13aがLD素子1の所定面を吸着保持してワーク3の直上まで移動する。その後吸着コレット13aは降下し、LD素子1下面とワーク3上面との間隔が1〜10μmとなった段階で降下を停止する。以上の動作により、LD素子1をワーク3に搭載する際のX方向上の位置は予め大まかに決定される。この状態で、センサ27により、ワーク3の第一の基準面3aとLD素子1の一側面1bとの距離Δdの測定を開始する。測定を実施しながら吸着コレットのY方向の微調整を行い、一側面1bが所定の位置に達したことが確認された段階で、吸着コレット13aを更に降下させ、LD素子1とワーク3とを接触させる。接触後吸着コレット13a等に対してLD素子1のワーク3に対する実装操作を行わせ、搭載を為す。なお、測定箇所としてはLD素子1の発光点1aを中心とすることが好ましい。これにより、発光点1aから光導波路7の導波路受光面7aまでの距離を高精度に制御することが可能となる。なお、本実施形態では、変位センサ27の測定線がZ軸方向と一致することとして述べているが、本発明は当該形態に限定されず、第一の基準面3aと一側面1bとを通る直線であってこれら各面間の変位を測定可能であれば、測定線の配置、方向は当該形態に限定されない。
通常のチップマウンタ等であれば、実装ヘッド等の位置停止精度等、各種駆動系の動作精度の相乗効果によって最終的な実装位置の再現性は数十μmレベルとなる。また、画像の撮像位置を改変しても最終的な実装位置近傍での撮像−姿勢制御を行うことが困難であることから、従来の駆動系等を用いる限り当該再現性のレベルを大きく向上することは困難である。本発明によれば、搭載直前でのLD素子1とワーク3との実際の位置関係を第一の基準面ベースで測定し、該測定の結果に基づいて搭載位置を微調整することから、駆動系が従来構成からなった場合であっても、従来構成では得られないレベルの搭載精度を得ることが可能となる。
なお、ワーク3の固定状態が適切ではなく、吸着コレット13aに保持されたLD素子1に対してワーク3が斜めになっている、即ち第一の基準面3aと一側面1bとが平行でないことも考えられる。図3A及び3Bはそのような状態に対応する搭載位置の調整方法の一部を示している。当該調整方法では、一旦図2に示す調整方法にて発光点1aを含むZ軸における第一の基準面3aと一側面1bとの距離Δdの調整を行う。次に、第一の基準面3aの延在方向であってセンサ27のレーザ光スキャン方向と垂直な第一の方向(図中左下方に向かう矢印方向、即ちX座標マイナス方向)に、ワーク3を50μm程度移動させる。図3Aに示す工程では、当該移動後に再度センサ27による第一の基準面3aと一側面1bとの間隔Δd1の値を測定する。続いて、ワーク3を第一の方向とは反対の方向(X座標のプラス方向)にワーク3を100μm程度移動させる。図3Bに示し工程では、当該移動後に再度センサ27による第一の基準面3aと一側面1bとの間隔Δd2の値を測定する。これらΔd1及びΔd2の値を比較することによってLD素子1に対するワーク3の姿勢所謂θズレが得られる。得られたθズレに基づいて、例えば吸着コレット13aを適量回転させ、第一の基準面3aと一側面1bとの平行度を確保した後、再度図2に示したΔdの値を計測しつつLD素子1の搭載位置を調整する操作を実施し、最終的な搭載を行う。なお、これらθズレの算出等は、平行度の判定手段たる後述するCPU101において成される。また、当該実施の形態では、再現性の良さ、測定時間短縮等の観点から、θズレ測定に際しての測定線を前述したZ軸に沿った測定線と平行としているが、θズレを測定する際の測定線が略平行であれば、これらの配置、方向は特に限定しなくとも良い。例えばワーク形状、LD素子の形状等は、第一の基準面及び第二の基準面(一側面)に対応する面を各々有していれば良く、更にこれらの面が単純に平行な2平面とならない場合には種々の測定線を設けることが好ましい場合もあり得る。
以上の操作を、ワーク3とLD素子1との間隔が1〜10μm程度の間隔を維持して行うことによって、実際にLD素子1をワーク3に搭載する際に生じる位置ずれを最小限に抑制することが可能となる。これら操作は、後述するメインCPU101の変位センサコントローラ27aによって実行される。なお、本実施の形態ではθズレ測定の際のワーク3の移動量を中心より50μmとしているが、当該値はワーク或いはLD素子の大きさ、形状等に応じて随時変更されることが好ましい。また、本実施の形態では、ワーク3を移動することとしているが、ワーク3を固定し、LD素子1をX座標に沿って移動させることとしても良い。
次に、以上の構成を有した実装装置の実施形態について図面を参照して説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る電子デバイスの実装装置の概略構成を示す斜視図である。また、図5は、当該電子デバイス実装装置の各構成の接続様式の概略を示すブロック図である。当該電子デバイスの実装装置100は、LD素子実装部10と、LD素子供給部60とからなる。LD素子供給部60にはウエハ用ステージ61とゲルトレイ用ステージ63が配置される。ウエハ用ステージ61上にはエキスパンドテープと呼ばれる粘着テープ61aが載置固定されており、当該粘着テープ61a上にはウエハよりチップ状に切り出されたままの状態にLD素子1が固着されている。当該ステージ61は不図示のチップ突上げ機構等を有し、当該機構により密集状態のLD素子1であるチップを粘着テープ61aより取り外し容易な状態とすることが可能となっている。該突上げ機構等と後述する搬送ヘッド35との協働により単独のLD素子1が当該ステージ61上より取り外され、該LD素子1は隣接して配置されるゲルトレイ用ステージ63上に配置されるゲルトレイ63aの上に一旦載置される。ゲルトレイ63aも表面に粘着性を有するトレイであり、該粘着性を利用してLD素子1をその表面上に固着保持する。搬送ヘッド35は、ゲルトレイ63a上から吸着保持したLD素子1をLD素子実装部10に搬送し、実装工程に供給する。本実施形態では、上述の如く、エキスパンドテープ61a上から単独のLD素子1を取り出して直接実装工程に供給するのではなく、一旦ゲルトレイ63a上に載置した後に実装工程に供給することとしている。これにより、ゲルトレイ63a上でのLD素子1たるチップの適否のチェック、より安定的な姿勢での実装部への供給等を行うことが可能となる。また、本実施形態とは別に、搬送ヘッド35はステージ61からLD素子1を直接LD素子実装部10に供給する動作を行うことも可能であり、ゲルトレイ63aからLD素子1を直接LD素子実装部10に供給する動作を行うことも可能である。即ち、LD素子1の供給は、ステージ61からゲルトレイ63aを経由する、ステージ61から直接に、或いはゲルトレイ63aから直接に、といった複数の供給形態を実現し、実験的な生産工程或いは量産向けの生産工程に対応することも本実施形態は可能となっている。更には、本実施形態ではこのような複数のトレイからなる構成を用いているが、本発明は当該形態に限定されず公知の種々の供給トレイを用いることが可能である。
LD素子実装部10は、LD素子実装系11、LD素子供給系31、及びワーク搬送系51を有する。LD素子実装系11は、実装ヘッド13、実装ヘッド用Y軸駆動系15、実装ヘッド用Z軸駆動系17、実装ヘッド用θ駆動系19、ワーク用上カメラ21、LD素子用下カメラ23、ワーク用ヒータ25、及び変位センサ27を有する。実装ヘッド13は不図示の排気系を接続されており、先端部の吸着コレット13aの吸着開口が配置されるコレット端部においてLD素子1を吸着保持する。実装ヘッド13は実装ヘッド用θ駆動系19と接続されており、吸着コレット13aは軸心を中心として実装ヘッド13と共に回転することが可能とされる。また、実装ヘッド13及び実装ヘッド用θ駆動系19は実装ヘッド用Z軸駆動系17によりZ軸方向に駆動可能に支持され、実装ヘッド用Z軸駆動系17は実装ヘッド用Y軸駆動系15によってY軸方向に駆動可能に支持される。実装ヘッド13は、後述するLD素子用中間トレイ33よりLD素子1を吸着保持し、実装ヘッド用Z軸駆動系17によりZ軸上方に移動し、実装ヘッド用Y軸駆動系15によってY軸プラス方向(図中左下方向)に移動し、実装位置直上に至る。なお、ここで述べる駆動系は、所謂ステッピングモータ、スライダ、スライダガイド等からなる公知の駆動系であり、当該駆動系自体が本発明の主たる特徴を構成することが無いことから、各構成についてのここでの詳細な説明は省略する。
実装ヘッド13及び実装ヘッド用Z軸駆動系17等の具体的配置について、これらを拡大した状態をY軸方向に沿って見た場合の概略構成図を図6に示す。図6に示すように、実装ヘッド用Y軸駆動系15は、Y軸用ガイド15a、該Y軸用ガイド15a上に摺動可能に支持されるY軸移動フレーム15b、及びY軸駆動モータ15c(図4参照)から構成される。Y軸駆動モータ15cにより、Y軸移動用フレーム15bはY軸用ガイド15a上をY軸方向に沿って前後に移動される。なお、Y軸用ガイド15a及びY軸駆動モータ15cは電子デバイス実装装置100の本体フレームに固定されている。実装ヘッド用Z軸駆動系17は、前述したY軸移動用フレーム15b上に固定され支持されるZ軸用ガイド17a、当該Z軸用ガイド17a上に摺動可能に支持されるZ軸移動用フレーム17b、及びZ軸駆動モータ17cから構成される。Z軸駆動モータ17cにより、Z軸移動用フレーム17bはZ軸用ガイド17a上をZ軸方向に沿って上下に移動される。実装ヘッド用θ駆動系19は、前述したZ軸移動用フレーム17bに対して固定されるθ軸駆動モータ19a、Z軸を中心として回転可能に支持される減速機19b、及び該減速機19bと該θ軸駆動モータ19aとの間に懸架されるベルト等からなる動力伝達機構19cから構成される。減速機19bは実装ヘッド13と同軸で連結され、θ駆動用モータ19aが発する回転力は動力伝達機構19c、減速機19bの順で伝達され、減速機19bによって適当な回転力に変換された後に、実装ヘッド13を軸回転させる力として用いられる。吸着コレット13aは、実装ヘッド13と同軸に配置されるパイプ状の部材からなりLD素子1を吸着保持する。また、実装ヘッド13の本体部分と吸着コレット13aとの間には加圧力発生装置13bが配置され、当該加圧力発生装置13bによってLD素子1をワーク3に対して実装する際の加圧力が得られる。
ワーク用上カメラ21は、ワーク3が実装位置まで搬送され、停止した状態に在るときに当該ワーク3を撮像することを目的とし、実装位置の直上に配置される。当該ワーク用上カメラ21は、停止状態にあるワーク3の所定位置に対するXY方向のズレ及び正規の姿勢に対する所謂θズレを得るために、ワーク3の画像を得る。LD素子用下カメラ23は、実装ヘッド13がLD素子1を吸着保持してY軸プラス方向に搬送する途中において、該LD素子1を下方から撮像することを目的として、該Y軸上であって上方に向かって配置される。当該LD素子用下カメラ23は、実装ヘッド13の搬送ラインであるY軸に対しての、LD素子1の中心線のズレ及び傾き(θズレ)を得るために、LD素子1の画像を得る。これらカメラから得られた画像は、各々対応する画像処理装置21a、23aに送られて画像処理が為され、更に処理結果は当該処理装置よりメインCPU101に送られ、当該メインCPU101よって求めるズレの値が算出される。
ワーク用ヒータ25は、実装位置に存在するワーク3を下方より加熱する。なお、本実施形態で用いるワーク用ヒータ25は、実装時のワーク3の温度が230〜300℃に制御されるよう、当該温度域の保持が容易な抵抗加熱型のものを用いているが、当該温度域に対応可能であれば公知の種々のヒータを用いることが可能である。ワーク搬送系51は、複数のワーク3を所定位置に並置可能なワークトレイ51a、該ワークトレイ51aが移載されるワーク移載路51b、ワーク移載路51bに配されたワークトレイ51aを移動させるワークトレイ駆動装置51c、及びワーク3をワークトレイ511a上に移載するためのワーク3移送用アクチュエータ51dから構成される。ワークトレイ駆動装置51cは、X軸方向に延在するワーク移載路51bに沿ってワークトレイ51aを間欠駆動し、ワーク用上カメラ21直下の所定位置にワーク3を所定時間保持し、該保持の間に当該ワーク3へのLD素子1の実装が為される。また、実装位置周辺は不図示のパージボックスによって閉鎖空間とされており、加熱時に配線等が酸化によって劣化することがないように、窒素バルブ41aを介して窒素タンク43からの窒素が供給され、該閉鎖空間内部での窒素(不活性ガス)の濃度を所定の一定値に維持することを可能としている。また、ワークトレイ51a及び実装ヘッド13が当該パージボックス内部に対する侵入或いは退避を可能とするように、当該パージボックスにはシャッター41bが付随しており、当該シャッター41bの開閉はメインCPU101によって為される。変位センサ27の詳細については、先に述べていることからここでの記述は省略する。なお、実装操作時においてはワーク載置テーブルが高温となること等の理由から、変位センサ27はLD素子1の位置決め(搭載位置の調整時)以外はこの比較的高い温度に維持される領域から退避していることが好ましい。このため、本実施形態では、変位センサ回避駆動用アクチュエータ29を該変位センサ27に付随させ、位置決め操作時以外では加熱領域から当該変位センサ27が退避(パージボックス近傍から離間)する構成としている。より詳細には、該パージボックス内に変位センサ27は進入することなくパージボックスの近傍にて変位の測定を行う。このため、変位センサ27がパージボックスに近接して停止した際に変位測定が可能となるように、ワーク3と変位センサ27との間に存在するパージボックスの壁は変位測定用のレーザ光を透過可能な材質により構成される。
LD素子供給系31は、LD素子用中間トレイ33、搬送ヘッド35、搬送ヘッドX軸駆動系37、及び搬送ヘッドX軸駆動系39を有する。搬送ヘッド35及び搬送ヘッドZ軸駆動系39等の具体的配置について、これらを拡大した状態をX軸方向に沿って見た場合の概略構成図を図7に示す。搬送ヘッドX軸駆動系37は、搬送ヘッドX軸用ガイド37a、該搬送ヘッドX軸用ガイド37a上に摺動可能に支持される搬送ヘッドX軸移動フレーム37b、及び搬送ヘッドX軸駆動モータ37c(図4参照)から構成される。搬送ヘッドX軸駆動モータ37cにより、搬送ヘッドX軸移動用フレーム37bは搬送ヘッドX軸用ガイド37a上をX軸方向に沿って前後に移動される。なお、搬送ヘッドX軸用ガイド37a及び搬送ヘッドX軸駆動モータ37cは電子デバイス実装装置100の本体フレームに固定されている。
搬送ヘッド用Z軸駆動系39は、前述した搬送ヘッドX軸移動用フレーム37b上に固定され支持される搬送ヘッドZ軸用ガイド39a、当該搬送ヘッドZ軸用ガイド39a上に摺動可能に支持される搬送ヘッドZ軸移動用フレーム39b、及び搬送ヘッドZ軸駆動モータ39cから構成される。搬送ヘッドZ軸駆動モータ39cにより、搬送ヘッドZ軸移動用フレーム39bは搬送ヘッドZ軸用ガイド39a上をZ軸方向に沿って上下に移動される。搬送ヘッド35は不図示の排気系を接続されており、先端部の搬送用吸着コレット35aの吸着開口が配置されるコレット端部においてLD素子1を吸着保持する。また、搬送ヘッド35の本体部分と搬送用吸着コレット35aとの間には、当該搬送用吸着コレット35aがゲルトレイ63a上のLD素子1を吸着する際に該LD素子に衝撃を与えることを防止するために、緩衝装置35bが配置される。搬送用ヘッド35はゲルトレイ上のLD素子1を吸着保持し、LD素子用中間トレイ33上の所定位置に移載する。なお、ここで述べる駆動系は、所謂ステッピングモータ、スライダ、スライダガイド等からなる公知の駆動系であり、当該駆動系自体が本発明の主たる特徴を構成することが無いことから、各構成についてのここでの詳細な説明は省略する。また、実際には以上の構成が為す動作については各種センサ確認センサ101aによって適当な位置での停止、動作実行の有無等が確認され、この確認結果に基づいて順次個々の構成の動作が実行される。
以上の構成からなる電子デバイス実装装置100における実際の実装工程を図8に示すフローチャートを用いて詳述する。まず、ステップ0において、LD素子1がゲルトレイ63a上等、所定のLD素子供給用のトレイ上に配置される。該ステップ0では、同時にワーク3のみが載置されたワークトレイ51aが移送され、LD素子実装予定のワーク3がワーク用上カメラ21直下の実装位置に配置される。続いて、搬送ヘッド35が、LD素子供給用のトレイ上にあるLD素子1を吸着保持し、該LD素子1をLD素子用中間トレイ33上の所定位置まで搬送する(ステップ1)。LD素子1の搬送後、搬送ヘッド1はLD素子供給用のトレイ方向に移動する。続いて、ステップ2において、搬送ヘッド35のX軸上の位置と入れ替わるようにY軸方向から実装ヘッド13がLD素子1上に移動、降下し、LD素子1を吸着保持する。実装ヘッド13は該LD素子1を吸着保持した後、所定の高さまで上昇し、Y軸に沿って移動を開始する。この移動の途中において、LD素子用下カメラ23にてLD素子の電極パターン、外形等を撮像し、第二の画像処理装置23aにて撮像された映像を画像処理し、当該処理画像からメインCPU101においてLD素子1の保持姿勢等が把握される。当該操作と平行し、ステップ4ではワーク用上カメラ21によってワーク3の電極パターン、外形等を撮像し、第一の画像処理装置21aにて撮像された映像を画像処理し、当該処理画像から、メインCPU101においてワーク3の載置状態が把握される。
得られた結果に基づいて、実装ヘッド側の実装ヘッド用Y軸駆動系15及び実装ヘッド用θ駆動系19の動作量、及びワーク搬送系51でのX軸方向出の停止位置を調整し、ワーク3に対するLD素子1の適切な姿勢が概ね確保された状態を得る(ステップ5)。この状態を実装ヘッド13がLD素子1をワーク3の直上に至るまでに得た後、ステップ6にて実装ヘッド13をZ軸に沿って降下させる。なお、前述したように、当該ステップ6ではLD素子1をワーク3には接触させず、微少量浮かした状態にて実装ヘッド13を停止しておく。この状態にて、前述した変位センサ27によるワーク3の第一の基準面に対するLD素子1の一側面の変位量を測定する(ステップ7)。変位量(面同士のズレの大きさ)が所望値より小さいと判断された場合には、操作は次のステップに移行する。逆に大きいと判断された場合には、実装ヘッド13をY軸方向に微小移動させ、再度変位量の測定を実施する。このY軸方向の移動と変位量の再測定の操作は、測定される変位量が所望値以下となるまで実行される。
続いて、ステップ8にて、前述したように、LD素子1の発光点1aから等距離にある適当な2位置において再度変位量の測定が為される。この2位置での測定結果によってLD素子1のワーク3に対する所謂軸ズレ(θズレ)が得られる。得られる軸ズレが所望値以下であった場合には、次工程であるステップ9に進む。逆に所望値より大きい場合には、実装ヘッド13を微少量回転させ、再度軸ズレの程度を測定する。この微小回転と軸ズレの測定の操作は、測定される軸ズレが所望値以下となるまで実行される。面同士の変位及び軸ズレが所望値以下であることが確認された後、ステップ9にてLD素子1をワーク3に対して所定の荷重を伴って押し付けて、実装を行う。なお、本実施形態においては、実装時のワーク3の保持温度は230〜300℃、付加荷重は100g/cmm2、付加時間は1〜30secとしている。なお、当該条件は確実に実装が為される条件として設定されているが、変位センサ27が適切な測定結果を得ること及び実装ヘッド13の動作の安定性等を考慮した場合、当該条件保持温度230〜250℃、付加荷重は20〜40g/cmm2、付加時間は1〜10secとすることが好ましい。
なお、上述のフローにおいて、例えば複数回に一回ステップ3及び4の工程を実施することで、ステップ7での変位センサによる変位量の測定を実施可能とするある程度の位置関係の保持が担保できるのであれば、これらステップは例えば10回の実装工程毎に行う等しても良い。また、ステップ8の工程に関しても、ステップ3及び4により得られる所謂軸ズレとの相関からある程度の再現性が担保できるのであれば、当該ステップを例えば10回の実装工程毎に行う等しても良い。特に実装工程を成す空間は石英ガラス等からなるパージボックスによって外部から熱的に遮断されて高温に保持される状態となる可能性が高いため、変位センサ27を当該空間近傍に長時間保持した場合、当該変位センサ27から得られる変位量の精度が劣化する、或いはセンサ自体が適切に動作し得なくなる可能性もある。このため、変位センサ27の動作をステップ7における一回の測定で済ますことが好ましく、予め当該ステップ以前の工程にて変位量を小さくしておくことが好ましい。
以上の工程を実施することによって、ワークにおける第一の基準面に対する実装される電子デバイスの側面からの距離を高精度に保ちつつ実装することが可能となる。また、第一の基準面に対する実装される電子デバイスの側面のθズレ(平行からずれた状態)を正確に把握することが可能となり、該θズレをなくした上での実装を行うことが可能となる。更に、これらの効果から、側面に発光点を有するLD素子を導波路に対して非接触でも高精度に位置合わせして固定することが可能となり、導波路を介して得られるレーザ光の出力の安定化を図ることが可能となる。
1:LD素子、 3:ワーク、 5:レーザ光、 7:光導波路、 10:LD素子実装部、 11:LD素子実装系、 13:実装ヘッド、 15:実装ヘッド用Y軸駆動系、 17:実装ヘッド用Z軸駆動系、 19:実装ヘッド用θ駆動系、 21:ワーク用上カメラ、 23:LD素子用下カメラ、 25:ワーク用ヒータ、 27:変位センサ、 29:変位センサ回避駆動用アクチュエータ、 31:LD素子供給系、 33:LD素子用中間トレイ、 35:搬送ヘッド、 37:搬送ヘッド用X軸駆動系、 39:搬送ヘッド用Z軸駆動系、 43:窒素タンク、 51:ワーク搬送系、 60:LD素子供給部、 61:ウエハ用ステージ、 63:ゲルトレイ用ステージ、 100:電子デバイス実装装置、 101:メインCPU