JP5167863B2 - 鋼構造物防食電着被膜形成用陽極 - Google Patents

鋼構造物防食電着被膜形成用陽極 Download PDF

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本発明は、鋼矢板、鋼管杭などの港湾鋼構造物、あるいは橋梁ケーソン、浮体構造物、船舶などの海洋鋼構造物を対象とした、鋼構造物防食電着被膜形成用陽極に関するものである。
近年、港湾鋼構造物や海洋鋼構造物の海中部の鋼材面に対し、海水成分を電気分解することにより、炭酸カルシウム及び水酸化マグネシウムからなる電着被膜を鋼構造物を形成させる電着防食工法が提案されている。
図7は電着防食工法の一例、図8は電着防食工法の後に行う電気防食工法の一例を示し、この事例はドルフィン(船舶係留設備)1の水没部位を対象としている。ドルフィン1の主要部材である鋼管杭2は、下端部分が海底に打ち込まれており、中間部分は実海域(海中)3に水没し、上端部分が海面上に突出して同じドルフィン1の主要部材であるプラットホーム4を支持している。
ドルフィン1の水没部位に電着被膜を形成させるのにあたっては、図7に示すように、山形鋼などを用いた支持材5を鋼管杭2の実海域3に浸かる部位の外周面の複数個所から突出させ、これら支持材5のそれぞれにアルミニウムや亜鉛などを主な成分とした一次陽極6を吊り下げる。支持材5は、鋼管杭2を海底に打ち込んで所定海域へドルフィン1を設置した後に、水中作業により鋼管杭2の外周面に取り付けるか、ドルフィン1の製作時に、工場で鋼管杭2に取り付けておく。
そして、プラットホーム4に直流電源7(外部電源)や分岐箱8を設置し、鋼管杭2を直流電源7のマイナス端子に給電ケーブルを介してつなぎ、一次陽極6を同一の直流電源7のプラス端子に給電ケーブル及び分岐箱8を介してつなぐ。更に、海水を電解液として一次陽極6と鋼管杭2との間に電流を通電すると、一次陽極6の成分であるアルミニウムや亜鉛から海水中に電子eが放出され、アルミニウムイオンや亜鉛イオンが溶け出す([化1][化2]参照)。
[化1]
Al→Al3++3e
[化2]
Zn→Zn2++2e
通電により生じた電子eは陰極である鋼管杭2側で、酸素の還元反応([化3]参照)、並びに水の電気分解反応([化4]参照)に費やされ、その結果、水酸イオンが生じる。
[化3]
1/2O+HO+2e→2OH
[化4]
2HO+2e→2OH+H
電気分解で生成された水酸イオンは、海水中に含まれているカルシウムイオン、マグネシウムイオン、炭酸水素イオンと反応し、炭酸カルシウム及び水酸化マグネシウムが混合した状態の電着被膜が、鋼管杭2の実海域3に浸かっている部位の外周面に析出し([化5][化6]参照)、当該電着被膜によって鋼管杭2の腐食が抑制される。
[化5]
Ca2++HCO +OH→CaCO+H
[化6]
Mg2++2OH→Mg(OH)
一次陽極6の素材としてアルミニウム合金、亜鉛合金、または鉄を用いた場合は、一次陽極6が消耗する可溶性陽極になり、一次陽極6の素材としてイオン化傾向が低い白金を用いた場合は、一次陽極6が消耗しない不可溶性陽極になる。電着被膜が形成された後には、電着被膜の形成に用いられた一次陽極6の残滓や支持材5を水中作業によって鋼管杭2から取り外し、直流電源7、分岐箱8、及び給電ケーブルも撤収する。
電着被膜は、鋼材に塗料を塗布することにより形成される塗膜に比べると電気絶縁性が低く、長期的には鋼管杭2に腐食が生じることに起因した剥離が懸念されるため、図8に示すように、鋼管杭2の実海域3に浸かっている部位の複数個所に、電気防食用の二次陽極9を水中作業によって取り付け、電着被膜の維持を図る。
二次陽極9は、溶接により両端部分が鋼管杭2に電気的に接続される鋼製の芯材10と、当該芯材10の中間部分を取り囲んだ犠牲陽極本体11とで構成され、犠牲陽極本体11は亜鉛合金やアルミニウム合金などを素材としている。鉄よりも卑な金属で、イオン化傾向が高いアルミニウムや亜鉛は海水中で電子eを放出し、アルミニウムイオンや亜鉛イオンとして溶け出し([化7][化8]参照)、犠牲陽極本体11は消耗する。
[化7]
Al→Al3++3e
[化8]
Zn→Zn2++2e
アルミニウムや亜鉛が電子を放出している間は、鉄がイオン化して海水中に溶け出さないため、鉄イオンに水酸イオンが結び付いた水酸化鉄([化9]参照)は生成されず、鋼管杭2の腐食が抑制される。
[化9]
Fe2++2OH→Fe(OH)
また、犠牲陽極本体11の消耗が著しくなったならば、水中作業により既設の二次陽極9を取り外し、鋼管杭2に新しい二次陽極9を取り付ける。海水中において鉄よりも卑な金属を犠牲的に消耗させて鋼構造物の腐食を抑制する電気防食は一般的な技術であり、陽極の形状についても様々な提案がなされている(例えば、特許文献1参照)が、先述の電着防食を施工した後に電気防食を施工するという手立てを採れば、電気防食単独で鋼構造物の腐食を抑制する場合に比べて、電気防食用陽極の数を少なくできるという利点がある。
特開2003−105574号公報
図7に示す電着防食工法では、直流電源7(外部電源)、分岐箱8、及び給電ケーブルを海洋鋼構造物がある現地に持ち込むことが前提であり、直流電源7により通電を開始した後、鋼管杭2に所望の厚みの電着被膜の形成が完了するまでは、昼夜を問わず電流値及び電圧値の管理を行う必要がある。
図7の電着防食工法から図8の電気防食工法へ移行するときには、一次陽極6の残滓を回収し、支持材5を鋼管杭2から取り外してから、二次陽極9を鋼管杭2に取り付けるという二段階の水中作業工程を経なければならない。
本発明は、上述した実情に鑑みてなしたもので、鋼構造物の腐食を防ぐ電着被膜を外部電源を用いずに海水中で形成できるようにすることを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明では、鋼構造物の海水に浸かる部位に両端部が接続される鋼製の芯材と、
該芯材にその中間部分を取り囲むよう取り付けられるマグネシウムを主成分とした第1の金属塊と、
前記芯材にその中間部分を取り囲むよう取り付けられ且つ該芯材の長手方向へ前記第1の金属塊に対し隙間を隔てて配設されるアルミニウム、あるいは亜鉛を主成分とした第2の金属塊と
を備えることにより、海水を電解液として前記第1の金属塊から電子を放出させ、当該電子と酸素の還元反応、並びに水の電気分解反応を起こして水酸イオンを生成し、この水酸イオンと海水中に含まれているカルシウムイオン、マグネシウムイオン、炭酸水素イオンにより炭酸カルシウム及び水酸化マグネシウムからなる電着被膜を鋼構造物の海水に浸かっている部位に形成させる。
本発明の鋼構造物防食電着被膜形成用陽極の第1の金属塊の主成分であるマグネシウムは、海水中に大量の電子を放出する役割を担い、外部電源を不要とする。
これに加えて、前記鋼構造物の海水に浸かっている部位に電着被膜が形成された後、前記第2の金属塊から放出される電子によって鋼構造物の成分である鉄のイオン化を阻止する。
すなわち、鉄よりも卑な金属で、しかもマグネシウムに比べてイオン化傾向が低い金属であるアルミニウムや亜鉛を主成分にした第2の金属塊は、電着被膜が形成された後に電子を放出する。
本発明の鋼構造物防食電着被膜形成用陽極によれば、下記のような優れた効果を奏し得る。
(1)電着被膜形成用陽極の主成分であるマグネシウムが大量の電子が海水中に放出すると、当該電子と酸素の還元反応、並びに水の電気分解反応により水酸イオンが生成され、この水酸イオンと海水中に含まれているカルシウムイオン、マグネシウムイオン、炭酸水素イオンにより、炭酸カルシウム及び水酸化マグネシウムからなる電着被膜が鋼構造物の海水に浸かっている部位に形成されるので、鋼構造物の腐食を防ぐことができる。
(2)外部電源及びその付帯用具を現地に持ち込む手間が解消され、電流値及び電圧値の管理を行う必要がないので、電着被膜の形成工程を簡素化することできる。
(3)鋼構造物に電着被膜が形成された後に、第2の金属塊の主成分であるアルミニウム、あるいは亜鉛から電子が海水中に放出されるので、鉄のイオン化を阻止して鋼構造物の腐食を防ぎ、電着被膜を維持することができる。
(4)第1、第2の金属塊を共通の手段により鋼構造物に電気的に接続する構成を採っているので、電着被膜を形成させるための電子を放出するマグネシウムと、電着被膜の維持のための電子の放出するアルミニウム、あるいは亜鉛とを、一工程で鋼構造物に取り付けることができ、省力化が図れる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1、図2は鋼構造物防食電着被膜形成用陽極参考例を示し、ドルフィン1の主要部材である鋼管杭2の海水中に没している部分に、電着被膜形成用陽極12を取り付けている。鋼管杭2は、下端部分が海底に打ち込まれており、中間部分は実海域(海中)3に水没し、上端部分が海面上に突出してドルフィン1の主要部材であるプラットホーム4を支持している。
電着被膜形成用陽極12は、コ字状に形作られて溶接により両端部分が鋼管杭2に接続される鋼製の芯材13と、マグネシウムを主成分として芯材13の中間部分13aを取り囲む金属塊14とで構成されている。この金属塊14は、電気抵抗が高い淡水や土壌中で使う鋼矢板などの防食に用いるマグネシウム陽極の組成(JIS−H6125)と同等で、アルミニウム、亜鉛、マンガン、鉄、ニッケル、銅、珪素を僅かに含有するが、それ以外はマグネシウムである。
電着被膜形成用陽極12は、鋼管杭2を海底に打ち込んで所定海域へドルフィン1を設置した後に、水中作業により鋼管杭2の外周面に取り付けるか、ドルフィン1の製作時に、工場で鋼管杭2に取り付けておく。電解液である海水中では、電着被膜形成用陽極12の金属塊14の主成分であるマグネシウムと鋼管杭2の主成分である鉄との電位差が大きいので、実海域3では電着被膜形成用陽極12の金属塊14から鋼管杭2に向けて大量の電子eが放出される([化10]参照)。
[化10]
Mg→Mg2++2e
金属塊14から放出された電子eは陰極である鋼管杭2側で、酸素の還元反応、並びに水の電気分解反応に費やされる([化11][化12]参照)。
[化11]
1/2O+HO+2e→2OH
[化12]
2HO+2e→2OH+H
ここで生成された水酸イオンと海水中に含まれているカルシウムイオン、マグネシウムイオン、炭酸水素イオンとにより、炭酸カルシウム及び水酸化マグネシウムが混合した状態の電着被膜が、鋼管杭2の実海域3に浸かっている部位の外周面に析出し([化13][化14]参照)、当該電着被膜によって鋼管杭2の腐食が抑制される。
[化13]
Ca2++HCO +OH→CaCO+H
[化14]
Mg2++2OH→Mg(OH)
この鋼構造物防食電着被膜形成用陽極では、マグネシウムと鉄との大きな電位差によって電子eを海水中に放出させるので、従来のように、外部電源及びその付帯用具を現地に持ち込む手間が解消される。また、電子eの総放出量はマグネシウムの重量に比例し、電着被膜の厚みは、鋼管杭2の水没部位の総面積と金属塊14の電子eの総放出量とにより決まるので、マグネシウムの含有量に基づき金属塊14の重量を定めれば、要求される厚みの電着被膜を電流値及び電圧値の管理を行わずに形成させることができる。更に、電子eを放出した後のマグネシウムイオンは海水中に溶け出し、金属塊14は消耗して最終的には失われるが、鋼製の芯材13は残る。
図3、図4は鋼構造物防食電着被膜形成用陽極一例を示し、図1、図2と同じ符号を付した部分は同一物を表している。この事例では、ドルフィン1の主要部材である鋼管杭2の海水中に没している部分に、電着被膜形成用陽極15を取り付けている。
電着被膜形成用陽極15は、コ字状に形作られて溶接により両端部分が鋼管杭2に接続される鋼製の芯材13と、該芯材13の中間部分13aを取り囲む第1の金属塊16及び第2の金属塊17とで構成されており、両金属塊16,17は芯材13の長手方向に隙間Gを隔てて並んでいる。第1の金属塊16は、電気抵抗が高い淡水や土壌中で使う鋼矢板などの防食に用いるマグネシウム陽極の組成(JIS−H6125)と同等で、アルミニウム、亜鉛、マンガン、鉄、ニッケル、銅、珪素を僅かに含有するが、それ以外はマグネシウムであり、第2の金属塊17は、電気防食用のアルミニウム合金、あるいは亜鉛合金である。
電着被膜形成用陽極15は、鋼管杭2を海底に打ち込んで所定海域へドルフィン1を設置した後に、水中作業により鋼管杭2の外周面に取り付けるか、ドルフィン1の製作時に、工場で鋼管杭2に取り付けておく。電解液である海水中では、電着被膜形成用陽極15の第1の金属塊16の主成分であるマグネシウムと鋼管杭2の主成分である鉄との電位差が大きいので、実海域3では電着被膜形成用陽極15の第1の金属塊16から鋼管杭2に向けて大量の電子eが放出され([化10]参照)、酸素の還元反応、並びに水の電気分解反応に費やされる([化11][化12]参照)。
ここで生成された水酸イオンと海水中に含まれているカルシウムイオン、マグネシウムイオン、炭酸水素イオンとにより、炭酸カルシウム及び水酸化マグネシウムが混合した状態の電着被膜が、鋼管杭2の実海域3に浸かっている部位の外周面に析出し([化13][化14]参照)、当該電着被膜によって鋼管杭2の腐食が抑制される。
第1の金属塊16が電子eを放出している間、第2の金属塊17からは電子eが放出されない。これは、マグネシウムと鉄との電位差よりもアルミニウム、または亜鉛と鉄との電位差が小さいことに起因する。
この鋼構造物防食電着被膜形成用陽極では、マグネシウムと鉄との大きな電位差によって電子eを海水中に放出させるので、従来のように、外部電源及びその付帯用具を現地に持ち込む手間が解消される。また、電子eの総放出量はマグネシウムの重量に比例し、電着被膜の厚みは、鋼管杭2の水没部位の総面積と第1の金属塊16の電子eの総放出量とにより決まるので、マグネシウムの含有量に基づき第1の金属塊16の重量を定めれば、要求される厚みの電着被膜を電流値及び電圧値の管理を行わずに形成させることができる。更に、電子eを放出した後のマグネシウムイオンは海水中に溶け出し、第1の金属塊16は消耗して最終的には失われる。
鋼管杭2に電着被膜が形成されて第1の金属塊16がなくなると、鉄よりも卑な金属で、イオン化傾向が高い第2の金属塊17のアルミニウムや亜鉛は海水中で電子eを放出し、アルミニウムイオンや亜鉛イオンとして溶け出し([化7][化8]参照)、第2の金属塊17は消耗する。アルミニウムや亜鉛が電子を放出している間は、鉄がイオン化して海水中に溶け出さないため、鉄イオンに水酸イオンが結び付いた水酸化鉄([化9]参照)は生成されず、鋼管杭2の腐食が抑制され、電着被膜の剥離を回避できる。
第1の金属塊16及び第2の金属塊17が同一の芯材13に設けてある電着被膜形成用陽極15では、電着被膜を形成させるための電子eを放出するマグネシウムと、電着被膜の維持のための電子e放出するアルミニウム、あるいは亜鉛とを、一工程で鋼管杭2に取り付けることができ、省力化が図れる。
第2の金属塊17の消耗が著しくなったならば、水中作業により既設の電着被膜形成用陽極15を取り外し、アルミニウム合金、あるいは亜鉛合金を用いた電気防食用の陽極を新たに鋼管杭2に取り付け、電着被膜を引き続き維持する。
図5、図6は鋼構造物防食電着被膜形成用陽極他の参考例を示し、図1〜図4と同じ符号を付した部分は同一物を表している。この事例では、ドルフィン1の主要部材である鋼管杭2の海水中に没している部分に、電着被膜形成用陽極18を取り付けている。
電着被膜形成用陽極18は、コ字状に形作られて溶接により両端部分が鋼管杭2に接続される鋼製の芯材13と、該芯材13の中間部分13aを取り囲む金属塊19と、当該金属塊19の外面を覆う金属層20とで構成されている。金属塊19は、電気防食用のアルミニウム合金、あるいは亜鉛合金であり、金属層20は、電気抵抗が高い淡水や土壌中で使う鋼矢板などの防食に用いるマグネシウム陽極の組成(JIS−H6125)と同等で、アルミニウム、亜鉛、マンガン、鉄、ニッケル、銅、珪素を僅かに含有するが、それ以外はマグネシウムである。
アルミニウムの融点は660℃、亜鉛の融点は420℃、マグネシウムの融点は650℃であるので、電着被膜形成用陽極18の製作にあたっては、例えば、芯材13の中間部分13aにアルミニウム合金、あるいは亜鉛合金を鋳込んで金属塊19を形造り、当該金属塊19の外面に密着するようにマグネシウム板材を塑性変形させて金属層20を形作る、という手立てを採る。
電着被膜形成用陽極18は、鋼管杭2を海底に打ち込んで所定海域へドルフィン1を設置した後に、水中作業により鋼管杭2の外周面に取り付けるか、ドルフィン1の製作時に、工場で鋼管杭2に取り付けておく。電解液である海水中では、電着被膜形成用陽極18の金属層20の主成分であるマグネシウムと鋼管杭2の主成分である鉄との電位差が大きいので、実海域3では電着被膜形成用陽極18の金属層20から鋼管杭2に向けて大量の電子eが放出され([化10]参照)、酸素の還元反応、並びに水の電気分解反応に費やされる([化11][化12]参照)。
ここで生成された水酸イオンと海水中に含まれているカルシウムイオン、マグネシウムイオン、炭酸水素イオンとにより、炭酸カルシウム及び水酸化マグネシウムが混合した状態の電着被膜が、鋼管杭2の実海域3に浸かっている部位の外周面に析出し([化13][化14]参照)、当該電着被膜によって鋼管杭2の腐食が抑制される。金属層20が電子eを放出している間、当該金属層20に覆われている金属塊19からは電子eが放出されない。
この鋼構造物防食電着被膜形成用陽極では、マグネシウムと鉄との大きな電位差によって電子eを海水中に放出させるので、従来のように、外部電源及びその付帯用具を現地に持ち込む手間が解消される。また、電子eの総放出量はマグネシウムの重量に比例し、電着被膜の厚みは、鋼管杭2の水没部位の総面積と金属層20の電子eの総放出量とにより決まるので、マグネシウムの含有量に基づき金属層20の重量を定めれば、要求される厚みの電着被膜を電流値及び電圧値の管理を行わずに形成させることができる。更に、電子eを放出した後のマグネシウムイオンは海水中に溶け出し、金属層20は消耗して最終的には失われる。
鋼管杭2に電着被膜が形成されて金属層20がなくなり、金属層20に覆われていた金属塊19が露出すると、鉄よりも卑な金属で、イオン化傾向が高い金属塊19のアルミニウムや亜鉛は海水中で電子eを放出し、アルミニウムイオンや亜鉛イオンとして溶け出し([化7][化8]参照)、金属塊19は消耗する。アルミニウムや亜鉛が電子を放出している間は、鉄がイオン化して海水中に溶け出さないため、鉄イオンに水酸イオンが結び付いた水酸化鉄([化9]参照)は生成されず、鋼管杭2の腐食が抑制され、電着被膜の剥離を回避できる。しかも、電子eの放出が完了して金属層20が消滅してから金属塊19が海水中に露出するので、電子の放出を開始する前の金属塊19にフジツボなどの海棲生物が付着しない。
芯材13に設けた金属塊19の外面を金属層20で覆った電着被膜形成用陽極18では、電着被膜を形成させるための電子eを放出するマグネシウムと、電着被膜の維持のための電子e放出するアルミニウム、あるいは亜鉛とを、一工程で鋼管杭2に取り付けることができ、省力化が図れる。
金属塊19の消耗が著しくなったならば、水中作業により既設の電着被膜形成用陽極18を取り外し、アルミニウム合金、あるいは亜鉛合金を用いたる電気防食用の陽極を新たに鋼管杭2に取り付け、電着被膜を引き続き維持する。
なお、本発明の鋼構造物防食電着被膜形成用陽極は、上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更を加え得ることは勿論である。
本発明の鋼構造物防食電着被膜形成用陽極は、海水に浸かる様々な鋼構造物に適用することができる。
鋼構造物防食電着被膜形成用陽極参考例を示す概念図である。 図1に関連する電着被膜形成用陽極の概念図である。 鋼構造物防食電着被膜形成用陽極一例を示す概念図である。 図3に関連する電着被膜形成用陽極の概念図である。 鋼構造物防食電着被膜形成用陽極他の参考例を示す概念図である。 図5に関連する電着被膜形成用陽極の概念図である。 電着防食工法の一例を示す概念図である。 電気防食工法の一例を示す概念図である。
符号の説明
1 ドルフィン(鋼構造物)
2 鋼管杭(海水に浸かる部位)
3 実海域(海水)
12 電着被膜形成用陽極
13 芯材
14 金属塊
15 電着被膜形成用陽極
16 第1の金属塊
17 第2の金属塊
18 電着被膜形成用陽極
19 金属塊
20 金属層
G 隙間





Claims (1)

  1. 鋼構造物の海水に浸かる部位に両端部が接続される鋼製の芯材と、
    該芯材にその中間部分を取り囲むよう取り付けられるマグネシウムを主成分とした第1の金属塊と、
    前記芯材にその中間部分を取り囲むよう取り付けられ且つ該芯材の長手方向へ前記第1の金属塊に対し隙間を隔てて配設されるアルミニウム、あるいは亜鉛を主成分とした第2の金属塊と
    を備えたことを特徴とする鋼構造物防食電着被膜形成用陽極
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