以下に添付図面を参照して、この発明にかかるウエアラブル注文端末及びプログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。本実施形態では、レストランなどの注文システムにおいて、ウエイターやウエイトレスなどの店員が使用するユーザインタフェースにウエアラブル注文端末を適用する場合について例示する。
図1は、本実施形態にかかる注文システムの一例を示す図である。図1に示すように、注文システムは、装着者2が装着して使用するユーザインタフェースであるウエアラブル注文端末1、そのウエアラブル注文端末1からの注文を管理する注文管理サーバ30、各種帳票(例えば注文伝票)などを印刷するためのプリンタ31を制御するプリンタサーバ32、ウエアラブル注文端末1とデータの送受信を行うための送受信装置34、調理人が使用するための調理補助端末35がネットワークNTを介して接続されている。ネットワークNTは、LAN(Local Area Network)、イントラネット、イーサネット(登録商標)などである。
送受信装置34とウエアラブル注文端末1との間のデータの送受信は、電波、光、赤外線、超音波などであってよく、本実施形態では通信範囲が数m程度である近接無線通信(例えばBluetooth(登録商標)など)を用いて行うものとする。なお、送受信装置34は、店舗内の全ての領域(例えば、精算カウンター近傍、客卓が設けられたフロア、バックヤード等)をカバーするように複数設けられている。
注文管理サーバ30は、店員がウエアラブル注文端末1に入力した料理の注文を管理する。具体的には、注文管理サーバ30は、ウエアラブル注文端末1から送受信装置34を介して通知された注文情報にユニークな注文番号を割り当てて内部のストレージ等に記憶し、注文情報を登録する。注文情報には、注文を受けた客卓、客数、注文品目、その注文数などが含まれる。注文管理サーバ30に登録された注文情報は、注文番号とともにプリンタ31より注文伝票として印刷される。この注文伝票は、POS端末33での精算時に使用するものとして、例えば料理提供後の客に渡されるものである。また、注文管理サーバ30は、登録された注文情報の調理補助端末35への通知や、各種情報のウエアラブル注文端末1への配信を行う(詳細は後述する)。
POS端末33は、ドロア、キー入力部、スキャナ、カードリーダ、ディスプレイ、レシート/ジャーナル用プリンタなどを備え(いずれも図示しない)、現金やクレジットカードを用いて商取引を行うもので、例えば精算カウンター等に設けられる。例えば、POS端末33は、キー入力やスキャナ読み取りなどにより、注文伝票に印刷された注文番号を受け付け、その注文番号に対応する注文情報を注文管理サーバ30から取得する。POS端末33は、料理品目(メニュー)ごとの識別コードや価格がプリセットされたマスタファイルを、内部ROM(Read Only Memory)やデータサーバ(特に図示しない)から読み出し、取得した注文情報にかかる注文の精算を行う。
調理補助端末35は、調理人が使用するための情報端末である。調理補助端末35は、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイ、操作入力を受け付けるためのタッチパネル等の操作入力部などを備え、例えば調理場に設けられる。
ウエアラブル注文端末1は、装着者2(店員)が装着して使用する情報端末であり、ヘッドマウントディスプレイ10と、撮像装置としてのデジタルカメラ11と、インタフェースボックス12と、マイク15とを備える。図2に示すように、ヘッドマウントディスプレイ10は、モニタ表示部17を備えた光透過性部材16を保持するためのフレーム13と、このフレーム13を装着者2の左目前に配置するためのヘッドホン型の装着用アーム14とを備える。すなわち、ヘッドマウントディスプレイ10は、装着用アーム14によって装着者2の頭部2aに装着可能であり、装着した状態ではフレーム13が装着者2の左目前に配置されることとなる。
フレーム13は、装着者2の左目に合わせた大きさの形状に形成されている。フレーム13の枠外の上部には、撮像方向可変機構18を介してデジタルカメラ11が設けられている。また、フレーム13の枠外には、装着者2の瞳を撮像して視線2b(視線位置)の検出を行うための視線認識用カメラ19が設けられている。また、フレーム13の下部には、装着者2やその周囲の音声を集音するためのマイク15が設けられている。フレーム13の枠内には、例えばフレーム枠の形状に合わせて形成された板状の光透過性部材16が保持されている。この光透過性部材16は、ヘッドマウントディスプレイ10を装着者2の頭部2aに装着した場合であっても、装着者2の眼から周辺環境を観察可能である。この光透過性部材16は、例えば無色透明又は予め決められた色を有していてもよい。
光透過性部材16内の一部分には、モニタ表示部17が形成されている。このモニタ表示部17は、例えばデジタルカメラ11の撮像により取得される動画の画像データや各種情報等をリアルタイムにモニタ表示する。したがって、ヘッドマウントディスプレイ10を装着した状態で装着者2の左目へのモニタ表示を行うことが可能である。なお、モニタ表示部17は、光透過性の状態でモニタ表示する。しかるに、モニタ表示部17は、リアルタイムにモニタ表示している状態でも周辺環境を観察可能とすることができる。例えば、店員が接客中であっても、客から目を離すことなくモニタ表示を確認することができる。
なお、本実施形態では、フレーム13を装着者2の左目前に配置し、装着者2の左目へのモニタ表示を行う構成を例示した。しかしながら、装着者2へのモニタ表示は、右眼又は両目に行うものであってよい。例えば、フレーム13を装着者2の右眼前に配置することで、装着者2の右目へのモニタ表示を行うことが可能である。
デジタルカメラ11は、撮像動作を行って動画の画像データを出力する。このデジタルカメラ11は、光透過性部材16を通した装着者2の視線2b方向に焦点が合うように撮像範囲を設定した状態でヘッドマウントディスプレイ10のフレーム13上に取り付けられている。撮像方向可変機構18は、例えばデジタルカメラ11を首振り可能に支持し、デジタルカメラ11の撮像方向を任意の方向、ここでは上記の如くデジタルカメラ11の撮像範囲を装着者2の視線2b方向に焦点が合うように設定する。
インタフェースボックス12は、送受信装置34との間のデータの送受信を行うとともに、ヘッドマウントディスプレイ10にかかる各種処理を行う。具体的には、インタフェースボックス12は、制御部121、音声処理部122、送受信部123、情報表示部124、画像処理部125を備え、装着者2が携帯可能なボックスである。制御部121は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROMなどを有するコンピュータであり、ウエアラブル注文端末1の動作を制御する。ROMには、プログラムやそのプログラムを実行する際に参照される各種設定情報などが予め格納されている。CPUは、ROMに記憶されたプログラムをRAMの作業領域に展開して順実行することで、ウエアラブル注文端末1の動作を中央制御する。なお、インタフェースボックス12における画像処理部125、情報表示部124、送受信部123、音声処理部122などの各部が有する機能は、制御部121がROMに予め格納されたプログラムを実行することで実現してもよい。
音声処理部122は、マイク15により入力された音声の認識などの処理を行う。具体的には、音声処理部122は、予め設定された辞書データに含まれる音声データと、マイク15からの音声データとを照合して所定の音声コマンドを認識し、認識した音声コマンドを制御部121へ通知する。制御部121は、通知された音声コマンドに応じた処理を行う。これにより、ウエアラブル注文端末1は、装着者2が発声する音声コマンドによる操作が可能である。以後、上述した音声コマンドによるウエアラブル注文端末1の操作を音声操作と呼ぶ。ウエアラブル注文端末1は、装着者2の音声操作を受け付けることで、装着者2の手入力による手間を省くことができる、特に装着者2が接客中などの場合は、視線を客に向けた状態で操作入力を行うことができるため、効果的である。
情報表示部124は、制御部121などから入力された画像データをヘッドマウントディスプレイ10のモニタ表示部17へ表示する。また、情報表示部124は、制御部121の制御の下、情報ウインドウやアイコンなどの各種画像を、モニタ表示部17の所定の座標へ表示する。
画像処理部125は、デジタルカメラ11の撮像により取得された画像データの画像処理や、視線認識用カメラ19で撮像された画像データを解析して装着者2の視線2bの検出を行う。具体的には、画像処理部125は、視線認識用カメラ19で撮像された画像データから装着者2の瞳を検出し、その検出された瞳の位置に応じて視線2bの検出を行う。なお、視線2bの検出結果は情報表示部124へ出力される。情報表示部124は、画像処理部125から出力される視線2bの検出結果に対応するモニタ表示部17の座標に注文表示ウインドウを表示する。また、画像処理部125は、デジタルカメラ11の撮像により取得された画像データの中から1枚のフレームをチャプタし、このチャプタ画像の中のバーコードを識別し、識別された画像データを2値化してコード情報を取得する等の画像処理を行う。
なお、ウエアラブル注文端末1における入力操作は、制御部121の制御の下、視線認識用カメラ19の画像を元に画像処理部125により検出された視線2bに応じて行われてもよい。具体的には、情報表示部124がモニタ表示部17に表示した操作入力用のアイコン画像を装着者2が見つめた際の視線2bを検出することで、ウエアラブル注文端末1における入力操作を行う。例えば、モニタ表示部17の所定の座標に表示したアイコン画像と、視線2bの検出結果により注文表示ウインドウとが重複する場合に、そのアイコン画像に対応する入力操作を受け付ける。以後、上述した視線2bに応じたウエアラブル注文端末1の入力操作を視線操作と呼ぶ。ウエアラブル注文端末1は、装着者2の視線操作を受け付けることで、装着者2の手入力による手間を省くことができる、特に装着者2が接客中などの場合は、視線をコンソールなどに向けることなく操作入力を行うことができるため、効果的である。
次に、本実施形態にかかる注文システムの動作について説明する。図3は、本実施形態にかかる注文システムの動作の一例を示すラダーチャートである。
図3に示すように、ウエアラブル注文端末1は、注文を受けた客卓、客数、注文品目、その注文数などの注文入力を装着した店員から音声操作又は視線操作により受け付け(S1)、受け付けた注文を注文情報として注文管理サーバ30へ通知する(S2)。
図4、5は、モニタ表示部17の表示例を示す図であり、より具体的には注文受付時における注文画面を示す図である。S1における注文受付時には、音声操作や視線操作による注文開始の指示に応じて、図4、5に例示した注文画面をモニタ表示部17に表示する。例えば、音声操作の場合は「注文開始」等の音声コマンドに応じて注文画面を表示する。また、視線操作の場合は注文開始を指示するためのアイコン画像(図6を参照)を装着者2が見つめることに応じて注文画面を表示する。
図4、5に示すように、注文画面において、視線マーカーG1は、視線2bの検出結果に応じてモニタ表示部17に表示されるマーカーである。注文表示ウインドウG2は、受け付けた注文内容を表示する表示ウインドウであり、例えば注文品目などを表示する。注文完了アイコンG3は、注文完了の視線操作を行うためのアイコン画像である。
例えば、音声操作による注文受付の場合は、装着者2と客との会話から、辞書データに該当する所定の単語を識別し、注文を受けた客卓、客数、注文品目、その注文数、注文完了などの入力を受け付ける。より具体的には、「いらっしゃいませ、×名様、××卓へようこそ」などの音声入力から、「名様」、「卓」などの単語と一致する音声を認識し、「名様」の前にある数を識別することで客数の入力を、「卓」の前にある数を識別することで客卓の入力を受け付ける。また、「海鮮グラタンを1つですね」などの音声入力から、料理品目の一つの単語と一致する「海鮮グラタン」を識別することで注文品目の入力を、その個数である「1」を識別することで注文数の入力を受け付ける。また、「ご注文ありがとうございました」などの音声入力から、注文完了を示す単語や文を識別することで、注文完了の入力を受け付ける。
また、視線操作による注文受付の場合は、テンキーを模したアイコン画像などから、客卓、客数、注文数などの数の入力を、料理品目の一覧画像から注文品目の入力を、注文完了アイコンG3から注文完了の入力を受け付ける。なお、注文品目の入力は、図5に示すように、料理品目毎にその料理を識別するための識別コードM11、M12が掲載されたメニューM1により行ってもよい。具体的には、視線マーカーG1が重なった識別コードM12を取得し、ROMに記憶されたマスタファイルから識別コードM12に該当する品目を注文品目として受け付ける。
図4、5に示すように、音声操作や視線操作により入力された注文内容は、注文表示ウインドウG2に表示される。このため、ウエアラブル注文端末1を装着した店員は、客に視線を向けた状態で注文内容の確認を行うことができる。
図3に示すように、ウエアラブル注文端末1は、注文受付を終了して、受け付けた注文を通知した後に、注文受付時に表示した注文画面を消去する(S3)。図6は、モニタ表示部17の表示例を示す図であり、より具体的には注文画面を消去した後の表示状態を示す図である。図6に示すように、モニタ表示部17は、注文受付を行わない状態、すなわち、装着者2が注文受付以外の作業を行っている状態では注文表示ウインドウG2や注文完了アイコンG3などを含む注文画面が消去されていることとなる。したがって、ウエアラブル注文端末1は、注文受付以外の作業を行っている装着者2の視認性を向上させることができる。注文開始アイコンG5は、視線操作による注文開始を指示するためのアイコン画像である。上述したように、注文画面は注文開始アイコンG5を装着者2が見つめることで表示される。
図3に示すように、注文管理サーバ30は、ウエアラブル注文端末1から通知された注文情報を登録し(S4)、登録された注文情報とその注文番号とを調理補助端末35に通知する(S5)。調理補助端末35は、注文管理サーバ30から通知された注文情報をディスプレイに表示する(S6)。これにより、調理人は、注文情報に含まれる注文品目の調理を開始することができる。
調理補助端末35のディスプレイに表示された注文情報に含まれる注文品目の調理が完了した場合、調理人は、操作入力部により調理完了の入力を行う(S7)。この調理完了の入力に応じて、調理補助端末35は、S5において通知された注文情報にかかる調理の完了(調理完了情報)を注文管理サーバ30に通知する(S8)。具体的には、注文情報の注文番号に調理完了を示すフラグを付して注文管理サーバ30に通知する。
調理完了の通知を受け付けた注文管理サーバ30は、調理済みであることを示す情報を登録された注文情報に付して、注文情報の更新を行い(S9)、その注文情報にかかる調理の完了をウエアラブル注文端末1へ配信する(S10)。具体的には、注文情報に調理完了を示すフラグを付してウエアラブル注文端末1へ配信する。
調理完了の配信を受け付けたウエアラブル注文端末1は、モニタ表示部17において、調理完了を示す情報を表示する(S11)。図7は、モニタ表示部17の表示例を示す図であり、より具体的には調理完了の情報の表示例を示す図である。図7に示すように、S11では、調理完了を示す情報がインフォメーションウインドウG4に表示される。これにより、装着者2は、調理完了により配膳が必要な状況であることを確認できる。なお、S11におけるインフォメーションウインドウG4の表示内容は、調理完了を示すフラグを付して配信された注文情報に含まれる客卓をもとに、図示例のとおり、調理が完了した客卓の料理を配膳するための指示であってよい。
ウエアラブル注文端末1は、モニタ表示部17に調理完了を表示している際に、その表示の確認を示す音声操作又は視線操作が行われた場合、その表示内容が確認されたことを注文管理サーバ30に通知する(S12)。具体的には、ウエアラブル注文端末1は、S10において配信された情報に確認したことを示すフラグを付して通知する(以下、この通知を確認通知と呼ぶ)。確認通知に伴い、ウエアラブル注文端末1は、調理完了の表示を消去する。なお、表示の確認を示す音声操作は、例えば「確認」など音声コマンドであってよい。また、表示の確認を示す視線操作は、装着者2がインフォメーションウインドウG4を見つめて、視線マーカーG1をインフォメーションウインドウG4に所定の時間重複させることなどであってよい。
また、注文管理サーバ30は、注文登録から所定の時間が経過した注文情報があるなど、追加注文の確認が必要である場合(S13)、追加注文の確認指示(追加注文確認情報)をウエアラブル注文端末1へ配信する(S14)。具体的には、注文登録から所定の時間が経過した注文情報に追加注文の確認を示すフラグを付してウエアラブル注文端末1へ配信する。
追加注文の確認指示を受け付けたウエアラブル注文端末1は、モニタ表示部17において、追加注文の確認を示す情報を表示する(S15)。図8は、モニタ表示部17の表示例を示す図であり、より具体的には追加注文の確認を示す情報の表示例を示す図である。図8に示すように、S15では、追加注文の確認を示す情報がインフォメーションウインドウG4に表示される。これにより、装着者2は、追加注文の確認が必要な状況であることを確認でき、販売機会の損失を防ぐとともに、売り上げの向上を図ることができる。なお、S15におけるインフォメーションウインドウG4の表示内容は、追加注文の確認を示すフラグを付して配信された注文情報に含まれる客卓をもとに、図示例のとおり、その客卓の追加注文の確認を促す指示であってよい。
ウエアラブル注文端末1は、モニタ表示部17に追加注文の確認を示す情報を表示している際に、その表示の確認を示す音声操作又は視線操作が行われた場合、その表示内容が確認されたことの確認通知を注文管理サーバ30に通知する(S16)。この通知に伴い、ウエアラブル注文端末1は、追加注文の確認を示す情報の表示を消去する。
また、注文管理サーバ30は、客卓ごとに設置された呼出スイッチ(特に図示しない)の操作による呼び出し通知が客卓からあった場合(S17)、その操作のあった客卓からの呼び出し(呼出情報)をウエアラブル注文端末1へ配信する(S18)。具体的には、呼出スイッチの操作があった客卓に呼び出しを示すフラグを付してウエアラブル注文端末1へ配信する。
客卓からの呼び出しを受け付けたウエアラブル注文端末1は、モニタ表示部17において、客卓からの呼び出しを示す情報を表示する(S19)。図9は、モニタ表示部17の表示例を示す図であり、より具体的には客卓からの呼び出しを示す情報の表示例を示す図である。図9に示すように、S19では、客卓からの呼び出しを示す情報がインフォメーションウインドウG4に表示される。これにより、装着者2は、客卓から呼び出されている状況を確認できる。なお、S19におけるインフォメーションウインドウG4の表示内容は、図示例のとおり、呼び出しを示すフラグが付された客卓を通知するものであってよい。
ウエアラブル注文端末1は、モニタ表示部17に呼び出しを示す情報を表示している際に、その表示の確認を示す音声操作又は視線操作が行われた場合、その表示内容が確認されたことの確認通知を注文管理サーバ30に通知する(S20)。この通知に伴い、ウエアラブル注文端末1は、呼び出しを示す情報の表示を消去する。
なお、ウエアラブル注文端末1では、モニタ表示部17に注文画面等の表示を行っている際に、S10、S14、S18の複数の配信を順次受け付けた場合は、それらの配信情報をキューに格納しておく。そして、注文画面等の表示が終了(消去)した後に、キューに格納された配信情報を読み出すことで、配信された順にS11、S15、S19の表示を行う。具体的には、配信された順序を示して調理完了、追加注文の確認、呼び出しをモニタ表示部17に表示する。図10は、モニタ表示部17の表示例を示す図であり、より具体的には複数の配信を順序を示して表示する場合を例示する図である。図10に示すように、インフォメーションウインドウG4には、タブT1から順にタブT3まで配信された情報が表示される。これにより、装着者2は、配信があった情報の時系列を確認することができる。
ウエアラブル注文端末1は、表示の切り替えを示す音声操作又は視線操作が行われた場合、その操作指示に応じて表示すべきタブを切り替える。具体的には、「切り替え」などの音声コマンドに応じてタブの切り替えを行う。また、装着者2が表示すべきタブを見つめて、視線マーカーG1がそのタブに所定の時間重複することを検出した場合に、タブの切り替えを行う。
なお、複数の配信を受け付けた場合のモニタ表示部17への表示は、配信された順序だけでなく、優先して確認すべき順序に配信された情報を並び替えたものであってよい。これは、装着者2が作業を行う上での優先順位は、配信された指示の時系列順とは必ずしも一致しないためである。なお、この並び替えは、予め設定された規則に従って行うものであり、詳細については後述する。
次に、ウエアラブル注文端末1が制御部121の制御の下で行う処理の詳細について、図11を参照して説明する。図11は、本実施形態にかかるウエアラブル注文端末1の処理を示すフローチャートである。
図11に示すように、処理が開始されると、制御部121は、音声操作又は視線操作により注文受付の開始が指示されたた否かを判定する(S101)。注文受付の開始が指示されない場合(S101:NO)は、注文画面の表示などを行うことなく、S108へ処理を進める。
注文受付の開始が指示された場合(S101:YES)、制御部121は、注文画面をモニタ表示部17に表示させ(S102)、音声操作又は視線操作による注文受付を行い(S103)、受け付けた注文内容をモニタ表示部17に表示させる(S104)。
次いで、制御部121は、音声操作又は視線操作による注文受付の終了が指示されたか否かを判定する(S105)。注文受付の終了が指示されない場合(S105:NO)は、S103へ処理を戻して、注文受付を継続する。
注文受付の終了が指示された場合(S105:YES)、制御部121は、受け付けた注文を注文情報として注文管理サーバ30に通知させ(S106)、モニタ表示部17に表示中であった注文画面を消去させて(S107)、S108へ処理を進める。これにより、ウエアラブル注文端末1では、注文受付時にのみ注文画面を表示することができる。すなわち、ウエアラブル注文端末1の装着者2が業務を行う上で見やすく注文画面を表示することができる。
S108において、制御部121は、調理完了、追加注文の確認、呼び出しなど、注文管理サーバ30からの配信の有無を判定する。配信があった場合(S108:YES)、制御部121は、配信された情報をモニタ表示部17に表示させ(S109)、その確認を示す音声操作又は視線操作の有無を判定する(S110)。確認を示す操作がない場合(S110:NO)は、処理をS109へ戻して、配信された情報の表示を継続させる。このS109における配信された情報の表示は、前述したS101において注文受付が開始されない場合や、S107において注文画面が消去された場合であって、注文画面が表示中でなく、配信がある場合にのみ実行される。すなわち、注文画面を表示して注文受付を行っている間は、S102〜S105の処理が行われることから、配信情報がモニタ表示部17に表示されることはない。また、注文受付を行っている間に配信された情報は、前述したとおり、キューに格納されており、S109においてモニタ表示部17に表示されることとなる。
確認を示す操作がある場合(S110:YES)、制御部121は、配信された情報の表示内容が確認されたことを注文管理サーバ30に通知させて(S111)、モニタ表示部17に表示中であった配信された情報を消去させる(S112)。したがって、ウエアラブル注文端末1では、装着者2の確認があった時点で、装着者2が確認すべき配信された情報の表示が終了することとなる。すなわち、ウエアラブル注文端末1は、装着者2が業務を行う上で邪魔にならないように、確認すべき情報を表示できる。
次いで、制御部121は、音声操作又は視線操作による終了指示があるか否かを判定し(S113)、終了指示がなく、処理を継続させる場合(NO)はS101へ処理を戻す。なお、終了指示がある場合(YES)、制御部121は処理を終了する。
次に、注文管理サーバ30が行う処理の詳細について、図12を参照して説明する。図12は、本実施形態にかかる注文管理サーバ30の処理を示すフローチャートである。なお、以下で説明する注文管理サーバ30の処理は、CPU、RAM、ROMなどを備えた制御部(特に図示しない)において、ROMに記憶されたプログラムをRAMの作業領域に展開してCPUが順次実行することで行うものである。
図12に示すように、処理が開始されると、注文管理サーバ30は、ウエアラブル注文端末1や調理補助端末35からの通知の有無を判定する(S301)。通知がない場合(S301:NO)はS311へ処理を進める。
通知がある場合(S301:YES)、注文管理サーバ30は、その通知がウエアラブル注文端末1からの注文通知、調理補助端末35からの調理完了通知、客卓からの呼び出し通知、ウエアラブル注文端末1からの確認通知のいずれの通知であるかを判定する(S302、S304、S307、S309)。
ウエアラブル注文端末1からの注文通知である場合(S302:YES)、注文管理サーバ30は、ウエアラブル注文端末1から通知された注文情報を登録するとともに、登録された注文情報とその注文番号とを調理補助端末35に通知して(S303)、S311へ処理を進める。
調理補助端末35からの調理完了通知である場合(S304:YES)、注文管理サーバ30は、注文情報の更新を行い(S305)、その注文情報にかかる調理の完了をウエアラブル注文端末1へ配信することを設定して(S306)、S311へ処理を進める。
客卓からの呼び出し通知である場合(S307:YES)、注文管理サーバ30は、その客卓からの呼び出しをウエアラブル注文端末1へ配信することを設定して(S308)、S311へ処理を進める。
ウエアラブル注文端末1からの確認通知である場合(S309:YES)、注文管理サーバ30は、配信すべき情報として設定されているものの中から確認通知のあった情報を削除し(S310)、その情報の配信を行わないように設定して、S311へ処理を進める。
S311において、注文管理サーバ30は、登録済みの注文情報を確認し(S311)、追加注文の確認が必要な注文情報の有無を判定する(S312)。追加注文の確認が必要な注文情報とは、登録からある程度の時間が経過し、次の注文があると予測される注文情報である。具体的には、登録済みであり、精算前の注文情報の中から、所定の時間が経過したものを追加注文の確認が必要な注文情報とする。さらに、調理完了を示すフラグが付された注文情報という条件での絞り込みを行ってもよい。
追加注文の確認が必要な注文情報がある場合(S312:YES)、注文管理サーバ30は、追加注文の確認指示をウエアラブル注文端末1へ配信することを設定して(S313)、S314へ処理を進める。追加注文の確認が必要な注文情報がない場合(S312:NO)は、確認指示の配信を設定することなく、S314へ処理を進める。
S314において、注文管理サーバ30は、S306、S308、S310、S313などを経て設定された配信すべき情報を、優先して確認すべき順序に並び替える。次いで、注文管理サーバ30は、並び替えた後の配信すべき情報をウエアラブル注文端末1へ配信する(S315)。
S314における並び替えは、予め設定された規則に従って行われる。具体的には、配信すべき情報の各々について、配信を設定した時刻順に並べるとともに、配信すべき情報の種別に応じた加点を行って、その先後を調整する。例えば、配信すべき情報が、調理完了、追加注文の確認、呼び出しの順に設定されたものとする。そして、予め設定された規則として、呼び出しの方が追加注文の確認より加点がある場合は、調理完了、呼び出し、追加注文の確認の順に並び替えられることとなる。
次いで、注文管理サーバ30は、所定の操作指示などにより、処理の終了を行うか否かを判定し(S316)、処理を継続させる場合(NO)はS301へ処理を戻し、処理を終了する場合(YES)、そのまま処理を終了する。すなわち、処理の継続中は、S301〜S315が繰り返し実行されることとなり、調理完了、追加注文の確認、呼び出しの通知に応じて配信すべき情報が設定されるとともに、追加注文の確認が必要な場合には追加注文の確認も配信すべき情報として設定されることとなる。そして、その設定は、ウエアラブル注文端末1から確認通知を受け付けるまではそのまま継続される。したがって、S301〜S315が繰り返し実行されることで、ウエアラブル注文端末1から確認通知を受け付けるまで順次設定された配信すべき情報がS314で優先順位順に並び替えられて、S315で配信されることとなる。
以上のように、ウエアラブル注文端末1は、ヘッドマウントディスプレイ10と、その表示を制御する第1、第2の表示制御手段としての制御部121とを備える。制御部121は、操作入力に応じた注文受付時には受け付けた注文内容を含む注文画面をヘッドマウントディスプレイ10に表示するとともに、操作入力に応じた注文受付終了時には注文画面の表示を終了する。また、制御部121は、注文画面を表示していない時に、装着者2が確認すべき情報をヘッドマウントディスプレイ10に表示するとともに、操作入力に応じた確認指示に基づいて確認すべき情報の表示を終了する。したがって、ウエアラブル注文端末1は、装着した店員が業務を行う上で見やすく情報を表示することができる。
なお、図11、12の例では、注文管理サーバ30からウエアラブル注文端末1への配信する情報を、予め優先して確認すべき順序に注文管理サーバ30で並び替える構成を例示した。しかしながら、注文管理サーバ30からウエアラブル注文端末1へは配信を設定した時刻順に情報を配信し、S314における並び替えは、配信を受け付けたウエアラブル注文端末1が行うものであってもよい。
なお、本実施形態の制御部121や注文管理サーバ30のCPUが実行するプログラムは、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。また、上記プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
また、上記プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上記プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
また、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。