以下、図面とともに本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は本発明の好適な実施形態に係る移動通信システム1の構成を示すブロック図である。移動通信システム1は、交換機10、無線基地局制御装置(RNC:Radio Network Controller)20、回線情報データベース30及び複数の基地局40A,40Bを含んで構成される移動体通信網Nと、この移動体通信網Nに含まれる配信サーバ25とを含んで構成される。さらに移動通信システム1は、移動体通信網Nに接続して移動体通信を行う複数の通信端末50A,50Bと、により構成される。交換機10は、本発明の特徴を成すものであり、複数の通信端末50A,50Bに対して同報情報を配信する機能を有するとともに、通信端末50A,50Bの個別チャネルを介した通信を制御する機能を有する装置である。配信サーバ25は、交換機10に接続され、交換機10により配信される同報情報を作成する装置である。また、基地局40A,40Bはそれぞれ配下の通信端末50A,50Bとの無線接続を確立するシステムであり、無線基地局制御装置20はこの基地局40A,40Bを制御する装置である。また、回線情報データベース30は、無線基地局制御装置20が制御する基地局40A,40Bに対して接続する通信端末50A,50Bの通信状況を格納するデータベースである。ここで、図1では、交換機10に対して1つの無線基地局制御装置20が接続され、さらに2つの基地局40(40A,40B)が接続されているが、通常は交換機10に対して複数の無線基地局制御装置20が接続され、さらにそれぞれの無線基地局制御装置20に対して複数の基地局40が接続されていることにより、移動体通信網Nが構成される。また、図1では通信端末50が複数個ある例として、通信端末50A及び通信端末50Bを図示している。
上記の移動通信システム1において、配信サーバ25と交換機10との間、交換機10と無線基地局制御装置20との間、無線基地局制御装置20と回線情報データベース30との間、無線基地局制御装置20と基地局40(40A,40B)との間、は、それぞれ有線のネットワークを介して接続されている。また、基地局40Aと通信端末50Aとの間、基地局40Bと通信端末50Bとの間は、それぞれ無線通信により情報の交換が行われる。
なお、移動通信システム1を用いて配信が行われる同報情報とは、基地局40の配下に在圏する通信端末50に対して広く通知する必要がある情報であり、例えば、地震等の災害発生時の災害の詳細に関する通知や通信状況に異常が発生している地域の通知等が挙げられる。また、この同報情報はテキスト文に限られず、種々のデータを同報情報として通知することができる。この同報情報の配信は、無線基地局制御装置20や基地局40毎に行うことができる。
次に、移動通信システム1に含まれる各装置の詳細について説明する。
配信サーバ25は、同報情報を作成する機能を有する。具体的には、同報情報の作成は、配信サーバ25の管理者が配信すべき同報情報を入力することにより作成されるほか、例えば、配信サーバ25が緊急地震情報を受け取った場合等あらかじめ決められた状況が発生した際に自動生成することにより作成される。併せて、同報情報の配信対象エリアを指定する情報が作成される。配信対象エリアの指定する情報は同報情報の内容によって同報情報毎に、例えば一斉配信を行う対象となる基地局40を指定する情報として作成される。また、作成された同報情報に重要度(例えば、低、中、高の3段階)を設定することもできる。配信対象エリアの指定や重要度の付与は、配信サーバ25の管理者が同報情報の内容等に基づいて入力することにより行うことができるほか、配信サーバ25によって自動的に設定することもできる。このようにして作成された同報情報及び配信対象エリアを指定する情報は、交換機10へ送られる。
交換機10は、本発明の特徴を成すものであり、基地局40の配下に在圏する通信端末50の個別チャネルを介した通信を制御する機能を有すると共に、無線基地局制御装置20及び基地局40を介して、通信端末50に対して同報情報の配信を行う機能を有する。
図1に示すように、交換機10は、同報配信部11と、使用状況取得部12と、使用中端末特定部13と、配信方法選択部14と、個別送信部15と、を含んで構成される。
同報配信部11は、通信端末50A,50Bに対して同報情報を一斉配信する同報配信手段として機能する。具体的には、配信サーバ25から送信される同報情報と当該同報情報を配信するエリアを指定する情報(例えば、配信先の基地局40を指定する情報)とを取得し、無線基地局制御装置20に対して送信することにより、当該同報情報の共通チャネルを介した一斉配信を指示する。この一斉配信の指示は、後述の配信手段選択部14及び個別送信部15より配信タイミングが指定された場合には当該指示に従って行われるが、配信サーバ25から送信される同報情報を取得した場合に自動的に一斉配信を行う機能を備えることもできる。また、同報配信部11では、同報配信部11において取得された同報情報のコピーが作成され、配信方法選択部14へ送られる。さらに、当該同報情報を配信するエリアを指定する情報は、使用状況取得部12に対して送られる。
ここで、同報情報の一斉配信に用いられる共通チャネルとは、複数の通信端末50に対してブロードキャスト配信を行うために用いられるチャネルであり、このチャネルを介して配信を行うことにより、例えば特定の基地局40の配下に在圏する不特定多数の通信端末50に対して同報情報を一括して送信することができるものである。
使用状況取得部12は、同報情報の配信対象である基地局40の配下に在圏する複数の通信端末50の個別チャネルの使用状況を取得する使用状況取得手段として機能する。具体的には、同報配信部11から送られる同報情報を配信するエリアを指定する情報を取得し、当該情報を元に使用状況取得部12から無線基地局制御装置20に対して、例えば基地局40を指定することによって、同報情報の配信対象となる通信端末50による個別チャネルの使用状況の送信指示を送信する。そして、無線基地局制御装置20から送信される通信端末50の個別チャネルの使用状況を受信することにより、当該使用状況を取得する。
ここで、個別チャネルとは、通信端末50(例えば通信端末50A)が他の通信端末50(例えば通信端末50B)との間で通信を行う際や、通信端末50がサーバ等に接続してデータの送受信を行う際に通信端末50と基地局40との間で用いられるチャネルである。通信端末50では、個別チャネルと上述の共通チャネルとを同時に使用することができない。この個別チャネルは、より具体的には、制御用個別チャネル(C−Plane)と通話用個別チャネル(U−Plane)とを含んで構成される。制御用個別チャネルとは、通信端末50と基地局40との間で個別チャネルに関する制御信号を送受するためのチャネルである。一方、通話用個別チャネルとは、相手側(他の通信端末50、サーバ等)との間で送受信するデータの受渡しに用いられるチャネルである。例えば、他の通信端末50と音声通話をしている場合には音声データが通話用個別チャネルを用いて送受されるし、サーバとのパケット接続を行う場合にはパケットデータが本チャネルを用いて送受される。
図4は、使用状況取得部12により取得される個別チャネルの使用状況を示す情報の例を示す図である。使用状況取得部12は、図4に示すように、基地局40を特定する基地局番号と、当該基地局40の配下に在圏する通信端末50毎の制御用個別チャネル及び通話用個別チャネルを示す回線番号(CH括り付き回線番号)と、チャネルの種別(識別)と、使用状況(使用中であるか未使用であるか)と、が対応付けられた情報を取得する。この情報は使用中端末特定部13へ送られる。
使用中端末特定部13は、使用状況取得部12により取得された個別チャネルの使用状況を示す情報を参照して、個別チャネルを使用している通信端末50を特定する使用中端末特定手段として機能する。使用中端末特定部13は、図4に示す情報のうち、使用状況が「使用中」である通信端末50を特定する。このようにして特定された、個別チャネルを使用している通信端末50に関する情報は、個別送信部15へ送られる。この個別チャネルを使用している通信端末50は、共通チャネルを同時に使用することができないことから、共通チャネルを介して一斉配信される同報情報を受信することができない。
配信方法選択部14は、同報配信部11から送られた同報情報(同報情報のコピー)を参照し、当該同報情報の配信方法を選択する配信方法選択手段として機能する。また、同報情報に対してあらかじめ設定される重要度に基づいて通信端末50に対して配信する信号を選択する機能を備え、個別送信手段の一部として機能する。配信方法選択部14は、使用中端末特定部13により特定される、個別チャネルを使用中である通信端末50に対する同報情報の配信方法を、同報情報を参照して選択する。配信方法選択部14が選択することのできる配信方法としては以下の3つが挙げられる。第1の方法としては、個別チャネル(制御用個別チャネル)を介して、個別チャネルを使用中の通信端末50に対して同報情報を送信する方法である。また、第2の方法としては、個別チャネル(制御用個別チャネル)を介して、個別チャネルを使用中の通信端末50に対して、準備信号を送信し、強制的に個別チャネルの使用を中断させることにより、共通チャネルを介して配信される同報情報を受信することができるようにさせる方法である。また、第3の方法としては、個別チャネル(制御用個別チャネル)を介して、個別チャネルを使用中の通信端末50に対して、切断可否を問い合わせるための準備信号を送信し、通信端末50において、通信端末50の所有者が個別チャネルの使用を中断するという返信があった場合に限って個別チャネルの使用を中断することにより、共通チャネルを介して配信される同報情報を受信することができるようにさせる方法である。
ここで、個別チャネルを構成する二つのチャネルのうち、制御用個別チャネルを用いて通信端末50に対して同報情報や準備信号を送信する理由としては、以下の点が挙げられる。すなわち、通話用個別チャネルは、上述のように例えば通信端末50間の通信におけるデータ(音声データ等)の受渡しに用いられるチャネルである。この通話用個別チャネルを用いて同報情報や準備信号を送信する場合、通話用個別チャネルを用いて行われていたデータの受渡しを妨げてしまうことになるため、通信端末50の所有者の利便性を損なわれてしまう。そこで、通常は制御信号を送受する制御用個別チャネルを用いることによって、先に通話用個別チャネルを介して行われていた通信(通話)の妨害をすることなく、通信端末50に対して同報情報や準備信号を通信端末50に対して送信することができる。
配信方法選択部14では、同報情報のデータ量(大きさ)や、同報情報に対して配信サーバ25において設定された重要度等に応じて、上記の3つの方法のうち用いる手段を選択して個別送信部15へ指示する。例えば、制御用個別チャネルを介して通信端末50に対して送信することができるデータ量は限られている(例えば、文字数が600文字以下のテキスト文のみ)ため、同報情報のデータ量が少ない場合は、第1の方法により送信することができるが、データ量が多い場合は第1の方法による送信ができないため、第2又は第3の方法により送信することが必要である。また、第2の方法は通信端末50による個別チャネルの使用を強制的に中断させるため、重要度の高い情報を配信する際には有効である。しかし、重要度がそれほど高くない情報(例えば、興味を持つ人が限られる情報等)の場合には、第2の方法を用いるよりも第3の方法を用いて同報情報を配信するほうがよいことも考えられる。配信方法選択部14では、上記のような観点によりあらかじめ判断基準を作成しておき、同報配信部11から送られた同報情報から同報情報のデータ量を示す情報や重要度を示す情報を取得し、当該情報を判断基準と比較することによって配信に際して適切な配信方法が選択され同報配信部11及び個別送信部15に通知される。また、第1の方法を選択した場合には同報情報のコピーが個別送信部15に対して送られる。
個別送信部15は、配信方法選択部14の指示に従って、使用中端末特定部13により特定された個別チャネルを使用中の通信端末50に対して、無線基地局制御装置20及び基地局40を介して個別に情報を送信する個別送信手段として機能する。個別送信部15により通信端末50に対して送信する情報とは、上述の第1の方法の場合には、同報配信部11において作成され配信方法選択部14から送られる同報情報のコピーである。また、第2又は第3の方法の場合には、同報情報の配信に係る準備信号である。第2又は第3の方法の場合には準備信号を個別送信後、送信が行われた旨が同報配信部11に対して通知される。準備信号の具体的な内容及び個別送信後の処理については、後述する。
無線基地局制御装置20は、交換機10からの指示に基づいて基地局40を制御する機能を備える。具体的には、交換機10から同報情報の一斉配信が指示された場合には、当該同報情報を配信対象である基地局40(40A及び40B、またはいずれか一方)に対して送り、基地局40の配下の通信端末50(50A,50B)への共通チャネルを介した一斉配信を指示する。また、交換機10から基地局40の配下の特定の通信端末50に対して個別チャネルを介した情報の送信指示があった場合には、当該情報を基地局40へ送り当該通信端末50への送信を指示する。
また、無線基地局制御装置20は、通信端末50と基地局40との間で個別チャネルを介した通信の有無を示す情報を取得すると共に、その情報を回線情報データベース30へ送信する機能を有する。そして、例えば特定の通信端末50(例えば通信端末50A)に対する通信要求があった場合に、を無線基地局制御装置20と回線情報データベース30との間で情報の送受を行うことにより確認することによって通信端末50Aとの通信可否の確認を行い、通信要求を行った通信端末50への確認結果の通知や通信端末50Aとの接続等を行う機能を有する。
さらに、無線基地局制御装置20は、交換機10から指示があった場合に、回線情報データベース30から同報情報の配信対象の通信端末50の個別チャネルの使用状況を取得し、交換機10へ送信する機能を有する。
回線情報データベース30は、無線基地局制御装置20に接続され、通信端末50を特定する情報(例えば電話番号)と、当該通信端末50が在圏する基地局40を特定する情報と、通信端末50による個別チャネルの使用状況とを対応付けて格納する機能を有する。これらの情報は、無線基地局制御装置20から送信されることにより、回線情報データベース30において格納される。回線情報データベース30では、上述の情報が例えば図4に示すような表の形式で格納され、無線基地局制御装置20から特定の通信端末50の個別チャネルの使用状況に関する問い合わせがある場合には、この表を参照して当該通信端末50の個別チャネルの使用状況を取得し、その結果を無線基地局制御装置20へ通知する。さらに、本システムでは、無線基地局制御装置20から、例えば基地局40の番号を指定することによって同報情報の配信対象エリアに在圏する通信端末50の個別チャネルの使用状況の提供指示があった場合には、当該基地局40の番号に対応付けて格納されている通信端末50を特定する情報と、その通信端末50による個別チャネルの使用状況と、を無線基地局制御装置20へ通知する。
基地局40は、無線基地局制御装置20の指示に従って、配下の複数の通信端末50と通信を行う機能を有する。具体的には、同報情報の一斉配信に係る指示がなされた場合には、配下の通信端末50へ向けて共通チャネルを介して一斉配信を行う。また、個別チャネルを介して特定の通信端末50との情報の送受信を行う機能を備え、通信端末50から個別チャネルを介して送信された情報を無線基地局制御装置20へ送信すると共に、無線基地局制御装置20から送信された情報を特定の通信端末50に対して送信する機能を有する。
上述の交換機10、無線基地局制御装置20、配信サーバ25、回線情報データベース30、及び、基地局40は、図2に示すように、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)101、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)102及びROM(Read Only Memory)103、通信を行うための通信モジュール104、ならびにハードディスク等の補助記憶装置105等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成される。そして、これらの構成要素が動作することにより、上述した各装置10,20,25,30,40の各機能が発揮される。
次に、通信端末50について説明する。通信端末50は、ユーザにより用いられて、移動体通信網Nに接続して無線通信を行うための無線基地局制御装置20であり、具他的には、例えば携帯電話、PDA等の通信機能を有する装置として実現される。この通信端末50は、基地局40との間に設けられた個別チャネルを介して、他の通信端末50との間の通信(音声通話、データ通信等)を行うことができると共に、外部サーバ等と通信を行う。また、通信端末50は、基地局40から共通チャネルを介して配信される同報情報を受信し、音声出力、画像表示、テキスト文表示等により通信端末50の所有者へ当該同報情報を通知する機能を有する。
図5は、通信端末50において表示される同報情報の例を示す図である。基地局40より送信された同報情報がテキスト文である場合、図5のように例えば通信端末50が備える表示装置に出力することにより、通信端末50の所有者に対して通知される。
通信端末50は、図3に示すように、CPU501、RAM502、ROM503、操作部504、無線通信部505、ディスプレイ506、アンテナ507により構成されている。これらの構成要素が動作することにより、上述の通信端末50の機能が発揮される。
続いて、本実施形態に係る移動通信システム1による同報配信方法を、図6〜8,10のシーケンス図を用いて説明する。
以下の同報配信に係る処理の説明では、交換機10より、基地局40Aの配下に在圏する複数の通信端末50(通信端末50Aが含まれる)に対して同報情報を一斉配信する必要が発生した場合に、通信端末50Aは、配信対象エリアではない基地局40Bの配下に在圏する通信端末50Bとの音声通信(通話)を行っていた場合について説明する。したがって、まず、図6を用いて、通信端末50Aと通信端末50Bとの間での通話が開始されるまでについて説明する。
まず、通信端末50Aから基地局40Aに対して通信端末50Bとの通信要求が送信される。通信端末50Aから送信された通信端末50Bとの通信要求は基地局40Aに送られた後(S101a)、無線基地局制御装置20へ送られ(S101b)、無線基地局制御装置20から交換機10へ送られる(S101c)。そして交換機10によって、無線基地局制御装置20を解して回線情報データベース30を参照して基地局40Bの配下に在圏する通信端末50Bが通信中でないことを確認した後、基地局40Aと通信端末50Aとの間及び基地局40Bと通信端末50Aとの間で各々個別チャネルが設定される(S102)。これによって、通信端末50Aと通信端末50Bとの間の通話準備が整い、通信端末50Aと通信端末50Bが個別チャネルの使用を開始することにより(S103b,S103c)、通信端末50Aと通信端末50Bとの間で通話が開始される(S103a)。このときの通信端末50A,50Bの所有者の音声(音声データ)は、各々の通信端末50A,50Bと基地局40A,40Bとの間に設けられた通話用個別チャネルを介して、通信端末50Aと通信端末50Bとの間を送受信される。一方、無線基地局制御装置20は、回線情報データベース30に通信端末50Aと通信端末50Bが個別チャネルの使用を開始したことを通知する。回線情報データベース30ではこの通知に基づいて、回線情報データベース30で保持されている通信端末50A及び通信端末50Bの情報が更新される(S104)。以上の処理によって、通信端末50Aと通信端末50Bとの間の通話が開始される。
次に、図6のシーケンス図に示す処理によって通信端末50Aと通信端末50Bとの間で通話がなされている場合に、同報情報の一斉配信が必要となった場合の処理について説明する。
図7は、交換機10の配信方法選択部14において、上述の3つの配信方法のうち第1の方法を選択する場合の処理を示すシーケンス図である。
まず、通信端末50Aと通信端末50Bとは、図6に示す処理を行った後、通話中であり、通信端末50Aと通信端末50Bはそれぞれ個別チャネルを使用中である(S110a,S110b,S110c)。
ここで、同報情報の配信が必要となった場合、配信サーバ25において同報情報と当該情報の配信対象エリアを特定する情報が作成されて交換機10へ送信される。交換機10では、同報配信部11において配信サーバ25から同報情報及び当該情報の配信対象エリアを特定する情報を取得する(S111)。同報配信部11において取得された同報情報のコピーは、配信手段選択部14に対して送られる。
次に、配信方法選択部14において、使用中端末特定部13により特定された通信端末50に対する同報情報の配信手段の選択が行われる(S112:配信方法選択ステップ)。ここでは、上述の第1〜第3の方法のうちのどの方法を用いて通信端末50に対して同報情報を配信するかが、同報情報(のコピー)のデータ量や重要度に応じて選択される。この選択結果は同報配信部11及び個別送信部15へ通知される。また、図7に示す処理では、第1の方法による配信が選択されるため、併せて同報情報のコピーも個別送信部15へ送られる。
次に、同報情報を配信対象となる基地局40の配下に在圏する複数の通信端末50に対して一斉配信する。具体的には、配信手段選択部14において第1の方法による配信が行われることが決定されたことが同報配信部11に対して通知されると、一斉配信する同報情報と、配信対象エリアを指定する情報と、が交換機10の同報配信部11から無線基地局制御装置20へ送信される(S113a:同報配信ステップ)。無線基地局制御装置20では、配信対象エリアとして指定されている基地局40Aに対して、同報情報を送り共通チャネルを介した一斉配信を指示する(S113b:同報配信ステップ)。そして、基地局40Aは、無線基地局制御装置20からの指示に従って、配下の複数の通信端末50(通信端末50Aを含む)に対して共通チャネルを介して一斉配信を行う(S113c:同報配信ステップ)。
上記の基地局40Aを介した一斉配信が行われた時点で、配下の複数の通信端末50のうち個別チャネルを使用していない通信端末50は、共通チャネルを介して配信された同報情報を取得することができるので、この時点で同報情報を受信することができる。しかし、一斉配信が行われた時点で個別チャネルを使用していた(S110b)通信端末50Aは、共通チャネルにより同報配信が行われた時点で個別チャネルを使用していることから、共通チャネルを通じて配信された同報情報の取得ができず、同報配信受信失敗となる(S114)。
一方、交換機10では、同報配信部11により一斉配信を行った配信対象エリアに関する情報(ここでは基地局40Aを特定する情報)が、同報配信部11から使用状況取得部12に対して送信され、使用状況取得部12から無線基地局制御装置20に対して、当該エリア(基地局40Aの配下)に在圏する通信端末50毎による個別チャネルの通信状況の送信要求が送られる(S115:使用状況取得ステップ)。この通信状況の送信要求は、個別チャネルを使用していたために共通チャネルを介して配信された同報情報を受信することができなかった通信端末50を特定するために行われるもので、同報配信部11により同報情報の一斉配信が行われた時点とほぼ同時である前後の一定時間の間(例えば10秒以内。ただし同報情報の緊急度に応じて変更される。)に使用状況取得部12より送信される。無線基地局制御装置20は、この送信要求指示に基づいて回線情報データベース30に格納されている情報を参照することにより、基地局40Aの配下に在圏する通信端末50による個別チャネルの使用状況(通信状況)を取得し、交換機10に対して送信する。使用状況取得部12は、無線基地局制御装置20から送信された各通信端末50の個別チャネルの使用状況を受信し(S116:使用状況取得ステップ)、使用中端末特定部13へ送信する。使用中端末特定部13は、各通信端末50の個別チャネルの使用状況を参照して、個別チャネルが使用中である通信端末50を特定する(S117:使用中端末特定ステップ)。本実施形態に係る処理においては、通信端末50Aが、使用中端末特定部13により個別チャネルを使用中の通信端末50の一つとして特定される。
上記の処理を経た後、個別送信部15によって、個別チャネルを使用中である通信端末の特定(S115〜S117)により特定された通信端末50に対して、配信方法の選択(S112)により選択された配信方法(第1の方法)により、同報情報が配信される。具体的には、個別チャネルを使用中であると特定された通信端末50(通信端末50A)に対して、制御用個別チャネルを介して同報情報を送信する旨の指示が、同報情報と共に個別送信部15から無線基地局制御装置20に対して送られる(S118a:個別送信ステップ)。無線基地局制御装置20では、基地局40Aに対して同報情報を送り、通信端末50Aに対して制御用個別チャネルを介して送信するよう指示する(S118b:個別送信ステップ)。そして、基地局40Aは、無線基地局制御装置20からの指示に従って、通信端末50Aに対して現在使用中である(S110b)個別チャネルを構成する制御用個別チャネルを介して個別配信が行われる(S118c:個別送信ステップ)。通信端末50Aでは、制御用個別チャネルを介して、同報情報を受信する(S119)。通信端末50Aでは、受信した同報情報を、図5に示すように出力すると共に必要に応じて同報情報の受信を音声出力等によって通信端末50Aの所有者に対して通知する。以上によって、同報配信に関連する処理(第1の方法を選択した場合)が終了する。
上記の第1の方法を選択した場合には、個別チャネルを介して通信端末50Bと通信を行っていることにより、共通チャネルを介した一斉配信によって配信された同報情報の受信を失敗した通信端末50Aに対しても、同報情報が個別に送信されるため、通信端末50Aにおいても同報情報を受信することができるため、同報情報の受信率を高めることができる。また、従来の同報配信方法の場合には、配信対象エリアに在圏する全ての通信端末50と基地局40及び無線基地局制御装置20との間で配信確認のための通信が発生したが、上記の処理において発生する新たな通信は通信端末50Aに対する同報情報の個別配信だけであり、一斉配信の際に同報配信を受信することができたと考えられる通信中ではない通信端末50(図4において「未使用」と示される通信端末50)との間では新たな通信は増加しない。したがって、上記の同報配信に関する処理において増加する新たな通信は僅かであることから、当該処理による輻輳の発生を抑制することができる。
また、上記の第1の方法では、制御用個別チャネルを介して同報情報の送信が行われる。したがって、通信用チャネルを介して行われる通信端末50Aと通信端末50Bとの通信を妨げることなく通信端末50Aに対して同報情報の配信を行うことができる。
続いて、図8を用いて、交換機10の配信方法選択部14において、上述の3つの配信手段のうち第2の方法を選択する場合について説明する。
図8のシーケンス図において示す処理のうち、図7により示した処理と異なる点は下記の2点である。1点目は、交換機10による個別チャネルを使用中の通信端末50の特定が、同報情報の一斉配信より先に行われている点である。そして、2点目は、交換機10から個別チャネルを使用中と特定された通信端末50Aに対して、制御用個別チャネルを介して同報情報の配信のための準備信号が送信された後に通信端末50A及び通信端末50Bの通信を強制的に中断することによって、通信端末50Aに対して共通チャネルを介して同報情報を配信する点である。以下、詳細について説明する。
図7と同様に、通信端末50Aと通信端末50Bとは、図6に示す処理を行った後、通話中であり、通信端末50Aと通信端末50Bはそれぞれ個別チャネルを使用中である(S110a,S110b,S110c)。
ここで、同報情報の配信が必要となった場合、配信サーバ25において同報情報と当該情報の配信対象エリアを特定する情報が作成されて交換機10へ送信される。交換機10は、同報配信部11において配信サーバ25から同報情報及び当該情報の配信対象エリアを特定する情報を取得する(S121)。同報配信部11において取得された同報情報のコピーは、配信手段選択部14に対して送られる。
続いて、同報配信部11により作成された同報情報の配信方法が、配信方法選択部14により選択され(S122:配信方法選択ステップ)、選択結果が同報配信部11及び個別送信部15に対して通知される。配信方法選択部14において、同報情報の配信方法として第2の方法を用いることが選択された場合、配信方法選択部14から個別送信部15に対してはその結果のみが通知され、同報情報は個別送信部15に対しては送られない。
一方、同報配信部11により作成された配信対象エリアを特定する情報は、使用状況取得部12に対して送られ、使用状況取得部12は無線基地局制御装置20に対して当該エリアに在圏する通信端末50の通信状況(個別チャネルの使用状況)の送信要求を送信する(S123:使用状況取得ステップ)。通信状況の送信要求は、配信手段選択部14により配信方法が選択された後に同報情報をできるだけ早急に通信端末50に配信するために、速やかに行われることが好ましい。無線基地局制御装置20は、第1の方法を選択した場合と同様に、回線情報データベース30を参照することによって通信状況を取得し、交換機10に対して当該通信状況を送信する(S124:使用状況取得ステップ)。そして、交換機10では、使用中端末特定部13により個別チャネルを使用中の通信端末50が特定される(S125:使用中端末特定ステップ)。
個別送信部15では、配信方法選択部14において選択された手段に従って、処理を行う。配信手段として第2の方法が選択された場合には、個別送信部15から、使用中端末特定部13により特定された個別チャネルを使用中の通信端末50(例えば通信端末50A)に対して、当該使用中の個別チャネルを構成する制御用個別チャネルを介して準備信号が送信される。具体的には、第2の方法により同報情報を配信するための準備信号を制御用個別チャネルを介して送信する旨の指示が、個別送信部15から無線基地局制御装置20に対して送られる(S126a:個別送信ステップ)。無線基地局制御装置20では、基地局40Aに対して準備信号を通信端末50Aに対して制御用個別チャネルを介して送信するよう指示する(S126b:個別送信ステップ)。そして、基地局40Aは、無線基地局制御装置20からの指示に従って、通信端末50Aに対して現在使用中である(S110b)個別チャネルを構成する制御用個別チャネルを介して個別送信が行われる(S126c:個別送信ステップ)。このようにして送信される準備信号としては、現在使用中の個別チャネルを強制的に中断する旨の指示と、通話の切断を通信端末50Aの所有者に通知する旨の指示が含まれる。
通信端末50Aは、上記の準備信号を受信し(S127)、当該準備信号に含まれる指示に従って、個別チャネルの使用を中止する(S128)。この処理は、通信端末50Aが準備信号を受信することによって、通信端末50Aから基地局40A及び無線基地局制御装置20に対して個別チャネルの使用中止(通話の中止)を依頼し、基地局40A及び無線基地局制御装置20が当該依頼にしたがって基地局40Bに対して通信端末50Bとの個別チャネルの使用中止を指示することによって行われる。これによって、通信端末50A及び通信端末50Bの個別チャネルの使用が中止され、通信端末50Aと通信端末50Bとの間の通話が切断される。
さらに、通信端末50Aでは、準備信号に含まれる指示にしたがって通信端末50Aの所有者に対して通話の切断が通知される(S129)。具体的には、通信端末50Aにおいて、図9に示すように、「重要なお知らせがありますので、切断いたしました。」のような切断理由を含めたテキスト文を画面に表示することによって、通信端末50Aの所有者に対して通話の切断が通知される。
その後、交換機10から、同報情報の一斉配信が共通チャネルを介して行われる(S130a〜S130c:同報配信ステップ)。この場合の共通チャネルを介した一斉配信の方法は、図7における一斉配信(S112a〜S112c)と同様の処理によって行われる。ここで、第2の方法による処理において同報情報の一斉配信の指示は、個別送信部15による準備信号の送信後一定時間をおいて行われる。個別送信部15による準備信号の送信によって通信端末50Aにおいて当該準備信号に基づいて個別チャネルの切断が行われた後でないと、通信端末50Aにおいて同報情報を受信することができないためである。したがって、上記の一定時間とは、準備信号の送信後の処理に要する時間(例えば、3秒)を考慮して定められる。第2の方法によって同報情報を一斉配信した場合、交換機10、無線基地局制御装置20、基地局40Aを介して通信端末50Aに対して同報情報が送信される時点では、通信端末50Aは個別チャネルの使用を既に中止している(S128)ため、共通チャネルを介して配信される同報情報を通信端末50Aにおいて受信することができる(S131)。通信端末50Aでは、受信した同報情報を、通信端末50Aの所有者に対して通知する。以上によって、同報配信に関連する処理(第2の方法を選択した場合)が終了する。
なお、上述の第2の方法では、同報情報の一斉配信(S130a〜S130c)を行う前に、使用状況取得部12及び使用中端末特定部13による個別チャネルを使用中である通信端末の特定(S122〜S124)と、配信方法選択部14による配信手段の選択(S125)と、個別送信部15による準備信号の送信及び当該準備信号に基づく処理(S126〜S129)と、が行われているが、交換機10の態様によって適宜変更することができる。例えば、同報配信部11による同報情報の一斉配信を一定間隔(例えば、30秒)で複数回(例えば、3回)行う態様とした場合には、1回目の同報情報の一斉配信を行った後に上述の処理(S122〜S129)を行うこととしてもよい。この場合、通信端末50Aにおいて個別チャネルが使用中であるために1回目の同報情報の一斉配信を受信できなかった場合であっても、その後に処理(S122〜S129)が行われることによって、2回目又は3回目の一斉配信の際に通信端末50Aにおいて同報情報を受信することができる。
第2の方法を選択した場合には、制御用個別チャネルを介して送信される情報は、同報情報の配信に係る準備信号のみであり、同報情報は従来と同様に共通チャネルを介して通信端末50Aに対して配信される。したがって、データ量が多いために制御用個別チャネルを介して送信することができない同報情報であっても、通信端末50に対して確実に配信をすることができる。また、配信対象である通信端末50(通信端末50A)が個別チャネルを使用中である場合であっても、準備信号の送信によって個別チャネルの使用を強制的に中止させるため、例えば重要度が高い同報情報を通信端末50の所有者に対して通知したい場合に、特に効果的である。
続いて、図10を用いて、交換機10の配信方法選択部14において、上述の3つの配信手段のうち第3の方法を選択する場合について説明する。
図10のシーケンス図において示す処理のうち、図8により示した処理と異なる点は下記の点である。すなわち、個別送信部15により送信される同報情報の配信に係る準備信号として、現在使用中の個別チャネルの使用を中止するかを通信端末50側に選択させる信号を送信する点である。このとき、通信端末50において個別チャネルの使用中止が選択された場合には、個別チャネルの使用が中止されるため、同報情報の受信が可能となる。以下、詳細について説明する。
図7、図8と同様に、通信端末50Aと通信端末50Bとは、図6に示す処理を行った後、通話中であり、通信端末50Aと通信端末50Bはそれぞれ個別チャネルを使用中である(S110a,S110b,S110c)。
ここで、同報情報の配信が必要となった場合、配信サーバ25において同報情報と当該情報の配信対象エリアを特定する情報が作成されて交換機10へ送信される。交換機10では、同報配信部11において配信サーバ25から同報情報及び当該情報の配信対象エリアを特定する情報を取得する(S141)。同報配信部11において取得された同報情報のコピーは、配信手段選択部14に対して送られる。そして、同報配信部11により作成された同報情報の配信方法が、配信方法選択部14により選択され(S142:配信方法選択ステップ)、選択結果が同報配信部11及び個別送信部15に対して通知される。配信方法選択部14において、同報情報の配信方法として第3の方法を用いることが選択された場合も、第2の方法が選択された場合と同様に配信方法選択部14から個別送信部15に対してはその結果のみが通知され、同報情報のコピーは個別送信部15に対しては送られない。そして、使用状況取得部12は無線基地局制御装置20に対して当該エリアに在圏する通信端末50の通信状況(個別チャネルの使用状況)の送信要求を送信する(S143:使用状況取得ステップ)。無線基地局制御装置20は、第1又は第2の方法を選択した場合と同様に、回線情報データベース30を参照することによって通信状況を取得し、交換機10に対して当該通信状況を送信する(S144:使用状況取得ステップ)。そして、交換機10では、個別チャネルを使用中の通信端末50が特定される(S145:使用中端末特定ステップ)。以上の処理は図8における処理と同様である。
続いて、個別送信部15では、配信方法選択部14において選択された手段に従って、処理を行う。配信方法として第3の方法が選択された場合には、個別送信部15から、使用中端末特定部13により特定された個別チャネルを使用中の通信端末50(例えば通信端末50A)に対して、当該使用中の個別チャネルを構成する制御用個別チャネルを介して準備信号が送信される。具体的には、第3の方法により同報情報を配信するための準備信号を制御用個別チャネルを介して送信する旨の指示が、個別送信部15から無線基地局制御装置20に対して送られる(S146a:個別送信ステップ)。無線基地局制御装置20では、基地局40Aに対して準備信号を通信端末50Aに対して制御用個別チャネルを介して送信するよう指示する(S146b:個別送信ステップ)。そして、基地局40Aは、無線基地局制御装置20からの指示に従って、通信端末50Aに対して現在使用中である(S110b)個別チャネルを構成する制御用個別チャネルを介して個別配信が行われる(S146c:個別送信ステップ)。第3の方法を選択した場合、通信端末50Aに対して送信される準備信号としては、現在使用中の個別チャネルの切断可否を通信端末50Aの所有者に対して確認する指示が含まれる。
通信端末50Aは、上記の準備信号を受信すると(S147)、当該準備信号に含まれる指示に従って、通信端末50Aの切断可否を問うテキスト文を表示することによって、通信端末50Aの所有者に対して切断可否を確認する(S148)。このときに通信端末50Aにおいて表示するテキスト文の例を図11に示す。図11に示すように「詳細な内容を知りたい場合はOKを押してください。(通信は切れます)」と通知することによって、通信端末50Aの所有者に対して、詳細な内容(同報情報)を知るための操作を通信端末50Aに対して行った場合には、通信が切れる(個別チャネルの使用が中止される)ことを示すことによって、通信端末50Aの所有者に以降の処理を選択させる。
ここで、通信端末50Aの所有者が同報情報の配信を希望しない場合には、通信端末50Aに対する詳細な内容を知るための操作が行われないため、通信端末50Aは引き続き個別チャネルの使用を継続することができ、通信端末50Aと通信端末50Bとの間の通話は継続される。一方、通信端末50Aにおいて所有者による同報情報を受信する旨の操作(例えば、特定のボタン押下げ)が行われ、同報情報を受信する旨が確認された場合には、現在使用している個別チャネルの使用中止に係る処理が行われる(S149)。ここで行われる処理は、図8に示す処理(S128)と同様である。
その後、交換機10から、同報情報の一斉配信が共通チャネルを介して行われる(S150a〜S150c:同報配信ステップ)。この場合の共通チャネルを介した一斉配信の方法は、図7における一斉配信(S112a〜S112c)と同様の処理によって行われる。ここで、第3の方法による処理において同報情報の一斉配信の指示は、第2の方法と同様に、準備信号の送信に対して通信端末50Aにおいて同報情報を受信するための処理が行われるまでの時間を考慮して、個別送信部15による準備信号の送信後一定時間(例えば、30秒)をおいて行われる。なお、第3の方法による処理では、通信端末50Aにおいて所有者によって同報情報を受信する旨の操作が行われる必要があるため、同報情報を受信するための処理を完了するための所要時間は第2の方法と比較して長くなる。このため、準備信号の送信後同報情報の一斉配信を行うまでの時間を第2の方法よりも長くすることや、同報情報の一斉配信を複数回行うことによって、同報情報の受信率をより高めることができる。
そして、第3の方法による処理を行った場合でも、第2の方法による処理を行った場合と同様に、交換機10、無線基地局制御装置20、基地局40Aを介して通信端末50Aに対して同報情報が送信される時点で通信端末50Aは個別チャネルの使用を既に中止している(S149)ため、共通チャネルを介して配信される同報情報を通信端末50Aにおいて受信することができる(S151)。通信端末50Aでは、受信した同報情報を、通信端末50Aの所有者に対して通知する。以上によって、同報配信に関連する処理(第2の方法を選択した場合)が終了する。
第3の方法の場合には、制御用個別チャネルを介して送信される情報は、同報情報の配信に係る準備信号のみであり、同報情報は従来と同様に共通チャネルを介して通信端末50Aに対して配信される。したがって、データ量が多いために制御用個別チャネルを介して送信することができない同報情報であっても、通信端末50に対して確実に配信をすることができる。また、第3の方法の場合では、配信対象である通信端末50(通信端末50A)において、同報情報を受信するかを選択することができる。したがって、例えば重要度がそれほど高くなく、当該同報情報の詳細な内容に対する興味が、通信中の通信端末50Aの所有者によって異なる可能性がある場合には、第3の方法を選択して同報情報の配信を行うことで通信端末50Aの通話が強制的に切断されることが減るため、通信端末50Aにおける利便性の高い同報配信方法となる。
以上、本発明の好適な実施形態について述べてきたが、本発明に係る移動通信システム1に含まれる交換機10は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を取ることが可能である。
例えば、本実施形態では、交換機10として、同報配信部11と、使用状況取得部12と、使用中端末特定部13と、配信方法選択部14と、個別送信部15と、を全て備える装置を、無線基地局制御装置20及び基地局40とは別に備える構成としたが、上記の機能を無線基地局制御装置20や基地局40に分散させる構成としてもよい。また、例えば、交換機10と基地局40とを直接接続する構成とすることもできる。
また、第1〜第3の方法では、通信端末50Aに対して同報情報又は準備信号を個別配信する際には、現在使用中の個別チャネルを構成する制御用個別チャネルを介して配信しているが、必ずしも制御用個別チャネルを用いる必要はない。すなわち、通話用個別チャネルを介して同報情報又は準備信号を個別配信する態様とした場合であっても、輻輳の発生を抑制した状態で上記実施形態と同様に通信端末50における同報情報の受信率を高めるという効果を得ることができる。また、第1の方法を選択した場合には、上記の方法に代えて、通信端末50Aが現在使用中の個別チャネルの使用を一旦中止させた後に、交換機10からの同報情報又は準備信号を送信するための個別チャネルを通信端末50Aとの間に設けて、当該個別チャネルを構成するチャネルのうち通話用個別チャネルを介して同報情報又は準備信号を送信する態様とすることもでき、この場合にも上記と同様の効果を得ることができる。
さらに、上記実施形態では、配信方法選択部14において配信方法が選択された後に当該方法にしたがって以降の処理を行う態様について説明しているが、配信方法選択部14は必ずしも必要ではない。すなわち、配信方法選択部14を備えておらず、あらかじめ決められた第1〜第3のいずれかの方法によって、同報情報の配信を行う場合であっても、輻輳の発生を抑制した状態で上記実施形態と同様に通信端末50における同報情報の受信率を高めるという効果を得ることができる。
1…移動通信システム、10…交換機、11…同報配信部、12…使用状況取得部、13…使用中端末特定部、14…配信方法選択部、15…個別送信部、20…無線基地局制御装置、25…配信サーバ、30…回線情報データベース、40…基地局、50…通信端末。