JP5165647B2 - チャンバーユニット - Google Patents

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Description

本発明は、チャンバーユニットに関する。
チャンバーユニットの一形態として、アイソレーターに滅菌庫を連結したアイソレーターシステムが知られている(特許文献1を参照)。このシステムでは、滅菌庫の側面に設けた入口扉をあけた状態で物品を滅菌庫内に入れ、入口扉を閉じた状態で滅菌ガスを導入して庫内を物品とともに滅菌し除染する。除染後、滅菌庫とアイソレーターとを区画する出口扉を開放して、物品をアイソレーター内に移動させる。
特開2002−301138号公報
前述のシステムにおいて、入口扉と滅菌庫側のパッキンとの間は気密に封止されている。このため、庫内を滅菌ガスで満たしても入口扉とパッキンとの間は除染されない。従って、入口扉とパッキンとの間に存在する菌が増殖して内部が汚染される虞がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、菌の増殖に起因する内部の汚染を抑制することにある。
前記目的を達成するため、本発明のチャンバーユニットは、
外部からの菌の侵入が抑制される第1チャンバー、
前記第1チャンバーに連通する中空の第1連通部を囲む第1連通壁、
前記第1連通壁を囲む第1区画部を囲む第1区画壁、を備えた第1チャンバーユニットと、
外部からの菌の侵入が抑制される第2チャンバー、
前記第2チャンバーに連通する中空の第2連通部を囲む第2連通壁、
前記第2連通壁を囲む第2区画部を囲む第2区画壁、を備えた第2チャンバーユニットと、
前記第1連通壁と前記第2連通壁の少なくとも一方に設けられ、前記第1連通部と第2連通部を連通させたとき前記第1連通壁と前記第2連通壁の間をシールする連通部シール材と、
前記第1区画壁と前記第2区画壁の少なくとも一方に設けられ、前記第1連通部と第2連通部を連通させたとき前記第1区画壁と前記第2区画壁の間をシールする区画部シール材と、
前記第1区画壁と第2区画壁の何れかにおける前記連通方向の途中に設けられた弾性を有する環状の収縮部と、
前記第1区画壁と前記第2区画壁の少なくとも一方に設けられ、外部から除染ガスを導入するためのガス導入口と、を備え、
前記収縮部は、前記第1区画壁と前記第2区画壁を前記区画部シール材を介して密着させる一方、前記第1連通壁と前記第2連通壁は隙間のある第1の状態と、前記第1区画壁と前記第2区画壁を前記区画部シール材を介して密着させると共に、更に前記第1連通壁と前記第2連通壁を前記連通部シール材を介して密着させる第2の状態とを取り得るものであり、前記第1の状態において、前記ガス導入口から導入した除染ガスにより前記第1、第2区画部、前記第1、第2連通部及び前記連通部シール材を除染可能としたことを特徴とする。
本発明によれば、第1の状態にて第1、第2区画部、第1、第2連通部及び連通部シール材を除染可能としたので、除染後に第2状態に移行することで、連通部シール材と第1連通部及び第2連通部との間が除染状態で密着される。その結果、菌の増殖に起因する内部の汚染を確実に抑制できる。
アイソレーターシステムの正面図である。 ジョイント部の構成を説明する断面図である。 ジョイント部の構成を説明する斜視図である。 ジョイント部における仮接続状態を説明する図である。 除染処理を説明する図である。 ジョイント部における本接続状態を説明する図である。 各扉を閉じた本接続状態を説明する図である。 インキュベーターをアイソレーターから外した状態を説明する図である。 インキュベーター側区画壁の変形例を説明する図である。 外側シールパッキンを伸縮部とした変形例を説明する図である。
===第1実施形態===
<アイソレーターシステム1の全体構成>
図1を参照しつつ、本実施形態のアイソレーターシステム1(チャンバーシステム)について説明する。図1は、アイソレーターシステム1の正面図である。図1に示すように、アイソレーターシステム1は、アイソレーター10(第1チャンバーユニット)とインキュベーター20(第2チャンバーユニット)とを有する。
アイソレーター10は、内部に作業室11(第1チャンバー)を備える。この作業室11は、例えば横長直方体状の箱体により、外部からの菌の侵入が抑制された空間として区画される。作業室11の前面を区画する前面板12は、例えば透明の樹脂板やガラス板によって作製され、外部から作業室11の内部を視認できるようになっている。この前面板12には複数個の開口部13が横並びに形成されており、各開口部13には袋状のグローブ14が気密状態で取り付けられている。また、作業室11を区画する天板や側板等の他の部分にはステンレス鋼板が用いられている。この作業室11内には、除染ガス発生器(不図示)からの除染ガスが導入される。導入された除染ガスが作業室11内を満たすことで、作業室11内が除染されて無菌状態にすることができる。除染ガスとしては、例えば過酸化水素ガスが用いられる。
インキュベーター20は、内部に収容室21(第2チャンバー)を備える。この収容室21は、培養物を収容する室であり、例えば直方体状の箱体によって外部からの菌の侵入が抑制される空間として区画される。この実施形態において、収容室21はステンレス鋼板によって区画されている。このインキュベーター20は、アイソレーター10に対して着脱可能に構成されている。これにより、インキュベーター20毎に培養物の管理ができる。例えば、ドナー毎に専用のインキュベーター20を使用することにより、培養物の取り違え等の不具合を抑制できる。そして、アイソレーター10とインキュベーター20とは、ジョイント部30を介して着脱可能に接続されている。
<ジョイント部30>
図2は、ジョイント部30の構成を説明する断面図である。図3は、ジョイント部30の構成を説明する斜視図である。なお、図2では、アイソレーター10側に設けられるアイソレーター側ジョイント部31(第1ジョイント部)とインキュベーター20側に設けられるインキュベーター側ジョイント部32(第2ジョイント部)とが、作業室11と収容室21の連通方向に離れた状態を示す。また、図3では、アイソレーター側連通壁41とインキュベーター側連通壁51とが内側シールパッキン43を介して密着し、これらの連通壁41,51によって作業室11と収容室21とが気密に連通されている状態(外部から連通部への菌の侵入を抑制する状態)を示している。図2及び図3に示すように、アイソレーター側ジョイント部31は、アイソレーター側連通壁41(第1連通壁)と、アイソレーター側区画壁42(第1区画壁)と、連通側シールパッキン43(連通部シール材)と、区画側シールパッキン44(区画部シール材)と、伸縮部45(収縮部)と、除染ガス投入口(導入口)46と、ジョイント部扉47(第1の扉)と、第1扉支持板48と、第1扉シール用パッキン49とを有する。また、インキュベーター側ジョイント部32は、インキュベーター側連通壁51(第2連通壁)と、インキュベーター側区画壁52(第2区画壁)と、インキュベーター扉53(第2の扉)と、第2扉支持板54と、第2扉シール用パッキン55と、本体取付板56とを有する。
<アイソレーター側ジョイント部31>
まず、アイソレーター側ジョイント部31について説明する。
アイソレーター側ジョイント部31が有するアイソレーター側連通壁41は、作業室11と収容室21との間を連通する連通部の一部(第1連通部)を囲む部材である。このアイソレーター側連通壁41は、ステンレス鋼で作成された角形の中空管によって構成されている。アイソレーター側連通壁41の基端部分はアイソレーター10内に配置され、端部の開口で作業室11と連通している。アイソレーター側連通壁41の残りの部分は、アイソレーター10の側面から突出した状態で設けられている。アイソレーター側連通壁41の内周面における連通方向の途中には、第1扉支持板48が内方に向けて立設されている。第1扉支持板48は、ジョイント部扉47の閉状態で、このジョイント部扉47の周縁部を支持する部分であり、ステンレス鋼で作製された矩形状の枠板によって構成されている。
アイソレーター側区画壁42は、第1連通部を囲むアイソレーター側連通壁41の外周を更に囲む状態で設けられる。このアイソレーター側区画壁42は、アイソレーター側連通壁41よりも外側にて除染用の空間(第1区画部)を囲む部分である。このアイソレーター側区画壁42は、ステンレス鋼板で作製された起立部421と側壁部422とを有する。起立部421は、アイソレーター側連通壁41の外周から外方に向けて立設された部分であり、矩形状の枠板によって構成されている。この起立部421は、連通方向においてアイソレーター側連通壁41の中間(図示の例では、第1扉支持板48の位置と同じ位置)に設けられ、アイソレーター側連通壁41の外周に対して気密状態(外部からの菌の侵入を抑制する状態)で接合されている。側壁部422は、アイソレーター側連通壁41よりも一回り大きな角形の中空管によって構成されている。この実施形態における側壁部422は、連通方向の途中で2分割されており、分割部分に伸縮部45が介在している。側壁部422の基端は、起立部421の外周に気密状態で接合されている。側壁部422の端面は、アイソレーター側連通壁41における端面の位置よりも、アイソレーター10から遠い位置に設けられている。また、側壁部422には、除染ガス投入口46が設けられている。
連通側シールパッキン43は、弾性を有する樹脂製の環状部材によって構成され、アイソレーター側連通壁41における先端側の端面に接合されている。除染ガスへの耐性、圧縮時の強度、密着性を高めるために必要な弾性などを考慮すると、連通側シールパッキン43はシリコンゴムによって作製することが好ましい。そして、連通側シールパッキン43は、アイソレーター側連通壁41及びインキュベーター側連通壁51の先端によって挟まれて押圧されると、これらの連通壁41,51と密着し、除染用の空間(区画部)から連通部への菌の侵入を抑制する。
区画側シールパッキン44は、連通側シールパッキン43と同様に弾性を有する樹脂製の環状部材によって構成され、アイソレーター側区画壁42の先端側の端面に接合されている。そして、アイソレーター側区画壁42及びインキュベーター側区画壁52の先端によって挟まれて押圧されると、区画側シールパッキン44は、これらの区画壁42,52と密着し、外部から除染用の空間への菌の侵入を抑制する。本実施形態において、区画側シールパッキン44の厚み(連通方向の長さ)は、連通側シールパッキン43の厚みと同程度とされる。
伸縮部45は、弾性を有する環状部材であり、側壁部422を構成する基端側部分422aと先端側部分422bとの間に、気密状態で取り付けられている。そして、伸縮部45が外力に応じて変形し、連通方向の長さ422Lが変化することで、基端側部分422aと先端側部分422bの間隔を変化させる。このため、連通方向に押されたときに横にずれて変形しないように、伸縮部45の厚み(連通方向と直交する方向の長さ)には十分な厚さを持たせている。このように、伸縮部45は、外部からの菌の侵入を抑制するとともに外力に応じて変形するため、樹脂製の環状部材が用いられる。好適には、シリコンゴムで作製される。
除染ガス投入口46は、除染ガスを除染用の空間に導入するための部分である。この実施形態では、アイソレーター側区画壁42の先端側部分422bの外周面に、外方へ向けて気密状態で取り付けられたステンレス鋼板製の円筒状部材によって構成されている。除染ガス投入口46の内部空間は、アイソレーター側区画壁42が区画する除染用の空間(第1区画部)に連通されている。そして、図1に示すように、除染ガス投入口46には、アイソレーター10からのガス導入パイプ15の先端が接続される。このガス導入パイプ15の基端には除染ガス発生器が接続されている。尚、除染用の空間と除染ガス発生器との間で除染ガスを循環させるために、除染ガス出口とガス回収パイプが設けられるが図示省略している。
ジョイント部扉47は、作業室11と連通部とを区画したり連通したりする扉である。このジョイント部扉47は、第1扉支持板48よりもアイソレーター10側であって、この第1扉支持板48に近接した位置に設けられている。そして、ヒンジ機構(不図示)により、作業室11側へ水平方向に回動可能な状態で取り付けられている。また、第1扉シール用パッキン49は、矩形枠状の樹脂性部材(例えばシリコンゴム)であり、第1扉支持板48におけるアイソレーター10側の面に、開口に沿って設けられている。ジョイント部扉47の閉状態において、ジョイント部扉47における第1扉支持板48側の外周部分は、第1扉シール用パッキン49に密着する。この密着状態において、菌のアイソレーター10側への移動は抑制される。従って、アイソレーター10側が除染済みであれば、ジョイント部扉47を閉状態でロックすることにより、この除染状態を維持できる。一方、ジョイント部扉47の開状態では、作業室11と連通部とが連通される。
<インキュベーター側ジョイント部32>
次に、インキュベーター側ジョイント部32について説明する。
インキュベーター側ジョイント部32が有するインキュベーター側連通壁51は、アイソレーター側連通壁41と同様に、連通部の他の一部(第2連通部)を囲む部材である。インキュベーター側連通壁51もまた、ステンレス鋼で作成された角形の中空管によって構成されている。インキュベーター側連通壁51の基端開口は、インキュベーター20内の収容室21に連通している。また、インキュベーター側連通壁51の先端側の端面は、連通側シールパッキン43における表面の全周にわたって接触するように、その形状が連通側シールパッキン43の形状にあわせて定められている。インキュベーター側連通壁51の内周面における連通方向の途中には、第2扉支持板54が内方に向けて立設されている。第2扉支持板54は、インキュベーター扉53の閉状態で、このインキュベーター扉53の周縁部を支持する部分であり、ステンレス鋼で作製された矩形状の枠板によって構成されている。
インキュベーター側区画壁52は、第2連通部を囲むインキュベーター側連通壁51の外周を更に囲む状態で設けられる。このインキュベーター側区画壁52は、インキュベーター側連通壁51よりも外側にて除染用の空間(第2区画部)を囲む部分である。このインキュベーター側区画壁52もまた、アイソレーター側区画壁42と同様に、ステンレス鋼板で作製された起立部521及び側壁部522を有する。起立部521は、インキュベーター側連通壁51の外周から外方に向けて立設された部分であり、矩形状の枠板によって構成されている。この起立部521は、インキュベーター側連通壁51の外周に対して気密状態で接合されている。側壁部522は、インキュベーター側連通壁51よりも一回り大きな角形の中空管によって構成されている。側壁部522の端面は、区画側シールパッキン44における端面の全周にわたって接触するように、その形状が区画側シールパッキン44の形状にあわせて定められている。側壁部522における端面の幅は、区画側シールパッキン44の幅(図2における上下方向の長さ)よりも薄い。また、側壁部522の端面は、インキュベーター側連通壁51の端面の位置よりも、インキュベーター20から近い位置に設けられている。すなわち、インキュベーター側連通壁51の先端部分は、インキュベーター側区画壁52よりも突出した状態で設けられている。
なお、インキュベーター側連通壁51及びインキュベーター側区画壁52における連通方向の長さは、次の条件(1),(2)を満たすように定められている。
(1)インキュベーター側区画壁52の端面が区画側シールパッキン44に密着し、区画側シールパッキン44によってアイソレーター側区画壁42とインキュベーター側区画壁52との境界部分が気密に封止された仮接続状態(第1状態,図4参照)において、インキュベーター側連通壁51の端面と連通側シールパッキン43との間には、除染ガスが通過し得る距離(例えば1.5mm)の隙間が設けられること。
(2)前述の仮接続状態からインキュベーター20がアイソレーター10側に引き寄せられて伸縮部45が変形されることで、区画側シールパッキン44とインキュベーター側区画壁52との密着状態を維持しつつ、連通側シールパッキン43とインキュベーター側連通壁51とが密着した本接続状態(第2状態,図6参照)になること。
インキュベーター扉53は、収容室21と連通部とを区画したり連通したりする扉である。このインキュベーター扉53は、第2扉支持板54よりもインキュベーター20から遠い側であって、この第2扉支持板54に近接した位置に設けられている。そして、ヒンジ機構(不図示)により、連通部側(即ち、作業室11側)へ水平方向に回動可能な状態で取り付けられている。インキュベーター扉53が、第2扉支持板54よりもインキュベーター20から遠い位置に設けられている理由は、アイソレーター10側(作業室11側)からの開閉操作を容易にするためである。第2扉シール用パッキン55は、矩形枠状の樹脂性部材(例えばシリコンゴム)であり、第2扉支持板54におけるアイソレーター10側の面に、開口部13に沿って設けられている。インキュベーター扉53の閉状態において、インキュベーター扉53における第2扉支持板54側の外周部分は、第2扉シール用パッキン55に密着する。この密着状態において、菌のインキュベーター20側への移動は抑制される。従って、インキュベーター20側が除染済みであれば、インキュベーター扉53を閉状態でロックすることにより、この除染状態が維持される。また、インキュベーター扉53の開状態では、収容室21と連通部とが連通する。
本体取付板56は、インキュベーター側連通壁51の基端部に取り付けられる枠板状の部材である。この本体取付板56を介して、収容室21を備えたインキュベーター20の本体部分が取り付けられる。なお、この実施形態では、インキュベーター20の本体部分をインキュベーター側連通壁51とは別部材で構成したが、インキュベーター側連通壁51によって収容室21を形成してもよい。この場合、第2扉支持板54よりも、アイソレーター10から連通方向に遠い側の部分が収容室21を形成する本体部分となる。
<インキュベーター20の着脱動作>
次に、アイソレーター10へのインキュベーター20の着脱動作について説明する。
図4は、ジョイント部30における仮接続状態を説明する図である。図5は、除染処理を説明する図である。図6は、ジョイント部扉47及びインキュベーター扉53を開放した、ジョイント部30における本接続状態を説明する図である。図7は、本接続状態にて、ジョイント部扉47及びインキュベーター扉53を閉じた状態を説明する図である。図8は、インキュベーター20をアイソレーター10から取り外した状態を説明する図である。
インキュベーター20をアイソレーター10に装着する場合、まず、インキュベーター側連通壁51の端面をアイソレーター側連通壁41の端面に対向させた状態で、インキュベーター20をアイソレーター10側に移動させる。このとき、ジョイント部扉47及びインキュベーター扉53は、ともに閉状態でロックしておく。そして、インキュベーター側区画壁52の端面が区画側シールパッキン44と密着状態になったならば、インキュベーター20の移動を止める。これにより、図4に示す仮接続状態になる。この仮接続状態では、区画側シールパッキン44が介在することで、アイソレーター側区画壁42とインキュベーター側区画壁52とが気密状態で接続される。これに伴い、連通側シールパッキン43、アイソレーター側連通壁41の先端部分、及び、インキュベーター側連通壁51の先端部分を外側から囲んだ状態で、除染用の空間が区画される。また、インキュベーター側連通壁51の端面と連通側シールパッキン43との間に隙間が空いた状態になる。
仮接続状態にしたならば、除染ガス投入口46を通じて除染ガスを除染用の空間へと導入する。これにより、図5に矢印で示すように、除染ガスは除染用の空間を満たす。また、除染ガスの一部は、インキュベーター側連通壁51と連通側シールパッキン43との隙間を通って、アイソレーター側連通壁41やインキュベーター側連通壁51が区画する各連通部を満たす。その結果、外気との接触部分が全体的に除染される。例えば、第1及び第2区画部、第1及び第2連通部、及び、連通側シールパッキン43の表面、インキュベーター側連通壁51の端面、ジョイント部扉47の表面、及び、インキュベーター扉53の表面が除染されて無菌状態になる。
除染処理が終了したならば、インキュベーター20をアイソレーター10側にさらに移動させる。これにより、アイソレーター側区画壁42とインキュベーター側区画壁52とに押圧されて、伸縮部45は連通方向に収縮する。この収縮分だけ、インキュベーター20はアイソレーター10側に移動される。伸縮部45は、アイソレーター側区画壁42の途中に介在しているので、区画側シールパッキン44とインキュベーター側区画壁52との密着状態を維持しつつ、インキュベーター側連通壁51をアイソレーター10側へ移動させることができる。インキュベーター側連通壁51の端面が連通側シールパッキン43に密着状態になったら、インキュベーター20の移動を停止する。これにより、本接続状態になる。この本接続状態では、ボルト及びナットといったロック機構(不図示)を用い、インキュベーター20をアイソレーター10に対して動かせないようにロックする。
本接続状態において、作業者は、作業室11内のグローブ14に手を入れ、ジョイント部扉47及びインキュベーター扉53を作業室11側から開放する。これにより、図6に示すように、作業室11と収容室21とが除染された状態で連通する。また、収容室21への作業室11からのアクセスが可能となり、収容室21に収容されている培養物を作業室11へと移動させること、或いは、作業室11の物を収容室21へと移動させることができる。
インキュベーター20を取り外す場合には、まず図7に示すように、ジョイント部扉47とインキュベーター扉53を閉じる。この場合、作業室11内のグローブ14に手を入れ、まず奥側に位置するインキュベーター扉53を閉じてロックし、その後、手前側に位置するジョイント部扉47をロックする。
各扉47,53をロックしたならば、ロック機構によるロックを解いて、インキュベーター20をアイソレーター10に対して移動可能な状態にする。そして、図8に示すように、インキュベーター20をアイソレーター10から離れる方向へ移動させて、ジョイント部30による接続状態を解く。これにより、別のインキュベーター20をアイソレーター10に接続することが可能になる。
なお、別のインキュベーター20をアイソレーター10に接続する手順は、上述の通りである。簡単に説明すると、インキュベーター側連通壁51の端面をアイソレーター側連通壁41の端面に対向させた状態で、インキュベーター20をアイソレーター10側に移動させて仮接続状態にする。この仮接続状態で除染用の空間に除染ガスを導入し、各部を除染する。除染後、インキュベーター20をアイソレーター10側に移動して本接続状態にし、ロック機構によってロックする。ロックをしたならば、グローブ14を用いて各扉47,53を開放する。
===その他の実施形態===
前述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更や改良等が可能であり、また本発明はその等価物も含むものである。
<インキュベーター側区画壁52の変形例>
前述の実施形態では、インキュベーター側区画壁52(側壁部522)における端面の幅が、区画側シールパッキン44の幅よりも狭く構成されていた。インキュベーター側区画壁52の端面に関し、区画側シールパッキン44の幅と等しいかそれよりも大きく構成してもよい。図9は、このように構成した変形例のインキュベーター側区画壁52´を説明する図である。
このインキュベーター側区画壁52´では、側壁部522の断面形状を倒T字状に定めている。そして、先端部分522aの厚みで規定される端面の幅を、区画側シールパッキン44の幅と等しくしている。これにより、インキュベーター側区画壁52の端面と区画側シールパッキン44が当接したときの接触面積を、先の実施形態よりも大きくするとともに、インキュベーター側区画壁52´による剪断力を低下させることができる。これにより区画側シールパッキン44の耐久性を向上させる。
なお、図9では、側壁部522について倒T字状断面のものを示したが、この形状に限定されない。例えば、先端部分を台形状の断面となるように形成してもよい。また、インキュベーター側区画壁52に限らず、インキュベーター側連通壁51の端面についても、幅を広げてもよい。
<伸縮部45の変形例>
前述の実施形態では、アイソレーター側区画壁42における連通方向の途中に環状の伸縮部45を設けていたが、この構成に限られない。例えば、伸縮部45の機能を区画側シールパッキン44´に持たせてもよい。図10は、区画側シールパッキン44´が伸縮部(収縮部)を兼ねた変形例を説明する図である。変形例の区画側シールパッキン44´は、第1実施形態における区画側シールパッキン44よりも連通方向の長さが長く定められている。これに伴い、第1実施形態が備えていた伸縮部45がなくなっている。また、インキュベーター側区画壁52´の先端部分に関し、断面が倒T字状となるように設けられている。
この変形例でも、図10(a)に示す状態、すなわちインキュベーター側連通壁51の端面をアイソレーター側連通壁41の端面に対向させた状態から、インキュベーター20をアイソレーター10側に移動させる。そして、図10(b)に示す仮接続状態(第1状態)にて、インキュベーター側区画壁52の端面を区画側シールパッキン44´に密着させる。このとき、連通側シールパッキン43とインキュベーター側連通壁51の端面との間には、除染ガスが通過し得る間隔の隙間が設けられる。
仮接続状態にしたならば、除染ガスを除染用の空間へと導入する。これにより、先の実施形態と同様に、除染ガスは除染用の空間を満たす。また、除染ガスの一部は、インキュベーター側連通壁51と連通側シールパッキン43との隙間を通って、アイソレーター側連通壁41やインキュベーター側連通壁51が区画する各連通部を満たす。その結果、菌が付着している虞のある部分が除染され、無菌状態になる。
除染処理が終了したならば、インキュベーター20をアイソレーター10側に移動させて、本接続状態にする。この本接続状態では、アイソレーター側区画壁42とインキュベーター側区画壁52´とに押圧されて、区画側シールパッキン44´は連通方向に収縮する。この収縮分だけ、インキュベーター20はアイソレーター10側に移動される。図10(c)に示すように、インキュベーター側連通壁51の端面が連通側シールパッキン43と密着状態になったらインキュベーター20の移動を停止する。これにより、本接続状態になる。
このような機能を実現するため、区画側シールパッキン44´は、収縮によって縮む分の長さが連通側シールパッキン43との間に形成される隙間の大きさ以上となるように、連通方向の長さが定められる。
<その他の変形例>
区画側シールパッキン44に関し、第1実施形態では、アイソレーター側区画壁42に設けていたが、インキュベーター側区画壁52に設けてもよい。また、アイソレーター側区画壁42に設けられる第1区画側シールパッキン(第1区画部シール材)とインキュベーター側区画壁52に設けられる第2区画側シールパッキン(第2区画壁シール材)とに分けて構成してもよい。この点、連通側シールパッキン43についても同様である。すなわち、連通側シールパッキン43をインキュベーター側連通壁51に設けてもよいし、第1連通側シールパッキン(第1連通部シール材)と第2連通側シールパッキン(第2連通部シール材)とに分けて構成してもよい。
伸縮部45に関し、第1実施形態ではアイソレーター側区画壁42の途中に設けていたが、インキュベーター側区画壁52の途中に設けてもよい。
接続対象に関し、前述の実施形態ではアイソレーター10とインキュベーター20であったが、これに限られない。例えば、アイソレーター10同士を接続してもよい。この場合、一方のアイソレーター10が第1チャンバーユニットになり、他方のアイソレーター10が第2チャンバーユニットになる。
除染ガスの導入口である除染ガス投入口46に関し、アイソレーター側区画壁42に設けた場合を例示したが、インキュベーター側区画壁52に設けてもよい。また、これらの区画壁42,52の両方に設けてもよい。
除染ガスに関し、過酸化水素ガスに限られない。すなわち、除染作用を有するガスであればよい。例えば、オゾンガスであってもよい。
===まとめ===
以上説明したように、本実施形態のアイソレーターシステム1では、外部からの菌の侵入を抑制する作業室11を備えたアイソレーター10にはアイソレーター側ジョイント部31が設けられ、同じく外部からの菌の侵入を抑制する収容室21を備えたインキュベーター20には、インキュベーター側ジョイント部32が設けられる。
アイソレーター側ジョイント部31は、作業室11に連通する第1連通部を囲むアイソレーター側連通壁41と、このアイソレーター側連通壁41を囲む除染用の空間を、更に囲む状態で設けられるアイソレーター側区画壁42とを有する。インキュベーター側ジョイント部32は、収容室21に連通する第2連通部を囲むインキュベーター側連通壁51と、このインキュベーター側連通壁51を囲む除染用の空間を、更に囲む状態で設けられるインキュベーター側区画壁52とを有する。そして、アイソレーター側連通壁41の端面とインキュベーター側連通壁51の端面の少なくとも一方には連通側シールパッキン43が設けられ、アイソレーター側区画壁42の端面とインキュベーター側区画壁52の端面の少なくとも一方には区画側シールパッキン44が設けられる。
さらに、アイソレーター側ジョイント部31とインキュベーター側ジョイント部32の何れか一方には、作業室11と収容室21の連通方向に収縮可能な伸縮部45が設けられる。この伸縮部45は、仮接続状態において、アイソレーター側区画壁42とインキュベーター側区画壁52とを区画側シールパッキン44を介して密着させる一方、アイソレーター側連通壁41とインキュベーター側連通壁51との間には隙間を設けて除染用の空間を流れる除染ガスに接触可能な状態とする。また、収縮部は、仮接続状態から収縮した本接続状態において、区画側シールパッキン44による密着状態を維持しつつ、アイソレーター側連通壁41とインキュベーター側連通壁51とを連通側シールパッキン43を介して密着させる。
このアイソレーターシステム1では、ジョイント部30における除染をより確実なものとするために、前述の仮接続状態で除染ガスを導入し、その後、本接続状態に移行する。これにより、各連通部、各区画部、連通側シールパッキン43やインキュベーター側連通壁51を無菌状態にした後に、連通側シールパッキン43とインキュベーター側連通壁51とを密着状態にできる。その結果、菌の増殖に起因する汚染を確実に防止できる。また、除染用の空間から各連通部への菌の移動も確実に防止できる。加えて、アイソレーター側区画壁42とインキュベーター側区画壁52との間に区画側シールパッキン44が密着状態で配置され、除染用の空間も除染ガスで満たされているので無菌状態となる。このように、二重シール構造になっている点でも、菌による汚染を確実に防止できる。
また、区画側シールパッキン44´によって伸縮部を兼ねさせた場合には、構成の簡素化が図れる。
また、区画側シールパッキン44、44´をアイソレーター側区画壁42とインキュベーター側区画壁52の一方に設け、これらの区画壁42,52の他方の端面について、その幅を区画側シールパッキン44、44´の幅よりも大きくした場合には、区画側シールパッキン44、44´における密着性を高めることができる。
また、アイソレーター側連通壁41によって囲まれた作業室11の壁に、第1連通部と作業室11内部とを連通するジョイント部扉47を設け、インキュベーター側連通壁51によって囲まれた収容室21の壁に、第2連通部と収容室21とを連通するインキュベーター扉53を設けた場合には、ジョイント部扉47の閉状態にて作業室11への菌の侵入が抑制され、開状態にて第1連通部と作業室11とが連通する。同様に、インキュベーター扉53の閉状態にて収容室21への菌の侵入が抑制され、開状態にて収容室21と第2連通部が連通する。これにより、作業室11や収容室21の除染状態を保ったまま、アイソレーター10とインキュベーター20の着脱ができる。
1 アイソレーターシステム,10 アイソレーター,11 作業室,12 前面板,13 開口部,14 グローブ,15 ガス導入パイプ,20 インキュベーター,21 収容室,30 ジョイント部,31 アイソレーター側ジョイント部,32 インキュベーター側ジョイント部,41 アイソレーター側連通壁,42 アイソレーター側区画壁,421 起立部,422 側壁部,43 連通側シールパッキン,44,44´ 区画側シールパッキン,45 伸縮部,46 除染ガス投入口,47 ジョイント部扉,48 第1扉支持板,49 第1扉シール用パッキン,51 インキュベーター側連通壁,52,52´ インキュベーター側区画壁,53 インキュベーター扉,54 第2扉支持板,55 第2扉シール用パッキン,56 本体取付板

Claims (6)

  1. 外部からの菌の侵入が抑制される第1チャンバー、
    前記第1チャンバーに連通する中空の第1連通部を囲む第1連通壁、
    前記第1連通壁を囲む第1区画部を囲む第1区画壁、を備えた第1チャンバーユニットと、
    外部からの菌の侵入が抑制される第2チャンバー、
    前記第2チャンバーに連通する中空の第2連通部を囲む第2連通壁、
    前記第2連通壁を囲む第2区画壁を囲む第2区画壁、を備えた第2チャンバーユニットと、
    前記第1連通壁と前記第2連通壁の少なくとも一方に設けられ、前記第1連通部と第2連通部を連通させたとき前記第1連通壁と前記第2連通壁の間をシールする連通部シール材と、
    前記第1区画壁と前記第2区画壁の少なくとも一方に設けられ、前記第1連通部と第2連通部を連通させたとき前記第1区画壁と前記第2区画壁の間をシールする区画部シール材と、
    前記第1区画壁と第2区画壁の何れかにおける前記連通方向の途中に設けられた弾性を有する環状の収縮部と、
    前記第1区画壁と前記第2区画壁の少なくとも一方に設けられ、外部から除染ガスを導入するためのガス導入口と、を備え、
    前記収縮部は、前記第1区画壁と前記第2区画壁を前記区画部シール材を介して密着させる一方、前記第1連通壁と前記第2連通壁は隙間のある第1の状態と、前記第1区画壁と前記第2区画壁を前記区画部シール材を介して密着させると共に、更に前記第1連通壁と前記第2連通壁を前記連通部シール材を介して密着させる第2の状態とを取り得るものであり、前記第1の状態において、前記ガス導入口から導入した除染ガスにより前記第1、第2区画壁、前記第1、第2連通部及び前記連通部シール材を除染可能としたことを特徴とするチャンバーユニット。
  2. 前記区画部シール材は、前記収縮部を兼ねることを特徴とする請求項1に記載のチャンバーユニット。
  3. 前記区画部シール材は前記第1区画壁と前記第2区画壁の少なくとも一方の端面に設けられ、該シール材と当接する前記第1区画壁と第2区画壁の端面の幅は、前記シール材の幅と等しいか大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のチャンバーユニット。
  4. 前記第1チャンバーユニットは、前記第1連通壁で囲まれた前記第1チャンバーの壁に前記第1連通部と前記第1チャンバー内部とを連通させるための第1の扉を備え、前記第2チャンバーユニットは、前記第2連通壁で囲まれた前記第2チャンバーの壁に前記第2連通部と前記第2チャンバー内部とを連通させるための第2の扉を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1に記載のチャンバーユニット。
  5. 前記第1及び第2の扉は、前記第1チャンバー内から開閉操作可能であり、いずれも前記第1チャンバー側に回動して開放されることを特徴とする請求項4に記載のチャンバーユニット。
  6. 前記除染ガスを供給する除染ガス発生器を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1に記載のチャンバーユニット。
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