JP5164008B2 - 耐食性アルミニウム合金部材ならびに伝熱管またはヘッダー管 - Google Patents

耐食性アルミニウム合金部材ならびに伝熱管またはヘッダー管 Download PDF

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Description

本発明は、熱交換パネル、特にオープンラック式気化器の熱交換パネルを構成する伝熱管およびヘッダー管、ならびにそれらを構成するアルミニウム合金部材に関するものである。
液化天然ガス(以下、適宜LNGという)は、通常、低温高圧の液体である低温液化燃料として移送または貯蔵され、燃料として使用される前に気化される。そして、大量の低温液化燃料を効率的に気化させるために、海水の熱を利用したオープンラック式気化器(以下、適宜ORVという)が用いられる。
図1はORVの一例を説明する部分概略図であり、(a)は正面図、(b)は側面断面図である。図1(a)、(b)に示すように、ORV10は、多数配列された伝熱管2,2,…とこれらの伝熱管2を上下端で並列に接合するヘッダー管3,4からなる複数の熱交換パネル1と、これら熱交換パネル1同士の間の上部に配されて各伝熱管2の外表面に供給される海水を貯めるトラフ(堰)7と、熱交換パネル1のそれぞれのヘッダー管3,4を並列に接合するマニホールド5,6と、を備える。低温液化燃料は、下部マニホールド5から下部ヘッダー管3を介して伝熱管2内に下端から導入される。一方、図示しない供給手段によりトラフ7に貯められた海水は、トラフ7の側縁部から溢流して伝熱管2,2,…の外表面を濡らしながら垂下する。伝熱管2内に導入された低温液化燃料は、当該伝熱管2の外部を流通する海水により加熱されて(熱交換して)気化し、伝熱管2内を上昇する。この気化した燃料は、伝熱管2の上端から上部ヘッダー管4を介して上部マニホールド6へ導出される。すなわち、ORV10は熱交換器の一種であり、海水との熱交換によって低温液化燃料を加熱して気化するものである。
熱交換パネル1(伝熱管2およびヘッダー管3,4)には、熱伝導性や加工性等の観点から、通常、3000系、5000系、6000系等のアルミニウム合金が使用されている。しかしながら、熱交換パネル1はその外表面が海水に曝されるため、腐食し易いアルミニウム合金材では、一旦、外表面の侵食が始まるとその部分が集中的に侵されて孔食に至る虞がある。そのため、熱交換パネル1を構成するアルミニウム合金材には、その表面に防食処理を施す必要がある。特に、熱交換パネル1の下部では、内部の極低温(約−160℃)のLNGにより外側の海水が約0℃まで冷却されているため溶存酸素濃度が高く、より厳しい腐食環境となっている。また、熱交換パネル1の外表面には、上方から大量に流れ落ちる海水が衝突し、特に熱交換パネル1の下部(伝熱管2における下部ヘッダー管3近傍)における海水の流速は4m/s以上と高速で、外表面を損耗させる。したがって、熱交換パネルへの防食処理は、オープンラック式気化器の長時間連続運転に対する耐久性も要求されている。
アルミニウム合金材への防食処理としては、犠牲陽極層やエポキシ樹脂等の塗料で被覆する方法が挙げられる。犠牲陽極層による防食は、基材の外表面を当該基材より電位の卑な金属からなる層(犠牲陽極層)で被覆し、優先的にこの層の金属をイオン化して海水中に溶解させることで基材を保護するものである。例えば、特許文献1には、基材(アルミニウム母材)に当該基材より電位の卑なAl−Zn合金を犠牲陽極層として積層したクラッド材で形成した伝熱管が開示されている。また、特許文献2には、基材に犠牲陽極層を溶射により被覆し、さらにこの溶射皮膜に形成される気孔への海水の浸入を防止するために、樹脂にて封孔処理を施したORV用部材が開示されている。樹脂皮膜による防食としては、特許文献3にペトロラタム(ワセリン)を主成分とする有機皮膜を、特許文献4に強化繊維(FRP)を含有する樹脂皮膜を、それぞれ被覆した伝熱管が開示されている。
特開平5−164496号公報 特開2006−183087号公報 特開2004−293811号公報 特開2007−120878号公報
しかしながら、特許文献1〜4に開示された従来技術は、それぞれ改良の余地がある。すなわち、特許文献1のクラッド材で形成した熱交換パネルは、伝熱管とヘッダー管とを接合(溶接)する際に溶接部の犠牲陽極層を除去する必要があり、接合後にこの部分に別途防食処理が必要となる。一方、特許文献2の封孔処理を施された溶射皮膜は、ORVに適用した場合、極低温と常温の繰り返しによる熱サイクルのため、金属である溶射皮膜と封孔樹脂との熱膨張特性の差異から、溶射皮膜の気孔に隙間を生じて耐食性が経時的に劣化する。これに対して、特許文献3の有機皮膜は、極低温に対応したものであるが、硬さが不十分であるため、海水の流れにより損耗し易い。一方、特許文献4に開示された強化繊維入りの皮膜は耐久性に優れるが、熱交換効率が低くなり熱交換パネルとしての機能を損ねてしまい、また、皮膜下で基材等に腐食が発生しても外観から判断し難い。
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、耐食性に優れ、ORVに使用された際に長期にわたってこの耐食性を維持できる伝熱管またはヘッダー管、ならびにそれらを構成するアルミニウム合金部材を提供することを目的とする。
本発明者らは、基材を熱交換パネルに組み立ててから被覆できる溶射皮膜を犠牲陽極層とし、この溶射皮膜の気孔に十分な深さまで封孔剤を充填することで、封孔剤が海水の流れで損耗しない構成とした。さらに、熱サイクルにより溶射皮膜の気孔に隙間を生じることのない封孔剤を検討した結果、芳香族成分を含有する樹脂に、表面に酸素原子を有する粒子を混合することで、樹脂が腐食環境下で隙間を自己修復することを見出した。
すなわち、本発明に係る耐食性アルミニウム合金部材は、アルミニウム合金からなる基材と、この基材の一方の面の少なくとも一部に被覆されて当該基材の犠牲陽極層となるアルミニウム合金からなる厚さ200〜2000μmの溶射皮膜と、この溶射皮膜の外表面から少なくとも200μmの深さまでにおいて当該溶射皮膜の気孔に充填された封孔剤とを備え、前記封孔剤は、1種類以上の芳香族成分を含有する樹脂と、当該封孔剤に対して0.1〜10体積%で前記樹脂に混合された平均粒径1μm以下の粒子とを備え、前記粒子は、酸化物粒子および表面に酸化皮膜を有する金属粒子の1種以上であることを特徴とする。
このように、犠牲陽極層を溶射により形成した溶射皮膜として備えることで、基材を熱交換パネルに組み立てて溶接した後にその溶接部も含めて犠牲陽極層を被覆した部材とすることができる。そして、溶射皮膜(犠牲陽極層)の所定以上の深さまで気孔に封孔剤を充填することで、溶射皮膜の気孔からの腐食を防止できる。また、封孔剤を、芳香族成分を含有する樹脂に酸化物粒子または酸化皮膜を有する金属粒子を所定の割合で混合した構成とすることで、オープンラック式気化器の熱サイクルにより溶射皮膜の気孔に隙間が生じても、封孔剤が自己修復して気孔を塞ぐため、溶射皮膜の気孔からの腐食を長期にわたって防止することができる。
さらに、本発明に係る耐食性アルミニウム合金部材において、前記溶射皮膜は、その厚さ方向の断面における気孔の面積率が0.5〜10%であり、断面上の1個の気孔の面積が平均で5〜50μm2であることが好ましい。このような溶射皮膜とすることで、粒子を含めた封孔剤が十分に気孔に浸透する。
さらに、本発明に係る耐食性アルミニウム合金部材において、前記粒子としてルチル型TiO2粒子が好ましく、また、前記樹脂が前記芳香族成分としてビスフェノールAを含有することが好ましい。これらの物質を封孔剤に適用することで、自己修復能力がさらに向上する。
また、本発明に係る伝熱管またはヘッダー管は、熱交換パネルを構成するものであって、前記耐食性アルミニウム合金部材で溶射皮膜側を外面にして形成される。すなわち、腐食環境側である外面に封孔剤を充填された溶射皮膜すなわち犠牲陽極層を備えることで、特にオープンラック式気化器として長期の運転環境下で耐食性を維持できる熱交換パネルを提供できる。
本発明に係る耐食性アルミニウム合金部材ならびに本発明に係る伝熱管またはヘッダー管によれば、耐食性に優れ、かつこの耐食性を長期にわたって維持できるオープンラック式気化器を実現することができる。
オープンラック式気化器の一例を説明する部分概略図であり、(a)は正面図、(b)は側面断面図である。 本発明に係る耐食性アルミニウム合金部材の断面模式図である。 (a)、(b)は、本発明に係る耐食性アルミニウム合金部材における封孔剤の自己修復を説明するための模式図で、溶射皮膜の気孔部分の拡大断面図である。
以下、本発明に係るオープンラック式気化器の伝熱管またはヘッダー管ならびにそれを構成する耐食性アルミニウム合金部材を実施するための形態について、図1〜3を参照して説明する。
図1に示すように、本発明に係る伝熱管2およびヘッダー管3,4は、オープンラック式気化器(ORV)10の熱交換パネル1を構成するものである。熱交換パネル1(伝熱管2およびヘッダー管3,4)の外側には海水が流通し、内部にはLNG(低温液化燃料、燃料ガス)が流通する。ORV10のその他の構造および機能は、一例として前記説明した内容と同様であるため省略する。本発明に係る伝熱管2およびヘッダー管3,4は、それぞれ本発明に係る耐食性アルミニウム合金部材20で構成されている。すなわち、本発明に係る伝熱管2とヘッダー管3,4とは積層構造が同じであるので、以下、適宜まとめて伝熱管2として説明する。
図2に示すように、耐食性アルミニウム合金部材20は、伝熱管2の形状である管形状に成形された基材21と、この基材21の一方の面の少なくとも一部に被覆された溶射皮膜22と、この溶射皮膜22の気孔22aに充填された封孔剤23とを備える。なお、基材21の一方の面とは、伝熱管2またはヘッダー管3,4に成形されたときの外表面となる側(以下、適宜基材21の表面という)であり、すなわち熱交換パネル1として腐食環境に曝される側である。また、基材21の溶射皮膜22で被覆する領域は、表面の全体であってもよいし、例えば特に極低温に曝され厳しい腐食環境かつ海水の流れの速い熱交換パネル1の下部のような一部の表面であってもよい。具体的には、下部ヘッダー管3の全体および伝熱管2の下半分、ならびに伝熱管2と下部ヘッダー管3との接合部が挙げられる(図1参照)。同様に、封孔剤23を備える領域が、溶射皮膜22を被覆した領域の一部であってもよい。以下に、耐食性アルミニウム合金部材20を構成するこれらの要素について説明する。
<基材>
基材21は、特に限定されないが、通常、JIS規定の3000系、5000系、または6000系アルミニウム合金が用いられ、押出成形等の公知の方法で伝熱管2またはヘッダー管3,4の形状に加工される。基材21の厚さは特に限定されないが、伝熱管2(ヘッダー管3,4)の管径や長さ等に応じて必要な強度が得られる厚さに成形される。また、後記の溶射皮膜22の形成(溶射)前に、基材21の表面(溶射皮膜22を被覆する領域)をブラスト処理等により粗面化することが好ましい。基材21の表面が粗面化されることで、溶射皮膜22が剥離し難くなる。基材21は、伝熱管2およびヘッダー管3,4の形状にそれぞれ成形された後、溶接されて熱交換パネル1の形状に組み立てられる。なお、本発明に係る伝熱管2およびヘッダー管3,4は、それぞれ円筒形状としているが、これに限定されるものではない。
<溶射皮膜>
溶射皮膜22は、溶射材料として好適であり、かつ基材21を形成するアルミニウム合金より海水中での電位が卑となる(イオン化傾向が大きい)アルミニウム合金からなる。このようなアルミニウム合金として、Al−Zn合金、Al−Mg合金、Al−Si合金、Al−Mn合金、さらにこれらの二種以上の合金(Zn,Mg,Si,Mnの二種以上の元素を添加したアルミニウム合金)が挙げられる。すなわち、これらの元素を単独または二種以上を添加して、基材21を形成するアルミニウム合金の電位と比較して卑となる電位とすればよい。このようなアルミニウム合金で溶射皮膜22を構成することにより、溶射皮膜22が、腐食環境(海水中)で積極的にアノード反応(M→Mn++ne、M:Alおよび添加元素、n:価数)を起こすことで、基材21の腐食を防止する(犠牲防食)犠牲陽極層とすることができる。溶射皮膜22は、前記成分のアルミニウム合金を、例えば線状の溶射材料(溶線材料)として、フレーム溶射法等の公知の溶射方法により基材21の表面に溶射されて形成される。
(溶射皮膜の膜厚:200〜2000μm)
長期にわたる犠牲防食作用を付与するために、溶射皮膜22の厚さは200μm以上とし、300μm以上が好ましい。一方、溶射皮膜22を厚くすると、熱交換効率が低下し、また海水の流れ(流水)により剥離し易くなるため、厚さは2000μm以下とし、1000μm以下が好ましい。
(溶射皮膜の厚さ方向の断面における気孔の面積率:0.5〜10%)
溶射皮膜22は、その形成方法(溶射)から、内部にある程度の気孔22aを含む構造を有する。気孔22aは、図2の断面図ではそれぞれが分断されて示されているが、実際には溶射皮膜22の表面から通じているものが多い。後記するように、本発明に係る耐食性アルミニウム合金部材20においては、溶射皮膜22の気孔22aに封孔剤23を充填させることにより、溶射皮膜22に耐久性を付与している。溶射皮膜22における気孔22aが極度に少ないと、封孔剤23が浸透し難くなり、少ないながら存在する気孔22aが十分に充填されず、却って溶射皮膜22の耐久性が低下する。したがって、溶射皮膜22の断面における気孔22aの面積率は0.5%以上が好ましく、0.8%以上がさらに好ましい。一方、封孔剤23は、後記するように主成分が樹脂であるため、耐エロージョン性で溶射皮膜22に劣り、溶射皮膜22に対して多くなると、封孔剤23の減肉が顕著になる。また、気孔の多い(気孔率の高い)溶射皮膜は、温度差により発生する応力で物理的に割れ易い傾向がある。したがって、溶射皮膜22の断面における気孔22aの面積率は10%以下が好ましく、5%以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、溶射皮膜22の断面とは、その厚さ方向の断面であり、すなわち図2に示す耐食性アルミニウム合金部材20の積層方向の断面である。
(溶射皮膜の厚さ方向の断面における気孔の1個あたりの平均面積:5〜50μm2
溶射皮膜22の気孔22aのそれぞれが小さいと、封孔剤23が充填され難い(浸透し難い)。特に、後記するように封孔剤23には粒子が所定の割合で混合されているため、この粒子が気孔22aに充填され難くなる。したがって、溶射皮膜22の断面における気孔22aの1個あたりの面積は平均で5μm2以上が好ましく、10μm2以上がさらに好ましい。一方、気孔22aのそれぞれが大きくなると、ORV10としての熱サイクルによって、溶射皮膜22と封孔剤23との熱膨張特性の差異から溶射皮膜22の気孔22aに生じる隙間が大きくなる。この隙間が後記する封孔剤23の自己修復能力を超えて大きいと、溶射皮膜22の気孔22aの隙間が修復されず、この隙間から海水が浸入して、溶射皮膜22、さらに基材21に腐食を生じる虞がある。したがって、溶射皮膜22の断面における気孔22aの1個あたりの面積は平均で50μm2以下が好ましく、30μm2以下がさらに好ましい。
溶射皮膜22の断面における気孔22aの面積率および1個あたりの面積は、耐食性アルミニウム合金部材20を切り出した切断面を、鏡面研磨等、適宜処理して光学顕微鏡にて観察して求めればよい。気孔22aは、空洞であっても、または封孔剤23が充填されていても、溶射皮膜22のアルミニウム合金部分とは色調が異なって見えるため、光学顕微鏡写真を画像解析することによって、気孔22aの面積等を算出することができる。
<封孔剤>
耐食性アルミニウム合金部材20において、封孔剤23は、溶射皮膜22の気孔22aに、溶射皮膜22の外表面から少なくとも200μmの深さまで充填される。そして、封孔剤23は、1種類以上の芳香族成分を含有する樹脂23aと、当該封孔剤23に対して0.1〜10体積%で樹脂23aに混合された平均粒径1μm以下の粒子23bとから構成される。粒子23bは、酸化物粒子、および表面に酸化皮膜を有する金属粒子の1種以上である。
(封孔剤の浸透深さ:溶射皮膜の表面から少なくとも200μmまで)
封孔剤23は、溶射皮膜22の気孔22aに充填させることにより、溶射皮膜22の表面(耐食性アルミニウム合金部材20の表面)から気孔22aを介して海水や酸素が溶射皮膜22に浸入することを阻止して、溶射皮膜22に耐久性を付与する。すなわち、溶射皮膜22の十分に深い位置まで気孔22aが封孔剤23で充填されていないと、海水等が溶射皮膜22の深部に浸入し易くなって溶射皮膜22の耐久性が低下し、さらに基材21との界面まで海水等が浸入して、早期に耐食性アルミニウム合金部材20の耐食性が劣化する。したがって、封孔剤23は、溶射皮膜22の外表面から少なくとも200μmの深さまでにおいて、溶射皮膜22の気孔22aに充填されているようにする。なお、本明細書において、封孔剤23が溶射皮膜22の気孔22aに充填されることを、封孔剤23が溶射皮膜22に浸透するともいう。すなわち、封孔剤23は溶射皮膜22に200μm以上の深さまで浸透させる。ここで、封孔剤が気孔に充填しているとは、溶射皮膜22のある1個の気孔22aの少なくとも一部の領域に封孔剤23が存在するということであり、充填(浸透)の深さとは、溶射皮膜22の当該深さ位置におけるすべての気孔22aの中の少なくとも一部の気孔22aに、封孔剤23が存在するということである。好ましくは、溶射皮膜22の当該深さ位置における気孔22aに対して、封孔剤23が存在する割合が面積率で80%以上であり、理想的には、溶射皮膜22における気孔22aのすべてが隙間なく充填されていることである。ただし、耐食性アルミニウム合金部材20をORV10として使用すると、後記するように、封孔剤23の自己修復により、気孔22aの空洞部(隙間)に封孔剤23が次第に充填されるため、その製造時で、封孔剤23を溶射皮膜22の全体に浸透させる必要はない。耐食性アルミニウム合金部材20の製造時において、溶射皮膜22と基材21との界面に、わずかに封孔剤23が存在する程度で十分に好ましい。また、製造時においては、樹脂23aが硬化によりある程度収縮するため、気孔22aのすべてを隙間なく充填することは困難である。なお、封孔剤23は、溶射皮膜22に浸透させる分に加えて溶射皮膜22の表面に積層されていてもよいが、ORV10としての運転環境下で流水により早期に損耗するため、さらなる効果向上はほとんど得られない。
封孔剤23の浸透深さは、耐食性アルミニウム合金部材20を切り出した切断面の溶射皮膜22をX線マイクロアナライザ(EPMA)にて解析し、気孔22aにおける樹脂23a中のC(炭素)原子を検出することによって、溶射皮膜22の深さ位置における封孔剤23の有無を判定することで測定できる。
(樹脂)
樹脂23aは、1種類以上の芳香族成分を含有する。芳香族成分としては、スチレン、フェノール、ビスフェノールA、テレフタル酸等が挙げられ、このような芳香族成分を含有する樹脂としては、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレン樹脂、PET樹脂、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂、PEK樹脂等が挙げられる。ただし、耐食性アルミニウム合金部材20の製造上、封孔剤23を溶射皮膜22に表面から浸透させて気孔22aを封孔するために、熱硬化性樹脂が好ましい。そして、芳香族成分は、特に加水分解し易いビスフェノールAが好ましく、ビスフェノールAを含有する樹脂として、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂が挙げられるが、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂が好ましい。
ここで、図3を参照して封孔剤23の自己修復の機構について説明する。耐食性アルミニウム合金部材20がORV10としての運転環境下で、熱サイクル等により溶射皮膜22の気孔22aに隙間を生じて封孔剤23すなわち樹脂23aおよび粒子23bが腐食環境(海水)に接触すると、樹脂23a中の芳香族成分(図3ではベンゼン環で示す)が加水分解により離脱して粒子23bの表面に吸着する(図3(a))。そして、さらに気孔22aの隙間が拡がって気孔22aの壁面(溶射皮膜22のアルミニウム合金部分)が露出すると、粒子23bの表面に吸着していた芳香族成分が脱着して、この露出した気孔22aの壁面に再吸着する(図3(b))。詳しくは、露出した溶射皮膜22のアルミニウム合金部分に自然酸化膜(図示省略)が形成され、この自然酸化膜に芳香族成分が再吸着することにより、気孔22aの壁面が芳香族成分で被覆されて、気孔22aの隙間が封止される。
ORV10の運転環境下で、これらの反応が繰り返されることにより、耐食性アルミニウム合金部材20の製造時には封孔剤23が充填されていなかった溶射皮膜22の深部の気孔22aにも、芳香族成分すなわち樹脂23aが充填され、さらには粒子23bも伴って封孔剤23が充填されていく。すなわち、自己修復により封孔剤23は溶射皮膜22中を深さ方向に移動するため、溶射皮膜22の表面における気孔22aから次第に封孔剤23が流失して空洞となることになる。ただし、ORV10の運転環境下では、封孔剤23の有無にかかわらず、溶射皮膜22が流水によるエロージョンで表面から次第に損耗する。したがって、溶射皮膜22および封孔剤23は並行して、あるいは封孔剤23が先んじて、表面から深さ方向に均一に減肉する。一方、封孔剤23で気孔22aが封止されていることで、溶射皮膜22の内部(深部)における局所的な腐食は生じないため、溶射皮膜22が相当に薄くなるまで基材21の腐食に至ることがなく、その結果、ORV10の連続運転期間を長くすることができる。
封孔剤23の自己修復により、樹脂23aは、溶射皮膜22の深さ方向に深くなるにしたがい、耐食性アルミニウム合金部材20の製造時に浸透した封孔剤23の樹脂23aより自己修復により浸透した樹脂23aの割合が多くなり、組成としては、芳香族の成分比が漸増する傾斜組成となる傾向がある。この傾向は、ORV10としての実機使用期間が長くなるほど顕著となる。
溶射皮膜22の気孔22aにおける樹脂23aの芳香族成分とそれ以外の成分との比を定量的に求めることは困難であるが、樹脂23aの芳香族成分比が相対的に変化していることは、ATRイメージングによるスペクトル解析にて判別できる。具体的には、耐食性アルミニウム合金部材20を切り出した切断面の溶射皮膜22について、芳香環構造を示す約1510cm-1のピークとそれ以外の構造のピーク(例えばエステルのC=O構造を示す約1730cm-1のピーク)とを比較し、両者のピーク高さ比の溶射皮膜22の深さ位置による変化を調べればよい。
(粒子)
粒子23bは、酸化物で形成された粒子、または金属で形成された粒子の表面に酸化皮膜を被覆する粒子であり、いずれも少なくとも表面にO(酸素)原子を有する粒子である。この粒子23bの表面のO原子が樹脂23a中の芳香族成分を吸着する(図3(a)参照)ことにより、前記したように封孔剤23が自己修復する。
酸化物としては、チタン、ケイ素、アルミニウム等の酸化物、すなわちチタニア(TiO2)、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)等が挙げられる。また、酸化皮膜を有する金属粒子は、自然酸化膜(不働態皮膜)を有する金属粒子であってもよいし、金属粒子に熱処理、陽極酸化、水溶液浸漬処理等の表面酸化処理を施したものであってもよい。金属粒子の材料としては、鉄(鋼)、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金、ニッケル、タングステン等が挙げられる。これらの粒子のうちで、特にルチル型TiO2で形成された粒子が好ましい。ルチル型TiO2は触媒能が樹脂23aを分解しない程度に高いため芳香族成分の保持性が高く、微量の芳香族成分の脱離・再吸着を長期にわたって維持できる。TiO2粒子でもアナターゼ型TiO2は触媒能が高く、樹脂23aを積極的に分解するため、樹脂23a(封孔剤23)の耐久性が低下する。なお、市販のTiO2粒子は、多くが有機処理を施されているため適さない。TiO2そのままの粒子か、化成処理によりTiO2粒子表面にAl23,SiO等がわずかに形成されているものが好ましい。また、前記に挙げた粒子(酸化物粒子、酸化皮膜を有する金属粒子)の複数種類を封孔剤23に含有してもよい。
(粒子の平均粒径:1μm以下)
粒子23bは、そのサイズが大きくなると、溶射皮膜22の気孔22aに充填され難くなる。したがって、粒子23bの平均粒径は1μm以下とし、0.5μm以下が好ましい。なお、粒子23bのサイズが小さくとも本発明の作用効果に問題はないが、平均粒径が0.05μm未満の粒子は入手、製造が困難であったり、高価なものとなるため、粒子23bの平均粒径は0.05μm以上が好ましい。
(封孔剤における粒子の含有量:0.1〜10体積%)
粒子23bの含有量が、封孔剤23の全体積(樹脂23a+粒子23b)に対し、0.1体積%未満では、粒子23bが樹脂23aの芳香族成分を吸着する効果が不十分で、前記封孔剤23の自己修復反応が生じない。したがって、粒子23bの含有量は0.1体積%以上とし、1体積%以上が好ましい。一方、粒子23bの含有量が過剰になると、粒子23bに吸着した芳香族成分が脱着し難くなって封孔剤23の自己修復反応が低下するため、粒子23bの含有量は10体積%以下とし、5体積%以下が好ましい。
封孔剤23の形成方法すなわち封孔処理の一例としては、硬化前の樹脂23aに粒子23bを当該粒子23bと硬化後の樹脂23aとの合計の体積に対して前記所定の含有量となるように混合した混合物を、基材21に被覆した溶射皮膜22の表面に1回以上塗布する、または前記混合物に浸漬することにより溶射皮膜22に浸透させ、樹脂23aの硬化温度以上の温度環境下で樹脂23aを硬化させることで形成できる。
以上、本発明を実施するための形態について述べてきたが、以下に、本発明の効果を確認した実施例を、本発明の要件を満たさない比較例と対比して具体的に説明する。なお、本発明はこの実施例によって制限を受けるものではなく、請求項に示した範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
〔供試材作製〕
耐食性アルミニウム合金部材として、下記の供試材を仕様毎に各3枚作製した。
基材としてA5083合金の、縦100mm×横50mm×厚さ3mmの板材を用いた。板材の片面を、ショットブラスト(アルミナ#16〜20)にて平均粗さRa=20〜40μmに粗面化し、その上に溶線式フレーム溶射法(酸素+プロパン炎)にてAl−2%Zn合金からなる溶射皮膜を、膜厚1000μm程度になるように形成した。ただし、供試材No.1,2は、それぞれ膜厚を変化させて溶射皮膜を形成した。これらの溶射において、溶射角度90°で溶射皮膜の気孔率(体積あたり)は1〜3%となり、溶射皮膜断面の気孔の面積率は13〜15%となった。また、供試材No.3〜5においては、形成した溶射皮膜の表面にショットブラストを行って、断面の気孔の面積率を減らし、かつ気孔の1個あたりの面積を小さくなるようにした。一方、供試材No.6〜8においては、溶射角度30°,20°,10°と変えることにより、断面の気孔の面積率を増やし、かつ気孔の1個あたりの面積を大きくした。なお、溶射皮膜の厚さならびに気孔の大きさおよび面積率は、封孔処理された供試材にて後記に示す方法で測定した。
次に、溶射皮膜の封孔処理を行った。封孔剤の樹脂として、エポキシ樹脂(SAクリヤー、神東塗料株式会社製)、ビニルエステル樹脂(リポキシR−833DA、昭和高分子製)、アクリル樹脂(アルタッチ1920、株式会社中央発明研究所製)、ウレタン樹脂(セラテクトU、関西ペイント株式会社製)から表1に示す樹脂を選択した。なお、エポキシ樹脂は芳香族成分としてビスフェノールAを、ビニルエステル樹脂は芳香族成分としてビスフェノールAとスチレンをそれぞれ含有する本発明の要件を満たす樹脂である。一方、アクリル樹脂、ウレタン樹脂は芳香族成分を含有せず、本発明の要件を満たさない樹脂である。また、封孔剤の粒子として、酸化チタン(ルチル型TiO2)、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、鉄、ニッケル、タングステン、および炭化ケイ素のそれぞれからなる粒子から表1に示す種類の粒子を選択して、それぞれの樹脂に、表1に示す含有量(樹脂の硬化後の封孔剤の計算上の体積に対する含有量)となるように混合した。なお、比較例として、粒子を混合しない封孔剤(樹脂のみ)については、表1に含有量0体積%として示す。鉄、ニッケル、およびタングステンについては、それぞれ表面に酸化皮膜を有する金属粒子である。また、炭化ケイ素については、本発明の要件を満たさない粒子である。これらの粒子の平均粒径は、表1に示す通りである。この樹脂と粒子の混合物を基材に被覆した溶射皮膜の表面に、溶射皮膜へのそれ以上の浸透が視認できなくなるまで塗布し、常温乾燥により樹脂を硬化させて供試材とした。なお、封孔剤の浸透深さは、得られた供試材にて後記に示す方法で測定した。
(溶射皮膜の厚さ、断面における気孔の面積率および気孔の1個あたりの平均面積)
得られた供試材を切り出し、切断面を研磨して、光学顕微鏡にて100倍で5箇所撮影した。5視野の溶射皮膜の厚さを測定し、平均値を表1に示す。また、同撮影写真に対して、画像解析ソフト(ImageJ)を用いて画像を2値化して、溶射皮膜における気孔(封孔剤を含む)の面積率および気孔の1個あたりの平均面積を算出し、それぞれの5視野の平均値を表1に示す。
(封孔剤の浸透深さ)
得られた供試材を切り出し、切断面を研磨してEPMAにて解析し、溶射皮膜の深さ位置毎に封孔剤の樹脂中のC原子を検出した。溶射皮膜の気孔に対して80%以上の面積率でC原子が検出された最大深さ位置を封孔剤の浸透深さとし、表1に示す。
〔評価〕
(熱サイクル耐食性)
得られた供試材について、ORVとして海水中で運転した場合の熱サイクルを含めた環境を再現するため、仕様毎に各2枚に対して以下の試験を行った。供試材の溶射皮膜の形成面へ、液温35℃の5%食塩水の噴霧を23時間行った後、LNG温度の模擬として液体窒素に1時間浸漬する工程を1サイクルとして、60サイクル実施した。耐食性は、熱サイクル試験による気孔の拡がりで評価した。具体的には、60サイクル終了後(熱サイクル試験後)の供試材を切り出し、溶射皮膜断面における気孔の面積率を、5箇所×供試材2枚について前記の試験前における方法と同様に測定し、計10点の平均値を算出した。熱サイクル試験前後における供試材の気孔面積率の差の、試験前供試材の気孔面積率に対する百分率を気孔面積増加率として、表1に示す。合格基準は、気孔面積増加率が5%以下とした。
封孔剤の自己修復を確認するため、熱サイクル試験後の供試材について、ATRイメージングによるスペクトル解析を行い、溶射皮膜の深さ位置による封孔剤の樹脂組成の傾斜の有無を調査した。溶射皮膜断面における気孔の面積率を測定するために切り出した試験片の研磨面を、溶射皮膜の表面から100μm、200μm、および400μm(溶射皮膜の厚さが400μm未満の供試材No.1,2は除く)の各深さ位置における気孔について、それぞれ1.56μm角の測定サイズで、赤外分光分析を行った。装置は、FT−IRマイクロスコープシステム(Spectrum Spotlight 200、PerkinElmer製)を用い、ゲルマニウムクリスタルを使用して入射角30°にて行った。芳香環構造を示す約1510cm-1のピークと、それ以外の構造としてエステルのC=O構造を示す約1730cm-1のピークとを検出し、後者のピーク高さに対する前者のピーク高さ比を、溶射皮膜の各深さ位置で比較した。溶射皮膜の深さ位置のより深い測定位置において、芳香環構造を示すピークの高さ比が大きくなったものを傾斜ありとして「○」、溶射皮膜の深さ位置によるピークの高さ比の差異が観察されなかったものを「−」で表して、表1に示す。
Figure 0005164008
本発明の要件にかかわらず、すべての供試材について、溶射皮膜に基材との界面近傍までC原子が検出され、封孔剤あるいは少なくとも樹脂が溶射皮膜の深部まで浸透していることが確認された。さらに、溶射皮膜の厚さならびに気孔の大きさおよび面積率にかかわらず、深さ200μmまでは封孔剤あるいは少なくとも樹脂が十分に浸透していることが確認されたが、溶射皮膜の深さ位置が深くなるにしたがい、検出されるC原子の量は漸減した。
表1に示すように、供試材No.1〜10,13〜15,17〜21,24〜27は、本発明の要件を満たす種類の樹脂および粒子を混合した封孔剤を備えるため、熱サイクル試験時に自己修復を生じた結果、溶射皮膜の気孔面積の拡張が抑えられ、良好な熱サイクル耐食性を示した。これに対して、供試材No.28,29は樹脂に芳香族成分を含有しないため、封孔剤が自己修復せず、腐食が抑制されずに気孔面積が大きく拡張した。また、供試材No.23は粒子を混合させず樹脂のみで封孔処理し、供試材No.22は表面にO原子を有しない粒子を用いたため、それぞれ芳香族成分を含有する樹脂であっても自己修復せず、腐食が抑制されなかった。同様に、本発明の要件を満たす種類の粒子であってもその含有量が不足した供試材No.12も、封孔剤が自己修復せず、腐食が抑制されなかった。一方、供試材No.16は粒子の含有量が過剰なために、封孔剤の自己修復能力が低下して、腐食を抑制するに至らなかった。同様に、供試材No.11は、粒子が本発明の範囲を超えて大きくて気孔に十分に充填されなかったため、封孔剤の自己修復能力が不十分で、腐食を抑制するに至らなかった。
本発明の要件を満たす供試材の中でも、厚さ300μm以上かつ特に好ましい大きさおよび面積率の気孔を形成された溶射皮膜に、酸化チタン(ルチル型TiO2)粒子を好ましい割合で含有する封孔剤を浸透させた供試材No.2,5,6,9,10,14,24〜27は、気孔面積の増加率が0.5%以下で、特に優れた腐食抑制効果を示した。
10 ORV(オープンラック式気化器)
1 熱交換パネル
2 伝熱管
3 下部ヘッダー管(ヘッダー管)
4 上部ヘッダー管(ヘッダー管)
20 耐食性アルミニウム合金部材
21 基材
22 溶射皮膜
22a 気孔
23 封孔剤
23a 樹脂
23b 粒子

Claims (6)

  1. アルミニウム合金からなる基材と、この基材の一方の面の少なくとも一部に被覆されて当該基材の犠牲陽極層となるアルミニウム合金からなる厚さ200〜2000μmの溶射皮膜と、この溶射皮膜の外表面から少なくとも200μmの深さまでにおいて当該溶射皮膜の気孔に充填された封孔剤と、を備え、
    前記封孔剤は、1種類以上の芳香族成分を含有する樹脂と、当該封孔剤に対して0.1〜10体積%で前記樹脂に混合された平均粒径1μm以下の粒子と、を備え、
    前記粒子は、酸化物粒子、および表面に酸化皮膜を有する金属粒子の1種以上であることを特徴とする耐食性アルミニウム合金部材。
  2. 前記溶射皮膜は、その厚さ方向の断面における気孔の面積率が0.5〜10%であり、前記断面上の1個の気孔の面積が平均で5〜50μm2であることを特徴とする請求項1に記載の耐食性アルミニウム合金部材。
  3. 前記粒子が、ルチル型TiO2粒子を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の耐食性アルミニウム合金部材。
  4. 前記樹脂が、前記芳香族成分としてビスフェノールAを含有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の耐食性アルミニウム合金部材。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の耐食性アルミニウム合金部材で、前記溶射皮膜側を外面にして形成された、熱交換パネルを構成する伝熱管またはヘッダー管。
  6. 外表面に供給される海水との熱交換によって内部に流通する液化天然ガスを気化させるオープンラック式気化器の熱交換パネルを構成する請求項5に記載の伝熱管またはヘッダー管。
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