JP5163387B2 - サプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法 - Google Patents
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Description
上記サプロライト鉱は、古くよりフェロニッケルを生産するために実用的な原料鉱石として使用されているが、近年、高ニッケル品位のサプロライトが枯渇しつつあり、フェロニッケル製錬に利用される原料鉱石のニッケル品位が低下してきており、経済的な生産上の大きな問題となってきている。
(1)サプロライト鉱を破砕処理に付し、鉱石粒度を50mmの目開きの篩を通過するサイズに調整する。
(2)前記(1)の工程で得られた破砕鉱石を、アトリッションにより表層部の乾式磨砕処理に付す。
(3)前記(2)の工程で得られた磨砕鉱石を、0.5〜2.0mmから選ばれる分級点で乾式分級処理に付し、次いで該分級点以下の粒度を有する鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
(4)前記(3)の工程で得られた分級点を超える粒度の鉱石部分を乾式比重分離処理に付し、次いで比重2.0以下の鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
(5)前記(3)の工程で得られた分級点以下の粒度の鉱石部分と、(4)の工程で得られた比重2.0以下の鉱石部分とを、付着水を有するフェロニッケル製錬原料用のサプロライト鉱石に混合する。
(1´)サプロライト鉱を、破砕処理、乾燥処理及び乾式磨砕処理を同時に行なう撹拌式乾燥機を用いて、破砕、乾燥及び乾式磨砕処理に付し、鉱石粒度を50mmの目開きの篩を通過するサイズに調整する。
(2´)前記(1´)の工程で得られた磨砕鉱石を、2〜5mmから選ばれる分級点で乾式分級処理に付す。
(3´)前記(2´)の工程で得られた前記分級点以下の粒度を有する鉱石部分を、0.01〜2.0mmから選ばれる分級点で乾式分級処理に付し、次いで該分級点以下の粒度を有する鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
(4´)前記(2´)の工程で得られた分級点を超える粒度の鉱石部分を、乾式比重分離処理に付し、次いで比重2.0以下の鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
(5´)前記(3´)の工程で得られた分級点以下の粒度の鉱石部分と、前記(4´)の工程で得られた比重2.0以下の鉱石部分とを、フェロニッケル製錬原料用のサプロライト鉱石に混合する。
また、これにより、枯渇しつつあるニッケル鉱石の資源量の増加、輸送及び製錬費の低減、さらに環境問題の防止を図ることができる。
さらに、得られたニッケル濃縮物を、本発明の濃縮処理方法を必要としない高ニッケル品位で、付着水分を含んだサプロライト鉱と混合した後に輸送させることで、乾式システムで問題となる粉塵の発生を抑え、ハンドリング性を向上させ、かつ環境衛生上の改善も図れる操業形態を提供することができる。
本発明のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法の第1の態様としては、下記の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする。
(1)サプロライト鉱を破砕処理に付し、鉱石粒度を50mmの目開きの篩を通過するサイズに調整する。
(2)前記(1)の工程で得られた破砕鉱石を、アトリッションにより表層部の乾式磨砕処理に付す。
(3)前記(2)の工程で得られた磨砕鉱石を、0.5〜2.0mmから選ばれる分級点で乾式分級処理に付し、次いで該分級点以下の粒度を有する鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
(4)前記(3)の工程で得られた分級点を超える粒度の鉱石部分を乾式比重分離処理に付し、次いで比重2.0以下の鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
(5)前記(3)の工程で得られた分級点以下の粒度の鉱石部分と、(4)の工程で得られた比重2.0以下の鉱石部分とを、付着水を有するフェロニッケル製錬原料用のサプロライト鉱石に混合する。
図2より、セメントミキサーで磨砕処理した場合(a)には、ニッケルの濃縮が見られるのに対し、衝撃、及び圧縮破砕を中心とするジョークラッシャーの場合(b)では、ニッケルの濃縮はほとんど認められず、これより、アトリッション効果が非常に強いことが分かる。
図1において、まず、低Ni品位サプロライト鉱1は、破砕2及び篩分け(50mm)3により、鉱石粒度が50mm以下の篩下5と篩上4に分割される。篩上4は、閉回路の破砕システムにより、50mm以下の鉱石粒度に破砕される。次に、篩下5部分は、乾式磨砕6され、次いで2mmの分級点による篩分け(2mm)7により、分割される。ここで得られる篩下9部分は、ニッケル濃縮部14として回収される。また、篩上8部分は、乾式比重分離10により、比重2.0以上の高比重部11と低比重部12に分離される。高比重部11は、廃鉱13となる。低比重部12は、ニッケル濃縮部14として回収される。
さらに、必要により、得られたニッケル濃縮部14は、高ニッケル品位のサプロライト鉱15と混合され、船積16される。
採掘されたサプロライト鉱石は、通常、まず、150mmの目開きのグリズリーにて分級される。その網上は、対象品位以下であるのでズリとして棄却され、一方、その網下部は、製品として取り扱われるが、その表層にはニッケルが濃縮している。
ここで、対象鉱石としてグリズリーの網下部が用いられ、鉱石粒度を50mmの目開きの篩を通過するサイズに調整するため、破砕処理される。破砕処理は、通常のジョークラッシャーにて実施すればよいが、衝撃及び圧密破砕によるサイズ低減ではニッケルの濃縮は行われず、後工程で取り扱うのに問題は生じない。
ところで、一般的に、アトリッションは高濃度の水スラリーを高速度撹拌することにより、実施されることが通常であるが、本発明の方法の対象である低ニッケル品位のサプロライト鉱では、水を加えることにより粒子が膨潤する。したがって、湿式のアトリッションでは、アトリッションの後工程としてフィルタープレスを用いたろ過を実施しても、水分率を落とすことは困難である。
ただし、乾式比重分離装置として、乾式流動層比重分離装置を用いる際には、粗粒子内に空隙が存在することから、湿式比重分離と比較し分離比重点が低くなり、分離比重点としては、比重1.6〜2.0が用いられる。
さらに、(5)の工程により、本発明の濃縮処理方法を必要としない高ニッケル品位のサプロライト鉱と混合した後に輸送させることで、乾式システムで問題となる粉塵の発生を抑え、ハンドリング性を向上させ、かつ環境衛生上の改善も図れる操業形態を提供することができる。
(1´)サプロライト鉱を、破砕処理、乾燥処理及び乾式磨砕処理を同時に行なう撹拌式乾燥機を用いて、破砕、乾燥及び乾式磨砕処理に付し、鉱石粒度を50mmの目開きの篩を通過するサイズに調整する。
すなわち、サプロライト鉱を高温度の熱風又は直火で乾燥すると、孔隙に含有される水分が急激に膨張することにより熱破砕が行われ、鉱石表層が、非常に脆くなる。したがって、サプロライト鉱の乾燥に際し、供給物を加熱下に撹拌しながら乾燥する撹拌式乾燥機を用いることによって、破砕、乾燥及び乾式磨砕を同時に実施することができる。
(2´)前記(1´)の工程で得られた磨砕鉱石を、2〜5mmから選ばれる分級点で乾式分級処理に付す。
(3´)前記(2´)の工程で得られた前記分級点以下の粒度を有する鉱石部分を、0.01〜2.0mmから選ばれる分級点で乾式分級処理に付し、次いで該分級点以下の粒度を有する鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
(4´)前記(2´)の工程で得られた分級点を超える粒度の鉱石部分を、乾式比重分離処理に付し、次いで比重2.0以下の鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
上記破砕、乾燥及び乾式磨砕処理においては、所望の粒度分布に破砕され、同時に十分なアトリッション効果が得られるような乾燥温度、滞留時間、撹拌状態(撹拌設備の回転数、形状等)等の条件が選ばれる。なお、アトリッション効果が十分でない場合には、ニッケルが高濃縮した部位とニッケルが濃縮していない低品位の部位との分離が十分に行われないのでニッケル回収率が低くなり、一方、アトリッションが強すぎる場合は、ニッケルが濃縮していない部位も細粒化してしまい、後工程での分離が難しくなるので、操業時に適切な操業条件を確認する必要がある。
ここで、乾燥温度としては、特に限定されるものではなく、上記サプロライト鉱を乾燥することができる温度が用いられるが、600〜1200℃が好ましい。これにより、サプロライト鉱の孔隙に含有される水分が急激に膨張することにより熱破砕が行われ、鉱石表層が非常に脆くなるので、十分なアトリッション効果が得られる。
上記(2´)の工程で用いる乾式分級処理としては、特に限定されるものではないが、篩分け方法が用いられる。
ここで、粒度が2.0mmを超える粒子には、ニッケルが濃縮していない部位の粒子が多くあるため、ニッケルの濃縮が不十分である。また、前述のようにアトリッションすることにより得られる粒度0.01mm以下の粒子は、ニッケルが濃縮されている。なお、分級点は、鉱石により最も適切な条件が選ばれる。
上記(3´)の工程で用いる乾式分級処理としては、特に限定されるものではないが、微粉末の分級に効果的な気流分級法が用いられる。
ただし、乾式比重分離装置として、乾式流動層比重分離装置を用いる際には、粗粒子内に空隙が存在することから、湿式比重分離と比較し分離比重点が低くなり、分離比重点としては、比重1.6〜2.0が用いられる。
図3において、まず、低Ni品位サプロライト鉱1は、破砕、乾燥及び乾式磨砕17及び篩分け(50mm)3により、鉱石粒度が50mm以下の篩下5と篩上4に分割される。篩上4は、閉回路の破砕システムにより、50mm以下の鉱石粒度に破砕される。次に、篩下5部分は、5mmの分級点による篩分け(5mm)18により、分割される。ここで得られる篩上19部分は、乾式比重分離10により、比重2.0以上の高比重部11と低比重部12に分離される。高比重部11は、廃鉱13となる。低比重部12は、ニッケル濃縮部14として回収される。また、篩下20部分は、再度の気流分級21により、分割される。ここで得られる細粒部22は、ニッケル濃縮部14として回収される。また、粗粒部23は、廃鉱13となる。
さらに、必要により、得られたニッケル濃縮部14は、高ニッケル品位のサプロライト鉱15と混合され、船積16される。
さらに、(5´)の工程により、本発明の濃縮処理方法を必要としない高ニッケル品位のサプロライト鉱と混合した後に輸送させることで、乾式システムで問題となる粉塵の発生を抑え、ハンドリング性を向上させ、かつ環境衛生上の改善も図れる操業形態を提供することができる。
サプロライト鉱のニッケル濃縮処理を、図1のフローシートにしたがって実施した。
まず、採掘されたサプロライト鉱A〜Iは、後工程のハンドリング性向上のため、ジョークラッシャーにて50mm以下に破砕した。次に、50mm以下に破砕された鉱石を乾燥後、セメントミキサーでアトリッションを実施し、続いて、分級点2.0mmで乾式篩をおこなった。分級された粗粒物は、乾式比重分離に送られ、乾式流動層比重分離装置にて比重2.0で分離した。なお、比重分離は粒度別に実施されたが、2.0〜5.0mmの粒度の範囲では、流動層を形成する媒体との相互作用のため、充分な分離を行うことができなかった。
ここで、ニッケル濃縮度の低い比重2.0より重い鉱石部分はズリ(廃石)として排除される。また、比重1.6〜2.0の鉱石部分は、前工程で分級した2.0mm以下の細粒部とあわせてニッケル濃縮物として回収した。その後、この工程により得たニッケル濃縮物、原料鉱石及びズリのニッケル品位、ニッケル濃縮物の重量分布率、並びにニッケル回収率を求めた。結果を表2に示す。
サプロライト鉱のニッケル濃縮処理を、図3のフローシートにしたがって実施した。
まず、150mmの目開きのグリズリーにて分級されたサプロライト鉱J、Kは、撹拌機付乾燥器(新日本海重工製)で乾燥温度85℃、滞留時間20分、撹拌回転数175rpmの条件で乾燥後、分級点50mmで乾式篩を行い、50mm以下の粒度の鉱石を準備した。
得られた鉱石の粒度分布を表3に示す。なお、粒度分布の測定は、乾式ロータップ法で行い、表中のD90〜D10は、積算質量分布率90〜10%のそれぞれの粒度を表す。
次いで、分級点5.0mmで乾式篩をおこなった。乾式篩で分級された粗粒物は、乾式比重分離に送られ、乾式流動層比重分離装置にて比重2.0で分離した。なお、比重1.6未満の鉱石部分は、飛散のため分離不能であった。ここで、ニッケル濃縮度の低い比重2.0より重い鉱石部分は、ズリ(廃石)として排除された。また、比重1.6〜2.0の鉱石部分は、ニッケル濃縮物として回収した。
また、乾式篩で分級された細粒物は、さらに気流分級機にて分級点0.75mmで分離した。
気流分級機で分離された粗粒物は、ズリ(廃石)として排除された。また、気流分級機で分離された細粒物は、ニッケル濃縮物として回収した。その後、この方法により得たニッケル濃縮物、原料鉱石、及びズリのニッケル品位、ニッケル濃縮物の重量分布率、並びにニッケル回収率を求めた。結果を表4に示す。また、そのときのニッケル濃縮物中のニッケル品位とニッケル回収率の関係を図4に示す。
2 破砕
3 篩分け(50mm)
4 篩分け(50mm)の篩上
5 篩分け(50mm)の篩下
6 乾式磨砕
7 篩分け(2mm)
8 篩分け(2mm)の篩上
9 篩分け(2mm)の篩下
10 乾式比重分離
11 高比重部
12 低比重部
13 廃鉱
14 ニッケル濃縮部
15 サプロライト鉱
16 船積
17 破砕、乾燥及び乾式
18 篩分け(5mm)
19 篩分け(5mm)の篩上
20 篩分け(5mm)の篩下
21 気流分級
22 細粒部
23 粗粒部
Claims (7)
- 下記の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とするサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法。
(1)サプロライト鉱を破砕処理に付し、鉱石粒度を50mmの目開きの篩を通過するサイズに調整する。
(2)前記(1)の工程で得られた破砕鉱石を、アトリッションにより表層部の乾式磨砕処理に付す。
(3)前記(2)の工程で得られた磨砕鉱石を、0.5〜2.0mmから選ばれる分級点で乾式分級処理に付し、次いで該分級点以下の粒度を有する鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
(4)前記(3)の工程で得られた分級点を超える粒度の鉱石部分を乾式比重分離処理に付し、次いで比重2.0以下の鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。 - 前記(2)の工程において、乾式磨砕処理に先立って、乾燥処理に付すことを特徴とする請求項1に記載のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法。
- さらに、下記の(5)の工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法。
(5)前記(3)の工程で得られた分級点以下の粒度の鉱石部分と、(4)の工程で得られた比重2.0以下の鉱石部分とを、フェロニッケル製錬原料用のサプロライト鉱石に混合する。 - 前記(1)の工程、及び(2)の工程の代わりに、下記の(1´)の工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法。
(1´)サプロライト鉱を、破砕処理、乾燥処理及び乾式磨砕処理を同時に行なう撹拌式乾燥機を用いて、破砕、乾燥及び乾式磨砕処理に付し、鉱石粒度を50mmの目開きの篩を通過するサイズに調整する。 - 前記(1´)の工程に続いて、下記の(2´)〜(4´)の工程を含むことを特徴とする請求項4に記載のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法。
(2´)前記(1´)の工程で得られた磨砕鉱石を、2〜5mmから選ばれる分級点で乾式分級処理に付す。
(3´)前記(2´)の工程で得られた前記分級点以下の粒度を有する鉱石部分を、0.01〜2.0mmから選ばれる分級点で乾式分級処理に付し、次いで該分級点以下の粒度を有する鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
(4´)前記(2´)の工程で得られた分級点を超える粒度の鉱石部分を、乾式比重分離処理に付し、次いで比重2.0以下の鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。 - さらに、下記の(5´)の工程を含むことを特徴とする請求項5に記載のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法。
(5´)前記(3´)の工程で得られた分級点以下の粒度の鉱石部分と、前記(4´)の工程で得られた比重2.0以下の鉱石部分とを、フェロニッケル製錬原料用のサプロライト鉱石に混合する。 - 前記サプロライト鉱は、ニッケル品位が1.8〜2.3質量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法。
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