JP5163387B2 - サプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法 - Google Patents

サプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、サプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法に関し、さらに詳しくは、従来ニッケル品位が低いためフェロニッケル製錬原料として有効に使用されなかった低ニッケル品位のサプロライト鉱を、フェロニッケル製錬原料として経済的に利用するレベルに、ニッケル品位を向上することができる、安価簡便で、かつ環境負荷の少ないニッケルの濃縮処理方法に関する。これにより、枯渇しつつあるニッケル鉱石の資源量の増加、輸送及び製錬費の低減、さらに環境問題の防止を図ることができる。
一般に、ニッケル製錬の原料鉱石は、大別すると硫化鉱とラテライト鉱等の酸化鉱に区分され、また、ラテライト鉱としては、ニッケル品位が2質量%以上の比較的高ニッケル品位であり、マグネシア、シリカ、鉄等を主要構成成分として含有し、かつ含水珪苦土鉱物、ゲーサイト等の鉱物からなるサプロライト鉱と、その上部に存在し、ニッケル品位が1.5質量%程度であり、ゲーサイトを主要鉱物とする低ニッケル品位のリモナイト鉱に区分される。
上記サプロライト鉱は、古くよりフェロニッケルを生産するために実用的な原料鉱石として使用されているが、近年、高ニッケル品位のサプロライトが枯渇しつつあり、フェロニッケル製錬に利用される原料鉱石のニッケル品位が低下してきており、経済的な生産上の大きな問題となってきている。
すなわち、フェロニッケル製錬では、通常、大量の水分を含有するサプロライト鉱を所定の付着水分率及び結晶水分率に低下させるため900℃程度までの高温度で焙焼し、次いで得られた焼鉱を電気炉等の熔融炉で1500℃程度の温度で還元熔解することにより、商品規格を満たす所定のニッケル品位のフェロニッケルを製造している。このため、原料鉱石のニッケル品位の低下は、電気、重油等のエネルギー消費量を上昇させ、製錬コストを大幅に上昇させるのみならず、共存する鉄分の含有状態にも依存するが、得られる電気炉算出のフェロニッケルのニッケル品位を市場が求める商品規格以下にまで低下させる恐れがある。したがって、環境上の問題も含んでいる。
しかも、ニッケル消費はステンレス鋼を主体とする特殊鋼が大部分を占めるため、フェロニッケルの量的な確保は重要であり、現在枯渇しつつある高ニッケル品位のサプロライト鉱の安定供給は喫緊の課題であると言える。ところで、近年発展してきているラテライト鉱の硫酸浸出法等の湿式製錬法は、一般的にマグネシウム品位の低いリモナイト鉱には適しているが、逆にマグネシウム品位が高いサプロライト鉱には酸消費量が高いことなどもあり必ずしも適さない。また、鉱山から輸入されるサプロライト鉱は、通常、含水量が30質量%以上と高く、かつニッケル品位が2〜2.6質量%と低い状態のため、輸送費を含めた原料鉱石コストは、非常に高いものとなっていた。
そのため、従来から、このようなラテライト鉱のニッケル品位を向上させることが求められ、例えば、浮選、磁選等の選鉱法を適用することで品位アップを図ることが試みられている(例えば、非特許文献1、2参照。)。しかしながら、これらの方法では、対象とする鉱石毎に成績が異なること、或いは処理コストの点から問題が多く実用化にはいたっていない。
このような中で、原料のサプロライト鉱石の分級を行い、さらに分級区分ごとに比重選別を実施する方法(例えば、特許文献1、2、3、4参照。)が開示されている。しかしながら、この方法は湿式法であるので、非常に沈降性及び脱水性が悪い鉱石のため、そのための設備として、多大なシックナーと脱水機が必要となり、非常にコスト高となるとともに、排水処理、尾鉱ダムの管理等、環境保全にも多くの労力が必要となっている。そのため、有機凝集剤により鉱泥を濃縮する方法(特許文献5参照。)も提案されているが、多量の凝集剤が必要であり、コスト低減にはつながっていない。さらに、原料鉱石の含水率が30質量%以上と高いため、輸送費と製錬費の削減のために鉱山における鉱石の乾燥が試みられたが、水分が低い場合は非常に粉塵性が強い鉱石であるので、荷役等ハンドリング時の飛散によるニッケル分のロス、及び作業性の悪化のという新たな問題が判明し、実用化が困難な状況にある。
以上の状況から、低ニッケル品位のサプロライト鉱を、フェロニッケル製錬原料として経済的に利用するレベルに、ニッケル品位を向上することができる、安価簡便で、かつ環境負荷の少ないニッケルの濃縮処理方法が求められている。
米国特許第6053327号明細書 特開昭52−023504号公報(第1頁) 特公平03−004610号公報(第1頁) 特開平11−117030号公報(第1頁、第2頁) 特開平11−124640号公報(第1頁、第2頁) 「日本鉱業会研究業績発表講演会講演要旨集」、1987年、p.365−366 「シアイエム ブレテン(CIM Bull)」、(カナダ)、第93巻、第1038号、2000年、p.37−43
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、従来、ニッケル品位が低いためフェロニッケル製錬原料として有効に使用されなかった低ニッケル品位のサプロライト鉱を、フェロニッケル製錬原料として経済的に利用するレベルに、ニッケル品位を向上することができる、安価簡便で、かつ環境負荷の少ないニッケルの濃縮処理方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、サプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法について、鋭意研究を重ねた結果、低ニッケル品位のサプロライト鉱を、特定の破砕処理及び乾式磨砕処理に付し、得られた鉱石を、特定の乾式分級処理及び乾式比重分離処理に付し、各々得られた特定の分級点以下の粒度を有する鉱石部分、及び特定の比重以下の鉱石部分をニッケル濃縮物として回収したところ、安価簡便で、かつ環境負荷の少ない方法で、フェロニッケル製錬原料として経済的に利用するレベルにニッケル品位を向上することができること、さらに、上記特定の破砕処理及び乾式磨砕処理の代わりに、特定の乾燥機を用いた破砕、乾燥及び乾式磨砕処理に付したところ、破砕処理、乾燥処理及び乾式磨砕処理を同時に行なうことができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とするサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法が提供される。
(1)サプロライト鉱を破砕処理に付し、鉱石粒度を50mmの目開きの篩を通過するサイズに調整する。
(2)前記(1)の工程で得られた破砕鉱石を、アトリッションにより表層部の乾式磨砕処理に付す。
(3)前記(2)の工程で得られた磨砕鉱石を、0.5〜2.0mmから選ばれる分級点で乾式分級処理に付し、次いで該分級点以下の粒度を有する鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
(4)前記(3)の工程で得られた分級点を超える粒度の鉱石部分を乾式比重分離処理に付し、次いで比重2.0以下の鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記(2)の工程において、乾式磨砕処理に先立って、乾燥処理に付すことを特徴とするサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、さらに、下記の(5)の工程を含むことを特徴とするサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法が提供される。
(5)前記(3)の工程で得られた分級点以下の粒度の鉱石部分と、(4)の工程で得られた比重2.0以下の鉱石部分とを、付着水を有するフェロニッケル製錬原料用のサプロライト鉱石に混合する。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、前記(1)の工程、及び(2)の工程の代わりに、下記の(1´)の工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法が提供される。
(1´)サプロライト鉱を、破砕処理、乾燥処理及び乾式磨砕処理を同時に行なう撹拌式乾燥機を用いて、破砕、乾燥及び乾式磨砕処理に付し、鉱石粒度を50mmの目開きの篩を通過するサイズに調整する。
また、本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、前記(1´)の工程に続いて、下記の(2´)〜(4´)の工程を含むことを特徴とするサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法が提供される。
(2´)前記(1´)の工程で得られた磨砕鉱石を、2〜5mmから選ばれる分級点で乾式分級処理に付す。
(3´)前記(2´)の工程で得られた前記分級点以下の粒度を有する鉱石部分を、0.01〜2.0mmから選ばれる分級点で乾式分級処理に付し、次いで該分級点以下の粒度を有する鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
(4´)前記(2´)の工程で得られた分級点を超える粒度の鉱石部分を、乾式比重分離処理に付し、次いで比重2.0以下の鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
また、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、さらに、下記の(5´)の工程を含むことを特徴とするサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法が提供される。
(5´)前記(3´)の工程で得られた分級点以下の粒度の鉱石部分と、前記(4´)の工程で得られた比重2.0以下の鉱石部分とを、フェロニッケル製錬原料用のサプロライト鉱石に混合する。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6いずれかの発明において、前記サプロライト鉱は、ニッケル品位が1.8〜2.3質量%であることを特徴とするサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法が提供される。
本発明のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法は、従来ニッケル品位が低いためフェロニッケル製錬原料として有効に使用されなかった低ニッケル品位のサプロライト鉱を、安価簡便で、かつ環境負荷の少ない方法で、フェロニッケル製錬原料として経済的に利用するレベルにニッケル品位を向上することができるので、その工業的価値は極めて大きい。
また、これにより、枯渇しつつあるニッケル鉱石の資源量の増加、輸送及び製錬費の低減、さらに環境問題の防止を図ることができる。
さらに、得られたニッケル濃縮物を、本発明の濃縮処理方法を必要としない高ニッケル品位で、付着水分を含んだサプロライト鉱と混合した後に輸送させることで、乾式システムで問題となる粉塵の発生を抑え、ハンドリング性を向上させ、かつ環境衛生上の改善も図れる操業形態を提供することができる。
以下、本発明のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法を詳細に説明する。
本発明のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法の第1の態様としては、下記の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする。
(1)サプロライト鉱を破砕処理に付し、鉱石粒度を50mmの目開きの篩を通過するサイズに調整する。
(2)前記(1)の工程で得られた破砕鉱石を、アトリッションにより表層部の乾式磨砕処理に付す。
(3)前記(2)の工程で得られた磨砕鉱石を、0.5〜2.0mmから選ばれる分級点で乾式分級処理に付し、次いで該分級点以下の粒度を有する鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
(4)前記(3)の工程で得られた分級点を超える粒度の鉱石部分を乾式比重分離処理に付し、次いで比重2.0以下の鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
さらに、必要に応じて、下記の(5)の工程を含むことができる。
(5)前記(3)の工程で得られた分級点以下の粒度の鉱石部分と、(4)の工程で得られた比重2.0以下の鉱石部分とを、付着水を有するフェロニッケル製錬原料用のサプロライト鉱石に混合する。
上記方法(第1の態様)において、(1)の工程で得られた破砕処理後の鉱石をアトリッションにより表層部の乾式磨砕処理に付し、その後、所定の分級点で乾式分級処理に付し、その分級点以下の部分をニッケル濃縮物として回収し、さらに分級点を超える粒度を有する鉱石部分を所定の比重で乾式比重分離処理に付し、その比重以下の部分をニッケル濃縮物として回収することが重要である。
まず、乾式比重分離処理についての作用効果を説明する。すなわち、各種サプロライト鉱のニッケルの存在状態に関する調査結果を表1に示す。表1は、操業中のニッケル鉱山から、ニッケル品位2.0%未満の低ニッケル品位のサプロライト鉱サンプル計33試料を採取し、粒度(篩:150、100、75、50、25、9.5、1.7、1.0、及び0.5mm)及び比重(重液:2.6、2.4、2.2、及び2.0)の測定により、各粒度と比重の区分毎のニッケル濃縮状態(重量分布率、上昇品位(ニッケル品位(質量%)の変動差)及びニッケル分布率)を調査した結果を示す。なお、比重選別としては、重液にタングステン酸ナトリウム液を用い、30分静置させて分離を行った。表1では、試験で得られた産物を加重平均した結果を示している。
Figure 0005163387
表1より、(イ)25〜75mmの粒度幅の粒子で、比重2.0以下である、粗粒でかつ軽比重の粒子、及び(ロ)1.7mm以下の粒度幅の粒子で、比重2.0〜2.4である、細粒で中比重の粒子に、ニッケルが濃縮していることが分かる。すなわち、比重2.4以上の高比重部のニッケル品位は低く、この部分を除去することにより、鉱石品位を上昇することができる。特にニッケルは粗粒部では、より比重の軽い範囲に、また細粒部では、比重2.0〜2.2の範囲に濃縮していることがわかる。すなわち、粗粒で高比重の範囲の鉱石部分を分離除去することにより、鉱石のニッケル品位を上昇できることが示された。
次に、アトリッションにより表層部の乾式磨砕処理の作用効果を説明する。すなわち、サプロライト鉱では、ニッケル鉱物が主として鉱染状にゲーサイト等に吸着しており、所定の大きさで破砕して得られる鉱石の表層に濃縮していると考えられる。そのため、破砕後の鉱石表層を削り取るアトリッションによる乾式磨砕処理が濃縮方法として有効と考えられる。図2は、通常の破砕の場合(b)と磨砕処理の場合(a)とにおいて、ニッケル濃縮に差が出るかどうかを比較したものである。ここで、(a)は、モネオ鉱山の鉱石を、ハンマーミルで破砕した後、9.5mmの篩で篩分けし、そのときの篩下の各粒度区分での重量分布、ニッケル品位、及びニッケル分布率を求め、次いで、篩上をセメントミキサーで5分間の磨砕処理を計3回行い、そのたび毎に9.5mmの篩で篩分けし、そのときの篩下の各粒度区分での積算重量分布、積算ニッケル品位、及び積算ニッケル分布率を求めたものである。また、(b)は、モネオ鉱山の鉱石を、ハンマーミルで破砕した後、3段のジョークラッシャーによる破砕を行い、各段での篩い分けによる各粒度区分での重量分布、ニッケル品位、及びニッケル分布率を表す。
図2より、セメントミキサーで磨砕処理した場合(a)には、ニッケルの濃縮が見られるのに対し、衝撃、及び圧縮破砕を中心とするジョークラッシャーの場合(b)では、ニッケルの濃縮はほとんど認められず、これより、アトリッション効果が非常に強いことが分かる。
以上より、サプロライト鉱において、ニッケルが濃縮しているのは、(イ)25〜75mmの粒度幅の粒子で、比重2.0以下である、粗粒でかつ軽比重の粒子、(ロ)1.7mm以下の粒度幅の粒子で、比重2.0〜2.4である、細粒で中比重の粒子、及び(ハ)これらをアトリッションすることにより得られる粒度0.5mm以下の粒子、であるので、ニッケル品位が1.8質量%以上、2.0質量%未満の低ニッケル品位のサプロライト鉱を原料とし、磨砕と分級、さらに比重分離を含む乾式工程でニッケルを濃縮し、従来技術のフェロニッケル製錬プロセスで処理可能な2.0質量%以上のニッケル品位に濃縮する方法としては、これらのニッケルが濃縮された粒子及び粒子の区分を効率よく分離することが肝要である。
上記サプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法(第1の態様)の一例を、図を用いて説明する。図1は、本発明のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法のフローの一例を示す。
図1において、まず、低Ni品位サプロライト鉱1は、破砕2及び篩分け(50mm)3により、鉱石粒度が50mm以下の篩下5と篩上4に分割される。篩上4は、閉回路の破砕システムにより、50mm以下の鉱石粒度に破砕される。次に、篩下5部分は、乾式磨砕6され、次いで2mmの分級点による篩分け(2mm)7により、分割される。ここで得られる篩下9部分は、ニッケル濃縮部14として回収される。また、篩上8部分は、乾式比重分離10により、比重2.0以上の高比重部11と低比重部12に分離される。高比重部11は、廃鉱13となる。低比重部12は、ニッケル濃縮部14として回収される。
さらに、必要により、得られたニッケル濃縮部14は、高ニッケル品位のサプロライト鉱15と混合され、船積16される。
上記方法(第1の態様)に用いるサプロライト鉱としては、特に限定されるものではないが、各種サプロライト鉱の中で、カルシウム又はナトリウムの品位が高く、超苦鉄質岩類の蛇紋岩化作用が比較的低く、かつニッケル品位が2.3質量%以下、特にニッケル品位が1.8〜2.3質量%の低ニッケル品位のサプロライト鉱が好適である。もちろん、ニッケル品位が2.3質量%を超えるサプロライト鉱も処理可能であるが、そのまま従来技術のフェロニッケル製錬によって処理できるため、上記方法のコストとニッケル品位アップによる製錬コストのバランスによって適宜選択することができる。
上記(1)の工程は、上記サプロライト鉱を破砕処理に付し、鉱石粒度を50mmの目開きの篩を通過するサイズに調整する工程である。
採掘されたサプロライト鉱石は、通常、まず、150mmの目開きのグリズリーにて分級される。その網上は、対象品位以下であるのでズリとして棄却され、一方、その網下部は、製品として取り扱われるが、その表層にはニッケルが濃縮している。
ここで、対象鉱石としてグリズリーの網下部が用いられ、鉱石粒度を50mmの目開きの篩を通過するサイズに調整するため、破砕処理される。破砕処理は、通常のジョークラッシャーにて実施すればよいが、衝撃及び圧密破砕によるサイズ低減ではニッケルの濃縮は行われず、後工程で取り扱うのに問題は生じない。
上記(2)の工程は、上記(1)の工程で得られた破砕鉱石を、アトリッションにより表層部の乾式磨砕処理に付す工程である。ここで、乾式法で、セメントミキサー等を用いて、サプロライト鉱の粒子表層部を削り取る、所謂アトリッションといわれる磨砕処理を行う。なお、サプロライト鉱の粒子表層部は空隙率が高く、非常に削り取られやすいので粉砕媒体等は必要とせず、サプロライト鉱の粒子同士の摩滅でアトリッションが行われる。ここで、アトリッション効果が十分でない場合には、ニッケルが高濃縮した部位とニッケルが濃縮していない低品位の部位との分離が十分に行われないのでニッケル回収率が低くなり、一方、アトリッションが強すぎる場合は、ニッケルが濃縮していない部位も細粒化してしまい、後工程での分離が難しくなるので、操業時に適切な操業条件を確認する必要がある。
上記(2)の工程において、ハンドリング性を改良するため、乾燥工程と組み合わせて、例えば、乾式磨砕処理に先立って、乾燥処理に付すことにより行うことが望ましい。
ところで、一般的に、アトリッションは高濃度の水スラリーを高速度撹拌することにより、実施されることが通常であるが、本発明の方法の対象である低ニッケル品位のサプロライト鉱では、水を加えることにより粒子が膨潤する。したがって、湿式のアトリッションでは、アトリッションの後工程としてフィルタープレスを用いたろ過を実施しても、水分率を落とすことは困難である。
上記(3)の工程は、上記(2)の工程で得られた磨砕鉱石を、0.5〜2.0mmから選ばれる分級点で乾式分級処理に付し、次いで該分級点以下の粒度を有する鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する工程である。ここで、粒度が2.0mmを超える粒子には、ニッケルが濃縮していない部位の粒子とニッケルが濃縮している部位が混在して残留しているため、ニッケルの濃縮が不十分である。また、前述のようにアトリッションすることにより得られる粒度0.5mm以下の粒子は、ニッケルが濃縮されている。なお、分級点は、鉱石により最も適切な条件が選ばれる。
上記(4)の工程は、上記(3)の工程で得られた分級点を超える粒度の鉱石部分を乾式比重分離処理に付し、次いで比重2.0以下の鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する工程である。すなわち、上記(3)の工程で得られた分級点を超える粒度の鉱石部分においては、ニッケルは空隙率の高い粒子に濃縮しており、その見かけ比重は2.0以下と小さい。一方、表層に吸着しているニッケルは、アトリッションで既に除去されているため、比重2.0を超える粒子はニッケルの濃縮率が低くなっているからである。ここで、比重が2.0を超える粒子は、ニッケルが濃縮していないためズリ(廃石)として廃棄処理する。
上記(4)の工程で用いる装置としては、乾式流動層比重分離装置、エアーテーブル、乾式ジグ等の乾式比重分離装置が好ましく用いられる。なお、アトリッションで得られる粗粒部分は、比較的大きなサイズであり天日乾燥も可能であるので、通常のジグや重液選鉱のような湿式比重分離法を採用することも可能である。
ただし、乾式比重分離装置として、乾式流動層比重分離装置を用いる際には、粗粒子内に空隙が存在することから、湿式比重分離と比較し分離比重点が低くなり、分離比重点としては、比重1.6〜2.0が用いられる。
上記(5)の工程は、前記(3)の工程で得られた分級点以下の粒度の鉱石部分と、(4)の工程で得られた比重2.0以下の鉱石部分とを、付着水を有するフェロニッケル製錬原料用のサプロライト鉱石に混合する工程である。すなわち、サプロライト鉱はもともと水分を20〜35%程度含有しているが、水分を含んでいるときは粘性が高く篩分けを行うのも難しく、逆に乾燥させると粉塵が立ち、細粒分に含まれるニッケルロスが生じるだけでなく、ハンドリング時にも作業環境面で大きな問題が生じる。このため、粉塵を抑えるために散水すると、折角乾燥させて水分率を減らし、輸送コスト及び製錬での乾燥コストを減少する目的を阻害するという問題がある。この問題の解決策として、上記ニッケル濃縮部分の鉱石を、本発明の方法にかける必要のないニッケル品位が2.3質量%以上のサプロライト鉱に混合して、サプロライト鉱中の水分で粉塵を低下させる操業方式を行うことができる。
以上より、上記(1)〜(4)の工程を順次行うことにより、ニッケル品位が1.8〜2.3質量%の低ニッケル品位のサプロライト鉱を原料とし、磨砕と分級、さらに比重分離を含む乾式工程でニッケルを濃縮し、従来技術のフェロニッケル製錬プロセスで処理可能な2.3質量%以上のニッケル品位に濃縮することができる。これにより、同時に輸送コスト、製錬コストの低減を図ると共に、鉱山サイトでも尾鉱ダムが必要なく、水処理を必要としない環境負荷の低い環境にやさしいプロセスである。
さらに、(5)の工程により、本発明の濃縮処理方法を必要としない高ニッケル品位のサプロライト鉱と混合した後に輸送させることで、乾式システムで問題となる粉塵の発生を抑え、ハンドリング性を向上させ、かつ環境衛生上の改善も図れる操業形態を提供することができる。
本発明のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法の第2の態様としては、上記(1)の工程、及び(2)の工程の代わりに、(1´)の工程を含むことを特徴とする。
(1´)サプロライト鉱を、破砕処理、乾燥処理及び乾式磨砕処理を同時に行なう撹拌式乾燥機を用いて、破砕、乾燥及び乾式磨砕処理に付し、鉱石粒度を50mmの目開きの篩を通過するサイズに調整する。
上記方法(第2の態様)において、サプロライト鉱、例えば、150mmの目開きのグリズリーにて分級された鉱石を、乾燥しながら撹拌によりアトリッション効果が得られる撹拌式乾燥機を用いて、破砕、乾燥及び乾式磨砕処理に付し、鉱石粒度を50mmの目開きの篩を通過するサイズに調整することが重要である。これによって、上記(1)の工程、及び(2)の工程を省略することができる。
すなわち、サプロライト鉱を高温度の熱風又は直火で乾燥すると、孔隙に含有される水分が急激に膨張することにより熱破砕が行われ、鉱石表層が、非常に脆くなる。したがって、サプロライト鉱の乾燥に際し、供給物を加熱下に撹拌しながら乾燥する撹拌式乾燥機を用いることによって、破砕、乾燥及び乾式磨砕を同時に実施することができる。
上記方法(第2の態様)において、(1´)の工程に続いて、第1の態様で用いられた(3)の工程及び(4)の工程を行なうことができるが、例えば、(1´)の工程に続いて、次の(2´)〜(4´)の工程を行なうことが好ましい。
(2´)前記(1´)の工程で得られた磨砕鉱石を、2〜5mmから選ばれる分級点で乾式分級処理に付す。
(3´)前記(2´)の工程で得られた前記分級点以下の粒度を有する鉱石部分を、0.01〜2.0mmから選ばれる分級点で乾式分級処理に付し、次いで該分級点以下の粒度を有する鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
(4´)前記(2´)の工程で得られた分級点を超える粒度の鉱石部分を、乾式比重分離処理に付し、次いで比重2.0以下の鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
上記方法(第2の態様)に用いるサプロライト鉱としては、特に限定されるものではないが、上記方法(第1の態様)と同様のものが用いられる。ここで、対象鉱石としてグリズリーの網下部が用いられ、この鉱石粒度が、50mmの目開きの篩を通過するサイズになるように調整される。この篩上は、閉回路の破砕システムにより、50mm以下の鉱石粒度に破砕される。
上記(1´)の工程は、サプロライト鉱を、破砕処理、乾燥処理及び乾式磨砕処理を同時に行なう撹拌式乾燥機を用いて、破砕、乾燥及び乾式磨砕処理に付し、鉱石粒度を50mmの目開きの篩を通過するサイズに調整する工程である。
上記破砕、乾燥及び乾式磨砕処理においては、所望の粒度分布に破砕され、同時に十分なアトリッション効果が得られるような乾燥温度、滞留時間、撹拌状態(撹拌設備の回転数、形状等)等の条件が選ばれる。なお、アトリッション効果が十分でない場合には、ニッケルが高濃縮した部位とニッケルが濃縮していない低品位の部位との分離が十分に行われないのでニッケル回収率が低くなり、一方、アトリッションが強すぎる場合は、ニッケルが濃縮していない部位も細粒化してしまい、後工程での分離が難しくなるので、操業時に適切な操業条件を確認する必要がある。
上記(1´)の工程で用いる撹拌式乾燥機としては、特に限定されるものではなく、鉱石を乾燥しながら、強撹拌することができる撹拌羽つき乾燥炉、加熱式周辺排出型自生粉砕ミル又は加熱式周辺排出型半自生粉砕ミルが用いられる。
ここで、乾燥温度としては、特に限定されるものではなく、上記サプロライト鉱を乾燥することができる温度が用いられるが、600〜1200℃が好ましい。これにより、サプロライト鉱の孔隙に含有される水分が急激に膨張することにより熱破砕が行われ、鉱石表層が非常に脆くなるので、十分なアトリッション効果が得られる。
上記(2´)の工程は、前記(1´)の工程で得られた磨砕鉱石を、2〜5mmから選ばれる分級点で乾式分級処理に付す工程である。ここで、粒度が5mmを超える粒子には、ニッケルが濃縮していない部位の粒子とニッケルが濃縮している部位が混在して残留しているため、ニッケルの濃縮が不十分である。また、前述のようにアトリッションすることにより得られる粒度2mm以下の粒子は、ニッケルがある程度濃縮されている。なお、分級点は、鉱石により最も適切な条件が選ばれる。
上記(2´)の工程で用いる乾式分級処理としては、特に限定されるものではないが、篩分け方法が用いられる。
上記(3´)の工程は、前記(2´)の工程で得られた前記分級点以下の粒度を有する鉱石部分を、0.01〜2.0mmから選ばれる分級点で乾式分級処理に付し、次いで該分級点以下の粒度を有する鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する工程である。
ここで、粒度が2.0mmを超える粒子には、ニッケルが濃縮していない部位の粒子が多くあるため、ニッケルの濃縮が不十分である。また、前述のようにアトリッションすることにより得られる粒度0.01mm以下の粒子は、ニッケルが濃縮されている。なお、分級点は、鉱石により最も適切な条件が選ばれる。
上記(3´)の工程で用いる乾式分級処理としては、特に限定されるものではないが、微粉末の分級に効果的な気流分級法が用いられる。
上記(4´)の工程は、前記(2´)の工程で得られた分級点を超える粒度の鉱石部分を、乾式比重分離処理に付し、次いで比重2.0以下の鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する工程である。すなわち、上記(2´)の工程で得られた分級点を超える粒度の鉱石部分においては、ニッケルは空隙率の高い粒子に濃縮しており、その見かけ比重は2.0以下と小さく、また、表層に吸着しているニッケルはアトリッションで既に除去されているため、比重2.0を超える粒子はニッケルの濃縮率が低くなっているからである。ここで、比重が2.0を超える粒子は、ニッケルが濃縮していないためズリ(廃石)として廃棄処理する。
上記(4´)の工程で用いる装置としては、乾式流動層比重分離装置、エアーテーブル、乾式ジグ等の乾式比重分離装置が好ましく用いられる。なお、アトリッションで得られる粗粒部分は、比較的大きなサイズであり天日乾燥も可能であるので、通常のジグや重液選鉱のような湿式比重分離法を採用することも可能である。
ただし、乾式比重分離装置として、乾式流動層比重分離装置を用いる際には、粗粒子内に空隙が存在することから、湿式比重分離と比較し分離比重点が低くなり、分離比重点としては、比重1.6〜2.0が用いられる。
上記方法(第2の態様)の一例を、図を用いて説明する。図3は、本発明のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法のフローの一例を示す。
図3において、まず、低Ni品位サプロライト鉱1は、破砕、乾燥及び乾式磨砕17及び篩分け(50mm)3により、鉱石粒度が50mm以下の篩下5と篩上4に分割される。篩上4は、閉回路の破砕システムにより、50mm以下の鉱石粒度に破砕される。次に、篩下5部分は、5mmの分級点による篩分け(5mm)18により、分割される。ここで得られる篩上19部分は、乾式比重分離10により、比重2.0以上の高比重部11と低比重部12に分離される。高比重部11は、廃鉱13となる。低比重部12は、ニッケル濃縮部14として回収される。また、篩下20部分は、再度の気流分級21により、分割される。ここで得られる細粒部22は、ニッケル濃縮部14として回収される。また、粗粒部23は、廃鉱13となる。
さらに、必要により、得られたニッケル濃縮部14は、高ニッケル品位のサプロライト鉱15と混合され、船積16される。
以上より、上記(1´)〜(4´)の工程を順次行うことにより、ニッケル品位が1.8〜2.3質量%の低ニッケル品位のサプロライト鉱を原料とし、磨砕と分級、さらに比重分離を含む乾式工程でニッケルを濃縮し、従来技術のフェロニッケル製錬プロセスで処理可能な2.3質量%以上のニッケル品位に濃縮することができる。これにより、同時に輸送コスト、製錬コストの低減を図ると共に、鉱山サイトでも尾鉱ダムが必要なく、水処理を必要としない環境負荷の低い環境にやさしいプロセスである。
さらに、(5´)の工程により、本発明の濃縮処理方法を必要としない高ニッケル品位のサプロライト鉱と混合した後に輸送させることで、乾式システムで問題となる粉塵の発生を抑え、ハンドリング性を向上させ、かつ環境衛生上の改善も図れる操業形態を提供することができる。
以下に、本発明の実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例で用いたニッケルの分析は、ICP発光分析法で行った。
(実施例1)
サプロライト鉱のニッケル濃縮処理を、図1のフローシートにしたがって実施した。
まず、採掘されたサプロライト鉱A〜Iは、後工程のハンドリング性向上のため、ジョークラッシャーにて50mm以下に破砕した。次に、50mm以下に破砕された鉱石を乾燥後、セメントミキサーでアトリッションを実施し、続いて、分級点2.0mmで乾式篩をおこなった。分級された粗粒物は、乾式比重分離に送られ、乾式流動層比重分離装置にて比重2.0で分離した。なお、比重分離は粒度別に実施されたが、2.0〜5.0mmの粒度の範囲では、流動層を形成する媒体との相互作用のため、充分な分離を行うことができなかった。
ここで、ニッケル濃縮度の低い比重2.0より重い鉱石部分はズリ(廃石)として排除される。また、比重1.6〜2.0の鉱石部分は、前工程で分級した2.0mm以下の細粒部とあわせてニッケル濃縮物として回収した。その後、この工程により得たニッケル濃縮物、原料鉱石及びズリのニッケル品位、ニッケル濃縮物の重量分布率、並びにニッケル回収率を求めた。結果を表2に示す。
Figure 0005163387
表2より、各鉱石のニッケル濃縮物は、そのニッケル品位が原鉱のニッケル品位に対し10〜30%上昇し、かつ低ニッケル品位サプロライト鉱では、ニッケル回収率60%程度で回収されることが分かる。
(実施例2)
サプロライト鉱のニッケル濃縮処理を、図3のフローシートにしたがって実施した。
まず、150mmの目開きのグリズリーにて分級されたサプロライト鉱J、Kは、撹拌機付乾燥器(新日本海重工製)で乾燥温度85℃、滞留時間20分、撹拌回転数175rpmの条件で乾燥後、分級点50mmで乾式篩を行い、50mm以下の粒度の鉱石を準備した。
得られた鉱石の粒度分布を表3に示す。なお、粒度分布の測定は、乾式ロータップ法で行い、表中のD90〜D10は、積算質量分布率90〜10%のそれぞれの粒度を表す。
次いで、分級点5.0mmで乾式篩をおこなった。乾式篩で分級された粗粒物は、乾式比重分離に送られ、乾式流動層比重分離装置にて比重2.0で分離した。なお、比重1.6未満の鉱石部分は、飛散のため分離不能であった。ここで、ニッケル濃縮度の低い比重2.0より重い鉱石部分は、ズリ(廃石)として排除された。また、比重1.6〜2.0の鉱石部分は、ニッケル濃縮物として回収した。
また、乾式篩で分級された細粒物は、さらに気流分級機にて分級点0.75mmで分離した。
気流分級機で分離された粗粒物は、ズリ(廃石)として排除された。また、気流分級機で分離された細粒物は、ニッケル濃縮物として回収した。その後、この方法により得たニッケル濃縮物、原料鉱石、及びズリのニッケル品位、ニッケル濃縮物の重量分布率、並びにニッケル回収率を求めた。結果を表4に示す。また、そのときのニッケル濃縮物中のニッケル品位とニッケル回収率の関係を図4に示す。
Figure 0005163387
Figure 0005163387
表4、図4より、各鉱石のニッケル濃縮物は、そのニッケル品位が原鉱のニッケル品位に対し上昇し、ニッケル品位が2.3質量%以上のニッケル濃縮物がニッケル回収率69%又は35%程度で回収されることが分かる。
以上より明らかなように、本発明のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法は、従来ニッケル品位が低いためフェロニッケル製錬原料として有効に使用されなかった低ニッケル品位のサプロライト鉱を、安価簡便で、かつ環境負荷の少ない方法で、フェロニッケル製錬原料として経済的に利用するレベルにニッケル品位を向上することができ、この方法の採用により、フェロニッケル原料として用いることができる資源量が大幅に拡大することができる。特にフェロニッケル製錬分野で利用される低ニッケル品位のサプロライト鉱のニッケル濃縮方法として好適である。
本発明のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法のフローの一例(第1の態様)を示す図である。 磨砕処理と破砕処理試験によるニッケルの濃縮状態を表す図である。(a)は、セメントミキサーで磨砕処理した場合、及び(b)は、ジョークラッシャーで破砕した場合を表す。 本発明のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法のフローの一例(第2の態様)を示す図である。 実施例2において、ニッケル濃縮物中のニッケル品位とニッケル回収率の関係を表す図である。
符号の説明
1 低Ni品位サプロライト鉱
2 破砕
3 篩分け(50mm)
4 篩分け(50mm)の篩上
5 篩分け(50mm)の篩下
6 乾式磨砕
7 篩分け(2mm)
8 篩分け(2mm)の篩上
9 篩分け(2mm)の篩下
10 乾式比重分離
11 高比重部
12 低比重部
13 廃鉱
14 ニッケル濃縮部
15 サプロライト鉱
16 船積
17 破砕、乾燥及び乾式
18 篩分け(5mm)
19 篩分け(5mm)の篩上
20 篩分け(5mm)の篩下
21 気流分級
22 細粒部
23 粗粒部

Claims (7)

  1. 下記の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とするサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法。
    (1)サプロライト鉱を破砕処理に付し、鉱石粒度を50mmの目開きの篩を通過するサイズに調整する。
    (2)前記(1)の工程で得られた破砕鉱石を、アトリッションにより表層部の乾式磨砕処理に付す。
    (3)前記(2)の工程で得られた磨砕鉱石を、0.5〜2.0mmから選ばれる分級点で乾式分級処理に付し、次いで該分級点以下の粒度を有する鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
    (4)前記(3)の工程で得られた分級点を超える粒度の鉱石部分を乾式比重分離処理に付し、次いで比重2.0以下の鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
  2. 前記(2)の工程において、乾式磨砕処理に先立って、乾燥処理に付すことを特徴とする請求項1に記載のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法。
  3. さらに、下記の(5)の工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法。
    (5)前記(3)の工程で得られた分級点以下の粒度の鉱石部分と、(4)の工程で得られた比重2.0以下の鉱石部分とを、フェロニッケル製錬原料用のサプロライト鉱石に混合する。
  4. 前記(1)の工程、及び(2)の工程の代わりに、下記の(1´)の工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法。
    (1´)サプロライト鉱を、破砕処理、乾燥処理及び乾式磨砕処理を同時に行なう撹拌式乾燥機を用いて、破砕、乾燥及び乾式磨砕処理に付し、鉱石粒度を50mmの目開きの篩を通過するサイズに調整する。
  5. 前記(1´)の工程に続いて、下記の(2´)〜(4´)の工程を含むことを特徴とする請求項4に記載のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法。
    (2´)前記(1´)の工程で得られた磨砕鉱石を、2〜5mmから選ばれる分級点で乾式分級処理に付す。
    (3´)前記(2´)の工程で得られた前記分級点以下の粒度を有する鉱石部分を、0.01〜2.0mmから選ばれる分級点で乾式分級処理に付し、次いで該分級点以下の粒度を有する鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
    (4´)前記(2´)の工程で得られた分級点を超える粒度の鉱石部分を、乾式比重分離処理に付し、次いで比重2.0以下の鉱石部分をニッケル濃縮物として回収する。
  6. さらに、下記の(5´)の工程を含むことを特徴とする請求項5に記載のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法。
    (5´)前記(3´)の工程で得られた分級点以下の粒度の鉱石部分と、前記(4´)の工程で得られた比重2.0以下の鉱石部分とを、フェロニッケル製錬原料用のサプロライト鉱石に混合する。
  7. 前記サプロライト鉱は、ニッケル品位が1.8〜2.3質量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のサプロライト鉱のニッケル濃縮処理方法。
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