JP2011255317A - イリジウムの分離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】イリジウムを含んだ耐火物からイリジウムを経済的に分離し回収することができるイリジウムの分離方法を提供する。
【解決手段】イリジウムを含有する耐火物からイリジウムを分離回収する方法であって、粒度が100μm以上5mm以下の粒状物である耐火物を比重選別して、高比重物と低比重物とに分離し、該低比重物のうち、粒度が10μm以上300μm以下の選鉱用粒状物を、浮遊選鉱する。耐火物を塩酸浸出してイリジウムを回収する際に、全ての耐火物を塩酸等により溶解する場合に比べて、溶解する耐火物の量に対する回収できるイリジウムの量を相対的に多くすることができる。しかも、一般的な選鉱に使用される比重選別と浮遊選鉱を行ってイリジウム含有量の多い粒状物を選択しているので、イリジウムを分離回収するために特別な薬品や装置を使用する必要がなく、イリジウムの分離回収が容易になる。
【選択図】図1

Description

本発明は、イリジウムを含有する耐火物からイリジウムを濃縮して分離するイリジウムの分離方法に関する。
イリジウムは耐熱性が高いことから、電子材料などの結晶を合成する際にかかる電子材料を熔解するルツボの素材として使用されている。かかるイリジウム製のルツボを用いて材料を熔解する際には、ルツボを、ジルコニア等の耐火物を組み上げて形成した台座内に配置した状態で加熱炉内に収められることが多い。
加熱炉内において電子材料を加熱する作業を行う場合には、ルツボは高温(1255℃以上1600℃以下)にさらされることになる。すると、耐熱性が高いイリジウム製のルツボであっても、その一部が熔解して耐火物に溶着したり、耐火物の中に浸透したりしていた。
かかる耐火物はある程度使用されると交換されるが、交換された耐火物は廃耐火物として廃棄されている。すると、耐火物に付着等しているイリジウムも廃棄されることになるので、希少金属であるイリジウムを浪費してしまうことになる。
耐火物からイリジウムを回収すれば資源の浪費は防ぐことができるものの、耐火物に溶着あるいは浸透しているイリジウムを耐火物から分離して回収することは難しい。
例えば、フッ化水素酸のような試薬を用いて廃耐火物を化学溶解し、残渣としてイリジウムを濃縮し回収する方法は開発されているが、上述したような廃耐火物に溶着あるいは浸透しているイリジウムの量は非常に少なく(例えば、0.8重量%程度)、わずかなイリジウムを回収するために廃耐火物全体を化学溶解することは実用的ではない。
一方、特許文献1には、金属スクラップに含まれるイリジウムを回収する方法として、スクラップを低融点の金属と熔融して合金とし、次に塩酸で低融点の金属を浸出する方法が提案されている。
しかし、この方法を廃耐火物からイリジウムを回収する際に採用した場合も、廃耐火物を熔融することが著しく困難であるため、工業的に実施することは実質的に不可能である。
以上のごとく、現在のところ、イリジウムが溶着あるいは浸透している廃耐火物から経済的にイリジウムを回収できる方法はなく、廃耐火物からイリジウムを効率よく分離回収できる方法が求められている。
特開2001−64734号公報
本発明は上記事情に鑑み、イリジウムを含んだ耐火物からイリジウムを経済的に分離し回収することができるイリジウムの分離方法を提供することを目的とする。
第1発明のイリジウムの分離方法は、イリジウムを含有する耐火物からイリジウムを分離回収する方法であって、粒度が100μm以上5mm以下の粒状物である耐火物を比重選別して、高比重物と低比重物とに分離し、該低比重物のうち、粒度が10μm以上300μm以下の選鉱用粒状物を、浮遊選鉱することを特徴とする。
なお、本明細書において、粒度とは、湿式手ふるい法やレーザー回折・散乱法によって粒状物の直径を測定した場合において、測定した粒状物の80重量%がそれ以下となる直径(いわゆる、P80(80%通過粒子径))を意味している。
第2発明のイリジウムの分離方法は、第1発明において、前記耐火物の素材が、ジルコニアであることを特徴とする。
第3発明のイリジウムの分離方法は、第1または第2発明において、前記選鉱用粒状物が、前記低比重物を粉砕したものであることを特徴とする。
第4発明のイリジウムの分離方法は、第1、第2または第3発明において、前記耐火物が、塊状の耐火物を粉砕したものであることを特徴とする。
第1発明によれば、イリジウムを濃縮して回収しているので、耐火物の量に対して、回収できるイリジウムの量を相対的に多くすることができる。しかも、一般的な選鉱に使用される比重選別と浮遊選鉱を行ってイリジウム含有量の多い粒状物を選択しているので、イリジウムを分離回収するために特別な薬品や装置を使用する必要がなく、イリジウムの分離回収が容易になる。
第2発明によれば、ジルコニアは高価かつ危険な薬品を使用しなければ溶解させることが困難であるが、かかるジルコニアに付着したり浸透したりしたイリジウムであっても、ジルコニアから効率よく分離し回収することができる。
第3発明によれば、低比重物を粉砕して、浮遊選鉱に適した粒度とすることができるので、浮遊選鉱において回収される粒状物に含まれるイリジウムの量を増加させることができる。
第4発明によれば、耐火物を粉砕して、比重選別に適した粒度とすることができるので、比重選別においてより多くの高比重物を回収することができる。
本発明のイリジウムの分離方法のフロー図である。
本発明は、イリジウムを含有する耐火物からイリジウムを分離する方法であって、塩酸等による浸出により耐火物からイリジウムを回収する前に、イリジウムを濃縮するようにしたことに特徴を有している。
本明細書において、「濃縮する」とは、塩酸浸出等の回収処理を行う耐火物(処理対象物)の重量に対する、その処理対象物中に含まれるイリジウムの重量割合を高くすることを意味している。
また、浸出では、塩酸による浸出だけでなく、塩素浸出、塩素気流中焙焼、塩酸と酸化剤とによる浸出などの工程も行われる。
なお、本発明のイリジウムの分離方法(以下、単に本発明の方法という)において、イリジウムが分離回収される耐火物の種類はとくに限定されない。例えば、電子材料などの結晶を合成する際に、かかる電子材料を熔解するために使用されるルツボの台座となる耐火煉瓦等を挙げることができる。
また、本発明の方法を採用できる耐火物の素材はとくに限定されず、例えば、ジルコニア、アルミナ、マグネシア等を挙げることができる。
とくに、本発明の方法では、最終的にイリジウムを回収する際に耐火物を溶解させないので、一般的な薬品では溶解させることが困難なジルコニアを素材とする耐火物からイリジウムを分離し回収する方法として適している。
(本発明のイリジウムの分離方法の説明)
本発明の方法では、処理すべき耐火物を濃縮する処理を行うことによって、イリジウムを回収する処理を行う処理対象物、つまり、イリジウムが濃縮された処理対象物を形成している。
本発明の方法では、濃縮する処理として、(1)処理すべき耐火物の破砕(破砕工程)、(2)破砕された粒状物の比重選別(比重選別工程)、(3)比重選別によって得られた低比重物の破砕分粒(分粒工程)、(4)選別された粒状物の浮遊選鉱(選鉱工程)、の4工程の処理を行っている。
図1に基づいて、簡単に、本発明の方法を説明する。
まず、処理すべき耐火物は、通常、煉瓦やブロック等の所定の形態に形成されており、この耐火物を所定の粒度となるように破砕する((1)破砕工程)。
破砕工程で破砕された耐火物の粒状物は、(2)比重選別工程において、高比重物と低比重物に選別される。
耐火物には均一にイリジウムが付着している訳ではないので、耐火物を破砕して形成された粒状物には、各粒状物が含有するイリジウムの量によって、各粒状物の比重が異なり、イリジウムの含有量が多い粒状物はその比重が大きくなる。
このため、高比重物として、イリジウムの含有量が多い粒状物(例えば、イリジウムの含有量が約10重量%程度)が得られ、イリジウムの含有量が少ない粒状物(例えば、イリジウムの含有量が数重量%程度)は低比重物として回収される。
回収された低比重物は再度破砕され、その後、所定の粒度の粒状物が選別され((3)分粒工程)、選別された粒状物は(4)選鉱工程において選鉱される。
すると、イリジウムを含有する粒状物を浮遊物として回収でき、かかる粒状物を、イリジウムを含有しない粒状物や極微量(例えば、イリジウムの含有量が0.1重量%以下)しかイリジウムを含有しない粒状物と分離できる。
そして、上記方法で得られた、高比重物および浮遊物を塩酸等で浸出すれば、イリジウムを回収することができる。
また、高比重物には高濃度にイリジウムが含まれており、浮遊物は、高比重物に比べて低比重ではあるが、比較的高濃度にイリジウムを含んでいる。すると、耐火物を破砕せずに塊の状態のまま塩酸等により浸出してイリジウムを回収する場合に比べて、耐火物の量に対する回収できるイリジウムの量を相対的に多くすることができる。しかも、使用する塩酸の量を少なくすることもできるから、耐火物からイリジウムを効率よく分離し回収することができる。
また、イリジウムの濃縮には、耐火物の破砕と、一般的な選鉱に使用される比重選別と浮遊選鉱を行っているだけであるので、イリジウムを分離回収するために特別な薬品や装置を使用する必要がないので、イリジウムの分離回収が容易になる。
(各工程の説明)
以下、各工程について、詳細に説明する。
((1)破砕工程)
上述したように、(1)破砕工程では、処理すべき耐火物は、まず、所定の粒度以下の粒状物となるように破砕される。
具体的には、粒状物の粒度が、100μm以上かつ5mm以下となるように破砕される。
粒度を5mm以下とするのは、粒状物が粗すぎると(粒度が5mm以上)、粒状物に含まれる耐火物の量が多くなりすぎ、次工程の(2)比重選別工程においてイリジウムを高濃度に含む粒状物を分離できず、回収できないイリジウムの量が増加するからである。
一方、粒度を100μm未満とすると、イリジウム以外の成分を多く含む粒状物(言い換えれば、イリジウムの含有量が少ない粒状物)が、イリジウム粒状物やイリジウムの含有量が多い粒状物と同じ挙動を示すようになる。すると、(2)比重選別工程において、高比重側の粒状物に、イリジウムを少量しか含有しない粒状物が多く混入するようになり、イリジウムを回収する効率が低下してしまう。しかも、粉砕に要するコストが増加してしまう。
よって、粒状物をその粒度が100μm以上かつ5mm以下となるように破砕することが好ましい。
とくに、粒状物の粒度を、200μm以上かつ1mm以下とすれば、回収されにくい細粒が減少するとともにイリジウム以外の物質を含む粗粒が減少し、分離精度が改善されるのでより好ましい。
また、耐火物を破砕し粒状物とする装置や方法はとくに限定されず、一般的な破砕機や粉砕機等を使用することができる。
さらに、耐火物が粒状物である場合、また、事前に粒状物となっている場合には、(1)破砕工程は行わなくてもよい。しかし、耐火物が粒状物となっていても、さらに粉砕して好ましい粒度に整えれば、イリジウム濃縮物の品位と実収率を向上させることができるので、より好ましい。
((2)比重選別工程)
(1)破砕工程において耐火物を破砕すると、高比重の粒状物と低比重の粒状物ができるので、比重選別工程では、(1)破砕工程において破砕された粒状物を、高比重の粒状物と低比重の粒状物に分離できる。
よって、高比重の粒状物を回収すれば、イリジウムが高濃度に濃縮されている粒状物を得ることができるから、この粒状物からイリジウムを回収すれば、イリジウムの回収効率を高くすることができる。
ここで、粒状物において、高比重の粒状物と低比重の粒状物ができるのは、耐火物におけるイリジウムの存在状態が異なるからである。
例えば、イリジウムの溶着している部分はイリジウムの膜厚が厚くなるので、粒度が100μm以上かつ5mm以下の粒状物とすれば、各粒状物中に存在するイリジウムの量が多くなり、高比重の粒状物となる。
一方、イリジウムが耐火物に浸透している部分は、耐火物中の空隙程度のイリジウム塊しかできないので、粒度が100μm以上かつ5mm以下の粒状物とした場合には、各粒状物中に存在するイリジウムの量は少なくなり、低比重の粒状物となるのである。
なお、(2)比重選別工程では、比重選鉱を行う一般的な装置を使用することができる。例えば、テーブル選鉱機やジグ選鉱機、各種の遠心式比重選鉱機等、市販の比重選鉱機などを使用することができ、粉砕する耐火物に応じて最適なものを選択して使用すればよい。
((3)分粒工程)
(3)分粒工程では、(2)比重選別工程で得られた低比重物をさらに粉砕して、得られた粉砕物を、所定の粒度の粒状物となるように分粒する。
具体的には、分粒して得られた粒状物の粒度が、10μm以上かつ300μm以下となるように分粒される。
粒度が300μm以上の粒状物が多くなると、次工程の(4)選鉱工程において粒状物が気泡にくっつかず浮遊させることができないので、イリジウムを含有する粒状物を回収できなくなる。しかも、粒度が300μm以上の粒状物が多くなると、回収された浮遊物において、イリジウム単体からなる粒状物の割合が低くなる。すると、回収された浮遊物のイリジウム濃度が低くなるので、かかる浮遊物からイリジウムを回収してもその回収効率が低下してしまう。
一方、粒度を10μm以上とするのは、細かい粒子は気泡に吸着されにくくなり、実収率が低下するためである。
とくに、粒状物の粒度は、20μm以上かつ150μm以下とすることが好ましい。かかる粒度の場合、粒径の小さいイリジウムの損失を少なくでき、イリジウム以外の成分が含まれる粗粒の割合が小さくなるので、高品位のイリジウム濃縮物が得られるので好ましい。
また、低比重物を破砕し粒状物とする装置や方法はとくに限定されず、一般的な破砕機や粉砕機等を使用することができる。
さらに、低比重物は、破砕せずに、そのまま分粒してもよい。しかし、低比重物を破砕すれば、微細な状態で存在するイリジウムやイリジウム酸化物を耐火物本体と分離することができ、(4)選鉱工程における浮遊選鉱によって耐火物から分離しやすくなるので、好ましい。
((4)選鉱工程)
(3)分粒工程において分粒して得られた粒状物は上記のごとき粒度になっているので、(4)選鉱工程では、かかる粒状物のうち、耐火物のみからなる粒状物やイリジウムの含有量が非常に少ない粒状物は残渣として沈降させることができ、イリジウムやイリジウム酸化物を気泡に付着させて浮遊させて、浮遊物として回収することができる。
すると、浮遊物として回収した粒状物におけるイリジウムの割合、つまり、回収した浮遊物の全重量に対するイリジウムの濃度(重量割合)を高くすることができる。
なお、浮遊選鉱では、気泡と共に粒状物を浮上させやすくするために、捕収剤が添加される場合があるが、イリジウムやイリジウム酸化物を含有する粒状物は疎水性を示す場合が多いので、一般には、捕収剤を添加する必要は無い。しかし、耐火物の使用状況など種々の条件によってイリジウムやイリジウム酸化物が親水性を示して円滑な分離が行い難くなる可能性も否定できない。
よって、粒状物が親水性を示すような場合には、粒状物の疎水性を増すために、捕収剤を添加してもよい。すると、粒状物の疎水性を増すことができるので、イリジウムを浮遊物として回収する効率を向上させることができる。捕収剤はとくに限定されないが、例えば、軽油等の鉱物油や各種市販されている捕収剤等を使用することができるが、上記機能を有するものであれば、とくに限定されない。
また、浮遊選鉱を一回行っただけでは、十分にイリジウムを濃縮することができない可能性があるが、かかる場合には、浮遊選鉱で回収された粒状物に対して、浮遊選鉱することを繰り返すことが好ましい。すると、最終的に回収された粒状物におけるイリジウムおよびその酸化物の品位を十分に高めることができる。
さらに、浮遊選鉱の際に生成された残渣、つまり、沈降物を、再度上述した(3)分粒工程に供給して粉砕分粒するようにしてもよい。すると、沈降物として廃棄されるイリジウムの量をより少なくすることができるので、イリジウムの回収率をより一層改善することができる。
(その他)
また、本発明の方法によってイリジウムを濃縮した処理対象物からイリジウムを回収する方法として、塩酸浸出によって回収する方法を採用することができるが、その他の公知の方法によって回収することも可能である。例えば、焙焼炉内に入れて焙焼すれば、安価かつ容易に粗イリジウムメタルとして更に濃縮でき、この粗メタルを精製し、精製イリジウムとして回収することができる。
本発明の方法の有効性を確認するために、耐火物を本発明の方法によって処理し、処理した処理物からイリジウムを回収し、その回収効率を確認した。
実験に使用した耐火物は、イリジウムが固着したジルコニア製の廃耐火物(2kg)であり、フッ酸で全溶解して化学分析によって求めた耐火物全体の平均イリジウム品位は0.8重量%に相当するものであった。
本実施例では、上記の廃耐火物を以下のように処理した。
まず、廃耐火物を磁器ポットミルとアルミナボールを用いて、粒度が300μm以下となるように粉砕した。粉砕後、粉砕物407gを分取し、ネルソン社製KC−MD3型ネルソン選鉱機に供給して、粉砕物を高比重物と低比重物とに分離した。
なお、ネルソン選鉱機は、内部のボールが高速回転し、ボールの周囲から注入されるベッド水によって高比重物の淘汰能力を高めた遠心式の比重分離選鉱装置である。本実施例の実験条件は、ボール回転数390rpmであり、その他の条件は、常温、ボールへのベッド水流量6リットル/分である。また、試料は水でリパルプし、シャワーで押し流しながら徐々に供給した。
上記条件で分離すると、高比重物14.1gが回収された。この高比重物をフッ酸で全溶解してICPによりイリジウム品位を測定したところ10.6%であった。この分析値より計算した高比重物の重量分布率は3.5%であってイリジウムの重量分布率は45.2%となり、高比重物中にイリジウムが濃縮されていることが確認できた。
なお、高比重物の重量分布率とは、高比重物の重量を粉砕物の重量(407g)で除して求めた百分率である。また、ここでいうイリジウムの重量分布率とは、高比重物中のイリジウムの重量を供給試料中のイリジウムの重量で除して求めた百分率である。
また、粉砕物は300μm以下の粒度に粉砕されているので、ネルソン選鉱機で分離された低比重物の粒度も300μm以下となっている。
よって、この低比重物をそのままアジテア式浮選試験機に投入し、同時に水を加えてパルプ濃度、つまり、水と粉砕物とからなるスラリーの濃度が20重量%となるように調整した。
そして、起泡剤として界面活性剤であるMIBC(メチルイソブチルカービノール)を33g/tの濃度となるように添加し、7分間浮選すると、粗浮選濃縮物47.8gが得られた。
得られた粗浮遊選濃縮物を再びアジテア式浮選試験機に投入し、3分ずつ2回浮選を行いそれぞれ浮上物を回収して、最終浮選濃縮物24.7gを得た。
なお、アジテア式浮選試験機は、スタビライザーと呼ばれる邪魔板を放射状に配した矩形の容器と櫛型のインペラを備える機械式浮選機であり、鉱物の選鉱において一般的に使用される浮選機と基本的に同一の作用を有するものである。
この最終浮選濃縮物をフッ酸で全溶解してICPにより分析したところ、イリジウムを3.9重量%含んでいた。この測定値より、最終浮選濃縮物の重量分布率は9.4%であり、イリジウムの重量分布率は45.1%であった。
そして、ネルソン選鉱機の高比重物と最終浮選濃縮物を合計すると、重量分布率は12.9%であり、イリジウム品位の算術平均が5.7%であることからイリジウムの総合回収率は90.3%となりイリジウムを高効率に回収できた。
以上のごとく、本発明の方法によって耐火物からイリジウムを回収すると、イリジウムの回収効率を高くできることが確認できた。
本発明のイリジウムの分離方法は、イリジウムが付着したり浸透したりしたイリジウムを含有するルツボやアルミナ、ジルコニア、マグネシア等の耐火物や石英、ケイ酸塩鉱物類等からイリジウムを濃縮して分離する方法として適している。

Claims (4)

  1. イリジウムを含有する耐火物からイリジウムを分離回収する方法であって、
    粒度が100μm以上5mm以下の粒状物である耐火物を比重選別して、高比重物と低比重物とに分離し、
    該低比重物のうち、粒度が10μm以上300μm以下の選鉱用粒状物を、浮遊選鉱する
    ことを特徴とするイリジウムの分離方法。
  2. 前記耐火物の素材が、ジルコニアである
    ことを特徴とする請求項1記載のイリジウムの分離方法。
  3. 前記選鉱用粒状物が、
    前記低比重物を粉砕したものである
    ことを特徴とする請求項1または2記載のイリジウムの分離方法。
  4. 前記耐火物が、
    塊状の耐火物を粉砕したものである
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載のイリジウムの分離方法。
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