JP5160372B2 - レーザ顕微鏡装置 - Google Patents
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Description
本発明は、極短パルスレーザ光を発生するレーザ光源と、該レーザ光源から発せられた極短パルスレーザ光を2つの光路に分岐する分岐手段と、前記2つの光路を導光されてきた極短パルスレーザ光を合波する合波手段と、該合波手段により合波された極短パルスレーザ光を標本に照射する照射手段と、前記レーザ光源と前記分岐手段との間に設けられ、前記レーザ光源から発せられた極短パルスレーザ光の周波数分散量を調節する第1の周波数分散調節手段と、前記分岐手段によって分岐された2つの光路のいずれか一方に設けられ、前記2つの光路を導光される極短パルスレーザ光に前記標本中の分子の特定の振動周波数に略等しい周波数差を与える周波数変換手段と、前記分岐手段と前記周波数変換手段との間に設けられ、前記周波数変換手段に導光される極短パルスレーザ光の周波数分散量を調節する第2の周波数分散調節手段とを備えるレーザ顕微鏡装置を採用する。
このようにすることで、第2の周波数分散調節手段によって、極短パルスレーザ光の周波数分散量を調節し、周波数変換手段に導光される直前において略フーリエ限界パルスを達成することができる。これにより、周波数変換手段における周波数変換を効率良く行うことができ、結果的にコヒーレントアンチストークスラマン散乱光を効率良く発生させることが可能となる。
これにより、標本面上において2つの極短パルスレーザ光のタイミングを調整し、標本中の分子の特定の振動周波数に一致させるように2つの極短パルスレーザ光のタイミングを調整することができる。これにより、効率的にコヒーレントアンチストークスラマン散乱光を発生させることが可能となる。また、周波数差を任意に調整することで、標本中の別の分子の振動周波数に一致させることも可能となる。
周波数変換手段としてフォトニッククリスタルファイバを用いることにより、簡易かつ安価に、周波数分散が与えられた広い周波数スペクトル帯域を有するパルスレーザ光を得ることが可能となる。また、用いるフォトニッククリスタルファイバの種類を選定することで、さまざまな周波数スペクトル成分および帯域を有するパルスレーザ光を得ることができる。このため、標本中の分子のさまざまな振動周波数に一致させるように、2つのパルスレーザ光の周波数差を調整することが可能となる。
第2の周波数分散調節手段として線形分散ガラス媒質を用いることにより、簡易かつ安価に、周波数変換手段に導光される直前において略フーリエ限界パルスを達成することができる。これにより、周波数変換手段における周波数変換を効率良く行うことができ、結果的にコヒーレントアンチストークスラマン散乱光を効率良く発生させることが可能となる。
このようにすることで、光量調節手段を作動させて、各光路の極短パルスレーザ光の光量を調節し、コヒーレントアンチストークスラマン散乱光および/または多光子蛍光の発生強度を調整することで、最適な画像で観察を行うことができる。
本実施形態に係るレーザ顕微鏡装置1は、図1に示されるように、レーザ光源装置2と、レーザ光源装置2からのレーザ光を標本Aに照射して標本Aを観察するための顕微鏡本体(照射・観察手段)3とを備えている。
第1の周波数分散装置9は、例えば、相互の間隔を調節可能な一対のプリズム(図示略)と、ミラー(図示略)とを備えている。一対のプリズムを通過したフェムト秒パルスレーザ光は、ミラーによって折り返された後に再度プリズム対を通過し同一の光路上に戻されるようになっている。この場合に、プリズムの間隔を調節することにより、第1の周波数分散装置9を通過するパルスレーザ光に与える周波数分散量を調節することができるようになっている。また、上記プリズム対の代わりに回折格子対(図示略)を用いてもよい。
まず、本実施形態に係るレーザ顕微鏡装置1を使用して、コヒーレントアンチストークスラマン散乱光による標本Aの観察を行う場合について以下に説明する。
レーザ光源4を作動させてフェムト秒パルスレーザ光を出射させると、レーザ光源4から発せられたフェムト秒パルスレーザ光は、第1の周波数分散装置9を通過されることにより、初期の周波数分散量が与えられる。
第1の光路6に分岐されたパルスレーザ光L1は、第1の光路6に導光されてレーザコンバイナ8に入射する。
また、2つの光路6,7のパルスレーザ光L1,L2’’の周波数差Ω’を、時間軸上の各時刻において、標本A中の分子の特定の振動周波数Ωに一致させることで、パルスレーザ光L1,L2’’のエネルギーを効率的に標本A中の分子の特定の振動周波数Ωからのコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の発生に利用することができる。このように発生したコヒーレントアンチストークスラマン散乱光を時間積算することにより、明るいコヒーレントアンチストークスラマン散乱光画像を得ることができる。
また、パルスタイミング調節手段として、ミラー(リフレクタ)を有する光路調節装置21を採用することで、装置を簡易かつ安価に構成することができる。
この場合には、第1の周波数分散装置9を作動させることにより、図4(a)の矢印P3に示すように、第1の光路6を通過するパルスレーザ光L1に与える周波数分散量を調節する。具体的には、図4(b)に示すように、パルスレーザ光L1が標本A面において略フーリエ限界パルスに近づくようにパルスレーザ光L1の周波数分散量を設定する。このように設定されたパルスレーザ光L1を集光レンズ13により標本Aに集光することで、標本Aにおける集光位置において多光子励起効果を効率よく発生させ、明るい蛍光を得ることができる。
また、多光子励起型の蛍光観察と同様の条件で、SHG光(第二高調波光)観察も行うことができる。
また、周波数変換手段はフォトニッククリスタルファイバ11であるとして説明したが、これに代えて、同様の機能・作用を持つ、バルク、薄膜、フィルム、フォトニック結晶構造体のいずれかを用いても良い。
L1,L2 フェムト秒パルスレーザ光
L1’,L2’,L2’’ パルスレーザ光
Ω,Ω’ 周波数(差)
1 レーザ顕微鏡装置
2 レーザ光源装置
3 顕微鏡本体(照射・観察手段)
4 レーザ光源
5 ビームスプリッタ(分岐手段)
6,7 光路
8 レーザコンバイナ(合波手段)
9 第1の周波数分散装置(第1の周波数分散調節手段)
10 第2の周波数分散装置(第2の周波数分散調節手段)
11 フォトニッククリスタルファイバ(周波数変換手段)
21 光路調節装置(パルスタイミング調節手段)
Claims (6)
- 極短パルスレーザ光を発生するレーザ光源と、
該レーザ光源から発せられた極短パルスレーザ光を2つの光路に分岐する分岐手段と、
前記2つの光路を導光されてきた極短パルスレーザ光を合波する合波手段と、
該合波手段により合波された極短パルスレーザ光を標本に照射する照射手段と、
前記レーザ光源と前記分岐手段との間に設けられ、前記レーザ光源から発せられた極短パルスレーザ光の周波数分散量を調節する第1の周波数分散調節手段と、
前記分岐手段によって分岐された2つの光路のいずれか一方に設けられ、前記2つの光路を導光される極短パルスレーザ光に前記標本中の分子の特定の振動周波数に略等しい周波数差を与える周波数変換手段と、
前記分岐手段と前記周波数変換手段との間に設けられ、前記周波数変換手段に導光される極短パルスレーザ光の周波数分散量を調節する第2の周波数分散調節手段と
を備えるレーザ顕微鏡装置。 - 前記第2の周波数分散調節手段が、前記周波数変換手段に導光される極短パルスレーザ光が略フーリエ限界パルスに近づくように周波数分散量を調節する請求項1に記載のレーザ顕微鏡装置。
- 前記2つの光路の少なくとも一方に、前記標本面上における極短パルスレーザ光の時間的タイミングを調節するパルスタイミング調節手段を備える請求項1または請求項2に記載のレーザ顕微鏡装置。
- 前記周波数変換手段が、フォトニッククリスタルファイバである請求項1から請求項3のいずれかに記載のレーザ顕微鏡装置。
- 前記第2の周波数分散調節手段が、線形分散ガラス媒質である請求項1から請求項4のいずれかに記載のレーザ顕微鏡装置。
- 前記2つの光路に、極短パルスレーザ光の光量を調節する光量調節手段が設けられている請求項1から請求項5のいずれかに記載のレーザ顕微鏡装置。
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