JP5160283B2 - 評価用試料の通電特性試験装置 - Google Patents
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本発明は、上記状況に鑑みて、評価用試料の通電試験を迅速、かつ的確に行うことができる評価用試料の通電特性試験装置を提供することを目的とする。
〔1〕評価用試料の通電特性試験装置において、超電導ソレノイド磁石装置(1)の室温ボア(4)中に評価用試料(12)を取付けた評価ステージ(11)を挿入し、試料冷却用冷凍機(30)と試料通電用電流リード(17)を含む通電回路からなるクライオスタットで構成し、前記評価用試料(12)に印加する磁場強度、試料温度および通電電流を任意に制御可能な手段を備える評価用試料の通電特性試験装置であって、前記評価用試料(12)の両端に発生する電圧を測定することによって、前記評価用試料(12)が超電導材料である場合には前記超電導材料が常電導転移する臨界電流密度を、前記評価用試料(12)が金属材料である場合には抵抗率の磁場・温度依存性又は残留抵抗比を計測することを特徴とする。
〔3〕上記〔2〕記載の評価用試料の通電特性試験装置において、前記評価ステージ(11)の絶縁体(11E)にガラス繊維を含む複合材料を用いた場合、前記ガラス繊維をクロス巻きまたはフィラメントワインディング巻きとすることにより、前記評価ステージ(11)の径方向の異方性を無くし、冷却時における変形を抑制し、前記評価ステージ(11)にセットされる評価用試料(12)に機械的ダメージを与えないようにしたことを特徴とする。
〔5〕上記〔4〕記載の評価用試料の通電特性試験装置において、前記評価ステージ(11)の多角柱には中心を通る回転軸(11A)を設け、低融点金属(11G)を介して、前記通電回路に電気的・機械的・熱的に接続することにより、前記評価ステージ(11)の磁場印加角度を設定可能にしたことを特徴とする。
〔7〕上記〔1〕又は〔6〕記載の評価用試料の通電特性試験装置において、超電導ソレノイド磁石(3)の強力な磁場が前記試料冷却用冷凍機(30)の駆動用モータに悪影響を与えないように、前記超電導ソレノイド磁石(3)の磁場中心から前記駆動用モータを十分な距離に離したことを特徴とする。
〔9〕上記〔8〕記載の評価用試料の通電特性試験装置において、前記モータが超音波モータであることを特徴とする。
〔13〕上記〔1〕記載の評価用試料の通電特性試験装置において、前記試料通電用電流リード(17)の熱アンカ部(20A)に熱容量を持たせることにより、前記試料通電用電流リード(17)の電流通電時のジュール発熱による温度上昇を抑制することを特徴とする。
〔15〕上記〔14〕記載の評価用試料の通電特性試験装置において、前記高温超電導電流リードの高温端にあたる部分に熱容量が大きい部材(20A)を設け、前記高温超電導電流リードの通電時の限界温度に対する安定性を確保したことを特徴とする。
〔17〕上記〔1〕記載の評価用試料の通電特性試験装置において、超電導ソレノイド磁石(104)と、前記評価用試料を取り付けた評価ステージ(106)、前記試料冷却用冷凍機(113)および前記試料通電用電流リード(111)を含む通電回路を、一つの真空容器(101)内に収納することを特徴とする。
(1)評価用試料の通電試験を迅速、かつ的確に行うことができる。
(2)評価ステージの構成を改良することにより、分流を防止し、評価用試料が超電導材料の場合には臨界電流を正確に測定することができる。
(3)評価ステージの構成を改良することにより、評価ステージ上にセットされた評価用試料へのひずみを抑制することができる。
(5)試料の取り外しや再接続による機械的・熱的なダメージを防止することができる。
(6)評価ステージの位置を自動的に制御することができる。
(7)試料冷却用冷凍機の駆動モータに対する超電導ソレノイド磁石による強磁場の影響を抑えることができる。
(9)超電導ソレノイド磁石の磁場中心から冷凍機を十分な距離離すことにより、超電導ソレノイド磁石の磁場の影響を軽減することができる。
(11)冷凍機コールドヘッドの軸方向に力を作用させることで、冷凍機シリンダの変形を防止させることができる。
(12)試料冷却用冷凍機のコールドヘッド直近に熱容量(熱バッファ)をもたせることにより、ヒータによる温度制御時の熱の変動を小さくし、温度調整を容易にすることができる。
(14)試料通電用電流リードを高温超電導電流リードとすることで、この高温超電導電流リードの大電流によるジュール発熱を低減し、評価用試料を安定的に冷却することができる。
(16)評価用試料の電圧計測線を撚線(ループを形成しない線)とすることにより、強磁場での臨界電流測定精度を向上させることができる。
(18)真空容器から評価ステージを接続する断熱支持材の形状を、三角錐または円筒形状の複数本で三角錐のように構成することにより、断熱支持距離を長くし、評価用試料に作用する電磁力を支持可能とすることができる。
図1は本発明の実施例を示す評価用試料の通電特性試験装置の要部正面図、図2はその評価用試料の通電特性試験装置の要部側面図、図3は図2のA−A線断面図、図4は図2のB−B線断面図、図5は図2のC−C線断面図、図6はその評価用試料の通電特性試験装置の上面図である。
さらに、超電導ソレノイド磁石3の強力な磁場が、試料冷却用2段冷凍機30自身の動作に悪影響を及ぼさないようにするため、超電導ソレノイド磁石3の磁場中心から試料冷却用2段冷凍機30を十分な距離に離しつつ、超電導ソレノイド磁石3による磁場中心に配置した評価用試料12を効果的に冷却するように、評価用試料12と試料冷却用2段冷凍機30の低温端との間に、熱伝導率が高く、断面積の大きい部材を配置し、効果的な伝熱経路を確保するようにした。
ここで、評価用試料12をセットする評価ステージ11周りの詳細について説明する。
図7は本発明の実施例を示す評価用試料の通電特性試験装置の評価ステージとその周りを示す正面図、図8はその評価ステージとその周りを示す側面図、図9はその評価ステージとその周りを示す裏面図、図10はその評価ステージの側面図である。
図11は本発明の評価用試料の通電特性試験装置の評価ステージの回転態様を示す図である。
このように、評価ステージ11は多角柱とし、この多角柱の評価用試料12を配置する一面と超電導ソレノイド磁石3による印加磁場方向とを調整可能にすることにより、評価用試料12の磁場印加角度を正確に設定することができる。
さらに、評価用ステージ11には、上記したように、回転軸11Aおよび駆動用モータ(図示なし)、位置検知センサ11Bが配置されているので、評価用試料12の位置制御を自動的に行うことができる。
図12は本発明の他の実施例を示す評価用試料の通電特性試験装置の全体模式図、図13は図12の断熱荷重支持材の変形例を示す図である。
この図において、101は外槽真空容器、102は外槽フランジ、103は熱シールド、104は超電導ソレノイド磁石、105はセカンドステージ、106は評価ステージ、107,109は断熱荷重支持材、108はファーストステージ、110は通電電流用端子、111は試料通電用電流リード、112は試料通電用電極、113はセカンド(低温側)ステージの試料冷却用2段冷凍機、114はファースト(高温側)ステージの冷却用1段冷凍機である。
これにより、外槽真空容器の一体化と、評価ステージ106を挿入する室温ボア径の拡大を図ることができ、評価用試料の寸法を大きくとることができる。
この図において、201は外槽真空容器、202は超電導ソレノイド磁石、203は熱シールド、204はセカンドステージ、205は評価用試料(図示なし)を取り付けた評価ステージ、206,212は断熱荷重支持材、207,207′はセカンド(低温側)ステージの2台の試料冷却用2段冷凍機、208,208′はファースト(高温側)ステージを冷却する中間温度冷却用冷凍機としての2台の冷却用1段冷凍機、209は通電電流用端子、210は試料通電用電流リード、211は試料通電用電極、213はファーストステージである。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
2 断熱容器
2A,32 フランジ
3,104,202 超電導ソレノイド磁石
4 室温ボア
5,10A,103,203 熱シールド
10 評価用試料装置
11,106,116,205 評価ステージ
11A 回転軸
11B 位置検知センサ
11C 温度検知センサ
11D 電圧計測線
11E GFRP絶縁ベース
11F 導体端子(Cu端子)
11G 低融点金属
11H 螺子
12 評価用試料
13 ブスバー
14 熱アンカ機構
14A 2段側熱アンカ
14B 2段側熱アンカベース
14C フレキシブル伝熱板
15 試料温調用ヒータ
16 熱アンカベースサポート
16A 2段側熱バッファ
17 試料通電用電流リード(HTSリード)
18 2段側伝熱板
19 ヒータ
20 1段側ヒータ温調付き熱バッファ
20A 1段側PL熱アンカ
21 シールド上板
22 1段側伝熱板
23 2段側ヒータ温調付き熱バッファ
24 1段冷凍機コールドヘッド
25 熱シールドサポート
26 2段冷凍機コールドヘッド
27,27′ 低温側電流リード(低温側PL)
28,28′ 高温側電流リード(高温側PL)
29A 電流端子(+)
29B 電流端子(−)
30 試料冷却用2段冷凍機
31 試料冷却用1段冷凍機
33,34 計測用ポート
35 排気ポート
101,201 外槽真空容器
102 外槽フランジ
105,204 セカンドステージ
107,109,206,212 断熱荷重支持材
108,213 ファーストステージ
110,209 通電電流用端子
111,210 試料通電用電流リード
112,211 試料通電用電極
113 試料冷却用2段冷凍機
114 冷却用1段冷凍機
115 三角柱
117 円柱
207,207′ 2台の試料冷却用2段冷凍機
208,208′ 2台の冷却用1段冷凍機
Claims (19)
- 超電導ソレノイド磁石装置の室温ボア中に評価用試料を取付けた評価ステージを挿入し、試料冷却用冷凍機と試料通電用電流リードを含む通電回路からなるクライオスタットで構成し、前記評価用試料に印加する磁場強度、試料温度および通電電流を任意に制御可能な手段を備える評価用試料の通電特性試験装置であって、前記評価用試料の両端に発生する電圧を測定することによって、前記評価用試料が超電導材料である場合には前記超電導材料が常電導転移する臨界電流密度を、前記評価用試料が金属材料である場合には抵抗率の磁場・温度依存性又は残留抵抗比を計測することを特徴とする評価用試料の通電特性試験装置。
- 請求項1記載の評価用試料の通電特性試験装置において、前記評価ステージは絶縁体の両端部に導体端子を設けて構成し、該導体端子に超電導材料を電気的に接続することにより、前記超電導材料が常電導転移したときの発生電圧を測定することを特徴とする評価用試料の通電特性試験装置。
- 請求項2記載の評価用試料の通電特性試験装置において、前記評価ステージの絶縁体にガラス繊維を含む複合材料を用いた場合、前記ガラス繊維をクロス巻きまたはフィラメントワインディング巻きとすることにより、前記評価ステージの径方向の異方性を無くし、冷却時における変形を抑制し、前記評価ステージにセットされる評価用試料に機械的ダメージを与えないようにしたことを特徴とする評価用試料の通電特性試験装置。
- 請求項1、2又は3記載の評価用試料の通電特性試験装置において、前記評価ステージを多角柱とし、該多角柱を回転可能にすることで、該多角柱の一面と超電導ソレノイド磁石による印加磁場方向を調整可能にし、前記評価用試料への磁場印加角度を設定可能とすることを特徴とする評価用試料の通電特性試験装置。
- 請求項4記載の評価用試料の通電特性試験装置において、前記評価ステージの多角柱には中心を通る回転軸を設け、低融点金属を介して、前記通電回路に電気的、機械的、熱的に接続することにより、前記評価ステージの磁場印加角度を設定可能にしたことを特徴とする評価用試料の通電特性試験装置。
- 請求項1、2、3、4又は5記載の評価用試料の通電特性試験装置において、前記評価ステージに駆動用モータ及び位置検知センサを取付け、前記評価ステージの位置を自動的に制御する手段を具備することを特徴とする評価用試料の通電特性試験装置。
- 請求項1又は6記載の評価用試料の通電特性試験装置において、超電導ソレノイド磁石の強力な磁場が前記試料冷却用冷凍機の駆動用モータに悪影響を与えないように、前記超電導ソレノイド磁石の磁場中心から前記駆動用モータを十分な距離に離したことを特徴とする評価用試料の通電特性試験装置。
- 請求項1又は6記載の評価用試料の通電特性試験装置において、前記試料冷却用冷凍機の駆動用モータに磁場の影響が及ばないモータを用いたことを特徴とする評価用試料の通電特性試験装置。
- 請求項8記載の評価用試料の通電特性試験装置において、前記モータが超音波モータであることを特徴とする評価用試料の通電特性試験装置。
- 請求項1記載の評価用試料の通電特性試験装置において、前記超電導ソレノイド磁石の強力な磁場が前記試料冷却用冷凍機の動作に悪影響を及ぼさないようにするため、前記超電導ソレノイド磁石の磁場中心から前記試料冷却用冷凍機を十分な距離に離しつつ、前記超電導ソレノイド磁石による磁場中心に配置した前記評価用試料を効果的に冷却するように、該評価用試料と前記試料冷却用冷凍機の低温端の間に、熱伝導率が高く断面積の大きい部材を配置し、効果的な伝熱経路を確保したことを特徴とする評価用試料の通電特性試験装置。
- 請求項10記載の評価用試料の通電特性試験装置において、前記効果的な伝熱経路として、前記試料冷却用冷凍機のコールドヘッドに熱伝導率の高い部材を吊り下げることにより、断面積が大きくなっても、前記試料冷却用冷凍機のコールドヘッドの軸方向に力を作用させることにより、前記試料冷却用冷凍機のシリンダの変形を防止することを特徴とする評価用試料の通電特性試験装置。
- 請求項1記載の評価用試料の通電特性試験装置において、前記試料冷却用冷凍機のコールドヘッド直近に熱容量をもたせることにより、ヒータによる温度制御時の熱の変動を小さくし、温度調整を容易にしたことを特徴とする評価用試料の通電特性試験装置。
- 請求項1記載の評価用試料の通電特性試験装置において、前記試料通電用電流リードの熱アンカ部に熱容量を持たせることにより、前記試料通電用電流リードの電流通電時のジュール発熱による温度上昇を抑制することを特徴とする評価用試料の通電特性試験装置。
- 請求項1記載の評価用試料の通電特性試験装置において、前記試料通電用電流リードを高温超電導電流リードとなし、該高温超電導電流リードの大電流によるジュール発熱を低減し、前記評価用試料を安定的に冷却可能としたことを特徴とする評価用試料の通電特性試験装置。
- 請求項14記載の評価用試料の通電特性試験装置において、前記高温超電導電流リードの高温端にあたる部分に熱容量が大きい部材を設け、前記高温超電導電流リードの通電時の限界温度に対する安定性を確保したことを特徴とする評価用試料の通電特性試験装置。
- 請求項1記載の評価用試料の通電特性試験装置において、前記評価用試料の電圧計測線を撚り線とするようにしたことを特徴とする評価用試料の通電特性試験装置。
- 請求項1記載の評価用試料の通電特性試験装置において、超電導ソレノイド磁石と、前記評価用試料を取り付けた評価ステージ、前記試料冷却用冷凍機および前記試料通電用電流リードを含む通電回路を、一つの真空容器内に収納することを特徴とする評価用試料の通電特性試験装置。
- 請求項1記載の評価用試料の通電特性試験装置において、真空容器から前記評価ステージを接続する断熱荷重支持材の形状を、三角錐または円筒形状の複数本を三角錐体として構成することにより、断熱支持距離を長くし、前記評価ステージにセットされる評価用試料に作用する電磁力を支持可能とすることを特徴とする評価用試料の通電特性試験装置。
- 請求項1記載の評価用試料の通電特性試験装置において、評価試料冷却用冷凍機と中間温度冷却用冷凍機をそれぞれ複数台備えることを特徴とする評価用試料の通電特性試験装置。
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