JP5160049B2 - ヘスペリジン組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ヘスペリジンを含有する組成物に関する。
人々の健康志向を背景に、食品中に含まれる種々の成分の生理機能について、関心が高まってきている。生理機能を有する素材の一つとして、ヘスペリジンが挙げられる。ヘスペリジンは、柑橘類、特にミカンに多く含まれるフラバノン骨格を有するフラボノイドの一種で、例えば血行促進作用、リウマチ症状改善作用、抗ウイルス作用、骨形成促進作用等を有することが知られている(特許文献1〜4)。更に、ヘスペリジンとその誘導体を組合せることで、生理効果が増大することが見出され、食品や医薬品への応用が記載されている(特許文献5)。また、ヘスペリジン類には、高度甘味料の甘味持続性を低減する作用や、野菜飲料や生薬類の青臭み、渋味、酸味低減作用及び不快味の低減作用等を有することが知られている(特許文献6〜9)。
ところが、ヘスペリジンはアルカリ性水溶液には溶解するものの、中性〜酸性水溶液には殆ど溶解しない。このため、食品への加工適性は極めて低く、特に、ミカン加工産業では沈殿が発生して切実な問題となっている。そこで、ヘスペリジンに糖を結合する技術が提案されているが、製造工程が複雑でコストが高いため、飲料や缶詰に少量しか使用されていないのが現状である(特許文献10〜12、非特許文献1)。このほか、ヘスペリジンの沈殿防止にメチルセルロースを用いる技術やフラボノイドの水溶性を高めるためにサイクロデキストリンを用いる技術が公知であるが、効果の点で十分とは言えない(特許文献13、14、非特許文献2)。
特開平11-171778号公報 特開2004-2284号公報 特開2004-123753号公報 国際公開2004/2496号パンフレット 特開2000-78955号公報 特開平11-318379号公報 特開平8-256725号公報 米国特許4031265号明細書 米国特許4154862号明細書 特開平3-7593号公報 特開平8-80177号公報 特開平10-323196号公報 特開平2-268643号公報 特開平9-309902号公報 日本食品科学工学会誌,45(3),186(1998年) 農産加工技術研究会誌,7(5),213(1960年)
上述したようにヘスペリジンに糖を結合したもの(以下、「ヘスペリジン糖付加物」と記載する)は、ミカン果汁のように、元々ヘスペリジンが溶解しているものについて、沈殿物が生じるのを防止するのに有用である。しかし、ヘスペリジンが存在しないものに、ヘスペリジンとヘスペリジン糖付加物を別の物質として添加しても、ヘスペリジンは水に溶解せず、食品加工時の作業性が著しく乏しいことが明らかとなった。
本発明の目的は、有用な生理機能を有するヘスペリジンの水溶性を向上し、食品加工時の作業性が顕著に改善されたヘスペリジン組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく検討した結果、ヘスペリジン及びヘスペリジン糖付加物を特定の割合で配合し、アモルファス状態とすることにより、ヘスペリジンの水溶性が向上し、食品加工時の作業性が改善した有用な生理機能を有するヘスペリジン組成物が得られることを見出した。更に、該組成物を食品に添加すると、塩味の持続性が増強することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、ヘスペリジン(A)とヘスペリジン糖付加物(B)とを含有する組成物において、(A)と(B)との質量比が90:10〜20:80であり、該組成物がアモルファス状態であることを特徴とするヘスペリジン組成物を提供するものである。
本発明によれば、ヘスペリジンを含有させたものであるにもかかわらず水溶性が向上し、食品加工時の作業性が改善されたヘスペリジン組成物を得ることができる。また、血圧降下作用等の有用な生理機能を有するヘスペリジンの食品への応用が可能となる。更に、塩味の持続性が増強することから、ナトリウム量が少ない食品の設計、製造が可能となる。
本発明のヘスペリジン組成物においては、(A)ヘスペリジン及び、(B)ヘスペリジン糖付加物を含有し、アモルファス状態であることが必要である。また、本発明においては、(A)及び(B)が均一に固体となったものがアモルファス状態となっていることが好ましい。
本発明において、(A)ヘスペリジンとは、ヘスペレチン(5,7,3’−トリヒドロキシ−4’−メトキシフラバノン)の7位の水酸基にルチノース(L−ラムノシル−(α1→6)−D−グルコース)がβ結合したもののことである(「食品の変色の化学」木村進ら編著、光琳、平成7年)。ヘスペリジンは、ミカン果皮から抽出したものを用いることができる。市販品として、ヘスペリジン(浜理薬品)等が挙げられる。
本発明において、(B)ヘスペリジン糖付加物とは、(A)ヘスペリジンに、糖が結合したもののことで、ヘスペリジンと糖を含有する溶液に糖転移酵素を作用させることで、得ることができる(例えば、特開平3-7593号公報等)。なお、ヘスペリジンはヘスペレチンをアグリコンとし、これに糖が結合した配糖体であるが、これと区別するため、配糖体であるヘスペリジンに更に糖が結合したものを、本発明においては「ヘスペリジン糖付加物」と表記する。
ヘスペリジンに結合する糖としては、グルコース、マルトース、フルクトース、ラムノース、ラクトースなどが例示されるが、ヘスペリジン1モルに対し、グルコースが1〜10モル付加したものが好ましく、特にグルコース1分子がα結合したものが、水溶性、作業性、食感の点で好ましい。市販品として、αG−ヘスペリジンPA−T(東洋精糖)等が挙げられる。
本発明のヘスペリジン組成物は、(A)ヘスペリジンと(B)ヘスペリジン糖付加物との質量比が90:10〜20:80であり、好ましくは70:30〜20:80、より好ましくは60:40〜25:75、更に55:45〜30:70、特に50:50〜35:65、殊更45:55〜40:60であるのが、水溶性、作業性、食感の点で好ましい。
本発明において、(A)、(B)の含有量、質量比は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、測定することができる(Biosci. Biotech. Biochem.,58(11),1990,1994年)。
本発明の組成物には、成分(A)及び(B)の他に、更に、メチルヘスペリジン、ヘスペリジナーゼ(ラムノシダーゼ)処理してヘスペリジンからラムノースを除去したもの、ヘスペレチンなどのヘスペリジン類を含有してもよい。
本発明において、ヘスペリジン組成物はアモルファス状態であることが必要である。アモルファス状態とは、球状や針状といったような結晶性を持たない固体物質を指し、粉末X線回折のスペクトルがブロードのものをいう。逆に、結晶性を有し、規則的な繰返し構造を有しているものは、粉末X線回折のスペクトルに、鋭い凹凸が発現する。
本発明において、ヘスペリジン組成物の粉末X線回折で、回折角(2θ)が20.5°での回折強度と20.9°での回折強度との比を次の式(1)のようにRaと定義する。
Ra=回折角20.5°での回折強度/回折角20.9°での回折強度 (1)
ここで、式(1)における回折強度は、回折角(2θ)5〜6°における回折強度の極小値をベースラインとし、20.5°での回折強度及び、20.9°での回折強度から、ベースライン値を差し引いた値である。
本発明においては、Raが1.04以下であることが好ましく、更に0.8〜1.02、特に0.85〜0.98、殊更0.9〜0.93であるのが、溶解性、作業性の点で好ましい。上記Raの規定は、粉末X線回折のスペクトルに、規則的な構造(結晶性)に由来する鋭い凹凸が発現せず、ブロードとなり、アモルファス状態であることを示唆するものである。
本発明において、ヘスペリジン組成物の粉末X線回折で、回折角(2θ)が17.7°での回折強度と16.5°での回折強度との比を次の式(2)のようにRbと定義する。
Rb=回折角17.7°での回折強度/回折角16.5°での回折強度 (2)
ここで、式(2)における回折強度は、回折角(2θ)5〜6°における回折強度の極小値をベースラインとし、17.7°での回折強度及び、16.5°での回折強度から、ベースライン値を差し引いた値である。
本発明においては、Rbが1.01以上であることが好ましく、更に1.02〜1.3、特に1.04〜1.25、殊更1.11〜1.21であるのが、溶解性、作業性の点で好ましい。上記Rbの規定は、粉末X線回折のスペクトルに、規則的な構造(結晶性)に由来する鋭い凹凸が発現せず、ブロードとなり、アモルファス状態であることを示唆するものである。
本発明において、ヘスペリジン組成物の粉末X線回折で、回折角(2θ)が19.1°での回折強度と17.7°での回折強度との比を次の式(3)のようにRcと定義する。
Rc=回折角19.1°での回折強度/回折角17.7°での回折強度 (3)
ここで、式(3)における回折強度は、回折角(2θ)5〜6°における回折強度の極小値をベースラインとし、19.1°での回折強度及び、17.7°での回折強度から、ベースライン値を差し引いた値である。
本発明において、Rcが1.3以下であることが好ましく、更に1.91〜1.25、特に0.98〜1.18、殊更1〜1.04であるのが、溶解性、作業性の点で好ましい。上記Rcの規定は、粉末X線回折のスペクトルに、規則的な構造(結晶性)に由来する鋭い凹凸が発現せず、ブロードとなり、アモルファス状態であることを示唆するものである。
本発明の組成物は、以下の方法により、調製することができる。すなわち、(1) 所定量の成分(A)と成分(B)を水溶液に溶解する工程、(2) 該水溶液の水分を除去する工程、を経て製造することができる。
(1) 工程で、成分(A)は、水や有機溶媒への溶解性が非常に低いことから、アルカリ性水溶液に溶解するのが好ましい。アルカリ性水溶液のpHは9以上であるのが好ましく、更に10〜13.5、特に10.5〜13、殊更11〜12であるのが、沈殿発生を抑制する点から好ましい。次いで、成分(A)が溶解した水溶液に、成分(B)を所定量添加するのが、作業効率の点で好ましい。
(2) 工程で、水分を除去する方法としては、凍結乾燥法、噴霧乾燥法、減圧乾燥法、気流乾燥法、流動乾燥法等、任意の方法を用いることができる。中でも、ヘスペリジン組成物の水溶性が向上し、食品加工時の作業性が改善する点から凍結乾燥法、噴霧乾燥法を用いることが好ましく、特に凍結乾燥法を用いることが好ましい。得られた組成物は、必要に応じて、分級、造粒、粉砕等を行って、加工食品に使用することができる。
本発明の組成物の形状としては、粉末状、顆粒状、塊状、ペースト状などが挙げられる。上記形状の大きさについては、特に限定されるものではないが、塊状であると取り扱い上、不都合が生じる場合は、粉末状、顆粒状であるのが好ましい。組成物の水分含有量については、20質量%(以下、単に「%」と記載)以下であるのが好ましく、より好ましくは0.1〜10%、更に0.2〜5%、特に0.5〜4.5%、殊更1〜4%であるのが、作業性、工業的生産性、保存性の点で好ましい。
本発明のヘスペリジン組成物は、溶解性、作業性、食感等が良好であることから、各種加工食品に応用することができる。本発明において、加工食品とは、上記組成物と、食品原料とを配合し、製造した食品をいう。加工食品は、その形態から、液状食品、ペースト状食品、固形食品、粉末食品等に分類され、固形食品、粉末食品の場合は、成分(A)と成分(B)との質量比が90:10〜20:80であるのが好ましく、更に60:40〜25:75、特に50:50〜35:65であるのが、作業性、溶解性の点で好ましい。ペースト状食品の場合は、成分(A)と成分(B)との質量比が90:10〜20:80であるのが好ましく、更に60:40〜25:75、特に50:50〜35:65であるのが、作業性、溶解性の点で好ましい。液状食品の場合は、成分(A)と成分(B)との質量比が70:30〜20:80であるのが好ましく、更に60:40〜25:75、特に50:50〜35:65であるのが、作業性、溶解性の点で好ましい。
加工食品は、液状食品、ペースト状食品、固形食品、粉末食品、その他食品に分類され、粉末食品としては、粉末飲料、粉末みそ汁、粉末スープ、粉末コーヒークリーム、空揚げ粉、天ぷら粉、ケーキミックス、デザートミックス等が挙げられる。固形食品としては、クッキー、クラッカー、ビスケット、ショートブレッド、パン、ケーキ等のベーカリー食品が挙げられる。ペースト状食品としては、マヨネーズ、乳化型ドレッシング、ホイップクリーム、スプレッド、マーガリン、バタークリーム等の乳化食品が挙げられる。液状食品としては、分離型ドレッシング、ソース、醤油、つゆ、たれ、ポン酢、だし、食酢等の調味料が挙げられる。その他食品として、おかゆ、雑炊、リゾット、お茶漬け等の米飯調理食品、うどん、そば、ラーメン、パスタ等の麺、カレー、ハヤシ等のルー、ハム、ソーセージ、ベーコン、チーズ等の畜産加工品、かまぼこ、干物、塩辛、珍味等の水産加工品、漬物等の野菜加工品、ポテトチップス、せんべい等の菓子類、味噌、刺身、お浸し、冷奴、湯豆腐、鍋物、煮物、揚げ物、焼き物、蒸し物等の調理食品、レトルト食品、冷凍食品、チルド食品、飲料、缶詰などが挙げられる。特に、本発明のヘスペリジン組成物を、ナトリウムを含有する食品に用いることで、塩味の持続性が増強することから、ナトリウム量や食塩量が少ない食品の設計、製造が可能となるので好ましい。
本発明に使用する食品原料は、通常、加工食品の原料として用いられるもので、ミカン果肉、ミカン果汁といったヘスペリジンを含有する原料を含まないものを指し、例えば、野菜類、果実類、魚介類、肉類、穀類、卵類、乳化剤、安定剤、強化剤、ガム剤、蛋白質、抗酸化剤、フレーバー、着色料、甘味料、調味料、香辛料、水等が挙げられる。
本発明において、加工食品の製造方法としては、通常、食品の製造に用いられる処理をいい、攪拌、混合、乳化、分散、粉砕、分級、ろ過、加熱、冷却、冷凍、加圧、減圧、乾燥、切断、殺菌、充填、包装等が挙げられる。
本発明のヘスペリジン組成物の、加工食品中の含有量は0.01〜20%であるのが好ましく、更に0.05〜10%、特に0.1〜5%、殊更0.5〜3%であるのが、生理効果、風味バランス、食塩摂取量の点で好ましい。
食塩の過多な摂取は、腎臓病、心臓病、高血圧症に悪影響を及ぼすことから食塩の摂取量を制限するために、本発明の加工食品が、使用頻度の高い醤油類であるのが好ましい。醤油類としては、製品100g中のナトリウム量がナトリウムとして5.5g超(塩化ナトリウムとして14g超)の醤油、3.55g超〜5.5g以下(塩化ナトリウムとして9g超〜14g以下)の低塩醤油、3.55g以下(塩化ナトリウムとして9g以下)である減塩醤油が挙げられるが、食塩摂取量低減、成分(B)との風味の相性が良い点から、低塩醤油、減塩醤油であるのが好ましい。
本発明品は、成分(A)、(B)が血圧降下作用を有することから、継続摂取することにより、高血圧症が顕著に改善される効果を有する。従って、本発明品の容器には、「血圧が気になる方に適しています」、「血圧が高めの方に適しています」、「血圧を下げる働きがある」、「血圧調整作用がある」等、表示することができる。
(1)水への溶解性(試験品1〜9)
ヘスペリジン(ヘスペリジン、浜理薬品、純度95%)、ヘスペリジン糖付加物(αG−ヘスペリジンPA−T、東洋精糖、純度86%)を表1記載の配合にて、各溶媒に添加した。添加直後及び、1時間静置後の溶液の溶解状態を、下記評価基準にて目視で観察し、評価を行った(試験品1〜9)。尚、メチルセルロースは、メトローズSM−25(信越化学工業)を、βサイクロデキストリンは、セルデックスB−100(日本食品加工)を使用した。
<評価基準>
○;濁りや沈殿が全く発生せず、溶解している。
△;若干沈殿が発生しているが、殆ど溶解している。
×;濁りや沈殿が発生し、溶解していない。
評価結果を表1に示す。ヘスペリジンは、アルカリ性水溶液には溶解するものの(試験品2)、蒸留水や酸性水溶液、エタノール(試験品1、3、4)には溶解しないことが示された。また、酸性水において、ヘスペリジンとヘスペリジン糖付加物を単に別の配合物として組み合わせても、ヘスペリジンは溶解しなかった(試験品5〜7)。更に、メチルセルロース、βサイクロデキストリンを併用しても、ヘスペリジンは溶解しなかった(試験品8、9)。
このように、ヘスペリジンの沈殿防止に効果が有ると言われているヘスペリジン糖付加物、メチルセルロース、βサイクロデキストリンをヘスペリジンに併用しても、酸性でのヘスペリジンの水溶性を改善することは出来ないことが示された。
Figure 0005160049
(2)組成物a〜gの調製
ヘスペリジン(ヘスペリジン、浜理薬品、純度95%)1gをNaOH水溶液(0.1M)60gに添加、溶解した。ここにヘスペリジン糖付加物(αG−ヘスペリジンPA−T、東洋精糖、純度86%)を、表2記載の質量比となるように所定量添加し、溶解した。次いで、これをクールバスで凍結した後、凍結乾燥した。得られたサンプルをスパーテルで粉砕し、粉末状の組成物a〜gを調製した。
Figure 0005160049
(3)酸性水への溶解性
(2)で得られた組成物a〜gを、0.2M酢酸緩衝液(pH=4.8)に0.5%添加した(試験品10〜16)。比較対照として、ヘスペリジン(ヘスペリジン、浜理薬品、純度95%)を、同様に0.5%添加した(試験品17)。経時的に水溶液の状態を目視で観察し、(1)と同様の基準で評価を行った。その結果を表3に示す。
Figure 0005160049
表3に示すように、試験品10〜16は、酸性水に速やかに溶解し(添加直後)、作業性が良好であった。これに対し、試験品17は、全く溶解しなかった。
添加してから1時間後の状態について、試験品15〜17では沈殿が発生したのに対し、試験品10〜14は沈殿が全く発生しなかった。
添加してから3日後において、試験品13は、若干沈殿が発生したのに対し、試験品10〜12は、全く沈殿は発生しなかった。
添加してから1週間後では、試験品13〜17は沈殿が発生したのに対し、試験品10〜12は全く沈殿が発生せず、良好な溶解性を示した。また、試験品13、14は、1週間後に沈殿が発生したものの、軽く振とうしただけで速やかに溶解し、試験品15〜17よりも沈殿の発生が遅延された。
(4)粉末X線結晶回折
(2)で調製した組成物b、dについて、多目的X線回折装置(Xpert MPD型、PANalytical B.V.製)を用いて、粉末X線結晶回折スペクトルを測定した。また、ヘスペリジン糖付加物(αG−ヘスペリジンPA−T、東洋精糖、純度86%)を組成物u、ヘスペリジン(ヘスペリジン、浜理薬品、純度95%)を組成物t、ヘスペリジンとヘスペリジン糖付加物との混合物(質量比30:70)を組成物sとして、同様に測定した(図1)。また、各サンプルについて、回折角(2θ)5〜6°における回折強度の極小値をベースラインとし、各回折強度から、ベースライン値を差し引いた値及び、Ra、Rb、Rcを算出した(表4)。Ra、Rb、Rcを算出した。その結果を表4、図1に示す。
<測定条件>
対陰極:Cu、フィルター:Ni、X線出力:40mA、40kV、スキャンステップ時間:1秒、ステップサイズ(2θ):0.2°、受光スリット:0.1mm、発散スリット:自動、ゴニオメーター半径:240mm
Figure 0005160049
表4、図1に示すように、組成物b、dは、ブロードな回折スペクトルを有し、規則的な繰返し構造を有しない(すなわち結晶性が低い)、いわゆるアモルファス状態にあることが示された。これに対し、組成物tは、シャープな回折スペクトルを有し、規則的な繰返し構造を有する(すなわち結晶性が高い)ことが示された。また、混合品である組成物sは、組成物tほどではないが、シャープな回折スペクトルを有することがわかった。なお、組成物uは、ブロードな回折スペクトルを有した。
表1〜4、図1の結果から、成分(A)と(B)とを特定の質量比で含有し、アモルファス構造を有することにより、酸性水への溶解性が顕著に向上し、作業性に優れていることが示された。
(5)減塩醤油への溶解性
減塩醤油(丸大豆減塩しょうゆ、キッコーマン製)39.8gに、(2)で調製した組成物a〜gを0.2g配合し(濃度0.5%)、これをガラス製サンプル瓶(50mL容)に入れ、蓋をして攪拌混合して、液体調味料A〜Gを製造した。これらを室温にて静置し、経時的に溶液の状態を目視で観察し、(1)と同様の基準で評価を行った。その結果を表5に示す。
Figure 0005160049
表5に示すように、組成物a〜gは速やかに溶解し(添加直後)、作業性が良好であった。また、1週間後において、液体調味料E〜Gは沈殿が観察されたのに対し、液体調味料A〜Dは沈殿が観察されなかった。
このように、組成物a〜dは、速やかに溶解するだけでなく、1週間後でも沈殿が発生せず、液体調味料を製造するのに優れた加工特性を示した。
(6)風味評価
低塩醤油(減塩醤油(ヤマサ)と濃口醤油(キッコーマン)とを質量比2:1で混合したもの。ナトリウム含量4.07%、カリウム含量0.45%)39.6gに、組成物bを0.4g配合し(濃度1%)、ガラス製サンプル瓶(50mL容)に入れ、蓋をして攪拌混合して、液体調味料Kを製造した。この際、組成物bは速やかに溶解し、作業性が良好であった。また、1週間静置後も、液体調味料Kに沈殿が生じないことが確認された。
更に、液体調味料Kと、組成物bを含まない低塩醤油(液体調味料L)を使用して、風味評価(刺身)を行った。
<刺身での風味評価>
市販のマグロ切り身を包丁で5mmの厚さに切り、液体調味料KまたはLにつけて、刺身の評価用サンプルを作製した。これを食して、風味評価を行った。
その結果、液体調味料Kは、液体調味料Lよりも、塩カド(とがった塩味)が抑制されると共に、塩味の持続性が増強し、後味が強くなることが明らかとなった。
(7)動物試験
a)使用動物と飼育条件
13〜18週齢の雄性自然発症高血圧ラット(SHR)を室温25±1℃、湿度55±10%RH、照明時間12時間(午前7時〜午後7時)で飼育した(1群4匹)。
b)サンプル
減塩醤油に、ヘスペリジン糖付加物(αG−ヘスペリジンPA−T、東洋精糖)とヘスペリジン(浜理薬品)とが質量比70:30となるように調製した組成物を、50mg/5mlとなるように添加したサンプルを調製し、本発明品とした。ヘスペリジン糖付加物を添加しない減塩醤油を比較品Xとした。
c)試験方法
絶食したSHRに、金属製胃ゾンデを用いて、サンプルを強制的に経口投与した(5ml/kg)。本発明品のヘスペリジン糖付加物の投与量としては50mg/kgであった。経口投与前と投与6時間後の尾動脈収縮期血圧(SBP)を、市販ラット用非観式血圧測定装置(ソフトロン社製)を用いて測定した。投与6時間後の測定値について、初期値からの変化率を算出した。
得られた測定結果は、変化率の平均値及び標準誤差(SE)で表してDunnett‘s testを行った。
d)結果
投与前のSBP値は、209mmHgであった。比較品Xについては、SBPが−4.2±0.9%変化した。一方、本発明品のSBPは、−12.1±0.9%変化した(5%有意)。このように、本発明品は血圧降下作用を有することが示された。
X線回折装置による粉末X線結晶回折スペクトルの測定結果である。

Claims (2)

  1. ヘスペリジン(A)とヘスペリジン糖付加物(B)とを含有する組成物の製造方法であって、
    (1)成分(A)と成分(B)を成分(A)と成分(B)との質量比が70:30〜20:80になるように水溶液に溶解する工程と、(2)該水溶液の水分を除去する工程を有しており、
    (1)工程が、成分(A)をpH11〜13.5のアルカリ性水溶液に溶解させた後、成分(B)を添加する工程である、アモルファス状態であるヘスペリジン(A)とヘスペリジン糖付加物(B)とを含有する組成物の製造方法。
  2. アモルファス状態が、次の式(1)で定義されるRaが1.04以下のものである請求項1記載のヘスペリジン組成物の製造方法。
    Ra=回折角20.5°での回折強度/回折角20.9°での回折強度 (1)
JP2006138462A 2006-05-18 2006-05-18 ヘスペリジン組成物 Active JP5160049B2 (ja)

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