[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による半導体評価方法を図1乃至図18を用いて説明する。図1は、本実施形態において用いられる半導体評価装置を示す概略図である。
まず、本実施形態による半導体評価方法において用いられる半導体評価装置について図1を用いて説明する。
本実施形態において用いられる半導体評価装置は、走査型電子顕微鏡(SPM、Scanning Probe Microscope)を用いた半導体評価装置であって、プローブ22に電圧を印加する電圧印加手段21と、所定の厚さまで薄くした半導体基板54(図8、図9参照)の裏面側にプローブ22を接触させ、プローブ22を流れる電流を測定する電流測定手段24、26とを有するものである。
本実施形態による半導体評価装置は、主として、半導体評価装置全体を制御するとともに所定の処理を行う処理部10と、試料12をX−Y方向に走査するX−Yステージ14と、圧電素子(図示せず)を用いて導電性のカンチレバー16をZ方向に移動させるスキャナ18と、スキャナ18の圧電素子に印加される電圧に基づいてAFM(Atomic Force Microscope、原子間力顕微鏡)像を生成するAFM像生成部20と、試料12にバイアス電圧Vbiasを印加するための電源21と、プローブ22に流れる電流を増幅するアンプ24と、アンプ24により増幅された信号に基づいて電流像を生成する電流像生成部26と、AFM像と電流像とを対応させて表示する表示部28とを有している。
処理部10は、例えばコンピュータにより構成されている。
処理部10には、記憶部30が接続されている。記憶部30には、測定結果等の様々なデータが一時的又は継続的に記憶される。記憶部30は、例えばハードディスクやRAM等により構成することができる。記憶部30には、処理部10に所定の処理や制御を行わせるためのプログラムがインストールされている。
処理部10には、操作者が命令を入力するための入力部32が接続されている。入力部32は、例えば、キーボードやマウス等により構成することができる。
処理部10には、X−Y走査回路34が接続されている。X−Y走査回路34は、処理部10から出力されるXY座標に関する信号に基づいて、X−Yステージ14を制御するための信号を出力する。
X−Yステージ14上には、試料12を支持する試料台36が載置される。X−Yステージ14は、X−Y走査回路34から出力される信号に基づいて、試料台36をX−Y方向に適宜移動させる。
試料台36の材料としては、例えば、自然光又はレーザ光を透過する透明な材料が用いられる。試料台36の材料として透明な材料を用いるのは、後述するように、光学顕微鏡を用いて等厚干渉縞を観察する際に、試料台36を介して試料12に光を入射させる必要があるためである。
試料台36には、電極38が埋め込まれている。電極38は、バイアス電圧Vbiasを試料12に印加するためのものである。試料12は、例えば導電性の接着剤76(図9参照)を用いて試料台36に固定されている。試料12のうちの試料台36に対向する面には、トランジスタ64(図9参照)等に接続された電極パッド72(図9参照)が形成されている。電極パッド72は、導電性の接着剤76及び電極38を介して、電源21のプラス側に電気的に接続される。こうして、バイアス電圧Vbiasが試料12に印加されるようになっている。
スキャナ18は、圧電素子(図示せず)と、圧電素子により駆動されるアクチュエータ40とを有している。アクチュエータ40には、導電性のカンチレバー16が取り付けられている。圧電素子に印加される電圧に応じてアクチュエータ40がZ方向に移動され、アクチュエータ40の移動に伴ってカンチレバー16がZ方向に移動する。
導電性のカンチレバー16の先端部の下面側には、導電性のプローブ(探針)22が設けられている。試料12に対して測定を行う際には、導電性のプローブ22の先端を試料12に接触させながら測定を行う。
カンチレバー16の先端部の上面側には、ミラー42が設けられている。ミラー42の上方には、レーザ光源44が設けられている。レーザ光源44から出射されるレーザ光は、ミラー42により反射され、検出器46に入射される。
検出器46は、検出面におけるレーザ光が入射される位置を検出するものである。プローブ22をX−Y方向に走査させると、プローブ22が接触している試料12表面の凹凸に応じて、カンチレバー16の反り具合が変化し、ミラー42の傾斜角が変化する。ミラー42の傾斜角が基準の角度に対して変化すると、ミラー42の傾斜角に応じて、検出器46の検出面に入射されるレーザ光の位置も変化する。検出器46は、検出面におけるレーザ光の入射位置に基づいた信号を出力する。
検出器46から出力される信号は、サーボ回路(フィードバックループ回路)48に入力される。サーボ回路48は、検出器46から出力される信号に基づき、検出器46の検出面に入射されるレーザ光の位置が基準の位置となるように、スキャナ18の圧電素子に印加する電圧を変化させる。
圧電素子は、サーボ回路により印加される電圧に応じて、アクチュエータ40をZ方向に駆動する。具体的には、圧電素子は、ミラー42の傾斜角が基準の傾斜角に戻るようにアクチュエータ40をZ方向に駆動する。プローブ22の先端が接触している試料12の表面の高さが基準の高さより高い場合には、プローブ22の先端が接触している試料12の表面の高さに応じた電圧が圧電素子に印加され、プローブ22の先端が接触している試料12の表面の高さに応じた位置にアクチュエータ40が移動する。また、プローブ22の先端が接触している試料12の表面の高さが基準の高さより低い場合には、プローブ22の先端が接触している試料12の表面の高さに応じた電圧が圧電素子に印加され、プローブ22の先端が接触している試料12の表面の高さに応じた位置にアクチュエータ40が下方に移動する。このように、圧電素子に印加される電圧は、プローブ22の先端が接触している試料12の表面の高さに応じた電圧となる。
サーボ回路48からスキャナ18の圧電素子に入力される電圧信号は、AFM像を生成するためのAFM像生成部20にも入力される。スキャナ18の圧電素子に印加される電圧は、プローブ22の先端が接触している試料12の表面の高さに応じた電圧であるため、AFM像生成部20は、スキャナ18の圧電素子に印加される電圧信号に基づいて、プローブ22の先端が接触している試料12の表面の高さを求めることができる。また、プローブ22の先端が位置しているXY座標に関する情報が、処理部10からAFM像生成部20に入力される。AFM像生成部20は、プローブ22の先端が接触している試料12の表面の高さに関するデータと、プローブ22の先端が位置しているXY座標に関する情報とに基づいて、AFM像を生成する。
電源21は、試料12にバイアス電圧Vbiasを印加するためのものである。電源21の一方の出力端子は、配線50、電極38及び導電性接着剤76を介して試料12に設けられた電極パッド72に電気的に接続される。電源21の他方の出力端子は、接地電位GNDに接続されている。電源21は、バイアス電圧Vbiasの大きさを適宜変化させることができる。処理部10は、電源21から出力されるバイアス電圧Vbiasの大きさを適宜制御する。
導電性のカンチレバー16は、配線52を介してアンプ24の一方の入力端子に接続されている。アンプ24の他方の入力端子は、接地電位GNDに接続されている。
プローブ22及び導電性カンチレバー16には、プローブ22が接触している部分の電気的特性に応じた電流が流れる。プローブ22及び導電性カンチレバー16に流れる電流は、アンプ24により増幅される。
アンプ24により増幅された信号は、電流像生成部26に入力される。電流像生成部26に入力される信号は、プローブ22及びカンチレバー16を流れる電流に応じた信号である。電流像生成部26は、電流像生成部26に入力される信号に基づいて、プローブ22及びカンチレバー16に流れる電流を求めることができる。また、プローブ22の先端が位置しているXY座標に関する情報が、処理部10から電流像生成部26に入力される。電流像生成部26は、プローブ22等に流れる電流に関するデータと、プローブ22が位置しているXY座標に関する情報とに基づいて、電流像を生成する。なお、電流像とは、試料の各箇所において測定される電流の分布を画像として表したものである。
プローブ22に流れる電流は、バイアス電圧Vbiasの大きさによって変化する。また、測定された電流に基づいて生成される電流像も、バイアス電圧Vbiasの大きさによって変化する。バイアス電圧Vbiasの大きさによって電流像が変化するのは、試料に含まれる様々な構成要素の閾値電圧等の相違によるものと考えられる。このため、本実施形態では、試料についての多様な情報を取得すべく、バイアス電圧Vbiasの大きさを適宜変化させ、各々のバイアス電圧Vbias毎に電流像を取得する。
AFM像生成部20により生成されたAFM像に関するデータは、処理部10に入力される。また、電流像生成部26により生成された電流像に関するデータも、処理部10に入力される。
処理部10は、AFM像と電流像とを、表示器28の表示画面に表示する。AFM像と電流像とは同じXY座標系に関連付けられているため、AFM像に対応するように電流像を表示することが可能である。表示部28は、例えばCRTや液晶ディスプレイ等により構成されている。また、AFM像や電流像は、プリンタ(図示せず)により印刷表示することも可能である。
こうして、本実施形態による半導体評価装置が構成されている。
次に、本実施形態による半導体評価方法を図2乃至図10を用いて説明する。図2は、本実施形態による半導体評価方法を示すフローチャートである。図3は、半導体基板上にトランジスタ等を形成した状態を示す断面図である。図4は、半導体基板の裏面側を研磨する方法を示す工程図である。図5は、試料を試料台に固定した状態を示す断面図である。図6は、半導体基板の厚さを薄くした状態を示す断面図である。図7は、半導体基板の厚さを薄くした状態を示す平面図及び断面図である。図7(a)は平面図であり、図7(b)は図7(a)のA−A′線断面図である。図8は、試料がセッティングされている状態を示す斜視図である。図9は、試料がセッティングされている状態を示す断面図である。
まず、図3に示すように、試料12を用意する(ステップS1)(図2参照)。試料12としては、例えば、表面側(第1の面側)にトランジスタ等の半導体素子が形成された半導体基板54を用意する。
半導体基板54としては、例えばシリコン基板が用いられている。半導体基板54の厚さは、例えば0.3mm以上である。半導体基板54内には、素子領域を画定する素子分離領域55が形成されている。素子分離領域55が形成された半導体基板54内には、ウェル57が形成されている。半導体基板54の表面側には、ゲート絶縁膜56を介してゲート電極58が形成されている。ゲート電極58は、例えば、ポリシリコン膜58aと金属膜58bとを順次積層して成る積層膜により構成されている。ゲート長は、例えば40nm程度である。ゲート電極58の側壁部分には、サイドウォール絶縁膜60が形成されている。サイドウォール絶縁膜60が形成されたゲート電極58の両側の半導体基板54内には、ソース/ドレイン拡散層62が形成されている。こうして、ゲート電極58とソース/ドレイン拡散層62とを有するトランジスタ64が構成されている。半導体基板54上には、トランジスタ64を覆うように層間絶縁膜66が形成されている。層間絶縁膜66には、導体プラグ68及び配線70が埋め込まれている。層間絶縁膜66上には、電極パッド72が形成されている。電極パッド72は、導体プラグ68及び配線70を介して、トランジスタ64のゲート電極58又はソース/ドレイン拡散層62に電気的に接続されている。層間絶縁膜66上には保護膜67が形成されている。電極パッド72は、保護膜67から露出している。
次に、図4(a)に示すように、透明な材料より成る試料台36を用意する(ステップS2)。試料台36の材料として透明な材料を用いるのは、後述するように、光学顕微鏡により等厚干渉縞を観察する際に、試料台36を介して試料12に光を入射させる必要があるためである。透明な材料より成る試料台36としては、例えば、ガラス板、石英板等を挙げることができる。試料台36には、貫通孔74が形成されている。貫通孔74内には、電極38が埋め込まれている。電極38は、バイアス電圧Vbiasを試料12に印加するためのものである。
なお、試料台36として、導電性を有する透明板を用いてもよい。導電性を有する透明板としては、例えば、表面にITO膜が形成されたガラス板等を挙げることができる。試料台36として導電性を有する透明板を用いれば、試料台36に電極38を埋め込むことなく、試料台36を介して試料12に電圧を印加することが可能となる。
次に、図4(b)及び図5に示すように、導電性の接着剤76を用いて、試料台36上に試料12を固定する(ステップS3)。導電性の接着剤76としては、透明な導電性接着剤を用いる。試料12を試料台36に接着する際には、半導体基板54の表面側(第1の面側)、即ち、トランジスタ64等が形成された側が、試料台36に対向するようにする。導電性の接着剤76を用いて試料12を試料台36に固定するため、電極38が、導電性接着剤76及び電極パッド72等を介して、トランジスタ64のゲート電極58及びソース/ドレイン拡散層62に電気的に接続される。
次に、図4(c)に示すように、研磨布78等を用いて半導体基板54の裏面側(第2の面側)を研磨し(背面研磨)、半導体基板54の厚さを薄くする(ステップS4)。半導体基板54の裏面側を研磨する際には、まず、粗研磨により半導体基板54の厚さをある程度まで薄くし(粗研磨)、その後、CMP法等により鏡面研磨を行う(仕上げ研磨)。仕上げ研磨を行うことにより、半導体基板54の裏面側が十分に平坦な状態となる。
こうして、図4(d)及び図6に示すように、半導体基板54の厚さが薄くなる。試料12の評価を高分解能かつ高精度に行うためには、半導体基板54の厚さtを極めて薄くすることが必要である。具体的には、半導体基板54の厚さtを1μm以下とすることが望ましい。
研磨により薄くした半導体基板54の厚さtは、例えば光学顕微鏡を用いて等厚干渉縞を観察することにより求めることができる。等厚干渉縞とは、厚さが場所により変化している薄層の表裏面で反射された光による干渉縞のことである。等厚干渉縞では、同じ厚さの部分が同じ明るさとなる。等厚干渉縞を光学顕微鏡により観察する際に、試料台36を介して試料12に光を入射させるため、試料台36は透明であることが必要である。
図7(b)に示すように、半導体基板54の縁部では、半導体基板54の厚さt0は0μmとなっている。半導体基板54の縁部から中央部に向かって、半導体基板54の厚さtが徐々に厚くなっている。このような試料12を光学顕微鏡で観察すると、図7(a)に示すような等厚干渉縞が観察される。従って、厚さが0μmである半導体基板54の縁部における厚さt0を基準とし、等厚干渉縞の数に基づいて、試料12の各箇所における半導体基板54の厚さtを求めることが可能である。
こうして、研磨により薄くした半導体基板54の厚さtが確認される。
次に、図1に示すように、試料台36をX−Yステージ14上に載置する(ステップS5)。試料台36をX−Yステージ14上に載置する際には、半導体基板54の裏面側(第2の面側)が上側に位置するように、試料台36を載置する。
次に、試料台36に埋め込まれた電極38から引き出された配線50を、電源21の出力端子に接続する(ステップS6)。
次に、図1、図8及び図9に示すように、プローブ22の位置合わせを行う(ステップS7)。
こうして、試料12に対して測定を行うための準備が完了する。
次に、試料12に対しての測定を開始する。
試料12に対しての測定を開始する際には、操作者(図示せず)が、試料12の測定を開始すべき旨の命令を入力部32から入力する。
処理部10は、操作者による命令に基づいて、以下のような処理を行う。
まず、プローブ22に電圧(第1の電圧)を印加した状態で、X−Yステージ14を走査する。X−Yステージ14の走査は、処理部10により制御される。また、電源21によりプローブ22に印加される電圧も、処理部10により制御される。プローブ22に印加する電圧は、試料12に応じて適宜設定すればよい。ここでは、第1の電圧を、例えば1.0Vとする。電流像生成部26は、プローブ22に流れる電流に応じた信号を、XY座標に関連付けて取得し、電流像(第1の電流像)を生成する。また、AFM像生成部20は、スキャナ18の圧電素子に印加される電圧信号をXY座標に関連付けて取得し、AFM像を生成する。こうして、第1の電流像とAFM像とが取得される(ステップS8)。
なお、本願の特許請求の範囲及び明細書中において、プローブ(探針)に電圧を印加するとは、プローブ22と試料12との間にバイアス電圧を印加するあらゆる場合を含むものとする。即ち、試料12を電源21のプラス側に接続し、プローブ22を電源21のマイナス側に接続(接地)してもよいし、試料12を電源21のマイナス側に接続(接地)し、プローブ22を電源21のプラス側に接続してもよい。
図10は、半導体基板の厚さと測定における分解能との関係を示す概念図である。図10(a)は、半導体基板の厚さが比較的厚い場合を示しており、図10(b)は、半導体基板の厚さが比較的薄い場合を示している。
プローブ22から半導体基板54内に流入する電子は、半導体基板54内で発散する。図10(a)に示すように、半導体基板54の厚さtが比較的厚い場合には、電子が比較的広い領域に発散してゲート電極58側に流入するため、あまり高い分解能で測定することができず、測定値のばらつきやノイズも比較的大きくなってしまう。
これに対し、図10(b)に示すように、半導体基板54の厚さtが極めて薄い場合には、電子が極めて狭い領域に集中している状態でゲート電極58側に流入するため、非常に高い分解能で測定することができ、測定値のばらつきやノイズも非常に小さくすることができる。従って、本実施形態のように半導体基板54の厚さtを極めて薄くすることにより、高分解能かつ高精度に測定を行うことが可能となる。
次に、処理部10は、電流像生成部26により生成された第1の電流像に関するデータと、AFM像生成部20により生成されたAFM像に関するデータとを用い、第1の電流像とAFM像とを表示器28の表示画面上に表示させる(ステップS9)。こうして、プローブ22に第1の電圧を印加した状態で取得された第1の電流像とAFM像とが、表示器28の表示画面上に表示される。処理部10は、第1の電流像に関するデータとAFM像に関するデータとを記憶部30に記憶させる。
次に、更なる電流像の取得を行うか否かを判断する(ステップS10)。第1の電流像のみにより試料12の評価が可能な場合には、更なる電流像の取得を行うことなく、測定を終了してもよい。しかし、第1の電流像のみでは試料12に対する評価を行えない場合には、更なる電流像の取得を行う。また、第1の電流像のみにより試料12に対する評価を行える場合であっても、更に電流像を取得することが望ましい場合には、更なる電流像の取得を行う。
なお、更なる電流像の取得を行うか否かについては、操作者が電流像を観察することにより判断してもよいし、制御部10が判断してもよい。
更なる電流像の取得を行う場合には、プローブ22に印加するバイアス電圧を変化させる(ステップS11)。プローブ22に印加する電圧(第2の電圧)は、適宜設定すればよい。ここでは、第2の電圧を第1の電圧より高い電圧とする。より具体的には、第2の電圧を、例えば1.4Vとする。
次に、プローブ22に第2の電圧を印加した状態で、X−Yステージ14を走査する。電流像生成部26は、プローブ22に流れる電流に応じた信号を、XY座標に関連付けて取得し、電流像(第2の電流像)を生成する。こうして、第2の電流像が取得される(ステップS8)。
処理部10は、電流像生成部26により生成された第2の電流像に関するデータと、AFM像生成部20により生成されたAFM像に関するデータとを用い、第2の電流像とAFM像とを表示器28の表示画面上に表示させる(ステップS9)。こうして、プローブ22に第2の電圧を印加した状態で取得された第2の電流像とAFM像とが、表示器28の表示画面上に表示される。処理部10は、第2の電流像に関するデータを記憶部30に記憶させる。
次に、更なる電流像の取得を行うか否かを判断する(ステップS10)。第1の電流像及び第2の電流像により試料12の評価が可能な場合には、更なる電流像の取得を行うことなく、測定を終了してもよい。しかし、第1の電流像及び第2の電流像では試料12に対する評価を行えない場合には、更なる電流像の取得を行う。また、第1の電流像及び第2の電流像により試料12に対する評価を行える場合であっても、更に電流像を取得することが望ましい場合には、更なる電流像の取得を行う。
更なる電流像の取得を行う場合には、プローブ22に印加するバイアス電圧を変化させる(ステップS11)。プローブ22に印加する電圧(第3の電圧)は、適宜設定すればよい。ここでは、第3の電圧を第2の電圧より高い電圧とする。より具体的には、第3の電圧を、例えば1.8Vとする。
次に、第3の電圧をプローブ22に印加した状態で、X−Yステージ14を走査する。電流像生成部26は、プローブ22に流れる電流に応じた信号を、XY座標に関連付けて取得し、電流像(第3の電流像)を生成する。こうして、第3の電流像が取得される(ステップS8)。
処理部10は、電流像生成部26により生成された電流像に関するデータと、AFM像生成部20により生成されたAFM像に関するデータとを用い、第3の電流像とAFM像とを表示器28の表示画面上に表示させる(ステップS9)。こうして、プローブ22に第3の電圧を印加した状態で取得された第3の電流像とAFM像とが、表示器28の表示画面上に表示される。処理部10は、第3の電流像に関するデータを記憶部30に記憶させる。
次に、更なる電流像の取得を行うか否かを判断する(ステップS10)。第1の電流像乃至第3の電流像により試料12の評価が可能な場合には、更なる電流像の取得を行うことなく、測定を終了してもよい。しかし、第1の電流像乃至第3の電流像では試料12に対する評価を行えない場合には、プローブ22に印加する電圧を更に順次変化させて、更なる電流像の取得を順次行う。また、第1の電流像乃至第3の電流像により試料12に対する評価を行える場合であっても、更に電流像を取得することが望ましい場合には、プローブ22に印加するバイアス電圧を更に順次変化させて(ステップS11)、更なる電流像の取得等を各々のバイアス電圧について順次行う(ステップS8)。
プローブ22に印加する電圧を順次変化させることにより得られた電流像は、AFM像とともに、表示器28の表示画面上に順次表示される(ステップS9)。処理部10は、プローブ22に印加する電圧を順次変化させることにより得られた電流像に関するデータを、記憶部30に順次記憶させる。
更なる電流像の取得を行うか否かを更に判断(ステップS10)し、更なる電流像の取得の必要がないと最終的に判断した場合には、試料12に対しての測定を終了する。
図11は、本実施形態による半導体評価方法により得られたAFM像を示す図である。図12及び図13は、本実施形態による半導体評価方法により得られた電流像を示す図である。図11乃至図13は、素子領域を含む領域を走査することにより得られたものである。図12及び図13では、表示色の明度を異ならせることにより電流の大きさを表している。表示色が濃くなるほど電流が大きく、表示色が薄くなるほど電流が小さい。図12(a)は、試料台36の電極38に印加するバイアス電圧Vbiasを−3Vに設定した場合を示しており、図12(b)は、試料台36の電極38に印加するバイアス電圧Vbiasを−4Vに設定した場合を示しており、図13は、試料台36の電極38に印加するバイアス電圧Vbiasを−5Vに設定した場合を示している。
図12(a)では、ウェル57が電流像に明確に現れている。図12(b)では、ウェル57のみならずゲート電極58も電流像に明確に現れている。図13では、ゲート電極58が電流像に明確に現れている。
このように、バイアス電圧の大きさによって異なる電流像が得られるのは、上述したように、試料12に含まれる様々な構成要素の閾値電圧等の相違によるものと考えられる。
図14は、本実施形態による半導体評価方法により得られたAFM像を示す図である。図15及び図16は、本実施形態による半導体評価方法により得られた電流像を示す図である。図14乃至図16は、ゲート電極を含む領域を走査することにより得られたものである。図15及び図16では、表示色の明度を異ならせることにより電流の大きさを表している。表示色が濃くなるほど電流が大きく、表示色が薄くなるほど電流が小さい。図15(a)は、試料台36の電極38に印加するバイアス電圧Vbiasを−1Vに設定した場合を示しており、図15(b)は、試料台36の電極38に印加するバイアス電圧Vbiasを−2Vに設定した場合を示しており、図16は、試料台36の電極38に印加するバイアス電圧Vbiasを−3Vに設定した場合を示している。
図14から分かるように、物理的な変化が生じている箇所が2箇所に存在している。
また、図15及び図16から分かるように、極めて大きな電流が流れている箇所が2箇所に存在している。また、図15(a)に示す電流像と、図15(b)に示す電流像と、図16に示す電流像とは、互いに異なっている。このように、バイアス電圧の大きさによって異なる電流像が得られるのは、上述したように、試料12に含まれる様々な構成要素の閾値電圧等の相違によるものと考えられる。
図17は、本実施形態による半導体評価方法により得られたAFM像を示す図である。図18は、本実施形態による半導体評価方法により得られた電流像を示す図である。図17及び図18は、ゲート電極58を含む領域を走査することにより得られたものである。図18では、表示色の明度を異ならせることにより電流の大きさを表している。表示色が濃くなるほど電流が大きく、表示色が薄くなるほど電流が小さい。
図18において点線を用いて示した領域は、ゲート電極58が形成されている領域である。
図18において丸印を用いて示したように、ゲート電極58が形成されている領域において、極めて大きな電流が流れている箇所が2箇所に存在している。これらの箇所においては、ゲート絶縁膜56において絶縁破壊が生じていると考えられる。
このように、本実施形態では、半導体基板54の裏面側を研磨することにより半導体基板54の厚さを極めて薄くし、プローブ22に電圧を印加した状態で、半導体基板54の裏面側にプローブ22を接触させ、プローブ22を走査させることにより、試料12に対する測定を行う。半導体基板54の厚さが極めて薄いため、プローブ22から半導体基板54内に流れ込む電子が、極めて狭い領域に集中した状態でトランジスタ64側に流入する。このため、本実施形態によれば、高分解能かつ高精度で測定することができる。しかも、研磨するのは半導体基板54の裏面側であるため、半導体基板54の表面側に形成されたトランジスタ等にダメージを加えることもない。しかも、本実施形態によれば、プローブ22に印加するバイアス電圧を順次変化させ、各々のバイアス電圧毎に電流像を順次取得するため、試料12についての多様な情報を取得することが可能である。また、本実施形態によれば、電流像とともにAFM像も取得するため、AFM像と電流像とを対応するように表示させることができる。このように、本実施形態によれば、高分解能かつ高精度で多様な情報を取得することができ、デバイス開発における有力な指針を得ることができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による半導体評価方法を図19乃至図21を用いて説明する。図19は、本実施形態において用いられる半導体評価装置を示す概略図である。図20は、試料がセッティングされている状態を示す斜視図である。図21は、本実施形態による半導体評価方法を示すフローチャートである。図1乃至図18に示す第1実施形態による半導体評価方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
本実施形態による半導体評価方法は、トランジスタ等の半導体素子に電圧を印加し、半導体素子を動作させながら、測定を行うことに主な特徴がある。
図20に示すように、半導体基板54の厚さtは、研磨により薄くなっている。
半導体基板54及び層間絶縁膜66には、導体プラグ88aが埋め込まれている。導体プラグ88aの一方の端部は、トランジスタ64のソース拡散層62aに電気的に接続された電極パッド72aに接続されている。導体プラグ88aの他方の端部は、半導体基板54の裏面側(第2の面側)に露出している。なお、図19において、半導体基板54の裏面側(第2の面側)は紙面上側に位置しており、半導体基板54の表面側(第1の面側)は紙面下側に位置している。
また、半導体基板54及び層間絶縁膜66には、導体プラグ88bが埋め込まれている。導体プラグ88bの一方の端部は、トランジスタ64のゲート電極58に電気的に接続された電極パッド72bに接続されている。導体プラグ88bの他方の端部は、半導体基板54の裏面側に露出している。
また、半導体基板54及び層間絶縁膜66には、導体プラグ88cが埋め込まれている。導体プラグ88cの一方の端部は、トランジスタ64のドレイン拡散層62bに電気的に接続された電極パッド72cに接続されている。導体プラグ88cの他方の端部は、半導体基板54の裏面側に露出している。
また、半導体基板54及び層間絶縁膜66には、導体プラグ88dが埋め込まれている。導体プラグ88dの一方の端部は、半導体基板54に電気的に接続された電極パッド72dに接続されている。導体プラグ88dの他方の端部は、半導体基板54の裏面側に露出している。
なお、導体プラグ88a〜88dは、半導体基板54を研磨により薄くした後に、例えばFIB(Focused Ion Beam)を用いて半導体基板54及び層間絶縁膜66にコンタクトホールを形成し、コンタクトホール内に導体プラグ88a〜88dを埋め込むことにより形成することが可能である。
試料12aは、非導電性の接着剤76aにより試料台36(図19参照)に固定されている。なお、非導電性の接着剤を用いて試料12aを試料台36に固定しているのは、電極パッド72a〜72dが接着剤を介して互いに導通するのを防止するためである。
図19に示すように、導体プラグ88aには、電源21aの一方の出力端子が接続されている。導体プラグ88aには、電源21aによりバイアス電圧Vbias1が印加される。
また、導体プラグ88bには、電源21bの一方の出力端子が接続されている。導体プラグ88bには、電源21bによりバイアス電圧Vbias2が印加される。
また、導体プラグ88cには、電源21cの一方の出力端子が接続されている。導体プラグ88cには、電源21cによりバイアス電圧Vbias3が印加される。
また、導体プラグ88dには、電源21dの一方の出力端子が接続されている。導体プラグ88dには、電源21dによりバイアス電圧Vbias4が印加される。
電源21a〜21dの他方の出力端子は、それぞれ接地電圧GNDに接続されている。
バイアス電圧Vbias1〜Vbias4は、例えばトランジスタ64が動作するように適宜設定されている。
こうして、複数の電極パッド72a〜72dの各々にバイアス電圧Vbias1〜Vbias4が独立して印加されるようになっている。
次に、本実施形態による半導体評価方法を図19乃至図21を用いて説明する。
まず、試料12aを用意する(ステップS21)(図21参照)。
次に、試料台36を用意する(ステップS22)。本実施形態では、半導体基板54等に埋め込まれた導体プラグ88a〜88d(図20参照)を介して試料に電圧を印加するため、試料台36に電極38を埋め込んでおく必要はない。
次に、非導電性の接着剤76aを用いて試料台36上に試料12aを固定する(ステップS23)。なお、非導電性の接着剤を用いて試料12aを試料台36に固定しているのは、電極パッド72a〜72dが接着剤を介して互いに導通するのを防止するためである。
次に、研磨布78(図4参照)等を用いて半導体基板54の裏面側(第2の面側)を研磨し(背面研磨)、半導体基板54の厚さを薄くする(ステップS24)。
次に、試料台36をX−Yステージ14上に載置する(ステップS25)。試料台36をX−Yステージ14上に載置する際には、半導体基板54の裏面側(第2の面側)が上側に位置するように、試料台36を載置する。
次に、トランジスタ62等の半導体素子等を、電源21a〜21dの一方の出力端子にそれぞれ電気的に接続する(ステップS26)。ここでは、トランジスタ62等の半導体素子等は、導体プラグ88a〜88dを介して電源21a〜21dに接続される。
次に、プローブ22の位置合わせを行う(ステップS27)。
こうして、試料12aに対して測定を行うための準備が完了する。
次に、試料12aに対しての測定を開始する。
試料12aに対しての測定を開始する際には、操作者(図示せず)が、試料12aの測定を開始すべき旨の命令を入力部32から入力する。
処理部10は、操作者による命令に基づいて、以下のような処理を行う。
まず、各々の電源21a〜21dから出力されるバイアス電圧Vbias1〜Vbias4を設定する。電源21a〜21dから出力されるバイアス電圧Vbias1〜Vbias4は、処理部10により制御される。
次に、プローブ22に電圧(第1の電圧)を印加した状態で、X−Yステージ14を走査する。プローブ22に印加する電圧は、試料12aに応じて適宜設定すればよい。ここでは、第1の電圧を、例えば1.0Vとする。電流像生成部26は、プローブ22に流れる電流に応じた信号を、XY座標に関連付けて取得し、電流像(第1の電流像)を生成する。また、AFM像生成部20は、スキャナ18の圧電素子に印加される電圧信号をXY座標に関連付けて取得し、AFM像を生成する。こうして、第1の電流像とAFM像とが取得される(ステップS28)。
なお、試料12aの導体プラグ88a〜88dを電源21a〜21dのプラス側に接続し、プローブ22を電源21a〜21dのマイナス側に接続(接地)してもよいし、試料12aの導体プラグ88a〜88dを電源21a〜21dのマイナス側に接続(接地)し、プローブ22を電源21a〜21dのプラス側に接続してもよい。
次に、処理部10は、電流像生成部26により生成された第1の電流像に関するデータと、AFM像生成部20により生成されたAFM像に関するデータとを用い、第1の電流像とAFM像とを表示器28の表示画面上に表示させる(ステップS29)。こうして、プローブ22に第1の電圧を印加した状態で取得された第1の電流像とAFM像とが、表示器28の表示画面上に表示される。処理部10は、第1の電流像に関するデータとAFM像に関するデータとを記憶部30に記憶させる。
次に、更なる電流像の取得を行うか否かを判断する(ステップS30)。第1の電流像のみにより試料の評価が可能な場合には、更なる電流像の取得を行うことなく、測定を終了してもよい。しかし、第1の電流像のみでは試料に対する評価を行えない場合には、更なる電流像の取得を行う。また、第1の電流像のみにより試料に対する評価を行える場合であっても、更に電流像を取得することが望ましい場合には、更なる電流像の取得を行う。
なお、更なる電流像の取得を行うか否かについては、操作者が電流像を観察することにより判断してもよいし、制御部10が判断してもよい。
更なる電流像の取得を行う場合には、プローブ22に印加するバイアス電圧を変化させる(ステップS31)。プローブ22に印加する電圧(第2の電圧)は、適宜設定すればよい。ここでは、第2の電圧を第1の電圧より高い電圧とする。より具体的には、第2の電圧を、例えば1.4Vとする。
次に、プローブ22に第2の電圧を印加した状態で、X−Yステージ14を走査する。電流像生成部26は、プローブ22に流れる電流に応じた信号を、XY座標に関連付けて取得し、電流像(第2の電流像)を生成する。こうして、第2の電流像が取得される(ステップS28)。
処理部10は、電流像生成部26により生成された第2の電流像に関するデータと、AFM像生成部20により生成されたAFM像に関するデータとを用い、第2の電流像とAFM像とを表示器28の表示画面上に表示させる(ステップS29)。こうして、プローブ22に第2の電圧を印加した状態で取得された第2の電流像とAFM像とが、表示器28の表示画面上に表示される。処理部10は、第2の電流像に関するデータを記憶部30に記憶させる。
次に、更なる電流像の取得を行うか否かを判断する(ステップS30)。第1の電流像及び第2の電流像により試料の評価が可能な場合には、更なる電流像の取得を行うことなく、測定を終了してもよい。しかし、第1の電流像及び第2の電流像では試料に対する評価を行えない場合には、更なる電流像の取得を行う。また、第1の電流像及び第2の電流像により試料に対する評価を行える場合であっても、更に電流像を取得することが望ましい場合には、更なる電流像の取得を行う。
更なる電流像の取得を行う場合には、プローブ22に印加するバイアス電圧を変化させる(ステップS31)。プローブ22に印加する電圧(第3の電圧)は、適宜設定すればよい。ここでは、第3の電圧を第2の電圧より高い電圧とする。より具体的には、第3の電圧を、例えば1.8Vとする。
次に、第3の電圧をプローブ22に印加した状態で、X−Yステージ14を走査する。電流像生成部26は、プローブ22に流れる電流に応じた信号を、XY座標に関連付けて取得し、電流像(第3の電流像)を生成する。こうして、第3の電流像が取得される(ステップS28)。
処理部10は、電流像生成部26により生成された電流像に関するデータと、AFM像生成部20により生成されたAFM像に関するデータとを用い、第3の電流像とAFM像とを表示器28の表示画面上に表示させる(ステップS29)。こうして、プローブ22に第3の電圧を印加した状態で取得された第3の電流像とAFM像とが、表示器28の表示画面上に表示される。処理部10は、第3の電流像に関するデータを記憶部30に記憶させる。
次に、更なる電流像の取得を行うか否かを判断する(ステップS30)。第1の電流像乃至第3の電流像により試料の評価が可能な場合には、更なる電流像の取得を行うことなく、測定を終了してもよい。しかし、第1の電流像乃至第3の電流像では試料に対する評価を行えない場合には、プローブ22に印加する電圧を更に順次変化させて、更なる電流像の取得を順次行う。また、第1の電流像乃至第3の電流像により試料に対する評価を行える場合であっても、更に電流像を取得することが望ましい場合には、プローブ22に印加するバイアス電圧を更に順次変化させて(ステップS31)、更なる電流像の取得等を各々のバイアス電圧について順次行う(ステップS28)。
プローブ22に印加する電圧を順次変化させることにより得られた電流像は、AFM像とともに、表示器28の表示画面上に順次表示される(ステップS29)。処理部10は、プローブ22に印加する電圧を順次変化させることにより得られた電流像に関するデータを、記憶部30に順次記憶させる。
更なる電流像の取得を行うか否かを更に判断(ステップS30)し、更なる電流像の取得の必要がないと最終的に判断した場合には、試料12aに対しての測定を終了する。
このように、本実施形態によれば、トランジスタ64等の半導体素子等にバイアス電圧Vbias1〜Vbias4を適宜印加しながら測定を行うため、特定のトランジスタ64を動作させた状態で試料の評価を行うことができる。従って、本実施形態によれば、更に有用な測定結果を取得することができ、デバイス開発の有用な指針とすることができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による半導体評価方法を図19、図20及び図22を用いて説明する。図22は、本実施形態による半導体評価方法を示すフローチャートである。図1乃至図21に示す第1又は第2実施形態による半導体評価方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
本実施形態による半導体評価方法は、トランジスタ等の半導体素子に印加する電圧を順次変化させ、各々の電圧毎に電流像等を順次取得することに主な特徴がある。
まず、試料12aを用意するステップ(ステップS41)からプローブ22の位置合わせを行うステップ(ステップS47)までは、図21を用いて上述した第2実施形態による半導体評価方法のステップS21〜S27と同様であるので、説明を省略する(ステップS41〜S47)。
こうして、試料12aに対して測定を行うための準備が完了する。
次に、試料12aに対しての測定を開始する。
試料12aに対しての測定を開始する際には、操作者(図示せず)が、試料12aの測定を開始すべき旨の命令を入力部32から入力する。
処理部10は、操作者による命令に基づいて、以下のような処理を行う。
まず、各々の電源21a〜21dから出力されるバイアス電圧Vbias1〜Vbias4を設定する。電源21a〜21dから出力されるバイアス電圧Vbias1〜Vbias4は、処理部10により制御される。
次に、プローブ22に電圧(第1の電圧)を印加した状態で、X−Yステージ14を走査する。プローブ22に印加する電圧は、試料12aに応じて適宜設定すればよい。ここでは、第1の電圧を、例えば1.0Vとする。電流像生成部26は、プローブ22に流れる電流に応じた信号を、XY座標に関連付けて取得し、電流像(第1の電流像)を生成する。また、AFM像生成部20は、スキャナ18の圧電素子に印加される電圧信号をXY座標に関連付けて取得し、AFM像を生成する。こうして、第1の電流像とAFM像とが取得される(ステップS48)。
なお、試料12aの導体プラグ88a〜88dを電源21a〜21dのプラス側に接続し、プローブ22を電源21a〜21dのマイナス側に接続(接地)してもよいし、試料12aの導体プラグ88a〜88dを電源21a〜21dのマイナス側に接続(接地)し、プローブ22を電源21a〜21dのプラス側に接続してもよい。
次に、処理部10は、電流像生成部26により生成された第1の電流像に関するデータと、AFM像生成部20により生成されたAFM像に関するデータとを用い、第1の電流像とAFM像とを表示器28の表示画面上に表示させる(ステップS49)。こうして、プローブ22に第1の電圧を印加した状態で取得された第1の電流像とAFM像とが、表示器28の表示画面上に表示される。処理部10は、第1の電流像に関するデータとAFM像に関するデータとを記憶部30に記憶させる。
次に、更なる電流像の取得を行うか否かを判断する(ステップS50)。
更なる電流像の取得を行う場合には、プローブ22に印加するバイアス電圧を変化させる(ステップS51)。プローブ22に印加する電圧(第2の電圧)は、適宜設定すればよい。ここでは、第2の電圧を第1の電圧より高い電圧とする。より具体的には、第2の電圧を、例えば2.0Vとする。
次に、プローブ22に第2の電圧を印加した状態で、X−Yステージ14を走査する。電流像生成部26は、プローブ22に流れる電流に応じた信号を、XY座標に関連付けて取得し、電流像(第2の電流像)を生成する。こうして、第2の電流像が取得される(ステップS48)。
処理部10は、電流像生成部26により生成された第2の電流像に関するデータと、AFM像生成部20により生成されたAFM像に関するデータとを用い、第2の電流像とAFM像とを表示器28の表示画面上に表示させる(ステップS49)。こうして、プローブ22に第2の電圧を印加した状態で取得された第2の電流像とAFM像とが、表示器28の表示画面上に表示される。処理部10は、第2の電流像に関するデータを記憶部30に記憶させる。
次に、更なる電流像の取得を行うか否かを判断する(ステップS50)。
更なる電流像の取得を行う場合には、プローブ22に印加するバイアス電圧を変化させる(ステップS51)。プローブ22に印加する電圧(第3の電圧)は、適宜設定すればよい。ここでは、第3の電圧を第2の電圧より高い電圧とする。より具体的には、第3の電圧を、例えば3.0Vとする。
次に、第3の電圧をプローブ22に印加した状態で、X−Yステージ14を走査する。電流像生成部26は、プローブ22に流れる電流に応じた信号を、XY座標に関連付けて取得し、電流像(第3の電流像)を生成する。こうして、第3の電流像が取得される(ステップS48)。
処理部10は、電流像生成部26により生成された電流像に関するデータと、AFM像生成部20により生成されたAFM像に関するデータとを用い、第3の電流像とAFM像とを表示器28の表示画面上に表示させる(ステップS49)。こうして、プローブ22に第3の電圧を印加した状態で取得された第3の電流像とAFM像とが、表示器28の表示画面上に表示される。処理部10は、第3の電流像に関するデータを記憶部30に記憶させる。
このようにして、プローブ22に印加するバイアス電圧を順次変化させて(ステップS51)、更なる電流像の取得が各々のバイアス電圧について順次行われ(ステップS48)、取得された電流像がAFM像とともに表示器28の表示画面上に順次表示される(ステップS49)。
こうして、トランジスタ64等の半導体素子にある電圧が印加された状態で電流像の取得等が行われる。
ある電圧をトランジスタ64等の半導体素子に印加した状態で電流像等の取得が終了した後には、半導体素子に印加する電圧を変化させて更なる電流像等の取得を行うか否かを判断する(ステップS52)。
トランジスタ64等の半導体素子に印加する電圧を変化させて更なる電流像等の取得を行う場合には、トランジスタ64等の半導体素子に印加する電圧を変化させる(ステップS53)。
次に、上記と同様にして、電流像の取得等が各々のバイアス電圧について順次行われる(ステップS48〜S51)。
次に、半導体素子に印加する電圧を更に変化させて電流像等の取得を行うか否かを判断する(ステップS52)。
トランジスタ64等の半導体素子に印加する電圧を変化させて更なる電流像等の取得を行う場合には、トランジスタ64等の半導体素子に印加する電圧を更に変化させる(ステップS53)。
こうして、トランジスタ64等の半導体素子に印加する電圧を順次変化させて電流像の取得等が行われる。
トランジスタ64等の半導体素子に印加する電圧の増加は、例えばトランジスタ64等の半導体素子に損傷が生じるまで行われる。
トランジスタ64等の半導体素子に損傷が生じた後に、トランジスタ64等の半導体素子に印加する電圧を更に上昇させて、電流像の取得等を更に行ってもよい。
また、試料12aを加熱しながら電流像等の取得を行ってもよい。これにより、試料12aを加熱しながら電流像等の取得を行うことにより、トランジスタ64等の半導体素子に損傷を生じさせやすくすることができる。即ち、試料12aを加熱しながら測定を行えば、加速試験を行うことができる。
更なる電流像の取得を行うか否かを更に判断(ステップS52)し、更なる電流像の取得の必要がないと最終的に判断した場合には、試料12aに対しての測定を終了する。
このように、本実施形態によれば、トランジスタ64等の半導体素子等に印加するバイアス電圧Vbias1〜Vbias4を変化させ、各々の電圧毎に電流像等の取得を行うため、更に有用な測定結果を取得することができ、デバイス開発の有用な指針とすることができる。
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、試料12を電源21のプラス側を接続し、プローブ22を電源21のマイナス側に接続する場合を例に説明したが、プローブ22を電源21のプラス側に接続し、試料12を電源21のマイナス側に接続するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、プローブ22に流れる電流を測定する場合を例に説明したが、プローブ22の電位を測定するようにしてもよい。この場合には、試料の電位像が得られることとなる。なお、電位像とは、試料の各箇所において測定された電位の分布を画像として表したものである。
また、第1又は第2実施形態において、試料12、12aを加熱しながら測定を行ってもよい。
以上詳述した通り、本発明の特徴をまとめると以下のようになる。
(付記1)
半導体基板と、前記半導体基板の第1の面側に形成された半導体素子と、前記半導体素子を覆うように形成された絶縁層とを有する半導体装置より成る試料を、走査型プローブ顕微鏡を用いて評価する半導体評価方法であって、
前記試料の前記絶縁層が形成されている側が試料台に接するように、前記試料台上に前記試料を固定する第1のステップと、
前記半導体基板の第2の面側を研磨することにより、前記半導体基板の厚さを所定の厚さまで薄くする第2のステップと、
前記走査型プローブ顕微鏡の探針にバイアス電圧を印加し、前記探針を前記半導体基板の前記第2の面側に接触させ、走査を行いながら前記探針に流れる電流を測定する第3のステップとを有し、
前記第3のステップでは、前記バイアス電圧を順次変化させ、各々の前記バイアス電圧毎に前記探針に流れる電流を順次測定する
ことを特徴とする半導体評価方法。
(付記2)
付記1記載の半導体評価方法において、
前記第3のステップでは、試料の各箇所において測定された電流に基づいて電流像を表示する
ことを特徴とする半導体評価方法。
(付記3)
付記2記載の半導体評価方法において、
前記第3のステップでは、原子間力顕微鏡像をも取得し、前記電流像を前記原子間力顕微鏡像に対応させて表示する
ことを特徴とする半導体評価方法。
(付記4)
付記2又は3記載の半導体評価方法において、
前記第3のステップでは、測定対象となる前記半導体素子に電圧を印加した状態で、前記探針に流れる電流を測定する
ことを特徴とする半導体評価方法。
(付記5)
付記4記載の半導体評価方法において、
前記第3のステップでは、前記半導体素子に印加する電圧を順次変化させ、各々の電圧毎に前記探針に流れる電流を測定する
ことを特徴とする半導体評価方法。
(付記6)
付記5記載の半導体評価方法において、
前記第3のステップでは、少なくとも前記半導体素子に損傷が生じるまで前記半導体素子に印加する電圧を順次上昇させる
ことを特徴とする半導体評価方法。
(付記7)
付記4乃至6のいずれかに記載の半導体評価方法において、
前記第3のステップでは、前記試料を加熱しながら、前記探針に流れる電流を測定する
ことを特徴とする半導体評価方法。
(付記8)
付記1乃至7のいずれかに記載の半導体評価方法において、
前記第2のステップでは、測定対象となる前記半導体素子が形成されている領域の前記半導体基板の厚さが1μm以下になるまで、前記半導体基板の厚さを薄くする
ことを特徴とする半導体評価方法。