JP5157061B2 - アップテーク及び金属精錬炉 - Google Patents

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Description

本発明は、金属精錬炉の上方に配置され、炉内に発生した高温ガスを上方へと排出するための縦孔を有するアップテーク及びこのアップテークを備えた金属精錬炉に関するものである。
一般に、金属の精錬炉等においては、炉内に発生する高温ガスを炉の上方側へと排出するための縦孔を有するアップテークが備えられている。省エネルギーの観点から、この高温ガスの排出に伴う廃熱を回収して利用するために、このアップテークの後段側に廃熱ボイラ等が備えられている。(特許文献1及び特許文献2参照)。
また、従来のアップテークでは、炉から排出されるガスの温度が高温であるために、縦孔の側壁部を耐火物で構成したものが提供されている。
ところで、精錬炉等では、炉内にキャリアガスとともに鉱石等を供給するため、炉内に貯留されている溶湯等のスプラッシュが発生して、アップテークの縦孔の内壁面に付着して、いわゆる鋳付きが発生してしまうことがある。また、縦孔内を上昇する高温ガスとともに炉内に浮遊する灰などが縦孔内部へと侵入して、やはり、縦孔の内壁面に付着することがある。
ここで、縦孔の側壁部が耐火物で構成されている場合には、溶湯のスプラッシュによって、耐火物の溶損やスポーリングが発生して、耐火物の一部が脱落してしまうことがあり、この補修のために操業を停止しなければならないことがあった。
そこで、縦孔の側壁部を金属で構成し、この側壁部の上部側にボイラ配管を配置したものが提供されている。図7及び図8に従来のアップテークの一例を示す。このアップテーク1は、炉2の天井部分から上方に向けて垂直に延びるように配置されており、炉2と接続された下部筒体1Aとこの下部筒体1Aの上方に連設された上部筒体1Bとで構成され、これら上部筒体1B及び下部筒体1Aとを貫通するように縦孔3が形成されている。
また、上部筒体1Bの上端側には、側方に開口した排出口が形成され、この排出口には、側方へ延びて廃熱ボイラ4へと連設される接続部5が配置されている。そして、下部筒体1Aの外側には冷却部材として水冷配管6が配置され、上部筒体1Bには冷却部材としてボイラ配管7が配置されている。
この構成のアップテーク1では、アップテーク1の上部部分1Bで廃熱を回収して、さらなる省エネルギー化を図ることができるものである。
実公昭61−714号公報 実公平02−20561号公報
しかしながら、図7及び図8に示す従来のアップテーク1では、上部筒体1Bの外側にボイラ配管7が配置されているが、縦孔3の内壁面に鋳付きが発生することによって、縦孔3を流通する高温ガスからボイラ配管7への伝熱量が著しく低下してしまい、ボイラ配管7によって蒸気を発生させることができず、実際には、ほとんどボイラ配管7による熱回収をできないことがあった。
また、ボイラ配管7は、熱回収効率を上げるために薄肉化されているために強度が低く、ボイラ配管7の破損による水漏れトラブル等が発生し易いものであった。このため、ボイラ配管7のメンテナンスを頻繁に行う必要があり、炉2の操業を停止しなければならないことがあった。
また、このボイラ配管7をメンテナンスする際には、ボイラ配管7が配置された上部筒体1Bへの高温ガスの流入を停止させるために、上部筒体1Bと下部筒体1Aとの間に、縦孔3を閉止する閉止部材8を挿入する必要があった。
上部筒体1Bと下部筒体1Aとの間に閉止部材8を挿入した場合には、閉止部材8よりも上方に位置する上部筒体1Bの内壁面から脱落した鋳付きが、閉止部材8の上に落下することになる。したがって、閉止部材8を挿入する前に、上部筒体1Bの内壁面に付着した鋳付きをすべて取り除いておく必要があるため、閉止部材8の挿入には、多くの時間と労力とを要し、ボイラ配管7のメンテナンスを容易に行うことができなかった。
また、縦孔3の内壁面に付着した鋳付きを取り除く場合には、油圧ジャッキ等を使用して鋳付きを縦孔3の内方に押圧して剥離することが効果的である。しかし、ボイラ配管7が配置されている部分では、ボイラ配管7が前述のように薄肉で強度が低いために、油圧ジャッキを使用して鋳付きを剥離することができず、鋳付きの除去を効率的に行うことができないといった問題があった。
縦孔3の内壁面に付着した鋳付きを取り除くことができないと、高温ガスが流通される縦孔3の開口部面積が小さくなってしまう。ここで、廃熱ボイラ4への排出ガス量を一定にしていた場合には、この縦孔3の中を流れる高温ガスの流速が速くなり、炉2内に浮遊する灰や溶湯のスプラッシュを吸引してしまい、縦孔3の内壁面に鋳付きが発生しやすくなる。このために、ボイラ配管7での熱回収効率が、さらに劣化するといった問題があった。
本発明は、上述した状況に鑑みてなされたものであって、縦孔の内壁面に発生した鋳付きを容易に取り除くことができるとともに、メンテナンス作業を軽減して金属精錬炉の操業停止時間を少なくすることができるアップテーク及びこのアップテークを備えた金属精錬炉を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、金属精錬炉から発生する高温ガスを前記炉の上方側へと排出するための縦孔を有するアップテークであって、前記縦孔の側壁部は、その全長にわたって、金属で構成された熱伝導体板を備えた水冷ジャケットによって構成されており、前記水冷ジャケットが有する熱伝導体板の内表面が、前記縦孔の内壁面を構成しており、前記縦孔のうち金属精錬炉の開口部へと装入された下端部においては、前記熱伝導体板の内部をくり抜いて冷却水流路を形成した水冷ジャケットを用いていることを特徴としている。
この構成のアップテークによれば、縦孔の側壁部に、薄肉のボイラ配管が配置されていないので、ボイラ配管の破損による水漏れトラブル等が発生することがない。したがって、ボイラ配管の修理のために頻繁に操業を停止する必要がなく、炉の操業を効率良く行うことができる。
また、薄肉のボイラ配管がないために、縦孔の内壁面に付着した鋳付きを、油圧ジャッキ等を使用して剥離することができ、鋳付きの除去を効率的に行うことができる。このように簡単に鋳付きを取り除くことができるので、縦孔の開口部面積を常に確保することができる、したがって、この縦孔の中を流れる高温ガスの流速が速くなることを防止でき、炉内に浮遊する灰やスプラッシュの吸引を抑制して、さらに縦孔の内壁面への鋳付きの発生を防止することができる。
ここで、前記縦孔を、前記長手方向に直交する断面が四角形とすることにより、断面円形の縦孔の場合に比較して鋳付きの剥離を容易にすることができる。断面円形の縦孔の内周面全体に鋳付きが発生した場合には、この鋳付きを除去するために、円環状の鋳付き全体の外径を小さくするように変形させる必要があり、鋳付きの剥離に大きな力を要する。一方、断面四角形の縦孔の内周面全体に鋳付きが発生した場合には、この鋳付きが四角形の一部で破断しやすくなるため、小さな力で鋳付きを剥離することができる。
また、アップテークは、炉の上方に略垂直に延びるように配置されるため、通常、アップテークの側方部分が、四角形枠を有する支持フレームにて支持されている。ここで、アップテークの縦孔を断面四角形のものとすることにより、この四角形枠の中で縦孔の開口部面積を最大限確保することができ、縦孔内を流れる高温ガスの流速を抑えることができる。
また、前記側壁部に、前記高温ガスを側方へと排出する接続部を形成し、該接続部に、垂直方向に移動する閉止部材を配置することにより、このアップテークの後段側に配置された廃熱ボイラ等のメンテナンスの際に、閉止部材を垂直方向に移動させることで、炉と後段の装置とを遮断することができる。したがって、閉止部材を挿入する際に、縦孔の内壁面に付着した鋳付きを取り除く必要がなく、閉止部材の挿入を簡単にかつ確実に行うことができる。
また、連続製銅法に使用される金属精錬炉では、炉内にランスを介して鉱石等をキャリアガスとともに投入するため、炉内に貯留されている溶湯のスプラッシュが発生し易く、縦孔の内壁面に鋳付きが発生しやすい。そこで、連続製銅法に使用される金属精錬炉として上述のアップテークを備えた金属精錬炉を使用することが、縦孔の内壁面に鋳付きを容易に剥離することができるため好ましい。
このように、本発明によれば、縦孔の内壁面に発生した鋳付きを容易に取り除くことができるとともに、メンテナンスを容易として操業停止時間を少なくすることができるアップテーク及びこのアップテークを備えた金属精錬炉を提供することができる。
以下に、本発明の実施形態について添付した図面を参照にして説明する。
アップテーク10は、連続製銅プロセスの溶錬炉20と、この溶錬炉20からの廃熱を回収するための廃熱ボイラ30とを接続して、溶錬炉20から発生する高温ガスを廃熱ボイラ30へと導くためのものである。
溶錬炉20の天井部21に開口部22が形成され、この開口部22にアップテーク10の下端部11が挿入されて固定されている。図1及び図4に示すように、アップテーク10は溶錬炉20の天井部21から略垂直に上方に向けて延びるように配置されており、アップテーク10の上端側には側方に開口した排出口が形成され、この排出口には廃熱ボイラ30へと連設された接続部12が接続されている。この排出口には、図1及び図2に示すように、廃熱ボイラ30と溶錬炉20との間を遮断するための閉止部材13が、垂直方向に移動可能に配置されている。
このアップテーク10には、図3に示すように、長手方向に垂直な断面が概略正方形をなす縦孔14が形成されている。この縦孔14の断面は、厳密には、正方形の角部を切り取った八角形をなしている。
また、アップテーク10の外周面も、縦孔14と同様に概略正方形、厳密には正方形の角部を切り取った八角形をなしている。アップテーク10を支持する支持フレーム15への取付部を、アップテーク10がなす正方形の角部に形成したために、正方形の角部を切り取った八角形をなしているのである。
そして、図1及び図2に示すように、このアップテーク10の外周側には、水冷配管が全長にわたって配置されており、すなわち、このアップテーク10に備えられた縦孔14の側壁部14Aは、その全長にわたって水冷ジャケット17によって構成されているのである。
図6に水冷ジャケット17の構造の一例を示す。この水冷ジャケット17は、例えばステンレス鋼などの金属で構成された熱伝導体板18を有し、この熱伝導体板18の外表面18Aに、外表面18Aの一部を覆って熱伝導体板18の外表面18Aとの間に線状の冷却水流路を形成する流路形成部材19が設けられている。この流路形成部材19は、図6(b)に示すように、断面が半円上をなす半割パイプによって構成されている。
また、この熱伝導体板18の内表面18Bが、縦孔14の内壁面14Bを構成しているのである。ここで、熱伝導体板18および流路形成部材19は、肉厚を十分厚くすることによってその強度を確保することができる。
アップテーク10のうち溶錬炉20の開口部22へと挿入された下端部11では、アップテーク10の外表面からも熱が加わることとなるために、上述したような水冷ジャケット17を使用することができない。そこで、この部分には、厚さの厚い熱伝導体板の内部をくり抜いて冷却水流路を形成した水冷ジャケットが使用されている。
本実施形態であるアップテーク10によれば、縦孔14の側壁部14Aが、ステンレス鋼等の金属で構成された水冷ジャケット17で構成されているので、縦孔14の内壁面14Bが耐火物で構成されている場合のように、溶湯のスプラッシュによる溶損や溶湯の浸潤によるスポーリング等によって内壁面14Bの一部が脱落するおそれがなく、このアップテーク10のメンテナンスを頻繁に行う必要がない。
また、アップテーク10にボイラ配管が配置されていないので、薄肉で強度の低いボイラ配管の破損による水漏れトラブル等が発生することがなく、修理のために必要以上に操業を停止する必要がない。したがって、このアップテーク10が接続された溶錬炉20及び廃熱ボイラ30の操業を効率良く行うことができる。
また、縦孔14の側壁部14Aが水冷ジャケット17で構成され、その冷却水路を形成する熱伝導体板18および流路形成部材19の肉厚を十分厚くすることによってその強度を確保することができるので、縦孔14の内壁面14B、つまり熱伝導体板18の内表面18Bに付着した鋳付きを、水冷ジャケット17に設けられた孔から油圧ジャッキに接続されたロッドを挿入して、このロッドで鋳付きを押圧することによって剥離することができ、鋳付きの除去を効率的に行うことができる。
このように鋳付きの除去を容易に行うことができるので、縦孔14の開口部面積を十分に確保できる。したがって、縦孔14の中を流れる高温ガスの流速の上昇を防止でき、溶錬炉20内に浮遊する灰や溶湯のスプラッシュを吸引することを抑制して、縦孔14の内壁面14Bへの鋳付きの発生を防止することができる。
また、高温ガスが流通する縦孔14を、アップテーク10の長手方向に直交する断面が概略四角形、厳密には八角形のものとされているので、アップテーク10を支持する支持フレーム15の中で縦孔14の開口部面積を最大限確保することができ、縦孔14の内壁面14Bに鋳付きが発生した場合でも高温ガスの流速が大きく上昇することを防止でき、さらなる鋳付きの成長を抑制することができる。
また、縦孔14が四角形孔とされているので、この内壁面14Bに付着した鋳付きを縦孔14の内方へと押圧した際に、四角形の角部で鋳付きが破断しやすくなり、小さな力で鋳付きを剥離することができる。
また、アップテーク10上方側に、側方に開口した排出口が形成され、この排出口に、垂直方向に移動する閉止部材13が配置されているので、このアップテーク10の後段側に配置された廃熱ボイラ30のメンテナンスの際に、閉止部材13を垂直方向に移動させることで、溶錬炉20と廃熱ボイラ30とを遮断することができる。また、アップテーク10の縦孔14を閉止する必要がないので、閉止部材13を挿入する際に、縦孔14の内壁面14Bの鋳付きを取り除く必要がなく、閉止部材13の挿入を簡単にかつ確実に行うことができる。
このように、本実施形態であるアップテーク10によれば、縦孔14の内壁面14Bに発生した鋳付きを容易に取り除くことができるとともに、メンテナンスを容易として炉の操業停止時間を少なくすることができる。
以上、本発明の実施形態であるアップテークについて説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、水冷ジャケットとして、熱伝導体板の外表面に半割パイプを固定することによって構成したもので説明したが、これに限定されることはなく、例えば山形鋼、溝形鋼等を固定して流路を形成してもよいし、溶錬炉内に挿入された部分のように、熱伝導体板の内部に流路を形成したものであってもよい。
また、連続製銅法の溶錬炉に備えられたアップテークとして説明したが、これに限定されることはなく、連続製銅法の製銅炉や自溶炉にこのアップテークを適用してもよい。
さらに、後段の装置として廃熱ボイラと接続されたアップテークとして説明したが、後段の装置は廃熱ボイラに限定されるものではなく、例えば排気処理装置などの他の装置に高温ガスを導入するものであってもよい。
さらに、縦孔14の断面を、四角形及び八角形としたもので説明したが、これに限定されることはなく、これらの断面は他の多角形や円形であっても良い。ただし、縦孔14を断面円形孔とした場合には、上述のように内周面に付着した鋳付きを剥離することが困難であるため、四角形孔等の多角形孔とすることが好ましい。
本発明の実施形態であるアップテークが溶錬炉と廃熱ボイラとの間に配置された状態を示す側面図である。 図1に示すアップテークを廃熱ボイラ側から見た図である。 図1におけるX−X矢視図である。 図1に示すアップテークの縦断面模式図である。 図1に示すアップテークの斜視図である。 水冷ジャケットの構造を示す説明図である。 従来のアップテークを示す縦断面模式図である。 従来のアップテークを示す斜視図である。
符号の説明
10 アップテーク
12 接続部
13 閉止部材
14 縦孔
14A 側壁部
14B 内壁面
17 水冷ジャケット
20 溶錬炉(炉)

Claims (5)

  1. 金属精錬炉から発生する高温ガスを前記炉の上方側へと排出するための縦孔を有するアップテークであって、
    前記縦孔の側壁部は、その全長にわたって、金属で構成された熱伝導体板を備えた水冷ジャケットによって構成されており、前記水冷ジャケットが有する熱伝導体板の内表面が、前記縦孔の内壁面を構成しており、
    前記縦孔のうち金属精錬炉の開口部へと装入された下端部においては、前記熱伝導体板の内部をくり抜いて冷却水流路を形成した水冷ジャケットを用いていることを特徴とするアップテーク。
  2. 前記縦孔は、長手方向に直交する断面が概略四角形とされていることを特徴とする請求項1に記載のアップテーク。
  3. 前記側壁部には、前記高温ガスを側方へと排出する排出口が形成され、該排出口には、垂直方向に移動可能な閉止部材が配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアップテーク。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載のアップテークを備えたことを特徴とする金属精錬炉
  5. 連続製銅法に使用されることを特徴とする請求項4に記載の金属精錬炉
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