JP5157003B2 - ユーロピウム付活リン酸イットリウムナノ粒子およびユーロピウム付活バナジウム酸イットリウムナノ粒子の製造方法 - Google Patents

ユーロピウム付活リン酸イットリウムナノ粒子およびユーロピウム付活バナジウム酸イットリウムナノ粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カラーディスプレイに使用されるようなユーロピウム付活リン酸イットリウム(YPO:Eu)ナノ粒子およびユーロピウム付活バナジウム酸イットリウム(YVO:Eu)ナノ粒子の製造方法に関する。詳細にはディスプレイの高密度な情報表示を実現するナノメーターオーダーの粒子の製造方法に関する。
近年になり、カラープラズマディスプレイの性能は急速に向上し、使用される蛍光体の改良が望まれている。特に、高密度な情報表示の要求からディスプレイ表示画面の高精細化が進んでおり、使用される蛍光体の微粒子化が望まれている。また、照射する励起光(真空紫外光)は蛍光体最表面で吸収されることからも、より高輝度の蛍光体を得るためには表面欠陥のないより微細な粒子が望まれる。
従来、希土類からなる蛍光体として、赤色にはY:Eu3+が、緑色にはY1512:Tb3+が使用されている。また、青色蛍光体としては、BaMgAl1017:Eu2+粒子が主流である。
例えば、特許文献1は、真空紫外線励起蛍光体およびそれを用いた発光装置に関し、YBO:Euからなる蛍光体が開示されている。さらに、特許文献2は、CdSナノ粒子の発光分光特性に関し、青色発光する蛍光体としてCdSが開示されている。
また、特許文献3には、希土類元素リン酸塩およびその製造方法に関し、RPO(R=Sc、Y)が開示され、特許文献4は、燐・バナジン酸塩蛍光体およびそれを用いた表示装置並びに発光装置に関し、(Y、Gd)(V、P)O・MnO:Euが開示されているが、これらはナノ粒子ではない。
特開2002‐038150号公報 特表2002‐536285号公報 特開2005‐330307号公報 特開2001‐107045号公報
本発明者らは、リン酸又はバナジウム酸アンモニウムと、硝酸イットリウムを含む溶液Aに、塩化ユロピウムを含む溶液Bを混合した溶液Cに、アルカリ性溶液を一定時間滴下することにより結晶性金属酸化物超微粒子の低温合成し、該合成中及び/又は合成後、Euイオンを、Eu3+からEu2+に還元させることにより、ナノ粒子の青色蛍光体であるYPO:Eu2+及びYVO:Eu2+を製造できることを見出し本発明に至った。
即ち、本発明の課題は、ユーロピウム付活リン酸イットリウムナノ粒子およびユーロピウム付活バナジウム酸イットリウムナノ粒子の製造方法を提供することにある。
請求項1に係る発明は、以下の工程1及び2を含み、以下の工程1中の溶液A乃至Cいずれか一以上に、還元剤を含む溶液を混合し、前記還元剤を含む溶液が、NaBH をエタノールと水の混合溶液に溶解させた溶液であることを特徴とするユーロピウム付活リン酸イットリウム(YPO:Eu)ナノ粒子又は、ユーロピウム付活バナジウム酸イットリウム(YVO:Eu)ナノ粒子の製造方法に関する。
(1)リン酸又はバナジウム酸アンモニウムと、硝酸イットリウムを含む溶液Aと、
塩化ユーロピウムを含む溶液Bを作製し、
前記溶液Aと溶液Bを混合した溶液Cに、アルカリ性溶液を加熱還流しながら10〜120分間滴下する工程
(2)工程1で得られた溶液を加熱還流した後、遠心分離、次いで洗浄、真空乾燥する工程
請求項2に係る発明は、前記溶液Aに、さらにアルコール及び/又は水を含むことを特徴とする請求項1に記載のYPO:Euナノ粒子又はYVO:Euナノ粒子の製造方法に関する。
請求項3に係る発明は、前記溶液A中のアルコール及び水の容量比が100:0〜0:100であることを特徴とする請求項2に記載のYPO:Euナノ粒子又はYVO:Euナノ粒子の製造方法に関する
求項に係る発明は、さらに工程3を含むことを特徴とする請求項1乃至いずれかに記載のYPO:Euナノ粒子又はYVO:Euナノ粒子の製造方法に関する。
(3)工程2で得られたYPO:Euナノ粒子又はYVO:Euナノ粒子に熱処理を施す工程
求項に係る発明は、前記工程3の熱処理が、100〜800℃に昇温することを含む請求項4に記載のYPO:Euナノ粒子又はYVO:Euナノ粒子の製造方法に関する
本発明のユーロピウム付活リン酸イットリウム(YPO:Eu)ナノ粒子及びユーロピウム付活バナジウム酸イットリウム(YVO:Eu)ナノ粒子によると、その粒径がナノメーターオーダーである蛍光体と成り得るから、ディスプレイ表示画面等の高精細化が実現する。また、ユーロピウムイオンがEu2+である場合、このEu2+が青色発光することから、青色蛍光体として使用できる。
本発明のユーロピウム付活リン酸イットリウム(YPO:Eu)ナノ粒子及びユーロピウム付活バナジウム酸イットリウム(YVO:Eu)ナノ粒子の製造方法は、前記YPO:Euナノ粒子及びYVO:Euナノ粒子を低温合成できるとともに、ナノメーターオーダーの粒子を製造することができる。
本発明のユーロピウム付活リン酸イットリウム(YPO:Eu)ナノ粒子及びユーロピウム付活バナジウム酸イットリウム(YVO:Eu)ナノ粒子の製造方法によると、結晶性の高いYPO:Euナノ粒子及びYVO:Euナノ粒子を製造することができる。
以下、本発明のユーロピウム付活リン酸イットリウム(YPO:Eu)ナノ粒子又はユーロピウム付活バナジウム酸イットリウム(YVO:Eu)ナノ粒子の製造方法について説明する。尚、図1のフローチャートにて本発明製造方法の一例を示す。
本発明のYPO:Euナノ粒子YVO:Euナノ粒子の製造方法は、以下の工程1を含む。
(1)リン酸又はバナジウム酸アンモニウムと、硝酸イットリウムを含む溶液Aと、
塩化ユロピウムを含む溶液Bを作製し、
前記溶液Aと溶液Bを混合した溶液Cに、アルカリ性溶液を一定時間滴下する工程
前記硝酸イットリウムとしては、例えば、硝酸イットリウム六水和物(Y(NO)・6HO)が用いられる
記塩化ユロピウムとしては、例えば、塩化ユロピウム・六水和物(EuCl・6HO)、塩化ユロピウム無水物(EuCl)が挙げられる。
前記アルカリ溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)を溶解させたエタノール溶液、水酸化ナトリウム(NaOH)を溶解させたイソプロパノール溶液、アンモニアを溶解させたエタノール溶液、アンモニアを溶解させたイソプロパノール溶液が挙げられる。
前記溶液Aには、さらにアルコール及び/又は水が含まれる。この溶液A中のアルコール及び水の混合比(容量)は、100:0〜0:100、好ましくは70:30〜30:70である。
この混合比を変動させることにより、ナノ粒子の粒径を制御することができる。
前記溶液Bには、塩化ユロピウムの他に、好ましくはアルコール及び/又は水が含まれる。このアルコールと水の混合比(容量)は、100:0〜0:100、好ましくは70:30〜30:70である。
前記溶液A及び溶液Bに含まれるアルコールは特に限定されないが、例えば、エタノール、メタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノールが挙げられる。
工程1において、次に、前記溶液A及び溶液Bを混合した溶液Cにアルカリ性溶液を滴下する。前記滴下は、好ましくは、常圧下、系の沸点の温度付近で加熱還流しながら一定時間行われる。
前記加熱還流の温度は、60〜100℃、好ましくは70〜85℃である。
前記滴下時間は限定されないが、10〜120分、好ましくは15〜60分である。
本発明において、前記工程1の後、好ましくは以下の工程2が施される。
(2)工程1で得られた溶液を加熱還流した後、遠心分離、次いで洗浄、真空乾燥する工程
前記加熱還流の温度は、60〜100℃、好ましくは70〜85℃である。
前記遠心分離の回転数は、3000〜20000rpm、好ましくは10000〜15000rpmである。
前記洗浄の方法は特に限定されないが、好ましくはイオン交換水及び/又はアルコールで行われる。
前記工程1及び工程2により製造されたユーロピウム付活リン酸イットリウム(YPO:Eu)ナノ粒子及びユーロピウム付活バナジウム酸イットリウム(YVO:Eu)ナノ粒子は、高結晶性であるため、高効率で発光することに優れる。
本発明において、前記工程2の後、好ましくは以下の工程3が施される。
(3)工程2で得られたYPO:Euナノ粒子又はYVO:Euナノ粒子に熱処理を施す工程
前記熱処理は、結晶性の向上およびEu3+のEu2+への還元などを目的として行われる。熱処理として、好ましくは空気雰囲気下又は還元雰囲気下で焼成される。前記空気雰囲気下とは、酸素等を含む大気雰囲気下のことであり、前記還元雰囲気下とは、好ましくは、窒素と水素からなる雰囲気下のことである。
前記熱処理は、100〜800℃、好ましくは200〜400℃に昇温することを含む。詳細には、前記温度で昇温した後、その温度付近で30〜360分、好ましくは60〜150分保持することにより行われる。
本発明によると、前記温度を調節することにより粒子径を制御することができる。詳細には、この熱処理の温度を上昇すると、粒子径は大きくなり、一方温度を下げると粒子径が小さくなる。
前記工程1中で溶液A乃至Cいずれか一以上に、さらに還元剤を含む溶液を混合してもよい。この還元剤としては、例えば、NaBH、ヒドラジン、ヒドラジン1水和物が挙げられる。前記還元剤を含む溶液として、好ましくは、NaBHをエタノールと水の混合溶液に溶解させた溶液が使用される。
前記還元剤は、好ましくはEuのmol量に対して、好ましくは0.01〜50倍、より望ましくは1〜5倍のmol量が添加される。この理由は、0.01倍未満の場合は、Euが完全に還元されないからであり、50倍を超えると、それ以上Euの還元反応が進まないため好ましくないからである。
次に、本発明のユーロピウム付活リン酸イットリウム(YPO:Eu)ナノ粒子及びユーロピウム付活バナジウム酸イットリウム(YVO:Eu)ナノ粒子について説明する。
本発明のユーロピウム付活リン酸イットリウム(YPO:Eu)ナノ粒子及びユーロピウム付活バナジウム酸イットリウム(YVO:Eu)ナノ粒子は、その粒径が5〜300nm、好ましくは20〜200nmである。
本発明の蛍光体は、前記のユーロピウム付活リン酸イットリウム(YPO:Eu)ナノ粒子及びユーロピウム付活バナジウム酸イットリウム(YVO:Eu)ナノ粒子からなり、例えば、カラープラズマディスプレイ、電界放射型カラーディスプレイ等に使用される。特に、Euイオンが、Eu2+の場合、該イオンは青色の発光素子として機能する。この発光は、150〜300nmの紫外線を照射することにより確認できる。
本発明のユーロピウム付活リン酸イットリウム(YPO:Eu)ナノ粒子及びユーロピウム付活バナジウム酸イットリウム(YVO:Eu)ナノ粒子における、Euイオンのドープ量(モル)は特に限定されないが、0.01〜6%、好ましくは、0.5〜3%とされる。この理由は、Euイオンのドープ量が6%以上となると蛍光強度が減少するため好ましくないからである。
以下、本発明について実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。まず、ユーロピウム付活リン酸イットリウム(YPO:Eu)ナノ粒子について説明する。
(YPO:Euの合成)
イットリウム源としては硝酸イットリウム六水和物(Y(NO・6HO、関東化学(株)製特級試薬、純度99.0%以上)を、リン源としてはリン酸(HPO、関東化学(株)製特級試薬、純度85.0%)を、ユロピウム源としては塩化ユロピウム・六水和物(EuCl・6HO、関東化学(株)製特級試薬、純度99.0%以上)を、アルカリ源としては水酸化ナトリウム(NaOH、関東化学(株)製特級試薬、純度97.0%)を、還元剤としては水素化ホウ素ナトリウム(NaBH、関東化学(株)製、純度92.0%)を、溶媒としてはエタノール(関東化学(株)製1級試薬)を用いた。
Y(NO・6HO(2.8×10−3mol)とHPO(2.8×10−3mol)を、エタノールと水の混合溶液100mLに溶解させ溶液Aを調製した。尚、溶液AのHO/EtOHの容量比は50/50であった。これにEuをドープさせるためEuCl・6HO(5.6×10−5mol)を含む溶液Bを混合し溶液Cを得た。この溶液Cに、NaOH(2.8×10−2mol)を溶解させたエタノール溶液50mLを、常圧下、系の沸点の温度で加熱還流しながら20分間かけて滴下し、さらに20分間加熱還流を行った。その後、室温まで放冷し、遠心分離(回転数13,000r.p.m.)、洗浄(イオン交換水で2回、メタノールで1回)、真空乾燥(0.5mmHg、20℃)し、試料(YPO4:1Eu3+(1mol%Eu3+をドープしたYPOナノ粒子)を得た。この試料を、以下参考例1という。
以下、参考例1について各種試験を行った。尚、試験においては、必要に応じて、以下の熱処理、還元剤の添加を行って製造された試料を使用し、還元剤の添加を行った試料を実施例1とした
(熱処理)
結晶性の向上およびEu3+のEu2+への還元などを目的として熱処理を行った。電気炉はヤマト科学(株)製FO200およびKoyo製を用いた。熱処理は、空気雰囲気下、もしくは5 %H−95%N雰囲気下(以下、還元雰囲気下という。)で昇温10℃/minで種種の温度(200、400、600℃)まで昇温したのち、その温度で2時間保持することにより行った。
(還元剤の添加)
溶液Cに、還元剤であるNaBH(5.6−280×10−5mol)をエタノールと水の混合溶液20mLに溶解させたものを加え、還元剤の量は、別途記載がない限り、Euに対して5倍モル量とする。
(XRD(粉末X線回折)測定)
粒子の結晶性などを調べるためにXRD測定を行った。測定には理学電機(株)製MiniFlexを用い、測定条件をCu‐Kα、30kV‐15mA、スキャンスピード8°/minとし、2θ=5−105°の範囲で測定した。
Euを1%ドープして合成した熱処理を施さなかった未焼成試料、および200、400、600℃で、空気雰囲気下で熱処理した熱処理試料のXRDパターンを図2に示す。未焼成試料でもYPOに帰属される回折ピークが見られ、熱処理温度の上昇にともないピーク強度が増大し、高結晶性のYPOが得られるのがわかる。
次に、還元剤を添加して製造された試料を還元雰囲気下で熱処理した試料のXRDパターンを図3に示す。未焼成試料においても、すでにYPOが生成していることがわかる。さらに、焼成することで、いくぶんピークはブロードになっているのがわかる。熱処理すると、空気雰囲気下では高結晶化したのに対し、還元雰囲気下では低結晶化した。したがって、還元剤として導入したNaBHがHOと反応して生成したNaBOが低結晶化をまねいた原因であると思われる。還元雰囲気下においては、200℃で熱処理するとすでに低結晶化がみられている。したがって、この温度において、すでにNaBOとYPOが反応して、YPOの低結晶化がはじまっていることが示唆される。また、600℃では、NaBOの粘度は非常に小さくなっていることが予想されるため、NaBOとYPOの反応が顕著におこり、低結晶化が促進されたと思われる。
(TEM(透過型電子顕微鏡)観察)
粒子の大きさ、形状および結晶状態を調べるためにTEM観察を行った。装置は日本電子(株)製JEM-3010型超高分解能電子顕微鏡を使用し、測定条件は加速電圧300kV、電流111μAとした。
参考例1および200、400及び600℃で熱処理したもののTEM写真を図4に示す。参考例1のYPO:Euの粒子径は10−20nmであることから、参考例1の製造方法を用いることによってナノメーターオーダーの微細なYPOが合成できるといえる。また、200℃、400℃で処理したものは粒子径が50−70nmであり、600℃で処理したものの粒子径は70−100nmであることがわかる。したがって、熱処理温度が高くなるにつれて粒径が大きくなることから、熱処理により、粒成長が進行していることは明らかである。さらに、熱処理温度が600℃において、プレート状の粒子が多くみられていることから、粒成長においてある特定面が優先的に成長していることが示唆される。
つぎに、参考例1のナノ粒子の粒径の大きさを制御するために、合成する段階で溶液AのHO/EtOHの容量比を変化させて作製したもののTEM写真を図5に示す。参考例1では、前記HO/EtOHの容量比は50/50であったが、この粒子径は、約10nmであった。この他に、HO/EtOH=100/0の条件で合成すると、5-20nmの粒径を有する微粒子が生成し、HO/EtOH=0/100の条件では粒子径約50nmの粒子が生成しているのがわかる。したがって、HO/EtOHを変化させることで粒径の異なるYPOナノ粒子を合成できることがわかった。
(蛍光スペクトル測定)
合成した試料の蛍光強度を調べるために蛍光スペクトル測定を行った。測定は、日本分光(株)製FP-6500分光蛍光光度計を用いて、光源150Wキセノンランプ、スキャンスピード100nm/min、励起光波長250nmとして行った。
参考例1および本発明のナノ粒子の蛍光スペクトルを図6に示す。還元剤を添加していない試料、即ち参考例1に関する図6(A)では、615nm付近に見られる典型的なEu3+イオンの4f-4f遷移に基づく鋭い蛍光ピークが見られ、380nm付近にはEu2+イオンの5d-4f遷移による蛍光ピークがみられる。一方、還元剤を添加して製造されたナノ粒子、即ち実施例1に関する図6(B)では、Eu3+イオンに基づく蛍光ピークが極端に減少し、Eu2+イオンに基づく蛍光ピークが増大し、ピーク位置が長波長側にシフトしていることがわかった。
つぎに、Euイオンのドープ量を0.5%、1%、3%、5%に変化させて合成した試料について蛍光スペクトルを測定し、結果を図7に示す。尚、参考例1はドープ量1%である。いずれの蛍光ピークも、それほど大差はないが、Euを3%以上ドープさせると蛍光強度がやや減少することから3%以上で濃度消光がおこっていることがわかった。
つぎに、還元剤を添加する量をEuのmol量に対して、1倍、2倍、5倍、10倍、50倍に変化させて合成した試料の蛍光スペクトルを図8に示す。尚、還元剤を添加する以外は、参考例1の製造方法と同じである。添加量を増加させるにつれてEu2+の蛍光強度は増加していくが、5倍以上加えても変化は見られなかった。このことから、還元剤を5倍量導入することでほぼすべてのEu3+がEu2+に還元することがわかった。
還元剤を添加した状態で還元雰囲気下での焼成を行った蛍光スペクトルを図9に示す。200℃、600℃で熱処理したものは、Eu2+イオンに基づく蛍光ピークが僅かにみられるのに対し、400℃で焼成したものは、Eu2+イオンに基づく蛍光ピークが顕著に大きいのがわかる。図10は、還元剤を添加せずに還元雰囲気下の熱処理を施した蛍光スペクトルを示す。図9と同様、400℃で蛍光強度が大きいのがわかる。
以上のことより、Eu2+イオンに基づく蛍光ピークをだすためには、還元剤をEuのmol量に対して5倍以上添加する、もしくは還元雰囲気下で、400℃で焼成を行えばよいことがわかった。
(誘導結合プラズマ原子発光(ICP-AES)分析ICP測定)
参考例1のYとPのモル比を調べるために、ICP-AES測定を行った。測定には(株)島津製作所製ICP-7500を用いた。硝酸・HNO(関東化学(株)製、試薬特級(60.0‐61.0%))にナノ粒子を完全に溶解させ、YおよびPイオンの定量を行った。
参考例1のナノ粒子中のYとPのモル比を調べるために、ICP-AES測定を行ったところY:P=1:0.9〜1:1.1となった。一方、他のサンプルを測定するとY:P=10:9となり、多少の誤差はあるものの、ほぼ等モルのものができていることがわかった。
次に、ユーロピウム付活バナジウム酸イットリウム(YVO:Eu)ナノ粒子について説明する。
参考例(YVO:Euの合成)
Y(NO・6HOをエタノール70mLに溶解させ、これにNHVOを共存させた。これら溶液にNaOHを溶解させたエタノール溶液50mLを、常圧下、系の沸点の温度で加熱還流しながら1時間かけて滴下し、滴下終了後、EuCl・6HOと、必要に応じて、還元剤であるNaBHを溶解させた水/エタノール溶液30mLに加え、更に1時間加熱還流を行った。その後室温まで冷却し、遠心分離(回転数13,000 r.p.m.)、洗浄(イオン交換水で2回、メタノールで1回)、真空乾燥(0.5mmHg、20℃)し、必要に応じて熱処理し、試料とした。
前記で得られた試料に熱処理(未熱処理、400℃熱処理、600℃熱処理したYVO粒子)を施したもののXRDパターンを図11に示す。未熱処理の粒子においてもYVO単相のものが得られ、結晶性に優れることがわかる。このYVOについてTEM観察したところ、平均粒子径23nmで20−30nm程度の比較的粒径の揃った粒子であることが確認できた。このものを、600℃で熱処理すると、ピークはより一層鋭くなっていることが分かる。
前記未熱処理のYVO粒子の蛍光スペクトルを図12に示す。図12が示すとおり、400nm付近と615nm付近にEu2+とEu3+に基づく蛍光ピークがそれぞれ見られる。また、還元剤としてNaBHを加えて合成した試料では、Eu3+による蛍光ピークが消失し、Eu2+によるものが見られることから、ドープしたEu3+は工業的価値の高いEu3+に全て還元されていることが分かる。
YVO:Eu、YPO:Eu及びY:Euのナノ粒子のEu2+及びEu3+による蛍光ピークを比べると、Eu3+の蛍光ピークの位置はYPO、Y、YVOの順に長波長側にシフトしているのが分かる。(図13参照)このことから、Eu2+はそれぞれホスト中に分散して存在し、それらの蛍光スペクトルはホストの影響を強く受けることが分かった。
尚、前記YVO:Eu、YPO:Eu及びY:Euのナノ粒子の製造方法は、NHVOのかわりに、HPO及びY(NO)・6HOを使用する以外は、前述のYVO:Euの製造方法と同じである。
本発明のナノ粒子の製造方法のフローチャートを表す図である。 参考例1のYPO:Euナノ粒子に関するXRD(粉末X線回折)測定結果である。 本発明のYPO:Euナノ粒子に関するXRD(粉末X線回折)測定結果である。 参考例1のYPO:Euナノ粒子に関するTEM(透過型電子顕微鏡)観察結果である。 参考例1のYPO:Euナノ粒子に関するTEM(透過型電子顕微鏡)観察結果である。 参考例1および本発明のYPO:Euナノ粒子に関する蛍光スペクトル測定結果である。 参考例1のYPO:Euナノ粒子に関する蛍光スペクトル測定結果である。 本発明のYPO:Euナノ粒子に関する蛍光スペクトル測定結果である。 本発明のYPO:Euナノ粒子に関する蛍光スペクトル測定結果である。 参考例1のYPO:Euナノ粒子に関する蛍光スペクトル測定結果である。 参考例2のYVO:Euナノ粒子に関するXRD(粉末X線回折)測定結果である。 参考例2のYVO:Euナノ粒子に関する蛍光スペクトル測定結果である。 YVO:Eu、YPO:Eu及びY:Euのナノ粒子に関する蛍光スペクトル測定結果である。

Claims (5)

  1. 以下の工程1及び2を含み、以下の工程1中の溶液A乃至Cいずれか一以上に、還元剤を含む溶液を混合し、前記還元剤を含む溶液が、NaBH をエタノールと水の混合溶液に溶解させた溶液であることを特徴とするユーロピウム付活リン酸イットリウム(YPO:Eu)ナノ粒子又は、ユーロピウム付活バナジウム酸イットリウム(YVO:Eu)ナノ粒子の製造方法。
    (1)リン酸又はバナジウム酸アンモニウムと、硝酸イットリウムを含む溶液Aと、
    塩化ユーロピウムを含む溶液Bを作製し、
    前記溶液Aと溶液Bを混合した溶液Cに、アルカリ性溶液を加熱還流しながら10〜120分間滴下する工程
    (2)工程1で得られた溶液を加熱還流した後、遠心分離、次いで洗浄、真空乾燥する工程
  2. 前記溶液Aに、さらにアルコール及び/又は水を含むことを特徴とする請求項1に記載のYPO:Euナノ粒子又はYVO:Euナノ粒子の製造方法。
  3. 前記溶液A中のアルコール及び水の容量比が100:0〜0:100であることを特徴とする請求項2に記載のYPO:Euナノ粒子又はYVO:Euナノ粒子の製造方法。
  4. さらに工程3を含むことを特徴とする請求項1乃至いずれかに記載のYPO:Euナノ粒子又はYVO:Euナノ粒子の製造方法。
    (3)工程2で得られたYPO:Euナノ粒子又はYVO:Euナノ粒子に熱処理を施す工程
  5. 前記工程3の熱処理が、100〜800℃に昇温することを含む請求項4に記載のYPO:Euナノ粒子又はYVO:Euナノ粒子の製造方法。
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