JP5155709B2 - ポンプ装置 - Google Patents

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本発明は、ポンプ装置に関し、例えばマンホールに設置され、上流の汚水管から流入した汚水を下流の汚水管に搬送する水中ポンプ装置に関する。
汚水を汚水処理場に搬送する自然流下方式の汚水搬送管や、圧送方式の汚水搬送管は、地中に下り勾配をつけて埋設され、所定間隔で設置されたマンホールに接続されている。
マンホールには、上流側の汚水搬送管から流入した汚水を下流側の汚水搬送管に送水する水中ポンプ装置が設置されている。
このような水中ポンプ装置は、マンホール内に設置された水位センサにより、流入汚水の水位が所定水位に達すれば、下流側の汚水搬送管に送水するように構成されているが、上流側の汚水搬送管から流入する汚水の量が水中ポンプで下流側の汚水搬送管に送水する汚水の量より多いと、マンホールから汚水が溢れる虞があるため、当該水中ポンプは、マンホールで溢流が発生することが無い適当な吐出量に調整される必要がある。
水中ポンプの吐出量は、ポンプのサイズ、羽根車のサイズ、電動機の出力に依存するため、例えば、要求される吐出し量に適切に対応できる複数のサイズの羽根車を事前に準備しておく必要がある。
しかし、そのようなサイズの異なる多数の羽根車を製作する場合には、夫々に対応した複数の金型が必要となり製造コストが嵩むばかりか、煩雑な在庫管理等が必要となるため、従来、マンホールに設置されているボルテックス形の羽根車を備えた水中ポンプでは、羽根車のサイズをそれほど多く設定することなく、設置先のマンホールで要求される吐出し量に対応して、適切な吐出し量を示すサイズの羽根車を選定し、その羽根を事前に或は現場で切削加工することにより吐出量を調整していた。
ところで、近年、この種のポンプに組み込まれる電動機はインバータ回路により駆動制御されるようになっているが、インバータ回路を備えていないポンプが設置された既設のマンホールで、新たなポンプ装置に置き換える場合、マンホールの近傍に設置された制御盤に新たなインバータ回路を組み込む必要が生じ、制御盤の作り直しや配線工事のやり直し等の大きな作業負荷が発生する。
既設の制御盤は、水位計の値に基づいて水中ポンプへの電力の供給を断続するスイッチ機能を備えているが、インバータ回路に対応した制御回路を備えていない場合もあるからである
一方、特許文献1には、図6に示すように、羽根車が取り付けられる出力軸2を支持する軸受嵌着支持部4を備えた主ブラケット3と、主ブラケット3を固定するフレーム6と、インバータ回路部11と制御回路部を内装したヘッドカバー10と、主ブラケット3とヘッドカバー10を固定するヘッドカバー取付用ブラケット8を備え、電源及び信号用ケーブル12を介して外部制御装置に接続されている水中ポンプ1が提案されている。
また、特許文献2には、図7(a),(b)に示すように、水密構造に作られ内部にポンプモータ制御用インバータ2を収容する金属ケース1と、金属ケース1の外側に凸突された放熱フィン3と、水中ポンプ外部への取付座4とを備え、絶縁被覆が施された電源側への接続電線5aと、負荷側への接続電線5bとが金属ケース1の上方部より導出されたインバータユニットを、ポンプ吐出口10の近傍に設けられた取付座4に取り付けた水中ポンプ装置が提案されている。
さらに、特許文献3には、ポンプ部分と駆動モータとが一体に構成され、駆動モータが、図8に示すような制御回路14とインバータ回路13とによって可変速制御される水中可変速ポンプが開示されている。
インバータ回路13と制御回路14を同一のパッケージに組み込んだ集積回路が、ポンプのケーシングに金属体を介して設置され、水中ポンプ外部から供給される交流ライン電圧を、コンバータ8で変換した高圧直流電圧を電源として駆動モータが、水中ポンプ外部から制御回路部に供給される速度指令信号によって可変速されるように構成されている。
既設のマンホールに組み込まれている水中ポンプ装置を置き換える際に、このようなインバータ回路を水中ポンプ装置またはその近傍に組み付けることにより、既設の制御盤を変更することなく有効利用することができる。
特開第3947898号公報 特開2003−74490号公報 特開第3326918号公報
しかし、既存のポンプ装置を新たなポンプ装置に置き換える場合、ポンプ効率の観点等からボルテックス形に替えてノンクロッグ形の羽根車を用いたポンプ装置を採用することが多く、羽根車の切削加工により吐出量を調整することが困難であるため、要求される吐出し量に対応できる複数のサイズの羽根車を事前に準備しておく必要があるという問題が再燃する。また、ボルテックス形のポンプであっても羽根車の切削加工による吐出量の調整は手間がかかるという問題がある。
そこで、インバータ制御回路により吐出量を調整することが考えられるが、マンホール内に設置するポンプは、吐出量を初期調整すると、その後吐出量を変更する必要性が無いため、制御盤にそのような制御回路を備えると、既存の制御盤を有効利用できず、経済性に欠けるという問題がある。
本発明は、サイズが異なる多くの羽根車を準備すること無く、要求される吐出し量に適切に対応でき、しかも既存の制御盤を有効に利用することができるポンプ装置を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明による水中ポンプ装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、商用交流電源に電力線を介して接続されたインバータ制御回路と、前記インバータ制御回路によって駆動されるポンプとを備え、前記インバータ制御回路が収容されたケーシングが、ポンプケーシングまたはポンプケーシング近傍に取り付けられたポンプ装置であって、前記インバータ制御回路に前記ポンプの回転数を初期調整する調整回路が設けられるとともに、前記インバータ制御回路は樹脂モールドされ、前記調整回路に、前記ポンプに収容されたセンサの検出信号を外部に出力する信号線を介して伝送される初期調整用の制御信号を受信して、前記調整回路を作動させるインタフェース回路を備えている点にある。
上述の構成によれば、事前にまたは現場で調整回路を調整することにより、要求される吐出し量に対応した適切な回転数に調整できるので、要求される吐出し量に対応してサイズが異なる多くの羽根車を準備する必要が無くなる。しかも、そのような調整回路がインバータ制御回路に組み込まれているため、既存の制御盤を有効に再利用することができるようになった。
さらに、ポンプに収容されたセンサの検出信号を外部に出力する信号線を利用して、初期調整用の制御信号を伝送すれば、当該制御信号を受信したインタフェース回路により調整回路が調整されるため、手動調整するための調整部が不要になるので全て予め樹脂モールドすることが可能となり、調整作業が極めて容易になる。
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記ポンプがノンクロッグ形の羽根車を備えた水中ポンプであることを特徴とする点にある。
上述の構成によれば、羽根車の切削加工による吐出し量の調整ができないノンクロッグ形の羽根車であっても、吐出し量の調整ができ、しかもそれを水中において実現できるようになる。
以上説明した通り、本発明によれば、サイズが異なる多くの羽根車を準備すること無く、要求される吐出し量に適切に対応でき、しかも既存の制御盤を有効に利用することができるポンプ装置を提供することができるようになった。
以下に、本発明による水中ポンプ装置(ポンプ装置の一例)を説明する。尚、図6から8に示した図面に付加した符合は、公知文献に記載された符合であり、以下に説明する図1から図5に示される符号と対応するものではない。
図1に示すように、水中ポンプ装置1は、ポンプ部20と電動機30とインバータ制御回路50を備えている。
ポンプ部20は、ポンプケーシング21と、ポンプケーシング21に収容されたノンクロッグ式の羽根車22と、ポンプケーシング21と電動機30とを接続する接続ケーシング23とで構成されている。
図2に示すように、羽根車22は、吸込開口が形成された側板22aと、電動機軸33を嵌挿する開口22bが形成された主板22cの間に、らせん状の羽根板22dが形成されている。
図1に示すように、電動機30は、電動機フレーム31と、電動機フレーム31の内周壁に配設された固定子32と、電動機軸33と、電動機軸33に配設された回転子34を備え、電動機軸33は上部玉軸受35と、下部玉軸受36によって軸支され、一端に羽根車22が拘止され、電動機軸33の回転に伴ない羽根車22が回転するように構成されている。
羽根車22が回転すると、ポンプケーシング21の下部に形成した吸込口24から水が吸い込まれ、羽根車22の内部を通過し、周壁の一部に形成された吐出口25から吐出される。
電動機30の上部側には、上部ケーシング40が螺着され、上部ケーシング40の内部にその周囲が樹脂42で充填されたインバータ制御回路50が配設されている。上部ケーシング40の上面には、インバータ制御回路50に電力を供給する商用の電力線51が挿通され、ポンプ装置を懸架する昇降チェーン41が配設されている。
図3に示すように、制御盤60は、マンホール内に備えた水位計LSがポンプ起動水位を検出すると、制御盤60内部のスイッチを閉成してインバータ制御回路50に電力を供給し、ポンプ停止水位を検出すると、スイッチを開成して電力の供給を停止する制御部を備えている。
商業用交流電源ACからの交流電力が制御盤60及び電力線51を介してコンバータ52に供給される。
インバータ制御回路50は、交流を直流に変換するダイオードブリッジでなるコンバータ52と、整流された電圧を平滑化するコンデンサ53と、直流から交流に変換する複数のパワートランジスタを備えたインバータ54と、インバータ54の出力周波数を制御する制御回路55と、制御回路55による出力周波数を調整する調整回路59と、制御回路55及び調整回路59に制御用の直流電力を供給する内部電源部56を備えている。
制御回路55はマイクロコンピュータを備えて構成され、電動機30が所定の回転数となるように、インバータ54を構成する各パワートランジスタの駆動タイミングをPWM信号に基づいて制御する。
調整回路59は、水中ポンプの回転数を初期調整するために設けられ、手動調整可能な調整部を備えている。図4(a)に示すように、調整部は出力調整ボリューム59aで構成され、インバータ制御回路50の回路基板上に手動で調整できる位置に配設されている。
出力調整ボリューム59aには、制御用の直流電圧が印加され、出力調整ボリューム59aが回転操作されると、操作量に対応した調整電圧が調整回路59で読み取られ、制御回路55に出力される。
制御回路55では、調整回路59から出力された調整電圧に対応してPWM信号が調整され、その結果、電動機30の回転数が調整される。
当該水中ポンプ装置1をマンホールに設置する際に、上部ケーシング40が取り外され、作業者により出力調整ボリューム59aが操作されて、要求される吐出し量に対応した適切な回転数に調整される。
上部ケーシング4に設置されたインバータ制御回路50の周囲には、調整部を残してシリコーン樹脂等の樹脂部材が充填されている。出力調整ボリューム59aを介した手動調整後に、作業者により調整部に樹脂42が充填され、上部ケーシング4が再度本体に取り付けられる。
尚、インバータ54の出力側には電流検出センサ58が備えられ、センサ58の検出値が制御回路55に入力され、調整された回転数に維持するようにフィードバック制御される。
さらに、電動機30の内部には温度センサ57が設けられている。温度センサに56よって電動機30の巻線温度が検知され、検知信号は信号線SLを介して制御盤60に送られる。制御盤60は、電動機30が所定の閾値温度以上になると、インバータ制御回路50への電力の供給を停止し、制御盤60に組み込まれた通信部61により外部に異常信号が送信されるように構成されている。
以下に、別の実施形態について説明する。尚、上述の実施形態と同じ構成については説明を省略する。
調整回路59に設けられた調整部である出力調整ボリューム59aに替えて、調整回路59に制御用の直流電圧が印加された複数の抵抗をシリーズ接続した設定用基準電圧回路を備え、図4(b)に示すように、設定入力線70と、各抵抗段から引き出された3本の引出し線71,72,73を備えた調整部74を設けてもよい。
設定入力線70と引出し線71,72,73の何れかの端子を結線することにより調整回路59に入力される調整電圧が変更されるように構成されている。
例えば、設定入力線70と引出し線71を結線すると、水中ポンプ装置1の吐出量が定常状態の90%となる回転数になるように調整される。同様に、設定入力線70と引出し線72とを結線すると80%の吐出量、設定入力線70と引出し線73とを結線すると70%の吐出量となるように予め抵抗値が設定されている。
尚、調整後は設定入力線70及び引出し線71,72,73の端子部分を樹脂42で覆い閉端処理することにより短絡が防止される。ここで各引き出し線の結線と閉端処理に変えて、ロータリースイッチで切り替えるように構成してもよい。
さらに、別の実施形態について説明する。尚、上述の実施形態と同じ構成については説明を省略する。
図5に示すように、水中ポンプ装置1に収容された温度センサの検出信号を外部に出力する信号線SLを介して伝送される初期調整用の制御信号を受信して、調整回路59を作動させるインタフェース回路82を備えてもよい。
当該信号線SLに、治具80を介して目標回転数に調整する調整信号81で変調された高周波信号を伝送すると、当該調整信号を受信したインタフェース回路82により受信信号から調整信号81が再生される。
再生された調整信号81がデコーダ83で調整データに変換されて、調整回路59側の制御レジスタ84に記憶される。レジスタ84に書き込まれた調整データが調整回路59により制御回路55に出力され、その結果、要求される吐出し量に対応した適切な回転数に調整される。
上述した実施形態では、上部ケーシング40内に充填し、インバータ制御回路50をモールドする樹脂がシリコーン樹脂である場合を説明したが、使用される樹脂はこれに限るものではない。
上述した実施形態では、ノンクロッグ形の羽根車を備えた水中ポンプの場合について説明を行ったが、ボルテックス形の羽根車を備えた水中ポンプであっても陸上用のポンプであってもよい。陸上用ポンプの場合にはインバータ制御回路50を必ずしもモールドする必要は無いがモールドすることにより、防湿効果が得られるので装置の信頼性が向上する。
上述の実施形態では、電動機30の内部には温度センサ57のみを備える構成について説明したが、温度センサに加えてその他のセンサ、例えば浸水センサを備えてもよく、温度センサを備えずに浸水センサのみを備える構成であってもよい。この場合、浸水センサの信号線に、治具80を介して目標回転数に調整する調整信号81で変調された高周波信号を伝送すればよい。
上述した実施形態では、上部ケーシング40内にインバータ制御回路50を備える構成について説明したが、インバータ制御回路50を備えたケーシングは、吸込口の近傍や、ポンプケーシングに備える構成であってもよい。インバータ制御回路をケーシングは水中ポンプ装置の下方に備えるほど、ポンプ水位が下がっても水没している部分が多くなり、インバータ制御回路の放熱性が向上する。
上述の各種の実施形態は、本発明の一実施例であり、本発明による作用効果を奏する範囲で各部の具体的構成や寸法等は適宜変更設計できるものである。
本発明による水中ポンプ装置の説明図 (a)はノンクロッグ式の羽根車の横断面図、(b)は図2(a)のA−A断面図 インバータ制御回路の説明図 (a)はインバータ制御回路の調整部の説明図、(b)は別実施形態によるインバータ制御回路の調整部の説明図 別実施形態によるインバータ制御回路の説明図 従来の水中ポンプの説明図 (a)は従来の水中ポンプ用インバータユニットの説明図、(b)は従来の水中ポンプ用インバータユニットを備えた水中ポンプの説明図 従来の水中ポンプのインバータ制御回路の説明図
1:水中ポンプ装置
20:ポンプ部
21:ポンプケーシング
22:羽根車
23:接続ケーシング
24:吸込口
25:吐出口
30:電動機
31:電動機フレーム
32:固定子
33:電動機軸
34:回転子
35:上部玉軸受
36:下部玉軸受
40:上部ケーシング
41:昇降チェーン
42:樹脂
50:インバータ制御回路
51:電力線
52:コンバータ
53:コンデンサ
54:インバータ
55:制御回路
56:内部電源部
57:温度センサ
58:電流検出センサ
59:調整回路
60:制御盤
61:通信部
70:設定入力線
71:引出し線
72:引出し線
73:引出し線
74:調整部
80:治具
81:制御信号
82:インタフェース回路
83:デコーダ
84:レジスタ
AC:商業用交流電源
LS:水位計
SL:信号線

Claims (2)

  1. 商用交流電源に電力線を介して接続されたインバータ制御回路と、前記インバータ制御回路によって駆動されるポンプとを備え、前記インバータ制御回路が収容されたケーシングが、ポンプケーシングまたはポンプケーシング近傍に取り付けられたポンプ装置であって、
    前記インバータ制御回路に前記ポンプの回転数を初期調整する調整回路が設けられるとともに、前記インバータ制御回路は樹脂モールドされ、
    前記調整回路に、前記ポンプに収容されたセンサの検出信号を外部に出力する信号線を介して伝送される初期調整用の制御信号を受信して、前記調整回路を作動させるインタフェース回路を備えているポンプ装置。
  2. 前記ポンプがノンクロッグ形の羽根車を備えた水中ポンプであることを特徴とする請求項1記載のポンプ装置。
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