JP5154719B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐湿熱分解性の改良された熱可塑性樹脂組成物に関する。更に詳しくはホスファイト化合物およびホスホナイト化合物から選択される少なくとも1種のリン化合物を含むポリカーボネート樹脂およびその樹脂組成物における湿熱分解性の問題を、炭酸金属塩、珪酸塩化合物、および特定の金属酸化物などから選択される化合物を耐湿熱改良剤として使用し解決するものである。更に詳しくは特定のホスファイト化合物を使用することにより、耐湿熱分解性の良好な熱可塑性樹脂を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は、機械部品、自動車部品、電気・電子部品などの多くの用途に用いられている。多くの場合他の熱可塑性樹脂や添加剤などを配合することによる機能性付与や、難燃剤の配合による難燃性付与などを行い、高機能化されたポリカーボネート樹脂組成物が多くの用途に用いられている。
【0003】
一方、近年では環境への配慮から、樹脂リサイクルへの取り組みが必要となっている。樹脂リサイクルの問題点として、一般的に樹脂を長く使用(または放置)すると樹脂は劣化し、リサイクルした場合に特性低下などを引き起こすことが知られている。樹脂劣化の原因としては、熱による劣化、空気中の水分による加水分解劣化、光による劣化などが挙げられる。屋内で使用する場合は熱と水分による劣化が樹脂劣化の主要原因と考えられる。従って樹脂のリサイクル特性を向上する為には、熱や水分による分解に対する耐性(以下“耐湿熱分解性”と称する)の向上が重要な課題となる。更にかかる耐湿熱分解性の向上は使用時における製品特性の低下を極力少なくするものであり、製品寿命の観点からも好ましいものである。
【0004】
ポリカーボネート樹脂の場合、一般的に製造時や成形加工時における色相改善および熱安定性改良のためホスファイト化合物やホスホナイト化合物が酸化防止剤として配合されている。これらの化合物はポリカーボネート樹脂よりも熱や水分により加水分解し易く、加水分解により酸成分を生じる。かかる酸成分はポリカーボネート樹脂の加水分解を促進し、ポリカーボネート樹脂の耐湿熱分解性を悪化させる原因となっている。また、ポリカーボネート樹脂に他の熱可塑性樹脂、添加剤、または難燃剤などを配合した組成物においても、配合物によってはポリカーボネート樹脂の加水分解を促進する。特にホスフェート系難燃剤、赤リン系難燃剤、ホスファゼン系難燃剤、またはシリコーン系難燃剤は、熱や水分により加水分解され易く酸成分を生じ、ポリカーボネート樹脂の加水分解を促進する。
【0005】
上記理由から、ポリカーボネート樹脂およびその樹脂組成物のリサイクル特性の向上や製品寿命の向上を図るためには、ポリカーボネート樹脂およびその樹脂組成物の耐湿熱分解性の改良が必要である。
【0006】
ポリカーボネート樹脂組成物の耐湿熱分解性の向上方法として、特開平11−310695号公報には、芳香族ポリカーボネート、1種以上の熱可塑性樹脂、並びに酸成分および酸生成成分の少ない有機リン系難燃剤化合物を含む加水分解安定性の改善された難燃性熱可塑性樹脂組成物が開示されている。また、特開平11−315200号公報には、芳香族ポリカーボネート、1種以上の熱可塑性樹脂、ビニル芳香族グラフトポリマー、有機リン系難燃剤化合物、および塩基性金属酸化物を含む加水分解安定性の改善された難燃性熱可塑性樹脂組成物が開示されている。更に特開2000−072962号公報には、特定量以下の塩素化合物を含有するポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、リン酸エステル系難燃剤、および珪酸塩系充填材からなるポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。
【0007】
しかしながら、上記の公報に記載された知見はいずれも、熱可塑性樹脂組成物中に安定剤として少量含まれるホスファイト化合物などが誘発する湿熱分解を改良するためには十分といえるものではなかった。
【0008】
上記の様な背景から、ポリカーボネート樹脂およびその組成物の耐湿熱分解性の改良方法が求められ、耐湿熱分解性の改良されたポリカーボネート樹脂組成物の発明が望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ホスファイト化合物およびホスホナイト化合物から選択される少なくとも1種のリン化合物を含むポリカーボネート樹脂およびその樹脂組成物における耐湿熱分解性の向上を図り、結果として熱安定性、ならびに製品寿命やリサイクル性に優れた樹脂組成物を提供することにある。
【0010】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、熱安定剤としてホスファイト化合物およびホスホナイト化合物から選択される少なくとも1種のリン化合物を特定量含むポリカーボネート樹脂およびその樹脂組成物において、更に炭酸金属塩、珪酸塩化合物、および特定の金属酸化物などから選択される化合物を含むことにより、上記の問題が解決できることを見出し、かかる熱可塑性樹脂組成物が、樹脂組成物本来の特性を損ねることなく耐湿熱分解性の改良が可能であることを見出し本発明に達した。
【0011】
本発明者はかかる理由を以下のように推測している。ホスファイト化合物およびホスホナイト化合物を含むポリカーボネート樹脂およびその樹脂組成物において、熱や水分などによりそれらの化合物は加水分解され耐湿熱分解性に悪影響を与える成分(酸など)を生じる。
【0012】
ここに特定の金属酸化物、炭酸金属塩、硫酸金属塩、クロム酸金属塩、チタン酸金属塩、酸化珪素、または珪酸塩化合物などが含まれていると、これらの固体表面に悪影響を与える成分(酸など)を吸着または配位させ、悪影響を与える成分を失活させることが可能となる。結果として耐湿熱分解性への悪影響を抑制すると考えられる。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリカーボネート樹脂(a−1成分)30〜100重量%および他の樹脂(a−2成分)70〜0重量%の合計100重量%からなる樹脂組成物(A成分)100重量部に対し、ホスファイト化合物およびホスホナイト化合物から選択される少なくとも1種のリン化合物(B成分)0.0005〜1重量部、並びに炭酸金属塩、硫酸金属塩、クロム酸金属塩、チタン酸金属塩、酸化珪素、珪酸塩化合物、および水性溶液または懸濁液におけるpH値が6〜8である金属酸化物から選択される少なくとも1種の化合物0.005〜1重量部を含んでなる熱可塑性樹脂組成物にかかるものである。
【0014】
本発明a−1成分として使用するポリカーボネート樹脂は、通常二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。
【0015】
ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステル等があげられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0016】
なかでもビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単独重合体または共重合体が好ましく、特に、ビスフェノールAの単独重合体および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパンまたはα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンとの共重合体が好ましく使用される。
【0017】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
【0018】
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止の為の酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0019】
三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0020】
かかる分岐ポリカーボネート樹脂を生ずる多官能性化合物を含む場合、かかる割合は、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%である。また特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構造量についても、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%であるものが好ましい。尚、かかる割合については1H−NMR測定により算出することが可能である。
【0021】
界面重縮合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
【0022】
また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、かかる単官能フェノール類としては、一般にはフェノールまたは低級アルキル置換フェノールであって、下記一般式(2)で表される単官能フェノール類を示すことができる。
【0023】
【化2】
Figure 0005154719
【0024】
(式中、Aは水素原子または炭素数1〜9の直鎖または分岐のアルキル基あるいはフェニル基置換アルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である。)
上記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
【0025】
また、他の単官能フェノール類としては、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換基として有するフェノール類または安息香酸クロライド類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類も示すことができる。これらのなかでは、下記一般式(3)および(4)で表される長鎖のアルキル基を置換基として有するフェノール類が好ましく使用される。
【0026】
【化3】
Figure 0005154719
【0027】
【化4】
Figure 0005154719
【0028】
(式中、Xは−R−O−、−R−CO−O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。)
【0029】
かかる一般式(3)の置換フェノール類としてはnが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。
【0030】
また、一般式(4)の置換フェノール類としてはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26のものが好適であって、その具体例としては例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0031】
溶融エステル交換法による反応は、通常二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には系を1.33×103〜13.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0032】
カーボネートエステルとしては、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
【0033】
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×10-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4当量の範囲で選ばれる。
【0034】
また、かかる重合反応において、フェノール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるいは終了後に、例えばビス(クロロフェニル)カーボネート、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニトロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニルフェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネート、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加えることができる。なかでも2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく使用される。
【0035】
さらにかかる重合反応において触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好ましい。この失活剤の具体例としては、例えばベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フェニルなどのスルホン酸エステル;さらに、トリフルオロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホン化ポリスチレン、アクリル酸メチル‐スルホン化スチレン共重合体、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−ブチル、オクチルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、デシルアンモニウムブチルサルフェート、デシルアンモニウムデシルサルフェート、ドデシルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルジメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、テトラデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、テトラメチルアンモニウムヘキシルサルフェート、デシルトリメチルアンモニウムヘキサデシルサルフェート、テトラブチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラメチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート等の化合物を挙げることができるが、これらに限定されない。これらの化合物を二種以上併用することもできる。
【0036】
失活剤の中でもホスホニウム塩もしくはアンモニウム塩型のものが好ましい。かかる触媒の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの割合で用いるのが好ましく、また重合後のポリカーボネート樹脂に対し、0.01〜500ppmの割合、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使用する。
【0037】
ポリカーボネート樹脂の分子量は特定されないが、分子量が10,000未満であると高温特性等が低下し、50,000を超えると成形加工性が低下するようになるので、粘度平均分子量で表して10,000〜50,000のものが好ましく、14,000〜30,000のものがより好ましく、更に好ましくは14,000〜24,000である。また、ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合しても差し支えない。この場合粘度平均分子量が上記範囲外であるポリカーボネート樹脂とを混合することも当然に可能である。
【0038】
特に粘度平均分子量が50,000を超えるポリカーボネート樹脂との混合物はドリップ防止能が高く、本発明の効果を更に効率的に発揮するため好ましいものである。より好ましくは粘度平均分子量が80,000以上のポリカーボネート樹脂との混合物であり、更に好ましくは100,000以上の粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂との混合物である。すなわちGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)などの方法により2ピーク以上の分子量分布を有するものが好ましく使用できる。
【0039】
本発明でいう粘度平均分子量はまず次式にて算出される比粘度を塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求める。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-40.83
c=0.7
【0040】
本発明のa−2成分としては各種の熱可塑性樹脂、ゴム質重合体および熱硬化性樹脂を使用することができる。
【0041】
a−2成分における熱可塑性樹脂としては各種の熱可塑性樹脂を使用することができる。かかる熱可塑性樹脂としては例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、HIPS樹脂、MS樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、SMA樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、フェノキシ樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、水添ポリスチレン樹脂、ポリアリレート樹脂(非晶性ポリアリレート、液晶性ポリアリレート)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイドなどを挙げることができる。更にスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーも使用することができる。
【0042】
a−2成分におけるゴム質重合体としては各種のゴム質重合体を使用することができる。ここでゴム質重合体とはガラス転移温度が10℃以下のゴム成分に、芳香族ビニル、シアン化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、およびこれらと共重合可能なビニル化合物から選択されたモノマーの1種または2種以上が共重合されたグラフト共重合体を挙げることができる。
【0043】
ここでガラス転移温度が10℃以下のゴム成分としては、ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル-シリコン複合ゴム、イソブチレン−シリコン複合ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−アクリルゴム、シリコンゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴムおよびこれらの不飽和結合部分に水素が添加されたものを挙げることができる。
【0044】
中でもガラス転移温度が10℃以下のゴム成分を含有するゴム質重合体が好ましく、特にブタジエンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル-シリコン複合ゴムを使用したゴム質重合体が好ましい。ブタジエン−アクリル複合ゴムとは、ブタジエンゴムの成分と、アクリルゴムの成分とを共重合または分離できないよう相互に絡み合ったIPN構造をとるように重合したゴムであり、アクリル−シリコン複合ゴムとは、アクリルゴムの成分とシリコンゴムの成分とを分離できないよう相互に絡み合ったIPN構造としたまたはシリコンゴム中の官能基と共重合したものをいう。
【0045】
ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分を含有するゴム質重合体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合のいずれの重合法で製造したものであってもよく、共重合の方式は一段グラフトであっても多段グラフトであっても差し支えない。また製造の際に副生するグラフト成分のみのコポリマーとの混合物であってもよい。更に一般的な乳化重合法の他、過硫酸カリウム等の開始剤を使用するソープフリー重合法、シード重合法、二段階膨潤重合法等を挙げることができる。また懸濁重合法においても、水相とモノマー相とを個別に保持して両者を正確に連続式の分散機に供給し、粒子径を分散機の回転数で制御する方法や、同様に連続式の製造方法において分散能を有する水性液体中にモノマー相を数〜数十μmの細径オリフィスまたは多孔質フィルターを通すことにより供給し粒径を制御する方法なども可能である。
【0046】
かかるゴム質重合体は市販されており容易に入手することが可能である。例えばガラス転移温度が10℃以下のゴム成分として、ブタジエンゴム、またはブタジエン−アクリル複合ゴムを主体とするものとしては、鐘淵化学工業(株)のカネエースBシリーズ、三菱レーヨン(株)のメタブレンCシリーズ、呉羽化学工業(株)のEXLシリーズ、HIAシリーズ、BTAシリーズ、KCAシリーズが挙げられ、ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分としてアクリル−シリコン複合ゴムを主体とするものとしては三菱レーヨン(株)よりメタブレンS−2001あるいはSRK−200という商品名で市販されているものが挙げられる。
【0047】
a−2成分における熱硬化樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などを挙げることができる。
【0048】
上記a−2成分のうち、ポリスチレン樹脂、HIPS樹脂、MS樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、SMA樹脂などの各種スチレン系樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂などのポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂(ポリメチルメタクリレートの他、アクリルイミド構成単位やメチルシクロヘキシルメタクリレート構成単位などが共重合されたものなどを含む)、およびゴム質重合体から選ばれる1種または2種以上を含む場合には、本発明の耐湿熱分解性の改良効果がより強調されるため好ましい。特に好ましくは、a−2成分としてポリエステル系樹脂またはスチレン系樹脂を使用した場合である。更にスチレン系樹脂としては、塊状重合により製造されることで、アルカリ(土類)金属塩の量が10ppm以下、より好ましくは5ppm以下であるものが耐湿熱分解性が更に向上するため好ましく使用することができる。
【0049】
本発明のB成分として使用するホスファイト化合物およびホスホナイト化合物としては各種の化合物を使用することが可能である。例えば下記一般式(5)
【0050】
【化5】
Figure 0005154719
【0051】
[式中R3は、水素または炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基ないしアルカリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、またはこれらのハロ、アルキルチオ(アルキル基は炭素数1〜30)またはヒドロキシ置換基を示し、3個のR8は互いに同一または互いに異なるのいずれの場合も選択でき、また2価フェノール類から誘導されることにより環状構造も選択できる。]で表わされるホスファイト化合物である。
【0052】
また、一般式(6)
【0053】
【化6】
Figure 0005154719
【0054】
[式中R4、R5はそれぞれ水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基ないしアルキルアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数4〜20のシクロアルキル基、炭素数15〜25の2−(4−オキシフェニル)プロピル置換アリール基を示す。尚、シクロアルキル基およびアリール基は、アルキル基で置換されていないもの、またはアルキル基で置換されているもののいずれも選択できる。]で表わされるホスファイト化合物を挙げることができる。
【0055】
また、一般式(7)
【0056】
【化7】
Figure 0005154719
【0057】
[式中R6、R7は炭素数12〜15のアルキル基である。尚、R6およびR7は互いに同一または互いに異なるのいずれの場合も選択できる。]で表わされるホスファイト化合物を挙げることができる。
【0058】
ホスホナイト化合物としては下記一般式(8)で表わされるホスホナイト化合物、および下記一般式(9)で表わされるホスホナイト化合物を挙げることができる。
【0059】
【化8】
Figure 0005154719
【0060】
【化9】
Figure 0005154719
【0061】
[式中、Ar1、Ar2は炭素数6〜20のアリール基ないしアルキルアリール基、または炭素数15〜25の2−(4−オキシフェニル)プロピル置換アリール基を示し、4つのAr1は互いに同一、または互いに異なるいずれも選択できる。または2つのAr2は互いに同一、または互いに異なるいずれも選択できる。]
【0062】
上記一般式(5)に対応するホスファイト化合物における好ましい具体例としては、ジフェニルイソオクチルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイトが挙げられる。
【0063】
上記一般式(6)に対応するホスファイト化合物における好ましい具体例としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられ、好ましくはジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトを挙げることができる。かかるホスファイト化合物は1種、または2種以上を併用することができる。
【0064】
上記一般式(7)に対応するホスファイト化合物における好ましい具体例としては、4,4’−イソプロピリデンジフェノールテトラトリデシルホスファイトを挙げることができる。
【0065】
上記一般式(8)に対応するホスホナイト化合物における好ましい具体例としては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトがより好ましい。このテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトは、2種以上の混合物が好ましく、具体的にはテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト(E2−1成分)、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト(E2−2成分)および、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト(E2−3成分)の1種もしくは2種以上を併用して使用可能であるが、好ましくはかかる3種の混合物である。また、3種の混合物の場合その混合比は、E2−1成分、E2−2成分およびE2−3成分を重量比で100:37〜64:4〜14の範囲が好ましく、100:40〜60:5〜11の範囲がより好ましい。
【0066】
上記一般式(9)に対応するホスホナイト化合物の好ましい具体例としては、ビス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトビス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。このビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトは、2種以上の混合物が好ましく、具体的にはビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、およびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトの1種もしくは2種を併用して使用可能であるが、好ましくはかかる2種の混合物である。また、2種の混合物の場合その混合比は、重量比で5:1〜4の範囲が好ましく、5:2〜3の範囲がより好ましい。
【0067】
上記のホスファイト化合物およびホスホナイト化合物に対して更に好ましい化合物としては、以下の一般式(1)で示される化合物を挙げることができる。
【0068】
【化10】
Figure 0005154719
【0069】
(式(1)中、R1およびR2は、それぞれ炭素原子数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す。)
式(1)中、好ましくはR1およびR2は炭素原子数1〜12のアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜8のアルキル基である。式(1)の化合物としては具体的に、トリス(ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトなどがあげられ、特にトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。
【0070】
本発明のC成分を含むことにより、本発明の熱可塑性樹脂組成物は耐湿熱分解性の改良効果を発揮する。かかるC成分は、炭酸金属塩、硫酸金属塩、クロム酸金属塩、チタン酸金属塩、酸化珪素、珪酸塩化合物、および水性溶液または懸濁液におけるpH値が6〜8である金属酸化物から選択される少なくとも1種の化合物であり、以下で更に説明する。
【0071】
本発明のC成分は、粉末状、板状、針状、繊維状のいずれの形態を取ることも可能な固体状のものである。耐湿熱分解性の改良効果は固体表面にて発現するものであり、粒子形状、粒子径、および結晶形などによって特に制限を受けるものではない。しかしながら、平均粒子径が大きい場合、単位重量当たりの表面積が低下してくるため、好ましくは平均粒子径が10μm以下のものである。より好ましくは8μm以下であり、特に好ましくは5μm以下である。一方下限としては5nm以上である。かかる平均粒子径は電子顕微鏡観察および光学顕微鏡観察による画像を、画像解析するなどの方法により算出することができる。数μm以上の粒径を有し、その分布も広いものに対してはマイクロメッシュシーブ法によりおよその粒径を簡便に算出することも可能である。上記粒径を満足する場合には耐衝撃特性や外観も良好なものとなる。
【0072】
本発明で使用される炭酸金属塩としては、一例として炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、およびドロマイトなどが挙げられる。なかでも、炭酸カルシウムが耐湿熱分解性の改良効果が顕著であり好ましい。特に好ましくは、純度が99%以上の炭酸カルシウムである。かかる炭酸カルシウムは耐湿熱分解性の改良効果が顕著である。これは炭酸カルシウムの不純物(特に水分など)が多い場合、不純物の影響で耐湿熱分解性の改良効果が損なわれるためだと考えられる。
【0073】
本発明で使用される硫酸金属塩としては、一例として硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、および硫酸銅などが挙げられる。なかでも、硫酸バリウムが耐湿熱分解性の改良効果が顕著であり好ましい。
【0074】
本発明で使用されるクロム酸金属塩としては、一例としてクロム酸鉛、クロム酸亜鉛、およびクロム酸バリウムなどが挙げられる。なかでも、クロム酸鉛が耐湿熱分解性の改良効果が顕著であり好ましい。
【0075】
本発明で使用されるチタン酸金属塩としては、一例としてチタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、およびチタン酸マグネシウムなどが挙げられる。なかでも、チタン酸カリウムが耐湿熱分解性の改良効果が顕著であり好ましい。
【0076】
本発明で使用される酸化珪素としては、天然シリカおよび合成シリカのいずれかも使用可能であり、天然シリカとしては結晶シリカ、および溶融(非晶質)シリカのいずれかも使用可能である。更に合成シリカとしては乾式法および湿式法のいずれの方法により得られたものも使用可能である。すなわち無水珪酸塩および含水珪酸塩のいずれも使用可能である。
【0077】
本発明で使用される珪酸塩化合物としては、一例として珪酸カルシウム(ワラストナイト、ゾノトライトなど)、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、サポナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、焼成クレー、ゼオライト、ジークライト、カオリン、ケイソウ土、焼成ケイソウ土、シラス、コーディエライト、ユークリプタイト、スポジューメンなどを挙げることができる。これらは天然に産出されたものおよび人工的に合成されたもののいずれも使用可能である。また層間が架橋されたものを使用することも可能であり、かかる場合吸着量を増大させることが可能となるため、熱安定性などの条件が満足できれば好ましいことが多い。更にガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレークなどのガラス系充填剤も挙げることができる。
【0078】
上記珪酸塩化合物の中でも、ワラストナイト、タルク、およびマイカが耐湿熱分解性の改良効果が顕著であり好ましい。より好ましくは不純物としての酸化カルシウム含有量は1%以下であるタルクである。かかる理由は明確ではないが酸化カルシウム含有量が少ないほど、ポリカーボネート樹脂の湿熱分解を引き起こす成分を吸着しやすくなるためだと考えられる。
【0079】
本発明で使用される金属酸化物は、その水性溶液または懸濁液におけるpH値が6〜8のものである。かかる金属酸化物の一例としては、酸化チタン(チタンブラック、チタンイエローなどを含む)、酸化鉄、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化鉛、酸化クロム、酸化コバルト、酸化タングステン、および酸化銅などが挙げられる。なかでも、酸化チタン、酸化鉄が耐湿熱分解性の改良効果が顕著であり好ましい。かかる場合、マイカなどの表面を酸化チタン、酸化鉄で被覆したものの使用可能である。さらに好ましくは酸化チタンであり、特に二酸化チタン含有量が95%以上である酸化チタンが好ましい。これは不純物が多い場合には、かかる不純物の影響によりポリカーボネート樹脂の湿熱分解を引き起こす成分に対する吸着作用およびかかる成分の分解作用が低下するためではないかと考えられる。
【0080】
上記より本発明のC成分としてより好ましい態様としては、酸化チタン含有量95重量%以上の酸化チタン、純度99重量%以上の炭酸カルシウム、および酸化カルシウム含有量が1重量%以下のタルクから選択される少なくとも1種の化合物を挙げることができる。
【0081】
本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるA成分、B成分、およびC成分の組成割合について説明する。B成分は本発明のA成分100重量部に対して0.0005〜1重量部である。下限として好ましくはA成分100重量部に対して0.001重量部であり、更に好ましくは0.002重量部である。一方上限として好ましくはA成分100重量部に対して0.5重量部であり、更に好ましくは0.2重量部である。B成分がA成分100重量部に対して0.0005重量部未満の場合には、熱安定性の不足のよりポリカーボネート樹脂の着色や分子量低下が生ずる場合が多い。一方、1重量部を超える場合は熱安定性に対する効果が飽和する一方で、耐湿熱分解性が悪化するようになる。
【0082】
C成分は本発明のA成分100重量部に対して0.005〜1重量部であり、好ましくは0.005〜0.5重量部である。更に好ましくは下限としてA成分100重量部に対して0.01重量部であり、上限としては0.4重量部である。C成分がA成分100重量部に対して0.005重量部未満では耐湿熱分解性の改良が不十分となる。一方、1重量部あれば本発明の効果は十分に達成できる。
【0083】
更に好ましくはC成分がB成分に対して1/100〜100倍量(重量比)であり、更に好ましくは1/10〜10倍量(重量比)の場合である。かかる場合には、より効率的に耐湿熱分解性の改良が可能となる。
【0084】
一方、A成分におけるポリカーボネート樹脂(a−1成分)と他の樹脂(a−2成分)の比率としてはa−1成分とa−2成分の合計100重量%中、a−1成分が30〜100重量%、好ましくは40〜100重量%、更に好ましくは50〜100重量%、特に好ましくは60〜100重量%である。一方a−2成分は、a−1成分とa−2成分の合計100重量%中70〜0重量%の割合であり、好ましくは60〜0重量%、更に好ましくは50〜0重量%、特に好ましくは40〜0重量%である。a−1成分とa−2成分の合計100重量%中、a−1成分が30〜100重量%の場合には、本発明の効果がより有効に発揮される。
【0085】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には更に各種の機能付与を目的として、各種の添加剤を含むことができる。その1つとして難燃剤を挙げることができる。
【0086】
本発明における難燃剤(D成分)としては、ホスフェート系難燃剤、赤リン系難燃剤、ホスファゼン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系リン酸塩、金属水酸化物、金属硫化物、有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、無機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、有機カルボン酸アルカリ(土類)金属塩、無機カルボン酸アルカリ(土類)金属塩などを挙げることができる。
【0087】
中でもホスフェート系難燃剤(d−1成分)、赤リン系難燃剤(d−2成分)、ホスファゼン系難燃剤(d−3成分)およびシリコーン系難燃剤(d−4成分)から選択される少なくとも1種の難燃剤を挙げることができる。
【0088】
ホスフェート系難燃剤(d−1成分)としては下記一般式(10)に示される化合物を挙げることができる。
【0089】
【化11】
Figure 0005154719
【0090】
(但し上記式中のYは、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタン、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニル、ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイドなどの二価フェノールから誘導されるものが挙げられ、j、k、l、mはそれぞれ独立して0または1であり、nは0〜5の整数であり、またはn数の異なるリン酸エステルの混合物の場合は0〜5の平均値であり、R8、R9、R10、およびR11はそれぞれ独立して1個以上のハロゲン原子を置換したもしくは置換していないフェノール、クレゾール、キシレノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−クミルフェノールから誘導されるものである。)
【0091】
この中で好ましくは、上記式中のYは、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールAから誘導されるものが挙げられ、j、k、l、mはそれぞれ1であり、nは0〜3の整数であり、またはn数の異なるリン酸エステルのブレンドの場合は0〜3の平均値であり、R8、R9、R10、およびR11はそれぞれ独立して1個以上のハロゲン原子を置換したもしくは置換していないフェノール、クレゾール、キシレノールから誘導されるものである。
【0092】
更に、特に好ましくは、Yはレゾルシノール、ビスフェノールAから誘導されるものであり、j、k、l、mはそれぞれ1であり、nは0または1であり、R8、R9、R10、およびR11はそれぞれ独立してフェノールまたはキシレノールから誘導されるものである。
【0093】
かかる有機リン酸エステル系難燃剤の中でも、モノホスフェート化合物としてはトリフェニルホスフェート、縮合リン酸エステルとしてはレゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)およびビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)が、耐加水分解性が良好であり好ましく使用できる。
【0094】
ホスフェート系難燃剤(d−1成分)としては下記一般式(11)に示される化合物も挙げることができる。
【0095】
【化12】
Figure 0005154719
【0096】
(式中R12、R13はそれぞれ、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基ないしアルキルアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数4〜20のシクロアルキル基、炭素数15〜25の2−(4−オキシフェニル)プロピル置換アリール基を示す。尚、シクロアルキル基およびアリール基は、アルキル基で置換されていないもの、またはアルキル基で置換されているもののいずれも選択できる。)
上記R12、R13としては、好ましくはそれぞれフェニル基、2−メチルフェニル基、2,6−キシリル基、4−tert−ブチルフェニル基、2−ナフチル基、および4−(2−フェニルイソプロピル)フェニル基を挙げることができる。
【0097】
更にホスフェート系難燃剤(d−1成分)として下記一般式(12)に示される化合物も使用できる。
【0098】
【化13】
Figure 0005154719
【0099】
(式(12)中、R14、R15、R16、R17、R20、R21、およびR22はそれぞれ水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素数4〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基またはアラルキル基を示し、R12は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、およびR13は水素原子またはメチル基を示す。)
【0100】
式(12)で表わされる芳香族環状リン酸エステル化合物としては、例えば、6−オキソ−6−フェノキシ−12H−ジベンゾ(d,g)(1,3,2)−ジオキサホスホシン、2,10−ジメチル−6−オキソ−6−フェノキシ−12H−ジベンゾ(d,g)(1,3,2)−ジオキサホスホシン、4,8−ジメチル−6−オキソ−6−フェノキシ−12H−ジベンゾ(d,g)(1,3,2)−ジオキサホスホシン、6−オキソ−6−フェノキシ−12−メチル−12H−ジベンゾ(d,g)(1,3,2)−ジオキサホスホシン、6−オキソ−6−(2,6−ジメチルフェノキシ)−12H−ジベンゾ(d,g)(1,3,2)−ジオキサホスホシン、2,10−ジメチル−6−オキソ−6−(2,6−ジメチルフェノキシ)−12H−ジベンゾ(d,g)(1,3,2)−ジオキサホスホシン、4,8−ジメチル−6−オキソ−6−(2,6−ジメチルフェノキシ)−12H−ジベンゾ(d,g)(1,3,2)−ジオキサホスホシン、2,10−ジメチル−6−オキソ−6−フェノキシ−12−メチル−12H−ジベンゾ(d,g)(1,3,2)−ジオキサホスホシン、2,10−ジメチル−6−オキソ−6−(2,6−ジメチルフェノキシ)−12−メチル−12H−ジベンゾ(d,g)(1,3,2)−ジオキサホスホシン等が挙げられる。
【0101】
なかでも、6−オキソ−6−フェノキシ−12H−ジベンゾ(d,g)(1,3,2)−ジオキサホスホシン、2,10−ジメチル−6−オキソ−6−フェノキシ−12H−ジベンゾ(d,g)(1,3,2)−ジオキサホスホシン、6−オキソ−6−(2,6−ジメチルフェノキシ)−12H−ジベンゾ(d,g)(1,3,2)−ジオキサホスホシン等が好ましい。
【0102】
本発明の赤リン系難燃剤(d−2成分)としては、一般の赤リンの他に、赤リン表面を熱硬化樹脂および/または無機材料を用いてマイクロカプセル化されている赤リンを使用することができる。更に、かかるマイクロカプセル化されている赤リンの使用は、安全性、作業性を良好とするためマスターペレット化したものが好ましく使用される。かかるマイクロカプセル化に使用される無機材料としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化チタン、水酸化スズ、水酸化セリウムなどがあげられ、熱硬化樹脂としてはフェノール・ホルマリン系、尿素・ホルマリン系、メラミン・ホルマリン系樹脂などが挙げられる。更にかかる無機材料で被覆されたものの上に、熱硬化性樹脂を用いた被覆を形成し、二重に被覆処理した赤リンなども好ましく使用できる。また、使用する赤リンは無電解メッキしたものも使用可能であり、無電解メッキ被膜としては、ニッケル、コバルト、銅、鉄、マンガン、亜鉛またはこれらの合金から選ばれた金属メッキ被膜を使用することができる。更に無電解メッキされた赤リンに更に上記に記載の無機材料および熱硬化性樹脂で被覆された赤リンを使用することもできる。かかる無機材料、熱硬化性樹脂および無電解メッキなどのマイクロカプセル化に使用する成分の量としては赤リン系難燃剤100重量%中20重量%以下であることが望ましく、より好ましくは5〜15重量%である。赤リン系難燃剤の平均粒径としては、1〜100μm、好ましくは1〜40μmが使用される。かかるマイクロカプセル化した赤リン系難燃剤の市販品としては、ノーバエクセル140、ノーバエクセルF−5(燐化学工業(株)製:商品名)、ヒシガードTP−10(日本化学工業(株)製:商品名)、ホスタフラムRP614(クラリアント・ジャパン(株)製:商品名)などが挙げられる。
【0103】
本発明のホスファゼン系難燃剤(d−3成分)としては、フェノキシホスファゼンオリゴマーや環状フェノキシホスファゼンオリゴマーを挙げることができる。
【0104】
本発明のシリコーン系難燃剤(d−4成分)としては、下記一般式(13)および(14)から選択される少なくとも1種のものを挙げることができる。
【0105】
【化14】
Figure 0005154719
【0106】
(式(13)中、β1はビニル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜6のシクロアルキル基、並びに炭素数6〜12のアリール基およびアラルキル基を示す。γ1、γ2、γ3、γ4、γ5、およびγ6は炭素数1〜6のアルキル基およびシクロアルキル基、並びに炭素数6〜12のアリール基およびアラルキル基を示し、少なくとも1つの基がアリール基またはアラルキルである。δ1、δ2、およびδ3は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。)
【0107】
【化15】
Figure 0005154719
【0108】
(式(14)中、β2およびβ3はビニル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜6のシクロアルキル基、並びに炭素数6〜12のアリール基およびアラルキル基を示す。γ7、γ8、γ9、γ10、γ11、γ12、γ13およびγ14は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜6のシクロアルキル基、並びに炭素数6〜12のアリール基およびアラルキル基を示し、少なくとも1つの基がアリール基またはアラルキルである。δ4、δ5、δ6、およびδ7は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。)
【0109】
上記一般式(13)および(14)において、β1は、β2およびβ3は好ましくはメチル基、フェニル基およびビニル基のうちいずれかの基である。特にビニル基が好ましい。また上記一般式(13)および(14)において、γ1〜γ14は好ましくはメチル基およびフェニル基のうちいずれかの基であり、式中、フェニル基が3〜6の範囲で含まれることが好ましい。更にδ1〜δ7においてより好ましくはメトキシ基である。
【0110】
更にシリコーン系難燃剤(d−4成分)としては、25℃における粘度が150mm2/sec以下の下記一般式(15)および(16)から選択される少なくとも1種のものを挙げることができる。
【0111】
【化16】
Figure 0005154719
【0112】
【化17】
Figure 0005154719
【0113】
(式(15)および式(16)中、Z1〜Z6はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の一価の有機残基、または下記一般式(17)で示される化合物を示す。α1〜α6はそれぞれ独立に0また1を表わす。またR23〜R26はそれぞれ独立に炭素数1〜20の一価の有機残基を示す。m1は0以上の整数を表わし、m2は3以上の整数を表わす。更に式(15)および式(16)の化合物はそれぞれ少なくとも1つ以上のSi−H結合を有し、更に式(15)中においてm1が2以上の場合の繰返し単位はそれぞれ互いに異なる複数の繰返し単位を取ることができる。また式(16)中の繰返し単位はそれぞれ互いに異なる複数の繰返し単位を取ることができる。)
【0114】
【化18】
Figure 0005154719
【0115】
(式(17)中、Z7〜Z9はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の一価の有機残基を示す。α7〜α9はそれぞれ独立に0また1を表わす。またR27およびR28はそれぞれ独立に炭素数1〜20の一価の有機残基を示す。m3は0以上の整数を表わす。更に式(3)中においてm3が2以上の場合の繰返し単位はそれぞれ互いに異なる複数の繰返し単位を取ることができる。)
【0116】
上記の25℃における粘度が150mm2/sec以下である一般式(15)および(16)で示されるシリコーン系難燃剤としては好ましくは、かかる粘度条件を満足するポリメチル水素シロキサン化合物を挙げることができる。
【0117】
難燃剤はA成分100重量部に対して0.0005〜30重量部の範囲で含まれることが好ましい。更に上記D成分の組成割合としては、A成分100重量部に対して0.1〜30重量部が好ましく、より好ましくは1〜20重量部、更に好ましくは2〜15重量部である。
【0118】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記難燃剤の効果をより高めるために各種のドリップ防止剤やチャー形成化合物を含むことができる。
【0119】
ドリップ防止剤としては、フィブリル形成能を有する含フッ素ポリマーを挙げることができ、かかるポリマーとしてはポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、など)、米国特許第4379910号公報に示されるような部分フッ素化ポリマー、フッ素化ジフェノールから製造されるポリカーボネート樹脂などを挙げることができるが、好ましくはポリテトラフルオロエチレンである。
【0120】
フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしてはテトラフルオロエチレンを乳化重合して得られるラテックスを凝析および乾燥した粉末(いわゆるポリテトラフルオロエチレンのファインパウダーであり、ASTM規格においてタイプ3に分類されるもの)が挙げられる。あるいはそのラテックスに界面活性剤を加え濃縮および安定化して製造される水性分散体(いわゆるポリテトラフルオロエチレンのディスパージョン)が挙げられる。
【0121】
かかるフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンの分子量は、標準比重から求められる数平均分子量において100万〜1000万、より好ましく200万〜900万である。
【0122】
更にかかるフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンは、1次粒子径が0.05〜1.0μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5μmである。ファインパウダーを使用する場合の2次粒子径としては1〜1000μmのものが使用可能であり、更に好ましくは10〜500μmのものを用いることができる。
【0123】
かかるポリテトラフルオロエチレンはUL規格の垂直燃焼テストにおいて試験片の燃焼テスト時に溶融ドリップ防止性能を有しており、かかるフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては具体的には、例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン6Jおよびテフロン30J、ダイキン化学工業(株)製のポリフロンMPA FA−500、ポリフロンF−201LおよびポリフロンD−1、および旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製のCD076などを挙げることができる。
【0124】
かかるポリテトラフルオロエチレンはファィンパウダーにおいて、2次凝集を防止するために各種の処理を施したものがより好ましく使用される。かかる処理としては、ポリテトラフルオロエチレンの表面を焼成処理することが挙げられる。またかかる処理としては、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンの表面を非フィブリル形成能のポリテトラフルオロテトラフルオロエチレンで被覆することが挙げられる。本発明でより好ましいのは後者の処理を行ったポリテトラフルオロエチレンである。前者の場合には、目的とするフィブリル形成能が低下しやすいためである。かかる場合フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが全体量の70〜95重量%の範囲であることが好ましい。またフィブリル非形成能ポリテトラフルオロエチレンとしては、その分子量が標準比重から求められる数平均分子量において1万〜100万、より好ましく1万〜80万である。
【0125】
かかるポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと称することがある)は、上記の通り固体形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。またかかるフィブリル形成能を有するPTFEは樹脂中での分散性を向上させ、更に良好な難燃性および機械的特性を得るために以下の形態のPTFE混合物を使用することも可能である。
【0126】
第1にPTFE分散液とビニル系重合体の分散体との共凝集混合物を挙げることができる。具体的には特開昭60−258263号公報に平均粒径0.05〜5μmのPTFE分散液とビニル系重合体の分散液を混合し、30μmより大きいPTFE粒子を精製させることなく凝固させ、かかる凝固物を乾燥することによりPTFE混合物を得る方法が記載されており、かかる混合物の使用が可能である。
【0127】
第2にPTFE分散液と乾燥したポリマー粒子とを混合した混合物を挙げることができ、かかるポリマー粒子としては各種のものが使用できるが、より好ましくはポリカーボネート樹脂粉末またはABS樹脂粉末を使用したものである。かかる混合物については、特開平4−272957号公報にPTFE分散液とABS樹脂粉末との混合物について記載がされており、かかる方法の使用が可能である。
【0128】
第3にPTFE分散液と熱可塑性樹脂溶液の混合物からそれぞれの媒体を同時に除去することにより得られたPTFE混合物を挙げることができ、具体的にはスプレードライヤーを使用することにより媒体を除去した混合物を挙げることができ、かかる混合物については特開平08−188653号公報に記載されている。
【0129】
第4にPTFE分散液中で他のビニル系単量体を重合することにより得られたPTFE混合物を挙げることができ、かかる混合物については特開平9−95583号公報に、PTFEラテックス中にスチレンおよびアクリロニトリルを供給することによりPTFE混合物を得る方法が具体的に記載されており、かかる混合物等を使用することができる。
【0130】
第5に、PTFE分散液とポリマー粒子分散液を混合後、更に該混合分散液中でビニル系単量体を重合する方法を挙げることができ、かかる方法は製造の簡便性とPTFEの分散の微細化を両立できる点で好ましいPTFE混合物として挙げることができる。かかる混合物については特開平11−29679号にその詳細が記載されており、すなわち粒子径0.05〜1.0μmのPTFE分散液とポリマー粒子分散液とを混合した分散液中で、エチレン性不飽和結合を有する単量体を乳化重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化されたPTFE混合物を好ましいものとして挙げることができる。
【0131】
かかる第5の形態のPTFE混合物としては、三菱レイヨン(株)よりメタブレン「A3000」(商品名)が市販されており、入手が容易であると共に、本発明において好ましく使用することができる。
【0132】
PTFE混合物におけるPTFEの割合としては、PTFE混合物100重量%中、PTFEが1〜60重量%、より好ましくは3〜40重量%、更に好ましくは5〜30重量%である。PTFEの割合がかかる範囲にある場合は、PTFEの良好な分散性を達成することができる。
【0133】
d成分のドリップ防止剤の割合としては、A成分100重量部に対して好ましくは0.05〜1重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜0.7重量部、特に好ましくは0.02〜0.5重量部である。
【0134】
チャー形成化合物としては以下のものが挙げられる。
【0135】
第1にヒドロキシベンゼン化合物、ヒドロキシナフタレン化合物、およびヒドロキシアントラセン化合物などとホルムアルデヒドとの縮合物が挙げられる。例えば、ノボラック型フェノール樹脂、およびクレゾール変性フェノール樹脂を挙げることができる。またスルホン酸基またはスルホン酸塩基を有する化合物も入手容易であり好ましく使用できる。例えばナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルムアルデヒド縮合物を挙げることができる。
【0136】
第2に重質油類またはピッチ類とホルムアルデヒドとの縮合物が挙げられる。かかる重質油類またはピッチ類は、芳香族炭化水素分率fa値が0.40〜0.95、芳香環水素量Ha値が20〜80%であることが好ましい。例えば、減圧軽油の流動接触分解工程で得た塔底油とパラホルムアルデヒドとの縮合物を挙げることができる。
【0137】
第3に上記重質油類またはピッチ類そのものを挙げることができる。第4に熱可塑性樹脂タイプのものとして、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、アリル化ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジフェニルポリフェニレンエーテル、ポリパラフェニレン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォンなどが挙げられる。その他、ポリパラフェニレンオリゴマー、1,1’−チオビス(2−ナフトール)などを挙げることができる。
【0138】
これらの中から選ばれた1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。このうち、特に好ましいチャー形成樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリフェニレンスルフィドを挙げることができる。
【0139】
チャー形成化合物の割合としては、A成分100重量部に対して好ましくは0.05〜30重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜20重量部、特に好ましくは0.1〜5重量部である。
【0140】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、更に各種の酸化防止剤や紫外線吸収剤、および光安定剤などを含むことにより、熱安定性や耐候性を向上させることができる。
【0141】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤やイオウ系酸化防止剤を挙げることができる。
【0142】
かかるフェノール系酸化防止剤の具体例としては、例えばビタミンE、フェノール系酸化防止剤の具体例としては、例えばn−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどを好ましく挙げることができ、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネートをより好ましく挙げることができる。
【0143】
本発明のイオウ系酸化防止剤の具体例としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリルチオプロピオネート)エステル、ビス[2−メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナフトール)などを挙げることができる。より好ましくは、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリルチオプロピオネート)エステルを挙げることができる。
【0144】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は紫外線吸収剤を含むことができる。紫外線吸収剤としては、例えば2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタンなどに代表されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0145】
また紫外線吸収剤としては例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物に代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0146】
更に紫外線吸収剤としては例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノール、2−(4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノールなどのヒドロキシフェニルトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0147】
またビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]}、ポリメチルプロピル3−オキシ−[4−(2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジニル]シロキサンなどに代表されるヒンダードアミン系の光安定剤も含むことができ、かかる光安定剤は上記紫外線吸収剤や各種酸化防止剤との併用において、耐候性などの点においてより良好な性能を発揮する。
【0148】
上記酸化防止剤は、A成分100重量部当たり、それぞれ0.0001〜1重量部であることが好ましい。より好ましくは0.0005〜0.5重量部、更に好ましくは0.001〜0.2重量部である。
【0149】
上記紫外線吸収剤、光安定剤の割合は、A成分100重量部当たり0.01〜5重量部であることが好ましく、より好ましくは0.02〜1重量部である。
【0150】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて離型剤を配合することができる。本発明においては良好な難燃性を有するため、通常難燃性に対して悪影響を及ぼしやすい離型剤を配合した場合であっても、良好な難燃性を達成することができる。かかる離型剤としては公知のものが使用できる。例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワツクス、1−アルケン重合体など。酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、シリコーン化合物(直鎖状または環状のポリジメチルシロキサンオイルやポリメチルフェニルシリコーンオイルなどが挙げられる。酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。これらの中でも飽和脂肪酸エステル類、直鎖状または環状のポリジメチルシロキサンオイルやポリメチルフェニルシリコーンオイルなど、およびフッ素オイルを挙げることができる。かかる離型剤はA成分100重量部に対して0.01〜0.3重量部が好ましい。
【0151】
好ましい離型剤としては飽和脂肪酸エステルが挙げられ、例えばステアリン酸のモノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライドなどのグリセリン脂肪酸エステル類、デカグリセリンデカステアレートおよびデカグリセリンテトラステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル類、ステアリン酸ステアレートなどの低級脂肪酸エステル類、セバシン酸ベヘネートなどの高級脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトールテトラステアレートなどのエリスリトールエステル類が使用される。
【0152】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には紫外線吸収剤などに基づく黄色味を打ち消すためにブルーイング剤を配合することができる。ブルーイング剤としてはポリカーボネート樹脂に使用されるものであれば、特に支障なく使用することができる。一般的にはアンスラキノン系染料が入手容易であり好ましい。具体的なブルーイング剤としては、例えば一般名Solvent Violet13[CA.No(カラーインデックスNo)60725;商標名 バイエル社製「マクロレックスバイオレットB」、三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーG」、住友化学工業(株)製「スミプラストバイオレットB」]、一般名SolventViolet31[CA.No68210;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンバイオレットD」]、一般名Solvent Violet33[CA.No60725;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーJ」]、一般名Solvent Blue94[CA.No61500;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーN」]、一般名Solvent Violet36[CA.No68210;商標名 バイエル社製「マクロレックスバイオレット3R」]、一般名Solvent Blue97[商標名 バイエル社製「マクロレックスブルーRR」]および一般名Solvent Blue45[CA.No61110;商標名 サンド社製「テラゾールブルーRLS」]、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社のマクロレックスバイオレットやテラゾールブルーRLS等があげられ、特に、マクロレックスブルーRR、マクロレックスバイオレットBやテラゾールブルーRLSが好ましい。
【0153】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、更に各種添加剤を含むことができる。各種添加剤としては、例えば補強剤、難燃剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、滑剤、摺動剤、着色剤(カーボンブラック、有機顔料、無機顔料、有機染料など)、光拡散剤、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防止剤、流動改質剤、結晶核剤、抗菌剤、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤などを配合することができる。
【0154】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分〜C成分および任意に他の成分を予備混合し、その後溶融混練しペレット化する方法などが挙げられる。予備混練の手段としてはV型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などを挙げることができる。場合により押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行うことも可能である。溶融混練はベント式二軸ルーダーに代表される溶融混練機で行うことができる。ペレット化はペレタイザー等の各種機器により行うことができる。
【0155】
他に、A成分〜C成分および任意に他の成分をそれぞれ独立にベント式二軸ルーダーに代表される溶融混練機に供給する方法が挙げられる。また、A成分〜C成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶融混練機に供給する方法も可能である。B成分、C成分を水または有機溶剤で希釈混合した後、溶融混練機に供給、またはかかる希釈混合物を他の成分と予備混合した後、溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。尚、配合する成分に液状のものがある場合には、溶融混練機への供給にいわゆる液注装置、または液添装置を使用することができる。
【0156】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は通常かかるペレットを射出成形して成形品を得ることにより各種製品を製造することができる。かかる射出成形においては、通常のコールドランナー方式の成形法だけでなく、ランナーレスを可能とするホットランナーによって製造することも可能である。また射出成形においても、通常の成形方法だけでなくガスアシスト射出成形、射出圧縮成形、超高速射出成形等を使用することができる。
【0157】
また本発明の熱可塑性樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、フィルムなどの形で使用することもできる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、キャスティング法なども使用可能である。更に特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。その他回転成形や超音波金型成形などの粉末成形により成形品を得ること、およびブロー成形により中空成形品とすることも可能である。
【0158】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ホスファイト化合物やホスホナイト化合物を含むポリカーボネート樹脂およびその樹脂組成物において、耐湿熱分解性が改良されているため、熱安定性と共に製品寿命やリサイクル性にも優れるものである。したがって幅広い分野において、有用なものである。
【0159】
【発明の実施の形態】
以下に実施例をあげて本発明を更に詳細に説明する。
【0160】
[実施例1〜115、および比較例1〜56]
実施例および比較例は、表1〜表16に示す各成分を表記載の配合割合にてV型ブレンダーで混合した後、スクリュー径30mmのベント式二軸押出機[神戸製鋼(株)製KTX−30]によりペレット化した。スクリュー構成はベント位置以前に第1段のニーディングゾーン(送りのニーディングディスク×2、送りのローター×1、戻しのローター×1および戻しニーディングディスク×1から構成される)を、ベント位置以後に第2段のニーディングゾーン(送りのローター×1、および戻しのローター×1から構成される)を設けてあった。シリンダ−温度およびダイス温度が270℃、およびベント吸引度が3000Paの条件でストランドを押出し、水浴において冷却した後ペレタイザーでストランドカットを行い、ペレット化した。
【0161】
得られたペレットは110℃で6時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥し、射出成形機[ファナック(株)T−150D]によりシリンダー温度250〜290℃、金型温度70℃で試験片(縦70mm×横50mm×厚み2mmの板状成形品)を成形した。この成形品を使用し、耐湿熱分解性の評価を実施し評価結果を表1〜表16に示した。
【0162】
(1)耐湿熱分解性の評価
耐湿熱分解性の評価は、以下の手順にて促進試験を実施し行った。(株)平山製作所製の超加速寿命試験装置(型式PC−305III/V)を使用し、温度120℃、湿度100%RHの条件にて、上記方法で得たペレットを24時間、48時間の湿熱処理を実施した。処理後、粘度管を使用し既知の分子量の単分散ポリスチレン標準と比較して、粘度平均分子量(Mv)を測定し、湿熱処理前と湿熱処理後の粘度平均分子量の差(ΔMv)を算出した。
【0163】
[参考例1](ホスフェート系難燃剤D5の合成)
下記の方法により、6−オキソ−6−フェノキシ−12H−ジベンゾ(d,g)(1,3,2)−ジオキサホスホシン(上記式(12)において、R14、R15、R16、R17、R20、R21、およびR22がすべて水素原子であり、更にR18およびR19のいずれも水素原子である化合物。)の合成を行った。
【0164】
撹拌装置、還流冷却管、滴下漏斗、オイルバスを備えた5リットル三つ口フラスコに、オキシ塩化リン2683部(17.5mol)、無水塩化マグネシウム7.14g(0.075mol)を仕込み、窒素気流下でオイルバスを約110℃に加熱し、オキシ塩化リンを還流する状態とした後、滴下漏斗よりフェノール470.55g(5.0mol)をクロロベンゼン700mlに溶解した溶液を約1時間かけて注入し、その後30分更に反応させた。発生する塩化水素は、還流冷却管を通して反応系外の水酸化ナトリウム水溶液に吸収させた。反応後溶媒と過剰のオキシ塩化リンを留去し、続いて、フェニルジクロロホスフェートを蒸留した。収量970.51g(収率92%)。31P−NMR(重クロロホルム溶媒)測定を行い、3.4ppmの単一ピークを確認した。
【0165】
次に、撹拌装置、還流冷却管、滴下漏斗、オイルバスを備えた10リットルの三つ口フラスコに、2,2′−メチレンビスフェノール(ビスフェノール−F)600.7g(3.0mol)、トリエチルアミン607.1g(6.0mol)、トルエン2Lを加え、窒素雰囲気下、室温で攪拌した。この溶液に、上記で得たフェニルジクロロホスフェート632.9g(3.0mol)とトルエン2Lとの混合液を滴下ロートから約2時間かけて注入し、その後加熱して、約2時間還流させた。反応終了後、大部分の溶媒と塩を除去し、希釈HCl、水、飽和NaHCO3の順に洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。MgSO4及び溶媒を除去し、生じた白色固体をエタノールから再結晶して、BPFP862.7gを得た(収率85%)。この化合物の示差走査熱量計(DSC)分析による融点は104℃であった。
【0166】
表中に記載の各成分を示す記号は下記の通りである。尚、C成分、およびC成分に対応するC成分以外の成分におけるpH値は、JIS K5101法により得られた値である。
【0167】
(A成分)
(a−1成分)
PC1:ビスフェノールA、および末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノールを使用し、ホスゲン法によりアミン系触媒を使用しないで製造された粘度平均分子量22,500の直鎖状ポリカーボネート樹脂。尚、かかるポリカーボネート樹脂の塩素原子に換算した塩素化合物含有量は20ppm(蛍光X線による分析法)、および分子鎖末端におけるフェノール性水酸基の割合は10モル%であった。
PC2:ビスフェノールAとジフェニルカーボネートの溶融エステル交換反応により得られた粘度平均分子量22,500のポリカーボネート樹脂。尚、かかるポリカーボネート樹脂は分岐結合成分が繰返し単位に対して0.1モル%であった(1H−NMRの測定より算出し、同様に測定されたPC1のポリカーボネート樹脂では0モル%(該当ピークなし)であった。)。更に分子鎖末端におけるフェノール性水酸基の割合は34モル%であった。
【0168】
(a−2成分)
PET:ポリエチレンテレフタレート樹脂(帝人(株)製「TR−8580」、固有粘度0.80)
PBT:ポリブチレンテレフタレート樹脂(帝人(株)製「TRB−J」、固有粘度0.87)
ABS:アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(宇部サイコン(株)製「サイコラックY−540A−1101」)
PS:ポリスチレン樹脂(日本ポリスチレン(株)製「H450K」)
AS:アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(旭化成工業(株)製「スタイラックAS−769」)
MB:ブタジエン−メチルメタクリレート共重合体(呉羽化学工業(株)製「パラロイドEXL2602」)
MBS:メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレングラフト重合体(鐘淵化学工業(株)製B−56)
【0169】
(B成分)
B−1:トリス(2,4−ジ−tert−ブチル)ホスファイト(日本チバガイギー(株)製「Irgafos168」)
B−2:ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(旭電化工業(株)製「アデカスタブPEP−36」)
【0170】
(C成分)
TiO2−1:二酸化チタン(石原産業(株)製「CR−60」、平均粒子径約0.2μm、PH約6.5、純度95%以上)
TiO2−2:二酸化チタン(石原産業(株)製「PC−3」、平均粒子径約0.2μm、PH約6.5、純度約91%)
Fe2O3:三二酸化鉄(チタン工業(株)製「TAROX R−516−L」、PH約7.0)
Sb2O3:三酸化アンチモン(住友金属鉱山(株)製「三酸化アンチモン」、PH約6.5)
PbO:酸化鉛(II)(和光純薬工業(株)製、平均粒子径5μm、純度99%以上、PH約7.0)
CeO2:酸化セリウムと酸化ジルコニウムの固溶体(東レ(株)製「セラエクランIV」、平均粒径約0.05μm、PH約7.0)
CaCO3−1:炭酸カルシウム(シプロ化成(株)製「シプロンA」、平均粒子径5μm、PH9.5、純度99%以上)
CaCO3−2:炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製「スノーライト」、平均粒子径2.0μm、PH8.8、純度98%以下)
MgCO3:炭酸マグネシウム(和光純薬工業(株)製)
MgSO4:硫酸マグネシウム(和光純薬工業(株)製、純度98%以上)
BaSO4:硫酸バリウム(日本化学工業(株)製「沈降性硫酸バリウムST」、平均粒子径0.85μm、PH約7)
PbCrO4:クロム酸鉛(和光純薬工業(株)製)
K2Ti6O13:チタン酸カリウム(大塚化学(株)製「ティスモ−D」、平均粒子径9μm、PH約8)
SiO2:酸化珪素((株)龍森製「クリスタライト CMC−12」、平均粒子径5μm、PH約6.5)
TALC−1:タルク(林化成工業(株)製「Upn HS−T0.8」、平均粒子径3μm、PH9.5、CaO含有量1%以下)
TALC−2:タルク(土屋カオリン(株)製「スーパーカット#15」、平均粒子径24.5μm、PH9.5、CaO含有量1.8%)
MICA:マイカ(コープケミカル(株)製「ミクロマイカ MK−100」、平均粒子径:5.5μm)
WSN:ワラストナイト(NYCO製「NYGLOS4」、平均粒子径4μm、PH10)
【0171】
(D成分)
D−1:レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)(旭電化(株)製「アカスタブFP−500」)
D−2:ビスフェノールAビスフェニルホスフェート(大八化学工業(株)製「CR−741」)
D−3:安定化赤燐(燐化学工業(株)製「ノーバエクセル140」)
D−4:メチルフェニルシロキサン(信越化学工業(株)製「信越シリコーンX−40−9243」)
D−5:上記参考例1で作成した環状リン酸エステル化合物
【0172】
(E成分)
PTFE:フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)製ポリフロンMPA FA500)
(その他の成分)
Fe:鉄粉(和光純薬工業(株)製)
Ti:チタン粉(和光純薬工業(株)製)
Si:珪素粉末(和光純薬工業(株)製)
CB:カーボンブラック(三菱化成(株)製「カーボンブラック#CB970」)
【0173】
【表1】
Figure 0005154719
【0174】
【表2】
Figure 0005154719
【0175】
【表3】
Figure 0005154719
【0176】
【表4】
Figure 0005154719
【0177】
【表5】
Figure 0005154719
【0178】
【表6】
Figure 0005154719
【0179】
【表7】
Figure 0005154719
【0180】
【表8】
Figure 0005154719
【0181】
【表9】
Figure 0005154719
【0182】
【表10】
Figure 0005154719
【0183】
【表11】
Figure 0005154719
【0184】
【表12】
Figure 0005154719
【0185】
【表13】
Figure 0005154719
【0186】
【表14】
Figure 0005154719
【0187】
【表15】
Figure 0005154719
【0188】
【表16】
Figure 0005154719
【0189】
この表1〜表16より、各組成においてC成分を配合しない場合(比較例)と比較して、C成分を配合した場合(実施例)は耐湿熱分解性が大幅に改良されることが明らかである。
【0190】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ホスファイト化合物およびホスホナイト化合物から選択される少なくとも1種のリン化合物を含むポリカーボネート樹脂およびその樹脂組成物における耐湿熱分解性の向上を図るものであり、結果として熱安定性、ならびに製品寿命やリサイクル性に優れた樹脂組成物を達成するものである。本発明は各種電子・電気機器分野を初めとして、土木・建築分野、自動車・船舶・航空機などの分野、機械分野などにおいて好適なものであり、その奏する工業的価値は極めて大である。特にOA機器の外装材用途など、リサイクル対応が必要な用途に極めて適している。

Claims (6)

  1. ポリカーボネート樹脂(a−1成分)30〜100重量%および他の樹脂(a−2成分)70〜0重量%の合計100重量%からなる樹脂組成物(A成分)100重量部に対し、ホスファイト化合物およびホスホナイト化合物から選択される少なくとも1種のリン化合物(B成分)0.0005〜1重量部、並びに炭酸金属塩、硫酸金属塩、クロム酸金属塩、チタン酸金属塩、酸化珪素、珪酸塩化合物、および水性溶液または懸濁液におけるpH値が6〜8.5である金属酸化物から選択される少なくとも1種の化合物(C成分)0.005〜1重量部を含み、かつ難燃剤を含有しない熱可塑性樹脂組成物。
  2. B成分が下記一般式(1)で示されるホスファイト化合物である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 0005154719
    (式(1)中、RおよびRは、それぞれ炭素原子数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す。)
  3. C成分が0.005〜0.5重量部である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 更にA成分100重量部に対してゴム質重合体を0.5〜30重量部含んでなる請求項1〜のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. C成分が平均粒径10μm以下である請求項1〜のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. C成分が酸化チタン含有量95重量%以上の酸化チタン、純度99重量%以上の炭酸カルシウム、および酸化カルシウム含有量が1重量%以下のタルクから選択される少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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