JP5154373B2 - 親水性高分子化合物及びそれを配合する皮膚外用剤又は化粧料 - Google Patents
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必要に応じて、他の共重合しうる単量体:(C)とを共重合して得られる、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が8000〜5000000であることを特徴とする親水性高分子化合物に関する。
本発明における上記式(1)で表される重合性ピログルタミン酸単量体において、骨格を構成するピログルタミン酸としては、d体、l体、dl体(ラセミ体)のいずれをも挙げることができ、上記式(1)中のR1は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。具体的には、炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等を挙げることができる。また、Xは、水酸基(−OH基)、又は−OM基のいずれかを表し、−OM基において、Mは、アルカリ金属元素、アンモニウム基、有機塩基から誘導される基を表す。アルカリ金属元素としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等を挙げることができ、有機塩基イオンとしては、メチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、フェニルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、キノリニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン等の中心となるヘテロ原子が窒素原子であるオニウムイオンや、トリメチルスルホニウムイオン、トリドデシルスルホニウムイオン等の中心となるヘテロ原子が硫黄原子であるオニウムイオンや、テトラフェニルホスホニウムイオン等の中心となるヘテロ原子がリン原子であるオニウムイオンなどを挙げることができる。また、具体的には、上記式(1)で表される重合性ピログルタミン酸単量体としては、N−アクリロイルピログルタミン酸、N−メタクリロイルピログルタミン酸、又はそれらの塩を挙げることができるが、上記式(2)で表される重合性単量体との共重合がより良好な点で、N−アクリロイルピログルタミン酸、N−メタクリロイルピログルタミン酸等の遊離酸が好ましく、N−アクリロイルピログルタミン酸がより好ましい。
本発明における上記式(2)で表される重合性単量体において、R2は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、R3は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又は−(CH2)mCOOH基、R4は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又は−(CH2)nCOOH基を表す(但し、mは、0〜2のいずれかの整数を表し、nは、0〜3のいずれかの整数を表す)。具体的には、炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等を挙げることができ、−(CH2)mCOOH基としては、カルボキシル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基等を挙げることができ、−(CH2)nCOOH基としては、カルボキシル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基等を挙げることができ、好ましくは、R2及びR3が水素原子の場合、R4は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又は−(CH2)nCOOH基であり、R2が水素原子で、R3が炭素数1〜3のアルキル基の場合、R4は水素原子であり、R2が水素原子で、R3が−(CH2)mCOOH基の場合、R4は水素原子であり、また、R2が炭素数1〜3のアルキル基の場合、R3及びR4は水素原子であり、より好ましくは、R2及びR3が水素原子の場合、R4は、水素原子、メチル基、又はカルボキシメチル基であり、R2が水素原子で、R3がメチル基の場合、R4は水素原子であり、R2が水素原子で、R3がカルボキシル基の場合、R4は水素原子であり、R2がメチル基の場合、R3及びR4は水素原子である。
また、本発明の親水性高分子化合物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記式(1)で表される重合性ピログルタミン酸単量体の1種又は2種以上:(A)と、上記式(2)で表される重合性単量体の1種又は2種以上:(B)と、必要に応じて、他の共重合しうる単量体:(C)とを共重合して得られる親水性高分子化合物であってもよい。他の共重合しうる単量体(任意成分)としては特に限定はされないが、例えば、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、アクリル酸アミドメチルプロパンスルホン酸、アクリル酸アシッドホスホオキシアルキル等の重合性酸や、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン等の重合性ビニル誘導体や、シリコーンマクロモノマー、ポリアクリルマクロモノマー、ポリエステルマクロモノマー、ポリアミドマクロモノマー、ポリオキシアルキレンマクロモノマー等の重合性マクロモノマーや、重合性糖などを挙げることができる。
他の共重合しうる単量体としては、さらに、一分子内に少なくとも二個以上の重合性基を有する架橋型重合性単量体の1種又は2種以上:(C-1)を挙げることができ、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、プロピレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ブチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタンジオールジ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトール(ジ、トリ、テトラ)(メタ)アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトール(ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ)(メタ)アクリル酸エステル、トリメチロールプロパン(ジ、トリ)(メタ)アクリル酸エステル等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルや、アリル化蔗糖や、トリアリルホスフェイトや、メチレンビスアクリルアミドなどを挙げることができ、これらの一種又は二種以上を使用することもできる。なお、上記「(メタ)アクリル酸」の表記は、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を表す。かかる架橋型重合性単量体を共重合成分としない場合、本発明の親水性高分子化合物は線状の一次元的な、曳糸性や粘着性が発現しやすい線状高分子となるが、架橋型重合性単量体を含めて共重合した場合には、三次元的高分子となり、皮膚外用剤又は化粧料に汎用されるカルボキシビニルポリマーの挙動と類似の有限膨潤性の親水性高分子的な挙動を示す点で、皮膚外用剤又は化粧料への配合を意図する場合により好ましい。
上記式(1)で表される重合性ピログルタミン酸単量体の1種又は2種以上:(A)と、上記式(2)で表される重合性単量体の1種又は2種以上:(B)において、(A):(B)の質量仕込み比は特に制限はないが、0.05:99.95〜50:50が好ましく、0.1:99.9〜10:90がより好ましく、0.5:99.5〜5:95が最も好ましい。
本発明の親水性高分子化合物の製造方法としては、上記式(1)で表される重合性ピログルタミン酸単量体の1種又は2種以上と、上記式(2)で表される重合性単量体の1種又は2種以上と、必要に応じて本発明における架橋型重合性単量体の1種又は2種以上や他の任意成分を構成モノマー成分として用い、上記特徴を有する本発明の親水性高分子化合物を製造することができる限り特に制限はないが、例えば、ラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法等を挙げることができ、中でも過酸化物、アゾ化合物等のラジカル発生剤を利用したラジカル重合法を好適に示すことができ、かかるラジカル発生剤の使用量は、構成モノマーの総量に対して、0.05〜5質量%、好ましくは、0.2〜2質量%である。また、共重合体の形態は、ランダム共重合体又はブロック共重合体のいずれでもよいが、上記式(2)の重合性単量体の添加時期等を調整することにより、ランダム共重合体、部分ブロック共重合体、ブロック共重合体等の形態が選択できる。また、上記ラジカル重合法としては、公知の、塊重合、乳化重合、溶液重合等のいずれも可能であるが、本発明の親水性高分子化合物を得る製造方法においては溶液重合が好ましく、該溶液重合を行う方法としては、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、温度を50〜100℃、好ましくは65〜75℃として重合反応を行う方法を挙げることができる。また、上記溶液重合を行う場合における有機溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類や、ジオキサン等のエーテル類や、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類や、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類や、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素類などを例示することができるがこれらに制限されない。
本発明の親水性高分子化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて、皮膚外用剤や化粧料の他、塗料、インク等の添加剤として、生理用品等の吸液性素材として、紙用添加剤、糊剤、食品用添加剤等としてなどの様々な用途に使用することができるが、皮膚外用剤又は化粧料に使用することが好ましく、化粧料に配合することがより好ましい。本発明における化粧料としては、化粧水、クリーム、乳液、美容液等の基礎化粧料や、シャンプー、リンス、トリートメント等の頭髪化粧料や、リキッドファンデーション、下地乳液等のメイクアップ化粧料や、日焼け止め化粧料等の化粧料(医薬部外品を含む)を例示することができ、皮膚外用剤としては、リニメント剤、ローション剤、軟膏剤等の外用医薬品を例示することができる。
[N−アクリロイルピログルタミン酸の合成]
ピログルタミン酸12.9gをアセトニトリル500mLに溶解し、トリエチルアミン20.2gを添加し、0℃に冷却した。0℃を維持しながら、これにアクリル酸クロライド9.05gを撹拌下でゆっくり滴下した。滴下終了後、冷却を解除し、液温が室温と同じになったところで、撹拌を中止し、減圧濃縮を行った。濃縮物に精製水100mLを添加し、1N塩酸でpH6.5に調整し、酢酸エチルで分配した。酢酸エチル分配物を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮を行い、約15.5gの粗反応物を得た。この粗反応物をカラムクロマトグラフィー(担持体:シリカゲル、展開溶媒:クロロホルム:メタノール:水(90:9:1))で展開後、精製し、N−アクリロイルピログルタミン酸14.5gを得た。得られたN−アクリロイルピログルタミン酸の赤外分光吸収(石英板薄膜法)は、ν=3600−3000、1750、1680、1610、1400、1350、1300、1220、1180cm−1、H−NMR(重クロロホルム溶液中)では、δ=7.5(1H、dd)、6.5(1H、dd)、5.9(1H、dd)、4.9−4.7(1H、m)、2.9−2.0ppm(4H、m)を示した。また、質量分析では、m/e=183(M+)のピークを観察した。
[N−メタクリロイルピログルタミン酸ナトリウムの合成]
アクリル酸クロライド9.05gの代わりに、メタクリル酸クロライド10.4gを用いたこと以外は、参考例1と同様の処理を行い、N−メタクリロイルピログルタミン酸16.3gを得た。得られたN−メタクリロイルピログルタミン酸の赤外分光吸収(石英板薄膜法)は、ν=3600−3000、1740、1670、1400、1350、1280、1200cm−1、H−NMR(重クロロホルム溶液中)では、δ=5.45(2H、d)、4.9−4.7(1H、m)、2.8−2.1(4H、m)、2.0ppm(3H、d)を示した。また、質量分析では、m/e=197(M+)のピークを観察した。このN−メタクリロイルピログルタミン酸の13.79gに、氷冷下で10%水酸化ナトリウム溶液28mLを添加して溶解したものを、200mLのアセトン中に投入し、析出するN−メタクリロイルピログルタミン酸ナトリウムを分取した。
500mLの3つ口フラスコに、窒素導入管、滴下ロート、冷却管を設置し、トルエン100mLを入れ、雰囲気を窒素置換した。脱気トルエン200mLに、上記参考例1で得られたN−アクリロイルピログルタミン酸2gと、アクリル酸8gと、N、N−アゾビスイソブチロニトリル0.05gとを溶解し、滴下ロートに移送し反応液とした。反応容器を50℃に維持した状態で、前記3つ口フラスコの滴下ロートより反応液を滴下(1滴/秒)し、窒素バブリングを続行しつつ、撹拌した。滴下終了後、内温を70℃まで昇温し、そのまま1時間反応を続行した。冷却後、トルエンを留去し、残留物をエタノール20mlに溶解し、ヘキサンを添加して生成した白色固形物を分取した。エタノール溶解、ヘキサン析出の精製工程を二度行った後、乾燥し、N−アクリロイルピログルタミン酸とアクリル酸からなる共重合体5.1gを得た。得られた重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、105000であった。このN−アクリロイルピログルタミン酸とアクリル酸からなる共重合体は、水酸化ナトリウムで中性に中和すると水に透明に溶解し、粘調な溶液となった。
上記参考例1で得られたN−アクリロイルピログルタミン酸5gと、アクリル酸1.97gと、N、N−アゾビスイソブチロニトリル0.05gとを用い、上記実施例1と同様の処理を行い、N−アクリロイルピログルタミン酸とアクリル酸からなる共重合体3.9gを得た。得られた重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、42000であった。このN−アクリロイルピログルタミン酸とアクリル酸からなる共重合体は、水酸化ナトリウムで中性に中和すると水に透明に溶解し、粘調な溶液となった。
上記参考例2で得られたN−メタクリロイルピログルタミン酸ナトリウム1gと、メタクリル酸9gと、N、N−アゾビスイソブチロニトリル0.05gとを用い、実施例1と同様の処理を行い、N−メタクリロイルピログルタミン酸ナトリウムとメタクリル酸からなる共重合体6.4gを得た。得られた重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、78000であった。このN−メタクリロイルピログルタミン酸ナトリウムとメタクリル酸からなる共重合体は、水酸化ナトリウムで中性に中和すると水に透明に溶解し、粘調な溶液となった。
上記参考例1で得られたN−アクリロイルピログルタミン酸0.5gと、アクリル酸9.45gと、トリアクリル酸トリメチロールプロパン0.05gと、N、N−アゾビスイソブチロニトリル0.02gとを用い、実施例1と同様の処理を行い、N−アクリロイルピログルタミン酸とアクリル酸とトリアクリル酸トリメチロールプロパンからなる架橋型共重合体6.9gを得た。得られた架橋型重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、18100であった。このN−アクリロイルピログルタミン酸とアクリル酸とトリアクリル酸トリメチロールプロパンからなる架橋型共重合体は、水酸化ナトリウムで中性に中和すると水に透明に溶解し、構造粘性を有するゲル溶液となった。
上記参考例1で得られたN−アクリロイルピログルタミン酸0.5gと、イタコン酸0.5gと、アクリル酸8.98gと、ジアクリル酸エチレングリコール0.02gと、N、N−アゾビスイソブチロニトリル0.02gとを用い、実施例1と同様の処理を行い、N−アクリロイルピログルタミン酸とイタコン酸とアクリル酸とジアクリル酸エチレングリコールからなる架橋型共重合体6.2gを得た。得られた重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、72000であった。このN−アクリロイルピログルタミン酸とイタコン酸とアクリル酸とジアクリル酸エチレングリコールからなる架橋型共重合体は、水酸化ナトリウムで中性に中和すると水に透明に溶解し、降伏値を有する粘調なゲル溶液となった。
上記参考例1で得られたN−アクリロイルピログルタミン酸0.5gと、クロトン酸9.45gと、メチレンビスアクリルアミド0.05gと、N、N−アゾビスイソブチロニトリル0.02gとを用い、実施例1と同様の処理を行い、N−アクリロイルピログルタミン酸とクロトン酸とメチレンビスアクリルアミドからなる架橋型共重合体0.3gを得た。得られた重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、9800であった。このN−アクリロイルピログルタミン酸とクロトン酸とメチレンビスアクリルアミドからなる架橋型共重合体は、水酸化ナトリウムで中性に中和すると水に透明に溶解し、粘調なゲル溶液となった。
上記参考例2で得られたN−メタクリロイルピログルタミン酸ナトリウム2gと、イソクロトン酸8gと、N、N−アゾビスイソブチロニトリル0.05gとを用い、実施例1と同様の処理を行い、N−メタクリロイルピログルタミン酸ナトリウムとイソクロトン酸からなる共重合体4.7gを得た。得られた共重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、26500であった。このN−メタクリロイルピログルタミン酸ナトリウムとイソクロトン酸からなる共重合体は、水酸化ナトリウムで弱アルカリ性(pH=8)にすると水に透明に溶解し、粘調な溶液となった。
上記参考例1で得られたN−アクリロイルピログルタミン酸1g、アクリル酸7.975g、モノメタクリル酸ポリエチレングリコール(エチレングリコール重合度:約4.5、ブレンマーPE−200(日本油脂社製))1g、トリアリルホスフェイト(東京化成工業社製)0.025g、N、N−アゾビスイソブチロニトリル0.02gを用い、実施例1と同様に操作して、N−アクリロイルピログルタミン酸とアクリル酸とモノメタクリル酸ポリエチレングリコールからなる架橋型共重合体4.3gを得た。得られた重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、26000であった。このN−アクリロイルピログルタミン酸とアクリル酸とモノメタクリル酸ポリエチレングリコールからなる架橋型共重合体は、水酸化ナトリウムで中性に中和すると水に透明に溶解し、粘調なゲル溶液となった。
参考例1と同様な操作で得られたN−アクリロイルピログルタミン酸0.5g、アクリル酸8.95g、モノメタクリル酸グリセロール(ブレンマーGLM(日本油脂社製))0.5g、トリアクリル酸トリメチロールプロパン0.05g、N、N−アゾビスイソブチロニトリル0.02gを用い、実施例1と同様に操作して、N−アクリロイルピログルタミン酸とアクリル酸とモノメタクリル酸グリセロールとトリアクリル酸トリメチロールプロパンからなる架橋型共重合体2.9gを得た。得られた重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、31000であった。このN−アクリロイルピログルタミン酸とアクリル酸とモノメタクリル酸グリセロールとトリアクリル酸トリメチロールプロパンからなる架橋型共重合体は、水酸化ナトリウムで中性に中和すると水に透明に溶解し、構造粘性を有するゲル溶液となった。
参考例1と同様な操作で得られたN−アクリロイルピログルタミン酸1g、マレイン酸9g、N、N−アゾビスイソブチロニトリル0.02gを用い、実施例1と同様に操作して、N−アクリロイルピログルタミン酸とマレイン酸からなる共重合体7.1gを得た。得られた重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、48000であった。このN−アクリロイルピログルタミン酸とマレイン酸からなる共重合体は、水酸化ナトリウムで中性に中和すると水に透明に溶解し、粘調な溶液となった。
ジグリセリンとアクリル酸クロライドを用い、常法に従い、モノアクリル酸ジグリセロールを調製した。このモノアクリル酸ジグリセロール8.5g、参考例1と同様な操作で得られたN−アクリロイルピログルタミン酸1.5g、メチレンビスアクリルアミド0.02g、N、N−アゾビスイソブチロニトリル0.02gを用い、実施例1と同様に操作して、N−アクリロイルピログルタミン酸とモノアクリル酸ジグリセロールとメチレンビスアクリルアミドからなる架橋型共重合体7.7gを得た。得られた重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、16000であった。このN−アクリロイルピログルタミン酸とモノアクリル酸ジグリセロールとメチレンビスアクリルアミドからなる架橋型共重合体は、水酸化ナトリウムで中性に中和すると水に透明に溶解し、構造粘性を有するゲル溶液となった。
[アクリル酸の重合体の合成]
アクリル酸10g、N、N−アゾビスイソブチロニトリル0.02gを用い、実施例1と同様に操作して、アクリル酸の重合体2.5gを得た。このアクリル酸の重合体は、水酸化ナトリウムで中性に中和すると水に透明に溶解し、粘性を有するゲルとなった。
[保水性評価]
実施例1で得られたN−アクリロイルピログルタミン酸とアクリル酸の共重合体と比較例1で得られたアクリル酸の重合体を用い、保水性の評価を行った。
実施例1で得られたN−アクリロイルピログルタミン酸とアクリル酸の共重合体及び比較例1で得られたアクリル酸の重合体につき、水酸化ナトリウムを使用して、pH7、固形分濃度(水酸化ナトリウムを含む)15質量%の水溶液を調製した。各々の水溶液2.5gを直径20mmのガラスシャーレに秤量し、温度25℃、湿度40%RHの雰囲気下に設置し、2時間半後、5時間後の減量を測定した。その後、シリカゲル(青)存在下で120時間乾燥後の質量を測定した。また、中和ポリマー1gが保持する水分量(mg)を算出した。
(処方)
質量%
1.ペンタオレイン酸デカグリセリル 3.0
2.ミツロウ 2.0
3.セタノール 2.0
4.スクワラン 5.0
5.トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
6.ジメチルポリシロキサン(6cs) 0.5
7.グリセリン 5.0
8.N−アクリロイルピログルタミン酸とアクリル酸の共重合体(注1) 2.0
9.水酸化ナトリウム 0.4
10.防腐剤 適 量
11.精製水 合計で100%となる割合
(注1:実施例2で得られたもの。)
(製法)
A.成分1〜6を混合溶解し、80℃とする。
B.成分7〜11を混合溶解し、80℃とする。
C.Aを撹拌しつつ、Bを徐々に添加して乳化する。
D.Cを冷却し、保湿クリームを作製した。
(処方)
質量%
1.N−メタクリロイルピログルタミン酸ナトリウムとメタクリル酸
の共重合体(注2) 1.0
2.N−アクリロイルピログルタミン酸とアクリル酸と
モノメタクリル酸ポリエチレングリコールの架橋型共重合体(注3) 1.0
3.水酸化ナトリウム 0.5
4.クエン酸ナトリウム 0.5
5.1、3−ブチレングリコール 7.0
6.グリセリン 5.0
7.ヒドロキシエチルセルロース 0.2
8.ヒアルロン酸ナトリウム1%水溶液 1.0
9.防腐剤 適 量
10.エタノール 9.0
11.精製水 合計で100%となる割合
(注2:実施例3で得られたもの。)
(注3:実施例7で得られたもの。)
(製法)
A.成分1〜11を混合溶解し、保湿美容液を作製した。
(処方)
質量%
1.N−メタクリロイルピログルタミン酸ナトリウムとメタクリル酸
の共重合体(注4) 1.0
2.N−アクリロイルピログルタミン酸とアクリル酸と
モノメタクリル酸ポリエチレングリコールの架橋型共重合体(注5) 1.0
3.N−アクリロイルピログルタミン酸とマレイン酸の共重合体(注6) 0.5
4.トリエタノールアミン 1.0
5.ピログルタミン酸ナトリウム 0.5
6.グリセリン 4.5
7.1,3−ブチレングリコール 9.0
8.エタノール 2.5
9.ポリオキシエチレンメチルグルコシド 0.2
10.防腐剤 適 量
11.精製水 全 量
(注4:実施例3で得られたもの)
(注5:実施例8で得られたもの)
(注6:実施例10で得られたもの)
(製法)
A.成分1〜11を混合溶解し、保湿化粧水を作製した。
(処方)
質量%
1.N−アクリロイルピログルタミン酸とモノアクリル酸ジグリセ
ロールの架橋型共重合体(注7) 1.0
2.グリセリン 0.5
3.タルク 28.5
4.水添大豆リン脂質処理タルク(注8) 45.0
5.L−ラウロイルリジン粉末(注9) 10.0
6.シリコーン樹脂粉末(注10) 5.0
7.防腐剤 適 量
8.セリサイト 残 量
(注7:実施例11で得られたもの)
(注8:水添大豆リン脂質0.9gをn−ヘキサン200mLに溶解し、タルク44.1gを添加し、充分に混合撹拌した後、n−ヘキサンを減圧留去したもの)
(注9:アミホープLL(味の素社製))
(注10:KSP−105(信越化学工業社製))
(製法)
A.成分1の30倍量の精製水に、成分1、2を溶解し、成分3を加えて充分に混合撹拌した後、水を減圧留去した。
B.Aに成分4〜8を混合し、バンタムミルで3回粉砕して、粉白粉を作製した。
Claims (7)
- 式(1)で表される重合性ピログルタミン酸単量体の1種又は2種以上:(A)
式(2)で表される重合性単量体の1種又は2種以上:(B)
必要に応じて、他の共重合しうる単量体:(C)
とを共重合して得られる、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が8000〜5000000であることを特徴とする親水性高分子化合物。 - (A):(B)の質量仕込み比が、0.05:99.95〜50:50であることを特徴とする請求項1記載の親水性高分子化合物。
- 他の共重合しうる単量体が、一分子内に少なくとも二個以上の重合性基を有する架橋型重合性単量体の1種又は2種以上:(C-1)
であることを特徴とする請求項1又は2記載の親水性高分子化合物。 - (A):(B)の質量仕込み比が、0.05:99.95〜50:50であり、(C-1)の仕込み量が、(A)と(B)との総量に対し、0.1〜2質量%であることを特徴とする請求項3記載の親水性高分子化合物。
- 架橋型重合性単量体が、多価アルコールのアクリル酸エステル、多価アルコールのメタクリル酸エステル、アリル化蔗糖、トリアリルホスフェイト及びメチレンビスアクリルアミドからなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項3又は4記載の親水性高分子化合物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の親水性高分子化合物の1種又は2種以上を含有する皮膚外用剤。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の親水性高分子化合物の1種又は2種以上を含有する化粧料。
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