JP5153231B2 - 耐溶剤性保護具 - Google Patents

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Description

本発明は、変性ポリビニルアルコール系樹脂から形成される層を有する耐溶剤性保護具に関する。
一般的に、研究所または製造工場などの各種機関において、作業者の安全性、製品の汚染を防止する等の目的、または、安全衛生等の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等のポリマーから製造される保護手袋等の保護具が用いられている。また、これらのポリマーから製造された手袋等は、一般家庭においても広く普及している。
ところが、これらのポリマー製の手袋は、耐溶剤性が低いため、溶剤を扱う作業を行った場合、作業中に溶剤が浸透してしまう等の問題があった。また、ガスバリアー性に優れたエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂からなる手袋等も知られているが、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂は、ガスバリアー性が優れているものの、耐水性に劣る、硬く脆い、伸縮性、引裂強度が不充分である、などの問題点を有するものであり、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂単独で手袋等の保護具を構成することは困難であった。
このような問題点を解決するものとして、ポリエチレンフィルムと織布との間にエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムが挿入された3層構造の手袋が提案されている(例えば、非特許文献1または2参照)。しかし、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムを用いた場合、手袋がごわごわして着用感が悪いものであり、また、基材との接着性が不充分であるため、使用中にエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルム層が剥離するという問題があった。
実用新案登録第3076245号公報 実用新案登録第3083971号公報
本発明は、耐溶剤性と耐久性がよく、層間が剥離しにくく、かつ肌触りがよく作業性に優れる耐溶剤性保護具を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、保護具基材上に、一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位:
Figure 0005153231
[一般式(1)において、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。]
で示される基を側鎖に有する変性ポリビニルアルコール系樹脂から形成される層を有する耐溶剤性保護具に関する。
本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂の側鎖に特定の官能基を導入した変性ポリビニルアルコール系樹脂を使用することを特徴とし、耐溶剤性と層間剥離性に優れるだけでなく、肌触りが良好で、使用過程で傷がつきにくく、長期間に渡って使用できる耐溶剤性保護具を提供することができる。
従って、本発明の保護具は、特に、皮膚が溶剤や物理的な刺激に特に敏感な人のための保護具として有用である。
以下、本発明について詳細に説明するが、以下に記載する説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に限定されるものではない。
本発明は、保護具基材上に、一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位:
Figure 0005153231
[一般式(1)において、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。]
で示される基を側鎖に有する変性ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する)樹脂から形成される層を有する耐溶剤性保護具に関する。
上記した、PVA樹脂の側鎖に上記1,2−ジオール構造単位を導入した変性PVA樹脂は、特に基材との密着性に優れているので、コーティングした時に良好で剥離しにくいという効果を呈する。
本発明で用いる変性PVA樹脂自体は公知のものであり、通常、ビニルエステル系モノマーと、ケン化後に上記一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を有するモノマーを共重合して得られる共重合体をケン化して製造される。
前記ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等があげられるが、通常炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜10、特に好ましく炭素数4〜7のものである。これらの中でも、経済的な面で酢酸ビニルが好ましい。
上記一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位における有機基としては、特に限定されず、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の飽和炭化水素基、フェニル基、ベンジル基等の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。
1〜R3は通常炭素数1〜30、特には炭素数1〜15、さらには炭素数1〜4の飽和炭化水素基または水素原子が好ましく、水素原子が最も好ましい。R4〜R5は通常炭素数1〜30、特には炭素数1〜15、さらには炭素数1〜4のアルキル基または水素原子が好ましく、水素原子が最も好ましい。特に、R1〜R6がすべて水素であるものが最も好ましい。
また、一般式(1)で表わされる構造単位中のXは、耐溶剤性、耐酸耐塩基性が良好な点などから、代表的には単結合である。
なお、本発明の効果を阻害しない範囲であれば結合鎖であってもよい。かかる結合鎖としては特に限定されないが、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素鎖(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い)の他、−O−、−(CH2O)m−、−(OCH2m−、−(CH2O)mCH2−等のエーテル結合部位を含む構造、−CO−、−COCO−、−CO(CH2mCO−、−CO(C64)CO−等のカルボニル基を含む構造、−S−、−CS−、−SO−、−SO2−等の硫黄原子を含む構造、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−等の窒素原子を含む構造、−HPO4−等のリン原子を含む構造などのヘテロ原子を含む構造、−Si(OR)2−、−OSi(OR)2−、−OSi(OR)2O−等の珪素原子を含む構造、−Ti(OR)2−、−OTi(OR)2−、−OTi(OR)2O−等のチタン原子を含む構造、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−等のアルミニウム原子を含む構造などの金属原子を含む構造等が挙げられる(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、またmは自然数であり、通常1〜30、好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜10である。)。その中でも製造時あるいは使用時の安定性の点で−CH2OCH2−、および炭素数1〜10の炭化水素鎖が好ましく、さらには炭素数1〜6の炭化水素鎖、特には炭素数1であることが好ましい。
上記一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位における最も好ましい構造は、R1およびR2〜R4がすべて水素原子であり、Xが単結合であるものである。すなわち、下記構造式(1a)で示される構造単位が最も好ましい。
Figure 0005153231
変性PVA系樹脂における上記構造単位(1)の含有量は、通常1〜15モル%、好ましくは1〜12モル%、特に好ましくは1〜8モル%、殊に好ましくは1〜5モル%である。かかる含有量が少なすぎた場合、柔軟性が不足し手触り感が不十分となる傾向があり、多すぎた場合は保護具のコーティング面の強度が不充分となる傾向がある。
ケン化度は特に限定されないが、通常80〜100モル%であり、90〜100モル%であることがより好ましく、95〜100モル%であることがさらに好ましく、99〜100モル%であることが特に好ましい。ケン化度が少なすぎた場合、耐溶剤性、耐酸耐塩基性が低下する傾向がある。
変性PVA系樹脂のガラス転移温度は示差走査型熱量計(昇温速度は10℃/min)で計測した値で、通常−20〜75℃であり、好ましくは0〜50℃である。かかる値が小さすぎた場合は保護具のコーティング面の強度が不足する傾向があり、大きすぎた場合は柔軟性が低下し、本発明の目的を達成することができない場合がある。
得られた変性PVA系樹脂の結晶化度は、示差走査型熱量計(昇温速度は10℃/min)で計測した値より算出した値(J.Polym.Sci.12.21.1955に記載のFlory's式から算出)で、通常1〜40であり、好ましくは5〜30である。かかる値が小さすぎた場合は保護具のコーティング面の強度が不足する傾向があり、大きすぎた場合は柔軟性が不足する傾向がある。
また、耐水性・耐湿性に優れた共重合体が得られる点から、エチレンをさらに共重合させた樹脂を用いることが好ましい。すなわち、本発明で用いる変性PVA系樹脂としては上記一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を有する、変性エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物樹脂(以下、変性EVOH樹脂と称する)を用いることが好ましい。
変性EVOH樹脂のエチレン含有量は特に限定されないが、通常0〜70モル%であり、20〜70モル%であることがより好ましく、20〜60モル%であることがさらに好ましく、20〜55モル%であることが特に好ましい。エチレン含有量が高すぎた場合、充分な柔軟性が得られない傾向がある。
変性EVOH樹脂の210℃、荷重2160gにおけるメルトフローレート(MFR)は、通常0.01〜80g/10分であり、好ましくは0.1〜50g/10分である。MFRが小さすぎても大きすぎても製造上の効率が低下する傾向がある。
また、本発明においては、その趣旨を阻害しない範囲(通常1モル%以下)において、該ビニルエステル系モノマーおよび上記一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を有するモノマー(およびエチレン)と共重合可能な、他の成分との共重合体をケン化して得られる変性PVA系樹脂を用いることもできる。
本発明に用いる変性PVA系樹脂の製造方法としては、特に限定するものではないが、最も好ましい構造である構造単位(1a)を含有するPVA系樹脂を例とすると、[1]コモノマーとして3,4−ジオール−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−オール−1−ブテン、4−アシロキシ−3−オール−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン等を用い、これらとビニルエステル系モノマー(およびエチレン)と共重合して共重合体を得、次いでこれをケン化する方法、あるいは、[2]コモノマーとしてビニルエチレンカーボネート等を用いてこれらとビニルエステル系モノマー(およびエチレン)と共重合して共重合体を得、次いでこれをケン化、脱炭酸する方法、あるいは、[3]コモノマーとして2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン等を用い、これらとビニルエステル系モノマー(およびエチレン)と共重合して共重合体を得、次いでケン化、脱アセタール化する方法等が挙げられる。
なかでも、重合が良好に進行し、1,2−ジオール構造単位を高分子主鎖中に均一に導入しやすいという製造時の利点や、耐溶剤性保護具の臭気を抑制できるから、製造方法[1]の方法を採用することが好ましく、特に好ましくは、共重合反応性に優れる点で3,4−ジアシロキシ−1−ブテンとビニルエステル系モノマー(およびエチレン)を共重合して得られた共重合体をケン化する方法である。さらには3,4−ジアシロキシ−1−ブテンとして、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを用いることが好ましい。また、[1]で例示したモノマーの混合物を用いてもよい。
なお、ビニルエステル系モノマーとして酢酸ビニルを用い、これと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを共重合させた際の各モノマーの反応性比は、r(酢酸ビニル)=0.710、r(3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)=0.701、であり、これは後述のビニルエチレンカーボネートの場合の、r(酢酸ビニル)=0.85、r(ビニルエチレンカーボネート)=5.4、と比較して、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが酢酸ビニルとの共重合反応性に優れることを示すものである。
また、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの連鎖移動定数は、Cx(3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)=0.003(65℃)であり、ビニルエチレンカーボネートの場合の、Cx(ビニルエチレンカーボネート)=0.005(65℃)や、2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソランの場合のCx(2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン)=0.023(65℃)と比較して、重合の阻害要因となって重合度が上がりにくくなったり、重合速度低下の原因となることがないことを示すものである。
また、かかる3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは、その共重合体をケン化する際に発生する副生物が主構造単位である酢酸ビニル構造単位に由来するものと同一であり、その後処理に特別な装置や工程を設ける必要がない点も、工業的に大きな利点である。また、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは少量の不純物として3,4−ジアセトキシ−1−ブタンや1,4−ジアセトキシ−1−ブテン、1,4−ジアセトキシ−1−ブタン等を含んでいても良い。
なお、3,4−ジオール−1−ブテンは、イーストマンケミカル社から、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは工業生産用ではイーストマンケミカル社、試薬レベルではアクロス社の製品を市場から入手することができる。また、1,4―ブタンジオール製造工程中の副生成物として得られる3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを利用することも出来る。
上記[2]の製法により製造された1,2−ジオール構造単位を有するPVA系樹脂は、ケン化度が低い場合や、脱炭酸が不充分な場合には側鎖にカーボネート環が残存し、耐溶剤性保護具の臭気の原因となる傾向がある。また、[3]により製造された1,2−ジオール構造単位を有するPVA系樹脂も、製造方法[2]によるものと同様に、側鎖に残存したモノマー由来の官能基(アセタール環)が溶融成形時に脱離して、耐溶剤性保護具の臭気の原因となる傾向があるため、これに留意して使用する必要がある。
本発明において保護具の種類としては、溶剤等の薬物から人体を保護するものであり、たとえば、手袋、エプロン、眼鏡、ゴーグル、帽子、マスクなどの可撓性を必要とする保護具などをあげることができる。これらの中でも本発明の特徴である耐溶剤性と肌触りに優れる点が活用される用途であるという点から、手袋が好ましい。
保護具の基材としては、特に限定されるものではないが、織布、不織布、熱可塑性樹脂フィルム、紙などからなる可撓性基材が望ましい。
織布、不織布としては、たとえば、綿、毛(羊毛、アンゴラ)、絹、麻等の天然繊維、ビスコース繊維(レーヨン、ポリノジック)、銅アンモニア繊維(アセテート、トリアセテート)、プロミック繊維、ナイロン繊維(ナイロン、アラミド)、ビニロン繊維、ポリ塩化ビニリデン系合成繊維、ポリ塩化ビニル系合成繊維、ポリエステル系合成繊維、ポリアクリロニトリル系合成繊維、ポリエチレン系合成繊維、ポリプロピレン系合成繊維、ポリウレタン系合成繊維、ポリクラール繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、羽毛などの繊維を一種類以上含む織布または不織布があげられる。好ましくは、ポリ塩化ビニリデン系合成繊維、ポリ塩化ビニル系合成繊維、ポリウレタン系合成繊維などの繊維を一種類以上含む織布または不織布である。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン、エチレン−プロピレン(ブロックまたはランダム)共重合体、ポリプロピレン(PP)、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン、ポリメチルペンテン等の単独または共重合体等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のエステル系樹脂、6ナイロン、66ナイロン等のアミド系樹脂、共重合ポリアミド、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、芳香族および脂肪族ポリケトン、脂肪族ポリアルコール等があげられる。好ましくは、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタンエラストマーである。
これらの中でも、作業性の点から、綿、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエステルを基材とする保護具であることが好ましい。
保護具の基材の厚さは、特に限定されるものではなく、対象とする保護具の種類により決定されるが、通常0.01〜5mmであり、好ましくは0.01mm〜2mmである。薄すぎた場合保護具の充分な強度が得られない傾向があり、厚すぎた場合保護具の柔軟性が低下する傾向がある。
本発明の耐溶剤性保護具を製造する方法は、たとえば、一般式(1)で示される基を有するPVA系樹脂を溶解する溶剤に溶かし、上述の基材の片面または両面に塗布する方法があげられる。
塗布方法としては、スプレーコート法、ディップコート法、ブレードコーティング法、ロッドコーティング法、グラビアコーティング法、カーテンコーティング法、ダイヘッドコーティング法、スピンコーティング法、ハケ塗り法など、通常の塗布方法を採用することができる。また、PVA系樹脂を溶融させて、押出コートにより行ってもよい。これらの中でも、複雑な形状への塗布が可能である点から、ディップコート法が好ましい。
一般式(1)で示される基を有するPVA系樹脂を溶解する溶剤としては、特に限定されないが、溶解性の点から、水又は、水とアルコールの混合溶媒が好ましく、通常、一般式(1)で示される基を有するPVA系樹脂はこれらの溶媒を例えば沸点付近に加熱して溶解するものである。
前記アルコールとしては、たとえば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの炭素数1〜8の脂肪族低級アルコールをあげることができる。これらの中でも、溶解性と溶液の安定性の点から、プロピルアルコールが好ましい。
塗布する溶液の濃度は、通常0.1〜50重量%であり、好ましくは5〜30重量%である。濃度が低すぎた場合には塗布の効率が低く、所望の塗布量を得るために複数回の塗布が必要となる傾向があり、濃度が濃すぎた場合には溶液の粘度が高くなり、均一に塗布することができなくなる場合がある。
塗布する際の溶液温度は、通常0〜100℃であり、好ましくは5〜90℃である。低すぎた場合は溶液粘度が高くなり、均一に塗布することが困難になる傾向があり、多すぎた場合は溶剤の揮発のため、均一に塗布することができなくなる場合がある。また、塗布後は、乾燥させることが好ましい。
乾燥温度および時間は、特に限定されるものではなく、用いた溶剤によって条件を選択すべきであるが、通常0〜150℃であり、通常0.5〜10時間である。
変性PVA系樹脂から形成される層の厚さは、乾燥後において通常0.001〜100μmであり、好ましくは0.01〜50μmである。薄すぎた場合は耐溶剤性が不充分となる傾向があり、厚すぎた場合は柔軟性が不充分となる傾向がある。
本発明では、通常、保護具基材上に直接変性ポリビニルアルコール系樹脂層を設けるか、場合により、保護具基材上にプレコート層を設けてもよい。プレコート層としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の脂肪族炭化水素樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール等のビニルアルコール系樹脂、ポリスチレン等の芳香族炭化水素樹脂、6ナイロン、66ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などからなる層をあげることができる。
プレコート層の厚さとしては、通常0.01μm〜5mmであり、好ましくは0.1〜100μmである。プレコート層は、前述の塗布方法を用いて作製することができる。
特に、保護具基材として、布などの浸透性が高いものを採用する場合は、溶剤の浸透を防止するために、プレコート層を設けることが好ましい。
このようにして得られた手袋は、耐溶剤性に優れており、かかる溶剤としては例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの炭素数1〜10の脂肪族低級アルコール、ペンタン、ヘキサン等の炭素数1〜10の脂肪族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等の炭素数1〜10のケトン、ベンゼン、トルエン等の炭素数6〜10の芳香族炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル等の炭素数3〜10の脂肪酸エステル、シリコーンオイルに対して耐性を有しており、特に炭素数1〜10のケトン、ベンゼン、トルエン等の炭素数6〜10の芳香族炭化水素、炭素数3〜10の脂肪酸エステルに優れた耐性を示すものである。
以下、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中「部」、「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
実施例1
3,4−ジアセトキシ−1−ブテンをモノマーとして用い、公知の方法によって変性EVOH樹脂(エチレン含有量:38モル%、1,2−ジオール構造単位(1a)の導入量:1.5モル%、酢酸ビニル部分のケン化度:99モル%、MFR(210℃、荷重2160g)3.3g/10min)を得た。かかる変性EVOHを押出成形(成形温度210℃)し、厚さ30μmの単層フィルムを作製した。
得られた単層フィルムを用いて<耐屈曲性>と<手触り感>の評価を実施した。結果を表1に示す。
また、該フィルムの片面にアンカーコート剤(東洋モートン(株)製、アドコートAD−335A)を塗布し、80℃で5分間乾燥し、厚さ0.14mmの綿布を、ラミネーション機を用いてアンカーコート面に、設定温度70℃にて貼り合わせ、多層シートを作製した。
得られた多層シートを用いて<耐溶剤性>と<層間剥離性>の評価を実施した。結果を表1および2に示す。
<手触り>
得られた単層フィルムの手触り感について、モニター試験(5名)を行い比較した。
○:柔軟性があり、手触り感良好
×:ごわごわしていて、手触り感不良
<耐屈曲性>
得られた単層フィルム(20×30cm)を、ゲルボフレックステスター(理学工業社製)を用いて、440°捻り(3.5インチ)+直進(2.5インチ)の繰り返し往復運動を500回行なった後、フィルム内のピンホール数の測定を行なった。
<耐溶剤性>
得られた多層シートのEVOH側にトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンをそれぞれ0.5mL滴下し、10分後に多層フィルムの綿布の表面に溶剤が浸透しているか確認し、以下の基準により評価した。
○:綿布の表面に溶剤がない。
×:綿布の表面に溶剤がある。
<層間剥離性>
得られた多層シートを用いて、50回屈曲させた後の密着性を目視により観察し、以下の基準により評価した。
○:全く剥離が認められない
△:一部剥離が認められた
×:著しく剥離が認められた
比較例1
実施例1において、変性EVOH樹脂にかえて、未変性EVOH樹脂(エチレン含有量:38モル%、酢酸ビニル部分のけん化度:99モル%、MFR(210℃、荷重2160g)3.3g/10min)を用いた以外は同様にして、単層フィルムおよび多層シートを得、同様に評価した。
<表1>
Figure 0005153231
<表2:耐溶剤性評価>
Figure 0005153231
上記の結果より、一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を有する変性EVOH樹脂からなる単層フィルム(実施例1)は、未変性EVOH樹脂からなる単層フィルム(比較例1)と比較して手触りがよく、皮膚に刺激を与えないことが判る。また、前記変性EVOH樹脂から得られた単層フィルムは未変性EVOH樹脂に比べてピンホール数が17%も減少しており、単層フィルムのような比較的傷つきやすい状態でも耐屈曲性に優れることが判り、実際に保護具として基材と併用する場合には、さらに優れた耐屈曲性を発揮することは自明である。
さらに、1,2−ジオール構造単位を有する変性EVOH樹脂の単層フィルムを綿布にラミネートした多層シート(実施例1)は、未変性EVOH樹脂を用いた多層シート(比較例2)と同等の耐溶剤性を有しつつ、同時に耐層間剥離性に優れるという、従来得られなかった優れた効果が同時に得られた。
本発明の効果は、ビニルアルコール構造単位を有する樹脂(ポリビニルアルコール系樹脂)が、一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を有することにより発揮されるものであるため、エチレンを共重合していない1,2−ジオール構造単位を有する変性PVA系樹脂を用いても、本発明の効果は得られるものである。

Claims (6)

  1. 保護具基材上に、一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位:
    Figure 0005153231
    [一般式(1)において、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。]
    で示される基を側鎖に有する変性ポリビニルアルコール系樹脂から形成される層を有する耐溶剤性保護具。
  2. 上記一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位が、下記の式(1a)で表される構造単位であることを特徴とする請求項1記載の耐溶剤性保護具
    Figure 0005153231
  3. 変性ポリビニルアルコール系樹脂の変性率が、1〜15モル%である請求項1〜2のいずれかに記載の耐溶剤性保護具。
  4. 変性ポリビニルアルコール系樹脂が20〜55モル%エチレンを共重合したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐溶剤性保護具。
  5. 変性ポリビニルアルコール系樹脂からなる層の厚さが、0.001〜100μmである請求項1〜4のいずれかに記載の耐溶剤性保護具。
  6. 織布、不織布又は熱可塑性樹脂フィルムからなる保護具基材の片面または両面に、厚さ0.001〜100μmの変性ポリビニルアルコール系樹脂からなる層を設けてなる請求項1〜5のいずれか記載の耐溶剤性保護具。
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